説明

通信装置及びプログラム

【課題】メモリを大量に消費することなく且つ構成を複雑にすることなく、第1の通信方式で送信する電波をより確実に伝達でき、第2の通信方式で通信する通信相手以外の通信機器に対する通信を確実に抑制可能な通信技術を提供する。
【解決手段】第1の通信方式と、第2の通信方式とを用いて通信を行う通信装置は、送信する情報を、第1の通信方式に従って、電波の送信の有無により形成されるパルスを形成するための情報に変換し、この変換の結果に基づいて、通信相手以外の通信を抑制する抑制時間を決定し、第2の通信方式に従って、パルスにおいて電波を送信する第1の要素毎に抑制時間が設定された送信抑制信号を含む出力信号を生成し、パルスにおいて電波を送信するタイミングで、出力信号に応じた電波を通信相手に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、通信装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ネットワークを介して待機中の通信機器を遠隔起動する技術が広く知られている。例えば、マジックパケット(登録商標)をIEEE 802.3規格のネットワーク上で送信するWake on LANや、IEEE 802.11規格のネットワーク上で送信するWake on Wireless LANなどがある。これらは既設のネットワークインフラを活用して遠隔起動を実現できるため導入が容易である。しかし、マジックパケットの受信を待ち受けるために相当量の電力を必要とする恐れがあった。
【0003】
これに対して、規則的な電波の変化を検出することによって、低消費電力で起動信号の待ち受けを行う技術がある。加えて、規則的な電波の有無をIEEE802.11規格のフレームで表現することにより、既存の通信インフラを活用する方法がある。さらに、起動信号を作るIEEE802.11規格のフレームに対して、起動信号が終了するまでの期間に相当するNAV(Network Allocation Vector:送信抑制時間)を設定する方法がある。これによって、通信装置が、起動信号を送信中に通信相手以外の他の通信機器が電波を送信してしまうことを抑制する。そのため、起動信号がより正確に伝えられるようになる。また、起動信号を作るIEEE802.11規格のフレームを送信する度に、起動信号が終了するまでの時間を計算して個別にNAVの値を設定する技術がある。更に、無線通信技術において搬送波上で伝送する情報の伝送レートを変化させて、当該情報に加えて新たな情報を送信する技術がある。新たな情報の一例としては、状態遷移信号がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−199850号公報
【特許文献2】特開2008−153807号公報
【特許文献3】特開2009−225141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、起動信号を作るIEEE802.11規格の各フレームに対してそれぞれNAVを設定する技術では、メモリを大量に消費する恐れがある。また、起動信号を作るIEEE802.11規格のフレームを送信する度に、起動信号が終了するまでの時間を計算して個別にNAVの値を設定する技術では、起動信号を送信する送信装置の構成が複雑になるうえ、起動信号の送信が遅延する可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の通信装置は、パルス状の電波を送信する第1の通信方式と、送信抑制信号を送信することで通信相手以外の通信を抑制する第2の通信方式とを用いて通信を行う通信装置であって、送信する情報を、前記第1の通信方式に従って、電波の送信の有無により形成されるパルスを形成するための情報に変換する変換部と、前記変換部の変換の結果に基づいて、前記通信相手以外の通信を抑制する抑制時間を決定する第1決定部と、前記第2の通信方式に従って、前記パルスにおいて電波を送信する第1の要素毎に前記抑制時間が設定された前記送信抑制信号を含む出力信号を生成する生成部と、前記パルスにおいて電波を送信するタイミングで、前記出力信号に応じた電波を前記通信相手に対して送信する送信部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態の通信装置100を含む通信システムの構成を示す図。
【図2】通信装置100の機能的構成を例示する図。
【図3】通信装置100が送信する出力信号を例示する図。
【図4】通信装置100が行う通信処理の手順を示すフローチャート。
【図5】制御情報変換部102−1の変換結果を例示する図。
【図6】信号生成処理の詳細な手順を示すフローチャート。
【図7】ASKを用いて8ビットの出力信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図。
【図8】出力信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図。
【図9】出力信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図。
【図10】出力信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図。
【図11】出力信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図。
【図12】出力信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図。
【図13】出力信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図。
【図14】出力信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図。
【図15】出力信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図。
【図16】第2の実施の形態の通信装置100の機能的構成を例示する図。
【図17】チャネル決定処理の手順を示すフローチャート。
【図18】第3の実施の形態の通信装置100の機能的構成を例示する図。
【図19】パラメータ情報を説明するための図。
【図20】通信処理の手順を示すフローチャート。
【図21】送信パラメータを例示する図。
【図22】送信パラメータを例示する図。
【図23】出力信号に応じた電波の様子を例示する図。
【図24】出力信号に応じた電波の様子を例示する図。
【図25】出力信号に応じた電波の様子を例示する図。
【図26】第5の実施の形態の通信装置100の機能的構成を例示する図。
【図27】通信処理の手順を示すフローチャート。
【図28】出力信号の送信指示と出力信号に応じた電波とを例示する図。
【図29】一変形例の通信処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施の形態]
まず、本実施の形態に係る通信装置100を含む通信システムの構成について図1を用いて説明する。通信装置100は、パルス状の電波を送信する第1の通信方式と、送信抑制信号を送信することで通信相手以外の通信機器との通信を抑制する第2の通信方式とを用いて通信相手と通信を行う。この通信装置100がパーソナルコンピュータ(パソコン)200に接続され、パソコン200は通信装置100を介して、通信機器201,211〜213とそれぞれ、あるチャネル(周波数帯)を使用して無線通信を行うことが可能である。また、通信機器201,211〜213は、当該のチャネルを使用して無線通信を行うことが可能である。通信機器201,211〜213には、各々を識別可能な識別子が付与されているものとする。尚、同図では各通信機器201,211〜213はエンドノードとして表しているが、パソコン200を含め各通信機器201,211〜213の中に無線LANのアクセスポイント等の中間ノードを含んでも良い。また、パソコン200及び通信装置100を一体的に形成しても良いし、通信機器201,211〜213に通信装置100の機能の全部又は一部と制御情報を送信する部分とを含むように構成しても良い。ここでは、パソコン200を用いて説明しているが、これに限らず通信機器201、211〜213と通信装置100を介して通信する他の機器でも良い。制御情報とは、通信相手に対する制御指示を示すものであり、例えば、通信相手に対する起動指示を示す。
【0009】
次に、本実施の形態に係る通信装置100のハードウェア構成について説明する。通信装置100は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶部と、パソコン200と通信機器201,211〜213との間の無線通信を制御する通信I/F(interface)と、これらを接続するバスとを備えたハードウェア構成となっている。通信I/Fは、無線通信を行うためのアンテナを有するものとする。
【0010】
次に、このようなハードウェア構成において、通信装置100によって実現される各種機能について図2を用いて説明する。通信装置100は、入力受付部101と、制御部102と、記憶部103と、信号生成部104と、信号送信部105とを有する。入力受付部101と、制御部102との各機能は、通信装置100の有するCPUが記憶部に記憶された各種プログラムを実行することにより実現される。信号生成部104と、信号送信部105との各機能は、通信装置100の有する通信I/Fと、通信装置100の有するCPUが記憶部に記憶された各種プログラムを実行することにより実現される。記憶部103は、通信装置100の有する記憶部に確保される記憶領域である。
【0011】
入力受付部101は、パソコン200に接続され、パソコン200から送信された制御情報やデータの送信指示の入力を受け付ける。制御部102は、通信装置100全体を制御するものであり、制御情報変換部102−1と、送信抑制時間決定部102−2とを有する。制御情報変換部102−1は、入力を受け付けた制御情報を信号生成部104にて第1の通信方式に従った信号を生成するために必要な情報に変換する。即ち、制御情報変換部102−1は、制御情報を、電波の送信の有無により形成されるパルスを形成するための情報に変換する。パルスは、即ち、電波を送信する要素と、電波を送信しない要素とを含む。送信抑制時間決定部102−2は、制御情報変換部102−1による制御情報の変換結果に基づいて、第2の通信方式で通信する通信相手以外の通信機器に対して通信を抑制する時間(送信抑制時間という)を決定する。通信装置100を介してパソコン200と通信を行う通信相手は、例えば、通信機器201であるとすると、通信相手以外の通信機器とは、通信機器211〜213である。記憶部103は、入力を受け付けた制御情報及びデータや制御部102が制御に用いる各種情報を記憶する。信号生成部104は、制御情報変換部102−1による制御情報の変換結果を用いて、第2の通信方式に従って、送信抑制時間決定部102−2が決定した送信抑制時間を設定した送信抑制信号を含む出力信号を生成する。信号送信部105は、第1の通信方式に従って制御情報変換部102−1が変換したパルスにおいて電波を送信するタイミングで、信号生成部104が生成した出力信号に応じた電波をアンテナ106を介して通信相手に対して送信する。
【0012】
尚、本実施の形態に特有の構成は、信号を送信する部分にあるため、信号を受信する構成については図示及び説明を行わないが、通信装置100は、信号を受信する構成を具備していても良い。
【0013】
ここで、通信装置100が送信する出力信号の例について図3を用いて説明する。この出力信号は、通信装置100に、制御情報として値「110」が入力され、何らかのデータが入力されたと仮定した場合に出力される信号である。図3の太線部分は各時刻における最大電波強度を結んだものである。これは、第1の通信方式により送信される制御情報を含んでいる。即ち、図3では制御情報として値「110」が、電波の送信の有無により形成されるパルスとして表現されている。網掛け部分301〜303は、電波を送信する要素であり、第2の通信方式に従ったフレームとなる。このフレームには、送信抑制時間が設定された送信抑制信号が含まれる。また、フレームには、パソコン200から送信指示が送信されたデータが含まれ得る。パソコン200からデータの送信指示が送信されない場合には、フレームには、送信抑制信号のみが含まれる。
【0014】
このように通信装置100は、異なる2つの通信方式を用いて異なる情報を通信相手に伝達することができる。尚、図3では第1の通信方式として2値ASK(Amplitude−Shift Keying)を用いた通信方式を使用しているが、他の変調方式でも良い。
【0015】
次に、本実施の形態に係る通信装置100が行う通信処理の手順について図4を用いて説明する。通信装置100の入力受付部101は、パソコン200から当該通信相手に対する制御指示を示す制御情報を含む信号(入力信号という)の送信指示の入力を受け付ける(ステップS1)。入力信号は、データを含んでいても良い。入力受付部101は、当該入力信号にデータが含まれる場合、当該データを記憶部103に記憶させ(ステップS2)、当該入力信号の送信指示を制御部102に通知する(ステップS3)。この通知には、通信相手となる通信機器の識別子や制御情報が含まれる。尚、当該入力信号にデータが含まれない場合には、ステップS2は省略される。
【0016】
このとき、入力受付部101は、入力を受け付けた入力信号が第1の通信方式で送信すべき情報を含むか又は通常の第2の通信方式で送信すべき情報のみを含むかを識別する。この方法として、次のような方法がある。第1の方法として、2つの通信方式の指示体系とは異なる指示手段によって当該入力信号の種別を伝える方法である。例えば、OSのレベルではioctl()などのシステムコールを使って所定の識別子を指定し、デバイスドライバはその情報を所定のレジスタやディスクリプタ、制御コマンドなどを介して入力受付部101に通知する。第2の方法として、第2の通信方式で出力信号を送信する対象の通信相手の識別子に特別な意味を持つ値を用いて通知する方法である。例えば、MACアドレスで先頭オクテットの0x02(グローバルビット)を「0」とし、その他のビットに指示を出すパソコン200と通信装置100との間でのみ使用するアドレスを作る。このアドレスを宛先アドレスとして伴って送信される第2の通信方式に従った入力信号は、第1の通信方式で送信すべき情報を含むとして識別される。ここでは、入力受付部101は、入力信号に、第2の通信方式で送信すべき制御情報が含まれると識別するものとする。
【0017】
制御部102は、入力受付部101からの通知を受け取ると、当該通知に含まれる制御情報を第1の通信方式に従ったパルスを生成するための内部表現への変換を制御情報変換部102−1に指示する(ステップS4)。制御情報変換部102−1は、当該制御情報を、電波の送信の有無により形成されるパルスに変換する変換処理を行う(ステップS5)。ここで、変換処理の詳細について説明する。制御情報変換部102−1に入力される制御情報は、「0」又は「1」の値の列(制御命令列という)で表現されるものであり、制御情報変換部102−1は、変換処理でこの制御命令列を第1の通信方式で使用する変調方式に応じたパルスへと変換する。よって、使用する変調方式により変換処理の細部は異なるが、本質部分は同じである。以下の説明では、変調方式として2値ASK(Amplitude−Shift Keying)を例に述べる。
【0018】
2値ASKでは振幅の大小(High−Low)で値を表す。また、同一振幅の継続時間は事前に定められた固定値である。これに基づき、制御情報変換部102−1は、制御命令列によって表される値「0」をLowレベルの内部表現に変換し、「1」をHighレベルの内部表現に変換する。Lowレベルの内部表現は、電波を送信しないことを示し、Highレベルの内部表現は、電波を送信することを示す。尚、ここで内部表現としているのは、この段階では実際に電波を処理対象としていないためである。この内部表現に基づいて後段で実際に電波の送信の有無が制御される。また、制御情報変換部102−1は、各内部表現に対し、Lowレベルを継続する時間(継続時間)又はHighレベルを継続する継続時間をそれぞれ決定する。即ち、制御情報変換部102−1は、各内部表現に対し、電波の送信の停止を継続する継続時間又は電波の送信を継続する継続時間をそれぞれ決定する。
【0019】
このようにして、制御情報変換部102−1は、変換処理を行って、制御命令列によって表される値毎に変換した内部表現と各内部表現に対する継続時間とを変換結果として制御部102に返す(ステップS6)。尚、継続時間が固定の場合には、対応する内部表現とその継続時間を共に制御部102に返す必要はない。しかし、PWM(Pulse Width Modulation)やPIM(Pulse Interval Modulatioin)など継続時間が異なる場合には、その値も変換結果として制御部102に返さなければならない。
【0020】
例えば、制御情報変換部102−1に入力された制御命令列が「110」である場合、図5に示されるように、変換結果は「H/t,L/t,H/t, L/2t, H/t」となり、4つの要素を含む。Hは、Highレベルの内部表現を示し、Lは、Lowレベルの内部表現を示し、tは継続時間を示す。記号H/tは、Highレベルを継続時間tだけ継続することを示す。同様に記号L/tはLowレベルを継続時間tだけ継続することを示す。なお、図5は理解を助けるために図示したものであり、必ずしもこの形式の表現を使用する必要は無い。
【0021】
また、制御情報変換部102−1はこの変換処理を、入力受付部101が入力信号の入力を受け付ける度に逐一行う必要は無い。例えば、想定される入力信号のパターンに適合するものを事前に計算して記憶部103に保存しておき、制御情報変換部102−1は、変換処理で当該入力信号のパターンを読み出すようにしても良い。
【0022】
図4の説明に戻る。続いて、制御情報変換部102−1は、変換結果に基づいて、送信抑制時間の決定を送信抑制時間決定部102−2に指示する(ステップS7)。送信抑制時間決定部102−2は、送信抑制時間を決定する抑制時間決定処理を行う(ステップS8)。ここで、抑制時間決定処理の詳細について説明する。この抑制時間決定処理では、送信抑制時間決定部102−2が、変換結果における内部表現に基づいて電波を送信しない要素を特定し、内部表現に含まれる継続時間に基づいて、電波を送信しない要素のうち、最も長い間電波の送信の停止を継続する継続時間を求めるものである。即ち、送信抑制時間決定部102−2は、電波を送信しない要素に対する継続時間のうち、最長の継続時間を送信抑制時間として決定する。また、送信抑制時間決定部102−2はこの決定処理を、指示を受け付ける度に逐一行わなくても良い。例えば、想定される変換結果に適合する抑制時間を事前に計算して記憶部103に保存しておき、抑制時間決定部102−2は、決定処理で当該変換結果に一致する抑制時間を読み出しても良い。更に、送信抑制時間決定部102−2は、想定される全ての変換結果に対応する抑制時間を事前に計算しておき、そのうち最も長い時間を任意の変換結果に対する抑制時間として決定するようにしても良い。
【0023】
例えば上述したように、制御情報変換部102−1に入力された制御命令列が「110」であり、変換結果は図5に示されるように「H/t,L/t,H/t, L/2t, H/t」であるとした場合、電波を送信しない要素は「L」で特定される部分であり、「L/t」及び「L/2t」がある。これらに対する継続時間は各々「t」及び「2t」であり、これらの最長の継続時間は「2t」である。
【0024】
図4の説明に戻る。送信抑制時間決定部102−2は、このようにして決定した送信抑制時間を制御部102に返す(ステップS9)。その後、制御部102は、信号生成部104に対して、データの有無と、データが有る場合には保存先アドレスと、制御情報の変換結果と送信抑制時間とを通知し、出力信号の生成を指示する(ステップS10)。上述の例では、制御情報の変換結果「H/t,L/t,H/t,L/2t,H/t」及び送信抑制時間「2t」が信号生成部104に通知される。データがない場合には保存先アドレスは通知されない。
【0025】
信号生成部104は、データが有ると通知された場合には、記憶部103において通知された保存先アドレスからデータを読み出す(ステップS11〜S12)。その後、信号生成部104は、通知された制御情報の変換の変換結果や送信抑制時間とを用い、データが有ると通知された場合には記憶部103から読み出したデータを更に用いて、第2の通信方式に従った出力信号を生成する信号生成処理を行う(ステップS13)。ここで信号生成処理の詳細について図6を用いて説明する。信号生成部104は、出力信号の生成の指示の際に、まず、保存先アドレスが通知されたか否かを判断する(ステップS31)。保存先アドレスが通知された場合(ステップS31:YES)、信号生成部104は、記憶部103において当該保存先アドレスに記憶されたデータを読み出す(ステップS32)。続いて、信号生成部104は、制御情報の変換結果の最初の要素に注目する(ステップS33)。制御情報の変換結果が上述の「H/t,L/t,H/t,L/2t,H/t」である場合、「H/t」が最初の要素である。
【0026】
はじめに、信号生成部104は、注目している要素(注目要素という)において電波の送信が必要か否かを判断する(ステップS34)。具体的には例えば、信号生成部104は、注目要素における内部表現が「H」であれば、電波の送信が必要であると判断し、注目要素における内部表現が「L」であれば、電波の送信が不要であると判断する。電波の送信が不要であると判断した場合(ステップS34:NO)、信号生成部104は、当該内部表現に対応する継続時間だけ電波の送信を待機させる指示を示す待機情報を生成する(ステップS40)。即ち、信号生成部104は、電波の送信の停止を継続する継続時間(電波停止時間という)を待機時間として示す待機情報を生成する。電波の送信が必要であると判断した場合(ステップS34:YES)は、信号生成部104は、注目要素における内部表現に対応する継続時間、即ち、電波の送信を継続する継続時間(電波送信時間という)と、ステップS31でデータがあると判断した場合にステップS32で読み出したデータの送信に必要な時間(データ送信時間という)とを比較する(ステップS35)。電波送信時間は、最初の要素では「t」である。データ送信時間は、制御部102がデータを記憶部103に記憶させる際に計算してデータと共に記憶部103に予め記憶させておいても良いし、信号生成部104が当該データのデータ量等に基づいて計算しても良い。いずれにせよ、データ送信時間として、第2の通信方式に従ってデータを送信する場合に要する時間を用いる。
【0027】
注目要素における内部表現に対応する電波送信時間よりデータ送信時間の方が短い場合(ステップS35:YES)、信号生成部104は、ステップS32で読み出したデータを用いて、当該データのデータ量に応じた信号長のフレームを生成する。このとき、電波送信時間に対してデータ送信時間が不足している時間を補うためパディングデータを信号生成部104は生成し(ステップS36)、ステップS32で読み出したデータとパディングデータとを1つのフレームに結合して(ステップS37)、ステップS39に進む。一方、保存先アドレスが通知されておらず、送信すべきデータがないと判断した場合(ステップS31:NO)又は注目要素における内部表現に対応する電波送信時間よりデータ送信時間の方が長い場合(ステップS35:NO)、信号生成部104は、送信時間に適した長さのダミーデータをフレームとして生成して(ステップS38)、ステップS39に進む。このダミーデータは第2の通信方式に従ったものとして適切なフォーマットを持つとする(例えばMAC層ヘッダなどを含む)。
【0028】
ステップS39では、信号生成部104は、ステップS36又はステップS37で生成したフレームに、制御部102から通知された送信抑制時間を設定する。このようにして、1回のステップS34〜S40までの処理で、制御情報の変換結果における1つの注目要素に対する処理が完了する。続いて、信号生成部104は、制御情報の変換結果において、当該処理が完了していない要素を注目して(ステップS41)、当該要素がある場合(ステップS42:YES)は、当該要素を注目要素としてステップS34に戻る。一方、当該処理が完了していない要素が無い場合(ステップS42:NO)、制御情報の変換結果における全ての要素に対して処理が完了したことになり、信号生成部104は、各要素に対して生成したフレーム及び待機情報を記憶部103に記憶させる(ステップS43)。そして、信号生成部104は、信号送信部105に対して、フレーム及び待機情報(以降、これを出力信号と呼ぶ)を記憶部103において記憶させた格納場所を表す保存先アドレスを通知し、当該出力信号の送信を指示する(ステップS44)。以上が信号生成処理の詳細である。
【0029】
尚、ステップS40で生成する待機情報は、実装の形態によっては不要である。例えば、制御情報の変換結果における要素について、電波の送信を要する場合、即ち、フレームを生成した場合に、各々のフレームに対して送信タイミングを設定できる場合には、信号生成部104は、電波の送信が不要な要素の次に電波の送信が必要になる要素において電波の送信が不要な部分の長さを考慮した適切な送信タイミングを設定すれば良い。
【0030】
ここで設定される送信抑制時間の例について説明する。まず、第1の通信方式における変調方式としてASKを用いる場合について説明する。図7は、ASKを用いて8ビットの信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図である。電波が送信される各部分は第2の通信方式に従ったフレームで構成している。この図では、最も長い間電波の送信の停止を継続する電波停止時間は、電波を送信しない要素2つ分の時間となるため、第2の通信方式に従った各フレームは2要素分の電波停止時間の間送信を抑制するように送信抑制時間が設定されている。尚、上述の手順に従うと、図7に示すように、第2の通信方式に従って最後に送信されるフレームにおいても送信抑制時間が設定される。当該フレームの送信後は、送信を抑制する必要がないため、当該フレームに送信抑制時間を設定した場合、第2の通信方式で通信する通信相手以外の通信機器に対して通信を必要以上に抑制してしまう恐れがある。よって、信号生成部104は、第2の通信方式に従って最後に送信されるフレームには送信抑制時間を設定しないようにしても良い。
【0031】
次に、第1の通信方式における変調方式として4値PPMを用いる場合について説明する。図8〜10は、4値PPMを用いて信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図である。図8のようにパルスの位置を設定するとした場合、図7で用いた8ビットの信号を送信する際には、図9に示すように送信抑制時間が設定される。図9のように5×tc_onと設定するが、送信抑制時間決定部102−2の処理を簡略化する目的で、符号の全組合せの中で最も長くなる場合を返すようにして6×tc_onを設定しても良い。
【0032】
尚、図8〜10の例から判るように、第1の通信方式で用いる符号の性質に基づいて固定的な送信抑制時間を設定するようにしても良い。このような形で実装する場合には、送信抑制時間決定部102−2が第1の通信方式で用いる変調方式に沿った固定的な値を返すようにすれば良い。この値は、n値PPMにてチップ長をTc、送信抑制時間をTとして、T= Tc×(n−1)×2で導出可能である。
【0033】
次に、第1の通信方式における変調方式として4値PWMを用いる場合について説明する。図11〜13は、4値PWMを用いて信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図である。図11のようにパルスの幅を設定するとした場合、図7で用いた8ビットの信号を送信する際には図12に示すように送信抑制時間が設定される。
【0034】
次に、第1の通信方式における変調方式として4値PIMを用いる場合について説明する。図13〜15は、4値PIMを用いて信号を第1の通信方式で送信する場合の例を示す図である。図14のようにパルスの間隔を設定するとした場合、図7で用いた8ビットの信号を送信する際には図14に示すように送信抑制時間が設定される。なお、個々の要素に合わせて送信抑制時間を設定してもよい(図15参照)。また、PIMを使用する際に最後に送信するパルスには送信抑制時間は設定しなくてもよい。
【0035】
図4の説明に戻る。ステップS14は、図6のステップS43と同様であり、ステップS15は、図6のステップS44と同様である。信号送信部105は、出力信号の保存先アドレスの通知及び出力信号の送信指示を受け付けると、当該出力信号を記憶部103から順次読み出し(ステップS16)、出力信号を電波として送信するための処理を施したのち、第1の通信方式に従ってステップS5で変換されたパルスにおいて電波を送信するタイミングで、アンテナ106を介して当該出力信号に応じた電波を通信相手に対して送信する(ステップS17)。この結果、第1の通信方式に従ったパルスにおいて電波を送信するタイミングで、図6のステップS36又はステップS37で生成され且つステップS39で送信抑制時間が設定された送信抑制信号を含む各フレームに応じた電波が送信される。以上が、通信装置100が行う通信処理の手順である。
【0036】
尚、上述の例では、信号生成部104は、制御情報の変換結果における全ての要素を用いて出力信号全体を生成して記憶部103に記憶させた後、信号送信部105に当該出力信号の送信を指示するようにした。しかし、制御情報の変換結果における1つの要素を処理してフレームを生成したら、直ちに当該フレームの送信を信号送信部105に指示するようにしても良い。その際、送信対象のフレームは記憶部103を介さず、信号生成部104から信号送信部105に直接渡すようにしても良い。
【0037】
以上のように、パルス状に電波を送信する第1の通信方式に従って電波を送信しない要素での電波の送信の停止を継続する時間に基づいて、第2の通信方式で通信する通信相手以外の通信機器に対して通信を抑制する送信抑制時間を設定して第2の通信方式に従った出力信号を生成し、これを通信相手に対して送信することで、メモリを大量に消費することなく且つ構成を複雑にすることなく、第1の通信方式で送信する電波をより確実に伝達できるようになる。通信相手以外の通信を抑制する第2の通信方式とを用いて通信を行う通信装置において、また、電波を送信しない要素のうち、最も長い間電波の送信の停止を継続する時間を送信抑制時間として設定することで、第2の通信方式で通信する通信相手以外の通信機器に対する通信をより確実に抑制することができる。
【0038】
このような構成によれば、例えば無線LAN(Local Area Network)インフラを使った遠隔起動を超低消費電力で実現する通信システムにおいて、出力信号として起動信号が通信相手以外の他の無線LAN装置に妨害されにくくなるように送信抑制時間を設定して、安定した遠隔起動を実現することが可能になる。更に、起動信号に要求されるフレーム長を無線LANの信号にて生成することができる。
【0039】
[第2の実施の形態]
次に、通信装置及びプログラムの第2の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
【0040】
本実施の形態は、通信装置100は、キャリアセンスを行って、出力信号を送信するチャネル(周波数帯)を選択的に決定する。図16は、本実施の形態の通信装置100の機能的構成を例示する図である。通信装置100は、入力受付部101と、制御部102と、記憶部103と、信号生成部104と、信号送信部105とに加え、キャリアセンス部107を更に有する。制御部102は、制御情報変換部102−1及び送信抑制時間決定部102−2に加え、送信チャネル決定部102−3を更に有する。
【0041】
キャリアセンス部107は、アンテナ106で受信した電波に基づいてキャリアセンスを行う。尚、通信装置100は、キャリアセンス部107自体を有するのではなく、信号を受信する受信部を有し、当該受信部がキャリアセンスを行うようにしても良い。キャリアセンスすべきチャネルは制御部102が指定する。送信チャネル決定部102−3は、キャリアセンス部107が行ったキャリアセンスの結果に基づいて、出力信号を送信するためのチャネルを決定する。信号送信部105は、第1の通信方式に従って制御情報変換部102−1が変換したパルスにおいて電波を送信するタイミング及び送信チャネル決定部102−3が決定したチャネルで、信号生成部104が生成した出力信号に応じた電波をアンテナ106を介して通信相手に対して送信する。
【0042】
次に、本実施形態に係るキャリアセンスの結果に基づいて出力信号を送信するチャネルを決定するチャネル決定処理について図17を用いて説明する。通信装置100は、入力受付部101の機能により入力信号を受け付けていない間や信号送信部105の機能により出力信号を送信していない間に、キャリアセンス部107の機能により、定常状態での電波の有無を監視する。制御部102は、キャリアセンス部107に対して、信号送信部105が電波を送信可能なチャネルのうち1つを一定時間受信することを指示する(ステップS61)。キャリアセンス部107は、当該指示を受け付けると、電波を受信するための自身のチャネルを変更し(ステップS62)、監視を開始する(ステップS63)。キャリアセンス部107は、監視中は、アンテナ106が電波を受信すると(ステップS64)、当該電波を解析し、通信機器からの電波を受信していることを例えば記憶部に記録する。特に、ここではキャリアセンス部107は、チャネルごとの混雑具合を確認するため、電波を受信していた時間など(データ量でも良い)をカウントする。このようにしてキャリアセンス部107はキャリアセンスを行う。キャリアセンス部107は、一定時間経過したら監視を終了し(ステップS65)、キャリアセンスの結果を記憶部103に記憶させる(ステップS66)と共に、キャリアセンスの終了を制御部102に通知する(ステップS67)。
【0043】
制御部102は、キャリアセンスの終了が通知されると、引き続き他のチャネルでの監視を行うため、信号送信部105が使用可能なチャネルのうち他のチャネルを一定時間受信することを指示する(ステップS68)。その後、キャリアセンス部107は、ステップS62〜S66と同様の処理を行い、ステップS67と同様にしてキャリアセンスの結果を制御部102に通知する(ステップS69)。通信装置100は、このような処理を、信号送信部105が使用可能な全てのチャネルに対して行う。
【0044】
制御部102は、信号送信部105が使用可能な全てのチャネルに対してキャリアセンスの終了が通知されると、キャリアセンスの結果に基づいて出力信号を送信するためのチャネルを決定することを送信チャネル決定部102−3に指示する(ステップS70)。送信チャネル決定部102−3は、記憶部103に記憶されたキャリアセンスの結果を読み出し(ステップS71)、出力信号を送信するためのチャネルを決定する(ステップS72)。送信チャネル決定部102−3は、決定したチャネルを示すチャネル情報を記憶部103に記憶させる(ステップS73)。尚、記憶部103に記憶されたチャネル情報によって示されるチャネルは、図4のステップS10で制御部102から信号生成部104に対して出力信号の生成を指示する際に、通知される。そして、図4のステップS17で、信号送信部105は、第1の通信方式に従ってステップS5で変換されたパルスにおいて電波を送信するタイミング及びステップS72で決定されたチャネルで、出力信号に応じた電波をアンテナ106を介して通信相手に対して送信する。
【0045】
ここで、送信チャネル決定部102−3が、出力信号を送信するためのチャネルを決定する方法について説明する。この方法は2通りある。最も混雑しているチャネルを選択する方法と、最も空いているチャネルを選択する方法とである。前者の方法の場合、最も混雑しているチャネルを使用する通信機器からの送信が、送信抑制時間を設定することで抑制される。一方後者の方法の場合、送信頻度が元々低い通信機器からの散発的な送信を、送信抑制時間の設定により更に抑制することができる。
【0046】
送信チャネル決定部102−3は、どちらかの方法を固定的に使用しても良いし、動的に切り替えても良い。固定的に使用する場合には、前者の方法又は後者の方法の選択は特に限定されない。動的に切り替える場合には、例えば、検出したチャネルの空きが事前に設定した閾値よりも大きい場合(より空いている場合)には後者の方法を使用し、閾値よりも小さい場合(より混んでいる場合)は前者の方法を使用することが考えられる。
【0047】
このように本実施形態では、キャリアセンスの結果に基づいて出力信号を送信するチャネルを決定する。そのため、より安定した出力信号の送信を実現することができる。
【0048】
[第3の実施の形態]
次に、通信装置及びプログラムの第3の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態又は第2の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
【0049】
第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、出力信号の伝送レートは明示的には変更していなかった。その場合、第2の通信方式での伝送レートと一致することが求められるため、第1の通信方式に従った要素において電波の送信を継続するのに必要な電波送信時間が実現できない可能性がある。本実施の形態では、通信装置100は、第1の通信方式で要求される電波送信時間に合うように、伝送レートを明示的に変化させる。
【0050】
図18は、本実施の形態の通信装置100の機能的構成を例示する図である。通信装置100が有する各部は第1の実施の形態と略同様であるが、以下の点が第1の実施の形態と異なる。通信装置100の制御部102は、制御情報変換部102−1及び送信抑制時間決定部102−2に加え、送信パラメータ決定部102−4を更に有する。
【0051】
入力受付部101は、パソコン200から送信された制御情報やデータの送信指示の入力を受け付けることに加え、パソコン200から送信されたパラメータ情報の入力を受け付ける。パラメータ情報は、制御情報において表される各値(「1」及び「0」)に対応して電波の送信を継続する電波送信時間と電波の送信の停止を継続する電波停止時間とそのタイミングの組み合わせを表す。
【0052】
図19は、第1の通信方式における変調方式として2値ASKを用いる場合のパラメータ情報を説明するための図である。同図において、シンボルSY0,SY1はそれぞれ、制御情報において表される値「0」と「1」とに対応し、パルスの形状が特徴付けられて規定されている。即ち、シンボルSY0,SY1により、1ビットの情報を表現するための電波の送信及び電波の送信の停止の順序と、電波送信時間(t0on,t1on)及び電波停止時間(t0off,t1 off)とが表される。但し、電波送信時間及び電波停止時間を合わせた時間(t0,t1 )についてはシンボルSY0,SY1により表されなくても良い。
【0053】
送信パラメータ決定部102−4は、入力受付部101が入力を受け付けたパラメータ情報を用いて、送信パラメータを決定する。送信パラメータとは、出力信号に応じた電波の送信に係るパラメータであり、例えば、制御情報から変換されたパルスを形成する電波を第2の通信方式における信号に応じた電波の送信において実現するために必要な伝送レート及び伝送ビット数である。
【0054】
信号生成部104は、制御情報変換部102−1による制御情報の変換結果と送信抑制時間決定部102−2が決定した送信抑制時間と送信パラメータ決定部102−4が決定した送信パラメータとに基づいて、出力信号を生成する。信号送信部105は、送信指示を受けると、出力信号及び送信パラメータを記憶部103から読出し、第1の通信方式に従って制御情報変換部102−1が変換したパルスにおいて電波を送信するタイミングで、送信パラメータ決定部102−4が決定した送信パラメータに従って、信号生成部104が生成した出力信号に応じた電波をアンテナ106を介して通信相手に対して送信する。
【0055】
次に、本実施の形態に係る通信装置100が行う通信処理の手順について図20を用いて説明する。尚、図20において、第1の実施の形態に準ずる部分は適宜省略している。通信装置100の入力受付部101は、パソコン200からのパラメータ情報の入力を受け付けると(ステップS91)、当該パラメータ情報を制御部102に渡す(ステップS92)。制御部102は、当該パラメータ情報を受け取ると、送信パラメータ決定部102−4に対して当該パラメータ情報を渡し、送信パラメータの決定を指示する(ステップS93)。送信パラメータ決定部102−4は、パラメータ情報を用いて、送信パラメータを決定する送信パラメータ決定処理を行って(ステップS94)、決定した送信パラメータを記憶部103に記憶させて(ステップS95)、送信パラメータ決定処理の完了を制御部102に通知する(ステップS96)。但し、ステップS96は省略しても良い。ここで、送信パラメータ決定処理の詳細について説明する。
【0056】
尚、通信装置100は、初めに、可能な出力信号の組み合わせ解析する。これにより信号生成部104が生成する1つのシンボル及び連続する2つのシンボルに対して、電波を連続で出力する時間を確定する。これらの情報に基づいて、送信パラメータ決定部102−4は、送信パラメータを決定する。送信パラメータとして決定するものは、上述したように、電波送信時間や電波送信時間を実現するために必要な伝送レート及び伝送ビット数である。この他、送信パラメータ決定部102−4は、使用する通信方式と変調方式も決定するようにしても良い。これらの送信パラメータの生成には、第2の通信方式におけるフレーム長を算出する計算式を用いる。仮に、第2の通信方式としてIEEE802.11無線LAN規格を用いる場合には、そのフレーム長を算出する計算式を用いる。その際、IEEE802.11無線LAN規格のどれを使用するかは、信号送信部105の実装に依存する。
【0057】
また、送信パラメータは第2の通信方式に依存する選択的な項目も含む。例えば、IEEE802.11規格であれば、ショートプリアンブル・ロングプリアンブルの別などが含まれる。伝送レートは各規格で規定されている伝送レートから選択し、変調方式は使用する通信規格と伝送レートに合わせたものを使用する。
【0058】
更に、シンボル単体を表現するための電波送信時間に対応した送信パラメータだけではなく、連続する2つのシンボルにまたがって電波の送信を継続する必要があるシンボルの組み合わせについても送信パラメータ決定部102−4は送信パラメータを決定する。図19の例では、「01」が対象となる。これは単一シンボルよりも長い電波送信時間を実現するために必要な伝送レート及び伝送ビット数が異なる場合があるからである。
【0059】
このような伝送レート及び伝送ビット数を算出する方法は次の通りである。第2の通信方式の規格xにおけるフレーム送信時間Tを求める関数をfとすると、fは伝送ビット数Lの関数となる(T=f(L))。なお、規格xとは通信方式で規定され、最終的にフレームを伝送するパラメータの組を指す。例えば、IEEE802.11bで「ショートプリアンブルを用いて5.5Mbpsの伝送レートを使用する」という組である。
【0060】
また、関数fの逆関数をf−1(T)とする。この関数f−1(T)は伝送ビット数Lから伝送時間Lを求める関数である。ここで、逆関数の計算結果が整数にならない場合には、その通信方式は使用できないものとして扱う。また、Tの値によっては、複数の通信方式で整数Lが得られる。その場合、適切な1つを選択すれば良い。選択基準としては、例えば最も早く見つけた関数f−1(T)を選択する、送信に要するエネルギーが最も少ないものを選択する、ビット長が8の倍数になるものを選択することが考えられる。なお、逆関数f−1(T)は、信号送信部105の実装に合わせて事前に求めておき、例えば記憶部に記憶されているものとする。また、算出結果である伝送ビット数はビット単位で記述しているが、使用するハードウェアに制限がある場合にはバイト単位でも良い。
【0061】
図21は、送信パラメータを例示する図である。同図に示されるように、送信パラメータは、電波送信時間に合わせて伝送レートと伝送ビット数と通信規格との組み合わせを示している。一般に通信方式の規格xを決めると例えば変調方式は決定できるため、通信規格及び変調方式は送信パラメータとして決定されなくても良い。他の通信方式を使用し、これらが自動的に決められない場合には、通信規格や変調方式も送信パラメータとして決定されても良い。
【0062】
本実施形態では事前に可能な出力信号の組み合わせを調べているため、信号ごとに送信抑制時間を設定することも可能である。例えば、図21では、送信パラメータによってシンボル及び送信抑制時間の対応関係が示されていないが、各エントリに送信抑制時間を加えても問題無い。さらに、変調方式としてPIMを用いる場合のように、シンボルに依存する形で送信抑制時間を設定できる場合には、図21に示される送信パラメータと、シンボル及び送信抑制時間とを対応付けた形で記憶部に記憶されても良い。
【0063】
尚、送信パラメータ決定部102−4は、入力受付部101が入力を受け付けたパラメータ情報が変更されない限り、送信パラメータ決定処理を最初の1回だけ実施すれば良い。また、通信装置100自体が送信パラメータを決定するのではなく、外部の情報処理装置が決定した送信パラメータ自体が入力受付部101に入力されるようにしても良い。その場合、送信パラメータ決定部102−4は、入力受付部101が入力を受け付けた送信パラメータが信号送信部105にて送信可能な組み合わせであるか否かを確認し、適切な送信パラメータであればこれを記憶部103に記憶させれば良い。
【0064】
図20の説明に戻る。ステップS97では、入力受付部101は、図4のステップS1と同様にして、パソコン200から入力信号の送信指示の入力を受け付ける。その後、図4のステップS2〜S9が行われるが、この詳細は上述したので、その図示と共に省略する。
【0065】
そして、ステップS9の後、制御部102は、信号生成部104に対して、データの有無と、データが有る場合には保存先アドレスと、制御情報の変換結果と送信抑制時間とに加え、送信パラメータの保存先アドレスを通知し、出力信号の生成を指示する(ステップS98)。信号生成部104は、記憶部103において通知された送信パラメータの保存先アドレスから送信パラメータを読み出し、データが有ると通知された場合には、図4のステップS11〜S12と同様にして、記憶部103において通知されたデータの保存先アドレスからデータを読み出す(ステップS99〜S100)。その後、信号生成部104は、通知された制御情報の変換の変換結果や送信抑制時間とを用い、データが有ると通知された場合には記憶部103から読み出したデータを更に用いて、記憶部103から読み出した送信パラメータに含まれる伝送レートや伝送ビットに基づいて第2の通信方式に従った信号を生成する信号生成処理を行う(ステップS101)。そして、信号生成部104は、生成した出力信号を記憶部103に記憶させる(ステップS102)。信号生成部104は、信号送信部105に対して、出力信号の保存先アドレス及び送信パラメータの保存先アドレスを通知し、当該出力信号の送信を指示する(ステップS103)。
【0066】
信号送信部105は、出力信号の保存先アドレスと送信パラメータの保存先アドレスとの通知及び出力信号の送信指示を受け付けると、当該送信パラメータを記憶部103から読み出し、当該出力信号を記憶部103から順次読み出し(ステップS104〜S105)、出力信号を電波として送信するための処理を施したのち、第1の通信方式に従って図4のステップS5で変換されたパルスにおいて電波を送信するタイミングで、当該出力信号における各フレームに対して送信パラメータによって示される伝送レート及び伝送ビット数で電波が送信されるように、アンテナ106を介して当該出力信号に応じた電波を通信相手に対して送信する(ステップS106)。
【0067】
以上のように、通信装置100が、様々に決定され得る送信パラメータに応じて第2の通信方式に従った出力信号を生成して送信することにより、第1の通信方式における電波送信時間の自由度を高めることができる。
【0068】
このような構成によれば、無線通信で電波により情報の伝送レートを変化させて、当該情報に加えて状態遷移信号を送信する従来技術において、状態遷移信号として指定された長さに合致させるために伝送レートを変化させたり、状態遷移信号の電波を出さない部分に限定して送信抑制時間を設定したりすることが可能になる。
【0069】
[第4の実施の形態]
次に、通信装置及びプログラムの第4の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態乃至第3の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
【0070】
第3の実施の形態では、通信装置100は、第1の通信方式に従った要素において電波の送信を継続するのに必要な電波送信時間を実現するために、第2の通信方式に従った出力信号において電波を送信する部分に対応する各フレームに対する送信パラメータを制御していた。本実施の形態では、通信装置100は、第2の通信方式に従った出力信号における各フレームの途中でも送信パラメータを変更して、第1の通信方式における電波送信時間の自由度を更に高める。第4の実施の形態に係る通信装置100の機能的構成は、第3の実施の形態に係る通信装置100の機能的構成は略同様であるが、以下の点で第3の実施の形態と異なる。送信パラメータ決定部102−4が、入力受付部101が入力を受け付けたパラメータ情報を用いて、送信パラメータとして伝送レート及び伝送ビット数を決定するが、フレームの途中の時点の前後で伝送レート及び伝送ビット数を適宜切り替える。尚、フレームの途中の時点の前後で伝送レート及び伝送ビット数を切り替える場合であっても、信号生成部104が設定する送信抑制時間は、第1の実施の形態の1つのフレームに対して1つで良い。
【0071】
図22は、本実施の形態に係る送信パラメータ決定部102−4が決定した送信パラメータを例示する図である。これは、第3の実施の形態の説明に用いた図21に対応し、同様に図21に示したパラメータ情報が入力されたと仮定した場合の例である。この図では、フレームの途中の1つの時点でのみ伝送レートが変更できる場合を示している。伝送レートを変更する時点の数は本実施形態の本質的な部分では無い。よって、この図のように1つに制限するものでは無い。ただし、実際には実装するハードウェアの構成や事前の算出時間などを鑑みて決定する必要がある。
【0072】
1701は値「0」に対応したシンボルを構成するための送信パラメータを示す。送信パラメータを変更する時点である「切り替え点」の列は、電波を出し始めてから所定の時間(1701の例ではT0(μs))が経過した時に、系列1(各名前の後ろに「1」を伴うもの)の伝送レート、伝送ビット数及び通信方式から系列2(各名前の後ろに「2」を伴うもの)の伝送レート、伝送ビット数及び通信方式に切り替える点を示す。1702は値「1」に対応したシンボルを構成するための送信パラメータを示す。この場合はフレームの途中で伝送レート及び伝送ビット数を変更することなく、所定の電波送信時間(t1on)を実現させる。1703は連続する値「01」に対応するシンボルを構成するための送信パラメータを示す。この例のようにシンボルをまたがる場合には、シンボルの境界に依存することなく任意の時点で送信パラメータを変更しても良い。
【0073】
図23〜26は、図22に例示される送信パラメータに従って信号送信部105が送信する出力信号に応じた電波の様子を例示する図である。図23は、値「0」に対応するシンボルを示し、図24は、値「1」に対応するシンボルを示し、図25は、連続する値「01」に対応するシンボルを示す。各図において、線の太さにて送信パラメータが変更されていることが示されている。
【0074】
図23では、1701に例示される送信パラメータに従い、電波の送信を継続する時間t0onのうち初めの時間Tにおいて伝送レートS01で伝送ビット数L01ビットを送信し、後半の時間「t0on−T」において伝送レートS02で伝送ビット数L02ビットを送信していることが示されている。図24では、1702に例示される送信パラメータに従い、電波の送信を継続する全区間において伝送レートS11で伝送ビット数L11ビットを送信していることが示されている。図25では、1703に例示される送信パラメータに従い、連続する値「01」で電波の送信を継続する時間「t0on+t1on」のうち初めの時間Tにおいて伝送レートS21で伝送ビット数L21ビットを送信し、後半の時間「(t0on+t1on)−T」において伝送レートS22で伝送ビット数L22ビットを送信していることが示されている。
【0075】
図22にはシンボル及び送信抑制時間の対応が含まれていないが、図22に例示される送信パラメータとして送信抑制時間を加えても問題無い。その際、送信抑制時間は切り替え点の前後で同じ値でも良いし、変更しても良い。即ち、先に送信する部分については送信抑制時間を他の電波が送信している時間だけ延長しておいても良い。
【0076】
以上のように、本実施の形態においては、第2の通信方式で送信する出力信号におけるフレームの途中で送信パラメータを変更することによって、第1の通信方式における電波送信時間により厳密に適合させることが可能となる。
【0077】
[第5の実施の形態]
次に、通信装置及びプログラムの第5の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態乃至第4の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
【0078】
第3の実施の形態又は第4の実施の形態においては、通信装置100は、1つの信号送信部105を有するものとした。本実施の形態においては、第4の実施の形態で説明した送信パラメータの切り替えに応じて出力信号の送信を担う信号送信部を切り替えるべく、通信装置100は、図26に示されるように、複数の信号送信部105A,105Bを有する。信号送信部105A,105Bの機能はそれぞれ信号送信部105と同様である。
【0079】
送信パラメータの切り替えを1つの信号送信部105で実現するとなると、高性能なハードウェアが必要になり、コストが高くなる可能性がある。そのため、本実施の形態では汎用的な信号送信部を2つ搭載して、送信パラメータを切り替える際に2つの信号送信部105A,105Bも切り替えて使用するようにしたものである。また、このように構成することで2つの通信方式を異なる方式の組み合わせで実現することもできる(例えば、IEEE802.11bとIEEE802.15.4など)。尚、図26のようにアンテナ106を2つの信号送信部105A,105Bで共用しても良いし、同図の例に限らず、各信号送信部105A,105Bにそれぞれ対応するアンテナを通信装置100が有するようにしても良い。また、通信装置100が有する信号送信部105は、3つ以上であっても良い。
【0080】
信号生成部104は、出力信号を生成する際に、フレームの途中で送信パラメータを切り替える場合、切り替え点によって分割される前半部分及び後半部分のそれぞれに送信抑制時間を設定する。
【0081】
次に、本実施の形態に係る通信装置100が行う通信処理の手順について図27を用いて説明する。本実施の形態に係る通信処理の手順は、図20を用いて説明した第3の実施の形態に係る通信処理と略同様であり、図27では、ステップS91〜S97及びこれに後続する図4のステップS2〜S9の図示を省略している。図27に示されているステップS98〜S102は第3の実施の形態と同様である。ステップS103では、信号生成部104は、信号送信部105A,105Bのそれぞれに対して、送信パラメータの切り替えに応じた出力信号の保存先アドレス及び送信パラメータの保存先アドレスを通知し、当該出力信号の送信を指示する。
【0082】
例えば、通信装置100が、図23に例示されるように値「0」に対応する波形の電波を送信する場合(図28の上段参照)、信号生成部104は、信号送信部105Aに対して、図28(A)に例示されるように、待機時間t0off及び電波送信時間Tが指定された出力信号の保存先アドレスと、図22の行1701の上段(切り替え点の前半)に例示される伝送レート1及び伝送ビット数1を示す送信パラメータの保存先アドレスを通知し、当該出力信号の送信を指示する。即ち、待機時間t0offが経過してから、伝送レート1及び伝送ビット数1で電波送信時間Tの間だけ電波を出す形態の出力信号の送信が指示される。また、信号生成部104は、信号送信部105Bに対して、図28(B)に例示されるように、待機時間「t0off+T」及び電波送信時間「t0on−T」が指定された出力信号の保存先アドレスと、図22の行1701の下段(切り替え点の後半)に例示される伝送レート2及び伝送ビット数2を示す送信パラメータの保存先アドレスを通知し、当該出力信号の送信を指示する。即ち、待機時間「t0off+T」が経過してから、伝送レート2及び伝送ビット数2で電波送信時間「t0on−T」の間だけ電波を出す形態の出力信号の送信が指示される。
【0083】
図27の説明に戻る。信号送信部105Aは、信号生成部104からの出力信号の保存先アドレスと送信パラメータの保存先アドレスとの通知及び出力信号の送信指示を受け付けると、ステップS104A〜S105Aでは、当該送信パラメータを記憶部103から読み出し、当該出力信号を記憶部103から順次読み出す。そして、ステップS106Aでは、信号送信部105Aは、出力信号を電波として送信するための処理を施したのち、第1の通信方式に従って図4のステップS5で変換されたパルスにおいて電波を送信するタイミングで、当該出力信号における各フレームに対して送信パラメータによって示される伝送レート及び伝送ビット数で電波が送信されるように、アンテナ106を介して当該出力信号に応じた電波を通信相手に対して送信する。ステップS104B〜S106Bで信号送信部105Bが行う処理は、ステップS104A〜S106Aと同様であるため、その説明を省略する。
【0084】
尚、図28に例示される出力信号の送信指示は、2つの信号送信部105A,105Bで出力信号における各フレームの送信を開始する時点を共有できていることが条件となる。これが難しい場合には、待機時間を指定せずに送信すべきタイミングに合わせて信号生成部104から電波送信時間だけを指定する方法も可能である。具体的には、図22の行1701に例示される送信パラメータの例では、図29に例示されるように、切り替え点の前半では、信号生成部104は、ステップS103Aで、信号送信部105Aに対して出力信号の送信を指示した後、時間Tの間待機してから、切り替え点の後半で、ステップS103Bで、信号送信部105Bに対して出力信号の送信を指示しても良い。この結果、ステップS106Aで、フレームにおいて送信パラメータの切り替え点の前半の部分に応じた電波が信号送信部105Aから送信され、時間Tが経過した後、ステップS106Bで、フレームにおいて送信パラメータの切り替え点の後半の部分に応じた電波が信号送信部105Bから送信されることになる。また、信号送信部105A,105Bとの間でタイミングが合わずに電波が出ていない区間が発生することを抑えるため、後半の電波の送信タイミングを意図的に早めて2つの電波をオーバーラップさせても良い。その際、早めた分は電波送信時間が長くなるように信号生成部104が調整する。
【0085】
以上のように本実施の形態では、通信装置100が信号送信部を複数有することにより、送信パラメータの自由度を高めることができる。
【0086】
以上説明したとおり、第1の実施の形態乃至第5の実施の形態によれば、メモリを大量に消費することなく且つ構成を複雑にすることなく、第1の通信方式で送信する電波をより確実に伝達でき、第2の通信方式で通信する通信相手以外の通信機器に対する通信を確実に抑制することができる。
【0087】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその組み合わせやその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0088】
上述した各実施の形態において、通信装置100で実行される各種プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また当該各種プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供するように構成しても良い。
【0089】
上述した第3の実施の形態乃至第5の実施の形態において、通信装置100の制御部102は、送信抑制時間決定部102−2を有するようにしたが、これを有さないようにしても良い。即ち、通信装置100は、送信抑制時間を決定する機能を有さなくても良い。
【符号の説明】
【0090】
100 通信装置
101 入力受付部
102 制御部
102−1 制御情報変換部
102−2 送信抑制時間決定部
102−3 送信チャネル決定部
102−4 送信パラメータ決定部
103 記憶部
104 信号生成部
105,105A,105B 信号送信部
106 アンテナ
107 キャリアセンス部
200 パソコン
201,211〜213 通信機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス状の電波を送信する第1の通信方式と、送信抑制信号を送信することで通信相手以外の通信を抑制する第2の通信方式とを用いて通信を行う通信装置であって、
送信する情報を、前記第1の通信方式に従って、電波の送信の有無により形成されるパルスを形成するための情報に変換する変換部と、
前記変換部の変換の結果に基づいて、前記通信相手以外の通信を抑制する抑制時間を決定する第1決定部と、
前記第2の通信方式に従って、前記パルスにおいて電波を送信する第1の要素毎に前記抑制時間が設定された前記送信抑制信号を含む出力信号を生成する生成部と、
前記パルスにおいて電波を送信するタイミングで、前記出力信号に応じた電波を前記通信相手に対して送信する送信部とを備える
通信装置。
【請求項2】
前記第1決定部は、前記変換部の変換の結果、前記パルスにおいて電波を送信しない第2の要素に基づいて、最も長い間電波の送信の停止を継続する時間である前記抑制時間を決定する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第2の通信方式に従って電波を送信可能なチャネルにおいて、電波の有無を監視するキャリアセンス部と、
前記キャリアセンス部が行った監視結果に基づいて、前記送信部が前記出力信号に応じた電波を送信するチャネルを決定する第2決定部とを更に備え、
前記送信部は、前記タイミング及び決定された前記チャネルで、前記出力信号に応じた電波を前記通信相手に対して送信する
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1の要素での電波の送信を継続する時間を前記出力信号に応じた電波の送信において実現するためのパラメータを決定する第3決定部を更に備え、
前記生成部は、決定された前記パラメータに基づいて、前記出力信号を生成し、
前記送信部は、前記タイミングで、決定された前記パラメータに従って、前記出力信号に応じた電波を前記通信相手に対して送信する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第3決定部は、前記第1の要素毎に前記パラメータを決定し、
前記送信部は、前記タイミングで、前記第1の要素毎の前記パラメータに従って、前記出力信号に応じた電波を前記通信相手に対して送信する
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第3決定部は、前記第1の要素での電波の送信を継続する途中の時点の前半に対して、第1のパラメータを決定し、前記時点の後半に対して、第2のパラメータを決定し、
前記送信部は、前記時点の前半では、前記第1のパラメータに従って、前記出力信号に応じた電波を前記通信相手に対して送信し、前記時点の後半では、前記第2のパラメータに従って、前記出力信号に応じた電波を前記通信相手に対して送信する
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記送信部を複数備え、
前記生成部は、前記時点の前半に対応して、第1の送信部に対して、前記第1のパラメータに従った前記出力信号に応じた電波の送信を指示し、前記時点の後半に対応して、第2の送信部に対して、前記第2のパラメータに従った前記出力信号に応じた電波の送信を指示し、
前記第1の送信部は、前記生成部の指示に応じて、前記時点の前半で、前記第1のパラメータに従って、前記出力信号に応じた電波を送信し、
前記第2の送信部は、前記生成部の指示に応じて、前記時点の後半で、前記第2のパラメータに従って、前記出力信号に応じた電波を送信する
請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記情報が、前記第1の通信方式に従って電波を送信すべきものか又は前記第2の通信方式に従った電波を送信すべきものかを識別する識別部を更に備え、
前記情報が、前記第1の通信方式に従った電波を送信すべきものであると識別された場合、
前記第1決定部は、前記変換部の変換の結果に基づいて、前記抑制時間を決定し、
前記生成部は、前記第1の通信方式に従って、前記出力信号を生成する
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項9】
パルス状の電波を送信する第1の通信方式と、送信抑制信号を送信することで通信相手以外の通信を抑制する第2の通信方式とを用いて通信を行う通信装置で用いられるコンピュータを、
前記通信相手に対して送信する情報を、前記第1の通信方式に従って、電波の送信の有無により形成されるパルスに変換する変換手段と、
前記変換部の変換の結果に基づいて、前記通信相手以外の通信を抑制する抑制時間を決定する第1決定手段と、
前記第2の通信方式に従って、前記パルスにおいて電波を送信する第1の要素毎に前記抑制時間が設定された前記送信抑制信号を含む出力信号を生成する生成手段と、
前記パルスにおいて電波を送信するタイミングで、前記出力信号に応じた電波を前記通信相手に対して送信する送信手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−182595(P2012−182595A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43166(P2011−43166)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度第2次補正予算、総務省、「ネットワーク統合制御システム標準化推進事業」(環境負荷低減を実現するためのワイヤレスシステムに関する要件)のうち「家庭内ワイヤレスブロードバンドにおける家庭内情報収集・機器統合制御」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】