説明

通路を経て移動する先端推進装置

【課題】通路の内壁に過度の損傷を与えることなく前記通路を経て移動することができる自己推進装置を提供すること。
【解決手段】管腔を経て移動する自己推進装置は、連続して配置された膨張可能なチャンバーを含み、該チャンバーのうち両端部に位置するチャンバーは膨張時に少なくとも径方向に膨らむ。互いに隣接する2つのチャンバーは接続用通路により連通されている。両端部に位置するチャンバーのうち一方のチャンバーに流体源が取り付けられている。前記接続用通路は、前記流体源からの流体が前記チャンバーを、前記流体源に最も近いチャンバーから前記流体源から最も遠いチャンバーへ連続して膨張させるようにする。前記チャンバーは、前記流体源に最も近いチャンバーから前記流体源から最も遠いチャンバーへ連続して収縮する。前記流体源は、前記管腔の外へ伸びる流体供給チューブからなるものでもよいし、前記装置に組み込まれていてもよい。前記装置は、前記管腔の壁又は挿入されたガイドワイヤに沿って前進することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、内視鏡及び血管に用いる、管を経て自己推進をすることができる膨張可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信頼できる解決策が多くの用途に利益をもたらすため、長く、柔軟な、曲線状の管を経て推進する能力は技術者にとって長い間課題であった。このことは、治療及び診断のための医学的用途から下水管、ガス管及び発電所にまで及ぶ。
【0003】
従来の解決策はカメラのようなペイロードを含み、該ペイロードは、長く、柔軟なロッド又はワイヤにより後方から押される。この解決策は、カテーテル法、大腸内視鏡検査、尿管内視鏡検査、拡張バルーン法等のような多くの医学的用途において、治療器具又は診断器具を所望の位置へ届けるガイドワイヤ又はカテーテルとともに使用されている。
【0004】
いくつかの用途では、必要とされる力により前記ロッド又は前記ワイヤの座屈が生じるため、進行中の先端部を後方から押すことは不可能である。従来の内視鏡及びカテーテルの最も大きな欠点の1つは、これらが曲線状の通路を経て人体の中へ手動で押され、摩擦を生じさせ、管腔の内側の組織壁を傷付ける恐れがあるということである。
【0005】
解決策を求めて多くの推進移動方式が開発されており、該推進移動方式では、前記管腔の近い方の端部で押すのではなく前記管腔の遠い方の端部で引っ張る。医学的でない用途の例には、特許文献1、2に記載されているように、車輪と蜘蛛状ロボットとを含むものがある。医学的用途における最も一般的な解決策には、特許文献2ないし7及び非特許文献1、2に記載されているように、蠕動運動により前進する尺取虫形式のものがある。医学的用途の他の形式が特許文献8に記載されている。
【特許文献1】米国特許第6、824、510号明細書
【特許文献2】米国特許第5、090、259号明細書
【特許文献3】米国特許第6、764、441号明細書
【特許文献4】米国特許第4、176、662号明細書
【特許文献5】米国特許第5、662、587号明細書
【特許文献6】米国特許第6、007、482号明細書
【特許文献7】米国特許第5、364、353号明細書
【特許文献8】米国特許第6、702、735号明細書
【非特許文献1】1999年コンピューター外科学会発行「コンピューターを用いた大腸内視鏡検査のための小型ロボット装置のインビトロ検査及び開発」(第4巻、1頁ないし14頁、ダリオ(P. Dario)他)
【非特許文献2】2003年知的ロボット・システム会議(Conference on Intelligent Robots and Systems)発行、IEEE/RSJ会報、「ロボットによる大腸内視鏡検査のための移動機構」(1373頁ないし1378頁、ビュンク(Byungkyu K)他)
【0006】
他の解決策には、非特許文献3に記載されているように、ミミズ(環形動物)の移動を模したものがあり、これは、前記ミミズを前進させる筋肉群(長さ方向及び環状の筋肉)の収縮及び弛緩の波を生じさせる。他の解決策には、チャモニ(I. Chermoni)他による「カテーテル装置」のための米国特許出願2005/0033343に記載されているように、先端部の近傍に生じる液圧による動きを利用するものがある。
【非特許文献3】生態系のミクロ・ナノ構造(Micro- and Nanostructures of Biological Systems)発行「触覚センサー配列を有する最小侵襲手術用蠕動操作式装置の開発」(Halle, Shaker-Verlag, 69-88. ISBN 3-8322-2655-9、ダイトリッヒ(J. Dietrich)他)
【0007】
前記した装置の多くは、前記装置を操作するために多くの制御線又は気送管を要するという欠点を有し、制御機構と前記通路内における前記装置の物理的配置との双方が複雑になる。これに対して、コーフィセン(M.T. Corfitsen)他による「人体の通路を経て物体を前進させる機器」のための特許文献7に記載の装置は1つのチューブのみを必要とする。この特許文献には、1つの袋体と、軸線方向に膨張可能な蛇腹と、前記袋体と前記蛇腹との間の絞り弁とを有する装置が記載されている。前記蛇腹及び前記袋体への膨張媒体の供給及び除去のために管腔にチューブが取り付けられている。前記絞り弁は、前記チューブに圧力が加えられたときに前記袋体の膨張が前記蛇腹の軸線方向の膨張より遅く生じ、前記チューブから圧力が除去されたときに前記袋体の収縮が前記蛇腹の軸線方向の収縮より遅く生じるようにする。これにより、前記装置は、例えば胃腸を経て、段階的に前進することができる。
【0008】
しかし、特許文献7に記載の装置は、現実の使用において解決が難しい欠点を有する。前記装置は、前記袋体の前記通路への周方向の固定に先立つ前記蛇腹の軸線方向の膨張により前進し、前記袋体がその膨張圧力により固定されている間に前記蛇腹及び前記チューブを前方へ引っ張る。前記蛇腹が前進する間、前記装置は、該装置が前方へ押されるための摩擦及び抵抗を与えるために前記チューブの湾曲部分を用いる。この抵抗は、前記チューブが後方へ押されるのを防ぎ、前記装置の先端部が前方へ移動するようにする。
【0009】
しかし、前方への移動時に前記装置の後方固定として用いられる前記チューブの摩擦は、前記蛇腹の収縮時に前記装置が前記チューブを引っ張るのを妨げようとする。前記装置の前記袋体は前記チューブを前方へ引っ張るために前記通路を強く把持しなければならず、望ましくない場合がある。特許文献7に記載された摩擦への依存を克服するためには、前記装置は、膨張段階で前記装置を所定の位置に固定する追加の機構を有しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記した装置の多くは、実用性を制限する様々な欠点を有する。通路の内壁に過度の損傷を与えることなく前記通路を経て容易に作動することができる新たな先端推進カテーテルヘッドが必要である。
【0011】
本願のこの部分又は他の部分で言及した刊行物のそれぞれに開示された事項は、参照することにより本書に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、推進のために1つの膨張・収縮過程のみを必要とする単純な制御機構を有する、通路に沿っての自己推進のための新たな装置及び方法を提供する。前記装置は、流体接続されたバルーンの動的な挙動を利用する。前記通路内における最後尾のバルーンから先頭のバルーンまでの流体の時間的遅れが、前記最後尾のバルーンから始まって前記先頭のバルーンで終わる順序で前記バルーンを膨張させる。この時間的遅れは、前記バルーンの収縮も、前記最後尾のバルーンから始まって前記先頭のバルーンで終わる順序で進行させる。本発明に係る装置は、牽引ユニットを構成する膨張可能な一連のチャンバーを用いる。前記装置は、前記チャンバーの後端、すなわち近い方の端に位置するチャンバーで前記通路の内壁を完全に把持しつつ、他のチャンバーの膨張により前方へ伸び、その後、前記チャンバーの前端、すなわち遠い方の端に位置するチャンバーで前記通路の内壁を完全に把持しつつ、他のチャンバーの収縮により前記装置の後部を引っ張る。このため、前記チューブに対する摩擦抵抗を与える前記通路の後方部分における物理的状況への依存を必要とせず、前記チューブを、非常に柔軟な弾性材料で作られたものとすることができ、前記通路に対する摩擦や損傷を生じさせない。また、前記通路の内壁に加えられる径方向の圧力が非常に小さく、摩擦が最小限である。本発明の他の実施例によれば、流体源が供給チューブにより供給されているのではなく、流体源が備え付けられており、前記装置は機械的な周囲環境から独立して作動することができる。
【0013】
前記装置は2つのみの膨張可能なチャンバーで作動することができ、各チャンバーは膨張時に径方向及び軸線方向に膨らむ。2以上のチャンバーの使用は、壁に対する径方向の圧力がより多くのチャンバーに分散される点で利点を有し、これにより、前記装置の関連するチャンバーを固定するために必要な内部圧力を低減する。より多くのチャンバーの使用は、前記装置により運ばれ又は引っ張られるペイロードをより大きくすることができる。
【0014】
本発明に係る装置は、単独で又は組み合わせで、従来の装置に対して多くの他の利点を有する。
(1)前記装置は、完全に受動的なものとすることができ、アクチュエーター、エンジン、バルブ又は電気制御器を備える必要がない。必要に応じて、そのような部品が人体の外において前記装置から離れた場所に配置されていてもよい。前記装置が自立している又は繋がれていない実施例のために、そのような部材が設けられていてもよい。
(2)前記装置は、内部空間への接近を容易にするため、及び医学的用途で用いられるときに前記通路の内部組織に対する損傷や外傷を最小限にするため、柔軟な材料のみで作られたものとすることができる。
(3)前記装置は、小さく、柔軟な、低抵抗の「尾」を可能にするため、1つの供給ラインのみを有する。前記装置の動機的な側面と無関係に、前記装置の先端部での薬剤又はX線造影剤の注入のような特別な機能を提供する追加のチューブが加えられていてもよい。
(4)例えば前記通路の狭い部分による、1又は2以上のセクションの膨張不足によって前記装置が機能を発揮することが妨げられることはない。この場合、次のバルーンが必要な流体の供給を受ける。
(5)前記装置は、前記通路又は大きな領域に亘る内部空間の内壁に適合し、いくつかの細胞を覆い、組織に加えられる力を低減し、前記組織を傷付ける可能性を低減する。
(6)前記装置は、内視鏡、ガイドワイヤ及び他の手術器具の挿入のために管腔を空けておくように構成されたものとすることができる。
(7)前記バルーンは、前記通路の長さ方向に分配されたものとすることができ、これにより推進効果が前記通路に沿って分配される。このことは、腸又は長い曲線状の他の通路の中での使用を可能にする。
(8)環状構造の前記バルーンは、内部のガイドワイヤに把持圧力が加えられ、前記ガイドワイヤに沿っての移動により前記装置が前進するようにする。このようにして前記通路の外壁に圧力を加えることなく移動が実現される。これは、例えば、不安定な冠状動脈のプラークに圧力を加えるのを防止し、又は内壁を害するのを防止するために重要である。
【0015】
本発明に係る装置は、特に、医学的用途において前記装置の先端部による管腔を経てのカテーテルの自己推進のために役立つ。前記装置は、内視鏡検査、泌尿器学、蝸牛移植、硬膜脊髄麻酔等のような様々な医療分野に適用される。本発明は、一般に、医学的な用途に関して記載されているが、医学以外の用途にも同様に適用可能である。この場合、工場、ガス管、発電所、トンネル、公共の配管等のような通路内において見通し、接近性又は保守が必要とされる。
【0016】
本発明に係る、管腔を経て移動する自己推進装置は、連続して配置された膨張可能なチャンバーと、該チャンバーのうち一方の端に位置するチャンバーに取り付けられた流体源とを含み、前記チャンバーは、膨張時に少なくとも径方向に膨らむ第1チャンバー及び第2チャンバーと、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの間に配置され、膨張時に少なくとも軸線方向に膨らむ第3チャンバーと、互いに隣接する2つのチャンバーを連通させる少なくとも1つの接続用通路とを含む。前記接続用通路は、前記流体源からの流体が前記チャンバーを、前記流体源に最も近いチャンバーから前記流体源から最も遠いチャンバーへ連続して膨張させるようにする。
【0017】
前記流体源は、好ましくは、流体供給チューブを有し、該流体供給チューブは前記管腔の外で前記流体を供給される。前記流体源は、前記管腔から流体を排出するポンプ装置を有するものとすることができる。また、前記流体源は、前記流体を収容する閉鎖回路を有するものとすることができる。
【0018】
前記した装置のいずれかにおいて、前記チャンバーは、該チャンバーから前記流体が流出するとき、前記流体供給チューブに最も近いチャンバーから前記流体供給チューブから最も遠いチャンバーへ連続して収縮する。
【0019】
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーは、好ましくは、膨張時に軸線方向にも膨らみ、前記第3チャンバーは、好ましくは、膨張時に径方向にも膨らむ。
【0020】
他の実施例によれば、前記した装置のいずれかにおいて、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーは径方向に膨らんだときに前記管腔の壁を把持する。前記した装置は、前記チャンバーが連続して膨張するとき及び前記チャンバーが連続して収縮するときに前記管腔に沿って移動する。
【0021】
他の実施例によれば、径方向に膨張可能なチャンバーのうち少なくとも1つのチャンバーは、少なくとも1つの縦部分を有する外皮を備え、前記縦部分は、前記外皮の他の部分より硬く、前記少なくとも1つのチャンバーが膨張したときに前記管腔の壁に接触しない。他の実施例では、前記縦部分は、前記チャンバーの軸線の周囲に非対称に配置されており、前記少なくとも1つのチャンバーが膨張したときに前記チャンバーの軸線に曲げを生じさせる。
【0022】
他の実施例において、前記した実施例のいずれかに係る自己推進装置は、前記流体源と該流体源が取り付けられたチャンバーとの間に配置され、かつこれらと連通する少なくとも1つのチューブ状チャンバーと、該チューブ状チャンバーと前記チャンバーとの間に配置された圧力操作弁であって前記チャンバーに、該チャンバーを膨張させるために必要な圧力より高い所定の圧力が加えられたときに閉じる圧力操作弁とを含み、前記チューブ状チャンバーは前記管腔の壁に圧力を加えるように径方向に膨張し、前記チャンバーは、前記チューブ状チャンバーを膨張させるために加えられる圧力から隔離されている。
【0023】
他の実施例において、前記した実施例のいずれかに係る自己推進装置は、前記流体源が取り付けられた前記一方の端に位置するチャンバーと相対する、前記チャンバーのうち他方の端に位置するチャンバーに取り付けられた先細な先端部を含み、該先端部は、これが前記管腔に沿って移動するときに前記自己推進装置を前進させる。前記先端部は、好ましくは、膨張可能であり、前記他方の端に位置するチャンバーと連通しており、前記先端部は前記他方の端に位置するチャンバーの後に膨張する。前記した実施例のいずれかに係る自己推進装置は、前記流体源が取り付けられた前記一方の端に位置するチャンバーと相対する、前記チャンバーのうち他方の端に位置するチャンバーに取り付けられた穿孔用ヘッドを含み、該穿孔用ヘッドは、これが前記管腔に沿って移動するときに前記自己推進装置を前進させる。前記穿孔用ヘッドは、好ましくは、前記流体、電気モーター又は回転ガイドワイヤにより駆動される。
【0024】
他の実施例によれば、管腔を経て移動する自己推進装置は、連続して配置された膨張可能なチャンバーと、該チャンバーに、前記チャンバーを一方の端から他方の端へ連続して膨張させる流体を供給する供給装置とを含み、前記チャンバーのうち少なくとも1つのチャンバーは、少なくとも1つの縦部分を有する外皮を備え、前記縦部分は、前記外皮の他の部分より硬く、前記少なくとも1つのチャンバーが膨張したときに前記管腔の壁に接触しない。この場合、前記縦部分は、前記チャンバーの軸線の周囲に非対称に配置されており、前記少なくとも1つのチャンバーが膨張したときに前記チャンバーの軸線に曲げを生じさせる。
【0025】
他の実施例によれば、管腔を経て移動する自己推進装置は、連続して配置された膨張可能なチャンバーと、該チャンバーに、前記チャンバーを一方の端から他方の端へ連続して膨張させる流体を供給する供給装置と、前記他方の端に位置するチャンバーに取り付けられた障害除去用先端部とを含み、該障害除去用先端部は、好ましくは、先細であり、又は穿孔用ヘッドからなり、該穿孔用ヘッドは、これが前記管腔に沿って移動するときに前記自己推進装置を前進させる。
【0026】
他の実施例によれば、管腔を経て移動する自己推進装置は、連続して配置された膨張可能なチャンバーと、該チャンバーに、前記チャンバーを一方の端から他方の端へ連続して膨張させる流体を供給する供給装置と、前記チャンバーの中央領域を通る中空通路とを含み、前記チャンバーは前記中空通路の周囲において環状に膨張する。この実施例では、前記中空通路を取り巻く前記チャンバーの壁は、前記中空通路が前記チャンバーの膨張時に該チャンバーにより圧縮されないような硬さを有する。この場合、前記中空通路は、その少なくとも一部に挿入された部材を収容しており、該部材は前記チャンバーに取り付けられていない。
【0027】
前記中空通路を取り巻く前記チャンバーの壁は、前記チャンバーが膨張されたときに前記中空通路に圧力を加えるものとすることができる。この場合、前記チャンバーは膨張時に前記部材を把持する。前記チャンバーは、該チャンバーが膨張時に前記管腔を把持しないような外径を有するものとすることができる。この場合、前記装置は、前記チャンバーが連続して膨張するとき及び前記チャンバーが連続して収縮するときに前記部材に沿って移動する。
【0028】
前記部材は、ガイドワイヤ、光ファイバー又はチューブからなる。
【0029】
本発明に係る、自己推進装置を用いた管腔の壁に関するパラメーターを明らかにする方法は、前記管腔に前記自己推進装置を挿入する第1ステップと、チャンバーが連続して膨張するときに流体の供給圧力を監視する第2ステップと、前記供給圧力に生じる変化を観察することにより、前記チャンバーのうちどのチャンバーが膨張されているかを時間の関数として決定する第3ステップと、該第3ステップの結果を用いて各チャンバーの膨張体積がわかるように、前記流体の前記チャンバーへの流れを監視する第4ステップと、該第4ステップで決められた膨張体積から各チャンバーの位置における前記管腔の内径を決定する第5ステップとを含む。
【0030】
この方法は、好ましくは、膨張圧力の増加及び各チャンバーへの流量を、測定結果と壁のコンプライアンスとの間の所定の関係に関連付けるステップを含み、各チャンバーの位置における前記管腔の壁のコンプライアンスが決められる。
【0031】
本発明に係る、前記チャンバーの中央領域を通る中空通路を有する前記した装置を用いた、管腔にガイドワイヤを挿入する方法は、前記管腔に前記ガイドワイヤを所定の距離だけ挿入する第1ステップと、前記装置を、該装置が前記ガイドワイヤに乗るように前記管腔に挿入する第2ステップと、前記装置を、該装置が前記ガイドワイヤの先端部を覆うまで前記チャンバーの連続的な膨張により前記管腔を経て移動させる第3ステップと、前記ガイドワイヤを所定の距離だけ前記管腔の中で前進させる第4ステップと、前記装置がその目的地点に到達するまで前記第3ステップと前記第4ステップとを繰り返す第5ステップとを含む。
【0032】
この方法において、前記中空通路を取り巻く前記チャンバーの壁は、前記中空通路が前記チャンバーの膨張時に該チャンバーにより圧縮されないような硬さを有し、前記装置は、前記管腔の壁を把持することにより前記管腔を経て移動する。好ましくは、前記中空通路を取り巻く前記チャンバーの壁は、前記チャンバーが膨張されたときに前記中空通路に圧力を加え、前記装置は、前記ガイドワイヤを把持することにより前記管腔を経て移動する。
【0033】
他の実施例によれば、管腔を経て移動する自己推進装置は、膨張可能な2つのチャンバーであって双方が膨張時に径方向に膨らみ、かつ少なくとも一方が膨張時に軸線方向にも膨らむ、2つのチャンバーと、該チャンバーを連通させる少なくとも1つの接続用通路と、一方のチャンバーに取り付けられた流体源とを含み、前記接続用通路は、前記流体源からの流体が前記チャンバーを、前記流体源に近い方のチャンバーから前記流体源から遠い方のチャンバーへ連続して膨張させるようにする。
【0034】
この実施例において、前記チャンバーは、該チャンバーから前記流体が流出するとき、前記流体源に近い方のチャンバーから前記流体源から遠い方のチャンバーへ連続して収縮する。
【0035】
前記流体源は、好ましくは、流体供給チューブを有し、該流体供給チューブは前記流体を前記管腔の外へ排出する。前記流体源は、前記管腔から流体を排出するポンプ装置を有するものとすることができる。また、前記流体源は、前記流体を収容する閉鎖回路を有するものとすることができる。本発明は、添付の図面に関する以下の詳細な説明からより明らかなになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1に、本発明の実施例に係る、管腔10を経て移動する先端推進カテーテル装置15を示す。この装置は、好ましくはオリフィス13からなる1又は2以上の小さな開口部を有するセパレーター12により互いに接続された複数のバルーン11を含み、全てのバルーンが1つの体積を有する。これに代え、前記装置は、構造を単純にするため、オリフィスを有するセパレーターにより別個のバルーンセグメントに分けられた1つの膨張可能なバルーンを含むものとすることができ、前記バルーンは1つの入力により膨張されるものとすることができる。前記バルーンの生地は、好ましくは、リング17によりセパレーター12に対して所定の位置に保持されているか、又は前記セパレーターに接着され若しくは成型されている。いずれの構成が用いられても、前記装置は、前記バルーン又は前記バルーンセグメントを膨張させる流体供給装置に1つのチューブ16により接続されている。本発明は、別個のセグメントに分けられた1つのバルーンを用いて実施することができるが、単純化のため、バルーンという用語を各セグメントに用いて前記装置の操作を説明する。使用される膨張用の流体は、混合可能な気体又は液体からなるものとすることができる。
【0037】
他の実施例では、以下に説明するように、前記流体を、搭載されたポンプにより、前記装置が移動する通路から除去することができ、使用後に取り出すことができる。
【0038】
図2Aないし2Iに、どのように前記流体が前記バルーンを、各バルーンが長さのみならず直径も増大させるように、一方の端に位置するバルーンから連続して膨張させるかを示す。各バルーンは、膨張されて、管の内壁に固定され、これと同時に、前記バルーンの長さの増大により、まだ完全に膨張されておらず、前記管の前記内壁に対して固定されていない他のバルーンが前進する。前記バルーンは、膨張されていない他方の端に位置するバルーンの最初の位置より前記管に沿っての遠い位置で前記他方の端に位置するバルーンが前記管の前記内壁に対して固定されるまで、連続して膨張される。図2Eでは、この状態に達している。前記連続のタイミングや順序は、前記オリフィスを通過する流体の流れの力学及び前記バルーンの膨張の力学による。この時点で、前記流体の供給を経ち、前記流体の圧力を低下させること、又は前記流体を排出することにより、図2Fに示したように、まず、前記一方の端に位置するバルーンを、その長さ及び直径の双方を減少させて収縮させる。前記他方の端に位置するバルーン及び中間に位置するバルーンがまだ膨張しているため、これらはまだ前記管の前記内壁に対して固定されている。このため、前記バルーンが収縮し、その長さが減少するとき、前記一方の端に位置するバルーンが引っ張られる。
【0039】
連続的な動作が繰り返され、図2Aないし2Iに示したように、前記装置の全体を誘導する。移動は膨張及び収縮という2つの段階からなる。前記チューブの入口における矢印が流体の流れの向きを示す。連続的な膨張の力学は以下のとおりである。
【0040】
オリフィスを通過する流れは、前記オリフィスの両側の圧力差の平方根と前記オリフィスの直径の二乗とに比例し、前記オリフィスの大きさは、特定の膨張の力学を提供するように選択されたものとすることができる。
【0041】
膨張段階では、最初、各バルーンの圧力が等しく、該圧力は外部の圧力と等しい。前記バルーンは、図2Aに示したように、収縮されている状態である。供給チューブの圧力が上昇すると、図2Bに示したように、前記流体は第1オリフィスを経て第1バルーン(前記一方の端に位置するバルーン)へ流れ始める。前記第1バルーンと第2バルーンとの間の圧力差は前記供給チューブと前記第1バルーンとの間の圧力差より小さく、前記第2オリフィスにおける流速は前記第1オリフィスにおける流速より遅く、前記第2バルーンは前記第1バルーンより遅い速度で膨張する。このようにして、前記圧力は、図2Eに示したように、全てのバルーンの圧力が等しくなるまで、制御された状態で徐々に最後のバルーン(前記他方の端に位置するバルーン)へ伝わる。
【0042】
収縮段階では、前記供給チューブの圧力が外部の圧力まで低減され、又は前記流体が前記膨張チューブから排出され、供給ラインと前記第1バルーンとの間に圧力低下が生じる。前記流体は、図2Fに示したように、前記第1バルーンから流出し始める。前記供給チューブと前記第1バルーンとの間の圧力差が残りのバルーンの間の圧力差より大きいため、まず、前記第1バルーンが収縮され、次に、前記第2バルーンが収縮され、図2Iに示したように、最後のバルーンが収縮されるまで前記バルーンの収縮が続く。
【0043】
連続操作の他の例として、前記最後のバルーンが完全に収縮される前に循環工程を開始することができる。この場合、通路に固定された基準点が常に存在し、外力による好ましくない滑りが防止される。前記流体の前記バルーンへの流れ、前記バルーンからの流れ及び前記バルーンの間の流れの力学によれば、前記装置の移動及び速度を改善させるため、位置が異なるバルーンの間に大きさが異なるオリフィス又は数が異なるオリフィスを用いることができる。前記流体の粘性は、移動の力学を改善させるために選択されたものとすることができる。
【0044】
図3Aに、前記装置の製造方法についての概略図を示す。各セクション31が個別に製造されており、セクションが、前記バルーンセグメントのための留め具としての機能を果たすセパレーター30により、接着剤を用いて又は接着剤を用いずに接続されている。本出願において、本発明に係る装置を構成するチャンバーという用語は、前記チャンバーが、図3Aに示したように、一体に接続された別個のセグメントからなる場合においても、前記チャンバーが、図1に示したように、隔壁により別個のチャンバーに分けられた1つの構造からなる場合においても、適用される。
【0045】
前記した実施例によれば、前記供給ラインは、繋がれた適用例として知られているように、外部で流体供給装置及びその制御機構に取り付けられている。他の実施例によれば、図3B、3Cに示すように、前記装置に流体作動装置が組み込まれており、これにより外部への供給ラインが不要となる。図3Bに示した実施例では、前記装置にポンプ35が配置されており、該ポンプは、周囲環境から開口部36を経て前記通路の中へ前記流体を送り、前記通路の中から前記周囲環境へ前記流体を排出する。前記装置が作動している場合、例えば、血管系では、使用される前記流体は血液であり、ガス管では、前記流体は、前記バルーンを膨張させ、収縮させるガスであり、通常のトンネル又は管では、前記流体は前記トンネル又は前記管の中の空気である。前記流体作動装置は、好ましくは、電池のような内部電源又は誘導電磁場若しくは誘導電源のような外部電源を有する。前記装置は、供給ラインに取り付けられることなく、外部から送られた指令の制御下で単独で前進する。
【0046】
図3Cに示した実施例では、前記流体は、気体からなり、圧縮気体のタンク33から前記バルーンへ供給される。前記気体は、閉鎖回路に収容されており、前記周囲環境から隔離されている。前記気体は、前記バルーンが収縮されたとき、小さな循環用コンプレッサー34によりタンク33へ戻される。前記流体はいかなる種類の気体であってもよく、該気体は、前記通路を経て流れる流体とは無関係である。
【0047】
図4A、Bに示す実施例では、前記装置に中央通路49が組み込まれており、該中央通路は、好ましくは、前記バルーン及び前記セパレーターのそれぞれの中央領域を貫通している。セパレーター42において、連続的な圧力調整のためのオリフィス43の位置がずれている。前記中央通路は、光ファイバー、ガイドワイヤ、前記装置の先端部に取り付けられたカメラへのリード線等を挿入するために用いられる。図4A、4Bの縮尺により明らかではないが、前記中央通路は、前記バルーンの内面49と内部に挿入されたワイヤ又は他の部材48との間に小さなスペースがあり、前記ワイヤ又は前記他の部材を前記装置の中で自由に移動させることができるような大きさを有する。図4Bに示した実施例では、内部チューブ49を、該内部チューブがガイドワイヤ48又は内部に挿入された他の部材の上に落ちないように支持するため、内部スプリング47が追加されており、内部チューブ49は、前記バルーンが膨張されているときに内部スプリング47に固定されている。好ましくは、前記中央通路は、前記装置が通過した管腔を経て血液又は生命の他の流体が連続的に流れるようにするために用いられ、前記装置の前記バルーンはその流れを妨げない。
【0048】
図4A、4Bは、ワイヤのような部材を挿入するための中央通路が、図1ないし3に示した自己推進装置に組み込まれていることを示す。しかし、図4A、4Bに示した前記中央通路及びこれによる利点は先行技術の膨張チャンバー自己推進装置に組み込まれていてもよく、本発明はそのような実施例を含むものとする。
【0049】
図5Aないし5Dに示す実施例では、血液又は他の流体がバルーン51の周囲を流れることができる。これは、前記装置の存在により流体の流れを止めることができず、バイパスが必要とされる場合における動脈又は管50に沿っての移動に役立つ。この実施例によれば、前記バルーンは、該バルーンが膨張時に円形を呈しないように構成されている。前記バルーンの外皮の縦部分は、前記バルーンの長さ方向に伸びる補強用の細長部分53の追加により、前記外皮の残りの部分ほど柔らかくないように構成されており、前記バルーンは前記縦部分において最大限の大きさまで膨張することがない。図5Bに、膨張されていないバルーンの断面が示され、図5Cに、膨張されたバルーンが示され、人体の流体が妨げられることなく流れるのを可能にする隙間領域59が示されている。図5Dは、膨張された1つのバルーンを有する前記装置の斜視図である。
【0050】
図5Aないし5Dは、流体バイパス部分が、自動連続膨張をするチャンバーを用いた前記した実施例に係る自己推進装置の前記バルーンに組み込まれていることを示す。しかし、図5Aないし5Dに示した前記流体バイパス部分及びこれによる利点は先行技術の膨張チャンバー自己推進装置に組み込まれていてもよく、本発明はそのような実施例を含むものとする。
【0051】
図6Aないし6Cに示す実施例では、前記装置の前記バルーンのいくつかは蛇腹のように軸線方向にのみ膨らむように構成されており、これにより移動サイクルごとの到達距離をより長くする。図6Aに示した実施例では、バルーン61A及びバルーン61Cは、図6Bに示したように、膨張時に径方向及び軸線方向に膨らむ通常のバルーンであり、これらは前記装置のグリップ機能を発揮する。これに対して、バルーン61B及びバルーン61Dは、これらの外皮に組み込まれた補強リング62を有し、図6Cに示したように、これらが膨張したとき、これらは軸線方向に大きな膨張を生じ、仮に径方向の膨張が生じたとしてもそれはわずかである。
【0052】
図7Aないし7Cに示す実施例では、前記装置は、前記バルーンの仕切りとしての隔壁72を有する1つの柔軟な材料と、前記隔壁の中央部に挿入され、連続するチャンバー71の間のオリフィスとして機能する金属ジェット構造70とからなる。この構造は前記装置の製造コストを低減する。複数のオリフィスが用いられていてもよい。
【0053】
図8A、8Bに示す実施例では、図7Aないし7Cに示した実施例と類似しているが、オリフィス83がセパレーター82に形成されている点で相違する。これにより製造コストをさらに低減する。セクションの間の材料は、一定のオリフィス直径を維持するため、好ましくは、より広い又はより硬い。好ましくは、供給チューブ86が同じ材料の一部として製造されている。
【0054】
図9に示す実施例は、「複数点駆動」装置である。駆動用バルーン91のグループ95又は独立の駆動用バルーン91が、膨張可能ではないチューブ状セクション94で分けられている。これにより、駆動力を前記装置の全体に分配することができ、連続膨張ごとにより大きい牽引力及びより長いストロークが生じる。これは、医学的用途において、動脈、腸等のような非常に長く、曲線状の通路を経ての移動に非常に役立つ。前記装置は、全身に沿って推進力を有する非常に長い尺取虫のように動作する。本実施例、全長に亘ってバルーンを用いたいずれかの実施例又は先端部にのみバルーンを用いた実施例の利点は、有効なストローク長さがより長いため、前進速度が速いこと、及び圧力が前記内壁に沿ってより均等に分散されることである。
【0055】
図10A、10Bに示す実施例では、図9に示した実施例と類似しているが、直線状セクション109が、所定の圧力の下で膨張する材料で作られている点で相違する。バルーンセクション104は、前記したように推進される。バルーンセクション104の入口に圧力弁103が組み込まれており、該圧力弁は、圧力106が、バルーンセクション104の通常の膨張操作中に用いられた値より高い値まで増加されたときに閉じる。
【0056】
この増加された圧力は、直線状チャンバー109を膨張させるために用いられ、前記増加された圧力がバルーン推進ユニットに損傷を与えることなく、直線状チャンバー109は、治療効果を生じさせる拡張セクション105として機能する。バルーン推進ユニット104が前記装置を所望の目的地点へ移動させたとき、圧力106は増加され、弁103は閉じ、拡張セクション105は、所望の機能を果たすように高圧力で膨張される。弁103は推進バルーンの外を高圧力106に維持する。推進バルーン104が、その膨張を制限するような方法又は材料で作られている場合、弁103を必要としない。
【0057】
治療行為が完了したとき、圧力は下げられ、弁103は再び開き、前記装置は再び通常の操作が可能になる。前記高圧力は、例えば、部分的に閉塞された動脈を開くために、拡張セクション105に崩壊状態で配置されたステントを拡張するために、前記装置から前記通路へ薬を注入するために、又は局部的な機械的圧力の適用を要する他の行為のために使用することができる。
【0058】
推進のために供給される流体は、好ましくは、X線を通さない流体からなり、これにより、前記装置を挿入中及び推進中にX線画像を用いて観察することが可能になる。
【0059】
図11Aないし11Cに示す実施例では、1又は2以上のバルーン111の外皮又は外壁に、好ましくは1又は2以上の細長部分112からなる補強領域が非対称に設けられている。このような補強領域を有するバルーンが膨張されたとき、前記補強領域は前記バルーンの他の領域と同様に伸びることができず、曲げが生じる。このことは、図11Bに示したように、前記管腔の曲がり部又は分岐部115に到達したときに前記装置の方向転換や操縦に利用される。補強用の細長部分は、前記装置に沿ってより緩やかな方向転換を生じるように前記装置のバルーンに追加されたものとすることができる。
【0060】
図11Aないし11Cは、方向転換を生じさせる補強部分が、自動連続膨張をするチャンバーを用いた前記した実施例に係る自己推進装置の前記バルーンに組み込まれていることを示す。しかし、図11Aないし11Cに示した、方向転換を生じさせる補強部分及びこれによる利点は先行技術の自己推進装置の膨張チャンバーに組み込まれていてもよく、本発明はそのような実施例を含む。
【0061】
図12A、12Bに示す実施例では、内部チューブ又はガイドワイヤ128への固定がなされる。このことは、外皮に本質的に硬い材料を用いて、又は、図12A、12Bに示したように、外壁に補強リブ121を組み込んで、前記バルーンの外面を内面より硬くすることにより実現される。膨張されていない前記バルーンを示す図12Aでは、図示しないが、前記バルーンの内部通路と内部に挿入されたチューブ又はガイドワイヤ128との間に小さな隙間があり、前記チューブ、ガイドワイヤ128又は挿入された他の部材を、膨張されていない前記装置の内部で自由に動かすことができる。前記バルーンが膨張されたとき、前記内面は、内方へ膨らみ、図12Bに示したように、前記チューブ又は前記ガイドワイヤに固定される。前記バルーンの前記内面にフィン129が設けられており、前記バルーンは前記チューブ又は前記ガイドワイヤを狭い部分で把持し、これにより、把持する圧力を増大させる。前記装置の中心軸が前記チューブ又は前記ガイドワイヤにより占められているため、前記バルーンを接続するオリフィス124の位置は中心からずれていなければならない。好ましくは、多数のオリフィスが前記チューブの周囲に分散されている。図6Aないし6Cに示した実施例と同様に、前記セクションのいくつかは、ほぼ円形のバルーンからなるものとすることができ、他のセクションは、軸線方向に伸びる筒状のバルーンからなるものとすることができる。
【0062】
図12A、12Bは、ワイヤのような部材のための中央通路が、自動連続膨張をするチャンバーを用いた前記した実施例に係る自己推進装置の前記バルーンに組み込まれていることを示す。しかし、図12A、12Bに示した前記中央通路及びこれによる利点は先行技術の自己推進装置の膨張チャンバーに組み込まれていてもよく、本発明はそのような実施例を含む。
【0063】
図13Aないし13Cに示す実施例では、前記装置は、該装置が前記通路を経て前進するときに、遭遇した閉塞物137を強行に通過することができる先細な先端部138を備える。前記先端部は前記閉塞物を前記通路の壁に押し付ける。前記装置は、閉塞物137を除去する操作をするために、図10A、10Bに示したように、拡張セクション136が取り付けられたものとすることができる。
【0064】
図13Dに示す実施例では、図13Aないし13Cに示した実施例と類似しているが、先端部134が、前記他方の端に位置するバルーンとの連通により膨張可能である点で相違する。前記装置が前進するときに前記先端部の前方端部135が閉塞物137へ進み、前記他方の端に位置するバルーンが膨張されたときに前記先端部も膨張し、これにより前記閉塞物を前記通路の内壁に当てる。前記他方の端に位置するバルーンが膨張されたときに前記先端部の膨張が自動的に生じるため、本実施例は、追加の弁操作及び圧力管理を要する図10A、10Bに示した実施例より単純である。
【0065】
前記バルーンのいくつかが移動目的に用いられた、図13Aないし13Dに示した構成において、他の実施例では、前記バルーンの残り及び前記先端部を拡張以外の他の医療目的で用いてもよい。
【0066】
図14に示す実施例では、前記装置の前部にタービン又はプロペラのような穿孔用ヘッド143が取り付けられており、前記装置は、該装置が前記通路を前進しているときに、遭遇した閉塞物147に穿孔することができる。前記ヘッドは、好ましくは、膨張用の流体により動かされるパドル141若しくはこれと類似のものからの力又は外部にある他の液圧源からの力で駆動される。好ましくは、電池による電力が用いられる。前記ヘッドは、好ましくは、前記装置の中央孔に挿入された回転式のガイドワイヤにより駆動される。
【0067】
図13Aないし13D、及び14は、通路の中で遭遇した閉塞物を通過させるため、様々な先端部が、自動連続膨張をするチャンバーを用いた自己推進装置に組み込まれていることを示す。しかし、図13Aないし13D、及び14に示した先端部及びこれによる利点は先行技術の自己推進装置の膨張チャンバーに組み込まれていてもよく、本発明はそのような実施例を含む。
【0068】
図15A、15Bに示す実施例では、前記装置は、該装置が通過する前記通路の壁に関する多くのパラメーターを決定するために利用される。特に、前記装置は、前記通路の内径及び前記通路の壁のコンプライアンスに関する情報を提供することができる。前記装置及びこれを操作する方法は、特に、血管又は人体の離れた位置にある他の通路の状況を描くのに役立つ。本実施例によれば、前記装置は、流体入力における圧力モニターと、前記装置の前記バルーンを膨張させるために必要な液体の容量を決定する流量計とを要する。
【0069】
この場合において、図15Aに、通路の長さ方向における異なる3つの位置に前記一方の端に位置するバルーン150を示す。本実施例を説明する目的で、前記通路は血管とする。前記血管の壁は様々な厚さを有し、前記血管は様々な内径を有する。前記血管の内径は、P3位置で大きく、P1位置で中間の大きさであり、P2位置で最も小さい。バルーン150を膨張させるために使用される流体の容量は、P3位置でより多く、P1位置でより少なく、P2位置で最も少ない。バルーンの体積を前記血管の直径に関連付ける最初の較正プロセスが行われると、膨張に必要な容量の測定により、前記血管の中での前記装置の各位置において前記血管の内径を決めることができる。
【0070】
各バルーンが膨張し始めるときに顕著な圧力変化が生じ、この圧力変化を監視することにより、膨張されるバルーンを決定することができるため、前記装置の前記バルーンの連続膨張中における前記流体の流れの連続的な監視により、どのバルーンが膨張されているかを時間の関数として決定することができる。このため、連続的な容量及び圧力の測定結果を、いかなる時点で膨張される特定のバルーンにも時間の関数として関連付けることができる。前記容量が前記血管の内径に関連付けられているため、前記装置の長さ方向における各位置で前記内径を推定することができる。このことは、前記装置が前記血管に沿って前進するときに前記装置の異なる位置で繰り返され、前記血管の全体に亘って直径が得られる。図15Bに、前記装置への流量から決められた膨張体積Vを前記装置の長さ方向における位置の関数として示すグラフが示されている。前記位置の関数は、時間の関数として示された圧力変化から決められている。膨張された各バルーンの体積は前記血管の直径dの関数であるため、縦軸は、指定されたV(d)である。前記グラフからわかるように、各バルーンの膨張体積とP1、P2、P3の各位置での前記血管の直径との間に相関関係がある。
【0071】
現在どのバルーンが膨張されているかを確かめるために圧力を用いることに加えて、この圧力を、前記血管の長さ方向における位置での前記血管の壁のコンプライアンスや剛性についての情報を提供するために用いることができる。前記容量の測定のために前記したように、前記圧力が測定されたときにどのバルーンが膨張されているかについての情報から前記位置がわかる。各位置での前記血管の直径は、図15Bに示した方法からもわかる。決定される前記血管のコンプライアンスと測定される流量及び圧力増加との間に相関関係があり、前記血管の壁のコンプライアンスを前記流量及び前記圧力増加の対応する時系列から推定することができる。最初に、測定の特徴付け及び較正が、この相関関係を満たすように実行されなければならない。
【0072】
図16に示す実施例では、前記装置は、予め曲げられたガイドワイヤと連携した新規な案内装置として用いられている。従来、案内可能なガイドワイヤは、一般には、人体の曲線状の通路を通り抜けるために単独で用いられる。しかし、そのようなガイドワイヤは、先端部が前記通路の湾曲する方向に曲げられており、前記先端部が前記通路を通り抜けるときに前記先端部が前記通路の内壁の細胞を傷付けるという欠点を有する。
【0073】
本実施例によれば、ガイドワイヤ168が、図4A、4B、12A又は12Bに示した膨張可能な装置の内部部材として用いられており、前記装置は前記ガイドワイヤに沿って前方へ推進する。図16では、本実施例を説明するため、図4A、4Bに示した構成が用いられている。ガイドワイヤ168は、前記通路の曲がり部162を通り抜けるとき、又はY分岐部に到達し、前記先端部が一方の支管又は他方の支管に向けられていなければならないときを除き、前進するときは、前記装置の内部へ引き込まれた状態に維持されている。前記ガイドワイヤの先端部165は、分岐部で前記装置の前方端部の向きを変えるため、その端部からいずれか一方の支管の中へ短い距離だけ突出される。前記ガイドワイヤの先端部を取り巻いて前記ガイドワイヤを前記通路の中央部に保持する前記バルーンの保護により、前記先端部が前記通路の壁に損傷を与えるのを防ぐ。好ましくは、前記ガイドワイヤの先端部は、全く突出することなく前記装置の前記端部の内部にあり、前記内部において操縦され、前記装置の外部に全く露出させることなく前記曲がり部で前記装置の前記端部の向きを変える。このため、管腔を経ての前進が、前記ガイドワイヤの先端部よりむしろ、主として膨張可能な前記装置の前記端部によりなされ、これにより使用時の安全性を高める。
【0074】
図4A、4B、12A及び12Bに示したように、ガイドワイヤを用いた実施例では、一般に、前記ガイドワイヤ又はチューブが前記通路の端部に挿入され、前記装置は前記通路に沿って前進する。しかし、前記ガイドワイヤをその目的地点まで挿入することが困難であり、前進時に、前記先端部により又は前記ガイドワイヤからの摩擦により前記壁が損傷を受けたり、危険なプラークが無意識に除去されたりすることがある。他の実施例によれば、前記装置の使用方法が提供されている。前記使用方法では、まず、前記ガイドワイヤが前記通路の中に短い距離だけ挿入され、外部で所定の位置に保持される。血管では、通常、前記距離は5cm程度である。膨張可能な前記装置は、図4A、4Bに示したように、前記ガイドワイヤの前記先端部に向けて前記通路に沿って前進可能である。好ましくは、前記ガイドワイヤの前記先端部が前記装置に覆われる程度に前記装置が前進したとき、前記装置が前記通路の壁に固定され、前記ガイドワイヤが前記通路の中でさらに短い距離だけ前方へ押され、再び外部で所定の位置に保持される。その後、前記装置が、該装置を前記壁から開放するように収縮され、前記装置が前記ガイドワイヤの露出部分を再び覆うまで前進される。この過程は、前記ガイドワイヤがその目的地点に到達するまで繰り返される。これにより、前記ガイドワイヤは、前記装置により保護された状態で前記通路の中で前進され、前記通路の細胞に損傷を与える可能性が大きく低減される。
【0075】
前記通路の前記壁に沿って動き、前記ガイドワイヤが前進されたときに前記壁に固定される前記装置に代え、この方法は、前記壁に圧力を加えることなく前記ガイドワイヤに沿って動く、図12A、12Bに示した装置にも用いることができる。この場合、前記ガイドワイヤは、前記装置が固定されることなく該装置が収縮されるときに前方へ押され、前記ガイドワイヤが前進されている間、前記装置を所定の位置に保持するために前記チューブが僅かな抵抗を加える。前記ガイドワイヤが短い距離だけ前進されると、前記ガイドワイヤが外部で所定の位置に保持される。その後、前記装置が前記ガイドワイヤに沿って前記短い距離を覆うまで前進し、その位置で前記装置が前記ガイドワイヤから開放され、該ガイドワイヤはさらに短い距離だけ前進されることが可能になる。前記装置が目的地点に到達するまで全ての過程が繰り返される。
【0076】
本発明が前記した事項に限定されないことは当業者には明らかである。本発明の範囲は、前記した事項及び先行技術にない事項に基づいて当業者により変更や改良がなされたもののみならず、前記した様々な特徴を組み合わせたものも含む。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施例に係る先端推進カテーテル装置の概略図。
【図2A】流体が、図1に示した装置のバルーンをどのように連続して膨張させるかを示す概略図。
【図2B】流体が、図1に示した装置のバルーンをどのように連続して膨張させるかを示す概略図。
【図2C】流体が、図1に示した装置のバルーンをどのように連続して膨張させるかを示す概略図。
【図2D】流体が、図1に示した装置のバルーンをどのように連続して膨張させるかを示す概略図。
【図2E】流体が、図1に示した装置のバルーンをどのように連続して膨張させるかを示す概略図。
【図2F】流体が、図1に示した装置のバルーンをどのように連続して膨張させるかを示す概略図。
【図2G】流体が、図1に示した装置のバルーンをどのように連続して膨張させるかを示す概略図。
【図2H】流体が、図1に示した装置のバルーンをどのように連続して膨張させるかを示す概略図。
【図2I】流体が、図1に示した装置のバルーンをどのように連続して膨張させるかを示す概略図。
【図3A】結合された別個のセグメントを用いた、図1に示した装置の製造方法を示す概略図。
【図3B】流体供給装置が、図1に示した装置に取り付けられており、流体供給ラインを有しない装置が提供されていることを示す概略図。
【図3C】流体供給装置が、図1に示した装置に取り付けられており、流体供給ラインを有しない装置が提供されていることを示す概略図。
【図4A】中央チューブのための通路が組み込まれた、図1に示した装置の概略図。
【図4B】中央チューブのための通路が組み込まれた、図1に示した装置の概略図。
【図5A】バルーンの周囲に血液又は他の流体を流すことができる装置の概略図。
【図5B】バルーンの周囲に血液又は他の流体を流すことができる装置の概略図。
【図5C】バルーンの周囲に血液又は他の流体を流すことができる装置の概略図。
【図5D】バルーンの周囲に血液又は他の流体を流すことができる装置の概略図。
【図6A】バルーンのいくつかが蛇腹のように軸線方向にのみ膨らむ装置の概略図。
【図6B】バルーンのいくつかが蛇腹のように軸線方向にのみ膨らむ装置の概略図。
【図6C】バルーンのいくつかが蛇腹のように軸線方向にのみ膨らむ装置の概略図。
【図7A】隔壁を有する1つの柔軟な材料と金属製のバルーン内オリフィスとからなる装置の概略図。
【図7B】隔壁を有する1つの柔軟な材料と金属製のバルーン内オリフィスとからなる装置の概略図。
【図7C】隔壁を有する1つの柔軟な材料と金属製のバルーン内オリフィスとからなる装置の概略図。
【図8A】図7Aないし7Cに示した装置に類似し、セパレーターに形成されたオリフィスを有する装置の概略図。
【図8B】図7Aないし7Cに示した装置に類似し、セパレーターに形成されたオリフィスを有する装置の概略図。
【図9】駆動力を装置全体に分配することができ、より長くすることができる「複数点駆動」装置の概略図。
【図10A】図9に示した装置に類似し、拡張器として作動する膨張可能な直線状セクションを有する装置の概略図。
【図10B】図9に示した装置に類似し、拡張器として作動する膨張可能な直線状セクションを有する装置の概略図。
【図11A】通路の曲がり部を曲がることができる装置の概略図。
【図11B】通路の曲がり部を曲がることができる装置の概略図。
【図11C】通路の曲がり部を曲がることができる装置の概略図。
【図12A】内部チューブ又はガイドワイヤへの固定がなされる装置の概略図。
【図12B】内部チューブ又はガイドワイヤへの固定がなされる装置の概略図。
【図13A】遭遇した閉塞物を通過することができる先細な先端部を有する装置の概略図。
【図13B】遭遇した閉塞物を通過することができる先細な先端部を有する装置の概略図。
【図13C】遭遇した閉塞物を通過することができる先細な先端部を有する装置の概略図。
【図14】遭遇した閉塞物を穿孔するタービンヘッドが前部に取り付けられた装置の概略図。
【図15A】装置が、内径及び壁のコンプライアンスのような、通路の壁に関するパラメーターを決定するために利用されることを示す図。
【図15B】装置が、内径及び壁のコンプライアンスのような、通路の壁に関するパラメーターを決定するために利用されることを示す図。
【図16】案内可能なガイドワイヤと一体となって新規な案内装置として利用され、前記ガイドワイヤ又は通路の外壁に沿って推進する装置の概略図。
【符号の説明】
【0078】
10 管腔
11、61A、61B、61C、61D、91、104、111、150 バルーン
13、43、83、124 オリフィス
15 先端推進カテーテル装置
16 チューブ
35 ポンプ
48、128 ガイドワイヤ
49 中央通路
71、109 チャンバー
103 弁
143 穿孔用ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔を経て移動する自己推進装置であって、
連続して配置された膨張可能なチャンバーと、
該チャンバーのうち一方の端に位置するチャンバーに取り付けられた流体源とを含み、
前記チャンバーは、膨張時に少なくとも径方向に膨らむ第1チャンバー及び第2チャンバーと、
前記第1チャンバーと前記第2チャンバーとの間に配置され、膨張時に少なくとも軸線方向に膨らむ第3チャンバーと、
互いに隣接する2つのチャンバーを連通させる少なくとも1つの接続用通路とを含み、
前記接続用通路は、前記流体源からの流体が前記チャンバーを、前記流体源に最も近いチャンバーから前記流体源から最も遠いチャンバーへ連続して膨張させるようにする、自己推進装置。
【請求項2】
前記流体源は流体供給チューブを有する、請求項1に記載の自己推進装置。
【請求項3】
前記流体供給チューブは前記管腔の外で前記流体を供給される、請求項2に記載の自己推進装置。
【請求項4】
前記流体源は、前記管腔から流体を排出するポンプ装置を有する、請求項1に記載の自己推進装置。
【請求項5】
前記流体源は、前記流体を収容する閉鎖回路を有する、請求項1に記載の自己推進装置。
【請求項6】
前記チャンバーは、該チャンバーから前記流体が流出するとき、前記流体供給チューブに最も近いチャンバーから前記流体供給チューブから最も遠いチャンバーへ連続して収縮する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項7】
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーは膨張時に軸線方向にも膨らむ、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項8】
前記第3チャンバーは膨張時に径方向にも膨らむ、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項9】
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーは径方向に膨らんだときに前記管腔の壁を把持する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項10】
前記チャンバーが連続して膨張するとき及び前記チャンバーが連続して収縮するときに前記管腔に沿って移動する、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項11】
径方向に膨張可能なチャンバーのうち少なくとも1つのチャンバーは、少なくとも1つの縦部分を有する外皮を備え、前記縦部分は、前記外皮の他の部分より硬く、前記少なくとも1つのチャンバーが膨張したときに前記管腔の壁に接触しない、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項12】
前記縦部分は、前記チャンバーの軸線の周囲に非対称に配置されており、前記少なくとも1つのチャンバーが膨張したときに前記チャンバーの軸線に曲げを生じさせる、請求項11に記載の自己推進装置。
【請求項13】
前記流体源と該流体源が取り付けられたチャンバーとの間に配置され、これらと連通する少なくとも1つのチューブ状チャンバーと、
該チューブ状チャンバーと前記チャンバーとの間に配置された圧力操作弁であって前記チャンバーに、該チャンバーを膨張させるために必要な圧力より高い所定の圧力が加えられたときに閉じる圧力操作弁とを含み、
前記チューブ状チャンバーは前記管腔の壁に圧力を加えるように径方向に膨張し、
前記チャンバーは、前記チューブ状チャンバーを膨張させるために加えられる圧力から隔離されている、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項14】
前記流体源が取り付けられた前記一方の端に位置するチャンバーと相対する、前記チャンバーのうち他方の端に位置するチャンバーに取り付けられた先細な先端部を有し、該先端部は、これが前記管腔に沿って移動するときに前記チャンバーを前進させる、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項15】
前記先端部は、膨張可能であり、前記他方の端に位置するチャンバーと連通しており、前記先端部は前記他方の端に位置するチャンバーの後に膨張する、請求項14に記載の自己推進装置。
【請求項16】
前記流体源が取り付けられた前記一方の端に位置するチャンバーと相対する、前記チャンバーのうち他方の端に位置するチャンバーに取り付けられた穿孔用ヘッドを有し、該穿孔用ヘッドは、これが前記管腔に沿って移動するときに前記チャンバーを前進させる、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項17】
前記穿孔用ヘッドは、前記流体、電気モーター又は回転ガイドワイヤにより駆動される、請求項16に記載の自己推進装置。
【請求項18】
管腔を経て移動する自己推進装置であって、
連続して配置された膨張可能なチャンバーと、
該チャンバーに、前記チャンバーを一方の端から他方の端へ連続して膨張させる流体を供給する供給装置とを含み、
前記チャンバーのうち少なくとも1つのチャンバーは、少なくとも1つの縦部分を有する外皮を備え、前記縦部分は、前記外皮の他の部分より硬く、前記少なくとも1つのチャンバーが膨張したときに前記管腔の壁に接触しない、自己推進装置。
【請求項19】
前記縦部分は、前記チャンバーの軸線の周囲に非対称に配置されており、前記少なくとも1つのチャンバーが膨張したときに前記チャンバーの軸線に曲げを生じさせる、請求項18に記載の自己推進装置。
【請求項20】
管腔を経て移動する自己推進装置であって、
連続して配置された膨張可能なチャンバーと、
該チャンバーに、前記チャンバーを一方の端から他方の端へ連続して膨張させる流体を供給する供給装置と、
前記他方の端に位置するチャンバーに取り付けられた障害除去用先端部とを含む、自己推進装置。
【請求項21】
前記障害除去用先端部は先細である、請求項20に記載の自己推進装置。
【請求項22】
前記障害除去用先端部は穿孔用ヘッドからなり、該穿孔用ヘッドは、これが前記管腔に沿って移動するときに前記チャンバーを前進させる、請求項20に記載の自己推進装置。
【請求項23】
管腔を経て移動する自己推進装置であって、
連続して配置された膨張可能なチャンバーと、
該チャンバーに、前記チャンバーを一方の端から他方の端へ連続して膨張させる流体を供給する供給装置と、
前記チャンバーの中央領域を通る中空通路とを含み、
前記チャンバーは前記中空通路の周囲において環状に膨張する、自己推進装置。
【請求項24】
前記中空通路を取り巻く前記チャンバーの壁は、前記中空通路が前記チャンバーの膨張時に該チャンバーにより圧縮されないような硬さを有する、請求項23に記載の自己推進装置。
【請求項25】
前記中空通路は、その少なくとも一部に挿入された部材を収容し、該部材は前記チャンバーに取り付けられていない、請求項24に記載の自己推進装置。
【請求項26】
前記部材は、ガイドワイヤ、光ファイバー又はチューブからなる、請求項25に記載の自己推進装置。
【請求項27】
前記中空通路を取り巻く前記チャンバーの壁は、前記チャンバーが膨張されたときに前記中空通路に圧力を加える、請求項23に記載の自己推進装置。
【請求項28】
前記中空通路は、その少なくとも一部に挿入された部材を収容し、前記チャンバーは膨張時に前記部材を把持する、請求項27に記載の自己推進装置。
【請求項29】
前記チャンバーは、該チャンバーが膨張時に前記管腔を把持しないような外径を有する、請求項27及び28のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項30】
前記チャンバーが連続して膨張するとき及び前記チャンバーが連続して収縮するときに前記部材に沿って移動する、請求項28及び29のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項31】
前記部材は、ガイドワイヤ、光ファイバー又はチューブからなる、請求項28ないし30のいずれか1項に記載の自己推進装置。
【請求項32】
請求項9に記載の自己推進装置を用いた、管腔の壁に関するパラメーターを明らかにする方法であって、
前記管腔に前記自己推進装置を挿入する第1ステップと、
チャンバーが連続して膨張するときに流体の供給圧力を監視する第2ステップと、
前記供給圧力に生じる変化を観察することにより、前記チャンバーのうちどのチャンバーが膨張されているかを時間の関数として決定する第3ステップと、
該第3ステップの結果を用いて各チャンバーの膨張体積がわかるように、前記流体の前記チャンバーへの流れを監視する第4ステップと、
該第4ステップで決められた膨張体積から各チャンバーの位置における前記管腔の内径を決定する第5ステップとを含む、管腔の壁に関するパラメーターを明らかにする方法。
【請求項33】
膨張圧力の増加及び各チャンバーへの流量を、測定結果と壁のコンプライアンスとの間の所定の関係に関連付けるステップを含み、各チャンバーの位置における前記管腔の壁のコンプライアンスが決められる、請求項32に記載の管腔の壁に関するパラメーターを明らかにする方法。
【請求項34】
請求項23に記載の自己推進装置を用いた、管腔にガイドワイヤを挿入する方法であって、
前記管腔に前記ガイドワイヤを所定の距離だけ挿入する第1ステップと、
前記自己推進装置を、該自己推進装置が前記ガイドワイヤに乗るように前記管腔に挿入する第2ステップと、
前記自己推進装置を、該自己推進装置が前記ガイドワイヤの先端部を覆うまで前記自己推進装置のチャンバーの連続的な膨張により前記管腔を経て移動させる第3ステップと、
前記ガイドワイヤを所定の距離だけ前記管腔の中で前進させる第4ステップと、
前記自己推進装置がその目的地点に到達するまで前記第3ステップと前記第4ステップとを繰り返す第5ステップとを含む、管腔にガイドワイヤを挿入する方法。
【請求項35】
中空通路を取り巻く前記チャンバーの壁は、前記中空通路が前記チャンバーの膨張時に該チャンバーにより圧縮されないような硬さを有し、前記自己推進装置は、前記管腔の壁を把持することにより前記管腔を経て移動する、請求項34に記載の管腔にガイドワイヤを挿入する方法。
【請求項36】
中空通路を取り巻く前記チャンバーの壁は、前記チャンバーが膨張されたときに前記中空通路に圧力を加え、前記自己推進装置は、前記ガイドワイヤを把持することにより前記管腔を経て移動する、請求項34に記載の管腔にガイドワイヤを挿入する方法。
【請求項37】
管腔を経て移動する自己推進装置であって、
膨張可能な2つのチャンバーであって双方が膨張時に径方向に膨らみ、かつ少なくとも一方が膨張時に軸線方向にも膨らむ、2つのチャンバーと、
該チャンバーを連通させる少なくとも1つの接続用通路と、
一方のチャンバーに取り付けられた流体源とを含み、
前記接続用通路は、前記流体源からの流体が前記チャンバーを、前記流体源に近い方のチャンバーから前記流体源から遠い方のチャンバーへ連続して膨張させるようにする、自己推進装置。
【請求項38】
前記流体源は、前記流体を前記管腔の外へ排出する流体供給チューブを有する、請求項37に記載の自己推進装置。
【請求項39】
前記流体源は、前記管腔から流体を排出するポンプ装置を有する、請求項37に記載の自己推進装置。
【請求項40】
前記流体源は、前記流体を収容する閉鎖回路を有する、請求項37に記載の自己推進装置。
【請求項41】
前記チャンバーは、該チャンバーから前記流体が流出するとき、前記流体源に近い方のチャンバーから前記流体源から遠い方のチャンバーへ連続して収縮する、請求項37ないし40のいずれか1項に記載の自己推進装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−520507(P2009−520507A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525721(P2008−525721)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000925
【国際公開番号】WO2007/017876
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508041105)テクニオン リサーチ アンド ディベロップメント ファンデーション リミテッド (2)
【Fターム(参考)】