説明

通気性多孔質体及びガス浄化用カラム

【課題】吸音性や吸着性に優れ、且つ品質の安定した多孔質体の提供、該多孔質体を利用した従来方法と比べて格段にガス成分と吸着分解触媒との接触面積を増大させることができ、しかもカラムに充填して使用した場合に、圧力損失が少なく、充填量を多くすることでより高い機能が発揮される有用な多孔質体の提供、舗装或いは建築材料に利用しやすい多孔質骨材の提供。
【解決手段】平均粒子径が直径で0.2mm以上2mm以下の範囲にある、均一な大きさの無機系材料からなる球状粒子が、複数個、固着又は集合してなることを特徴とする通気性多孔質体、これを用いたガス浄化用カラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に吸音効果を必要とする舗装或いは建築材料として有用な通気性多孔質体に関し、また、該多孔質体を使用することで、悪臭ガスや有害ガスといったガス成分を効率よく吸着或いは分解除去することができるガス浄化用カラムの充填物として有用な通気性多孔質体、及びガス浄化用カラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製品の軽量化や、断熱性、吸音性或いは吸着性等を向上させることを目的として、セラミックス材料を多孔質化させることが広く行われている。多孔質材料を得る方法としては大別して、(1)スポンジ状の構造体とする方法と、(2)粒子同士を結合させた構造体とする方法とがある。上記(1)の方法としては、例えば、主原料中に、気孔形成材として発泡剤を入れたり、焼失粒子を入れて焼成することにより、気孔を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、上記(2)の方法としては、例えば、粉砕した粒子を樹脂系バインダや無機系バインダにより結合させて粒子間の空隙により気孔を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。
【0003】
しかしながら、本発明者らが検討した結果、上記従来技術によって得られた多孔質体は、形成された気孔径や気孔率がばらつくため、例えば、吸音材料として使用したときには、吸音特性を制御することが難しいという問題があった。また、これらの材料は保水性も高く、濡れる場所で使用した場合には気孔部に水が貯まり易く、しかも抜け難いため、吸音性や吸着性を低下させるという問題点もあった。これに対し、上記(2)の方法において、粉砕粒子同士を結合させて気孔を形成させる場合に、粉砕粒子の粒径をできるだけ揃えることにより、気孔径のバラツキを少なくすることは、不可能なことではない。しかし、粉砕粒子の場合は、ある程度粒径を揃えたとしてもその形が不定形のため粒子間の重なりが多く、十分な気孔率が確保し難いという欠点があった。また、粉砕粒子は比表面積が大きいので、粒子同士を結合させるのに必要なバインダ量が多くなりやすく、このために気孔率が低下してしまうといった問題もあった。更に、形成される連続気孔が迷路のようになるために通気性が悪く、高い吸音性や吸着性を期待した場合には、多孔質体の表面付近しかその特性を生かせず、満足できるものではなかった。
【0004】
また、本発明者らは、上記した多孔質体における通気性の問題について検討し、優れた吸音性や吸着性を発揮し得る多孔質体にするべく改良を重ねていく過程で、この通気性の問題を解決できれば、悪臭・有害ガス成分を効率よく吸着分解除去することができる安価な多孔質材料の提供することが可能となり、この点からも非常に有用であるとの認識をもつに至った。従来より、悪臭・有害ガス成分を吸着分解除去する場合には、活性炭等の吸着剤や分解触媒を充填した容器にガスを通過させ、悪臭・有害成分を吸着或いは分解する方法で除去するのが一般的である。しかしながら、このような従来技術においては、下記のような問題があった。
【0005】
活性炭等を用いる上記した従来技術においては、使用する吸着剤や分解触媒の粒状物の粒径が小さい程、ガスが接触する比表面積が大きくなるので、吸着または分解性能は高くなる。しかし、この場合には圧力損失は増加するので、吸着剤等の充填量を増やすことができないという問題点がある。これに対し、吸着剤や分解触媒の粒状物の粒径を大きくすれば、粒状物によって形成される連続気孔の径が大きくなり、この結果、通過する空気との摩擦が減るので圧力損失は減少し、充填量を増やすことが可能となる。しかしながら、この場合は、ガスが接触する比表面積は減少するので、吸着や分解効率が悪くなるという問題が生じる。更に、吸着や分解は粒子の表面付近で作用するので、大きな粒子を使った場合には、内部の方は吸着や分解に寄与することができず、材料の無駄が多いという問題もある。
【0006】
自動車の排ガス等を浄化する手段として、道路舗装に使用している安価な基材である骨材粒子表面に触媒成分を被覆させる方法についての提案がある(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、この方法では、使用中に粒子同士の擦れにより触媒がとれ、効果が持続し難いといった問題がある。このため、悪臭・有害ガス成分を効率よく吸着または分解除去することができる安価な材料の開発が望まれている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−264753公報
【特許文献2】特開平8−310882号公報
【特許文献3】特公平5−16391号公報
【特許文献4】特開平9−16180号公報
【特許文献5】特開2001−48608公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解消し、特に、吸音性や吸着性に優れ、かつ品質の安定した通気性多孔質体を提供するとともに、舗装或いは建築材料に利用しやすい形態の多孔質骨材を提供することにある。本発明の他の目的は、前記した従来技術の課題を解決し、従来方法と比べて格段にガス成分と吸着分解触媒との接触面積を増大させることができ、しかもカラムに充填して使用した場合に、圧力損失が少なく、その充填量を多くすることで、より高い機能が発揮される有用な通気性多孔質体を提供することにある。上記のような通気性多孔質体が得られれば、使用する吸着分解触媒の能力を最大限に発揮させることができ、悪臭成分や有害成分等のガス成分を、吸着分解触媒によって効率よく除去することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、(1)平均粒子径が直径で0.2mm以上2mm以下の範囲にある、均一な大きさの無機系材料からなる球状粒子が、複数個、固着又は集合してなることを特徴とする通気性多孔質体である。尚、本発明で言う球状粒子とは、特に真球を意味するものではなく、社会通念上、球状と呼べる程度の球体のことを意味する。このようなものであれば、後述する本発明の効果を容易に得ることができる。
【0010】
本発明の好ましい形態としては、下記の(2)〜(7)のものが挙げられる。(2)上記複数個の球状粒子のうちの少なくとも一部の粒子が、その球面の一部に凹部を有する球状粒子である通気性多孔質体。(3)上記複数個の球状粒子のうちの少なくとも一部の粒子が、連続した気孔を有する球状粒子である通気性多孔質体。(4)上記複数個の球状粒子が、焼成による接着或いはバインダによる接着によって、固着状態を維持しており、かつ、その長手方向の長さが、5mm以上20mm以下の範囲にある通気性多孔質体。(5)骨材として使用されるものである通気性多孔質体。(6)上記複数個の球状粒子のうちの少なくとも一部の粒子が、その表面に、ガス成分に対する吸着分解触媒を付着してなる球状粒子、或いは、その内部に、ガス成分に対する吸着分解触媒を含有してなる球状粒子である通気性多孔質体。(7)道路舗装材料或いは建築材料として使用されるものである通気性多孔質体。
【0011】
本発明の別の実施形態としては、悪臭及び/又は有害ガス成分を吸着或いは分解除去する機能を有する固形物が充填されてなるガス浄化用カラムであって、固形物が、複数個の球状粒子が固着してなる形態の、上記いずれかの通気性多孔質体であることを特徴とするガス浄化用カラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、下記の効果が得られる。
(ア)本発明の通気性多孔質体は、平均粒子径が直径で0.2mm以上2mm以下の範囲にある、均一な大きさの球状粒子(以下、単に球状粒子と称す)が複数個、固着或いは集合してなるものであるため、複数個の球状粒子によって形成される気孔の形状を、連続気孔であって、かつ気孔径がほぼ均一なものとなるように容易に制御できる。上記したような形状の気孔の形成によって、本発明の通気性多孔質体は、安定した通気特性や吸音特性が確保されたものになり、一定の品質を安定して維持した製品となる。また、水で濡れる場所で使用した場合でも、水が抜け易い構造であるので、保水によって生じる品質低下を軽減することができる。
【0013】
(イ)球状粒子が複数個、固着してなる形態の本発明の通気性多孔質体は、上記に加えて、例えば、道路舗装材やコンクリートに一般的に使われる5mm以上の粗骨材形状にすることができるので、既存の道路舗装材やコンクリートの粗骨材に代替して利用することが容易である。しかも、このような形態の本発明の通気性多孔質体を用いて形成した構造体は、要求される従来の品質を低下させることなく、安定した高い吸音特性等の機能が付加されたものとなる。また、球状粒子が複数個、集合してなる形態の本発明の通気性多孔質体は、例えば、道路舗装材やコンクリートを施工する際に形成される連続した空隙部に、複数の球状粒子を充填することで容易に形成されるが、この場合にも、上記した5mm以上の粗骨材として使用した場合と同様な効果を得ることができる。すなわち、本発明の通気性多孔質体は、複数の球状粒子が固着してなる固形化された形態のものであっても、複数の球状粒子が集合してなる集合体の形態のものであっても、例えば、道路舗装材(骨材)として使用することができる。そして、本発明の通気性多孔質体を使用することで、舗装体の耐久性を維持させながら、従来よりも高度の低騒音化の実現が可能となる。本発明の通気性多孔質体を使用することで安定した高い吸音特性が発揮される理由等については、後述する。
【0014】
(ウ)本発明の通気性多孔質体は、上記に加えて、多孔質体の骨格部周囲に、ガスの吸着分解触媒材料を付着させる形態とすることで、前記(ア)で述べた効果に加えて、ガスの吸着分解触媒性能に優れた通気性多孔質体となる。尚、多孔質体の骨格部周囲とは、複数の球状粒子が固着或いは集合することで形成されている連続気孔の内壁のことを意味する。上記した形態とすることで、多孔質体内部の骨格部周囲に吸着分解触媒材料が付着しているので、ガスの吸着分解性能に寄与する比表面積を増やすことができ、また、多孔質体に付着させた吸着分解触媒材料がとれ難い構造となる。この場合に、より安定した効果を得るためには、球状粒子が複数個、固着してなる形態の本発明の通気性多孔質体を使用することが好ましい。
【0015】
(エ)また、本発明の通気性多孔質体は、多孔質体を構成する球状粒子自体を、ガスの吸着分解触媒を含有する材料とする形態とすることで、前記(ア)で述べた効果に加えて、吸着分解性能に優れた通気性多孔質体が得られる。更に、このような形態とした場合には、本発明で規定する0.2〜2mmの球状粒子は、その内部に至るまで全体が吸着分解作用に寄与できる程度の大きさであるので、材料の無駄が無いという利点もある。
【0016】
(オ)上記した(ウ)或いは(エ)の形態の本発明の通気性多孔質体を、気体の出入り口のある容器(以下、カラムと呼ぶ)内に充填し、該カラムを、例えば、悪臭ガスや有害ガスが通る管内途中に設置すれば、吸着分解作用を効率よく行うことができる。これは下記のような理由によると考えられる。以下、図9に示した模式図を参照しながら説明する。図9(a)は、球状粒子2が、複数個固着してなる本発明の通気性多孔質体1の球状のものを複数カラムに充填し、ガスを通過させた場合のガスの通り道を模式的に示した図である。図9(b)は、その比較として、本発明の通気性多孔質体と同様の外形をもつ中実体(緻密体)3をカラムに充填し、ガスを通過させた場合のガスの通り道を模式的に示した図である。図9(a)に示したように、本発明の通気性多孔質体1を充填したカラム内をガス成分が通るときには、複数の多孔質体間に形成された大きな連続空隙をガスが通る。この点においては、図9(b)の中実体(緻密体)3が充填されたカラムにガスを通過させた場合も同様であり、図9(a)及び図9(b)の何れの場合も、それぞれの充填物の表面は、ガス成分と接触することとなる。
【0017】
本発明の通気性多孔質体を充填したカラムの特徴としては、図9(a)に示したように、上記に加えて更に、それぞれの通気性多孔質体1を形成している複数個の球状粒子2によって形成されている多孔質体内の連続空隙内にガスが入ることが挙げられる。このため、本発明の通気性多孔質体1が充填されたカラムの場合は、上記に加えて、各通気性多孔質体1内に形成された、0.5〜2mmの球状粒子で構成された骨格部表面にガスが接触することになる。従って、通気性多孔質体1を形成している球状粒子2自体にガス成分に対する吸着分解性能がある場合には、悪臭ガス成分や有害ガス成分を吸着または分解することができるので、効率よく、ガス成分の吸着分解が行われる。また、図9(a)に示した通り、本発明の通気性多孔質体1を充填した場合には、圧力損失が少ないので、通気性多孔質体1の充填量を多くすることが可能になるので、吸着分解触媒性能の向上が図れる。
【0018】
(カ)本発明の通気性多孔質体は、経済的に製造できるため、多方面への利用が可能であり、社会的にも有用な素材になり得る。
【0019】
(キ)本発明の通気性多孔質体は、基材となる球状粒子の原材料に、焼却灰等の産業廃棄物粉体を利用することができるので、これら廃棄物の有効利用が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明者らは、前記した従来の多孔質体の形成技術では、安定した連続気孔径が得られず、多孔質骨材等の製品とした場合に、吸音効果等の品質にバラツキを生じやすいという問題があったことに鑑みて、これらの従来技術の課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、下記のようにして本発明に至ったものである。本発明者らは、先ず、均一な大きさの球状粒子を複数個、互いに固着させて多孔質体を形成すれば、上記の課題が解決され、安定した連続気孔径が形成され、それに伴って安定した吸音効果等の機能を付与することが可能になることを見いだした。更に、本発明者らの検討によれば、特に、多孔質体を構成する複数個の球状粒子の形状をできるだけ均一にし、かつ、平均粒子径が、直径で0.2mm以上2mm以下の範囲にある大きさの球状粒子とすることで、吸音効果等の機能の付与に対して、より好ましい結果が得られることを見いだした。また、上記の効果は、均一な大きさの球状粒子を複数個、固着した状態であれば安定して得られるが、これに限られるものではなく、固着されていなくても、均一な大きさの球状粒子を複数個、集合させた場合であっても上記と同様の状態となり得るので、この場合にも同様の効果が得られる。更に、前記したように、上記の構造に加えて球状粒子の表面にガス成分に対する吸着分解触媒を付着してなるものや、或いは、球状粒子の内部に、ガス成分に対する吸着分解触媒を含有してなる形態とすれば、悪臭や有害ガス成分に対する吸着や分解が非常に効率よく行われることがわかった。
【0021】
以下、本発明の通気性多孔質体を使用することで高い吸音効果が得られることについて、図面を参照しながら説明する。図1は模式図であって、同じ大きさの複数の球状粒子を固着した場合の一形態を示している。このように、同じ大きさの球状粒子同士が固着してできた粒子間の隙間は、同じ大きさの空隙が連続している状態となる(図1参照)。更に、それぞれの空隙部には空隙の広い箇所と狭い箇所があり、これが交互に連続している気孔構造となる(図2参照)。このような気孔構造は、空気が流れやすく、音も伝わりやすい。音は気孔内壁での空気の摩擦により減衰されるが、連続した空隙の狭い箇所の内壁で、より空気の摩擦が生じやすくなり、効果的に音が減衰され、吸音効果が得られることになる。
【0022】
また、本発明の好ましい形態としては、多孔質体を構成する複数個の球状粒子のうちの一部の粒子、或いは全部の粒子が、その球面の一部に凹部を有する球状粒子(図3参照)であるものが挙げられる。このような球面に窪みのある球状粒子の場合(以下、凹型球状粒子)には、この孔部で音の出入りが生じることによって、やはり摩擦を生じ、これによっても音を減衰する効果が得られる。このため、窪みの部分だけ多孔質体の音の減衰効果に寄与する気孔率も増加することになるので、吸音特性の向上に繋がる。尚、前記した多孔質体を構成する複数個の球状粒子にガス成分に対する吸着分解触媒を付着させる形態とする場合に、図3に示した球面の一部に凹部を有する球状粒子を使用すると、この凹部によって吸着分解触媒を強固に保持できるので、この点からも有用である。
【0023】
また、本発明の更に好ましい形態は、多孔質体を構成する複数個の球状粒子のうちの一部の粒子、或いは全部の粒子が、図4に示したように、連続した気孔を有する球状粒子であるものが挙げられる。図4(a)は、球状粒子の斜視図であり、図4(b)は、球状粒子の断面図である。図4に示したように、この例では、より微細な粒子(微粉体)が複数集まって、本発明の通気性多孔質体を構成する1の球状粒子を形成している。図4(b)に示したように、この場合には、球状粒子自体に微細な連続した空隙(気孔)が形成されることとなる。このため、上記構成の球状粒子を含んでなる本発明の通気性多孔質体では、球状粒子間の比較的大きい気孔の連続空隙を通ってきた音が、個々の球状粒子に形成されている微細な連続した迷路状の空隙(気孔)に入ることにより摩擦を生じて音を減衰させる。従って、上記構成の連続気孔を有する球状粒子を含んでなる本発明の通気性多孔質体では、空隙のない緻密な球状粒子を全て使った場合よりも、さらなる吸音効果が得られる。尚、前記した、多孔質体を構成する複数個の球状粒子の内部に、ガス成分に対する吸着分解触媒を含有してなる形態とする場合に、図4に示したような形態の連続した気孔を有する球状粒子を使用すると、ガス成分の吸着や分解をより効率よくできるようになるので、より有用である。
【0024】
本発明の通気性多孔質体は、均一な大きさの球状粒子が複数個、固着又は集合することで粒子間の隙間(気孔)が形成されるが、前記したように、この隙間の存在によって効果的に音が減衰され、高い吸音効果が得られる。本発明者らの検討によれば、この粒子間の隙間(気孔)の大きさも、吸音特性に影響を与える。以下、この点について説明する。
【0025】
先ず、多孔質体では、気孔径が比較的小さく、かつ気孔率が高いものほど、気孔の内表面積が大きくなり、音の気孔内壁での摩擦が増加して、音のエネルギーが熱エネルギーに変換されやすくなり、優れた吸音効果が得られると予測される。
【0026】
しかし、音は、空気の振動が伝達することで伝わるので、空気が通り難いところでは音は伝わり難くなることが考えられる(反射の方が多くなる)。本発明者らの詳細な検討によれば、多孔質体を構成する複数の球状粒子の大きさが、本発明で規定するよりも小さくなると(すなわち、球状粒子の直径が0.2mmよりも小さくなると)、これらの球状粒子によって形成される気孔径が小さくなりすぎて、多孔質体の内部まで音が入りにくくなるためか、この場合には、高い吸音効果が得られにくくなることがわかった。
【0027】
上記したようなメカニズムによると考えられるが、本発明者らの検討によれば、吸音やガス成分の吸着分解等を目的とした多孔質体を安定して得ようとする場合は、本発明で規定する程度の直径を有する大きさの均一な球状粒子が、複数個、固着してなる構成とすることが特に有効である。
【0028】
本発明の通気性多孔質体に求められる最適な気孔径は、多孔質体を使用して形成する吸音部材の構造や周囲の状況によって異なるが、本発明者らの検討によれば、下記のようにすることが好ましい。例えば、土木建築材料の粗骨材形状を想定した5mm以上の大きさの骨材(多孔質体)を吸音部材として使用する場合の構成としては、形成される気孔径が、0.1〜1mm程度、好ましくは0.2〜0.7mm程度となるようにすることが効果的である。複数個の均一な大きさの球状粒子を使用してこの大きさの気孔径(空隙)を得ようとすれば、球状粒子の大きさは、その平均粒子径が、直径0.2mm以上2mm以下程度となる。より好ましくは、0.4mm以上1.4mm以下程度の粒子を使用して多孔質体を構成する。ただし、多孔質体を構成する際に使用する球状粒子の粒子径が均一でなくバラツキが大きいと、大粒径の粒子同士の間にできた気孔に小粒径の粒子が入り込んでしまい、多孔質体の気孔率の低下と気孔径の不均一を生じるので好ましくない。
【0029】
本発明でいう均一な大きさの球状粒子とは、球状粒子の個々の粒子径にバラツキが少ないことを意味するが、より具体的には、粒子径のバラツキを平均粒子径の±30%程度の範囲内に抑えたシャープな粒度分布を有するものを意味する。上記のような粒度分布を有する球状粒子は、篩を用いて分級することで容易に得られる。
【0030】
本発明の通気性多孔質体を構成する球状粒子の材質は、無機系材料であれば特に規定されるものではなく、また、球状粒子を得る方法も特に限定されない。例えば、セラミックスのような無機系材料であれば、造粒機等を使うことにより比較的容易に、均一な大きさの球状粒子を得ることができる。具体的には、転動造粒機、噴流層造粒機、流動層造粒機、撹拌造粒機等で造粒した球状粒子を硬化させたものが使用できる。例えば、シリカやアルミナ等の無機系粉末原料を適宜な粒子径となるように上記のような造粒機で造粒した後、焼成炉で焼成することで、0.2〜2mmの粒子径の球状粒子を得ることができる。場合によっては、上記した無機系粉末原料のスラリーを高温の火炎中に投じて球状粒子を得る方法もある。また、スプレードライによる造粒方法を使えば、スラリー濃度を調整することによって、噴霧乾燥して得られた球状粒子に凹みをつけることができ、前記した好ましい形態の通気性多孔質体を得ることができる。
【0031】
また、前記した無機系粉末原料の微粉体にセメント等のバインダを添加混合して、それを0.2〜2mmの粒子径となるように造粒した後、養生硬化させた不焼成の球状粒子を使用することもできる。この場合は、得られた球状粒子自体に微細な連続した空隙ができるので(図4参照)、下記に述べるように、より好ましい形態の通気性多孔質体を得ることができる。すなわち、このような多孔質体では、球状粒子間の0.2〜0.7mm程度の連続空隙を通ってきた音が、個々の球状粒子に形成されている5〜60μm程度の連続した迷路状の微細な空隙に入ることにより、摩擦を生じて音を減衰させる。更に、この場合に、球状粒子をガス成分に対する吸着分解触媒を付着或いは含有してなる形態とすれば、ガス成分がこの連続した迷路状の空隙を通り抜ける間に、悪臭・有害ガス成分が吸着或いは分解されるので、より効率よく悪臭・有害ガス成分の除去が行われることとなる。尚、本発明で使用する具体的な吸着分解触媒については、後述する。また、上記した無機系粉末原料に、石炭灰等の産業廃棄物の焼却灰を使用すれば低コストでの製造が可能となり、かつ廃棄物の有効利用が図れるというメリットも得られる。更に、上記に限らず、ガラスビーズやセラミックビーズ等の市販の球状粒子や、建設残土等の産業廃棄物を加工処理した球状粒子を使用することでも一向に構わない。
【0032】
本発明の通気性多孔質体は、例えば上記したような均一な大きさのセラミックス製の球状粒子が複数個、固着或いは集合してなるが、以下、この通気性多孔質体の製造方法について説明する。複数個の球状粒子同士を固着させる方法としては、高温焼成によって粒子同士を焼結させて固着する方法、或いは、バインダによって球状粒子を互いに接着して、複数個の球状粒子が固着した状態を維持できるようにする方法が挙げられる。
【0033】
球状粒子を互いに融着させて固着させる場合には、例えば、高温焼成することで、複数個の均一な大きさの無機系材料の球状粒子同士の接点を互いに融着させて固着する。より具体的には、適宜な個数の球状粒子をさや等に入れ、そのまま高温焼成して粒子同士を焼結させて多孔質ブロックからなる焼成品として、本発明の通気性多孔質体を得ることができる。また、無機系材料からなる球状粒子よりも融点の低い材料を入れて、焼成によって融着させてもよい。その他、上記のようにして固着させた複数個の球状粒子からなる塊を粉砕して、適宜な大きさの骨材としてもよい。
【0034】
また、粒子同士をバインダによる接着によって固着させる具体的な方法としては、下記の方法が挙げられる。先ず、この場合には、球状粒子の他に、従来公知の有機系のバインダ及び無機系のバインダから選択されるバインダを使用する。バインダは、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。組み合わせて使用する場合に、有機系のバインダと無機系のバインダを併用してもよい。具体的な、粒子同士をバインダによって固着する方法としては、球状粒子に、有機系のバインダ及び/又は無機系のバインダを添加して混合した後、適宜な大きさの型に入れて成形後、脱型し、養生硬化する方法が挙げられる。このような方法によれば、連続気孔を有する不焼成の本発明の通気性多孔質体を得ることができる。上記した方法において、複数個の球状粒子によって形成した気孔部が、バインダによって埋まらないようにするためには、バインダ量はできるだけ少なくすることが好ましい。本発明の通気性多孔質体の場合は、均一な大きさの球状粒子同士が固着してなるものであり、結合部の粒子同士の接触面積が小さいため、バインダの使用量が少なくて済む。勿論、この場合も、バインダによって固着させた複数個の球状粒子からなる塊を粉砕して、適宜な大きさの骨材としてもよい。
【0035】
前記したように、本発明の通気性多孔質体では、平均粒子径が、直径で0.2mm以上2mm以下の範囲にある複数個の均一な大きさのセラミックス製の球状粒子が固着或いは集合してなることで、優れた吸音特性を得ている。ここで、本発明の通気性多孔質体を構成する球状粒子は、その最大粒子径が2mm以下であるので、それらが集合して固着してなる形態の多孔質体の場合の形状としては、例えば、道路舗装材やコンクリートに使用できる長手方向の長さが5mm以上の粗骨材形状が挙げられる。従って、舗装道路の表層付近やコンクリート建築材料に一般的に使用されている長手方向の長さが5mm以上20mm以下の粗骨材の一部として、本発明の通気性多孔質体(骨材)を使用することができる。このようにすることで、本発明の通気性多孔質体(骨材)によって得られる各種構造体では、吸音特性に代表される機能性向上が極めて容易に図れる。このように、本発明の通気性多孔質体(骨材)を使用することで、形成した舗装体や建築物は、優れた吸音特性を示すものとなる。
【0036】
本発明で用いることのできる吸着分解触媒としては、悪臭や有害ガス等のガス成分を吸着し、吸着したガス成分の分解を促進させることができるものであれば、いずれのものであってもよく、特に限定されない。具体的には、半導体等のように光触媒機能や加熱触媒機能を有するものが挙げられる。光触媒機能を有するものは、特に排気ガスの浄化処理能力が高いことが知られており、このような目的に好適に使用できる。本発明で用いることのできる吸着分解触媒としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ロジウム及び酸化レニウム、酸化インジウム、酸化ビスマス、硫化モリブデン、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、炭化珪素、ガリウムリン、ガリウム砒素等を用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。この中で資源的に豊富で安価に入手しやすいのは酸化チタンと酸化亜鉛であり、触媒活性も高く安全性にも優れるので好ましい。これらの吸着分解触媒としては、粒子径が小さくて、かつ比表面積の大きな超微粒子であると、高い触媒活性が得られるので、より望ましい。また、悪臭や有害ガス成分を吸着だけで除去することが可能な場合には、ゼオライトやシリカゲル、活性炭等の吸着剤を使用することもできる。また、これらの吸着剤と先に列挙した吸着分解触媒類とを併用してもよい。
【0037】
上記の吸着分解触媒の含有量は、特に限定されないが 多孔質体を構成する球状粒子表面に付着させた形態とする場合には、該触媒を付与することで多孔質体に形成されている連続気孔が損なわれないようにすることを要する。一方、多孔質体を構成する球状粒子の内部に触媒を含有させる場合には、含有量を多くしても連続気孔が損なわれることはないが、強度が損なわれないようにすることを要する。
【実施例】
【0038】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例では、図3に示した、球面の中央に窪みのあるシリカ・アルミナ質セラミックビーズ(凹型球状粒子)を使用した。その粒子径は、直径が約0.9mm(平均粒子径)であり、バラツキは±30%以内であり、均一であった。粒子同士を結合するバインダにはポルトランドセメントを使用し、本実施例の通気性多孔質体を得た。具体的には、球状粒子90質量%とポルトランドセメント10質量%とからなる原料に、水を加えてミキサーで混合し、型に入れて24時間後に脱型した。その後、養生硬化させて200mm×110mm×40mmの本実施例の多孔質ブロックを得た。図5(a)に、得られたブロックの模式的な斜視図を示したが、部分的には、図5(b)に示したようにセラミックビーズが緻密に集合し、固着された状態となっている。
【0039】
表1に、得られたブロックの気孔率、かさ密度、及び圧縮強度の測定結果を示した。また、図6に試料厚さ40mmとしたときの垂直入射吸音率の測定結果を示した。尚、垂直入射吸音率は、多孔質体の吸音特性を示すものであり、その値が大きいものほど、その周波数に対しての吸音効果が大きいことを意味する
【0040】
(実施例2)
実施例1で使用した球状粒子に代えて、球面上に窪みのない球状粒子を使用した以外は実施例1と同様の方法で、同様の形状の本実施例の通気性多孔質体を得た。そして、得られた多孔質体について、実施例1の場合と同様にして、その物性と吸音率を調べて表1及び図6に示した。
【0041】
(実施例3〜4)
球面状に窪みのない球状粒子を使って、表1に示した粒度分布を有する粒子とした以外は実施例1と同様の方法で、同様の形状の実施例3〜4の通気性多孔質体を得た。そして、得られた多孔質体について、実施例1の場合と同様にして、その物性と吸音率を調べて表1及び図6に示した。
【0042】
(実施例5)
本実施例では、石炭灰を主原料とし、造粒して養生硬化させて形成した、図4に示したような連続した気孔を有する0.9mm(平均粒子径)の球状粒子を用いた。この球状粒子を使用した以外は実施例1と同様の方法で、同様の形状の本実施例の通気性多孔質体を得た。そして、得られた多孔質体について、実施例1の場合と同様にして、その物性と吸音率を調べて表1及び図6に示した。
【0043】
(比較例1)
比較例1では、実施例1で使用したと同様の材料からなる粒子径のバラツキが±40%と、均一でない球状粒子を用いた。この球状粒子を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、同様の形状の比較例1の多孔質体を得た。そして、実施例1の場合と同様にして、その物性と吸音率を調べて表1及び図6に示した。
【0044】
(比較例2)
比較例2では、実施例1で使用したと同様の材料からなる球状でない破砕粒子を用いた。この粉砕粒子を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、同様の形状の比較例2の多孔質体を得た。そして、実施例1の場合と同様にして、その物性と吸音率を調べて表1及び図6に示した。
【0045】
(比較例3)
比較例3では、実施例1で使用したと同様の材料からなる平均粒子径が0.2mmよりも小さい球状粒子を用いた。この球状粒子を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、同様の形状の比較例3の多孔質体を得た。そして、実施例1の場合と同様にして、その物性と吸音率を調べて表1及び図6に示した。
【0046】

【0047】
図6に示した通り、比較例の多孔質体に比べて、実施例の多孔質体では、高い吸音特性を実現できることが確認できた。特に、実施例1の中央に窪みのある球状粒子を使用した多孔質体や、実施例5の連続した気孔を有する球状粒子を使用してなる多孔質体では、より高い吸音特性を実現できることが確認できた。
【0048】
(実施例6)
内径φ90mm×厚さ40mmの吸音率測定用金枠内に、下記の材料をそれぞれ入れて垂直入射吸音率を測定し、本発明の構成によって実現される吸音効果を確認した。先ず、比較例として、上記の吸音率測定用金枠内に5〜13mmの道路用砕石を100%入れて、垂直入射吸音率を測定した。そして、上記の吸音率測定用金枠内に、実施例1で作成した通気性多孔質体の5〜13mmの範囲のものが容積率で35%となるようにして、上記の比較例に用いた道路用砕石を入れて、垂直入射吸音率を測定した。更に、上記の吸音率測定用金枠内に、実施例1で作成した多孔質体の5〜13mmの範囲のものを100%入れて、垂直入射吸音率を測定した。その結果、得られた垂直入射吸音率の比較を図7に示した。図7に示したように、実施例1で作成した通気性多孔質体を用いることで、35%程度の混合率であっても、従来に比べて明らかに高い吸音効果が得られることがわかった。
【0049】
(実施例7)
図5(c)に示したように、内径φ90mm×厚さ40mmの吸音率測定用金枠内に、10〜13mmの道路用砕石を入れ、この砕石間の空隙に、実施例1で使用した平均粒子径が0.9mmの均一な大きさのシリカ・アルミナ質セラミックビーズ入れて、垂直入射吸音率を測定した。その結果、得られた垂直入射吸音率の比較を図8に示した。上記の場合、セラミックビーズは、図5(c)に示したように、砕石の間に緻密な状態で集合した状態で存在していることを確認した。図8と図7に示した結果から、実施例1で作成した通気性多孔質体を形成するための均一な大きさの球状粒子を固着せずに集合体として使用しても、固着した場合と同様に高い吸音効果が得られることがわかる。このことは、球状粒子を固着させた状態としなくても、球状粒子が緻密に集合した状態においても、固着させた場合と同様に吸音特性に優れた通気性多孔質体として機能し得ることを意味している。
【0050】
(実施例8)
実施例1で作成した通気性多孔質体を粉砕して長手方向の長さが5〜10mmの範囲のものを得、これを用いて光触媒であるチタニアゾルに含浸させ、取り出して乾燥した後、400℃で熱処理して酸化チタンが多孔質体の骨格部周囲に均一に付着した通気性多孔質体を得た。この光触媒が付着した通気性多孔質体を内径φ25mmのガラス管のカラムに、200mmまで充填してガス浄化用カラムを得た。得られたガス浄化用カラムを用い、その入口から100ppmの硫化水素ガスを200ml/分の速さで導入して、ガス浄化性能について試験した。その際、カラムの外周は紫外線ランプで照射した。そして、カラム出口からでてきた硫化水素ガスの濃度をガス濃度計で測定した。結果を表2に示した。
【0051】
(実施例9)
光触媒である酸化チタンにポルトランドセメントを15%混合し、水を加えて造粒して養生硬化させて、平均粒子径が0.9mmの均一な大きさの光触媒酸化チタンの球状粒子を得た。この球状粒子同士を結合するバインダにはポルトランドセメントを使用し、実施例1と同様にして長手方向の長さが5〜10mmの通気性多孔質体を得た。得られた通気性多孔質体を、実施例8と同様の方法でカラムに充填してガス浄化用カラムを得た。そして、このガス浄化用カラムを用いて、実施例8と同様の方法で試験を行い、カラム出口の硫化水素ガスの濃度を測定した。その結果を表2に示した。
【0052】
(比較例4)
実施例1で使用したと同様のシリカ・アルミナ質セラミックビーズで造ったφ5〜10mmの造粒品の周囲に、実施例8で使用した光触媒である酸化チタンを付着させた。この粒状物を、実施例8と同様の方法でカラムに充填してガス浄化用カラムを得た。そして、このガス浄化用カラムを用いて、実施例8と同様の方法で試験を行い、カラム出口の硫化水素ガスの濃度を測定した。その結果を表2に示した。
【0053】

【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の活用例としては、吸音特性と耐久性とが同時に得られる、品質の安定した本発明の通気性多孔質体(骨材)を用いることで、特に、高い吸音効果を与える舗装道路或いは建築物の提供が可能となる。また、本発明の活用例としては、悪臭成分や有害成分等のガス成分を吸着分解触媒によって効率よく除去することが可能なガス浄化器具或いはシステムの提供が可能となる。更に、形成材料の選択をも含めて、本発明の通気性多孔質体(骨材)を通じて、よりよい環境の社会の形成が可能となる。
【0055】
また、本発明の別の活用例としては、本発明にかかる多孔体を水質浄化処理に使用することが挙げられる。本発明にかかる通気性多孔質体は、特に、水中における臭気原因成分や環境ホルモン、雑菌等の微量な有害成分を吸着及び分解処理する目的で使用する場合に有効である。この際に用いるものとしては、内部に吸着分解触媒が固定されているため、吸着分解触媒を含有してなる球状粒子で形成された多孔質体を使用することが好ましい。従来より、水処理の最終段階には、吸着性に優れる活性炭が使用されているが、分解触媒が固定された形態の本発明の通気性多孔質体を使用すれば、吸着後、有害成分を分解除去できるので有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の通気性多孔質体の構成を模式的に説明するための図である。
【図2】本発明の通気性多孔質体の機能を模式的に説明するための図である。
【図3】本発明の通気性多孔質体に使用される凹型球状粒子(実施例1で使用)の模式的な斜視図及び断面図である。
【図4】本発明の通気性多孔質体に使用される連続した気孔を有する球状粒子(実施例5で使用)の模式的な斜視図及び断面図である。
【図5】(a)は実施例1で得られた均一なセラミックビーズが固着してなる通気性多孔質体(ブロック)の模式的な斜視図であり、(b)はこれらの部分拡大図であり、(c)は実施例7における均一なセラミックビーズが集合してなる通気性多孔質体を説明するための図である。
【図6】実施例1〜5及び比較例1〜3の垂直入射吸音率の測定結果を示すグラフである。
【図7】実施例6の垂直入射吸音率の測定結果を示すグラフである。
【図8】実施例7の垂直入射吸音率の測定結果を示すグラフである。
【図9】(a)は、本発明の通気性多孔質体をカラムに充填した時のガスの流れを説明するための図であり、(b)は、従来の充填材をカラムに充填した時のガスの流れを説明するための図である。
【符号の説明】
【0057】
1:通気性多孔質体
2:球状粒子
3:中実体(緻密体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が直径で0.2mm以上2mm以下の範囲にある、均一な大きさの無機系材料からなる球状粒子が、複数個、固着或いは集合してなることを特徴とする通気性多孔質体。
【請求項2】
複数個の球状粒子のうちの少なくとも一部の粒子が、その球面の一部に凹部を有する球状粒子である請求項1に記載の通気性多孔質体。
【請求項3】
複数個の球状粒子のうちの少なくとも一部の粒子が、連続した気孔を有する球状粒子である請求項1に記載の通気性多孔質体。
【請求項4】
複数個の球状粒子が、焼成による接着或いはバインダによる接着によって、固着状態を維持しており、かつ、その長手方向の長さが、5mm以上20mm以下の範囲にある請求項1〜3のいずれか1項に記載の通気性多孔質体。
【請求項5】
骨材として使用されるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の通気性多孔質体。
【請求項6】
複数個の球状粒子のうちの少なくとも一部の粒子が、その表面に、ガス成分に対する吸着分解触媒を付着してなる球状粒子、或いは、その内部に、ガス成分に対する吸着分解触媒を含有してなる球状粒子である請求項1〜5のいずれか1項に記載の通気性多孔質体。
【請求項7】
道路舗装材料或いは建築材料として使用されるものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の通気性多孔質体。
【請求項8】
悪臭及び/又は有害ガス成分を吸着或いは分解除去する機能を有する固形物が充填されてなるガス浄化用カラムであって、固形物が、複数個の球状粒子が固着してなる形態の請求項1〜6のいずれか1項に記載の通気性多孔質体であることを特徴とするガス浄化用カラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−186410(P2007−186410A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339247(P2006−339247)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(391009419)美濃窯業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】