説明

連結コネクタ

【課題】従来の連結コネクタに較べて、より簡単な構造でケーブルの端部の断線を防止し、しかも使い勝手の良い連結コネクタを提供する。また、コネクタの先端のプラグ部をキャップで保護し、しかもキャップの紛失の虞を無くす。
【解決手段】
連結コネクタ1は、ケーブル2と、該ケーブル2の一端部と他端部に接続された第1,第2のコネクタ3,4と、これら第1,第2のコネクタ3,4を接続するとともにケーブル2の周囲を覆っているケース5と、を備えている。ケース5は、弾性を有する合成樹脂によりスティック状に形成されている。また、ケース5は、第1,第2のコネクタ3,4の先端のプラグ部3a,4aを覆うコネクタカバー21を組み付けるコネクタカバー組付部6を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピューター(以下、PC)等の電子機器のUSB端子と音楽プレーヤ等の情報端末機器を接続する場合などに使用する連結コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図20に示すように、PC等の電子機器101のUSB端子102と、音楽プレーヤ等の情報端末機器103の端子104を接続する連結コネクタ105として、ケーブル106の一端部にUSB接続用のコネクタ107を設け、ケーブル106の他端部に情報端末機器接続用のコネクタ108を設けたものが広く一般に使用されている。
【0003】
しかし、上記連結コネクタ105にあっては、上記ケーブル106は、数十センチの長さに形成されていたために、狭い場所で使用する際に、上記ケーブル106が長すぎて邪魔になる。また、上記連結コネクタ105にあっては、上記ケーブル106が露出しているために、該ケーブル106と上記USB接続用のコネクタ107および情報端末機器接続用のコネクタ108の境界部において、ケーブル106の断線が起こり易い。
【0004】
上記ケーブル106の断線を防止するために、上記境界部にケーブル保護用のゴムブッシュ109を被せる方法も採られているが、ゴムブッシュ109を使用した場合にも、ゴムブッシュ109とケーブル106の境界部110においてケーブル106の断線が発生する。
【0005】
そこで、ケーブル106の捌きを容易にし、また、ケーブル106の断線を防止するために、USB接続用のコネクタ107と情報端末機器接続用のコネクタ108を夫々、ハードケースに収納し、これらハードケースを連結手段で折り曲げ可能に連結した変換用アダプタ(以下、連結コネクタ)が開発されている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−319745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の連結コネクタには、次に述べるような問題点があった。(1)USB接続用のコネクタ107と情報端末機器接続用のコネクタ108を夫々、ハードケースに収納して、これらハードケースを連結手段で折り曲げ可能に連結するものであるため、構造が複雑となり、従って製造工程も複雑になり、コストが高くなる。
(2)USB接続用のコネクタ107と情報端末機器接続用のコネクタ108の先端のプラグ部が露出しているためにプラグ部が損傷を受け易く、また、塵埃等が付着し易い。
上記プラグ部をキャップで覆って保護することも考えられるが、キャップは、連結コネクタと独立、別個のものとして構成されているため、キャップを紛失してしまうことが多々ある。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の連結コネクタに較べて、より簡単な構造でケーブルの端部の断線を防止することができ、しかも、携帯等に便利な使い勝手の良い連結コネクタを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、コネクタの先端のプラグ部をキャップで保護し、しかもキャップの紛失の虞を可及的に減ずることのできる連結コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ケーブルと、該ケーブルの一端部に接続された第1のコネクタと、上記ケーブルの他端部に接続された第2のコネクタと、上記ケーブルおよび第1,第2のコネクタの周囲を覆っているケースと、を備えた連結コネクタにおいて、上記ケースを、弾性を有する合成樹脂によりスティック状に形成した。
【0010】
また、本発明は、上記ケースに、上記第1,第2のコネクタの先端のプラグ部を覆うコネクタキャップを設けたコネクタカバーを組み付けるコネクタカバー組付部を設け、該コネクタカバー組付部にコネクタカバーを着脱可能に組み付ける構成にした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の連結コネクタは、ケーブルおよび第1,第2のコネクタの周囲を覆っているケースを、弾性を有する合成樹脂によりスティック状に形成したので、携帯するのに便利なものになる。また、ケースを適度に湾曲させながらコネクタを電子機器等に挿入することができるので、狭い場所等においても使用が可能になり、使い勝手の良いものになる。
【0012】
また、本発明の連結コネクタは、上記ケースに設けた溝と、コネクタカバーに設けた突起の嵌め合わせにより、ケースとコネクタカバーを一体的に結合してコネクタカバーに設けたコネクタキャップが紛失するのを防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は連結コネクタの斜視図、図2は連結コネクタを裏返した斜視図、図3は分解斜視図、図4は連結コネクタを前端面側から見た正面図、図5は連結コネクタを後端面側から見た正面図である。
【0014】
図1、図3に示すように、連結コネクタ1は、ケーブル2と、該ケーブル2の一端部に接続された第1のコネクタ3と、上記ケーブル2の他端部に接続された第2のコネクタ4と、これら第1,第2のコネクタ3,4を接続するとともに上記ケーブル2の周囲を覆って保護しているケース5と、を備えている。
【0015】
上記ケース5は、弾性を有する合成樹脂によりスティック状に形成されている。上記第1のコネクタ3は、USB接続用のコネクタとして構成され、第2のコネクタ4は、音楽用の情報端末機器用のコネクタとして構成されている。(以下、第1のコネクタ3をUSB用のコネクタと称し、第2のコネクタ4を端末用のコネクタと称する)。
【0016】
図3に示すように、上記ケース5は、表,裏面(上,下面)5a,5bと、左,右側面5c,5dと、前,後端面5e,5fと、を備え、扁平で細長い筒状に形成されている。
【0017】
図4に示すように、上記前端面5eは、上記USB用のコネクタ3の幅よりも大きな幅で、且つ上記記USB用のコネクタ3の厚みよりも大きな厚みに形成されていて、上記USB用のコネクタ3のプラグ部3a,4aを除いた周面および上記ケーブル2を覆っている。
【0018】
図5に示すように、上記後端面5fは、上記端末用のコネクタ4の幅よりも大きな幅で、且つ上記端末用のコネクタ4の厚みよりも大きな厚みに形成されていて、上記端末用のコネクタ4のプラグ部4aを除いた周面および上記ケーブル2を覆っている。
【0019】
上記ケース5の前,後端面5e,5fおよび前,後端面5e,5fに沿う断面は、略同じ大きさの長方形に形成されている。即ち、上記ケース5は、長さ方向の全域に亘って同じ肉厚に形成されている。
【0020】
図2に上記ケース5を裏返して示すように、上記ケース5の裏面5bの中央部には、後に説明するコネクタカバーを組付けるためのコネクタカバー組付部6が設けられている。上記コネクタカバー組付部6は、2個の円弧状の溝7,8を同一円周上に配置することにより形成されている。
【0021】
次に、上記ケース5の製造方法の一例を図6を参照して簡単に説明する。
【0022】
先ず、図6Aに示すように、端末用のコネクタ4のSUSケース(ステンレススチールケース)11の内部をPVC(ポリ塩化ビニル)の保護材12で耐熱補強して、後のケース成形時にケースの熱融けを防止する。
【0023】
次に、図6Bに示すように、TPE(ポリエチレン)で固定部13を成形して、USB用のコネクタ3とケーブル2を固定する。そして、後のケース成形時におけるケースの熱融けを防止する。
【0024】
次に、図6Cに示すように、端末用のコネクタ4のSUSケース11の外側にABS材のケース14を超音波等で接着する。
【0025】
次に、図6Dに示すように、PVC材でUSB用のコネクタ3のケース15を成形する。
【0026】
次に、図6Eに示すように、端末用のコネクタ4のABS材のケース14とケーブル2およびUSB用のコネクタ3のケース15とケーブル2を、次に成形するケース5と同質材で成形した保護部16で固定することによって、ケース5を射出成形する際に溶融樹脂を注入する際の圧力でケーブル2が振れるのを防止すると共に、ケース5を成形した後における所謂ヒケの発生を抑制する。
【0027】
次に、図6Fに示すように、端末用のコネクタ4のABS材のケース14およびUSB用のコネクタ3のケース15の周面を覆うようにしてケース5を成形する。上記ケース5は、硬度60°以上のTPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)やTPE(熱可塑性ポリエチレンエラストマー)或いはTPV(熱可塑性オレフィン系エラストマー)等の弾性に富む合成樹脂で形成されている。
【0028】
上記ケース5を成形する際に、図2に示すように、上記コネクタカバー組付部6を構成する円弧状の溝7,8が形成される。
【0029】
図7に示すように、コネクタカバー21は、上記第1,第2のコネクタ3,4の先端のプラグ部3a,4aを覆う第1,第2のコネクタキャップ22,23と、これら第1,第2のコネクタキャップ22,23を連結している連結バンド24と、該連結バンド24を上記コネクタカバー組付部6に着脱可能に組付ける被組付部25と、を備えている。上記被組付部25は、上記コネクタカバー組付部6の円弧状の溝7,8に圧入される円弧状の突起26,27によって構成されている。
【0030】
上記第1,第2のコネクタキャップ22,23は、上記コネクタ3,4の先端のプラグ部3a,4aの下面側を覆う下面覆い部31と、上記プラグ部3a,4aの左,右側面側を覆う左,右側面覆い部32,33と、上記プラグ部3a,4aの先端面側を覆う先端面覆い部34と、上記プラグ部3a,4aの上面側を覆う上面覆い部35と、を備えている。
【0031】
上記上面覆い部35は、該上面覆い部35の上面側から上記コネクタ3,4の先端のプラグ部3a,4aを上記コネクタキャップ22,23内に導入するコネクタ導入用の窓部36を備えている。上記第1,第2のコネクタキャップ22,23は、相互の下面覆い部31が連結バンド24によって連結されている。上記コネクタカバー21は、シリコンゴム等の柔軟性に富む素材で一体的に成形されている。
【0032】
上記コネクタカバー21は、円弧状の突起26,27を上記ケース5の裏面5bに設けた円弧状の溝7,8に圧入することにより、図8に示すように、上記ケース5の裏面5a側に重ね合わせた状態で組み付けられる。
【0033】
そして、コネクタ3,4の先端のプラグ部3a,4aを第1,第2のコネクタキャップ22,23側に向けて押圧すると、コネクタ導入用の窓部36が押し広げられて、図9に示すように、上記プラグ部3a,4aが上記第1,第2のコネクタキャップ22,23内に導入され、上記プラグ部3a,4aに上記第1,第2のコネクタキャップ22,23が被せられた状態になって、上記プラグ部3a,4aは、上記第1,第2のコネクタキャップ22,23によって保護される。
【0034】
なお、上記実施例においては、図2,図7に示すように、コネクタカバー組付部6を円弧状の溝7,8で構成すると共に、被組付部25を円弧状の突起26,27で形成することにより、ケース5の裏面5bにコネクタカバー21を組み付けると、図8に示すように、第1,第2のコネクタキャップ22,23が自ずとプラグ部3a,4aの位置に来るように位置決めした状態で組み付ける構成にしたが、図15に示すように、コネクタカバー組付部6を環状の溝9で構成することにより、コネクタカバー21をケース5に対して、回転可能に組み付ける構成にしてもよい。また、図16に示すように、ケース5の断面形状は楕円形であってもよい。また、図17に示すように、ケース5の表面5aを前,後端面から長手方向の中央部に向かって徐々に薄肉になる湾曲面に形成することにより、ケース5を中央部で湾曲させ易い構成にしてもよい。図17では、ケース5の表面5a側を湾曲させた場合を示したが、裏面5b側も同様に湾曲させてもよい。また、上記実施例では、コネクタカバー組付部6としてケース5に溝を形成し、被組付部25としてコネクタカバー21に上記溝に圧入する突起を形成した場合を示したが、これとは逆にケース5に突起を形成し、コネクタカバー21に溝を形成してもよい。また、溝の数は、実施例の1個又は2個に限定されるものではなく、3個以上であってもよい。また、溝の形状も、円弧状や環状に限定されるものではない。
【0035】
本発明の連結コネクタ1は、ケース5をスティック状に形成したので、図18に示すように洋服のポケットP等に入れて携帯するのに便利なものになる。また、図19に示すように、ケース5を湾曲させることにより、狭い場所での使用に便利なものになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】連結コネクタの斜視図。
【図2】連結コネクタを裏返した斜視図。
【図3】分解斜視図。
【図4】連結コネクタを前端面側から見た正面図。
【図5】連結コネクタを後端面側から見た正面図。
【図6】A〜Fはケースの形成工程を示す説明図。
【図7】連結コネクタにコネクタキャップの連結バンドを組付ける前の状態の斜視図。
【図8】連結コネクタにコネクタキャップの連結バンドを組付けた後の状態の斜視図。
【図9】コネクタキャップを第1,第2のコネクタに被せた状態の斜視図。
【図10】図9のA−A断面図。
【図11】図9のB−B断面図。
【図12】図9のC−C断面図。
【図13】図9のD−D断面図。
【図14】図9のE−E断面図。
【図15】ケースに設けたコネクタカバー組付部の他の実施例の斜視図。
【図16】ケースの断面形状を楕円形に形成した場合を示す説明図。
【図17】ケースの表面を湾曲面に形成した場合を示す斜視図。
【図18】使用状態を示す説明図。
【図19】使用状態を示す説明図。
【図20】従来例の説明図。
【符号の説明】
【0037】
1…連結コネクタ、2…ケーブル、3…第1のコネクタ、3a…プラグ部、4…第2のコネクタ、4a…プラグ部、5…ケース、5a,5b…ケースの表,裏面、5c,5d…ケースの左,右側面、5e,5f…前後端面、6…コネクタカバー組付部、7,8…円弧状の溝、21…コネクタカバー、22,23…第1,第2のコネクタキャップ、24…連結バンド、25…被組付部、26,27…円弧状の突起、31…下面覆い部、32,33…側面覆い部、34…先端面覆い部、35…上面覆い部、36…コネクタ導入用の窓部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルと、該ケーブルの一端部に接続された第1のコネクタと、上記ケーブルの他端部に接続された第2のコネクタと、上記ケーブルおよび第1,第2のコネクタの周囲を覆っているケースと、を備え、
上記ケースは、弾性を有する合成樹脂によりスティック状に形成されていることを特徴とする連結コネクタ。
【請求項2】
上記ケースは、表,裏面と、左,右側面と、前,後端面と、からなる扁平な断面略長方形の筒状に形成され、
上記前端面は、上記第1のコネクタの幅よりも大きな幅で、且つ上記第1のコネクタの厚みよりも大きな厚みに形成され、
上記後端面は、上記第2のコネクタの幅よりも大きな幅で、且つ上記第2のコネクタの厚みよりも大きな厚みに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の連結コネクタ。
【請求項3】
上記ケースの前,後端面に沿う断面形状は、略同じ大きさの長方形に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の連結コネクタ。
【請求項4】
上記ケースの前,後端面に沿う断面形状は、略同じ大きさの楕円形に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の連結コネクタ。
【請求項5】
上記ケースは、前,後端面から長手方向の中央部に向かって徐々に薄肉になるように表,裏面の両方または何れか一方の面が湾曲面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の連結コネクタ。
【請求項6】
上記ケースは、上記第1,第2のコネクタの先端のプラグ部を覆うコネクタカバーを組み付けるコネクタカバー組付部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の連結コネクタ。
【請求項7】
上記コネクタカバー組付部は、円弧状の溝によって構成されていることを特徴とする請求項6に記載の連結コネクタ。
【請求項8】
上記コネクタカバー組付部は、環状の溝によって構成されていることを特徴とする請求項6に記載の連結コネクタ。
【請求項9】
上記コネクタカバー組付部に組み付けられるコネクタカバーは、上記第1,第2のコネクタの先端のプラグ部を覆う第1,第2のコネクタキャップと、これら第1,第2のコネクタキャップを連結している連結バンドと、該連結バンドに設けられていて上記ケースのコネクタカバー組付部に嵌合される被組付部と、を備えていることを特徴とする請求項6に記載の連結コネクタ。
【請求項10】
上記被組付部は、円弧状の突起によって構成されていることを特徴とする請求項9に記載の連結コネクタ。
【請求項11】
上記第1,第2のコネクタキャップは、上記コネクタの先端部の下面側を覆う下面覆い部と、上記コネクタの先端部の左,右側面側を覆う左,右側面覆い部と、上記コネクタの先端部の先端面側を覆う先端面覆い部と、上記コネクタの先端部の上面側を覆う上面覆い部と、を備え、
上記上面覆い部は、該上面覆い部の上面側から上記コネクタを上記コネクタキャップ内に導入するコネクタ導入用の窓部を備えていることを特徴とする請求項9に記載の連結コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−54510(P2009−54510A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222146(P2007−222146)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】