説明

連結具及び柄付き清掃具

【課題】互いに連結される2個の被連結部材同士を外観を損なわずに分離可能に連結することができる連結具を提供する。
【解決手段】連結具1は雄連結部材2と雌連結部材20を具備する。雌連結部材20の差込孔22内には、回転係止片30が、雄連結部材2の差込連結片4の差込及び抜出を許容する第1回転位置Aと差込連結片4の抜出を阻止する第2回転位置Bとの間で回転可能に配置されている。回転係止片30は、その幅が、第1回転位置Aのときよりも第2回転位置Bのときの方が大きくなるように形成されている。差込連結片4の一対の突出部5,5の先端部には、内側に屈曲した被係止部6,6が形成されている。差込連結片4が差込孔22内に差し込まれた状態のもとで、第1回転位置Aから第2回転位置Bに回転操作された回転係止片30が両係止部6,6に係止することで、差込連結片4の差込孔22内からの抜出が阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2個の被連結部材を分離可能に連結する連結具、及び、該連結具を用いた柄付き清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
清掃箇所として、床(例:フローリング床、ビニール床)、畳、天井等を拭き掃除したり、掃き掃除したりする清掃具は、一般に使用者が把持するための柄を備えている。
【0003】
この柄付き清掃具として、柄の長さを清掃作業に適する長さに変更できるようにしたり、清掃具を使用しないときにコンパクトな状態にして保管・収納できるようにするため、柄がその長さ方向に複数の柄構成部材に分割されるように構成されたものが知られている。
【0004】
例えば、特開2001−200817号公報(特許文献1)は、2個の柄構成部材として用いられる2個の円筒状パイプを分離可能に連結する構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−200817号公報(特許文献1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の連結構造では、2個のパイプを連結するためのスリーブがパイプに対して外嵌め状に装着されるので、パイプの外観が低下するという難点があった。
【0007】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、互いに連結される2個の被連結部材同士を外観を極力損なわずに分離可能に連結することができ、更に、高い連結強度を得ることができる連結具、及び、これを用いた柄付き清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1] 2個の被連結部材を分離可能に連結する連結具であって、
2個の被連結部材のうち一方の被連結部材に突出して設けられる差込連結片を備えた雄連結部材と、他方の被連結部材に設けられるとともに前記差込連結片に対応する差込孔を備えた雌連結部材と、を具備し、
前記雌連結部材の差込孔内には、回転係止片が、前記差込連結片の差込孔内への差込及び抜出を許容する第1回転位置と、差込孔内に差し込まれた前記差込連結片の差込孔内からの抜出を阻止する第2回転位置との間で回転可能に配置されており、
前記回転係止片は、前記差込孔に対する前記差込連結片の差込方向視において、その幅が、前記第1回転位置に配置されるときよりも前記第2回転位置に配置されるときの方が大きくなるように形成されており、
前記雄連結部材の差込連結片は、互いに離間して対向する一対の突出部を有するとともに、両突出部の間に前記回転係止片が回転可能に配置される空間が形成され、且つ、各突出部の先端部に内側に屈曲した被係止部が形成され、
前記両被係止部間の隙間の幅が、第2回転位置の回転係止片の幅よりも小寸に、且つ、前記差込連結片を前記差込孔内に差し込む際に前記第1回転位置の回転係止片が当該隙間を前記空間に向かって通過可能な寸法に設定され、
前記差込連結片が前記差込孔内に差し込まれて前記回転係止片が前記空間内に配置された状態のもとで、前記第1回転位置から前記第2回転位置に回転操作された前記回転係止片が前記両係止部に係止することで、前記差込連結片の前記差込孔内からの抜出が阻止されるように構成されていることを特徴とする連結具。
【0010】
[2] 前記各突出部は弾性を有しており、
前記差込孔の内周面における、前記差込孔内に差し込まれた前記差込連結片の各被係止部の外側に対応する位置に、差込孔の内周面に対して内側に向けて突出する押圧凸部が設けられるとともに、前記各被係止部の外側面に前記押圧凸部に対応する凹部が設けられており、
前記押圧凸部の側面と前記凹部の内側面とのうち少なくとも一方が、前記差込連結片の抜出方向に対して傾斜して形成され、
前記押圧凸部が前記凹部内に配置された状態で前記差込連結片が抜出方向に移動されると、前記押圧凸部の側面が前記凹部の内側面に当接して押圧凸部で被係止部が内側に押圧されて弾性的に変形されるように構成されている前項1記載の連結具。
【0011】
[3] 前記回転係止片の回転軸方向の両端部のうち少なくとも一端部には、前記回転軸に垂直な方向に突出した回転フランジ部が一体に設けられ、
前記差込孔の内周面に、前記回転フランジ部を回転可能に保持する保持孔内が形成されるとともに、前記回転フランジ部が前記保持孔内に配置されており、
前記回転フランジ部の外周縁部には、前記保持孔の内周面をその径方向外向きに弾性的に押圧する弾性押圧凸部が形成されるとともに、
前記保持孔の内周面には、その周方向に係脱可能に弾性押圧凸部が嵌合される嵌合凹部が設けられている前項1又は2記載の連結具。
【0012】
[4] 前記回転フランジ部における前記弾性押圧凸部の近傍部分に切欠き孔が形成されることにより、弾性押圧凸部に弾性力が付与されている前項3記載の連結具。
【0013】
[5] 前記差込連結片の断面形状が非円形状に形成されるとともに、前記差込孔の断面形状が前記差込連結片の断面形状に対応した形状に形成されて、前記差込孔内に差し込まれた前記差込連結片が差込孔に対して相対的に回転不能となるように構成されている前項1〜4のいずれかに記載の連結具。
【0014】
[6] 前記差込連結片の基端部に、差込連結片が前記差込孔内に差し込まれて前記回転係止片が前記空間内に配置されたときに差込孔の開口端面に当接するフランジ部が設けられている前項1〜5のいずれかに記載の連結具。
【0015】
[7] 前記回転係止片の回転軸方向の端部に、回転係止片の回転操作部が設けられるとともに、
前記回転操作部に、コインの周縁部の一部が係合する係合溝が形成されている前項1〜6のいずれかに記載の連結具。
【0016】
[8] 長さ方向に複数の柄構成部材に分割可能な柄を具備し、
前記複数の柄構成部材における互いに隣接する2個の柄構成部材のうち、一方の柄構成部材に、前項1〜7のいずれかに記載の連結具の雄連結部材が設けられるとともに、他方の柄構成部材に、前記連結具の雌連結部材が設けられていることを特徴とする柄付き清掃具。
【0017】
[9] 前記各柄構成部材の一端部及び他端部にそれぞれ雄連滅部材及び雌連結部材が設けられている前項8記載の柄付き清掃具。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以下の効果を奏する。
【0019】
前項[1]の連結具によれば、雄連結部材と雌連結部材とが連結された状態では、雄連結部材の差込連結片が雌連結部材の差込孔内に差し込まれているので、差込連結片が外部に露出しないし、従来の連結構造のように被連結部材に外嵌め状に装着されるスリーブを連結のために用いる必要がない。そのため、2個の被連結部材を外観を損なわずに連結することができる。
【0020】
しかも、雄連結部材と雌連結部材とが連結された状態では、雄連結部材の差込連結片が雌連結部材の差込孔内に差し込まれているので、高い連結強度を得ることができる。
【0021】
さらに、差込連結片を差込孔内に差し込んで回転係止片を第1回転位置から第2回転位置に回転操作することで、差込連結片の差込孔内からの抜出が阻止されるので、連結作業も簡単に行うことができる。
【0022】
前項[2]の連結具によれば、差込連結片の差込孔内からの抜出が阻止された状態では、押圧凸部は凹部内に配置される。この状態から、差込連結片が抜出方向に移動されると、押圧凸部の側面が凹部の内側面に当接して押圧凸部で被係止部が内側に押圧されて弾性的に変形されて、両被係止部間の間隔の幅が狭まる。これにより、回転係止片の両被係止部への係止状態が強固に保持される。そのため、差込連結片の差込孔内からの抜出を強固に阻止することができる。
【0023】
前項[3]の連結具によれば、回転フランジ部の弾性押圧凸部が保持孔の嵌合凹部に嵌合することにより、回転係止片の位置が固定される。したがって、回転フランジ部の弾性押圧凸部が保持孔の嵌合凹部に嵌合する位置を、回転係止片の第1回転位置や第2回転位置に設定しておくことにより、回転係止片をかかる位置に確実に保持することができる。
【0024】
前項[4]の連結具によれば、回転フランジ部の外周縁部に弾性力を有する弾性押圧凸部を容易に形成することができる。
【0025】
前項[5]の連結具によれば、雌連結部材の差込孔内に差し込まれた差込連結片が差込孔に対して相対的に回転不能となるように構成されているので、回転係止片の両被係止部への係止状態を更に強固に保持することができる。これにより、差込連結片の差込孔内からの抜出を更に強固に阻止することができる。
【0026】
前項[6]の連結具によれば、雄連結部材のフランジ部が雌連結部材の差込孔の開口端面に当接するまで雄連結部材の差込連結片を差込孔内に差し込むことにより、差込連結片の空間内に回転係止片が配置される。そのため、差込連結片の両被係止部を回転係止片による係止位置に確実に配置させることができる。
【0027】
前項[7]の連結具によれば、回転係止片の回転軸の回転操作部の係合溝にコインの周縁部の一部を係合させて回転させることにより、回転係止片の回転操作を行うことができる。したがって、回転係止片の回転操作をドライバー等の特別な工具を用いることなく容易に行うことができる。
【0028】
前項[8]の柄付き清掃具によれば、長さ方向に複数の柄構成部材に分割可能な柄を具備する柄付き清掃具において、互いに隣接する2個の柄構成部材を外観を損なわずに連結することができるし、高い連結強度を得ることができるし、その連結作業を容易に行うことができる。
【0029】
前項[9]の柄付き清掃具によれば、各柄構成部材の一端部及び他端部にそれぞれ雄連結部材及び雌連結部材が設けられているので、各柄構成部材を連結して柄を構成する際に、各柄構成部材の配置位置を入れ替えても各構成部材を連結することができる。そのため、柄を容易に構成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る連結具が適用された柄付き清掃具の正面図である。
【図2】図2は、同柄付き清掃具の側面図である。
【図3】図3は、同柄付き清掃具の2個の柄構成部材のうち一方に設けられた連結具の雄連結部材と他方に設けられた連結具の雌連結部材とを分離して示す斜視図である。
【図4】図4は、図3の縦断面図である。
【図5】図5は、図3において図4とは別な方向に切断した縦断面図である。
【図6】図6は、他方の柄構成部材に設けられた雌連結部材をその差込孔の開口側から見た、回転係止片が第1回転位置に配置されたときの端面図である。
【図7】図7は、他方の柄構成部材に設けられた雌連結部材をその差込孔の開口側から見た、回転係止片が第2回転位置に配置されたときの端面図である。
【図8】図8は、雄連結部材の差込係止片が雌連結部材の差込孔内に差し込まれた状態の縦断面図である。
【図9】図9は、図8の状態から回転係止片を第1回転位置から第2回転位置に回転操作して差込連結片の差込孔内からの抜出を阻止した状態の縦断面図である。
【図10】図10は、図9とは別な方向に切断した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0032】
図1及び2に示すように、本発明の一実施形態に係る柄付き清掃具50は、清掃箇所として、床(例:フローリング床、ビニール床)、畳、天井、壁等を拭き掃除するものであり、清掃具本体51と、該清掃具本体51から上方に延びた柄52とを具備している。清掃具本体51の下面には、その全面を覆うように不織布等からなる清掃布(図示せず)が取り付けられる。
【0033】
柄52は、清掃作業時に使用者が把持するための部位であって、連結組立式のものであり、柄52の長さ方向に5個の柄構成部材53に分割されている。これらのうち清掃具本体51に隣接する1個の柄構成部材53aは、その下端部が清掃具本体51に直接的に回転可能に枢着されている。そして、これらの柄構成部材53が本発明の一実施形態に係る連結具1を介して連結されることにより、柄52が構成されている。
【0034】
各柄構成部材53は、外周面が艶消し処理されたアルミニウム(その合金を含む)製偏平パイプから形成されたものであり、その各端開口の断面形状は非円形状としての略楕円ないし長円状である。
【0035】
本実施形態の連結具1は、清掃具50の柄52の5個の柄構成部材53(被構成部材)における互いに隣接する2個の柄構成部材53、53を分離可能に連結するものであり、図3に示すように、互いに対応する雄連結部材2及び雌連結部材20を具備している。雄連結部材2及び雌連結部材20はそれぞれプラスチック製である。
【0036】
5個の柄構成部材における互いに隣接する2個の柄構成部材53、53において、一方の柄構成部材53の下端部には、連結具1の雄連結部材2が固定状態に取り付けられている。当該一方の柄構成部材53の下端部と連結される他方の柄構成部材53の上端部には、連結具1の雌連結部材20が固定状態に取り付けられている。
【0037】
さらに、これらの柄構成部材53における清掃具本体51に隣接する柄構成部材53aと、柄52の清掃具本体51とは反対側の端部(上端部)に配置された柄構成部材53bとを除いた残りの3個の柄構成部材53においては、互いに隣接する2個の柄構成部材53、53のうち一方の柄構成部材53の上端部には、連結具1の雌連結部材20が固定状態に取り付けられるとともに、他方の柄構成部材53の下端部には、連結具1の雄連結部材2が固定状態に取り付けられている。なお、55は柄52の上端に装着されたエンドキャップである。
【0038】
連結具1の雄連結部材2及び雌連結部材20の構成は次のとおりである。
【0039】
図3〜5に示すように、雄連結部材2は、柄構成部材53の端開口内に固定状態に嵌着される基部3と、該基部3から突出して一体形成された差込連結片4とを備えている。
【0040】
差込連結片4の基端部(詳述すると差込連結片4の基部3との境界部)の外周面には、その全周に亘って外方に向けて突出したフランジ部9が一体形成されている。そして、基部3は、フランジ部9が柄構成部材53の開口端面に突き当てられるまで柄構成部材53の端開口内に嵌合され、この状態で、柄構成部材53の端部がかしめられることで当該端部に固定されている。この固定状態において、差込連結片4は柄構成部材53の端面から柄構成部材53の軸方向に突出している。
【0041】
差込連結片4の断面形状は、柄構成部材53の端開口の断面形状に対応して、非円形状としての略楕円状ないし略長円状に形成されている。さらに、差込連結片4の先部には、互いに離間して対向する左右一対の弾性を有する突出部5、5が形成されるとともに、該両突出部5、5間に空間7が形成されている。この空間7は、その内側に、雌連結部材20の後述する回転係止片30が回転可能に配置されるものであり、図4に示すように、差込連結片4の突出方向と平行な断面において略円弧状に、且つ、差込連結片4の先端側と連通して形成されている。
【0042】
ここで本明細書では、両突出部5、5が対向する方向を、柄構成部材53、雄連結部材2及び雌連結部材20の「幅方向」とする。
【0043】
さらに、各突出部5の先端部には、内側(即ち空間7側)に向けて屈曲した被係止部6が形成されている。これにより、空間7は、差込連結片4の突出方向と平行な断面において略円形状に形成されるとともに、両被係止部6、6間の隙間8の幅W0が、空間7の幅よりも小寸に形成されており、更に、空間7と両突出部5、5の先端側とがこの隙間8を介して連通している。この隙間8の幅W0の詳細については後述する。
【0044】
雌連結部材20は、柄構成部材53の端開口内に固定状態に嵌着される筒状の基部21と、回転係止片30とを備えている。
【0045】
基部21は、その中空部を差込孔22とするものである。この差込孔22は、その内側に、雄連結部材2の差込連結片4が差し込まれるものであり、その断面形状は、差込連結片4の断面形状に対応した形状、即ち略楕円状ないし略長円状に形成されている。さらに、この差込孔22は僅かに奥狭まり状になっている。基部21の差込孔22開口側の端部の外周面には、その全周に亘って外方に突出したフランジ部29が一体形成されている。そして、この基部21は、フランジ部29が柄構成部材53の開口端面に突き当てられるまで柄構成部材53の端開口内に嵌合され、この状態で、柄構成部材53の端部がかしめられることで当該端部に固定されている。この固定状態において、差込孔22は、柄構成部材53の端面に柄構成部材53の軸方向外向きに開口しており、さらに、差込孔22の延びる方向、即ち差込孔22に対する雄連結部材2の差込連結片4の差込方向S及び抜出方向Nは、柄構成部材53の軸方向と一致している。
【0046】
回転係止片30は、上述したようにプラスチック製であり、基部21の差込孔22内に、第1回転位置Aと第2回転位置Bとの間において回転係止片30の回転軸31を中心に回転可能に配置されている(図3参照)。第1回転位置Aは、図4及び8に示すように、差込連結片4の差込孔22内への差込及び抜出を許容する位置である。第2回転位置Bは、図9に示すように、差込孔22内に差し込まれた差込連結片4の抜出を阻止する位置である。
【0047】
本実施形態では、第1回転位置Aから略90°回転させた位置が第2回転位置Bとなっており、更に、回転係止片30はその回転軸31を中心に左右両回りに360°回転可能に配置されている。
【0048】
回転係止片30の構成について詳述すると次のとおりである。
【0049】
図4、5、9及び10に示すように、回転係止片30の回転軸31方向の両端部には、それぞれ、回転軸31に垂直な方向に突出した円板状の回転フランジ部32a、32bが一体形成されている。一方、雌連結部材20の基部21の差込孔22の内周面23における互いに対向する両平坦部には、それぞれ、回転フランジ部32a、32bを回転可能に保持する略円形状の保持孔24a、24bが貫通して設けられている。そして、各回転フランジ部32a、32bが対応する保持孔24a、24b内に配置されており、これにより、回転係止片30が差込孔22内で回転可能に保持されている。
【0050】
さらに、回転係止片30の回転軸31方向の一端部には、回転係止片30の回転操作部35が、柄構成部材53の外周面に穿設された円形孔54から外側へ露出する状態に回転係止片30及び一方の回転フランジ部32bと一体に設けられている(図3参照)。この回転操作部35には、十円硬貨等のコインの周縁部の一部が係合する係合溝36が形成されている。
【0051】
さらに、図4及び5に示すように、回転係止片30は、差込孔22内において回転軸31に対して互いに反対方向にのみ突出した板状に形成されている。これにより、回転係止片30は、図6及び7に示すように、差込孔22に対する差込連結片4の差込方向視(即ち、雌連結部材20をその差込孔22の開口側から見た方向)において、その幅が、図6に示した第1回転位置Aに配置されたときの幅W1よりも図7に示した第2回転位置Bに配置されたときの幅W2の方が大きくなるように形成されている。
【0052】
一方、図4に示すように、雄連結部材2の差込連結片4の両被係止部6、6間の隙間8の幅W0は、上述したように空間7の幅よりも小寸に形成されているが、更に、この隙間8の幅W0は、回転係止片30が第2回転位置Bに配置されたとき(図7参照)の回転係止片30の幅W2よりも小寸に、且つ、回転係止片30が第1回転位置Aに配置されたのとき(図6参照)の回転係止片30の幅W1に対して同寸又は若干大寸に設定されている。すなわち、W1≦W0<W2の関係を満足するように、W0、W1及びW2が設定されている。これにより、この隙間8の幅W0は、差込連結片4を差込孔22内に差し込む際に第1回転位置Aの回転係止片30が差込連結片4の先端側からこの隙間8を空間7に向かって通過可能な寸法になっている。
【0053】
本実施形態では、第1回転位置Aは、回転係止片30が柄構成部材53の軸方向と平行に配置される位置である。第2回転位置Bは、回転係止片30が柄構成部材53の軸方向と垂直に配置される位置である。
【0054】
さらに、回転係止片30は、図8に示すように、雄連結部材2の差込連結片4が雌連結部材20の差込孔22内に差し込まれて回転係止片30が空間7内に配置された状態のもとで、回転係止片30が第1回転位置Aから第2回転位置Bに回転操作されることにより、図9に示すように回転係止片30が差込連結片4の両被係止部6、6に係止するように構成されている。このように回転係止片30が差込連結片4の両被係止部6、6に係止することにより、差込連結片4の差込孔22内からの抜出が阻止される。さらに、この係止状態では、差込連結片4の両突出部5、5の外側面が差込孔22の内周面23に当接することで両被係止部6、6の外側への変形が内周面23で規制されている。そのため、差込連結片4の差込孔22内からの抜出が強固に阻止されている。
【0055】
特に、この連結具1では、雌連結部材20の差込孔22の内周面23における、差込孔22内に差し込まれた差込連結片4の各被係止部6、6の外側に対応する位置には、差込孔22の内周面23に対して内側に向けて突出する断面略台形状の押圧凸部26が設けられている。一方、各被係止部6の外側面には押圧凸部26に対応する凹部10が設けられている。さらに、押圧凸部26の側面26aは、差込連結片4の抜出方向Nに対して内側に向けて傾斜して形成されており、また凹部10の内側面10aも、押圧凸部26の側面26aに対応して抜出方向Nに対して傾斜して形成されている。これにより、押圧凸部26が凹部10内に配置された状態で差込連結片4が抜出方向Nに移動しようとすると、押圧凸部26の側面26aが凹部10の内側面10aに当接して押圧凸部26で被係止部6が内側に押圧されて内側に弾性的に変形されるように構成されている。
【0056】
なお本発明では、上記実施形態のように押圧凸部26の側面26a及び凹部10の内側面10aのそれぞれが傾斜していることが、かかる作用を確実に奏し得る点で特に望ましいが、これに限定されず、押圧凸部26の側面26a及び凹部10の内側面10aのうちいずれか一方だけが傾斜している場合を排除するものではない。
【0057】
また、図4、5、8〜10に示すように、回転係止片30の両回転フランジ部32a、32bのうち回転操作部35側とは反対側の回転フランジ部32aにおいて、当該回転フランジ部32aの外周縁部の4箇所には、それぞれ微小な弾性押圧凸部33が周方向に90°間隔に配列して且つ略三角形状に径方向外向きに突出して一体形成されている。回転フランジ部32aの外周縁部におけるこれらの弾性押圧凸部33の位置は、回転係止片30の第1回転位置A及び第2回転位置Bに対応する位置である。各弾性押圧凸部33は、回転フランジ部32aが配置された保持孔24aの内周面を径方向外向きに弾性的に押圧するものである。そして、プラスチック製である回転フランジ部32aにおける各弾性押圧凸部33の内側近傍部分に局部的に円弧状の切欠き孔27が形成されることにより、各弾性押圧凸部33に弾性力が付与されている。
【0058】
当該回転フランジ部32aが配置された保持孔24aの内周面における各弾性押圧凸部33に対応する位置には、保持孔24aの内周面の周方向に係脱可能に弾性押圧凸部33が嵌合される嵌合凹部25が設けられている。
【0059】
次に、互いに隣接する2個の柄構成部材53、53の連結操作についてその作用効果とともに以下に説明する。
【0060】
まず、図3〜5に示すように、一方の柄構成部材53の一端部に固定状態に取り付けられた雌連結部材20の回転係止片30を第1回転位置Aに配置しておく。このとき、回転係止片30の回転フランジ部32aの各弾性押圧凸部33は嵌合凹部25内に嵌合されており、これにより回転係止片30が第1回転位置Aから不慮に回転しないように保持される。
【0061】
この状態から、雌連結部材20の差込孔22内に、他方の柄構成部材53の一端部に固定状態に取り付けられた雄連結部材2の差込連結片4を、そのフランジ部9が差込孔22の開口端面22aに当接するまで差し込む。これにより、図8に示すように、回転係止片30が差込連結片4の先端側から両被係止部6、6間の隙間8を通過して空間7内に配置される。また、その途中で、差込連結片4の各被係止部6が押圧凸部26で内側に押圧されて弾性的に変形し、そしてフランジ部9が差込孔22の開口端面22aに当接したとき、即ち回転係止片30が差込連結片4の空間7内に配置されたとき、各凹部10が押圧凸部26の位置に到達し、各被係止部6が自己の弾性復元力によって元の形状に戻って各凹部10内に押圧凸部26が配置される。
【0062】
次いで、回転係止片30を第1回転位置Aから第2回転位置B側へ若干強い力で回転させる。これにより、弾性押圧凸部33が嵌合凹部25に対して第2回転位置B側に周方向にずれ、弾性押圧凸部33と嵌合凹部25との嵌合が解除される。そして、回転係止片30を第2回転位置Bまで回転させる。すると、図9に示すように、回転係止片30が両被係止部6、6に係止し、その結果、差込連結片4の差込孔22からの抜出が阻止される。さらに、このとき、各弾性押圧凸部33が嵌合凹部25内に嵌合されて、回転係止片30が第2回転位置Bから不慮に回転しないように保持される。
【0063】
このような回転係止片30の回転操作は、その回転操作部35の係合溝36に10円硬貨等のコインの周縁部の一部を嵌合させて行われる。そのため、回転操作を容易に行うことができる。
【0064】
こうして差込連結片4の差込孔22からの抜出が阻止されることにより、一方の柄構成部材53と他方の柄構成部材53とが互いに連結される。この連結操作を全ての柄構成部材53の連結について行うことにより、所望する長さの柄52が構成される。
【0065】
この連結状態では、雄連結部材2の差込連結片4が雌連結部材20の差込孔22内に差し込まれているので、差込連結片4が外部に露出しないし、従来の連結構造のように被連結部材に外嵌め状に装着されるスリーブを連結のために用いる必要がない。そのため、互いに隣接する2個の柄構成部材53、53を外観を損なわずに連結することができる。
【0066】
しかも、雄連結部材2と雌連結部材20とが連結された状態では、雄連結部材2の差込連結片4が雌連結部材20の差込孔22内に差し込まれているので、高い連結強度、特に雄連結部材2と雌連結部材20との連結部にて高い曲げ強度を得ることができる。
【0067】
さらに、差込連結片4を差込孔22内に差し込んで回転係止片30を第1回転位置Aから第2回転位置Bに回転操作することで、差込連結片4の差込孔22内からの抜出が阻止されるので、連結作業も簡単に行うことができる。
【0068】
さらに、差込連結片4の差込孔22内からの抜出が阻止された状態のもとで、差込連結片4が抜出方向Nに移動されると、押圧凸部26の側面26aが凹部10の内側面10aに当接して押圧凸部26で被係止部6が内側に押圧されて弾性的に内側に変形されて、両被係止部6、6間の隙間8の幅W0が狭まる。これにより、回転係止片30の両被係止部6、6への係止状態が強固に保持される。したがって、差込連結片4の差込孔22内からの抜出を強固に阻止することができる。
【0069】
さらに、雌連結部材20において、回転フランジ部32aの弾性押圧凸部33が保持孔24aの嵌合凹部25に嵌合することにより、回転係止片30の位置が固定されるので、回転係止片30を第1回転位置Aや第2回転位置Bに確実に保持することができる。
【0070】
さらに、弾性押圧凸部33は、回転フランジ部32aにおける弾性押圧凸部33の内側近傍部分に切欠き孔27が形成されることにより、弾性を有するものとなされているので、回転フランジ部32aの外周縁部に弾性力を有する弾性押圧凸部33を容易に形成することができる。
【0071】
さらに、差込連結片4の断面形状が略楕円ないし略長円形状に形成されるとともに、差込孔22の断面形状が差込連結片4の断面形状に対応した形状に形成されているので、差込孔22内に差し込まれた差込連結片4が差込孔22に対して相対的に回転不能となる。これにより、回転係止片30の両被係止部6、6への係止状態を更に強固に保持することができて、差込連結片4の差込孔22内からの抜出を更に強固に阻止することができる。
【0072】
さらに、この連結具1では、雄連結部材2のフランジ部9は、差込連結片4を差込孔22内に差し込んで差込連結片4の空間7内に回転係止片30が配置されたときに差込孔22の開口端面22aに当接する位置に配置されている。したがって、フランジ部9が差込孔22の開口端面22aに当接するまで差込連結片4を差込孔22内に差し込めば、差込連結片4の空間7内に回転係止片30が丁度配置されるようになる。これにより、差込連結片4の両被係止部6、6を回転係止片30による係止位置に確実に配置させることができる。
【0073】
さらに、各柄構成部材53の一端部及び他端部にそれぞれ雄連結部材2及び雌連結部材20が設けられているので、柄52を構成させるために各柄構成部材53を連結する際に、各柄構成部材53の配置位置を入れ替えても各柄構成部材53を連結することができる。そのため、柄52を容易に構成させることができる。
【0074】
さらに、連結する柄構成部材53の個数を増減することにより、柄52の長さを変えることができる。そのため、清掃箇所(床、壁、天井等)や使用者の身長等に応じて柄52の長さを容易に調節することができる。
【0075】
而して、互いに連結された2個の柄構成部材53、53の連結を解除する場合には、上述した連結操作を逆に行えば良い。すなわち、回転係止片30を第2回転位置Bから90°回転させて第1回転位置Aに変更する。これにより、回転係止片30の両被係止部6、6への係止が解除される。次いで、差込連結片4を抜出方向Nに移動させることにより、差込連結片4を差込孔22から抜出する。これにより、両柄構成部材53、53が分離される。こうして各柄構成部材53を分離して柄52を分解することにより、柄付き清掃具50をコンパクトな状態にして保管・収納することができる。
【0076】
以上で本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々に変更可能である。
【0077】
また本発明に係る清掃具は、清掃箇所を拭き掃除するために用いられるもの(例:モップ)に限定されるものではなく、その他に、例えば、清掃箇所を掃き掃除するために用いられるもの(例:箒)であっても良いし、はたき等であっても良い。
【0078】
また本発明に係る連結具は、清掃具の柄構成部材の連結に用いられるものに限定されず、様々な被連結部材の連結に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、2個の被連結部材を分離可能に連結する連結具、及び、該連結具を用いた柄付き清掃具に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1:連結具
2:雄連結部材
3:基部
4:差込連結片
5:突出部
6:被係止部
7:空間
8:隙間
9:フランジ部
10:凹部
10a:凹部の側面
20:雌連連結部材
21:基部
22:差込孔
22a:開口端面
23:内周面
24a、24b:保持孔
25:嵌合凸部
26:押圧凸部
26a:押圧凸部の側面
27:切欠き孔
30:回転係止片
31:回転軸
32a、32b:回転フランジ部
33:弾性押圧凸部
35:回転操作部
36:係合溝
50:柄付き清掃具
52:柄
53:柄構成部材(被連結部材)
A:第1回転角度
B:第2回転角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の被連結部材を分離可能に連結する連結具であって、
2個の被連結部材のうち一方の被連結部材に突出して設けられる差込連結片を備えた雄連結部材と、他方の被連結部材に設けられるとともに前記差込連結片に対応する差込孔を備えた雌連結部材と、を具備し、
前記雌連結部材の差込孔内には、回転係止片が、前記差込連結片の差込孔内への差込及び抜出を許容する第1回転位置と、差込孔内に差し込まれた前記差込連結片の差込孔内からの抜出を阻止する第2回転位置との間で回転可能に配置されており、
前記回転係止片は、前記差込孔に対する前記差込連結片の差込方向視において、その幅が、前記第1回転位置に配置されるときよりも前記第2回転位置に配置されるときの方が大きくなるように形成されており、
前記雄連結部材の差込連結片は、互いに離間して対向する一対の突出部を有するとともに、両突出部の間に前記回転係止片が回転可能に配置される空間が形成され、且つ、各突出部の先端部に内側に屈曲した被係止部が形成され、
前記両被係止部間の隙間の幅が、第2回転位置の回転係止片の幅よりも小寸に、且つ、前記差込連結片を前記差込孔内に差し込む際に前記第1回転位置の回転係止片が当該隙間を前記空間に向かって通過可能な寸法に設定され、
前記差込連結片が前記差込孔内に差し込まれて前記回転係止片が前記空間内に配置された状態のもとで、前記第1回転位置から前記第2回転位置に回転操作された前記回転係止片が前記両係止部に係止することで、前記差込連結片の前記差込孔内からの抜出が阻止されるように構成されていることを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記各突出部は弾性を有しており、
前記差込孔の内周面における、前記差込孔内に差し込まれた前記差込連結片の各被係止部の外側に対応する位置に、差込孔の内周面に対して内側に向けて突出する押圧凸部が設けられるとともに、前記各被係止部の外側面に前記押圧凸部に対応する凹部が設けられており、
前記押圧凸部の側面と前記凹部の内側面とのうち少なくとも一方が、前記差込連結片の抜出方向に対して傾斜して形成され、
前記押圧凸部が前記凹部内に配置された状態で前記差込連結片が抜出方向に移動されると、前記押圧凸部の側面が前記凹部の内側面に当接して押圧凸部で被係止部が内側に押圧されて弾性的に変形されるように構成されている請求項1記載の連結具。
【請求項3】
前記回転係止片の回転軸方向の両端部のうち少なくとも一端部には、前記回転軸に垂直な方向に突出した回転フランジ部が一体に設けられ、
前記差込孔の内周面に、前記回転フランジ部を回転可能に保持する保持孔内が形成されるとともに、前記回転フランジ部が前記保持孔内に配置されており、
前記回転フランジ部の外周縁部には、前記保持孔の内周面をその径方向外向きに弾性的に押圧する弾性押圧凸部が形成されるとともに、
前記保持孔の内周面には、その周方向に係脱可能に弾性押圧凸部が嵌合される嵌合凹部が設けられている請求項1又は2記載の連結具。
【請求項4】
前記回転フランジ部における前記弾性押圧凸部の近傍部分に切欠き孔が形成されることにより、弾性押圧凸部に弾性力が付与されている請求項3記載の連結具。
【請求項5】
前記差込連結片の断面形状が非円形状に形成されるとともに、前記差込孔の断面形状が前記差込連結片の断面形状に対応した形状に形成されて、前記差込孔内に差し込まれた前記差込連結片が差込孔に対して相対的に回転不能となるように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の連結具。
【請求項6】
前記差込連結片の基端部に、差込連結片が前記差込孔内に差し込まれて前記回転係止片が前記空間内に配置されたときに差込孔の開口端面に当接するフランジ部が設けられている請求項1〜5のいずれかに記載の連結具。
【請求項7】
前記回転係止片の回転軸方向の端部に、回転係止片の回転操作部が設けられるとともに、
前記回転操作部に、コインの周縁部の一部が係合する係合溝が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の連結具。
【請求項8】
長さ方向に複数の柄構成部材に分割可能な柄を具備し、
前記複数の柄構成部材における互いに隣接する2個の柄構成部材のうち、一方の柄構成部材に、請求項1〜7のいずれかに記載の連結具の雄連結部材が設けられるとともに、他方の柄構成部材に、前記連結具の雌連結部材が設けられていることを特徴とする柄付き清掃具。
【請求項9】
前記各柄構成部材の一端部及び他端部にそれぞれ雄連滅部材及び雌連結部材が設けられている請求項8記載の柄付き清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−245293(P2012−245293A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121268(P2011−121268)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(390029919)株式会社オーエ (24)
【Fターム(参考)】