説明

通信装置,通信方法,プログラム,および記録媒体

【課題】 アプリケーションの実行プライオリティを考慮しつつ、ネットワークインタフェースの排他制御可能な通信制御を実現できるようにする。
【解決手段】 MFP1のSCS19eは、コピーアプリ20aや遠隔診断アプリ20eを含む各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースとその利用状況を管理すると共に、複数のネットワークインタフェース(ネットワークボート14,モデム15)に優先順位をつけて管理し、アプリケーションがネットワークインタフェースを利用してアプリケーションの機能を実行する際に、そのアプリケーションが利用するインタフェースより優先順位が低いネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在すると、その優先順位が低いネットワークインタフェースを使用しているアプリケーションの機能を中断させてから、優先順位が高いネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワーク層に複数のインタフェースを持つTCP/IPプロトコルを用いたネットワークにおける排他制御を行う通信装置、その通信装置における通信方法
、上記通信装置を制御するコンピュータ(CPU)に実行させるプログラム,およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジタル複写機(コピー機),スキャナ,プリンタ,ファクシミリ装置(FAX)装置,デジタル複合機等の画像処理装置を始め、ネットワーク家電,自動販売機,医療機器,電源装置,空調システム,ホームセキュリティ監視装置,ネットワークセキュリティ監視装置,ガス・水道・電気等の計量システム等に通信機能(通信手段)を持たせた通信装置(電子装置)をユーザ側の被管理装置とし、サービスセンタ(管理センタ)の管理装置が通信回線を介してこれらの被管理装置を遠隔管理する遠隔管理システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
一方、インタネットの常時接続が一般的になってきたため、このような遠隔管理システムとして通信回線(通信経路)にインタネットを利用したものが増えてきている。
【特許文献1】特開2003−271398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような遠隔管理システムは、ユーザ側が直接メリットを感じることが少なく、どちらかと言えば保守サービスを提供する側の経費削減の発想によるものと感じるユーザも少なくない。
このため、LAN(ローカルエリアネットワーク)経由でインタネットに接続し、遠隔管理システム用のデータを流すことによるLANのネットワーク負荷の増加を懸念し、インタネットを利用した遠隔管理システムの導入を断られるケースがある。
【0004】
このようなユーザのために、PSTN(モデム)/ISDN(DSU)/PHS(PHSカード)など、LANとは異なるネットワークと接続するインタフェースを用意し、遠隔管理システムに関するデータは、その別のインタフェース経由で送るような仕組みを提供しているケースもある。
ただし、LAN接続とは別のネットワークインタフェースを用意しても、ソフトウェアの構造としてはベースにインタネット接続のための仕組みを持っているため、開発効率を考慮すると、インタネット層より上位層は、極力LAN接続時と共通のモジュールを利用して実現することが望ましい。具体的には、装置にモデムを接続可能にし、インタネットのアクセスポイントとPSTN経由でモデムからダイヤルアップ接続を行い、ネットワークインタフェース層のプロトコルにPPP(Point to Point Protocol)を使用し、それより上位のプロトコルはTCP/IPをベースに通信を行う方法等がある。
【0005】
一方、近年、LANに接続可能な機器や装置は、WebサービスやWebブラウザ等のサーバ機能を有し、クライアント端末からネットワーク越しに設定値変更や設定値取得等が可能なアプリケーションを実装しているものも多くなっている。
ここで、インタフェース層より上位層をLAN接続と共通の仕組みで実現してしまうと、LAN接続とは別のネットワークインタフェースでTCP/IPの通信が可能な状態である場合、そのインタフェース越しにWebサービスやWebブラウザから機器や装置の設定変更や設定値取得等が可能になってしまうという問題が発生してしまう。
【0006】
この問題を回避するために、アプリケーション毎に排他関係を定義し、1つのアプリケーションが動作中は、もう1つのアプリケーションは動作しないで回避する方法もあるが、この方法だと、早く実行権を獲得したアプリケーションが優先されてしまうため、遠隔管理システム等、ユーザが意識しないアプリケーションが動作している最中に、ユーザが使用したいアプリケーションが使用できないという問題も発生してしまう。
【0007】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、通信装置(被管理装置等)が、アプリケーションの機能の実行プライオリティを考慮しつつ、ネットワークインタフェースの排他制御可能な通信制御を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の目的を達成するため、通信装置,その通信装置における通信方法、上記通信装置を制御するコンピュータに実行させるプログラム,およびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0009】
請求項1の発明による通信装置は、TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースとを有する通信装置であって、上記各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、上記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段と、上記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、上記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定手段と、該利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを上記アプリケーション状態記憶手段と上記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索手段と、該アプリケーション検索手段による検索の結果、上記利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、その全てのアプリケーションに対して機能実行の終了を要求するアプリケーション終了要求手段と、該アプリケーション終了要求手段により機能実行の終了が要求された全てのアプリケーションの機能実行が終了したことを確認してから、上記利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能を実行するアプリケーション機能実行手段とを設けたものである。
【0010】
請求項2の発明による通信装置は、請求項1の通信装置において、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更する優先順位変更手段を設けたものである。
請求項3の発明による通信装置は、請求項1の通信装置において、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を上記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更する優先順位変更手段を設けたものである。
【0011】
請求項4の発明による通信装置は、TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースとを有する通信装置であって、上記各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、上記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段と、上記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、上記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定手段と、該利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを上記アプリケーション状態記憶手段と上記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索手段と、該アプリケーション検索手段による検索の結果、上記利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、上記利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能の実行を禁止するアプリケーション機能実行禁止手段とを設けたものである。
【0012】
請求項5の発明による通信装置は、請求項4の通信装置において、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更する優先順位変更手段を設けたものである。
請求項6の発明による通信装置は、請求項4の通信装置において、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を上記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更する優先順位変更手段を設けたものである。
【0013】
請求項7の発明による通信装置における通信方法は、TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースとその各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、上記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段とを有する通信装置における通信方法であって、上記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、上記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定ステップと、該利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを上記アプリケーション状態記憶手段と上記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索ステップと、該アプリケーション検索ステップによる検索の結果、上記利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、その全てのアプリケーションに対して機能実行の終了を要求するアプリケーション終了要求ステップと、該アプリケーション終了要求ステップにより機能実行の終了が要求された全てのアプリケーションの機能実行が終了したことを確認してから、上記利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能を実行するアプリケーション機能実行ステップとを有するものである。
【0014】
請求項8の発明による通信装置における通信方法は、請求項7の通信装置における通信方法において、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更するものである。
請求項9の発明による通信装置における通信方法は、請求項7の通信装置における通信方法において、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を上記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更するものである。
【0015】
請求項10の発明による通信装置における通信方法は、TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースと、その各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、上記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段とを有する通信装置における通信方法であって、上記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、上記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定ステップと、該利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを上記アプリケーション状態記憶手段と上記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索ステップと、該アプリケーション検索ステップによる検索の結果、上記利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、上記利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能の実行を禁止するアプリケーション機能実行禁止ステップとを有するものである。
【0016】
請求項11の発明による通信装置における通信方法は、請求項10の通信装置における通信方法において、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更するものである。
請求項12の発明による通信装置における通信方法は、請求項10の通信装置における通信方法において、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を上記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更するものである。
【0017】
請求項13の発明によるプログラムは、TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースとその各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、上記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段とを有する通信装置を制御するコンピュータに、上記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、上記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定機能と、該利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを上記アプリケーション状態記憶手段と上記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索機能と、該アプリケーション検索機能による検索の結果、上記利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、その全てのアプリケーションに対して機能実行の終了を要求するアプリケーション終了要求機能と、該アプリケーション終了要求機能により機能実行の終了が要求された全てのアプリケーションの機能実行が終了したことを確認してから、上記利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能を実行するアプリケーション機能実行機能とを実現させるためのプログラムである。
【0018】
請求項14の発明によるプログラムは、請求項13のプログラムにおいて、上記コンピュータに、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更する優先順位変更機能をも実現させるためのプログラムである。
請求項15の発明によるプログラムは、請求項13のプログラムにおいて、上記コンピュータに、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を上記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更する優先順位変更機能をも実現させるためのプログラムである。
【0019】
請求項16の発明によるプログラムは、TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースと、その各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、上記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段とを有する通信装置を制御するコンピュータに、上記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、上記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定機能と、該利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを上記アプリケーション状態記憶手段と上記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索機能と、該アプリケーション検索機能による検索の結果、上記利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、上記利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能の実行を禁止するアプリケーション機能実行禁止機能とを実現させるためのプログラムである。
【0020】
請求項17の発明によるプログラムは、請求項16のプログラムにおいて、上記コンピュータに、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更する優先順位変更機能をも実現させるためのプログラムである。
請求項18の発明によるプログラムは、請求項16のプログラムにおいて、上記コンピュータに、上記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を上記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更する優先順位変更機能をも実現させるためのプログラムである。
請求項19の発明による記録媒体は、請求項13〜18のいずれかのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、通信装置が、各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、上記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段とを設け、上記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、上記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定し、その特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションをアプリケーション状態記憶手段と優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索し、その検索の結果、利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、その全てのアプリケーションに対して機能実行の終了を要求し、その終了が要求された全てのアプリケーションの機能実行が終了したことを確認してから、利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能を実行することにより、アプリケーションの機能の実行プライオリティを考慮しつつ、ネットワークインタフェースの排他制御可能な通信制御を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。なお、この実施形態では、遠隔管理システムとして、デジタル複合機(以下「MFP」という)を被管理装置とする遠隔管理システムである画像形成装置管理システムを用いた例について説明する。また、以下に示すアプリケーションを含む各プログラムによる処理は、実際には後述するCPU31(図2参照)がそれらのプログラムに従って動作することによって実行するが、説明の都合上、それらのプログラムが処理を実行するものとする。
【0023】
まず、この発明の一実施形態であるMFPを被管理装置とする画像形成装置管理システムの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、その画像形成装置管理システムを構成するMFPの構成およびそのMFPと管理装置とを含む各機器との接続関係の一例を示す図である。
この画像形成装置管理システムは、MFP1を被管理装置とする遠隔管理システムである。
【0024】
この画像形成装置管理システムにおいて、MFP1は、LAN5(他のネットワークでもよい)を介して複数のクライアント端末であるPC(パーソナルコンピュータ)7と選択的に通信可能に接続し、画像読取手段であるスキャナ11によって読み取った画像データ(スキャンデータ)を接続したPCに送ったり、そのPCからの要求に応じてレーザプリンタ(LEDプリンタ等の他のプリンタを用いてもよい)9又は10によるプリントアウト(画像データに基づいた画像形成)やWebサービスを実行する機能を有している。また、PSTN(公衆交換電話網)4を介してISP(インタネットサービスプロバイダ)のAP(アクセスポイント)6に対してダイヤルアップ接続を行い、インタネット3経由で管理センタ2の管理装置へ遠隔診断(遠隔管理)用のデータを送る機能も有している。
【0025】
このMFP1は、複数のユーザサービスを提供するためのレーザプリンタ9,10,スキャナ11等の画像形成処理で使用されるハードウェアリソース8を有する画像形成装置であって、そのユーザサービスに応じた固有のジョブ生成を行うユーザアプリケーション20a,20b,20cと、MFP1がLAN5を介して各PC7のいずれかより要求を受けて実行するWebサービスアプリ20dと、MFP1の状態通知や管理センタ2からの要求に応答するための遠隔診断アプリ20eとを含む複数のアプリケーション20を格納するアプリケーション記憶領域と、アプリケーション20とハードウェアリソース8との間に介在し、ユーザサービスを提供する際に、アプリケーション20の少なくとも2つが共通的に利用するジョブであって、ハードウェアリソース8を制御するジョブの生成を行うコントロールサービスから構成させる共通システムサービス19を格納する共通システムサービス記憶領域とを備えている。
ここで、共通システムサービス19は、LAN5を介した管理情報の授受を制御するネットワークコントロールサービス(NCS)19dを含む。
【0026】
以下、更に詳細にMFP1について説明する。
MFP1は、図1に示すように、ハードウェアリソース(ハードウェア資源)8として、白黒レーザプリンタ(B&WLP)9,カラーレーザプリンタ(カラーLP)10,スキャナ11,メモリ12,ハードディスクドライブ(HDD)13,ネットワークボード14、モデム15などを備える。なお、ここでは、ネットワークインタフェースとして、イーサネット(Ethernet)(登録商標)に接続するためのネットワークボード14とモデム15の2つを例に挙げているが、他にも無線LAN,ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標),DSU(Digital Service Unit),PHS(Personal Handyphone System)カード等のネットワークインタフェースを用いても良い。
【0027】
このMFP1は、これらのハードウェアリソース8を用いて、プリンタ,コピー,ファックス,スキャナ等のユーザサービスを実現するためのソフトウェア18を備えている。
なお、このソフトウェア18に基づくハードウェアリソース8の制御を可能とすべく、ハードウェアリソース8とソフトウェア18とを、エンジンインタフェース(以下「インタフェース」を「I/F」ともいう)16および通信I/F17により連結している。
そして、このユーザサービスを提供するにあたり、用いられるソフトウェア18のうち、処理が共通するソフトウェアモジュールを共通システムサービス19として抽出し、その上で、各ユーザサービスの提供に特化したソフトウェアモジュールをアプリケーション20として独立させた構成を採用している。
【0028】
より詳細には、ソフトウェア18は、共通システムサービス19とアプリケーション20とOS21とから構成されるものであって、共通システムサービス19がアプリケーション20からの処理要求を受信可能とする関数コールを備えたAPI(アプリケーションプログラムインタフェース)22を更に備えている。
なお、OS21はオペレーティングシステムであり、この実施形態ではUNIX(R)(登録商標)を想定している。UNIX(R)を用いることにより、オープンソースゆえの安全性が担保され、ソースコード入手の容易性などの利点がある。また、ネットワーク対応において、プロトコルへのロイヤリティが不要となるなどの実用的な利点もある。このOS21により、共通システムサービス19やアプリケーション20等を実行する処理を司る。
【0029】
また、TCP/IPのプロトコル制御モジュール21aやイーサネット(Ethernet)の制御モジュール21b、PPPのプロトコル制御モジュール21cも、OS21内に実装されている。
ここで、上述した汎用のOS21をベースにして、複数のアプリケーション20が利用可能な共通システムサービス19と、前述したAPI22とを備えるプラットホームが形成されことになる。
【0030】
このようなプラットホームに対して、階層的にアプリケーション20を備える構成とすることにより、MFP1の遠隔管理・監視を実現するための遠隔診断アプリ20eやWebサービスアプリ20dを含むソフトウェアの開発にかかる時間や資源を効率よく分配することができ、装置開発自体の効率化を実現できる。また、装置全体としての生産性も向上させることが可能となる。
【0031】
以下、共通システムサービス19とアプリケーション20について詳述する。
共通システムサービス19は、アプリケーション20に対して基本的かつ共通する処理サービスを提供するものであり、アプリケーション20からの処理要求を解釈し、ハードウェアリソース8の獲得・制御を後述するコントロールサービス19a〜19eと、そのコントロールサービス19a〜19eからのハードウェアリソース獲得要求を調停するSRM23とを備える。
【0032】
SRM23は、各種コントロールサービス19a〜19eやアプリケーション19a〜19eからの要求に従って、システムの制御およびリソースの管理を行うものであり、図1に示したエンジンとしてのレーザプリンタ9,10,スキャナ11や、メモリ12やHDD13に限らず、その他の各種インタフェースを含めたリソースの調停を行い、実行を制御する。
【0033】
言い換えれば、コントロールサービス19a〜19e,SRM23,そして各アプリケーション20a〜20eは、それぞれ一または複数のメソッドを有するオブジェクトであり、OS21の制御下において、このオブジェクトを起動することにより所定のジョブを生成・実行する形態を採る。なお、ジョブの生成・実行に際して、コントロールサービス19a〜19eとアプリケーション20a〜20eとの間での情報の授受は、各メソッドの実行によるプロセス間通信によって行われる。
【0034】
共通システムサービス19は、複数のコントロールサービスから形成されるものであって、この実施形態では、ECS(エンジンコントロールサービス)19a,MCS(メモリコントロールサービス)19b,OCS(オペレーションパネルコントロールサービス)19c,NCS(ネットワークコントロールサービス)19d,およびSCS(システムコントロールサービス)19eを備える。
【0035】
ECS19aは、レーザプリンタ9,10やスキャナ11等のハードウェアリソース8としてのエンジンを制御するものであり、読み取り動作,メモリからの画像データの印刷動作,動作状態の通知やリカバリ,ジョブコントロール等を行う。
詳細には、前述したアプリケーション20が生成した印刷要求などのジョブ要求に基づき、そのジョブ要求をSRM23に順次受け渡すことにより、各アプリケーション20a〜20eが提供するユーザサービスに応じた印刷動作やスキャン動作などが実現される。
【0036】
MCS19bは、メモリの制御を行うものであり、フレームメモリ(メモリ12の一部),HDD13の管理や、ページメモリ(メモリ12の一部)の獲得・解放,蓄積ファイルの管理等を行う。
詳細には、メモリへの画像データファイルの生成や展開,削除などのファイルアクセス管理、ファイル名称やフォーマット等のデータ属性情報の管理、ファイルの結合・挿入・切断等のファイルマネジメント、ファイル情報閲覧管理などの機能を提供する。
【0037】
OCS19cは、後述する操作/表示部36(図2参照)の表示等に関する制御を行うものであり、表示用オブジェクトやウィンドウの管理,LED表示制御,タッチパネル又はハードキーの入力制御,ブザー制御等を行い、表示領域分割機能,表示アプリ切替機能,表示言語切替機能を備える。
NCS19dは、ネットワーク(LAN5等)のホストとしてのI/O制御を行うものであり、ポートやバスなど、プリンタ系のみならず、アプリケーション20がネットワークに接続する際の仲介機能を提供する。例えば、セントロやUSB,IEEE1394等を管理下におき、複数のプロトコルによる通信を選択制御する機能を有する。
【0038】
SCS19eは、前述したSRM23と協働してシステム全体としての制御や管理を実現する。具体的には、SRM23とSCS19eとは、協働してシステムの制御やリソースの管理を行い、ハードウェアリソース8のエンジン情報,エンジン状態,ジョブのプロセス情報の受け渡し、操作/表示部36の表示画面やエンジンリソースの排他制御を行う。また、アプリ管理,操作部制御,リソース管理,割り込みアプリ制御,ジョブ管理,管理カウンタ情報管理等も行う。また、この発明に関するネットワークインタフェースのプライオリティを意識したアプリケーションの排他管理もここで行う。SCS19eは更に、操作/表示部36と連携してSCS管理のパラメータの一部を操作/表示部36から変更することが可能であり、後述する表1のテーブルに記憶しているネットワークインタフェースのプライオリティ値(優先順位)を変更することも可能になっている。
【0039】
一方、アプリケーション20は、コピー用アプリケーションであるコピーアプリ20a,スキャナ用アプリケーションであるスキャナアプリ20b,プリンタ用アプリケーションであるプリンタアプリ20c,Webサービス用アプリケーションであるWebサービスアプリ20d,および遠隔診断用のアプリケーションである遠隔診断アプリ20e等の各アプリケーションを、それぞれ独立した形で備える。
以下、ユーザサービスの提供に特化した機能を実現する各アプリケーション20a〜20eについて説明する。
【0040】
コピーアプリ20aは、主としてコピーの操作部を制御し、前述したECS19aと協働してコピー動作を行う。
スキャナアプリ20bは、主としてスキャナ読み取りデータ(スキャナ11による読み取り画像データ)の受け付けを制御し、前述したNCS19dと協働してネットワーク経由でのスキャナ読み取りデータの配信を行う。また、必要に応じてHDD13へのスキャナ読み取りデータの格納を行う。
【0041】
プリンタアプリ20cは、印刷ジョブ管理や印刷,給紙要求,プリンタ操作部の制御など、描画・印刷処理を行うアプリケーションである。
Webサービスアプリ20dは、前述したNCS19dと協働してLAN5上の各PC7(クライアント端末)のいずれかから受けた要求に対するWebサービスサーバ機能を提供するアプリケーションであり、後述する表1のテーブルに記憶しているネットワークインタフェースのプライオリティ値を変更することも可能になっている。
【0042】
遠隔診断アプリ20eは、前述したSCS19eと協働して、故障発生,サプライ品切れなど、管理センタ2へ通知する事象発生の監視とMFP1内の情報の収集を行うと共に、前述したNCS19dと協働してPSTN4,AP6,インタネット3経由で管理センタ2へ収集した情報を送るアプリケーションである。なお、この発明は複数のネットワークインタフェースを有することにまつわる課題解決が目的であるため、PSTN4経由でインタネット3に接続する方式のみの記載にしているが、実際にはLAN5からプロキシ経由でインタネット3に接続し、管理センタ2へ収集した情報を送ることも可能である。PSTN4経由でインタネット3に接続するかLAN5経由でインタネット3に接続するかは、遠隔診断アプリ20eがNCS19dへ通知要求を行う際に選択可能な構成になっている。
【0043】
以上説明したように、共通システムサービス19,アプリケーション20,およびOS21は機能するが、相互には次のような関係になる。
OS21の制御下において、アプリケーション20がクライアント側として、共通システムサービス19の目的とするコントロールサービスへジョブ処理の要求を出し、これに対してそのコントロールサービスがサーバ側としてジョブ処理を返すパターンや、共通システムサービス19のコントロールサービス間でジョブ処理の要求および返答を行うパターン、そして、共通システムサービス19のコントロールサービスからアプリケーション20に対してジョブ処理を依頼するパターンが生じ得る。これらは、メソッドの実行に伴って実現されるが、その際にはAPI22を介して要求や返答等の情報の授受が行われることになる。
【0044】
次に、図1に示したシステム構成を実現するためのMFP1について採用されているハードウェア構成について、図2を参照して説明する。
図2は、そのMFP1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
このMFP1において、CPU31は、前述したソフトウェア18に従って情報の処理を行う演算処理手段であり、この発明に関する機能である利用ネットワークインタフェース特定手段,アプリケーション検索手段,アプリケーション終了要求手段,アプリケーション機能実行手段,アプリケーション機能実行禁止手段,および優先順位変更手段としての機能を果たすことができる。
【0045】
そして、SDRAM32,フラッシュメモリ33,HDD34は、情報の記憶手段であり、図1におけるメモリ12およびHDD13の機能を呈する。これらの記憶手段には、アプリケーション20を格納するアプリケーション記憶領域、および共通システムサービス19を格納する共通システムサービス記憶領域とが確保される。
補足すると、前述した複数のユーザサービスは、ハードウェアリソース8を用いてコピー,スキャナ,プリンタとしての機能を提供するものであり、これら複数のユーザサービスアプリケーション20a,20b,20cは、コピー,スキャナ,プリンタの機能を実現するアプリケーションであって、相互に独立してアプリケーション記憶領域に格納されるのである。
【0046】
また、MFP1のネットワークアドレス情報,プロトコル等の機種情報,カウンタ値等の内部情報,およびそれらの情報を提供(送信)するサーバについての設定情報などを含む管理情報を記憶するデータ記憶領域も、これらの記憶手段の所定領域に確保される。更に、この発明に関する「複数のネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルール」や「各アプリケーションが利用するネットワークインタフェースの情報」や「各インタフェースが現在ネットワークを利用したアプリケーションの機能を実行しているか否かを示す情報」のテーブルも、この所定領域に存在する。よって、上記記憶手段が、優先順位ルール記憶手段,利用ネットワークインタフェース記憶手段,およびアプリケーション状態記憶手段としての機能を果たす。
【0047】
ここで、比較的アップデート等の対象となり難い種類のアプリケーションまたは共通システムサービスなどは、HDD34にその記憶領域が確保される。また、定期的に収集,更新,送信等の処理を行うための元情報となる管理情報を記憶するデータ記憶領域もHDD34に確保される。
一方、比較的アップデートされやすい種類のアプリケーションもしくは共通システムサービスなどは、フラッシュメモリ33に格納され、交換可能な構成とされる。したがって、フラッシュメモリ33が格納されるメモリスロットがアプリケーション記憶領域として機能する場合も生じ得る。
【0048】
ASIC40は、CPUインタフェース、SDRAMインタフェース、ローカルバスインタフェース、PCIインタフェース、MAC(Media Access Controller)、HDDインタフェースなどからなる多機能デバイスボードである。CPU31により制御される対象となるデバイスの共有化を図り、アーキテクチャの面からアプリケーション20および共通システムサービス19の開発の高効率化を支援するものである。
【0049】
加えて、このASIC40には、各エンジン部の操作命令などを受け付けるオペレーションパネルなどの操作/表示部36が直接的に接続されると共に、ネットワークボード35(図1のネットワークボード14に相当する)も直接的に接続される。更に、モデム37(図1のモデム15に相当する)やレーザプリンタ38(図1のレーザプリンタ9,10に相当する)、スキャナ39(図1のスキャナ11に相当する)がPCIバス41を介して接続される。
そして、上述したCPU31は、ASIC40を介してフラッシュメモリ33やHDD34などの記憶手段に確保されたアプリケーション記憶領域や共通システムサービス記憶領域などの、ソフトウェアを格納する所定の記憶領域から、必要なソフトウェアを読み出し、SDRAM32に展開して、情報の処理を行う処理手段として機能する。
【0050】
続いて、「複数のネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルール」のテーブルの一例を以下の表1に示し、それについて説明する。
【0051】
【表1】

【0052】
図1に示した通り、この実施形態では「ネットワークインタフェース」として『ネットワークボード(10Base−T)』と『モデム』の2種類が用意されている。
この2種類について、プライオリティ(優先順位)をつけて管理しているテーブルが表1に示すものである。
表中の『プライオリティ』は数字が小さいほど優先度が高いことを示す。
また、優先順位をつけて排他制御を行う必要がない複数の「ネットワークインタフェース」に関しては、『プライオリティ』の値を同じ値にして良い構造になっている。
【0053】
次に、「各アプリケーション」と「利用ネットワークインタフェース」と使用状況を管理するテーブルの一例を以下の表2に示し、それについて説明する。
【0054】
【表2】

【0055】
図1に示した通り、この実施形態では「コピーアプリ」,「スキャナアプリ」,「プリンタアプリ」,「Webサービスアプリ」,「遠隔診断アプリ」の5つのアプリケーションを実装している。
この各アプリケーションが『ネットワークボード(10Base−T)』と『モデム』のどちらの「ネットワークインタフェース」を利用してアプリケーションの機能(以下単に「アプリケーション」又は「アプリ」ともいう)を実行するか、その利用する「ネットワークインタフェース」を示しているのが、表中の「利用ネットワークインタフェース」の列の情報である。また、そのアプリケーションが実際にネットワークを利用してアプリケーションの機能を実行しているか否かを示す情報が表中の「使用状況」の列になる(アプリケーション機能実行中が『使用中』。アプリケーション機能未実行が『未使用』)。
【0056】
次に、図3〜図5を用いて、各アプリケーション20とSCS19eとの間のやり取りのシーケンスについて説明する。
まず、図3であるが、これは、どのアプリケーションもネットワークインタフェースを利用していない状態で、遠隔診断アプリ20eがネットワークインタフェースを利用した機能を実行して良いか否かをSCS19eに問い合わせる場合のシーケンス図である。
【0057】
遠隔診断アプリ20eは、ネットワークインタフェース(モデム)を利用した機能を実行する際に、SCS19eに対してネットワークインタフェースの利用開始を要求する『ネットワーク利用開始要求』を発行する。
SCS19eは、その『ネットワーク利用開始要求』を受けると、ネットワークインタフェースを利用した機能を実行しているアプリケーションが存在しないと判断するので、遠隔診断アプリ20eにネットワークの利用(使用)を許可する『OK応答』を返す。このとき、SCS19eは、表2のテーブルの『使用状況』列の『遠隔診断アプリ』行を『未使用』の状態から『使用中』の状態へ変更する。
【0058】
遠隔診断アプリ20eは、SCS19eから『OK応答』を受け取ると、『モデム』を利用した機能の実行を開始し、その機能の実行を終えると、SCS19eに対してその旨を通知する『ネットワーク利用終了通知』を発行し、SCS19eからは『OK応答』を受け取る。このとき、SCS19eは表2の『使用状況』列の『遠隔診断アプリ』行を『使用中』の状態から『未使用』の状態へ変更する。
【0059】
図4は、どのアプリケーションもネットワークインタフェースを利用していない状態で、遠隔診断アプリ20eがネットワークインタフェースを利用した機能を実行して良いか否かをSCS19eに問い合わせ、SCS19eからは一旦『OK応答』を受けるが、その後、遠隔診断アプリ20eが利用しているネットワークインタフェースよりプライオリティが高いネットワークインタフェースを利用する別のアプリケーションからネットワークインタフェースを利用した機能を実行して良いか否かの問い合わせがあった場合のシーケンス図である。
【0060】
最初の『ネットワーク利用開始要求』と『OK応答』に関しては、図3のケースと同じなので、説明は割愛する。
遠隔診断アプリ20eがネットワークインタフェースを利用した機能を実行中にWebサービスアプリ20dからSCS19eに対して『ネットワーク利用開始要求』が発行されると、SCS19eは、表2のテーブルよりWebサービスアプリ20dが利用するネットワークインタフェースは『ネットワークボード(10Base−T)』であり、現在ネットワーク利用中の遠隔診断アプリ20eが利用するネットワークインタフェースは『モデム』で、表1のテーブルより『ネットワークボード(10Base−T)』は『モデム』より優先順位が高いことを判断する。
【0061】
SCS19eは、このように判断した場合には、現在機能実行中の優先順位が低い方の『モデム』を利用しているアプリケーション(この例では「遠隔診断アプリ20e」)に対して機能実行の中断(終了)を要求する『アプリケーション中断要求』を発行する。
遠隔診断アプリ20eは、SCS19eより『アプリケーション中断要求』を受けると、現在実行中の機能の実行を中断し、SCS19eに対してその旨を通知する『アプリケーション中断完了通知』を発行する。なお、他のアプリケーションも、SCS19eより『アプリケーション中断要求』を受けた場合には、同様の処理を行う。
【0062】
SCS19eは、『アプリケーション中断要求』を発行した全てのアプリケーション(今回の例では「遠隔診断アプリ20e」のみ)から『アプリケーション中断完了通知』を受け取り、全てのアプリケーションの機能実行が中断したことを確認したところで、Webサービスアプリ20dに対して『OK応答』を返す。このとき、表2の『使用状況』列の『遠隔診断アプリ』行を『使用中』の状態から『未使用』の状態へ変更し、『使用状況』列の『Webサービスアプリ』行を『未使用』の状態から『使用中』の状態へ変更する。
【0063】
Webサービスアプリ20dは、SCS19eから『OK応答』を受け取ると、『ネットワークボード(10Base−T)』を利用した機能の実行を開始する。
Webサービスアプリ20dが機能の実行後の動作は、図3の遠隔診断アプリ20eが終了する場合とほぼ同じなので、説明は割愛する。
【0064】
図5は、Webサービスアプリ20dがネットワークを利用している状態で、遠隔診断アプリ20eがネットワークを利用した機能を実行して良いか否かをSCS19eに問い合わせし、SCS19eから『NG応答』を受ける場合のシーケンス図である。
最初の『ネットワーク利用開始要求』と『OK応答』に関しては、図3のケースとほぼ同じなので、説明は割愛する。
【0065】
SCS19eは、遠隔診断アプリ20eより『ネットワーク利用開始要求』を受けると、図4のケースと同様に『ネットワークボード(10Base−T)』と『モデム』の優先順位を比較する。この結果、『モデム』の方が優先順位が低いと判断するので、SCS19eは遠隔診断アプリ20eに対して『NG応答』を返す。
『NG応答』を受け取った遠隔診断アプリ20eは、機能の実行を断念(禁止)する。
【0066】
このSCS19e内で行っている『ネットワーク利用開始要求』に対し『OK応答』を返すか『NG応答』を返すかの判断ロジックをフローチャートとして示すと、図6に示すようになる。
図6は、図1のSCS19eによる『ネットワーク利用開始要求』に対して『OK応答』を返すか『NG応答』を返すかの判断ロジックの一例を示すフローチャートである。
SCS19eは、いずれかのアプリケーションより『ネットワーク利用開始要求』を受けると、ステップS101でネットワーク利用開始要求ありと判断し、ステップS102へ進む。
【0067】
ステップS102では、そのネットワーク利用開始要求元のアプリケーションに対応する(アプリケーションが利用する)ネットワークインタフェースを表2のテーブルより特定(判断)する。このとき、その特定したネットワークインタフェースの優先順位も特定する。
その後、ステップS103へ進み、その特定したネットワークインタフェースより優先順位が低いネットワークインタフェースを利用(使用)中のアプリケーションを表1,表2に示したテーブルより検索し、その検索の結果、その利用中のアプリケーションが存在すると判断した場合にはステップS104へ進み、その利用中の全てのアプリケーションに対して『アプリケーション中断要求』を発行する。
【0068】
そして、『アプリケーション中断要求』の発行先となる全てのアプリケーションから機能実行の中断が完了したことを示す『アプリケーション中断完了通知』を受け取ると、ステップS105でその通知を受けたと判断してステップS106へ進み、ネットワーク利用開始要求元のアプリケーションに対してネットワークの利用許可を与える『OK応答』を返す。
一方、ステップS103で、特定したネットワークインタフェースより優先順位が低いネットワークインタフェースを利用中のアプリケーションが存在しないと判断した場合にはステップS107へ移行する。
【0069】
ステップS107では、特定したネットワークインタフェースより優先順位が高いネットワークインタフェースを利用中のアプリケーションを表1,表2に示したテーブルより検索し、その検索の結果、その利用中のアプリケーションが存在しないと判断した場合、つまりどのアプリケーションもネットワークインタフェースを利用した機能を実行していないため、ステップS106へ移行して、ネットワーク利用開始要求元のアプリケーションに対して『OK応答』を返し、上記利用中のアプリケーションが存在すると判断した場合にはステップS108へ移行して、ネットワークインタフェースの使用を許可しないことを示す『NG応答』を返す。
【0070】
このように、この実施形態のMFPでは、アプリケーションが利用するネットワークインタフェースとその利用状況を管理するとともに、複数のネットワークインタフェースに優先順位をつけて管理し、アプリケーションがネットワークインタフェースを利用してアプリケーションの機能を実行する際に、そのアプリケーションが利用するインタフェースより優先順位が低いネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在した場合には、その優先順位が低いネットワークインタフェースを使用しているアプリケーション全ての機能を中断(終了)させてから、優先順位が高いネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能を実行するようにしたので、複数のネットワークインタフェースの優先順位を考慮した排他処理を行うことができる。
【0071】
また、アプリケーションが利用するネットワークインタフェースとその利用状況を管理するとともに、複数のネットワークインタフェースに優先順位をつけて管理し、アプリケーションがネットワークインタフェースを利用してアプリケーション機能を実行する際に、そのアプリケーションが利用するインタフェースより優先順位が高いネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在した場合には、優先順位が低いアプリケーションの機能の実行を禁止するので、やはり複数のネットワークインタフェースの優先順位を考慮した排他処理を行うことができる。
【0072】
さらに、ネットワークインタフェースの優先順位を操作/表示部からの要求により変更可能にしたので、ユーザの要求にあった制御を提供することができる。
さらにまた、ネットワークインタフェースの優先順位をネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更可能にしたので、操作/表示部を持たない場合でも、ユーザの要求にあった制御を提供することができる。
【0073】
以上の実施形態では、この発明による通信装置(被管理装置)の例として通信機能を持つMFPについて説明したが、この発明はこれらに限られるものではなく、通信機能を持つMFP以外の画像形成装置を遠隔管理する画像形成装置管理装置システムには勿論、通信機能を持つネットワーク家電,自動販売機,医療機器,電源装置,空調システム,ガス・水道・電気等の計量システム等,AV機器,遊戯機器などや、ネットワークに接続可能なコンピュータ等も含め、通信機能を持つ各種電子装置(通信装置)に適用可能である。また、これらの通信装置を被管理装置とした場合にも、遠隔管理システムを上述した場合と同様に動作させることができる。
【0074】
〔この発明に関わるプログラム〕
このプログラムは、通信装置を制御するコンピュータ(CPU)に、この発明に関する機能である利用ネットワークインタフェース特定手段,優先順位特定手段,利用中ネットワークインタフェース特定手段,アプリケーション検索手段,アプリケーション終了要求手段,アプリケーション機能実行手段,アプリケーション機能実行禁止手段,および優先順位変更手段としての機能を実現させるためのプログラムであり、このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような効果を得ることができる。
【0075】
このようなプログラムは、はじめから通信装置に備えるROMあるいはHDD(ハードディスク装置)等の記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROMあるいはフレキシブルディスク,MO,CD−R,CD−RW,DVD+R,DVD+RW,DVD−R,DVD−RW,又はDVD−RAMや、EEPROM、メモリカード等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。その不揮発性記録媒体に記録されたプログラムを通信装置にインストールしてCPUに実行させるか、CPUにその不揮発性記録媒体からこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、通信装置が、アプリケーションの実行プライオリティを考慮しつつ、ネットワークインタフェースの排他制御可能な通信制御を実現することができる。したがって、複数のネットワークインタフェースを効率良く使用して通信を行える通信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】この発明の一実施形態である画像形成装置管理システムを構成するMFPの構成およびそのMFPと管理装置とを含む各機器との接続関係の一例を示す図である。
【図2】図1のMFPのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1のMFPにおいて、どのアプリケーションもネットワークを利用していない状態で、遠隔診断アプリ20eがネットワークを利用した機能を実行して良いか否かをSCS19eに問い合わせる場合のシーケンス図である。
【図4】図1のMFPにおいて、どのアプリケーションもネットワークを利用していない状態で、遠隔診断アプリ20eがネットワークを利用した機能を実行して良いか否かをSCS19eに問い合わせ、SCS19eからは一旦『OK応答』を受けるが、その後、遠隔診断アプリ20eが利用しているネットワークインタフェースよりプライオリティが高いネットワークインタフェースを利用する別のアプリケーションからネットワークを利用した機能を実行して良いか否かの問い合わせがあった場合のシーケンス図である。
【図5】図1のMFPにおいて、Webサービスアプリ20dがネットワークを利用している状態で、遠隔診断アプリ20eがネットワークを利用した機能を実行して良いか否かをSCS19eに問い合わせし、SCS19eから『NG応答』を受ける場合のシーケンス図である。
【図6】図1のSCS19eによる『ネットワーク利用開始要求』に対して『OK応答』を返すか『NG応答』を返すかの判断ロジックの一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0078】
1:MFP 2:管理センタ(管理装置) 3:インタネット 4:PSTN
5:LAN 6:AP 7:PC 8:ハードウェアリソース
9,10,38:レーザプリンタ 11,39:スキャナ 12:メモリ
13,34:HDD 14,35:ネットワークボード 15,37:モデム
16:エンジンインタフェース 17:通信インタフェース 18:ソフトウェア
19:共通システムサービス 19a:ECS 19b:MCS 19c:OCS
19d:NCS 19e:SCS 20:アプリケーション
20a:コピーアプリ 20b:スキャナアプリ 20c:プリンタアプリ
20d:Webサービスアプリ 20e:遠隔診断アプリ 21:OS
21a:TCP/IPのプロトコル制御モジュール
21b:イーサネットの制御モジュール 21c:PPPのプロトコル制御モジュール
22:API 23:SRM 31:CPU 32:SDRAM
33:フラッシュメモリ 36:操作/表示部 40:ASIC
41:PCIバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースとを有する通信装置であって、
前記各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、
前記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、
そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段と、
前記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、前記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定手段と、
該利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを前記アプリケーション状態記憶手段と前記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索手段と、
該アプリケーション検索手段による検索の結果、前記利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、その全てのアプリケーションに対して機能実行の終了を要求するアプリケーション終了要求手段と、
該アプリケーション終了要求手段により機能実行の終了が要求された全てのアプリケーションの機能実行が終了したことを確認してから、前記利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能を実行するアプリケーション機能実行手段とを設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の通信装置において、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更する優先順位変更手段を設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1記載の通信装置において、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を前記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更する優先順位変更手段を設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースとを有する通信装置であって、
前記各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、
前記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、
そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段と、
前記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、前記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定手段と、
該利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを前記アプリケーション状態記憶手段と前記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索手段と、
該アプリケーション検索手段による検索の結果、前記利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、前記利用ネットワークインタフェース特定手段により特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能の実行を禁止するアプリケーション機能実行禁止手段とを設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項4記載の通信装置において、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更する優先順位変更手段を設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項6】
請求項4記載の通信装置において、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を前記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更する優先順位変更手段を設けたことを特徴とする通信装置。
【請求項7】
TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースとその各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、前記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段とを有する通信装置における通信方法であって、
前記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、前記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定ステップと、
該利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを前記アプリケーション状態記憶手段と前記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索ステップと、
該アプリケーション検索ステップによる検索の結果、前記利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、その全てのアプリケーションに対して機能実行の終了を要求するアプリケーション終了要求ステップと、
該アプリケーション終了要求ステップにより機能実行の終了が要求された全てのアプリケーションの機能実行が終了したことを確認してから、前記利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能を実行するアプリケーション機能実行ステップとを有することを特徴とする通信方法。
【請求項8】
請求項7記載の通信装置における通信方法において、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更することを特徴とする通信方法。
【請求項9】
請求項7記載の通信装置における通信方法において、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を前記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更することを特徴とする通信方法。
【請求項10】
TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースと、その各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、前記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段とを有する通信装置における通信方法であって、
前記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、前記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定ステップと、
該利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを前記アプリケーション状態記憶手段と前記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索ステップと、
該アプリケーション検索ステップによる検索の結果、前記利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、前記利用ネットワークインタフェース特定ステップにより特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能の実行を禁止するアプリケーション機能実行禁止ステップとを有することを特徴とする通信方法。
【請求項11】
請求項10記載の通信装置における通信方法において、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更することを特徴とする通信方法。
【請求項12】
請求項10記載の通信装置における通信方法において、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を前記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更することを特徴とする通信方法。
【請求項13】
TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースとその各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、前記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段とを有する通信装置を制御するコンピュータに、
前記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、前記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定機能と、
該利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを前記アプリケーション状態記憶手段と前記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索機能と、
該アプリケーション検索機能による検索の結果、前記利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースの優先順位より低い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、その全てのアプリケーションに対して機能実行の終了を要求するアプリケーション終了要求機能と、
該アプリケーション終了要求機能により機能実行の終了が要求された全てのアプリケーションの機能実行が終了したことを確認してから、前記利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能を実行するアプリケーション機能実行機能とを実現させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更する優先順位変更機能をも実現させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項13記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を前記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更する優先順位変更機能をも実現させるためのプログラム。
【請求項16】
TCP/IPプロトコルを用いて構成されるネットワークに接続され、該ネットワークを使用する複数のアプリケーションと、その各アプリケーションの下位層としてのTCP/IPモジュールと、複数のネットワークインタフェースと、その各ネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位ルールを記憶する優先順位ルール記憶手段と、前記各アプリケーション毎に利用するネットワークインタフェースを記憶する利用ネットワークインタフェース記憶手段と、そのネットワークインタフェースを利用してアプリケーションが機能を実行しているか否かを記憶するアプリケーション状態記憶手段とを有する通信装置を制御するコンピュータに、
前記各アプリケーションのうち、一つのアプリケーションがネットワークインタフェースを利用した機能を実行する際に、前記利用ネットワークインタフェース記憶手段により利用するネットワークインタフェースを特定する利用ネットワークインタフェース特定機能と、
該利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションを前記アプリケーション状態記憶手段と前記優先順位ルール記憶手段の記憶内容に基づいて検索するアプリケーション検索機能と、
該アプリケーション検索機能による検索の結果、前記利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースの優先順位より高い優先順位のネットワークインタフェースを利用しているアプリケーションが存在する場合に、前記利用ネットワークインタフェース特定機能により特定したネットワークインタフェースを利用するアプリケーションの機能の実行を禁止するアプリケーション機能実行禁止機能とを実現させるためのプログラム。
【請求項17】
請求項16記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を操作部からの要求により変更する優先順位変更機能をも実現させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項16記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記優先順位ルール記憶手段に記憶されているネットワークインタフェースの同時動作時の優先順位を前記ネットワークに接続されているクライアント端末からの要求により変更する優先順位変更機能をも実現させるためのプログラム。
【請求項19】
請求項13乃至18のいずれか一項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−177489(P2009−177489A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13933(P2008−13933)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】