説明

通信装置

【課題】各種の表示文字データの書込み表示が可能の電子ペーパーを設けた通信装置であって、保守管理等を容易とする。
【解決手段】
文字データを表示する電子ペーパー1を設けた通信装置であって、入力データをデータ変換部6により表示文字データに変換し、目視可能の位置に設けた電子ペーパー1に書込み制御を行う制御回路2を備え、この制御回路2は、メモリ4に書込んだ制御情報の版数情報又は警報情報を読出す制御を行う読出制御部8と、メモリ4から読出した版数情報又は警報情報を表示文字データに変換するデータ変換部6と、このデータ変換部6により変換した表示文字データを電子ペーパー1に加えて書込む制御を行う書込制御部7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーをパッケージ等に固定して、制御情報の版数、型番、状態情報等を表示可能とし、保守運用等を容易にした通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の通信装置は、単一又は複数のパッケージを筺体等に実装した構成が一般的であり、そのパッケージや通信装置について、その製造会社名、製造年月日、製品名、型番、動作環境条件、動作特性等を、刻印やプリント等によって表示したプレートを取り付け、或は直接的に印字等によって表示することにより、組立時や保守交換時等に於いて、それらの表示内容が参照されている。又正常運用中や障害発生中等をそれぞれ異なる発光色の発光ダイオード等によって識別可能とし、保守要員に通知する為の各種の構成が適用されている。又監視装置等により各種被監視装置を監視し、動作状態情報を収集蓄積して、障害発生時の解析の一助とする手段も各種適用されている。
【0003】
又薄型且つ軽量の表示手段として各種構成の電子ペーパーが提案されており、表示情報を入力して書込みを行うと、その後の電源供給を行うことなく、その表示内容を継続して表示可能とするもので、表示情報書込み時のみ、動作電力を必要とするが、書込み終了後は、動作電力を必要としない利点がある。このような電子ペーパーを電子機器の筺体の内面や外面に固定して、電子機器の異常発生検出時に、その異常発生状態と、対処方法とを、電子ペーパーに書込んで表示することにより、その表示内容を参照して修復作業を可能とする構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。又各種物品に、ICタグ(電子タグ)を添付して、その物品の名称等の物品を特定可能とする情報を書込み、収納箱に収納すると共に、収納箱の外面に電子ペーパーを添付し、この電子ペーパーに対する情報の書込み手段と、ICタグリーダーとを用い、このICタグリーダーにより収納箱内の物品の名称等を読取り、情報の書込み手段により、電子ペーパーに物品の名称等を書込む。それにより、収納箱の搬送時や倉庫への保管時に、収納箱に添付した電子ペーパーの表示内容によって、物品を特定可能する手段が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−158789号公報
【特許文献2】特開2009−234682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
各種の通信装置は、単一或は複数のパッケージにより構成する場合が一般的であり、又パッケージ対応に、メーカ名、製品名、製品番号、特性、使用条件等を、直接的に印字或は印字シール等を添付して、保守管理時の参照情報とする構成が一般的である。又各種の制御動作を行わせる為の制御情報をメモリ等に予め設定し、そのバージョン情報等は、カタログ等に記載して管理する場合が一般的である。又運用中に制御情報の内容を更新し、その内容更新に従って版数更新も行う場合が一般的である。このような制御情報の版数更新の情報は、通信装置個々には管理していない場合が多いものであり、従って、版数更新が運用年数の経過に伴って多数となると、制御情報作成側は、最新の版数を記録しているとしても、通信装置側では確実に制御情報の現在の版数を記録管理していない場合が多い問題がある。なお、規模の大きい通信装置や多数の通信装置をまとめて管理するシステムに於いては、各種の管理情報の版数管理を、データベース化等によって集中管理することも可能であるが、その場合でも、通信装置個々の制御情報の版数は、集中管理システム等にアクセスし、ディスプレイの表示内容によって確認することになり、迅速且つ簡単に確認することは困難である問題があった。
【0006】
又各種の通信装置に於いて、障害発生時に、その障害内容を示すトラブルチケットを保守要員等の作業によって発行する場合がある。しかし、トラブルチケットは、その発行作業が煩雑であり、且つ障害解析とそれに伴う修復処理を行う前に、紛失する可能性が大きい問題がある。又新規の製品と交換した場合等の以前の製品を、保守用等の為に保管、或は転用の為に発送する場合、その製品の制御情報等の版数情報等は、管理用の帳簿やデータベースにより管理する場合が一般的であり、従って、以前の製品の版数情報等の仕様情報を直ちに認識することは殆ど不可能に近いものであった。
【0007】
本発明は、前述の従来も問題点を解決することを目的とし、パッケージ単位等に電子ペーパーを取付けて、制御情報の版数等の必要項目や障害発生内容等を書込んで、保守管理や運用を容易とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の通信装置は、文字データを表示する電子ペーパーを設けた通信装置であって、入力データを表示文字データに変換し、目視可能位置に設けた前記電子ペーパーに書込み制御を行う制御回路を設けた構成を備えている。
【0009】
又前記制御回路は、メモリに書込んだ制御情報の版数情報又は警報情報を読出す制御を行う読出制御部と、該メモリから読出した前記版数情報又は警報情報を表示文字データに変換するデータ変換部と、該データ変換部により変換した表示文字データを前記電子ペーパーに加えて書込む書込制御部とを備えている。
【0010】
又電子ペーパーを通信装置のパッケージ上面又は前面に固定して、表示文字データを目視可能に表示する構成を備えている。
【0011】
又挿抜可能に設けたパッケージに電子ペーパーを固定して、パッケージに発生した障害情報を表示文字データに変換して電子ペーパーに書込む制御回路を備えている。
【発明の効果】
【0012】
電子ペーパーは、情報書込み時に動作電力を必要とするけれども、その後の書込み内容の表示期間に於いては、電力を消費しない構成を有するものであり、従って、長期間に亘りパッケージの種別情報等を書換えて表示し、且つバージョンアップ等により変更した各種情報内容等に対しても容易に対応して書換えることによって表示することが可能であり、又パッケージに障害が発生した場合、その障害情報を表示文字データに変換して電子ペーパーに書込むことにより、そのパッケージを通信装置から取り外して修理する場合、障害情報が電子ペーパーに表示されていることにより、修理作業が容易になる利点がある。従って、通信装置の運用、管理が容易となると共に、電子ペーパーをトラブルチケット等に適用可能となる利点があり、又表示文字データの書込みの処理後は、電力消費の問題もない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1の説明図である。
【図2】本発明の実施例2の説明図である。
【図3】本発明の実施例3の説明図である。
【図4】本発明の実施例4の説明図である。
【図5】本発明の実施例5の説明図である。
【0014】
本発明の通信装置は、図1を参照して説明すると、文字データを表示する電子ペーパー1を設けた通信装置であって、入力データを表示文字データに変換し、目視可能位置に設けた前記電子ペーパー1に書込み制御を行う制御回路2を設けた構成を備えている。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1の説明図であり、1は電子ペーパー、2は制御回路、3は状態監視部、4はメモリ、5は受信部、6はデータ変換部、7は書込制御部、8は読出制御部を示し、通信装置の要部のみを示すものであり、電子ペーパー1は、既に知られている各種の構成を適用可能であって、任意の空きスペースに、接着剤や周辺のネジ留め等によって取り付けることができる。又制御回路2は、受信部5、データ変換部6、書込制御部7、読出制御部8を含む制御構成を備えた場合を示し、又メモリ4は、各種の制御情報やその版数管理を行う為の版数管理情報等を格納すると共に、通信に関連する各種の制御データ等の記憶や通信データの一時記憶等の機能を含むものであり、通信制御処理機構やメモリ4のリード・ライト制御回路等は図示を省略している。又状態監視部3は、通信装置内の各部の状態を監視する機能と共に電源電圧監視の機能を含み、通信装置の電源オンによる電源電圧等の検出により、制御回路2にトリガー信号を加える。又制御回路2の読出制御部8は、状態監視部3からのトリガー信号によって、版数管理番地リード信号として示すように、メモリ4の版数管理情報を格納しているアドレス指定を行って版数データを読出し、その版数データを、受信部5を介してデータ変換部6へ転送する。
【0016】
受信部5は、読出制御部8に対応したデータ読取部に相当する機能を有するもので、メモリ4から読取った版数データをデータ変換部6へ転送する。又読出制御部8は、メモリ4に対する版数管理番地リード信号に対応して、書込制御部7に対して、リード信号通知を行う。それによって、書込制御部7は、データ変換部6と電子ペーパー1とに対して書込制御信号を加え、データ変換部6により、メモリ4から読取った版数データを表示文字データに変換して電子ペーパー1に入力し、書込制御部7からの書込制御信号に従って、表示文字データとしての版数データの書込みを行う。前述のように、通信装置の制御情報の更新を行った場合、その版数管理情報も更新するものであり、又制御情報の更新を有効にする為にリブート処理を行う場合が一般的であるから、そのリブート処理により、電源電圧をオフとした後、オンとするから、状態監視部3は、その電源電圧監視によって、読出制御部8にトリガー信号を加え、前述のように、読出制御部8により、メモリ4の更新された版数管理情報を読出して、電子ペーパー1に書込み、版数表示内容を自動的に最新の内容に更新することができる。それによって、保守要員等は、制御情報の現在の版数を電子ペーパー1の表示内容によって確認することができる。
【実施例2】
【0017】
図2は、本発明の実施例2の説明図であり、図1と同一符号は同一名称部分を示し、9はデータ比較部、10は通信装置の機能部分の主回路、11は異常検出回路を示す。この実施例は、警報情報を表示文字データに変換して電子ペーバー1に書込むことにより、警報内容を表示可能とし、保守要員等に通知可能とする。それにより、保守処理の容易性と迅速性とを実現可能としたものであって、メモリ4に警報情報を書込む領域を予め設定しておき、主回路10の異常検出回路11により異常を検出すると、その異常発生状況を示す警報情報をメモリ4の所定の領域に書込み、その警報情報を書込んだことを示す書込信号を主回路10から状態監視部3へ転送する。状態監視部3は、主回路10からの書込信号によって、制御回路2の読出制御部8に、警報情報読出用のトリガー信号を加える。読出制御部8は、この警報情報読出用のトリガー信号によって、メモリ4に対して警報情報管理番地リード信号を加え、メモリ4から警報情報を読出し、その警報情報を受信部5からデータ変換部6とデータ比較部9とに入力する。
【0018】
データ比較部9は、受信部5を介して加えられた警報情報を正常状態の情報と比較し、正常ではないことを示す警報情報と判定すると、書込制御部7に制御信号を転送し、それにより、データ変換部6を制御して、受信部5により受信した警報情報を表示文字データに変換して電子ペーパー1に書込む。従って、主回路10側の異常発生内容を電子ペーパー1に表示して、主回路10側の保守の迅速化を図ることができる。又主回路10をパッケージ対応の各種通信制御処理を実行する回路とすると、パッケージ単位の障害発生の内容を電子ペーパー1により表示し、その表示内容は、パッケージを通信装置から取り外しても継続して維持しているから、修理専門個所に運搬して修理する場合に、修理作業の迅速化の一助とすることができる。又この場合の電子ペーパー1の表示内容を、トラブルチケットとして活用することも可能であり、通信装置から取り外しても、表示内容を維持できるから、電子ペーパーのみを取り外して保守センター等へ持ち込むことも可能である。
【実施例3】
【0019】
図3は、本発明の実施例3の説明図であり、図1及び図2と同一符号は同一名称部分を示し、12は通信処理部、13は送信処理部、14はデータ廃棄部、15はデータの正常性確認部、16はエラー修正部(ECC)、17は監視システム(OPS)を示す。監視システム17からのメッセージを制御回路2の通信処理部12により受信し、エラー修正部16により受信メッセージの伝送エラーを修正し、データの正常性確認部15に於いて受信メッセージの正常性を確認し、正常性が無いと判断すると、データ廃棄部14により受信メッセージの廃棄処理を行い、送信処理部13から監視システム17へ再送要求を行う。又データの正常性確認部15に於いて正常性有りと判断すると、データ変換部6に受信メッセージ内容を転送し、且つ書込制御部7に制御信号を加え、データ変換部6により表示情報に変換したメッセージ内容を、書込制御部7からの書込制御信号に従って電子ペーパー1に書込み、監視システム17からのメッセージを電子ペーパー1に書込んで表示することができる。
【実施例4】
【0020】
図4は、本発明の実施例4の説明図であり、パソコン等の作業端末18から制御回路2を介して電子ペーパー1に各種の情報を書込んで表示させる制御を行う主要部のみを示すと共に、制御回路2は、受信部5とデータ変換部6と書込制御部7とのみを図示している。作業端末18から電子ペーパー1に対する各種の情報を入力すると、受信部5は、入力された情報をデータ変換部6に加えて表示情報に変換し、書込制御部7はデータ変換部6と電子ペーパー1とに制御信号を加え、電子ペーパー1に、データ変換部6により変換した表示情報を、書込制御部7からの書込制御信号に従って電子ペーパー1に対する書込み制御を行う。それにより、電子ペーパー1に、通信装置としての各種の情報を継続して表示させることができる。
【実施例5】
【0021】
図5は、本発明の実施例5の説明図であり、(A)はパッケージ20の空きスペースに電子ペーパー1を貼着した場合を示し、各種の電子部品等が実装されて、空きスペースが存在する場合に、その空きスペースに電子ペーパー1を取り付ける。又(B)は、パッケージ22の前面板に電子ペーパー1を貼着等により固定し、筺体の前面側から電子ペーパー1の表示内容を確認可能にした場合を示す。なお、21、23は筺体に対する固定用のネジを示し、24は表示ランプを示し、FAIL,ACT,LI−ALM,TESTは表示内容の略号を示す。従って、障害発生時等に於いて、パッケージ20,22を取り外して修理する場合に、障害内容が電子ペーパー1に表示されているから、修理作業の迅速化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0022】
1 電子ペーパー
2 制御回路
3 状態監視部
4 メモリ
5 受信部
6 データ変換部
7 書込制御部
8 読出制御部
9 データ比較部
10 主回路
11 異常検出回路
12 通信処理部
13 送信処理部
14 データ廃棄部
15 データの正常性確認部
16 ECC
17 OPS
18 作業端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字データを表示する電子ペーパーを設けた通信装置に於いて、
入力データを表示文字データに変換し、該表示文字データを目視可能位置に設けた前記電子ペーパーに書込む制御を行う制御回路を設けた
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御回路は、メモリに書込んだ制御情報の版数情報又は警報情報を読出す制御を行う読出制御部と、前記メモリから読出した前記版数情報又は警報情報を表示文字データに変換するデータ変換部と、該データ変換部により変換した表示文字データを前記電子ペーパーに加えて書込む書込制御部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記電子ペーパーを通信装置のパッケージ上面又は前面に固定して、表示文字データを目視可能に表示する構成を備えたことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
挿抜可能に設けたパッケージに前記電子ペーパーを固定し、該パッケージに発生した障害情報を表示文字データに変換して前記電子ペーパーに書込む制御回路を備えたことを特徴とする請求項1記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−55546(P2013−55546A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193076(P2011−193076)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】