通帳類印刷装置
【課題】 初期化動作の原因に基づいて転写材及び中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断することにより、転写材及び中間転写材の無駄な消費を抑える。
【解決手段】 通帳類を搬送する搬送ローラ対2と、一部を露出して対向するカラーインクリボン及び中間転写リボンを有し、カラーインクリボンを介して中間転写リボンに印字ヘッドを接触させることによりカラーインクリボンの色剤を中間転写リボンに転写し、この中間転写リボンの色剤を通帳類に転写させて印刷する中間転写印刷部と、カラーインクリボンを巻き取る第1の巻取手段47、及び前記中間転写リボンを巻き取る第2の巻取手段54と、異なる原因に基づいてそれぞれ初期化動作を指示する指示手段75と、この指示手段75によって指示された初期化動作の原因に基づいてカラーインクリボン及び中間転写リボンの露出部分の巻き取りを行うか否かを判断する判断手段73とを具備する。
【解決手段】 通帳類を搬送する搬送ローラ対2と、一部を露出して対向するカラーインクリボン及び中間転写リボンを有し、カラーインクリボンを介して中間転写リボンに印字ヘッドを接触させることによりカラーインクリボンの色剤を中間転写リボンに転写し、この中間転写リボンの色剤を通帳類に転写させて印刷する中間転写印刷部と、カラーインクリボンを巻き取る第1の巻取手段47、及び前記中間転写リボンを巻き取る第2の巻取手段54と、異なる原因に基づいてそれぞれ初期化動作を指示する指示手段75と、この指示手段75によって指示された初期化動作の原因に基づいてカラーインクリボン及び中間転写リボンの露出部分の巻き取りを行うか否かを判断する判断手段73とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、金融機関やIDカードとして用いられる通帳類の印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の印刷装置には、通帳類やカード状の被印刷媒体に顔画像や個人情報、さらにはセキュリティ情報等を印刷するものがある。
【0003】
この印刷装置は、黒文字情報のみを黒リボンとサーマルヘッドによって直接媒体に印刷する「直接印刷部」、また、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)などからなる各色をダンダラに塗工した多色のカラーリボンとサーマルヘッドによって、ホログラム等のセキュリティ情報を備えた中間転写リボンの表面の決まった位置に画像を形成する「印刷部」、さらに、「印刷部」によって中間転写リボンの上に形成された画像情報を、ヒートローラとバックアップローラによって被印刷媒体である通帳類に転写する「オーバーコート転写部(以下、転写部という)」を備えて構成されている。
【0004】
このようなインクリボンや中間転写リボンを用いた印刷装置おいては、リボンカートリッジの装填や、機器の動作等によって弛みや印刷開始位置のズレが生じているため、装置の初期化(イニシャル動作とも言う)において、実際に印刷動作を行うためのリボンの位置出し(頭出し)動作を行う。
【0005】
このイニシャル動作は印刷装置の立ち上げ時や、媒体のジャムや、装置エラー発生後の復帰動作時、リボンカートリッジの交換時、省電力状態からの復帰動作時等、様々な状況から行われる。これらイニシャル時に行われるリボン周りの動作は、どんな状態からでも手垢や挨等、印刷品質に影響を及ぼす要因を排除するためにリボンカートリッジやリボンコアから露出した部分を巻取る動作が必須となっている。
【0006】
カラー情報を印刷する場合、印刷開始色が決まっているため、ダンダラに多色が塗工されたカラーリボンは、露出部分を巻き取った後に、リボンに塗工された印刷色を識別できる黒バーマークをセンサで読み取り、印刷開始の色の頭出し動作を行う。
【0007】
また、ホログラム等のセキュリティ情報を備えた中間転写リボンは、カラーリボン同様に露出した部分を巻き取った後、位置出しのためのホログラムバーマーク等をファイバセンサなどを用いて検出し、中間転写リボン上への印刷開始位置出しを行う。
【0008】
これら一連のイニシャルが完了した後に、印刷装置は印刷情報を中間転写リボン上や媒体に形成する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−103812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来においては、システムの立ち上げ時や、媒体のジャム、装置エラー発生後の復帰動作時、リボンカートリッジの交換時、省電力状態からの復帰動作時等、どの状況からでも、イニシャル指示がかかると一意的に各リボンの露出部分の巻取り、および印刷頭出しを含めた機器全体のイニシャル動作を自動的に行っている。
【0010】
ところで、装置によってはシステムを立ち上げただけで、実際には、印刷動作を行わない場合がある。
【0011】
しかしながら、このような場合であっても、従来においては、リボンの巻上げ動作を行っていたため、リボンを無駄に消費してしまうという状況が発生していた。
【0012】
また、「直接印刷部」「中間転写印刷部」などのように、印刷ユニットが複数に分かれた印刷機では印刷データによって「直接印刷部」で印刷を行わないなど、実際には印刷動作を行わないユニットも存在するが、イニシャル動作をかけるたびに、印刷動作を行わないユニットもリボンを巻取ることになり、場合によっては一度も印刷せずにリボンを使い切ってしまうケースも発生してしまう。
【0013】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、初期化動作に際し、該初期化前における動作状況に応じて転写材及び中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断することにより、転写材及び中間転写材の無駄な消費を抑えることができるようにした通帳類印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1記載のものは、通帳類を搬送する搬送手段と、一部を露出して対向する転写材及び中間転写材を有し、前記転写材を介して前記中間転写材に印字ヘッドを接触させることにより前記転写材の色剤を前記中間転写材に転写し、この中間転写材の色剤を前記搬送手段によって搬送される通帳類に転写させて印刷する印刷手段と、前記転写材を巻き取る第1の巻取手段、及び前記中間転写材を巻き取る第2の巻取手段と、異なる原因に基づいてそれぞれ初期化動作を指示する指示手段と、この指示手段によって指示された初期化動作の原因に基づいて前記転写材及び中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断する判断手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載のものは、通帳類を搬送する搬送手段と、一部を露出する第1の転写材を有し、この第1の転写材を介して第1の印字ヘッドを前記搬送手段によって搬送される通帳類に接触させることにより、前記第1の転写材の色剤を前記通帳類に転写して印刷する第1の印刷手段と、一部を露出して対向する第2の転写材及び中間転写材を有し、前記第2の転写材を介して前記中間転写材に第2の印字ヘッドを接触させることにより前記第2の転写材の色剤を前記中間転写材に転写し、この中間転写材の色剤を前記搬送手段によって搬送される通帳類に転写させて印刷する第2の印刷手段と、前記第1の転写材を巻き取る第1の巻取手段、前記第2の転写材を巻き取る第2の巻取手段及び前記中間転写材を巻き取る第3の巻取手段と、異なる原因に基づいてそれぞれ初期化動作を指示する指示手段と、この指示手段によって指示された初期化動作の原因に基づいて前記第1及び第2の転写材、さらに、前記中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断する判断手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、初期化動作時には、巻き取りが必要な転写材(或いは中間転写材)の露出部分のみを巻き取ることができ、転写材及び中間転写材の無駄な消費を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態である通帳印刷装置1を示す全体構成図である。
【0019】
この通帳類印刷装置1は取出手段としての通帳類取込部4を備え、この通帳類取込部4には通帳類Tが閉じた状態で複数冊積層されてセットされている。この通帳類取込部4から通帳類Tが一冊づつ取り込まれ、搬送手段としての複数個の搬送ローラ対2によって搬送路3に沿って搬送されるようになっている。搬送路3中には通帳類Tの搬送方向に沿って頁捲り部6、直接印刷部(第1の印刷手段)7、及び中間転写印刷部(第2の印刷手段)8が配設されている。
【0020】
また、搬送路3の排出端側には搬送路3から排出される通帳類Tを集積する通帳類集積部12が設けられている。
【0021】
上記通帳類取込部4は、複数の通帳類Tを重ねたまま投入可能であり、制御部の指示に応じて最も下側のものからピッカ(図示しない)によって取り出すようになっている。
【0022】
頁捲り装置6は、通帳類取込部4から取り込まれた通帳類Tの表紙を捲ったり、さらに内側の中紙をめくる機能を有する。めくった頁の認識は、通帳類Tに当初より印刷されているバーマークを、図示しないバーマークリーダで読み取ることで行う。
【0023】
直接印刷部7は、サーマルヘッド(第1の印字ヘッド)41を有し、このサーマルヘッド41にはプラテンローラ42が対向配置されている。このサーマルヘッド41とプラテンローラ42との間には図6に示すような黒インクリボン(第1の転写材)43が介在されている。黒インクリボン43の一端部側は送出軸44に巻き付けられ、他端部側は巻取軸45に巻き付けられ、中途部は外部に露出されている。黒インクリボン43の中途部はガイドシャフト46に掛け渡されている。送出軸44と巻取軸45とによって第1の巻取手段47が構成されている。
【0024】
黒インクリボン43は、巻取軸45がパルスモータとトルクリミッタからなる第1の駆動機構48によって回転されることにより、一定のトルクで巻き取られるようになっている。黒インクリボン43の送出軸44側にはエンコーダ(図示しない)が設けられ、そのパルス量を検出することによってリボンの回転速度、巻径などが検出される。
【0025】
直接印刷部7では、印刷する通帳類Tの印刷頁表面上に黒インクリボン43を介してサーマルヘッド41を押し当て、このサーマルヘッド41が選択的に発熱することで画像や文字を印刷する。この実施の形態では、中間転写印刷部8で印刷される情報に比べて、セキュリティ度合いが低い情報を直接印刷部7によって印刷する。
【0026】
なお、通帳類Tの全てが直接印刷部7で印刷されるわけではなく、また、直接印刷部7で印刷される頁は、中間転写印刷部8で印刷される頁とは異なる。このため、直接印刷部7での印刷が発生した場合は、まず印刷する頁を頁捲り装置6で捲り出して直接印刷を行った後に、再度頁捲り装置6に搬送して中間転写印刷を行う頁を捲り出す。直接印刷部7で印刷される情報がない場合は、通帳類Tは直接印刷部7を通過する。
【0027】
図2は、上記した中間転写印刷部8を示すものである。
【0028】
中間転写印刷部8は機能的に情報印刷部(以下、印刷部という)16と、オーバーコート転写部(以下、転写部という)17とを有して構成されている。
【0029】
印刷部16としては熱溶融転写印刷方式のものが採用されている。即ち、サーマルヘッド(第2の印字手段)19とプラテンローラ20に挟まれるようにカラーインクリボン(第2の転写材)22と中間転写リボン(中間転写材)21とを配置し、サーマルヘッド19によりカラーインクリボン22のインクを中間転写リボン21の表面に転写して情報等を印刷する。
【0030】
カラーインクリボン22は図7に示すようにY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の三原色のインクに加えて黒インクの4色を有しているとともに、印刷色位置出しのための黒マーク22aが打たれている。
【0031】
カラーインクリボン22の一端部側は送出軸51に巻き付けられ、他端部側は巻取軸52に巻き付けられ、中途部は外部に露出されている。カラーインクリボン22の中途部はガイドシャフト53に掛け渡されている。送出軸51と巻取軸52とによって第2の巻取手段54が構成されている。
【0032】
カラーインクリボン22は、巻取軸52がパルスモータとトルクリミッタからなる第2の駆動機構55によって回転されることにより、一定のトルクで巻き取られる。カラーインクリボン22の送出軸51にはエンコーダ(図示しない)が設けられ、そのパルス量を検出することによってリボンの回転速度、巻径などが検出される。
【0033】
この熱溶融転写方式の特徴としては、画像耐久性が高いこと、インク材料に機能性材料を適用することが比較的容易なこと(例えば蛍光顔料、アルミ蒸着薄膜)などがあり、偽造防止を目的とする印刷物に適している。
【0034】
カラーインクリボン22のベースフィルム厚やインク層厚は、印刷ドット再現性に極めて重要なパラメータであり、インクリボン層厚としては3〜25μmであり、望ましくは4〜10μmである。
【0035】
一方、中間転写リボン21の後述するベースフィルムの厚さや、受像兼接着層厚は、接着性や膜切れ特性に影響を与えるパラメータであり、中間転写リボン21の層厚は、10〜100μmであり、望ましくは25〜50μmである。
【0036】
プラテンローラ20は硬質のゴム材料を表面に用いたローラで、ゴム硬度が上がるほどに微小ドットの再現性が向上するが、同時に最適なプラテンローラ20とサーマルヘッド19の位置関係を得ることが難しくなる。このため、硬度は75°以上、望ましくは85〜97°である。同時に研磨したゴム表面の表面粗さも、表面平滑性が上がるほどに微小ドットの再現性が向上する。このため、表面粗さは中心線平均粗さRaで1μm以下、望ましくは0.5μm程度であることが要求される。
【0037】
中間転写リボン21を搬送する駆動力は、一般的にプラテンローラ20に駆動機構を設けることが多いが、上記の硬度と平滑性から中間転写リボン21とプラテンローラ20の摩擦係数が上がらず、また安定しない。このため、プラテンローラ20の下流(ヒートローラ側)直近に別途リボン駆動ローラ23を設ける。リボン駆動ローラ23は硬度30〜60度のローラを用い、中間転写リボン21はリボン駆動ローラ23に対して出来るだけ巻付き角が大きいほうが良い。実施例では90°から130°の巻き付き角をえられるようにテンショナ24を配置する。
【0038】
テンショナ24には図示しないバネ機構が設けられ、限られた可動範囲内で中間転写リボン21にテンションを与えて、リボン駆動ローラ23と中間転写リボン21が常に適切に接触する状態を作り出す。リボン駆動ローラ23の駆動は5相ステッピングモータ、タイミングベルト、プーリによる減速機構の組み合わせにより、正確に搬送が行われる。また、サーマルヘッド19はニアエッジ、またはコーナエッジタイプのヘッドを用い、熱時剥離による印刷を行うことが望ましい。
【0039】
中間転写リボン21の一端部側は送出軸61に巻き付けられ、他端部側は巻取軸62に巻き付けられ、中途部は外部に露出されている。送出軸61と巻取軸62とによって第3の巻取手段64が構成されている。中間転写リボン21は、巻取軸62がパルスモータとトルクリミッタからなる第3の駆動機構65によって回転されることにより、一定のトルクで巻き取られるようになっている。中間転写リボン21の送出軸61にはエンコーダ(図示しない)が設けられ、そのパルス量を検出することによってリボンの回転速度、巻径などが検出される。
【0040】
また、転写部17は通帳類搬送路3を介して対向配置されるヒートローラ35とバックアップローラ36を備えている。ヒートローラ35はDCサーボモータ若しくはステッピングモータにより正確に一定速度で駆動可能になっており、回転自在なバックアップローラ36との間にはコイルバネ37で発生された圧力が付与されるようになっている。
【0041】
図3(a)〜(c)は中間転写リボン21の構成を示す断面図である。
【0042】
図3(a)に示す中間転写リボン21は、基材としてのポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)のフィルム26の表面に、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0043】
また、図3(b)に示す中間転写リボン21は、基材としてのPETフィルム26の表面に、剥離層としてのフェノキシ系樹脂27、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0044】
さらに、図3(c)に示す中間転写リボン21は、基材としてのPETフィルム26の表面に、剥離層としてのフェノキシ系樹脂27、保護層30、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0045】
中間転写リボン21のホログラム形成層には図8に示すようにホログラムパターン28a及びホログラムによるバーマーク28bが形成されている。
【0046】
その他、中間転写リボン21としては紫外線によって発光する蛍光発色層などの機能層を設け、転写対象への転写と同時にこれらの機能層も転写するものであってもよい。
【0047】
次に、上記したように構成される通帳類印刷装置1の動作について説明する。
【0048】
まず、図1に示す通帳類取込部4から通帳類Tが1冊づつ取出されて頁捲り装置6に搬送され、ここで、通帳類Tの表紙が捲られて所定のページが開いた状態となる。
【0049】
一方、中間転写印刷部8では、印刷データに基づいてサーマルヘッド19を動作させてY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の三原色のインクに加えて黒インクの4色を重ね合せて所持人の顔画像を中間転写リボン21の表面にカラー印刷する。これら複数色のインクの重ね合わせによる印刷は、中間転写リボン21がサーマルヘッド19をインクの色数と同じ回数往復することで行われる。また、印刷される情報は、反転画像であるという特徴がある。なお、印刷色は上記4色のインクに加えて、蛍光顔料を含んだインクなど機能性インクを付与してもよい。
【0050】
この所持人の顔画像のカラー印刷後、通帳固有情報が付与されたセキュリティ情報が中間転写リボン21の表面にサーマルヘッド19により印刷される。
【0051】
このようにカラー顔画像、及びセキュリティ情報が印刷された中間転写リボン21は順方向(ヒートローラ35の方向)に巻き取られ、図4(a)に示すように経路途中の転写部マーク検知センサ39によって中間転写リボン21の位置が把握される。この把握結果に基づいて転写開始位置まで中間転写リボン21が送られる。
【0052】
また、このとき通帳類Tは、転写される頁が開かれた状態で図4(b)に示すように取り込まれて、ヒートローラ35に対して決められた位置に搬送される。転写される頁は、表紙見返し頁でも、他の中紙頁でもかまわない。
【0053】
このように互いに位置決めされた中間転写リボン21と通帳類Tの該当ベージは、図4(c)に示すように円周の一部が切り欠かれた形状の金属製のヒートローラ35の回転と共に合わされ、搬送と同時に加圧されるとともに加熱される。その後、図5に示すように通帳類Tに対して60°〜110°の角度をもって転写リボンベース26が引き上げられて、固有印刷情報と受像兼接着層29、ホログラム層28の転写が完了し、固有情報が転写されたものを含み、数字、文字、記号、バーコード等からなるセキュリティ情報及び所持人のカラー顔画像が転写される。転写が完了した通帳類Tは、集積部12に排出される。
【0054】
ところで、図11は上記した第1乃至第3の巻取手段47,54、64の駆動制御系を示すブロック図である。
【0055】
第1乃至第3の巻取手段47,54、64を駆動する第1乃至第3の駆動機構48,55、65には、制御回路を介して制御部71が接続され、この制御部71には判断手段73を介して装置初期化原因の指示手段75が接続されている。
【0056】
指示手段75は装置初期化の原因を指示するものである。即ち、装置初期化の原因が(1)電源投入時や、印刷装置の省電力状態からの復帰、(2)黒インクリボンのみ交換後からの復帰、(3)カラーインクリボンのみ交換後からの復帰、(4)中間転写リボンのみ交換後からの復帰、(5)ジャム等のエラーからの復帰であることなどを指示する。
【0057】
判断手段73は指示手段75から指示される装置初期化の原因に基づいて第1乃至第3の巻取手段47,54、64を動作させるべきか否かを判断するものである。
【0058】
制御部71は、判断手段73の判断に基づいて第1乃至第3の駆動機構48,55,65の動作を制御するようになっている。
【0059】
つぎに、上記した印刷装置の初期化動作(以下、イニシャル動作という)について詳しく述べる。
【0060】
この実施の形態においては、イニシャル動作がかけられる原因は上記した5つのパターンに分けられる。
【0061】
以下、それぞれのパターンにおける、イニシャル動作について記述する。
【0062】
(1)電源投入時や、印刷装置の省電力状態からの復帰に基づくイニシャル動作
a)黒インクリボン
黒インクリボン43は交換が行われたわけではないので、リボンカセットから露出するリボン露出部分に手が触れたり、外気が触れて挨が付着するといったことは考えにくい。このため、黒インクリボン43の露出部分を巻き上げることはしない。
【0063】
ただ、機構動作確認のためのサーマルヘッド41の上下駆動で弛んだリボン部分のみは巻き上げる(リボンの弛取動作)。
【0064】
このリボンの弛取が完了したことを知るには、リボン送出側のエンコーダパルス(図示しない)を検出することで行う。すなわち、黒インクリボンの巻上げ動作を行い、送出側でエンコーダパルスが規定個数得られたら、リボンの弛み取り完了とする。
【0065】
なお、この実施の形態では1周12羽のエンコーダの2パルス分を検出したら弛み取り完了としている。(暗→明、明→暗のステータス切り替わりで2パルスとしている。)
また、黒インクリボン43は多色が塗工されているカラーインクリボン22とは異なり、全面に黒インクが塗布されているため、このイニシャル動作の後に直接印刷動作を行うことになっても、特に頭出し動作は必要とせず、そのまま直接印刷動作を行うことが可能である。
【0066】
このように、黒インクリボン43の露出部分を巻き上げないため、従来のように一意的にリボン露出部を巻き上げるイニシャル動作よりも大幅に無駄なリボンの巻上げ量を抑えることができる。
【0067】
b)カラーインクリボン
黒インクリボン43と同様に、機構動作確認のためのサーマルヘッド19の上下駆動で弛んだリボン部分のみを巻き上げる。これも送出側のエンコーダパルスが2パルス得られたら弛取り完了としている。
【0068】
ただし、カラーインクリボン22の場合、印刷開始色が決まっているため、弛み取り終了後のリボン位置が印刷開始色の面出しが終わっていない場合には印刷が出来ない。このため、カラー印刷動作指示がきたら、その時点で印刷開始色の位置出し動作を行い、カラー印刷を行う。
【0069】
このように、カラーインクリボン22のリボン露出部を巻き上げないため、従来のように一意的にリボン露出部を巻き上げるイニシャル動作よりも大幅に無駄なリボンの巻上げ量(図9に示す寸法A)を抑えることができる。
【0070】
c)中間転写リボン
前述の印刷動作で記述したように、中間転写リボン21は印刷位置出しを行うが、事前に位置出しが完了してたとしても、印刷開始位置の保証がされない。そのため、復帰動作時には再度、位置出し動作が必要となる。
【0071】
従来は,中間転写リボンの露出部(図10に示す寸法B)を巻き取ってから、印刷開始位置出しを行っていたが、この場合、一旦送り出し方向とは逆に巻き上げてから再度、正搬送で印刷位置出しを行う。このように、リボンを事前に巻き戻しをしておくことで、無駄なリボンの消費を抑えることができる。
【0072】
(2)黒インクリボンのみ交換後からの復帰に基づくイニシャル動作
a)黒インクリボン
黒インクリボン43の交換により、オペレータがリボンカセットから露出した部分のリボンに直接触れる可能性があり、また外気に触れるため、挨等が付着する可能性がある。
【0073】
指紋や挨等のリボン印刷面への付着は印刷面に影響がでるため、これを巻き上げてリボンコアに巻きつけられた部分を出してから印刷しなくてはならない。そのため、黒リボン交換後のイニシャル動作では、従来のイニシャル動作同様にリボン露出面の全てを巻取る動作を行う。
【0074】
b)カラーインクリボン
黒インクリボン43の交換はカラーインクリボン22には何の影響も及ぼさないため、(1)の場合と同様のイニシャル動作を行う。
【0075】
c)中間転写リボン
黒インクリボン43の交換は中間転写リボン21に何の影響も及ぼさないため、(1)の場合と同様のイニシャル動作を行う。
【0076】
(3)カラーインクリボンのみの交換後からの復帰に基づくイニシャル動作
a)黒インクリボン
カラーインクリボン22の交換は黒インクリボン43に何の影響も及ぼさないため、(1)と同様のイニシャル動作を行う。
【0077】
b)カラーインクリボン
カラーインクリボン22の交換は、オペレータがリボンカセットから露出した部分のリボンに直接触れる可能性があり、また外気に触れるため、挨等が付着している可能性もある。指紋や挨等のリボン印刷面への付着は印刷面に影響がでるため、これを巻き上げてリボンコアに巻きつけられた部分を出してから印刷しなくてはならない。そのため、カラーリボン交換後のイニシャル動作では、印刷開始色の頭出し動作を2回行い、露出部分が印刷面にならないように巻き上げる。
【0078】
c)中間転写リボン
カラーインクリボン22の交換は中間転写リボンに何の影響も及ぼさないため、(1)の場合と同様のイニシャル動作を行う。
【0079】
(4)中間転写リボンのみ交換後からの復帰に基づくイニシャル動作
a)黒インクリボン
中間転写リボン21の交換は黒インクリボン43に何の影響も及ぼさないため、(1)と同様のイニシャル動作を行う。
【0080】
b)カラーインクリボン
中間転写リボン21の交換はカラーインクリボン22に何の影響も及ぼさないため、(1)の場合と同様のイニシャル動作を行う。
【0081】
c)中間転写リボン
中間転写リボン21の交換は、オペレータがリボンカセットから露出した部分のリボンに直接触れる可能性があり、また外気に触れているため、挨等が付着している可能性もある。指紋や挨等のリボン印刷面への付着は印刷面に影響がでるため、これを巻き上げてリボンコアに巻きつけられた部分を出してから印刷しなくてはならない。そのため、転写リボン交換後のイニシャル動作では、中間転写リボン21の露出部を巻き取ってから、印刷部の位置出しを行わなくてはならない。
【0082】
(5)ジャム等のエラーからの復帰に基づくイニシャル動作
a)黒インクリボン
ジャムやエラー処理の最中の黒インクリボン43の状態が保障されないことから、黒インクリボン交換時と同様の動作を行う。
【0083】
b)カラーインクリボン
ジャムやエラー処理の最中のカラーインクリボン22の状態が保障されないことから、カラーインクリボン交換時と同様の動作を行う。
【0084】
c)中間転写リボン
ジャムやエラー処理の最中の中間転写リボン21の状態が保障されないことから、中間転写リボン交換時と同様の動作を行う。
【0085】
上記したように、イニシャル動作時には、黒インクリボン43、カラーインクリボン22、及び中間転写リボン21の露出部を全て一意的に巻き上げることなく、巻き上げが必要なリボンのみのを巻き上げる。従って、リボンの無駄な消費を抑えることができ、経済的であるという利点がある。
【0086】
なお、本発明は、上記一実施の形態に限られることなく、その要旨の範囲内で種々変形実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施の形態である通帳類印刷装置を概略的に示す構成図。
【図2】同通帳類印刷装置に備えられる中間転写印刷部を示す構成図。
【図3】同中間転写印刷部で用いられる転写リボンを示すもので、(a)はその第1の例、(b)はその第2の例、(c)はその第3の例を示す構成図。
【図4】同中間転写印刷部の転写動作を示す図。
【図5】同中間転写印刷部の転写動作の一部を拡大して示す図。
【図6】同直接印刷部で用いられる黒インクリボンを示す平面図。
【図7】同中間転写印刷部で用いられるカラーインクリボンを示す平面図。
【図8】同中間転写印刷部で用いられる中間転写リボンを示す平面図。
【図9】同カラーインクリボンの露出領域を示す図。
【図10】同中間転写リボンの露出領域を示す図。
【図11】同第1乃至第3の巻取手段の駆動制御系を示すブロック図。
【符号の説明】
【0088】
T…通帳類、2…搬送ローラ対(搬送手段)、7…直接印刷部(第1の印刷手段)、8…中間転写印刷部(第2の印刷手段)、19…サーマルヘッド(第2の印字ヘッド)、21…中間転写リボン(中間転写材)、22…カラーインクリボン(第2の転写材)、41…サーマルヘッド(第1の印字ヘッド)、43…黒インクリボン(第1の転写材)、47…第1の巻取手段、54…第2の巻取手段、64…第3の巻取手段、73…判断手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、金融機関やIDカードとして用いられる通帳類の印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の印刷装置には、通帳類やカード状の被印刷媒体に顔画像や個人情報、さらにはセキュリティ情報等を印刷するものがある。
【0003】
この印刷装置は、黒文字情報のみを黒リボンとサーマルヘッドによって直接媒体に印刷する「直接印刷部」、また、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)などからなる各色をダンダラに塗工した多色のカラーリボンとサーマルヘッドによって、ホログラム等のセキュリティ情報を備えた中間転写リボンの表面の決まった位置に画像を形成する「印刷部」、さらに、「印刷部」によって中間転写リボンの上に形成された画像情報を、ヒートローラとバックアップローラによって被印刷媒体である通帳類に転写する「オーバーコート転写部(以下、転写部という)」を備えて構成されている。
【0004】
このようなインクリボンや中間転写リボンを用いた印刷装置おいては、リボンカートリッジの装填や、機器の動作等によって弛みや印刷開始位置のズレが生じているため、装置の初期化(イニシャル動作とも言う)において、実際に印刷動作を行うためのリボンの位置出し(頭出し)動作を行う。
【0005】
このイニシャル動作は印刷装置の立ち上げ時や、媒体のジャムや、装置エラー発生後の復帰動作時、リボンカートリッジの交換時、省電力状態からの復帰動作時等、様々な状況から行われる。これらイニシャル時に行われるリボン周りの動作は、どんな状態からでも手垢や挨等、印刷品質に影響を及ぼす要因を排除するためにリボンカートリッジやリボンコアから露出した部分を巻取る動作が必須となっている。
【0006】
カラー情報を印刷する場合、印刷開始色が決まっているため、ダンダラに多色が塗工されたカラーリボンは、露出部分を巻き取った後に、リボンに塗工された印刷色を識別できる黒バーマークをセンサで読み取り、印刷開始の色の頭出し動作を行う。
【0007】
また、ホログラム等のセキュリティ情報を備えた中間転写リボンは、カラーリボン同様に露出した部分を巻き取った後、位置出しのためのホログラムバーマーク等をファイバセンサなどを用いて検出し、中間転写リボン上への印刷開始位置出しを行う。
【0008】
これら一連のイニシャルが完了した後に、印刷装置は印刷情報を中間転写リボン上や媒体に形成する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−103812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来においては、システムの立ち上げ時や、媒体のジャム、装置エラー発生後の復帰動作時、リボンカートリッジの交換時、省電力状態からの復帰動作時等、どの状況からでも、イニシャル指示がかかると一意的に各リボンの露出部分の巻取り、および印刷頭出しを含めた機器全体のイニシャル動作を自動的に行っている。
【0010】
ところで、装置によってはシステムを立ち上げただけで、実際には、印刷動作を行わない場合がある。
【0011】
しかしながら、このような場合であっても、従来においては、リボンの巻上げ動作を行っていたため、リボンを無駄に消費してしまうという状況が発生していた。
【0012】
また、「直接印刷部」「中間転写印刷部」などのように、印刷ユニットが複数に分かれた印刷機では印刷データによって「直接印刷部」で印刷を行わないなど、実際には印刷動作を行わないユニットも存在するが、イニシャル動作をかけるたびに、印刷動作を行わないユニットもリボンを巻取ることになり、場合によっては一度も印刷せずにリボンを使い切ってしまうケースも発生してしまう。
【0013】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、初期化動作に際し、該初期化前における動作状況に応じて転写材及び中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断することにより、転写材及び中間転写材の無駄な消費を抑えることができるようにした通帳類印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1記載のものは、通帳類を搬送する搬送手段と、一部を露出して対向する転写材及び中間転写材を有し、前記転写材を介して前記中間転写材に印字ヘッドを接触させることにより前記転写材の色剤を前記中間転写材に転写し、この中間転写材の色剤を前記搬送手段によって搬送される通帳類に転写させて印刷する印刷手段と、前記転写材を巻き取る第1の巻取手段、及び前記中間転写材を巻き取る第2の巻取手段と、異なる原因に基づいてそれぞれ初期化動作を指示する指示手段と、この指示手段によって指示された初期化動作の原因に基づいて前記転写材及び中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断する判断手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載のものは、通帳類を搬送する搬送手段と、一部を露出する第1の転写材を有し、この第1の転写材を介して第1の印字ヘッドを前記搬送手段によって搬送される通帳類に接触させることにより、前記第1の転写材の色剤を前記通帳類に転写して印刷する第1の印刷手段と、一部を露出して対向する第2の転写材及び中間転写材を有し、前記第2の転写材を介して前記中間転写材に第2の印字ヘッドを接触させることにより前記第2の転写材の色剤を前記中間転写材に転写し、この中間転写材の色剤を前記搬送手段によって搬送される通帳類に転写させて印刷する第2の印刷手段と、前記第1の転写材を巻き取る第1の巻取手段、前記第2の転写材を巻き取る第2の巻取手段及び前記中間転写材を巻き取る第3の巻取手段と、異なる原因に基づいてそれぞれ初期化動作を指示する指示手段と、この指示手段によって指示された初期化動作の原因に基づいて前記第1及び第2の転写材、さらに、前記中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断する判断手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、初期化動作時には、巻き取りが必要な転写材(或いは中間転写材)の露出部分のみを巻き取ることができ、転写材及び中間転写材の無駄な消費を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態である通帳印刷装置1を示す全体構成図である。
【0019】
この通帳類印刷装置1は取出手段としての通帳類取込部4を備え、この通帳類取込部4には通帳類Tが閉じた状態で複数冊積層されてセットされている。この通帳類取込部4から通帳類Tが一冊づつ取り込まれ、搬送手段としての複数個の搬送ローラ対2によって搬送路3に沿って搬送されるようになっている。搬送路3中には通帳類Tの搬送方向に沿って頁捲り部6、直接印刷部(第1の印刷手段)7、及び中間転写印刷部(第2の印刷手段)8が配設されている。
【0020】
また、搬送路3の排出端側には搬送路3から排出される通帳類Tを集積する通帳類集積部12が設けられている。
【0021】
上記通帳類取込部4は、複数の通帳類Tを重ねたまま投入可能であり、制御部の指示に応じて最も下側のものからピッカ(図示しない)によって取り出すようになっている。
【0022】
頁捲り装置6は、通帳類取込部4から取り込まれた通帳類Tの表紙を捲ったり、さらに内側の中紙をめくる機能を有する。めくった頁の認識は、通帳類Tに当初より印刷されているバーマークを、図示しないバーマークリーダで読み取ることで行う。
【0023】
直接印刷部7は、サーマルヘッド(第1の印字ヘッド)41を有し、このサーマルヘッド41にはプラテンローラ42が対向配置されている。このサーマルヘッド41とプラテンローラ42との間には図6に示すような黒インクリボン(第1の転写材)43が介在されている。黒インクリボン43の一端部側は送出軸44に巻き付けられ、他端部側は巻取軸45に巻き付けられ、中途部は外部に露出されている。黒インクリボン43の中途部はガイドシャフト46に掛け渡されている。送出軸44と巻取軸45とによって第1の巻取手段47が構成されている。
【0024】
黒インクリボン43は、巻取軸45がパルスモータとトルクリミッタからなる第1の駆動機構48によって回転されることにより、一定のトルクで巻き取られるようになっている。黒インクリボン43の送出軸44側にはエンコーダ(図示しない)が設けられ、そのパルス量を検出することによってリボンの回転速度、巻径などが検出される。
【0025】
直接印刷部7では、印刷する通帳類Tの印刷頁表面上に黒インクリボン43を介してサーマルヘッド41を押し当て、このサーマルヘッド41が選択的に発熱することで画像や文字を印刷する。この実施の形態では、中間転写印刷部8で印刷される情報に比べて、セキュリティ度合いが低い情報を直接印刷部7によって印刷する。
【0026】
なお、通帳類Tの全てが直接印刷部7で印刷されるわけではなく、また、直接印刷部7で印刷される頁は、中間転写印刷部8で印刷される頁とは異なる。このため、直接印刷部7での印刷が発生した場合は、まず印刷する頁を頁捲り装置6で捲り出して直接印刷を行った後に、再度頁捲り装置6に搬送して中間転写印刷を行う頁を捲り出す。直接印刷部7で印刷される情報がない場合は、通帳類Tは直接印刷部7を通過する。
【0027】
図2は、上記した中間転写印刷部8を示すものである。
【0028】
中間転写印刷部8は機能的に情報印刷部(以下、印刷部という)16と、オーバーコート転写部(以下、転写部という)17とを有して構成されている。
【0029】
印刷部16としては熱溶融転写印刷方式のものが採用されている。即ち、サーマルヘッド(第2の印字手段)19とプラテンローラ20に挟まれるようにカラーインクリボン(第2の転写材)22と中間転写リボン(中間転写材)21とを配置し、サーマルヘッド19によりカラーインクリボン22のインクを中間転写リボン21の表面に転写して情報等を印刷する。
【0030】
カラーインクリボン22は図7に示すようにY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の三原色のインクに加えて黒インクの4色を有しているとともに、印刷色位置出しのための黒マーク22aが打たれている。
【0031】
カラーインクリボン22の一端部側は送出軸51に巻き付けられ、他端部側は巻取軸52に巻き付けられ、中途部は外部に露出されている。カラーインクリボン22の中途部はガイドシャフト53に掛け渡されている。送出軸51と巻取軸52とによって第2の巻取手段54が構成されている。
【0032】
カラーインクリボン22は、巻取軸52がパルスモータとトルクリミッタからなる第2の駆動機構55によって回転されることにより、一定のトルクで巻き取られる。カラーインクリボン22の送出軸51にはエンコーダ(図示しない)が設けられ、そのパルス量を検出することによってリボンの回転速度、巻径などが検出される。
【0033】
この熱溶融転写方式の特徴としては、画像耐久性が高いこと、インク材料に機能性材料を適用することが比較的容易なこと(例えば蛍光顔料、アルミ蒸着薄膜)などがあり、偽造防止を目的とする印刷物に適している。
【0034】
カラーインクリボン22のベースフィルム厚やインク層厚は、印刷ドット再現性に極めて重要なパラメータであり、インクリボン層厚としては3〜25μmであり、望ましくは4〜10μmである。
【0035】
一方、中間転写リボン21の後述するベースフィルムの厚さや、受像兼接着層厚は、接着性や膜切れ特性に影響を与えるパラメータであり、中間転写リボン21の層厚は、10〜100μmであり、望ましくは25〜50μmである。
【0036】
プラテンローラ20は硬質のゴム材料を表面に用いたローラで、ゴム硬度が上がるほどに微小ドットの再現性が向上するが、同時に最適なプラテンローラ20とサーマルヘッド19の位置関係を得ることが難しくなる。このため、硬度は75°以上、望ましくは85〜97°である。同時に研磨したゴム表面の表面粗さも、表面平滑性が上がるほどに微小ドットの再現性が向上する。このため、表面粗さは中心線平均粗さRaで1μm以下、望ましくは0.5μm程度であることが要求される。
【0037】
中間転写リボン21を搬送する駆動力は、一般的にプラテンローラ20に駆動機構を設けることが多いが、上記の硬度と平滑性から中間転写リボン21とプラテンローラ20の摩擦係数が上がらず、また安定しない。このため、プラテンローラ20の下流(ヒートローラ側)直近に別途リボン駆動ローラ23を設ける。リボン駆動ローラ23は硬度30〜60度のローラを用い、中間転写リボン21はリボン駆動ローラ23に対して出来るだけ巻付き角が大きいほうが良い。実施例では90°から130°の巻き付き角をえられるようにテンショナ24を配置する。
【0038】
テンショナ24には図示しないバネ機構が設けられ、限られた可動範囲内で中間転写リボン21にテンションを与えて、リボン駆動ローラ23と中間転写リボン21が常に適切に接触する状態を作り出す。リボン駆動ローラ23の駆動は5相ステッピングモータ、タイミングベルト、プーリによる減速機構の組み合わせにより、正確に搬送が行われる。また、サーマルヘッド19はニアエッジ、またはコーナエッジタイプのヘッドを用い、熱時剥離による印刷を行うことが望ましい。
【0039】
中間転写リボン21の一端部側は送出軸61に巻き付けられ、他端部側は巻取軸62に巻き付けられ、中途部は外部に露出されている。送出軸61と巻取軸62とによって第3の巻取手段64が構成されている。中間転写リボン21は、巻取軸62がパルスモータとトルクリミッタからなる第3の駆動機構65によって回転されることにより、一定のトルクで巻き取られるようになっている。中間転写リボン21の送出軸61にはエンコーダ(図示しない)が設けられ、そのパルス量を検出することによってリボンの回転速度、巻径などが検出される。
【0040】
また、転写部17は通帳類搬送路3を介して対向配置されるヒートローラ35とバックアップローラ36を備えている。ヒートローラ35はDCサーボモータ若しくはステッピングモータにより正確に一定速度で駆動可能になっており、回転自在なバックアップローラ36との間にはコイルバネ37で発生された圧力が付与されるようになっている。
【0041】
図3(a)〜(c)は中間転写リボン21の構成を示す断面図である。
【0042】
図3(a)に示す中間転写リボン21は、基材としてのポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)のフィルム26の表面に、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0043】
また、図3(b)に示す中間転写リボン21は、基材としてのPETフィルム26の表面に、剥離層としてのフェノキシ系樹脂27、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0044】
さらに、図3(c)に示す中間転写リボン21は、基材としてのPETフィルム26の表面に、剥離層としてのフェノキシ系樹脂27、保護層30、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0045】
中間転写リボン21のホログラム形成層には図8に示すようにホログラムパターン28a及びホログラムによるバーマーク28bが形成されている。
【0046】
その他、中間転写リボン21としては紫外線によって発光する蛍光発色層などの機能層を設け、転写対象への転写と同時にこれらの機能層も転写するものであってもよい。
【0047】
次に、上記したように構成される通帳類印刷装置1の動作について説明する。
【0048】
まず、図1に示す通帳類取込部4から通帳類Tが1冊づつ取出されて頁捲り装置6に搬送され、ここで、通帳類Tの表紙が捲られて所定のページが開いた状態となる。
【0049】
一方、中間転写印刷部8では、印刷データに基づいてサーマルヘッド19を動作させてY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の三原色のインクに加えて黒インクの4色を重ね合せて所持人の顔画像を中間転写リボン21の表面にカラー印刷する。これら複数色のインクの重ね合わせによる印刷は、中間転写リボン21がサーマルヘッド19をインクの色数と同じ回数往復することで行われる。また、印刷される情報は、反転画像であるという特徴がある。なお、印刷色は上記4色のインクに加えて、蛍光顔料を含んだインクなど機能性インクを付与してもよい。
【0050】
この所持人の顔画像のカラー印刷後、通帳固有情報が付与されたセキュリティ情報が中間転写リボン21の表面にサーマルヘッド19により印刷される。
【0051】
このようにカラー顔画像、及びセキュリティ情報が印刷された中間転写リボン21は順方向(ヒートローラ35の方向)に巻き取られ、図4(a)に示すように経路途中の転写部マーク検知センサ39によって中間転写リボン21の位置が把握される。この把握結果に基づいて転写開始位置まで中間転写リボン21が送られる。
【0052】
また、このとき通帳類Tは、転写される頁が開かれた状態で図4(b)に示すように取り込まれて、ヒートローラ35に対して決められた位置に搬送される。転写される頁は、表紙見返し頁でも、他の中紙頁でもかまわない。
【0053】
このように互いに位置決めされた中間転写リボン21と通帳類Tの該当ベージは、図4(c)に示すように円周の一部が切り欠かれた形状の金属製のヒートローラ35の回転と共に合わされ、搬送と同時に加圧されるとともに加熱される。その後、図5に示すように通帳類Tに対して60°〜110°の角度をもって転写リボンベース26が引き上げられて、固有印刷情報と受像兼接着層29、ホログラム層28の転写が完了し、固有情報が転写されたものを含み、数字、文字、記号、バーコード等からなるセキュリティ情報及び所持人のカラー顔画像が転写される。転写が完了した通帳類Tは、集積部12に排出される。
【0054】
ところで、図11は上記した第1乃至第3の巻取手段47,54、64の駆動制御系を示すブロック図である。
【0055】
第1乃至第3の巻取手段47,54、64を駆動する第1乃至第3の駆動機構48,55、65には、制御回路を介して制御部71が接続され、この制御部71には判断手段73を介して装置初期化原因の指示手段75が接続されている。
【0056】
指示手段75は装置初期化の原因を指示するものである。即ち、装置初期化の原因が(1)電源投入時や、印刷装置の省電力状態からの復帰、(2)黒インクリボンのみ交換後からの復帰、(3)カラーインクリボンのみ交換後からの復帰、(4)中間転写リボンのみ交換後からの復帰、(5)ジャム等のエラーからの復帰であることなどを指示する。
【0057】
判断手段73は指示手段75から指示される装置初期化の原因に基づいて第1乃至第3の巻取手段47,54、64を動作させるべきか否かを判断するものである。
【0058】
制御部71は、判断手段73の判断に基づいて第1乃至第3の駆動機構48,55,65の動作を制御するようになっている。
【0059】
つぎに、上記した印刷装置の初期化動作(以下、イニシャル動作という)について詳しく述べる。
【0060】
この実施の形態においては、イニシャル動作がかけられる原因は上記した5つのパターンに分けられる。
【0061】
以下、それぞれのパターンにおける、イニシャル動作について記述する。
【0062】
(1)電源投入時や、印刷装置の省電力状態からの復帰に基づくイニシャル動作
a)黒インクリボン
黒インクリボン43は交換が行われたわけではないので、リボンカセットから露出するリボン露出部分に手が触れたり、外気が触れて挨が付着するといったことは考えにくい。このため、黒インクリボン43の露出部分を巻き上げることはしない。
【0063】
ただ、機構動作確認のためのサーマルヘッド41の上下駆動で弛んだリボン部分のみは巻き上げる(リボンの弛取動作)。
【0064】
このリボンの弛取が完了したことを知るには、リボン送出側のエンコーダパルス(図示しない)を検出することで行う。すなわち、黒インクリボンの巻上げ動作を行い、送出側でエンコーダパルスが規定個数得られたら、リボンの弛み取り完了とする。
【0065】
なお、この実施の形態では1周12羽のエンコーダの2パルス分を検出したら弛み取り完了としている。(暗→明、明→暗のステータス切り替わりで2パルスとしている。)
また、黒インクリボン43は多色が塗工されているカラーインクリボン22とは異なり、全面に黒インクが塗布されているため、このイニシャル動作の後に直接印刷動作を行うことになっても、特に頭出し動作は必要とせず、そのまま直接印刷動作を行うことが可能である。
【0066】
このように、黒インクリボン43の露出部分を巻き上げないため、従来のように一意的にリボン露出部を巻き上げるイニシャル動作よりも大幅に無駄なリボンの巻上げ量を抑えることができる。
【0067】
b)カラーインクリボン
黒インクリボン43と同様に、機構動作確認のためのサーマルヘッド19の上下駆動で弛んだリボン部分のみを巻き上げる。これも送出側のエンコーダパルスが2パルス得られたら弛取り完了としている。
【0068】
ただし、カラーインクリボン22の場合、印刷開始色が決まっているため、弛み取り終了後のリボン位置が印刷開始色の面出しが終わっていない場合には印刷が出来ない。このため、カラー印刷動作指示がきたら、その時点で印刷開始色の位置出し動作を行い、カラー印刷を行う。
【0069】
このように、カラーインクリボン22のリボン露出部を巻き上げないため、従来のように一意的にリボン露出部を巻き上げるイニシャル動作よりも大幅に無駄なリボンの巻上げ量(図9に示す寸法A)を抑えることができる。
【0070】
c)中間転写リボン
前述の印刷動作で記述したように、中間転写リボン21は印刷位置出しを行うが、事前に位置出しが完了してたとしても、印刷開始位置の保証がされない。そのため、復帰動作時には再度、位置出し動作が必要となる。
【0071】
従来は,中間転写リボンの露出部(図10に示す寸法B)を巻き取ってから、印刷開始位置出しを行っていたが、この場合、一旦送り出し方向とは逆に巻き上げてから再度、正搬送で印刷位置出しを行う。このように、リボンを事前に巻き戻しをしておくことで、無駄なリボンの消費を抑えることができる。
【0072】
(2)黒インクリボンのみ交換後からの復帰に基づくイニシャル動作
a)黒インクリボン
黒インクリボン43の交換により、オペレータがリボンカセットから露出した部分のリボンに直接触れる可能性があり、また外気に触れるため、挨等が付着する可能性がある。
【0073】
指紋や挨等のリボン印刷面への付着は印刷面に影響がでるため、これを巻き上げてリボンコアに巻きつけられた部分を出してから印刷しなくてはならない。そのため、黒リボン交換後のイニシャル動作では、従来のイニシャル動作同様にリボン露出面の全てを巻取る動作を行う。
【0074】
b)カラーインクリボン
黒インクリボン43の交換はカラーインクリボン22には何の影響も及ぼさないため、(1)の場合と同様のイニシャル動作を行う。
【0075】
c)中間転写リボン
黒インクリボン43の交換は中間転写リボン21に何の影響も及ぼさないため、(1)の場合と同様のイニシャル動作を行う。
【0076】
(3)カラーインクリボンのみの交換後からの復帰に基づくイニシャル動作
a)黒インクリボン
カラーインクリボン22の交換は黒インクリボン43に何の影響も及ぼさないため、(1)と同様のイニシャル動作を行う。
【0077】
b)カラーインクリボン
カラーインクリボン22の交換は、オペレータがリボンカセットから露出した部分のリボンに直接触れる可能性があり、また外気に触れるため、挨等が付着している可能性もある。指紋や挨等のリボン印刷面への付着は印刷面に影響がでるため、これを巻き上げてリボンコアに巻きつけられた部分を出してから印刷しなくてはならない。そのため、カラーリボン交換後のイニシャル動作では、印刷開始色の頭出し動作を2回行い、露出部分が印刷面にならないように巻き上げる。
【0078】
c)中間転写リボン
カラーインクリボン22の交換は中間転写リボンに何の影響も及ぼさないため、(1)の場合と同様のイニシャル動作を行う。
【0079】
(4)中間転写リボンのみ交換後からの復帰に基づくイニシャル動作
a)黒インクリボン
中間転写リボン21の交換は黒インクリボン43に何の影響も及ぼさないため、(1)と同様のイニシャル動作を行う。
【0080】
b)カラーインクリボン
中間転写リボン21の交換はカラーインクリボン22に何の影響も及ぼさないため、(1)の場合と同様のイニシャル動作を行う。
【0081】
c)中間転写リボン
中間転写リボン21の交換は、オペレータがリボンカセットから露出した部分のリボンに直接触れる可能性があり、また外気に触れているため、挨等が付着している可能性もある。指紋や挨等のリボン印刷面への付着は印刷面に影響がでるため、これを巻き上げてリボンコアに巻きつけられた部分を出してから印刷しなくてはならない。そのため、転写リボン交換後のイニシャル動作では、中間転写リボン21の露出部を巻き取ってから、印刷部の位置出しを行わなくてはならない。
【0082】
(5)ジャム等のエラーからの復帰に基づくイニシャル動作
a)黒インクリボン
ジャムやエラー処理の最中の黒インクリボン43の状態が保障されないことから、黒インクリボン交換時と同様の動作を行う。
【0083】
b)カラーインクリボン
ジャムやエラー処理の最中のカラーインクリボン22の状態が保障されないことから、カラーインクリボン交換時と同様の動作を行う。
【0084】
c)中間転写リボン
ジャムやエラー処理の最中の中間転写リボン21の状態が保障されないことから、中間転写リボン交換時と同様の動作を行う。
【0085】
上記したように、イニシャル動作時には、黒インクリボン43、カラーインクリボン22、及び中間転写リボン21の露出部を全て一意的に巻き上げることなく、巻き上げが必要なリボンのみのを巻き上げる。従って、リボンの無駄な消費を抑えることができ、経済的であるという利点がある。
【0086】
なお、本発明は、上記一実施の形態に限られることなく、その要旨の範囲内で種々変形実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施の形態である通帳類印刷装置を概略的に示す構成図。
【図2】同通帳類印刷装置に備えられる中間転写印刷部を示す構成図。
【図3】同中間転写印刷部で用いられる転写リボンを示すもので、(a)はその第1の例、(b)はその第2の例、(c)はその第3の例を示す構成図。
【図4】同中間転写印刷部の転写動作を示す図。
【図5】同中間転写印刷部の転写動作の一部を拡大して示す図。
【図6】同直接印刷部で用いられる黒インクリボンを示す平面図。
【図7】同中間転写印刷部で用いられるカラーインクリボンを示す平面図。
【図8】同中間転写印刷部で用いられる中間転写リボンを示す平面図。
【図9】同カラーインクリボンの露出領域を示す図。
【図10】同中間転写リボンの露出領域を示す図。
【図11】同第1乃至第3の巻取手段の駆動制御系を示すブロック図。
【符号の説明】
【0088】
T…通帳類、2…搬送ローラ対(搬送手段)、7…直接印刷部(第1の印刷手段)、8…中間転写印刷部(第2の印刷手段)、19…サーマルヘッド(第2の印字ヘッド)、21…中間転写リボン(中間転写材)、22…カラーインクリボン(第2の転写材)、41…サーマルヘッド(第1の印字ヘッド)、43…黒インクリボン(第1の転写材)、47…第1の巻取手段、54…第2の巻取手段、64…第3の巻取手段、73…判断手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通帳類を搬送する搬送手段と、
一部を露出して対向する転写材及び中間転写材を有し、前記転写材を介して前記中間転写材に印字ヘッドを接触させることにより前記転写材の色剤を前記中間転写材に転写し、この中間転写材の色剤を前記搬送手段によって搬送される通帳類に転写させて印刷する印刷手段と、
前記転写材を巻き取る第1の巻取手段、及び前記中間転写材を巻き取る第2の巻取手段と、
異なる原因に基づいてそれぞれ初期化動作を指示する指示手段と、
この指示手段によって指示された初期化動作の原因に基づいて前記転写材及び中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断する判断手段と
を具備することを特徴とする通帳類印刷装置。
【請求項2】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、電源投入時、或いは、待機状態からの復帰である場合には、前記転写材及び中間転写材の露出部分の巻き取りは行なわないと判断することを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項3】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記転写材の交換後の復帰である場合には、前記転写材の露出部分のみを巻き取ると判断することを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項4】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記中間転写材の交換後の復帰である場合には、前記中間転写材の露出部分のみを巻き取ると判断することを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項5】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記通帳類の処理エラーからの復帰である場合には、前記転写材及び中間転写材の露出部分を巻き取ると判断することを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項6】
通帳類を搬送する搬送手段と、
一部を露出する第1の転写材を有し、この第1の転写材を介して第1の印字ヘッドを前記搬送手段によって搬送される通帳類に接触させることにより、前記第1の転写材の色剤を前記通帳類に転写して印刷する第1の印刷手段と、
一部を露出して対向する第2の転写材及び中間転写材を有し、前記第2の転写材を介して前記中間転写材に第2の印字ヘッドを接触させることにより前記第2の転写材の色剤を前記中間転写材に転写し、この中間転写材の色剤を前記搬送手段によって搬送される通帳類に転写させて印刷する第2の印刷手段と、
前記第1の転写材を巻き取る第1の巻取手段、前記第2の転写材を巻き取る第2の巻取手段及び前記中間転写材を巻き取る第3の巻取手段と、
異なる原因に基づいてそれぞれ初期化動作を指示する指示手段と、
この指示手段によって指示された初期化動作の原因に基づいて前記第1及び第2の転写材、さらに、前記中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断する判断手段と
を具備することを特徴とする通帳類印刷装置。
【請求項7】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、電源投入時、或いは、待機状態からの復帰である場合には、前記第1及び第2の転写材の露出部分、さらに、前記中間転写材の露出部分は巻き取らないと判断することを特徴とする請求項6記載の通帳類印刷装置。
【請求項8】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記第1の転写材の交換後の復帰である場合には、前記第1の転写材の露出部のみを巻取ると判断することを特徴とする請求項6記載の通帳類印刷装置。
【請求項9】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記第2の転写材の交換後の復帰である場合には、前記第2の転写材の露出部のみを巻取ると判断することを特徴とする請求項6記載の通帳類印刷装置。
【請求項10】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記中間転写材の交換後の復帰である場合には、前記中間転写材の露出部のみを巻き取ると判断することを特徴とする請求項6記載の通帳類印刷装置。
【請求項11】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記通帳類の処理エラーからの復帰である場合には、前記第1及び第2の転写材の露出部、さらに、前記中間転写材の露出部を巻き取ると判断することを特徴とする請求項6記載の通帳類印刷装置。
【請求項1】
通帳類を搬送する搬送手段と、
一部を露出して対向する転写材及び中間転写材を有し、前記転写材を介して前記中間転写材に印字ヘッドを接触させることにより前記転写材の色剤を前記中間転写材に転写し、この中間転写材の色剤を前記搬送手段によって搬送される通帳類に転写させて印刷する印刷手段と、
前記転写材を巻き取る第1の巻取手段、及び前記中間転写材を巻き取る第2の巻取手段と、
異なる原因に基づいてそれぞれ初期化動作を指示する指示手段と、
この指示手段によって指示された初期化動作の原因に基づいて前記転写材及び中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断する判断手段と
を具備することを特徴とする通帳類印刷装置。
【請求項2】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、電源投入時、或いは、待機状態からの復帰である場合には、前記転写材及び中間転写材の露出部分の巻き取りは行なわないと判断することを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項3】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記転写材の交換後の復帰である場合には、前記転写材の露出部分のみを巻き取ると判断することを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項4】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記中間転写材の交換後の復帰である場合には、前記中間転写材の露出部分のみを巻き取ると判断することを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項5】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記通帳類の処理エラーからの復帰である場合には、前記転写材及び中間転写材の露出部分を巻き取ると判断することを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項6】
通帳類を搬送する搬送手段と、
一部を露出する第1の転写材を有し、この第1の転写材を介して第1の印字ヘッドを前記搬送手段によって搬送される通帳類に接触させることにより、前記第1の転写材の色剤を前記通帳類に転写して印刷する第1の印刷手段と、
一部を露出して対向する第2の転写材及び中間転写材を有し、前記第2の転写材を介して前記中間転写材に第2の印字ヘッドを接触させることにより前記第2の転写材の色剤を前記中間転写材に転写し、この中間転写材の色剤を前記搬送手段によって搬送される通帳類に転写させて印刷する第2の印刷手段と、
前記第1の転写材を巻き取る第1の巻取手段、前記第2の転写材を巻き取る第2の巻取手段及び前記中間転写材を巻き取る第3の巻取手段と、
異なる原因に基づいてそれぞれ初期化動作を指示する指示手段と、
この指示手段によって指示された初期化動作の原因に基づいて前記第1及び第2の転写材、さらに、前記中間転写材の露出部分の巻き取りを行うか否かを判断する判断手段と
を具備することを特徴とする通帳類印刷装置。
【請求項7】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、電源投入時、或いは、待機状態からの復帰である場合には、前記第1及び第2の転写材の露出部分、さらに、前記中間転写材の露出部分は巻き取らないと判断することを特徴とする請求項6記載の通帳類印刷装置。
【請求項8】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記第1の転写材の交換後の復帰である場合には、前記第1の転写材の露出部のみを巻取ると判断することを特徴とする請求項6記載の通帳類印刷装置。
【請求項9】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記第2の転写材の交換後の復帰である場合には、前記第2の転写材の露出部のみを巻取ると判断することを特徴とする請求項6記載の通帳類印刷装置。
【請求項10】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記中間転写材の交換後の復帰である場合には、前記中間転写材の露出部のみを巻き取ると判断することを特徴とする請求項6記載の通帳類印刷装置。
【請求項11】
前記判断手段は、初期化動作の原因が、前記通帳類の処理エラーからの復帰である場合には、前記第1及び第2の転写材の露出部、さらに、前記中間転写材の露出部を巻き取ると判断することを特徴とする請求項6記載の通帳類印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−256245(P2006−256245A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79746(P2005−79746)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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