説明

造粒性改善方法

本発明は、濡れ性の悪い化合物および界面活性剤を含有する造粒性が改善された造粒物、特に全体の少なくとも約35重量%が100号ふるいを通過しない造粒物、並びに造粒前または造粒時に界面活性剤を、濡れ性の悪い化合物に添加する、特に該化合物に対する重量比が約0.001〜約2の割合で添加することを含む、該化合物を含有する造粒性が改善された造粒物の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、造粒性が改善された固形組成物、特に固形医薬組成物、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
経口製剤として一般的である錠剤やカプセル剤は、その製造過程において粉体のハンドリングや製剤特性を向上させるために、いったん造粒物として製した後、圧縮成型工程、カプセル充填工程に供されることが多い。特に活性化合物を高比率で含む場合は、製造プロセス中でのトラブルを回避する目的で造粒を行うことが望ましいと考えられている。造粒方法には湿式法、乾式法、噴霧造粒法等があるが、活性化合物の表面物性の改質や製造効率の点から湿式造粒が汎用されており、中でも流動層造粒法が主流である。この方法は、ヒドロキシプロピルセルロースやポビドン等の結合剤溶液を造粒成分に連続的に噴霧し、乾燥する一連の工程を繰り返すことにより粒子の成長を促すというものである。
ところが、濡れ性の悪い(以下、本明細書においては、特に断らない限り、便宜上「難水溶性」なる用語を「濡れ性の悪い」と同義で用いる)化合物を活性成分として含む処方を流動層で造粒すると、結合剤に対する原薬の濡れ性不良が原因で造粒が進行しない場合がある。そのような場合、通常は難水溶性成分を他の賦形剤で希釈し、低濃度化することにより造粒性の改善が図られるが、難水溶性成分を高比率で含む処方の場合、この方法では錠剤(またはカプセル)サイズが大型化してしまい、コンプライアンス上問題がある。
【発明の開示】
したがって、本発明の目的は、難水溶性化合物を高比率で含む固形組成物にも好ましく適用し得る新規な造粒性改善手段を提供することであり、それによって、コンプライアンスを損なわない程度の固形物サイズでありつつ、造粒性が改善された、難水溶性化合物を高比率で含有する固形組成物、特に固形医薬組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、結合剤溶液中に少量の界面活性剤を配合することにより、難水溶性化合物を高比率で含有する処方においても、用途に適した範囲の固形物サイズで、適当な粒度、かさ・充填性、流動性を有する造粒物を製造し得ることを見出した。本発明者らは、この知見に基づいてさらに研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]濡れ性の悪い医薬化合物および界面活性剤を含有してなる、造粒性が改善された医薬造粒物、
[2]濡れ性の悪い化合物および界面活性剤を含有し、全体の少なくとも約35重量%が100号ふるいを通過しない造粒物、
[3]化合物と界面活性剤の重量比が1:約0.001〜約2である上記[2]記載の造粒物、
[4]重量比が1:約0.001〜1未満である上記[3]記載の造粒物、
[5]重量比が1:約0.001〜0.1未満である上記[3]記載の造粒物、
[6]重量比が1:約0.005〜約0.05である上記[3]記載の造粒物、
[7]化合物の造粒物全体に対する割合が約20重量%以上である上記[2]記載の造粒物、
[8]化合物が医薬化合物である上記[2]記載の造粒物、
[9]上記[2]〜[8]のいずれかに記載の造粒物を成型してなる成型物、
[10]濡れ性の悪い医薬化合物を含む医薬組成物の造粒性を改善する方法であって、造粒前または造粒時に界面活性剤を添加することを含む方法、
[11]造粒性が改善された濡れ性の悪い化合物を含有する造粒物の製造方法であって、造粒前または造粒時に界面活性剤を、化合物に対する重量比が約0.001〜約2の割合で添加することを含む方法、
[12]全体の少なくとも約35重量%が100号ふるいを通過しない造粒物が得られる上記[11]記載の製造方法、
[13]界面活性剤を含有する結合剤溶液にて湿式造粒することを含む上記[11]記載の製造方法、
[14]結合剤溶液中の界面活性剤濃度が約1〜約1,000mmol/Lである上記[13]記載の製造方法、
[15]結合剤溶液中の界面活性剤濃度が約10〜約100mmol/Lである上記[13]記載の製造方法、
[16]化合物が医薬化合物である上記[11]記載の製造方法、
[17]上記[11]〜[16]のいずれかに記載の製造方法により得られる造粒物を成型することを含む成型物の製造方法、
[18]医薬組成物の造粒時における造粒性の改善のための界面活性剤の使用、および
[19]界面活性剤を含有してなる、医薬組成物の造粒時における造粒性改善剤を提供する。
本発明の製造方法は、造粒前または造粒時に少量の界面活性剤を配合することにより難水溶性成分の結合剤溶液に対する濡れ性を改善するので、大量の賦形剤を配合することなく造粒性が改善された固形組成物を提供し得るという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の医薬組成物は、濡れ性の悪い医薬化合物および界面活性剤を含有し、且つ該界面活性剤の作用により造粒性が改善されたものであれば特に制限はない。ここで「医薬化合物」とは、医薬として用いられ得る生理活性を有する任意の化合物を意味する。本発明の医薬化合物は、濡れ性が悪いものであれば、水溶性、難水溶性(ここでの「難水溶性」は当該分野において通常用いられる意味、即ち、水に対する溶解度が低いという意味であり、具体的には、例えば、日本薬局方の規定で水に対して「溶けにくい」「極めて溶けにくい」または「ほとんど溶けない」(20±5℃で5分ごと30秒間振り混ぜ、30分以内に溶ける割合が水に対して10000ppm以下、好ましくは100ppm以下、または同条件下で水に対する溶解度が10mg/mL以下、好ましくは0.1mg/mL以下である)のいずれかである)を問わない。濡れ性の悪い医薬化合物としては、例えば、後述の本発明の造粒物において例示される化合物のうち医薬として用いられ得るものが挙げられる。
本発明の医薬組成物における医薬化合物の含有量は、剤形、投与方法、担体等により異なるが、本発明は、後述の本発明の造粒物において、造粒物全体に対する難水溶性化合物の重量比として好ましく例示される範囲、即ち医薬化合物を比較的高比率で含有する処方に特に適している。
本明細書において「造粒性が改善された」とは、(造粒)散剤、顆粒剤、細粒剤等においては、医薬化合物微粉末の付着性・飛散性・凝集を低減する、服用を容易にする、秤量を容易にするなど、錠剤、カプセル剤等においては、さらに圧縮性・充填性を向上させるなどの目的に適う程度の粒度および流動性を有することをいい、具体的には、造粒物の粒度分布、比容積、安息角等を測定することによって検定することができる。例えば、後述の本発明の造粒物の特性として示される範囲の粒度分布および安息角を有することが望ましい。
本発明の医薬組成物に用いられる界面活性剤は、少量で医薬組成物の造粒性を改善し得るのに十分な濡れ性改善作用を有するものであれば特に制限はなく、例えば、後述の本発明の造粒物において例示されるものが同様に挙げられる。
本発明の医薬組成物における医薬化合物および界面活性剤の配合比は、医薬組成物の造粒性を改善し得る範囲であれば特に制限はないが、後述の本発明の造粒物において、難水溶性化合物と界面活性剤との重量比として示される範囲が好ましく例示される。
本発明の医薬組成物は、医薬化合物および界面活性剤に加えて、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤などを含んでいてもよい。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を含むこともできる。これらの製剤添加物としては、後述の本発明の造粒物において例示されるものが同様に挙げられる。
本発明の医薬組成物の剤形は、製剤化において造粒工程を含むものであればいかなるものも含まれるが、例えば、(造粒)散剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル剤、坐剤、丸剤等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、造粒前もしくは造粒時に医薬化合物に界面活性剤を配合することにより得られる造粒性が改善された医薬組成物を、そのままもしくは必要に応じて成型することにより最終製剤として製造することができる。従って、本発明はまた、造粒前もしくは造粒時に界面活性剤を添加することによる、医薬組成物の造粒性改善方法を提供する。造粒前に界面活性剤を添加する場合、造粒時に界面活性剤を添加する場合のそれぞれについての具体的工程は、後述の本発明の造粒物の製造方法において詳述する。粉砕、混合(練合)、造粒、コーティング等の各工程において、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、増粘剤、コーティング剤などを添加してもよい。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を上記いずれかの工程中に共存させることもできる。
本発明はまた、濡れ性の悪い(難水溶性)化合物および界面活性剤を含有し、全体の少なくとも約35重量%が100号ふるい[ふるい目の開き寸法:149μm(平均許容差±6%);JISふるい規格]を通過しない造粒物(以下、「本発明の造粒物」と略記する場合がある)を提供する。かかる程度の粒度分布を示す造粒物は、難水溶性化合物微粉末の付着性・飛散性・凝集を低減し、服用を容易にし、秤量を容易にするとともに、圧縮成型性・カプセル充填性を向上させるのに十分であると考えられる。
本発明の造粒物は、さらに安息角が45°以下であるという特性を有することが好ましい。より好ましくは40°以下、特に好ましくは35°以下である。造粒物の安息角は以下の方法により測定される。
即ち、パウダーテスター(TYPE PT−E)(ホソカワミクロン社)を用い、造粒物20gをロート上部から供給し、バイブレーターにより適度な振動を与えることにより、造粒物を落下させる。粉体が完全に落下した後の、粉体層が水平面となす角度を安息角とする。
上述のように、本明細書において「難水溶性化合物」とは、特に断らない限り「濡れ性の悪い化合物」と同義で用いられる。「濡れ性の悪い化合物」とは、具体的には、そのバルク成型物と水との接触角が約30°以上である化合物を意味する。従って、本明細書における難水溶性化合物は、日本薬局方の規定で「水にほとんど溶けない」、「水に極めて溶け難い」または「水に溶けにくい」とされる化合物と必ずしも一致するものではない。接触角は以下の方法により測定される。
即ち、バルク約300mgを秤量し、10.0mmφの平面杵臼を用い、オートグラフ(島津製作所)により、打錠圧力10kN/杵、打錠速度10mm/minの条件にて圧縮成型し、バルク成型物とする。バルク成型物の平面部分にマイクロシリンジ(伊藤製作所)を用い精製水約10μLを滴下し、滴下直後の固・液界面付近をデジタルマイクロスコープ(キーエンス)により撮影する。撮影後、液面と固体面とのなす角度を測定し、接触角とする。
本発明は、特にバルク成型物と水との接触角が約40°以上である難水溶性化合物、就中、バルク成型物と水との接触角が約50°以上である難水溶性化合物に好ましく用いられ得る。
難水溶性化合物は上記の特性を有する限り特に制限されないが、例えば、難水溶性の医薬化合物または食品成分となる化合物、あるいは動物薬、農薬、肥料、サニタリー用品などの活性成分として用いられる化合物などが挙げられる。
難水溶性医薬化合物としては、例えば、特開2002−080468に記載されるベンゾオキサゼピン化合物、特開平11−60571号に記載される複素環化合物、特開2002−302435に記載される水難溶性ないし水不溶性の医薬化合物等が挙げられる。
これらの難水溶性医薬化合物は薬学的に許容される塩であってもよく、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
難水溶性医薬化合物またはその塩は、自体公知の方法、例えば、上記各文献に記載の方法およびそれらに準じた方法などにより得ることができる。該化合物が遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって目的とする塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法により、遊離体または、目的とする他の塩に変換することができる。
該化合物は水和物であってもよく、非水和物であってもよい。
また、該化合物が光学活性体の混合物として得られる場合には、自体公知の光学分割手段により目的とする光学活性体に分離することができる。
難水溶性医薬化合物またはその塩は、プロドラッグ、即ち、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により該化合物に変換される化合物であってよい。また、プロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で該化合物に変化するものであってもよい。プロドラッグは自体公知の方法によって活性化合物から製造することができる。
難水溶性の食品成分化合物としては、コエンザイムQ10、脂溶性ビタミン類(例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミンU等)、特開2002−302435に記載されるビタミン誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は食用上許容される塩であってもよい。そのような塩としては、上記難水溶性医薬化合物の薬学的に許容される塩として例示されたものが同様に挙げられる。また、難水溶性食品成分化合物は、生体内で上記のコエンザイムQ10、脂溶性ビタミン類、ビタミン誘導体等に変換され得る前駆体化合物であってもよい。
また、難水溶性の農薬化合物としては、例えば、特開2002−302435に記載される水難溶性ないし難溶性の固状の農薬化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は農薬学的に許容される塩であってもよい。そのような塩としては、上記難水溶性医薬化合物の薬学的に許容される塩として例示されたものが同様に挙げられる。また、難水溶性農薬化合物は、標的生物(害虫、雑草等)の生体内で上記の農薬化合物に変換され得る前駆体化合物であってもよい。
本発明の造粒物に用いられる界面活性剤は、少量で医薬組成物の造粒性を改善し得るのに十分な濡れ性改善作用を有するものであれば特に制限はなく、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、天然物由来の界面活性剤などが用いられる。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレノキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド、などが用いられる。
非イオン性界面活性剤の中でも、例えば、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油(polyoxyethylene castor oil)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(polyoxyethylene hydrogenated castor oil)、ポリオキシエチレンポリプロピレングリコール共重合体、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが好ましく用いられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に、モノステアリン酸ソルビタン(商品名:SS−10、日光ケミカルズ(株))、セスキオレイン酸ソルビタン(商品名:SO−15、日光ケミカルズ(株))、トリオレイン酸ソルビタン(商品名:SO−30、日光ケミカルズ(株))などが好適である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に、ポリソルベート20(商品名:TL−10、日光ケミカルズ(株))、40(商品名:TP−10、日光ケミカルズ(株))、60(商品名:TS−10、日光ケミカルズ(株))、80(商品名:TO−10、日光ケミカルズ(株))などが好適である。ショ糖脂肪酸エステルとしては、特に、ショ糖パルミチン酸エステル類(例えば商品名:P−1670、三菱化学フーズ(株))、ショ糖ステアリン酸エステル類(例えば商品名:S−1670、三菱化学フーズ(株))などが好適である。ポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600などが好適である。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、特に、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)(商品名:MYL−10、日光ケミカルズ(株))などが好適である。ポリオキシエチレンヒマシ油(polyoxyethylene castor oil)としては、特に、ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35(Polyoxy 35 Castor Oil、商品名クレモホールELもしくはEL−P、ビーエーエスエフジャパン(株))などが好適である。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(polyoxyethylene hydrogenated castor oil)としては、特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(Polyoxyethylene Hydrogenated Castor Oil 50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(Polyoxyethylene Hydrogenated Castor Oil 60)などが好適である。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール共重合体としては、特に、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(商品名:アデカプルロニックF−68、旭電化工業(株))などが好適である。グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸グリセリル(MGSシリーズ、日光ケミカルズ(株))などが好適である。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に、テトラグリセリンモノステアリン酸(MS−310、阪本薬品工業(株))デカグリセリンモノラウリン酸(Decaglyn 1−L、日光ケミカルズ(株))などが好適である。
アニオン界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル類(例、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸、硫酸化オレフィン)、スルホン酸塩(例、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、イゲポンT型、エアロゾルOT)、リン酸エステル類(例、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩)、ジチオリン酸エステル塩などが用いられる。
アニオン性界面活性剤の中でも、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、グリココール酸ナトリウムやデオキシコール酸ナトリウムなどの胆汁酸塩類やステアリン酸やカプリン酸ナトリウムなどの脂肪酸やその塩類が好適である。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型カチオン界面活性剤(例、高級アルキルアミンからつくられるアミン塩型カチオン界面活性剤、低高級アルキルアミンからつくられるアミン塩型カチオン界面活性剤)、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(例、高級アルキルアミンからつくられる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、低高級アルキルアミンからつくられる第4級アンモニウム塩型界面活性剤)などが用いられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤などが用いられる。
天然由来の界面活性剤としては、卵黄レシチン(商品4:PL−100H、キューピー(株))や大豆レシチン(商品名:レシノールS−10、日光ケミカルズ(株))などのレシチンリン脂質類などが用いられる。
上記の界面活性剤の中でも、アニオン性界面活性剤がより好適であり、中でもラウリル硫酸ナトリウムが特に好適である。
あるいは、アルキル硫酸塩類、ポリソルベート類、ショ糖脂肪酸エステル類(好ましくはHLB値の高いもの)、ポリエチレングリコール類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール共重合体が好適であり、アルキル硫酸塩類、ポリソルベート類がさらに好適である。また、上記のアルキル硫酸塩類のなかではラウリル硫酸ナトリウムが、ポリソルベート類では、ポリソルベート80がより好適である。
本発明の造粒物における難水溶性化合物と界面活性剤の重量比は、上記造粒物特性(即ち、全体の少なくとも約35重量%が100号ふるいを通過しない)を付与し得る範囲であって、最終製品である固形組成物の単位使用量が使用に適したサイズとなる限り特に制限はないが、好ましくは1:約0.001〜約2、より好ましくは1:約0.001〜1未満、さらに好ましくは1:約0.001〜0.1未満、特に好ましくは1:約0.005〜約0.05である。化合物に対して界面活性剤の量が少なすぎると十分な濡れ性改善効果が得られず、また、化合物に対して界面活性剤の量が多すぎると得られる組成物の機器への付着性、組成物の凝集性が大きくなって、却って操作性等が損なわれる。また、組成物の成形性の低下も起こす。本発明における造粒性改善とは、単なる結合剤に対する化合物の濡れ性改善による粒子成長の改善だけでなく、造粒・成型・包装・使用に至るその後のプロセスにおいて、ハンドリングを容易にし且つ固形組成物の品質を向上させ得る他のいかなる粒体物性の改善、例えば、付着性・飛散性・凝集の低減、服用・秤量等の容易化、錠剤やカプセル剤等に成型される場合は、さらに圧縮性・充填性の向上をも包含する意味で用いられる。
本発明の造粒物における難水溶性化合物の含有量は、最終製品である固形組成物の単位使用量あたりの該化合物量が使用目的を達成するのに十分である限り特に制限はないが、本発明は、特に難水溶性化合物を高比率で含有する固形組成物の造粒に適している。従って、難水溶性化合物の含有量は、好ましくは造粒物全体に対して約20重量%以上、より好ましくは約30〜約90重量%、特に好ましくは約40〜約80重量%である。
本発明の造粒物は、難水溶性化合物および界面活性剤に加えて、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、増粘剤、コーティング剤などを含んでいてもよい。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの添加物を含むこともできる。
賦形剤の好適な例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、麦芽糖、トウモロコシデンプン、小麦粉デンプン、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ゼラチン、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウ厶などが挙げられるが、これらに限定されない。
滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ワックス類、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、マクロゴール、エアロジル(帯電防止剤としても可能)などが挙げられるが、これらに限定されない。
結合剤の好適な例としては、ゼラチン、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、マクロゴール、アラビアゴム、デキストラン、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン糊などが挙げられるが、これらに限定されない。
崩壊剤の好適な例としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、陽イオン交換樹脂、部分α化デンプン、トウモロコシデンプンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
増粘剤の例としては、天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体などが挙げられるが、これらに限定されない。
コーティング剤の好適な例としては、親水性の高分子重合体などが一般に用いられ、なかでも上記のヒドロキシアルキルセルロースやアルキルセルロースなどのセルロース誘導体などの水溶性重合体、腸溶性重合体、胃溶性重合体などが好ましく用いられる。また、これらの親水性重合体は、2種類以上混合して使用しても良い。
腸溶性重合体としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等のヒドロキシアルキルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等のヒドロキシアルキルセルロースアセテートサクシネート;カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;酢酸フタル酸セルロース;メタアクリル酸コポリマーL−100−55等のアクリル酸エチルおよびメタアクリル酸の共重合体;メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーS等のメタアクリル酸メチルおよびメタアクリル酸の共重合体などが用いられる。
胃溶性重合体としては、例えば、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートなどが用いられる。
その他、メタアクリル酸コポリマーRL、メタアクリル酸コポリマーRS等のアクリル酸エチルおよびメタアクリル酸メチルの少量の4級アンモニウムグループを含む共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カンテン、ゼラチン、キトサンといった親水性重合体が用いられる。
防腐剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸及びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
着色剤の好適な例としては、例えば合成着色剤(例えば、サンセットイエロー等及びそれらのアルミニウムレーキなど)、黄色三二酸化鉄(黄ベンガラ)、三二酸化鉄(赤ベンガラ)、リボフラビン、リボフラビン有機酸エステル(例えば、リボフラビン酪酸エステル)、リン酸リボフラビンあるいはそのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、フェノールフタレイン、酸化チタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。遮光剤としては酸化チタンなどが挙げられる。
甘味剤の好適な例としては、キシリトール、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、ステビアエキス、アスパルテームなどが挙げられるが、これらに限定されない。
但し、界面活性剤以外のこれら添加物全体の配合量は、難水溶性化合物の造粒性を改善し得るほどの量ではない。好ましくは、他の添加物の含有量は、造粒物全体に対して約80重量%以下であり、より好ましくは約10〜70重量%、特に好ましくは約20〜約60重量%である。
本発明の造粒物は、造粒前もしくは造粒時に界面活性剤を、難水溶性化合物に対する重量比が約0.001〜約2の割合で添加することにより製造することができる。界面活性剤は、難水溶性化合物に対する重量比が約0.001〜1未満、特に約0.001〜0.1未満、就中、約0.005〜約0.05の割合で添加することが好ましい。
造粒物は通常の方法(例えば第10改正、日本薬局方の製剤総則に記載されている方法)により製造できる。すなわち、難水溶性化合物と界面活性剤に加えて、必要に応じて賦形剤(例:乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなど)、崩壊剤(例:デンプン、炭酸カルシウムなど)などを加えて混合し、さらに水性溶媒(例:水、水/エタノール、水/イソプロパノール、水/アセトンなど)に溶解した結合剤溶液を加えて練合した後押出し造粒を行うか、難水溶性化合物、界面活性剤および他の添加物を含有してなる混合粉末を造粒装置(例:転動造粒機、流動層造粒機など)に入れ、水性溶媒に溶解した結合剤溶液を噴霧しながら該混合粉末をコーティングすることにより、(造粒)散剤、細粒剤、顆粒剤として製することができる。結合剤溶液の結合剤濃度は、約3〜約15重量%が挙げられる。また、結合剤の使用量は難水溶性化合物に対する重量比としては、約2〜約5%が挙げられる。
あるいは、上記の各方法において、造粒前に難水溶性化合物と界面活性剤を混合する代わりに、結合剤溶液に界面活性剤を含有させることにより造粒時に界面活性剤を配合してもよい。特に、結合剤溶液中に界面活性剤を含有させて流動層造粒を行う方法が好ましい。結合剤溶液に界面活性剤を含有させる場合、溶液中の界面活性剤濃度は、得られる造粒物における難水溶性化合物に対する界面活性剤の重量比が約0.001〜約2となり得る限り特に制限はないが、好ましくは約1〜約1,000mmol/L、より好ましくは約10〜約100mmol/Lである。
本発明の造粒物は、自体公知の手段(例えば第10改正、日本薬局方の製剤総則に記載されている方法)に従い、例えば、錠剤、カプセル剤などの使用に適した剤形に成型することができる。
例えば、錠剤の場合、上記のようにして得られた造粒物に滑沢剤(例:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルクなど)等を加えて打錠することにより製造することができる。また、カプセル剤の場合は、上記のようにして得られた造粒物を、必要に応じて賦形剤(例:乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなど)などとともに、ゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロース等のカプセルに充填すればよい。
錠剤、顆粒剤、細粒剤に関しては、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングしてもよい。そのコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、西ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合物)および酸化チタン、ベンガラ等の色素が用いられる。
錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤などの剤形に製剤化する場合、さらに表面をフィルムコーティングしてもよい。フィルムコーティングする場合、隠蔽剤などを添加し光安定性などを向上させることが可能であるが、このとき酸化チタンなどの隠蔽剤を配合する場合、あらかじめ、それらを含まないフィルムコーティングを施した後にさらにそれらを含むフィルムコーティングを施すとよりよい結果が得られる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
流動層造粒乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で、化合物X(3−〔3−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノフェニル〕プロピオン酸)2,000g、乳糖824.8gおよび結晶セルロース711.2gを均一に混合後、機内でラウリル硫酸ナトリウム40g、ポビドン(PVP)200gおよび黄色三二酸化鉄4gを溶解、分散した水溶液を噴霧して造粒し、ついで流動層造粒乾燥機中で乾燥した。得られる造粒物を、パワーミル粉砕機(P−3、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕して整粒末とした。得られた整粒末3,402gにクロスカルメロースナトリウム180gとステアリン酸マグネシウム18gを加え、タンブラー混合機(TM−15S、昭和化学機械工作所製)で混合して打錠用顆粒とした。得られた顆粒をロータリー打錠機(コレクト12HUK、菊水製作所)で14.0×8.0mmφの杵を用いて重量400mgで打錠(打錠圧8kN/杵)し、錠剤90,000錠を得た。表1に記載の理論処方の錠剤をそれぞれ得た。

試験例1 結合液との濡れ性
実施例1で使用した化合物Xのバルク成型物および表1中の化合物X、乳糖および結晶セルロース(これらの混合物を造粒成分という)の成型物に対する結合剤(10%PVP)溶液との濡れ性に及ぼす界面活性剤の効果を検討した。結合液として結合剤単独の溶液(A)、結合剤+1%ポリソルベート80溶液(B)および結合剤+1%ラウリル硫酸ナトリウム溶液(C)を用い、以下の方法により接触角を測定した。
バルクもしくは造粒成分約300mgを秤量し、10.0mmφの平面杵臼を用い、オートグラフ(島津製作所)により、打錠圧力10kN/杵、打錠速度10mm/minの条件にて圧縮成型し、バルク成型物もしくは造粒成分成型物とした。それぞれの成型物の平面部分にマイクロシリンジ(伊藤製作所)を用い上記結合液約10μLを滴下し、滴下直後の固・液界面付近をデジタルマイクロスコープ(キーエンス)により撮影した。撮影後、付属のソフトにより液面と固体面とのなす角度を測定し、接触角とした。結果を表2に示す。界面活性剤を結合剤溶液中に含有させることにより、化合物Xの結合剤溶液に対する濡れ性が顕著に改善された。

試験例2 化合物Xの造粒末特性
実施例1で得られた各錠剤の打錠前の造粒末の特性(粗比容、充填比容、粒度分布、安息角)を以下の方法により調べた。
粗比容:造粒末50gを秤量し、ロートを用いて徐々に200mLメスシリンダーに入れる。ハケを用いて静かに粉体上面を平らにし、その時の目盛りを読み取る。目盛りを50gで除した値を粗比容(mL/g)とする。
充填比容:粗比容を測定後、試料の入ったメスシリンダーを繰り返し5cmの高さから落下させ、粉体上面が一定になった時点でその目盛りを読み取る。目盛りを50gで除した値を充填比容(mL/g)とする。
粒度分布:造粒末50gを秤量し、16M、30M、42M、60M、100M、の篩を順に上部より装着したセットの最上段の篩に投入し、激しく300回振とうする。1〜2分間放置した後、各篩上に残留した試料又は、篩を通過した試料の重量を秤量する。総重量に対する各分画の割合から粒度分布(%)を算出する。
安息角:パウダーテスター(TYPE PT−E)(ホソカワミクロン社)を用い、造粒物20gをロート上部から供給し、バイブレーターにより適度な振動を与えることにより、造粒物を落下させる。粉体が完全に落下した後の、粉体層が水平面となす角度を安息角とする。
結果を表3に示す。界面活性剤を配合することにより、粒子成長が顕著に改善され、流動性も向上した。

【産業上の利用可能性】
本発明の方法によれば、少量の界面活性剤を配合させることで賦形剤等を大量に添加することなく組成物の造粒性を改善することができるので、難水溶性化合物を高比率で含有する処方においても固形組成物のサイズを大きくすることなく錠剤、カプセル剤等に製することが可能となる。
本出願は、日本で出願された特願2003−430169(出願日:2003年12月25日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濡れ性の悪い医薬化合物および界面活性剤を含有してなる、造粒性が改善された医薬造粒物。
【請求項2】
濡れ性の悪い化合物および界面活性剤を含有し、全体の少なくとも約35重量%が100号ふるいを通過しない造粒物。
【請求項3】
化合物と界面活性剤の重量比が1:約0.001〜約2である請求項2記載の造粒物。
【請求項4】
重量比が1:約0.001〜1未満である請求項3記載の造粒物。
【請求項5】
重量比が1:約0.001〜0.1未満である請求項3記載の造粒物。
【請求項6】
重量比が1:約0.005〜約0.05である請求項3記載の造粒物。
【請求項7】
化合物の造粒物全体に対する割合が約20重量%以上である請求項2記載の造粒物。
【請求項8】
化合物が医薬化合物である請求項2記載の造粒物。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれかに記載の造粒物を成型してなる成型物。
【請求項10】
濡れ性の悪い医薬化合物を含む医薬組成物の造粒性を改善する方法であって、造粒前または造粒時に界面活性剤を添加することを含む方法。
【請求項11】
造粒性が改善された濡れ性の悪い化合物を含有する造粒物の製造方法であって、造粒前または造粒時に界面活性剤を、化合物に対する重量比が約0.001〜約2の割合で添加することを含む方法。
【請求項12】
全体の少なくとも約35重量%が100号ふるいを通過しない造粒物が得られる請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
界面活性剤を含有する結合剤溶液にて湿式造粒することを含む請求項11記載の製造方法。
【請求項14】
結合剤溶液中の界面活性剤濃度が約1〜約1,000mmol/Lである請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
結合剤溶液中の界面活性剤濃度が約10〜約100mmol/Lである請求項13記載の製造方法。
【請求項16】
化合物が医薬化合物である請求項11記載の製造方法。
【請求項17】
請求項11〜16のいずれかに記載の製造方法により得られる造粒物を成型することを含む成型物の製造方法。
【請求項18】
医薬組成物の造粒時における造粒性の改善のための界面活性剤の使用。
【請求項19】
界面活性剤を含有してなる、医薬組成物の造粒時における造粒性改善剤。

【国際公開番号】WO2005/065715
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【発行日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516861(P2005−516861)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019767
【国際出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】