説明

連結容器および容器

【課題】流通段階での省スペース化を図りつつ容易に製造することのできる連結容器を提供する。
【解決手段】複数の単位容器3にそれぞれ備えられた窪み部7はシート成形体20に一体的に形成され、窪み部は、密閉シートが配設されるシート面に対して突出されると共に互いに対向して配設された一対の三角壁部10とシート面に対してそれぞれ斜めに突出されて先端同士が互いに連結された一対の矩形壁部11とを備え、矩形壁部は、一対の三角壁部の対向する各斜辺15の間にそれぞれ配設され、複数の単位容器は、頂角間を結ぶ各々の頂辺17が互いに平行または同一直線上に延在する向きにそれぞれ配置され、頂辺に平行に延在する弱化部4Aが屈曲されて複数の単位容器の密閉シート同士または矩形壁部同士が対向され複数の単位容器が直方体状に畳まれている連結容器5を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結容器および容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の連結容器としては、従来、下記特許文献1に記載されているような、複数の単位容器が破断容易な弱化部を介して連結された構成が知られている。従来の連結容器は、内容物を収容可能な複数の窪み部が形成されたシート成形体と、シート成形体の上面に接着されて窪み部を密閉する密閉シートと、を備えている。シート成形体は、例えば熱成形法などによって成形された成形体であり、軟化されたシート状の原板を押圧することで成形された円形のトレーである。このシート成形体には、弱化部が周方向に間隔をあけて複数形成されていると共にその弱化部の間の領域内に窪み部が形成されている。密閉シートはアルミニウムラミネートフィルム等からなるシートであり、窪み部の周りの鍔部に溶着等によって接着されている。そして、窪み部の内周面と密閉シートの裏面によって密閉された収容室が形成されており、この収容室に内容物が収容されている。前記した連結容器では、収容室内の内容物を消費する際には、まず、弱化部を破断させて連結容器から1つの単位容器を切り取り、その後、その単位容器の密閉シートを剥離して窪み部を開封する。
また、前記連結容器では、複数の窪み部間には、窪み部に対応した隙間が設けられており、2つの連結容器を、それぞれの窪み部同士が互い違いに配置されるように裏面同士で重ね合わせることで、窪み部間に形成される無駄な空間を低減し、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等の流通段階での省スペース化を図ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−309322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の連結容器では、窪み部間に形成される無駄な空間を低減して省スペース化を図るためには2つの連結容器を組み合わせる必要があることから、製造に際し組み合わせ作業を要し製造工程が煩雑になるという問題がある。
更に、前記従来の連結容器は、円形状に形成されているため、例えば流通、保管時あるいは販売陳列時等において複数の連結容器を並べるに際し連結容器相互間にどうしても無駄な空間が形成されてしまうため、省スペース化が困難であるという問題もある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、流通段階での省スペース化を図りつつ容易に製造することができる連結容器および容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る連結容器は、内容物を収容する収容室を有する単位容器が破断容易な弱化部を介して複数連結された連結容器であって、前記単位容器は、前記収容室を形成する窪み部と、前記窪み部を密閉する密閉シートと、を備え、複数の前記単位容器にそれぞれ備えられた窪み部は、軟化したシート状の原板を押圧することで成形されたシート成形体に一体的に形成され、前記窪み部は、前記密閉シートが配設されるシート面に対して突出されると共に互いに対向して配設された一対の三角壁部と、前記シート面に対してそれぞれ斜めに突出されて先端同士が互いに連結された一対の矩形壁部と、を備え、前記三角壁部は、前記シート面と平行に延在する底辺に対向する頂角が直角に形成された直角二等辺三角形状をなし、前記矩形壁部は、前記一対の三角壁部の対向する各斜辺の間にそれぞれ配設され、前記一対の三角壁部と、前記一対の矩形壁部と、前記シート面と平行に形成された開口面と、が五面体形状をなし、複数の前記単位容器は、前記一対の三角壁部の頂角間を結ぶ各々の頂辺が互いに平行または同一直線上に延在する向きにそれぞれ配置され、前記頂辺に平行に延在する前記弱化部が屈曲されて複数の前記単位容器の前記密閉シート同士または前記矩形壁部同士が対向され、複数の前記単位容器が直方体状に畳まれていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る連結容器においては、この連結容器を製造するに際し、まず、シート状の原板を軟化させた後、その原板を押圧して複数の窪み部を形成し、シート成形体を作製する。次に、窪み部に内容物を入れ、シート成形体に形成された窪み部を密閉シートで密閉する。次に、頂辺に平行に延在する弱化部を屈曲させて単位容器を相対的に回転させ、複数の単位容器の密閉シート同士または矩形壁部同士を対向させる。これにより、単位容器を密集させることができるので、単位容器間に形成される無駄な空間を低減することが可能となり、この連結容器を小型化して流通段階での省スペース化を図ることができる。しかも、複数の単位容器が直方体状に畳まれており連結容器が直方体形状(立方体形状も含む。)に形成されるので、例えば流通段階において複数の連結容器を並べたり積み重ねたりする場合であっても、複数の連結容器相互間に形成される無駄な空間を低減することが可能となり、流通段階での一層の省スペース化を図ることができる。
また、本発明に係る連結容器では、単に1枚のシート成形体を折りたたむことで単位容器を密集させると共に連結容器を直方体状に形成することができるので、前記従来技術のような複数の連結容器を組み合わせる場合に比べて容易に製造することが可能となり、流通段階での省スペース化を図りつつ製造の容易化を図ることができる。
【0008】
また、本発明に係る容器は、前記連結容器と、前記連結容器を囲繞して収納する角筒状のケース体と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る容器によれば、角筒状のケース体が直方体形状の連結容器を囲繞するので、連結容器を、直方体形状に畳まれ小型化された状態で確実に保持することができる。
【0010】
また、前記ケース体の少なくとも一方の軸方向端部は開口されており、前記軸方向端部には、前記ケース体の少なくとも一つの角部を反転変形させて前記連結容器に係止される抜け止め部が形成されていても良い。
【0011】
この場合、軸方向端部には前記抜け止め部が形成されているので、この抜け止め部を反転変形させてケース体に収納された連結容器に係止させることで、ケース体から連結容器が抜け出るのを抑制することが可能となる。従って、連結容器を、直方体形状に畳まれ小型化された状態で確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る連結容器および容器によれば、流通段階での省スペース化を図りつつ容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る容器の斜視図である。
【図2】図1に示す容器を構成する連結容器の斜視図である。
【図3】図2に示す連結容器を展開した状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す連結容器を構成する単位容器を示す斜視図である。
【図5】図3に示す連結容器を構成する単位容器を示す斜視図である。
【図6】図1に示すケース体に連結容器を挿入する様子を示す斜視図である。
【図7】図6に示すケース体に形成された抜け止め部を説明するための図である。
【図8】本発明の変形例に係る連結容器の斜視図である。
【図9】図8に示す連結容器をケース体に挿入する様子を示す斜視図である。
【図10】図8に示す連結容器を備える容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る容器1を、図1〜図7を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、容器1は、内容物を収容する収容室2を有する単位容器3が破断容易な第1弱化部4A及び第2弱化部4Bを介して複数連結された連結容器5と、連結容器5を囲繞して収納する角筒状のケース体6と、を備えている。
なお、図3に示すように、後述する窪み部7の頂辺17に平行な方向(図3におけるX方向)を「幅方向」と称し、後述する三角壁部10の底辺13と平行な方向(図3におけるY方向)を「長さ方向」と称し、後述する密閉シート8が配設されるシート面8A(鍔部9の接合面)に対して垂直な方向(図3におけるZ方向)を「厚さ方向」と称する。
【0015】
図3〜図5に示すように、単位容器3は、収容室2を形成する窪み部7と、該窪み部7を密閉する密閉シート8と、を備えている。更に、本実施形態では、単位容器3は、中央部に中央開口が形成されると共にこの中央開口が窪み部7と連通された鍔部9を備えている。そして、鍔部9の接合面(表面)に沿う面が、密閉シート8が配設されるシート面8Aとなっている。なお、図3では、説明のため、連結容器5を展開した状態で示している。また、図4及び図5では、図面の見易さのため、密閉シート8の図示を省略している。
【0016】
図4及び図5に示すように、窪み部7は、シート面8Aから厚さ方向に膨出した凹部である。窪み部7の概略構成としては、互いに対向して配設されていると共にシート面8Aに対して突出された一対の三角壁部10と、シート面8Aに対してそれぞれ斜めに突出されて先端同士が互いに連結された一対の矩形壁部11と、を備えており、シート面8Aと平行な矩形状の開口面12が形成されている。即ち、窪み部7は、上記した一対の三角壁部10と一対の矩形壁部11と開口面12とが五面体形状(三角柱形状)をなす形状になっている。
【0017】
三角壁部10は、シート面8Aと平行な長さ方向に延在する底辺13に対向する頂角14が直角に形成された直角二等辺三角形状の壁部である。詳しく説明すると、一対の三角壁部10は、長さ方向に沿って平行に並設されており、幅方向に向かい合わせに配設されている。各三角壁部10は、前記底辺13と、シート面8Aに対して斜め45度に傾斜して延在すると共に互いに線対称に配置された一対の斜辺15と、で囲まれた壁部である。
【0018】
矩形壁部11は、シート面8Aに対して斜めに傾いた略矩形状の壁部である。詳しく説明すると、一対の矩形壁部11は、三角壁部10の対向する各斜辺15間に配設されており、シート面8Aに対して斜め45度に傾斜してそれぞれ配設され、互いに直角に連結されている。即ち、矩形壁部11は、シート面8Aと平行な長さ方向に延在する底辺16と、底辺16と平行に延在して一対の三角壁部10の頂角14間を結ぶ頂辺17と、平行して延在する一対の三角壁部10の対向する各斜辺15と、で囲まれた壁部である。
【0019】
上記した窪み部7の開口端部(開口面12側の端部)には、開口面12の縁部に沿って延在すると共にシート面8Aに対して垂直に突出した垂直壁部18が形成されている。この垂直壁部18は、開口面12の全周に亘って延設された矩形環状の壁部である。
そして、垂直壁部18の突端部(窪み部7と反対側の端部)は、前記鍔部9において前記中央開口を形成する内周縁部に連結されている。つまり、鍔部9は、窪み部7の開口端部から収容室2の外方側に向けて突出されている。本実施形態では、鍔部9は、矩形環状に形成されており、鍔部9の外形をなす辺部は、前記中央開口(開口面12)の輪郭をなす辺部と平行になっている。なお、垂直壁部18は省略することも可能である。この場合、三角壁部10の底辺13及び矩形壁部11の底辺16から鍔部9が突出されていてもよい。
【0020】
密閉シート8は、鍔部9の接合面(シート面8A)に配設されて鍔部9の全面に亘って接着されている。密閉シート8の接合方法としては、例えば熱溶着や高周波溶着、超音波溶着などによって溶着する方法、或いは、接着剤を介して接着する方法などがある。
そして、窪み部7の内側には、固形状、顆粒状或いは粉状等の内容物を収容する前記収容室2が形成されている。本実施形態では、収容室2は、窪み部7、垂直壁部18及び密閉シート8で囲まれた密閉空間である。
【0021】
そして、上記した複数の単位容器3にそれぞれ備えられた窪み部7は、例えばサーモフォーミング成形等の熱成型法によって形成されるシート成形体20に一体的に形成されている。本実施形態では、シート成形体20は、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂からなり、このシート成形体20には、各単位容器3の窪み部7、鍔部9及び垂直壁部18それぞれが一体的に形成されている。
また、図示の例では、上記した複数の単位容器3にそれぞれ備えられた密閉シート8は、シート成形体20に接着されるシート材21で形成されている。シート材21は、例えば、アルミフィルム、アルミシート、樹脂製フィルム及び樹脂製シート等からなる。
【0022】
また、複数の単位容器3は、各々の窪み部7の頂辺17が互いに平行または同一直線上に延在する向きにそれぞれ配置されている。また、複数の単位容器3は、長さ方向に偶数個直列に連設されていると共に、長さ方向で互いに隣接するもの同士において、対応する各々の三角壁部10の底辺16が、同一直線上に位置するように配置されている。つまり、複数の単位容器3は、長さ方向および幅方向の両方向に整列された行列状に配置され、言い換えると、碁盤の桝目状に配置されており、複数の窪み部7も同様に碁盤の桝目状に配置されている。また、図示の例では、複数の単位容器3は、長さ方向に4列、幅方向に3列それぞれ直列に配置されている。また、各単位容器3の鍔部9同士は、同一平面上にそれぞれ配置されている。
【0023】
そして、隣り合う単位容器3同士は、頂辺17に平行な幅方向に延在する第1弱化部4A、及び長さ方向に延在する第2弱化部4Bを介して連結されている。これらの弱化部4A、4Bは、鍔部9の外周縁全長に亘って直線的に形成されている。つまり、第1弱化部4A及び第2弱化部4Bは、格子状に形成されている。これらの弱化部4A、4Bは、例えば、シート成形体20にミシン目を入れたり、或いは、非貫通の切り目を直線状に入れたり、破断容易な連結片を間欠的に並設したり、薄肉部を形成したり、シート材21にミシン目を入れたりすることで、破断容易かつ屈曲可能に形成される。なお、単位容器3は、これらの弱化部4A、4Bを破断させることで連結容器5から個別に切り離される。
【0024】
そして、図2に示すように、本実施形態では、第1弱化部4Aが屈曲されて複数の単位容器3の密閉シート8同士または矩形壁部11同士が対向され、複数の単位容器3が直方体状に畳まれている。
本実施形態では、展開された連結容器5において長さ方向の一端側に配置された単位容器3、及びこの単位容器3に第1弱化部4Aを介して連結された単位容器3が、互いの密閉シート8が対向して面同士が当接するように第1弱化部4A回りに相対的に180度回転させた向きに配設されている。ここで、窪み部7は、直角二等辺三角形状の一対の三角壁部10と矩形状の一対の矩形壁部11と矩形状の開口面12とによって五面体形状をなしているので、密閉シート8が対向して配設される一対の単位容器3は略直方体形状をなす。また、この一対の単位容器3が幅方向に直列に配置されているので、直方体形状をなす一対の単位容器3が複数個、幅方向に直列に配置されて幅方向に延びる略直方体形状をなす。
【0025】
また、本実施形態では、展開された連結容器5において長さ方向の他端側に配置された単位容器3、及びこの単位容器3に第1弱化部4Aを介して連結された単位容器3も同様に、第1弱化部4A回りに相対的に180度回転させた向きに配設されており、密閉シート8が対向して配設される一対の単位容器3が略直方体形状をなすと共に、一対の単位容器3が複数個、幅方向に直列に配置されて幅方向に延びる略直方体形状をなす。
そして、以上のように第1弱化部4Aが屈曲された連結容器5において、略直方体形状をなす一対の単位容器3同士が、互いの矩形壁部11が対向して面同士が当接するように、この連結容器5の長さ方向の中央部に位置する第1弱化部4A回りに相対的に90度回転させた向きに配設されている。その結果、複数の単位容器3からなる連結容器5が略直方体形状に畳まれている。
【0026】
また、図6に示すように、連結容器5は、幅方向が前記ケース体6の軸方向Oと一致した状態でケース体6に収納されている。
ケース体6は、連結容器5に対応した形状に形成されていると共に、軸方向Oの両端部が開口されており、これらの両開口端部(軸方向端部)61には、ケース体6の少なくとも一つの角部62を反転変形させて収納された連結容器5に係止される抜け止め部63がそれぞれ形成されている。
【0027】
本実施形態では、抜け止め部63は、各開口端部61の角部62のうちの隣り合う一対の角部62にそれぞれ形成されている。
図示の例では、各開口端部61には、角部62に連なる2つの面に跨って開口端縁から離間した位置に軸方向Oと直交する方向に延在する切り込み部64、及び切り込み部64の端縁から開口端縁に向けて軸方向Oに沿って延在する屈曲部65がそれぞれ形成されており、この切り込み部64及び屈曲部65で区画される部分が抜け止め部63となっている。
以上のように形成された抜け止め部63によれば、図7に示すように、ケース体6の内側に押し込んで屈曲部65を起点として反転変形させることができる。
【0028】
次に、以上に示した容器1の作用について説明する。
内容物を収容した連結容器5を製造する際には、まず、上記したシート成形体20を作製する。詳しく説明すると、まず、熱可塑性樹脂からなるシート状の原板を加熱軟化させる。その後、その原板を金型で挟み込んで金型で原板を押圧し、金型形状に原板を成形する。これにより、シート成形体20には複数の窪み部7が碁盤桝目状に形成される。その後、成形された原板を冷却して金型を外してシート成形体20を取り出す。
【0029】
次に、窪み部7の中に内容物を入れ、その後、シート成形体20全体を覆うシート材21を、シート成形体20に形成された鍔部9全体に例えば溶着や接着等によって接合させ、窪み部7を密閉する。
続いて、長さ方向及び幅方向に隣り合う単位容器3の間に第1弱化部4A及び第2弱化部4Bを形成する。この際、例えばシート成形体20及びシート材21にミシン目を同時に加工して、シート成形体20とシート材21とに各弱化部4A、4Bを併せて形成する。なお、各弱化部4A、4Bをシート成形体20及びシート材21各別に形成しておくことも可能である。
【0030】
次に、第1弱化部4Aを屈曲させて単位容器3を相対的に回転させ、複数の単位容器3の密閉シート8同士および矩形壁部11同士をそれぞれ対向させる。これにより、単位容器3が密集させて配置され、複数の単位容器3からなる連結容器5が略直方体形状に畳まれる。
そして、略直方体形状に畳まれた連結容器5をケース体6に収納する。この際、ケース体6の一方の開口端部61に形成された2つの抜け止め部63をそれぞれ反転移動させた後、ケース体6に連結容器5を挿入し、その後、他方の開口端部61に形成された抜け止め部63を反転移動させる。
【0031】
以上に示した連結容器5によれば、第1弱化部4Aを屈曲させて単位容器3を相対的に回転させ、複数の単位容器3の密閉シート8同士または矩形壁部11同士を対向させることにより、単位容器3を密集させることができるので、単位容器3間に形成される無駄な空間を低減することが可能となり、この連結容器5を小型化して流通段階での省スペース化を図ることができる。しかも、複数の単位容器3が略直方体形状に畳まれており連結容器5が略直方体形状に形成されるので、例えば流通段階において複数の連結容器5を並べたり積み重ねたりする場合であっても、複数の連結容器5相互間に形成される無駄な空間を低減することが可能となり、流通段階での一層の省スペース化を図ることができる。
【0032】
また、単に1枚のシート成形体20を折りたたむことで単位容器3を密集させると共に連結容器5を略直方体形状に形成することができるので、前記従来技術のような複数の連結容器5を組み合わせる場合に比べて容易に製造することが可能となり、流通段階での省スペース化を図りつつ製造の容易化を図ることができる。
また、本実施形態では、密閉シート8が対向するように畳まれているので、密閉シート8が外側に向けて露出されず、例えば保管時に衝撃や悪戯などの不意の外力で密閉シート8が破断されるのを抑制することができる。
【0033】
また、以上に示した連結容器5を備える容器1によれば、角筒状のケース体6が略直方体形状の連結容器5を囲繞するので、連結容器5を、略直方体形状に畳まれ小型化された状態で確実に保持することができる。
また、開口端部61には抜け止め部63が形成されているので、この抜け止め部63を反転変形させてケース体6に収納された連結容器5に係止させることで、ケース体6から連結容器5が抜け出るのを抑制することが可能となる。従って、連結容器5を、略直方体形状に畳まれ小型化された状態で確実に保持することができる。
【0034】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、複数の単位容器3は、長さ方向に4列、幅方向に3列それぞれ直列に配置されているものとしたが、各方向に配置される複数の単位容器3の数は、これらに限られるものではない。
また、前記実施形態では、複数の単位容器3は、長さ方向で互いに隣接するもの同士において、対応する各々の三角壁部10の底辺16が、同一直線上に位置するように配置されているものとしたが、これに限られるものではない。
【0035】
また、畳まれた連結容器5の形状は、第1弱化部4Aが屈曲されて複数の単位容器3の密閉シート8同士または矩形壁部11同士が対向され、複数の単位容器3が略直方体形状(略立方体形状を含む。)をなせば、前記実施形態に示したものに限られない。
例えば、図8に示すように展開された連結容器5を畳み、図9及び図10に示すように、畳まれた連結容器5に対応して形成されたケース体6Aに収納した容器1Aとしても良い。図示の例では、連結容器5は、第1弱化部4Aが屈曲され、第1弱化部4Aを介して隣り合う複数の単位容器3の矩形壁部11同士が対向されている。この連結容器5は、展開された連結容器5において第1弱化部4Aを介して隣り合う複数の単位容器3が第1弱化部4A回りに相対的に90度ずつそれぞれ回転されることで、密閉シート8が外側に向けて露出された幅方向視正方形の略直方体形状に畳まれている。なお、図9及び図10に示すケース体6Aでは、抜け止め部63Aは、各開口端部61Aにおいて中心軸線を挟んで互いに対向する角部62Aにそれぞれ形成されている。この場合、密閉シート8が外側に向けて露出されているものの、ケース体6Aによりこれらの密閉シート8が囲繞されるので、密閉シート8をケース体6Aで保護することが可能となり、例えば流通段階において衝撃や悪戯などの不意の外力で密閉シート8が破断されるのを抑制することができる。
【0036】
また、前記実施形態では、単位容器3は、鍔部9及び垂直壁部18を備えるものとしたが、これらはなくても良い。
また、前記実施形態では、ケース体6、6Aを備えるものとしたが、ケース体6、6Aは無くても良い。更に、ケース体を備える場合であっても、畳まれた連結容器5を囲繞して収納する角筒状であれば前記実施形態に示すものに限らない。例えば、ケース体は開口していなくても良く、ケース体は軸方向の一方側端部のみが開口していても良い。
また、前記実施形態では、ケース体6、6Aには抜け止め部62、62Aが形成されているものとしたが、抜け止め部62、62Aはなくても良い。また、抜け止め部を形成する場合であっても、前記実施形態に示したものに限られない。例えば、抜け止め部の数や、抜け止め部が形成される角部の位置は、前記実施形態に示したものとそれぞれ異なっていても良い。
【0037】
また、前記実施形態では、複数の単位容器3にそれぞれ備えられた密閉シート8が、1枚のシート材21により形成されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、2枚以上のシート材により形成されていても良い。
【0038】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1、1A 容器
2 収容室
3 単位容器
4A、4B 弱化部
5 連結容器
6、6A ケース体
7 窪み部
8 密閉シート
8A シート面
10 三角壁部
11 矩形壁部
12 開口面
13 三角壁部の底辺
14 三角壁部の頂角
15 三角壁部の斜辺
17 頂辺
20 シート成形体
61、61A 開口端部(軸方向端部)
62、62A ケース体の角部
63、63A 抜け止め部
O ケース体の軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容室を有する単位容器が破断容易な弱化部を介して複数連結された連結容器であって、
前記単位容器は、前記収容室を形成する窪み部と、前記窪み部を密閉する密閉シートと、を備え、
複数の前記単位容器にそれぞれ備えられた窪み部は、軟化したシート状の原板を押圧することで成形されたシート成形体に一体的に形成され、
前記窪み部は、前記密閉シートが配設されるシート面に対して突出されると共に互いに対向して配設された一対の三角壁部と、前記シート面に対してそれぞれ斜めに突出されて先端同士が互いに連結された一対の矩形壁部と、を備え、
前記三角壁部は、前記シート面と平行に延在する底辺に対向する頂角が直角に形成された直角二等辺三角形状をなし、
前記矩形壁部は、前記一対の三角壁部の対向する各斜辺の間にそれぞれ配設され、
前記一対の三角壁部と、前記一対の矩形壁部と、前記シート面と平行に形成された開口面と、が五面体形状をなし、
複数の前記単位容器は、前記一対の三角壁部の頂角間を結ぶ各々の頂辺が互いに平行または同一直線上に延在する向きにそれぞれ配置され、
前記頂辺に平行に延在する前記弱化部が屈曲されて複数の前記単位容器の前記密閉シート同士または前記矩形壁部同士が対向され、複数の前記単位容器が直方体状に畳まれていることを特徴とする連結容器。
【請求項2】
請求項1記載の連結容器と、
前記連結容器を囲繞して収納する角筒状のケース体と、
を備えていることを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項2記載の容器であって、
前記ケース体の少なくとも一方の軸方向端部は開口されており、
前記軸方向端部には、前記ケース体の少なくとも一つの角部を反転変形させて前記連結容器に係止される抜け止め部が形成されていることを特徴とする容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−202216(P2010−202216A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47170(P2009−47170)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】