説明

造形方法及び造形物

【課題】従来の造形方法では、安全性を向上させることが困難である。
【解決手段】熱硬化剤が付加されることによって熱硬化性を示し、且つ少なくとも硬化した状態において非水溶性を示す液状体で、水溶性であるとともに、前記液状体に対して受容性を示し、且つ前記熱硬化剤を含有する記録媒体に、造形対象である立体の断面パターンを描く描画工程S2と、描画工程S2の後に、前記断面パターンが描かれた複数の前記記録媒体を重ねた状態で、前記複数の記録媒体を加熱する加熱工程S4と、加熱工程S4の後に、前記複数の記録媒体のそれぞれにおいて、少なくとも前記断面パターンの外側の領域を、水を含む液体で溶かす溶解工程S5と、を含む、ことを特徴とする造形方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造形方法及び造形物等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、立体を造形する方法(造形方法)の1つとして、積層法が知られている。積層法では、一般的に、立体の外形を規定する複数の断面要素のそれぞれを、順次に形成しながら積層することによって立体が造形され得る。
このような積層法では、従来、立体の各断面要素をプリンターでシートに印刷し、印刷したシートを順次に積層する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−285179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された造形方法では、複数のシートが積層した積層体において、各シートを断面要素の外形パターンに沿って分解させることによって、積層体から立体が分離される。特許文献1によれば、印刷に用いられるインクは、シートを分解する特別なインクである。特許文献1では、特別なインクとして、化学薬品を含むインクが例示されている。
化学薬品として、硫酸や塩酸などが例示されている。これらの化学薬品がシートに接触することによって、シートが分解される。
また、特許文献1には、引火性の化学薬品も採用され得ることが記載されている。引火性の化学薬品は、活性化されることによって、燃焼を生じる。これにより、シートから断面要素を分離させることができる。
【0005】
ところで、安全性の観点から、造形方法において、上述した種々の化学薬品を用いたり、燃焼を生じさせたりすることを避けることが望ましい。
安全性を向上させることができる方法の1つとして、例えば、水溶性のシートに非水溶性のインクで断面要素を印刷してから、積層体を形成する方法が考えられる。そして、積層体から立体を形成するときに、積層体に水をかける。これにより、シートが水に溶解するので、立体を得ることができると考えられる。
【0006】
しかしながら、この方法では、積層体において、水溶性のシートと非水溶性のインクとが交互に重なる。このため、積層体においては、2つの断面要素間に水溶性のシートが介在している。このような積層体に水をかけると、2つの断面要素間のシートが溶解することが考えられる。2つの断面要素間のシートが溶解すると、2つの断面要素が互いに分離しやすくなる。この結果、水溶性のシートと非水溶性のインクとを用いた造形方法では、立体を形成することが困難となる。
【0007】
上述したように、従来の造形方法では、安全性を向上させようとすると立体を形成することが困難となる。
つまり、従来の造形方法では、安全性を向上させることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0009】
[適用例1]熱硬化剤が付加されることによって熱硬化性を示し、且つ少なくとも硬化した状態において非水溶性を示す液状体で、水溶性であるとともに、前記液状体に対して受容性を示し、且つ前記熱硬化剤を含有する記録媒体に、造形対象である立体の断面パターンを描く描画工程と、前記描画工程の後に、前記断面パターンが描かれた複数の前記記録媒体を重ねた状態で、前記複数の記録媒体を加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後に、前記複数の記録媒体のそれぞれにおいて、少なくとも前記断面パターンの外側の領域を、水を含む液体で溶かす溶解工程と、を含む、ことを特徴とする造形方法。
【0010】
この適用例の造形方法は、描画工程と、加熱工程と、溶解工程と、を含む。
描画工程では、記録媒体に液状体で、造形対象である立体の断面パターンを描く。液状体は、熱硬化剤が付加されることによって熱硬化性を示す。液状体は、少なくとも硬化した状態において非水溶性を示す。記録媒体は、水溶性である。記録媒体は、液状体に対して受容性を示す。記録媒体は、熱硬化剤を含有している。描画工程において、記録媒体に付着した液状体には、熱硬化剤が混合する。これにより、記録媒体に付着した液状体は、熱硬化性を示す。
描画工程の後に、加熱工程では、複数の記録媒体を重ねた状態で、複数の記録媒体を加熱する。複数の記録媒体には、それぞれ、断面パターンが描かれている。加熱工程によって、液状体が熱硬化する。
加熱工程の後に、溶解工程では、複数の記録媒体のそれぞれにおいて、少なくとも断面パターンの外側の領域を、水を含む液体で溶かす。溶解工程によって、少なくとも断面パターンが残る。これにより、複数の断面パターンが積層した立体が得られる。
この造形方法では、記録媒体が液状体に対する受容性を有している。つまり、記録媒体に付着した液状体の少なくとも一部が、記録媒体に染み込む。このため、複数の記録媒体を重ねた状態において、隣り合う2つの断面パターン同士が重なり合いやすい。この結果、溶解工程を経ても、断面パターン同士が分離しにくくなる。従って、この造形方法によれば、安全性を高めつつ、立体を形成することができる。
【0011】
[適用例2]上記の造形方法であって、前記加熱工程において、前記複数の記録媒体を加圧しながら、前記複数の記録媒体を加熱する、ことを特徴とする造形方法。
【0012】
この適用例では、加熱工程において、複数の記録媒体を加圧しながら、複数の記録媒体を加熱するので、隣り合う2つの断面パターン同士を当接させやすくすることができる。この結果、断面パターン同士を一層分離させくくすることができる。
【0013】
[適用例3]上記の造形方法であって、前記加熱工程において、前記複数の記録媒体を複数の新たな前記記録媒体で挟持した状態で、前記複数の記録媒体を加圧する、ことを特徴とする造形方法。
【0014】
この適用例では、加熱工程において、複数の記録媒体を複数の新たな記録媒体で挟持した状態で、複数の記録媒体を加圧するので、加圧に用いる加圧具に液状体を付着させにくくすることができる。
【0015】
[適用例4]上記の造形方法であって、前記記録媒体は、多孔質である、ことを特徴とする造形方法。
【0016】
この適用例では、記録媒体が多孔質であるので、液状体に対する受容性を記録媒体に持たせることができる。
【0017】
[適用例5]上記の造形方法であって、前記溶解工程の後に得られる造形物に、樹脂を浸透させる工程を有する、ことを特徴とする造形方法。
【0018】
この適用例では、溶解工程の後に得られる造形物に、樹脂を浸透させるので、造形物の強度を高めやすくすることができる。
【0019】
[適用例6]上記の造形方法であって、前記描画工程において、前記記録媒体にインクジェット装置で前記断面パターンを描画する、ことを特徴とする造形方法。
【0020】
この適用例では、描画工程において、記録媒体にインクジェット装置で断面パターンを描画するので、液状体で断面パターンを描画することができる。
【0021】
[適用例7]上記の造形方法であって、前記描画工程において、着色された前記液状体で前記記録媒体に前記断面パターンを描画する、ことを特徴とする造形方法。
【0022】
この適用例では、描画工程において、着色された液状体で記録媒体に断面パターンを描画するので、着色された造形物を得ることができる。
【0023】
[適用例8]上記の造形方法によって造形されている、ことを特徴とする造形物。
【0024】
この適用例の造形物は、描画工程と、加熱工程と、溶解工程と、を含む造形方法によって造形されている。
描画工程では、記録媒体に液状体で、造形対象である立体の断面パターンを描く。液状体は、熱硬化剤が付加されることによって熱硬化性を示す。液状体は、少なくとも硬化した状態において非水溶性を示す。記録媒体は、水溶性である。記録媒体は、液状体に対して受容性を示す。記録媒体は、熱硬化剤を含有している。描画工程において、記録媒体に付着した液状体には、熱硬化剤が混合する。これにより、記録媒体に付着した液状体は、熱硬化性を示す。
描画工程の後に、加熱工程では、複数の記録媒体を重ねた状態で、複数の記録媒体を加熱する。複数の記録媒体には、それぞれ、断面パターンが描かれている。加熱工程によって、液状体が熱硬化する。
加熱工程の後に、溶解工程では、複数の記録媒体のそれぞれにおいて、少なくとも断面パターンの外側の領域を、水を含む液体で溶かす。溶解工程によって、少なくとも断面パターンが残る。これにより、複数の断面パターンが積層した造形物が得られる。
この造形方法では、記録媒体が液状体に対する受容性を有している。つまり、記録媒体に付着した液状体の少なくとも一部が、記録媒体に染み込む。このため、複数の記録媒体を重ねた状態において、隣り合う2つの断面パターン同士が重なり合いやすい。この結果、溶解工程を経ても、断面パターン同士が分離しにくくなる。従って、この造形方法によれば、安全性を高めつつ、造形物を形成することができる。
そして、この造形物によれば、造形方法における安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態における造形システムの概略の構成を示す図。
【図2】本実施形態におけるプリンターの概略の構成を説明する図。
【図3】本実施形態における吐出ヘッドの底面図。
【図4】図2(b)中のB−B線における断面図。
【図5】本実施形態における造形システムの概略の構成を示すブロック図。
【図6】第1実施形態における造形方法の流れを説明する図。
【図7】第1実施形態における積層体を示す斜視図。
【図8】第1実施形態における積層体を示す分解斜視図。
【図9】複数の記録媒体を図7中のD−D線で切断したときの断面図。
【図10】第1実施形態における加熱工程を説明する図。
【図11】本実施形態における溶解工程を説明する図。
【図12】本実施形態における立体の一例を示す斜視図。
【図13】第3実施形態における造形方法の流れを説明する図。
【図14】第3実施形態における光照射工程を説明する図。
【図15】第3実施形態における光照射工程を説明する図。
【図16】第3実施形態における積層体を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、各図面において、それぞれの構成を認識可能な程度の大きさにするために、構成や部材の縮尺が異なっていることがある。
本実施形態の造形システム1は、図1に示すように、コンピューター3と、プリンター5と、を有している。
コンピューター3は、造形対象である立体7の形状データから、複数の断面要素を抽出するための演算処理を行う。また、コンピューター3は、抽出した断面要素のデータ(以下、断面データと呼ぶ)をプリンター5に出力する。
プリンター5は、コンピューター3から出力される断面データに基づいて、記録媒体11に後述する液状体で、断面要素に対応する断面パターンを描画する。
【0027】
プリンター5は、平面図である図2(a)及び正面図である図2(b)に示すように、送り装置31と、吐出ヘッド33と、キャリッジ35と、キャリッジ移動装置37と、リニアスケール39と、リニアエンコーダー41と、制御回路43と、を有している。プリンター5は、インクジェット装置の1つである。なお、図中のY方向は、記録媒体11の平面視での送り方向である。また、X方向は、平面視でY方向とは直交する方向である。
送り装置31は、送りローラー51と、押さえローラー53と、送りモーター55と、を有している。送りローラー51及び押さえローラー53は、互いに外周を接し合った状態で回転可能に構成されている。送りモーター55は、制御回路43によって動作が制御され、送りローラー51を回転駆動するための動力を発生する。
送り装置31は、送りモーター55から送りローラー51に動力が伝達され、送りローラー51と押さえローラー53との間に挟持した記録媒体11を、送り方向であるY方向に間欠的に送る。
【0028】
吐出ヘッド33は、制御回路43から出力される駆動信号に基づいて、後述する複数のノズルから液状体を液滴として吐出する。
吐出ヘッド33は、底面図である図3に示すように、ノズル面61を有している。ノズル面61には、複数のノズル63が形成されている。なお、図3では、ノズル63をわかりやすく示すため、ノズル63が誇張され、且つノズル63の個数が減じられている。
吐出ヘッド33において、複数のノズル63は、Y方向に沿って配列する8本のノズル列65を構成している。8本のノズル列65は、X方向に互いに隙間をあけた状態で並んでいる。各ノズル列65において、複数のノズル63は、Y方向に沿って所定のノズル間隔Pで形成されている。
以下において、8本のノズル列65のそれぞれが識別される場合に、ノズル列65a、ノズル列65b、ノズル列65c、ノズル列65d、ノズル列65e、ノズル列65f、ノズル列65g、及びノズル列65hという表記が用いられる。
【0029】
吐出ヘッド33において、ノズル列65aとノズル列65bとは、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。ノズル列65c及びノズル列65dも、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。同様に、ノズル列65e及びノズル列65fも、互いにY方向にP/2の距離だけずれており、ノズル列65g及びノズル列65hも、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。
吐出ヘッド33は、図2(b)中のB−B線における断面図である図4に示すように、ノズルプレート71と、キャビティープレート73と、振動板75と、複数の圧電素子77と、を有している。
ノズルプレート71は、ノズル面61を有している。複数のノズル63は、ノズルプレート71に設けられている。
キャビティープレート73は、ノズルプレート71のノズル面61とは反対側の面に設けられている。キャビティープレート73には、複数のキャビティー79が形成されている。各キャビティー79は、各ノズル63に対応して設けられており、対応する各ノズル63に連通している。各キャビティー79には、後述するインクカートリッジから液状体81が供給される。
【0030】
振動板75は、キャビティープレート73のノズルプレート71側とは反対側の面に設けられている。振動板75は、Z方向に振動(縦振動)することによって、キャビティー79内の容積を拡大したり、縮小したりする。
複数の圧電素子77は、それぞれ、振動板75のキャビティープレート73側とは反対側の面に設けられている。各圧電素子77は、各キャビティー79に対応して設けられており、振動板75を挟んで各キャビティー79に対向している。各圧電素子77は、駆動信号に基づいて、伸張する。これにより、振動板75がキャビティー79内の容積を縮小する。このとき、キャビティー79内の液状体81に圧力が付与される。その結果、ノズル63から、液状体81が液滴83として吐出される。吐出ヘッド33による液滴83の吐出法は、インクジェット法の1つである。インクジェット法は、塗布法の1つである。
上記の構成を有する吐出ヘッド33は、図2(b)に示すように、ノズル面61が記録媒体11側に向けられている。
【0031】
キャリッジ35は、図2に示すように、吐出ヘッド33を支持している。ここで、吐出ヘッド33は、ノズル面61が記録媒体11側に向けられた状態でキャリッジ35に支持されている。
なお、本実施形態では、縦振動型の圧電素子77が採用されているが、液状体81に圧力を付与するための加圧手段は、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子も採用され得る。また、加圧手段としては、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなども採用され得る。さらに、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって液状体に圧力を付与する構成も採用され得る。
【0032】
キャリッジ35には、4つのインクカートリッジ91が搭載される。各インクカートリッジ91は、上述した液状体81を内部に保持している。本実施形態では、液状体81は、インクカートリッジ91ごとに異なる色の顔料を含有している。本実施形態では、インクカートリッジ91ごとに異なる色は、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)である。
なお、以下において、4つのインクカートリッジ91を色ごとに識別する場合に、インクカートリッジ91Y、インクカートリッジ91M、インクカートリッジ91C、及びインクカートリッジ91Kという表記が用いられる。また、液状体81を色ごとに識別する場合には、液状体81Y、液状体81M、液状体81C、及び液状体81Kという表記が用いられる。
本実施形態では、異なる4色の液状体81が採用されているので、着色された立体7を造形することができる。
【0033】
ここで、前述した8本のノズル列65(図3)は、液状体81の色ごとに区分されている。本実施形態では、ノズル列65a及びノズル列65bに属するノズル63は、液状体81Kを液滴83として吐出する。ノズル列65c及びノズル列65dに属するノズル63は、液状体81Cを液滴83として吐出する。ノズル列65e及びノズル列65fに属するノズル63は、液状体81Mを液滴83として吐出する。ノズル列65g及びノズル列65hに属するノズル63は、液状体81Yを液滴83として吐出する。
【0034】
吐出ヘッド33は、図2(b)に示すように、ノズル面61と記録媒体11との間に隙間を保った状態で、キャリッジ35に設けられている。制御回路43(図2(a))から出力される駆動信号は、ケーブル93を介して吐出ヘッド33に伝達される。
キャリッジ移動装置37は、図2(a)に示すように、プーリー101aと、プーリー101bと、タイミングベルト103と、キャリッジモーター105と、ガイド軸107と、を有している。タイミングベルト103は、主走査方向であるX方向に沿って、一対のプーリー101a及びプーリー101b間に張設されており、一部がキャリッジ35に固定されている。
キャリッジモーター105は、制御回路43によって動作が制御され、プーリー101aを回転駆動するための動力を発生する。ガイド軸107は、X方向に沿って延びており、両端が図示しない筐体に支持されている。ガイド軸107は、キャリッジ35をX方向にガイドする。
【0035】
キャリッジ移動装置37では、キャリッジモーター105からプーリー101a及びタイミングベルト103を介してキャリッジ35に動力が伝達される。これにより、キャリッジ移動装置37は、キャリッジ35をX方向に往復移動させる。
ここで、プリンター5には、リニアスケール39がX方向に沿って設けられている。リニアスケール39には、多数のスケールがX方向に沿って所定間隔で刻まれている。また、キャリッジ35には、リニアスケール39に刻まれているスケールを光学的に検出するリニアエンコーダー41が配設されている。
プリンター5では、リニアエンコーダー41によるスケールの検出に基づいて、キャリッジ35のX方向における位置が制御される。なお、リニアエンコーダー41がスケールを検出した検出信号は、ケーブル93を介して制御回路43に伝達される。
【0036】
制御回路43は、図5に示すように、制御部111と、ヘッドドライバー113と、モータードライバー115と、モータードライバー117と、エンコーダー検出回路119と、インターフェース部121と、を有している。
制御部111は、例えば、マイクロコンピューターで構成され、CPU(Central Processing Unit)123と、メモリー部125と、を有している。
CPU123は、プロセッサーとして各種の演算処理を行う。
メモリー部125は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read-Only Memory)などを含んでいる。メモリー部125には、プリンター5における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト127を記憶する領域や、各種のデータを一時的に展開する領域であるデータ展開部129などが設定されている。
【0037】
ヘッドドライバー113は、CPU123からの指令に基づいて、吐出ヘッド33に駆動信号を出力する。ヘッドドライバー113は、吐出ヘッド33に駆動信号を出力することによって、吐出ヘッド33の駆動を制御する。
モータードライバー115は、CPU123からの指令に基づいて、送りモーター55を制御する。
モータードライバー117は、CPU123からの指令に基づいて、キャリッジモーター105を制御する。
エンコーダー検出回路119は、リニアエンコーダー41からの検出信号を検知し、その結果を制御部111に出力する。
インターフェース部121は、コンピューター3から受け取った断面データを制御部111に出力したり、制御部111から受け取った各種情報をコンピューター3に出力したりする。
【0038】
上記の構成を有する造形システム1では、コンピューター3によって、造形対象である立体7の形状データから複数の断面要素が抽出される。複数の断面要素を順次に重ねると、造形対象である立体7が構成される。つまり、複数の断面要素は、それぞれ、造形対象である立体7の形状を構成する要素である。
コンピューター3は、抽出した複数の断面要素に基づいて、複数の断面データを生成する。このとき、1つの断面要素から1つの断面データが生成される。複数の断面データは、それぞれ、プリンター5に出力される。
【0039】
そして、プリンター5では、制御部111が断面データを取得すると、CPU123によって描画処理が開始される。描画処理においては、送りモーター55の駆動が制御部111によって制御され、送り装置31が記録媒体11を吐出ヘッド33に対向させながら、Y方向に間欠送りする。このとき、制御部111は、キャリッジモーター105の駆動を制御して、キャリッジ35をX方向に往復移動させながら、吐出ヘッド33の駆動を制御して、所定の位置で液滴83を吐出させる。このような動作によって、記録媒体11に液滴83によるドットが形成される。この結果、この記録媒体11に断面データに基づく断面パターンの描画が行われる。本実施形態では、断面パターンの描画において、1つの記録媒体11に1つの断面パターンが描画される。
【0040】
本実施形態では、記録媒体11として、多孔質のシートが採用される。シートの材料として、PVA(polyvinyl alcohol)が採用されている。PVAは、水溶性である。このため、本実施形態における記録媒体11は、水溶性である。
また、記録媒体11は、多孔質であるため、液状体81に対する受容性を有している。受容性は、染み込みやすい性質のことである。つまり、記録媒体11が液状体81に対する受容性を有しているということは、記録媒体11に液状体81が染み込みやすいということである。
多孔質のシートは、例えば、特表2007−519788号公報に記載されている製造方法を活用することによって製造され得る。この製造方法によれば、まず、ポリビニルアルコールの水溶液に界面活性剤と有機溶剤とを混合した混合液を調整する。次いで、この混合液からエマルジョンを作成してから、エマルジョンを凍結乾燥させる。これにより、ポリビニルアルコールの多孔質体が形成され得る。なお、エマルジョンをシート状に延伸した状態で凍結乾燥させたり、凍結乾燥後の多孔質体をシート状に切断したりすることによって、多孔質のシートを製造することができる。
【0041】
ここで、第1実施形態について説明する。
第1実施形態では、液状体81として、熱硬化性を有する液状体81が採用される。熱硬化性とは、加熱を受けて硬化が促進する性質である。
熱硬化性を有する液状体81としては、熱硬化性を有する樹脂や溶媒などを含有するものが採用され得る。熱硬化性を有する樹脂としては、樹脂に熱硬化剤を添加したものなどが採用され得る。樹脂としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の樹脂などが採用され得る。熱硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物や、脂肪族多価カルボン酸無水物、芳香族多価カルボン酸無水物、エステル基含有酸無水物などが挙げられる。
そして、第1実施形態で採用される液状体81は、硬化した状態において非水溶性を示す。
【0042】
また、第1実施形態における液状体81としては、上述した熱硬化性を有する樹脂の他に、溶媒を含有する構成も採用され得る。これにより、液状体81の粘度を低減することができる。この結果、吐出ヘッド33において、液滴83を吐出する性能を高めやすくすることができる。
なお、溶媒としては、例えば、アルコール類やフェノール類、芳香族エーテル類、アルコキシアルコール類、グリコールオリゴマー類、アルコキシアルコールエステル類、ケトン類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルエステル類、グリコールオリゴマーエーテル類、グリコールオリゴマーエーテルエステル類などが挙げられる。
【0043】
ここで、第1実施形態における造形方法の流れについて説明する。
第1実施形態における造形方法は、図6に示すように、断面データ生成工程S1と、描画工程S2と、積層工程S3と、加熱工程S4と、溶解工程S5と、を含む。
断面データ生成工程S1では、前述したように、造形対象である立体7の形状データから複数の断面データを生成する。断面データ生成工程S1では、コンピューター3によって、断面データの生成が行われる。
描画工程S2では、前述したように、断面データに基づいて、記録媒体11に液状体81で断面パターンを描画する。描画工程S2では、プリンター5によって、断面パターンの描画が行われる。
【0044】
積層工程S3では、複数の記録媒体11を断面パターンの順次に積層する。積層工程S3によって、図7に示す積層体131が形成され得る。
積層体131は、図8に示すように、液状体81で断面パターン133が描画された記録媒体11aと、液状体81が塗布されていない新たな記録媒体11bと、を含んでいる。積層体131は、複数の記録媒体11bを含んでいる。積層体131では、複数の記録媒体11aが、複数(本例では、2つ)の記録媒体11bによって挟持されている。
積層体131では、複数の断面パターン133は、複数の記録媒体11aを図7中のD−D線で切断したときの断面図である図9に示すように、断面パターン133の順次に、すなわち立体7の形状に沿って積層される。なお、図9では、構成をわかりやすく示すため、断面パターン133の領域にハッチングが施されている。
【0045】
加熱工程S4では、積層体131を加熱する。本実施形態では、積層体131の加熱に、図10に示す加熱炉135を用いる。加熱工程S4では、積層体131を加熱炉135内に収容した状態で、積層体131を加熱する。
このとき、挟持具137を用いて、積層体131を加圧した状態で、積層体131を加熱する。
加熱工程S4において、積層体131には、挟持具137を介して加圧力Fが付与される。これにより、積層体131を加圧した状態で、積層体131を加熱することができる。このとき、積層体131では、前述したように、複数の記録媒体11a(図8)が、複数の記録媒体11bによって挟持されている。このため、挟持具137は、記録媒体11bを介して複数の記録媒体11aを挟持する。これにより、積層体131に加圧力Fを付与しても、挟持具137に液状体81が付着することを低く抑えることができる。この結果、挟持具137の汚損を低く抑えることができる。
【0046】
溶解工程S5では、図9に示す複数の記録媒体11aのそれぞれにおいて、少なくとも断面パターン133の外側の領域139を、水を含む液体で溶かす。
前述したように、液状体81は、硬化した状態において非水溶性を示す。つまり、加熱工程S4を経て硬化した断面パターン133は、非水溶性を示す。また、記録媒体11は、水溶性である。このため、複数の記録媒体11aのそれぞれにおいて、少なくとも断面パターン133の外側の領域139を、水を含む液体で溶かすことができる。
本実施形態では、図11に示すように、水を含む液体141に積層体131を浸漬することによって、領域139が溶かされる。
【0047】
積層体131のうちで記録媒体11bは、積層工程S3や加熱工程S4で液状体81が付着していなければ、溶解工程S5で溶解し得る。他方で、記録媒体11bに液状体81が付着しても、液状体81の付着形状には断面パターン133が反映される。このため、記録媒体11bにおいても、断面パターン133の外側の領域139が溶解し得る。
この結果、水を含む液体141に積層体131を浸漬することによって、図12に示すように、造形物として立体7が形成され得る。
ここで、記録媒体11は、多孔質であることによって、液状体81に対して受容性を示す。このため、各記録媒体11a(図9)において、断面パターン133は、少なくとも一部が記録媒体11aに染み込んだ状態で硬化する。そして、隣り合う2つの記録媒体11a間で、断面パターン133同士が当接しやすい。このため、隣り合う2つの記録媒体11a間で、断面パターン133同士が接合しやすい。この結果、溶解工程S5を経て造形された立体7において、隣り合う断面パターン133同士が分離することを低く抑えやすくすることができる。つまり、溶解工程S5を経て造形された立体7は、立体7の形状を保持する保持力を有している。
【0048】
第1実施形態では、加熱工程S4において、積層体131を加圧した状態で、積層体131を加熱するので、隣り合う2つの記録媒体11a間で、断面パターン133同士を当接させやすくすることができる。この結果、溶解工程S5を経て造形された立体7において、隣り合う断面パターン133同士が分離することを一層低く抑えやすくすることができる。
【0049】
第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、液状体81の構成及び記録媒体11の構成が、第1実施形態とは異なっている。第2実施形態は、液状体81の構成及び記録媒体11の構成が異なることを除いては、第1実施形態と同様である。従って、以下においては、第1実施形態と同一の構成や工程については、第1実施形態と同一の符号を付すことによって、詳細な説明を省略する。
第2実施形態では、液状体81として、第1実施形態における液状体81から熱硬化剤を省略したものが採用される。第2実施形態における液状体81は、熱硬化剤が省略されていることを除いては、第1実施形態における液状体81と同様の構成を有している。
また、第2実施形態では、記録媒体11として、第1実施形態における記録媒体11に熱硬化剤を添加したものが採用される。第2実施形態における記録媒体11は、熱硬化剤が添加されていることを除いては、第1実施形態における記録媒体11と同様の構成を有している。
【0050】
第2実施形態における製造方法は、第1実施形態における製造方法(図6)と同じ工程を有している。
第2実施形態では、描画工程S2において、記録媒体11に断面パターン133が描画されると、液状体81と熱硬化剤とが混合する。これにより、断面パターン133における液状体81は、熱硬化性を示すようになる。このため、第1実施形態と同様の造形方法(図6)で、立体7を造形することができる。なお、第2実施形態においても、積層工程S3で、複数の記録媒体11aを複数の記録媒体11bで挟持した積層体131が形成される。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
第1実施形態及び第2実施形態のそれぞれにおいて、記録媒体11bが新たな記録媒体に対応している。
なお、記録媒体11への熱硬化剤の添加形態としては、記録媒体11に熱硬化剤を含浸させる形態や、熱硬化剤を内包するマイクロカプセルなどを記録媒体11に添加する形態など、種々の形態が採用され得る。
【0051】
第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、液状体81の構成が、第1実施形態とは異なっている。第3実施形態では、液状体81として、光の1種である紫外光の照射を受けて硬化が促進する光硬化性を有する液状体81が採用されている。
また、第3実施形態における造形方法は、図13に示すように、光照射工程S21を有している。第3実施形態における造形方法では、第1実施形態における造形方法(図6)から積層工程S3及び加熱工程S4が省略されている。
第3実施形態は、上記の異なる点を除いては、第1実施形態と同様である。従って、以下においては、第1実施形態と同一の構成や工程については、第1実施形態と同一の符号を付すことによって、詳細な説明を省略する。
【0052】
光硬化性を有する液状体81としては、光硬化性を有する樹脂などを含有するものが採用され得る。光硬化性を有する樹脂としては、樹脂に光硬化剤を添加したものなどが採用され得る。樹脂としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の樹脂などが採用され得る。光硬化剤としては、例えば、ラジカル重合型の光重合開始剤や、カチオン重合型の光重合開始剤などが採用され得る。
ラジカル重合型の光重合開始剤としては、例えば、イソブチルベンゾインエーテルや、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
また、カチオン重合型の光重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩誘導体や、アリルヨードニウム塩誘導体、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤などが挙げられる。
そして、第3実施形態で採用される液状体81は、硬化した状態において非水溶性を示す。
【0053】
第3実施形態における造形方法の流れについて説明する。
第3実施形態における造形方法は、図13に示すように、断面データ生成工程S1と、描画工程S2と、光照射工程S21と、溶解工程S5と、を含む。光照射工程S21は、描画工程S2と溶解工程S5との間に設けられる。
断面データ生成工程S1、描画工程S2、及び溶解工程S5は、それぞれ、第1実施形態と同様である。従って、以下においては、光照射工程S21の流れについて説明する。
光照射工程S21では、図14に示すように、まず、最初の断面パターン133が描画された記録媒体11aを記録媒体11bに重ねてから、記録媒体11aの少なくとも断面パターン133に紫外光143を照射する。このとき、記録媒体11aには、基板145が重ねられる。
【0054】
基板145は、紫外光143の少なくとも一部を透過させる性質である光透過性を有している。基板145としては、例えば、石英やガラスなどが採用され得る。記録媒体11aには、基板145を介して、紫外光143が照射される。さらに、このとき、記録媒体11aには、基板145を介して加圧力Fが付与される。これにより、記録媒体11aを加圧した状態で、記録媒体11aに紫外光143を照射することができる。
ここで、テーブルなどの載置台147と記録媒体11aとの間には記録媒体11bが介在している。このため、記録媒体11aに加圧力Fを付与しても、載置台147に液状体81が付着することを低く抑えることができる。この結果、載置台147の汚損を低く抑えることができる。
【0055】
光照射工程S21では、次に、図15に示すように、すでに紫外光143の照射を受けた記録媒体11aである記録媒体11cに、紫外光143の照射を受ける前の記録媒体11aである別の記録媒体11dを重ねる(以下、媒体載置工程と呼ぶ)。
次いで、別の記録媒体11dに基板145を重ねる(以下、基板載置工程と呼ぶ)。
次いで、記録媒体11dの少なくとも断面パターン133に、基板145を介して紫外光143を照射する(以下、照射工程と呼ぶ)。このとき、記録媒体11dには、基板145を介して加圧力Fが付与される。これにより、記録媒体11dを加圧した状態で、記録媒体11dに紫外光143を照射することができる。この結果、記録媒体11dの断面パターン133と、記録媒体11cの断面パターンとを互いに当接させやすくすることができる。
以降、媒体載置工程と、基板載置工程と、照射工程とを、この順序で、記録媒体11aごとに最後の断面パターン133が終了するまで(記録媒体11dが尽きるまで)繰り返す。これにより、図16に示す積層体151が形成され得る。
第3実施形態においても、第1実施形態及び第2実施形態のそれぞれと同様の効果が得られる。
【0056】
第4実施形態について説明する。
第4実施形態では、液状体81の構成及び記録媒体11の構成が、第3実施形態とは異なっている。第4実施形態は、液状体81の構成及び記録媒体11の構成が異なることを除いては、第3実施形態と同様である。従って、以下においては、第3実施形態と同一の構成や工程については、第3実施形態と同一の符号を付すことによって、詳細な説明を省略する。
第4実施形態では、液状体81として、第3実施形態における液状体81から光硬化剤を省略したものが採用される。第4実施形態における液状体81は、光硬化剤が省略されていることを除いては、第3実施形態における液状体81と同様の構成を有している。
また、第4実施形態では、記録媒体11として、第1実施形態や第3実施形態における記録媒体11に光硬化剤を添加したものが採用される。第4実施形態における記録媒体11は、光硬化剤が添加されていることを除いては、第1実施形態や第3実施形態における記録媒体11と同様の構成を有している。
【0057】
第4実施形態では、描画工程S2において、記録媒体11に断面パターン133が描画されると、液状体81と光硬化剤とが混合する。これにより、断面パターン133における液状体81は、光硬化性を示すようになる。このため、第3実施形態と同様の造形方法(図13)で、立体7を造形することができる。
第4実施形態においても、第3実施形態と同様の効果が得られる。
第3実施形態及び第4実施形態のそれぞれにおいて、記録媒体11dが別の記録媒体に対応している。
なお、記録媒体11への光硬化剤の添加形態としては、記録媒体11に光硬化剤を含浸させる形態や、光硬化剤を内包するマイクロカプセルなどを記録媒体11に添加する形態など、種々の形態が採用され得る。
【0058】
第1実施形態〜第4実施形態のそれぞれでは、溶解工程S5において、液体141を加熱したり、液体141のPHを調整したりすることによって、溶解を促進させてもよい。
また、第1実施形態〜第4実施形態のそれぞれにおいて、造形された立体7に、樹脂を染み込ませる工程を追加することができる。これにより、立体7の強度を増大させたり、立体7に光沢を与えたりすることができる。
また、第1実施形態〜第4実施形態では、それぞれ、記録媒体11の材料としてPVAが採用されているが、記録媒体11の材料はこれに限定されず、種々の水溶性の材料が採用され得る。
また、第1実施形態〜第4実施形態では、それぞれ、多孔質の記録媒体11が採用されているが、記録媒体11の形態は、これに限定されない。記録媒体11の形態としては、例えば、繊維状の材料を織ったり重ねたりした形態や、網目状に隙間や孔を形成した形態など、種々の形態が採用され得る。
【0059】
また、第1実施形態〜第4実施形態では、それぞれ、液状体81が顔料を含有しているが、液状体81の構成は、これに限定されず、顔料を省略した構成も採用され得る。また、液状体81の色は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックに限定されず、これらにホワイトを加えた5種類や、ライトシアン及びライトマゼンタを加えた6種類等、任意の種類が採用され得る。また、液状体81としては、光透過性を有する液状体81も採用され得る。
【符号の説明】
【0060】
1…造形システム、3…コンピューター、5…プリンター、7…立体、11…記録媒体、31…送り装置、33…吐出ヘッド、35…キャリッジ、37…キャリッジ移動装置、43…制御回路、61…ノズル面、63…ノズル、81…液状体、81K,81C,81M,81Y…液状体、83…液滴、91…インクカートリッジ、91K,91C,91M,91Y…インクカートリッジ、111…制御部、123…CPU、131…積層体、133…断面パターン、135…加熱炉、137…挟持具、139…領域、141…液体、143…紫外光、145…基板、147…載置台、151…積層体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化剤が付加されることによって熱硬化性を示し、且つ少なくとも硬化した状態において非水溶性を示す液状体で、水溶性であるとともに、前記液状体に対して受容性を示し、且つ前記熱硬化剤を含有する記録媒体に、造形対象である立体の断面パターンを描く描画工程と、
前記描画工程の後に、前記断面パターンが描かれた複数の前記記録媒体を重ねた状態で、前記複数の記録媒体を加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の後に、前記複数の記録媒体のそれぞれにおいて、少なくとも前記断面パターンの外側の領域を、水を含む液体で溶かす溶解工程と、を含む、
ことを特徴とする造形方法。
【請求項2】
前記加熱工程において、前記複数の記録媒体を加圧しながら、前記複数の記録媒体を加熱する、
ことを特徴とする請求項1に記載の造形方法。
【請求項3】
前記加熱工程において、前記複数の記録媒体を複数の新たな前記記録媒体で挟持した状態で、前記複数の記録媒体を加圧する、
ことを特徴とする請求項2に記載の造形方法。
【請求項4】
前記記録媒体は、多孔質である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の造形方法。
【請求項5】
前記溶解工程の後に得られる造形物に、樹脂を浸透させる工程を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の造形方法。
【請求項6】
前記描画工程において、前記記録媒体にインクジェット装置で前記断面パターンを描画する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の造形方法。
【請求項7】
前記描画工程において、着色された前記液状体で前記記録媒体に前記断面パターンを描画する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の造形方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の造形方法によって造形されている、
ことを特徴とする造形物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−143570(P2011−143570A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4649(P2010−4649)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】