説明

連結送水管設備

【課題】建物におけるスペース効率の向上を図った連結送水管設備を提供する。
【解決手段】ビル1に設置されたエレベータ装置2のかご3に放水ノズル20付きの放水ホース19とその放水ホース19が接続された放水バルブ12とを収容するとともに、ビル1の外部に開口する受水部11と放水バルブ12とを連結する送水管13をビル1内に配設する。火災発生時には、放水バルブ12および放水ホース19をかご3とともにビル1の火災発生階へ移動させ、受水部11から供給した消火用水を放水ホース19から放出して消火活動を行う。これにより、放水ホース19および放水バルブ20をビル1の各階に設ける必要がなくなり、ビル1のスペース効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火用水を建物内の所定の場所に送るための連結送水管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の連結送水管設備として例えば特許文献1に記載のものが提案されている。特許文献1に記載の連結送水管設備は、消防用ポンプ車から消火用水を供給するための受水部たる送水口と、建物内の各階にそれぞれ設けられたホース連結部たる放水口と、上記送水口と放水口とを連結する送水管と、を備えている。そして、火災発生時には、火災発生階の上記放水口に放水ホースを連結するとともに、消防用ポンプ車によって上記送水口から放水ホースへ消火用水を供給し、その放水ホースから火災発生箇所へ消火用水を放水することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−89158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、迅速な消火活動のために上記建物の各階にそれぞれ上記放水口を設ける必要があり、そのための設置スペースを上記建物内に確保しなければならないことから、上記建物のスペース効率の上で好ましくない。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、特に、建物におけるスペース効率の向上を図った連結送水管設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、エレベータ装置の設置された建物に、消火活動用の放水ホースを連結可能なホース連結部と、上記建物内に外部から消火用水を供給するための受水部と、上記ホース連結部と受水部とを連結する送水管と、を設けてなる連結送水管設備において、上記ホース連結部を上記エレベータ装置のかご内に設けることにより、上記ホース連結部がかごとともに上記建物の各階へ移動可能になっていることを特徴としている。
【0007】
したがって、この請求項1に記載の発明では、火災発生時に消防隊員が上記エレベータ装置のかごによって火災発生階に移動し、かご内のホース連結部に連結した放水ホースから消火用水を放水して消火活動を行うことになる。
【0008】
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、上記エレベータ装置のかご内に上記放水ホースが設けられていると、上記放水ホースを建物内の各階にそれぞれ設置する必要がなくなるほか、消火活動をより迅速に行うことができるようになる。
【0009】
また、上記ホース連結部と受水部とを上記送水管によって連結しつつかごの昇降動作を許容するためには、例えば請求項3に記載の発明のように、上記送水管を、当該送水管のうち上記建物の躯体側に設けられ、上記エレベータ装置の昇降路に沿って上下方向に延びる固定管部と、エレベータ装置のかご側に設けられたかご側管部と、上記固定管部とかご側管部とを連結する可撓管部と、から構成するとよい。
【0010】
この場合、請求項4に記載の発明のように、上記可撓管部を蛇腹状に形成することで当該可撓管部に湾曲容易性を具備させることが好ましい。
【0011】
一方、請求項5に記載の発明のように、上記エレベータ装置の昇降路のうち上記建物の各階に相当する高さ位置に上記ホース連結部がそれぞれ設けられているとともに、上記エレベータのかごのうち着床時においてその着床階に対応する上記ホース連結部に臨む位置に、上記ホース連結部にかご内から上記放水ホースを連結するための開口部が形成されていてもよい。
【0012】
この場合には、火災発生時に上記かごを火災発生階に移動させた上で、その火災発生階における上記ホース連結部に上記開口部を通じて放水ホースを連結し、消火活動を行うことになる。
【0013】
その上で、請求項6に記載の発明のように、上記ホース連結部に放水ホースが連結されていることを検出する検出スイッチを備えていて、上記ホース連結部に放水ホースが連結されているときに、上記検出スイッチの出力に基づいてかごの走行を禁止するようになっていると、消火活動中におけるかごの移動を確実に防止して消火活動時の安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1,5に記載の発明によれば、上記ホース連結部の設置スペースを上記建物の各階に確保する必要がなくなり、建物のスペース効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態として連結送水管設備を模式的に示す図。
【図2】図1に示すかごの拡大断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態として連結送水管設備を模式的に示す図。
【図4】図3に示すかごの拡大断面図。
【図5】図4に示す放水バルブとバルブ連結部との連結構造を示す断面図。
【図6】図5に示す放水バルブとバルブ連結部とが連結した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の第1の実施の形態を示す図であって、ビル1に設置された連結送水管設備を模式的に示す図である。
【0017】
図1に示すように、連結送水管設備が設置された建物であるビル1にはエレベータ装置2が据え付けられており、上下方向に延びる昇降路4と、その昇降路4の上方に設けられた機械室5と、ビル1の各階に設けられたエレベータ乗場6と、が形成されている。
【0018】
エレベータ装置2はいわゆるトラクション方式のものであって、主索7が巻き掛けられた巻上機8とその巻上機8の駆動を司るコントロールユニット9が機械室5にそれぞれ設置されている。そして、巻上機8がコントロールユニット9からの指令に基づいて主索7を駆動することにより、その主索7の両端にいわゆるつるべ式に吊り下げられたかご3およびカウンターウエイト10が昇降路4内を上下に走行するようになっている。また、エレベータ装置2は消防隊員による消火活動に利用される周知の消防運転モードを備えたいわゆる非常用エレベータであって、当該エレベータ装置2を構成する各機器には例えば防滴性や耐熱性を高めるべく必要な処置が施されている。
【0019】
連結送水管設備は、周知のように火災時の消防隊による消火活動を迅速に行うための消防設備として設けられているものであって、地面Gに近接する高さ位置で屋外に向けて開口し、ビル1内に外部から消火用水を供給するための受水部11と、かご3内に設けられたホース連結部としての放水バルブ12と、受水部11と放水バルブ12を接続する送水管13と、を備えている。なお、本実施の形態における連結送水管設備は一般に乾式と称されるものであって、平常時には送水管13内に消火用水が存在せず、火災時に消防用ポンプ車両から送水管13へ消火用水が供給されることになる。また、図1では単一の受水部11のみを図示しているが、ビル1の規模に応じて受水部を複数設けることも可能である。
【0020】
送水管13は、受水部11から下方に向けて延びる第1管部14と、昇降路4内を上下方向に延びる固定管部としての第2管部15と、ビル1の地階において水平方向に配設され、第1管部14と第2管部15とを連結する連結管部16と、かご3に設けられ、放水バルブ12に接続するかご側管部17と、そのかご側管部17と第2管部15とを連結する可撓管部18と、を有している。
【0021】
第1管部14および第2管部15のうち連結管部16との接続部よりも下方側には排水弁14a,15aがそれぞれ設けられている。これら排水弁14a,15aは消防隊による消火活動後に送水管13から消火用水を排出するためのものであって、平常時には閉止されている。
【0022】
第2管部15の上端部およびかご側管部17の下端部には中間連結部15b,17aがそれぞれ設けられていて、それら両中間連結部15b,17a同士の間に可撓管部18が略U字状に折り返しつつ吊り下げられている。なお、第2管部15の中間連結部15bは、第2管部15の上端部を略U字状に折り返すことで下向きに設けられている。
【0023】
放水バルブ12は、当該放水バルブ12を開閉するための開閉操作ハンドル12aと、放水ノズル20付きの放水ホース19を接続するためのホース連結部12bとを有している。そして、放水ホース19および放水ノズル20は、ホース連結部12bに接続された状態でかご3内に収容されている。なお、放水ホース19は、ビル1の各階においてフロア全体を消火活動することのできる長さに設定されている。
【0024】
図2はかご3の詳細を示す断面図である。なお、図2では便宜上放水ホース19および放水ノズル20を省略して描いている。
【0025】
図2に示すように、かご3はかご枠21を中心として構成されているものであって、そのかご枠21内にかご本体22が支持されている。かご本体22は、かご出入口23が開口形成され、乗客およびその荷物を積載することになるかご室22aと、そのかご室22aの奥部側、すなわち反かご出入口23側に形成された放水機器収容室22bと、を有していて、かご室22aと放水機器収容室22bとの間には収容室ドア24が設けられている。また、周知のように、かご出入口23は図示外のドア駆動装置をもって駆動されるかご側ドア25によって開閉されるようになっている一方、各階のエレベータ乗場6にそれぞれ開口形成された乗場出入口26はかご側ドア25に連動する乗場側ドア27によって開閉されることになる。
【0026】
そして、放水機器収容室22bには放水バルブ12と放水ホース19および放水ノズル20が収容され、これら放水バルブ12と放水ホース19および放水ノズル20がかご3とともにビル1の各階に移動可能になっている。なお、図示は省略しているが、収容室ドア24にはいたずら防止のための錠を設けて常時施錠しておくとよい。
【0027】
他方、図1,2に示すように、可撓管部18は、可撓性材料を蛇腹状に成形することで湾曲容易性を具備させたものであり、かご3の走行に伴って当該可撓管部18の長手方向における折り返し位置を変化させつつ昇降路4内を上下に移動することになる。なお、かご3における可撓管部18の吊り下げ位置は、当該かご3の重量バランスと可撓管部18の曲率を考慮して設定するとよい。
【0028】
以上のように構成した連結送水管設備では、火災発生時に消防隊がビル1に到着すると、まず、エレベータ装置2の運転モードを周知の消防運転モードに切り替え、放水を担当する消防隊員がかご1に乗って火災発生階に移動する一方、他の消防隊員が図示外の消防用ポンプ車両と受水部11とを図示外の送水ホースによって連結することになる。そして、放水を担当する消防隊員が火災発生階に到着すると、上記消防用ポンプ車両のポンプによって消火用水を受水部11から送水管13を介して放水バルブ12へ圧送する一方で、放水を担当する消防隊員は放水バルブ12を開いて放水ノズル20から消火用水を放水し、消火活動を行うことになる。
【0029】
したがって、本実施の形態によれば、放水ホース19および放水バルブ12がかご3とともにビル1の各階へ移動可能になっているため、放水バルブと放水ホースおよび放水ノズルをビル1の各階にそれぞれを設ける必要がなくなり、コスト的に有利となるほかビル1のスペース効率が向上するメリットがある。
【0030】
また、消防隊員はかご3に乗って火災発生階に向けて移動している最中に放水の事前準備を行うことができるため、消火活動をより迅速に行うことができるようになるメリットもある。
【0031】
図3,4は本発明の第2の実施の形態を示す図であって、そのうち図3はビル1に設置された連結送水管設備を模式的に示す図、図4はかご1を示す拡大断面図である。なお、図3,4のうち上述した第1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
図3,4に示す第2の実施の形態では、送水管28のうち昇降路4内に配設された第2管部29が、上下方向に延びる主管部29aと、ビル1の各階に相当する高さ位置で主管部29aから分岐した複数の枝管部29bと、各枝管部29bの先端にそれぞれ設けられ、後述する放水バルブ31を介して放水ホース19を連結可能なホース連結部としてのバルブ連結部30と、をそれぞれ有している。なお、主管部29aの下端には、送水管27内の消火用水を排水するための排水弁29cが設けられている。
【0033】
また、バルブ連結部30に着脱可能な放水バルブ31とその放水バルブ31に連結された放水ノズル20付きの放水ホース19とがかご3の放水機器収容室22bに収容されていて、かご3が着床したときにその着床階におけるバルブ連結部29に臨むことになるバルブ挿通孔32が放水機器収容室22bに開口部として開口形成されている。ここで、図3,4では放水バルブ31をバルブ連結部30に連結した状態を図示しているが、平常時には、放水バルブ31をバルブ連結部30から取り外して放水機器収容室22bに収容することでかご3の昇降動作を許容するようになっている。
【0034】
放水バルブ31は、内部に開閉弁機構が収容されたバルブボディ33と、そのバルブボディ33内の開閉弁機構を開閉操作するための開閉操作ハンドル34と、バルブボディ33のうち流れ方向一方側に開口し、放水ホース19が連結されるホース連結口35と、バルブボディ33のうち流れ方向他方側に設けられ、バルブ連結部30に連結可能な送水管連結部36と、を備えている。
【0035】
図5は、放水バルブ31とバルブ連結部30との連結構造を示す断面図であって、放水バルブ31をバルブ連結部30から取り外した状態を示す図である。また、図6は図5に示す放水バルブ31をバルブ連結部30に接続した状態を示す断面図である。
【0036】
詳しくは図5,6に示すように、送水管連結部36は、バルブボディ33に接続された導水管37と、その導水管37に外挿された略有底円筒状の筒状部材38と、筒状部材38に対して軸方向でスライド変位可能に外挿された略円筒状のロックピン操作部材39と、筒状部材38の反バルブボディ33側端部に固定された円板部材40と、を備えている。
【0037】
導水管37は、当該導水管37のうちバルブボディ33側に形成された薄肉部37aと、導水管37の外周面が段付き形状となるように薄肉部37aの先端に形成された厚肉部37bとを有している。また、導水管37のうち薄肉部37aのバルブボディ33側端部にはバルブボディ33に螺合する雄ねじ部37cが形成されている一方、厚肉部37bの外周面にはシールリング51を受容するシールリング受容溝37dが環状に形成されている。
【0038】
筒状部材38は、導水管37の雄ねじ部37cに螺合するねじ孔38dが開口形成された底壁部38aと、その底壁部38aから反バルブボディ33側に延びる円筒部38bと、底壁部38aから径方向外側に延出するフランジ部38cと、を備えている。そして、円筒部38bの先端部には、ロックピン41を収容するロックピン収容孔38eが周方向で複数貫通形成され、ロックピン41は圧縮コイルスプリング42をもって円筒部38bの径方向外側に向けて付勢されている。
【0039】
ロックピン操作部材39は、筒状部材38の円筒部38bに外挿された略円筒状のロックピン操作部39aと、そのロックピン操作部39aのうちバルブボディ33側端部に略フランジ状に形成された把手部39bと、を備えていて、ロックピン操作部39a先端には、後述するロック解除時にロックピン41を受容することになる環状のロックピン受容部39cがロックピン操作部39aの内径を拡径するようにして形成されている。また、ロックピン操作部材39は、当該ロックピン操作部材39の把手部39bと筒状部材38側のフランジ部38cとの間に設けられたリターンスプリング43により、反バルブボディ33側へ付勢されている。なお、ロックピン操作部材39の反バルブボディ33側への変位は円板部材40との当接をもって規制されるようになっている。
【0040】
円板部材40は、筒状部材38のうち円筒部38bの先端に一体的に固定されたものであって、当該円板部材40の略中央部には導水管37が挿通する導水管挿通孔40aが形成されている。また、円板部材40のうち反バルブボディ33側の側面には、いわゆる押しボタン形のマイクロスイッチである検出スイッチ44が設けられ、この検出スイッチ44がエレベータ装置2のコントロールユニット9に接続されている(図3参照)。
【0041】
一方、バルブ連結部30は、枝管部29bの先端に設けられた弁体収容部46と、弁体収容部46から反枝管部28b側へ延出し、その先端部の外周面に環状の係止溝47aが凹設された管状部47と、管状部47の長手方向中間部から径方向外側に向けて略フランジ状に延出したストッパ部48と、を備えている。そして、ストッパ部48の外周縁部には、当該ストッパ部48のうち反枝管部29b側の側面が段状となるように形成された薄肉部48aが設けられている。
【0042】
弁体収容部46内には弁体45が設けられており、その弁体45はリンク部材49を介して弁体収容部46の外壁に揺動可能に連結されている。そして、図5に示すようにバルブ連結部29と放水バルブ30が連結していないときには、リンク部材49を閉弁方向に付勢する図示外のばね部材により、管状部47のうち弁体収容部46内に臨む軸方向端面47bに弁体45が押し付けられ、枝管部28b側から管状部47側へ向かう消火用水の流路を閉ざすようになっている。言い換えれば、弁体45と管状部47の軸方向端面47bとにより、その軸方向端面47bを弁座としたいわゆる常閉タイプの止水弁50が構成されている。
【0043】
そして、以上のように構成した連結送水管設備では、火災発生時に放水を担当する消防隊員がかご3に乗って火災発生階に移動すると、その火災発生階におけるバルブ連結部30に放水バルブ31を連結して消火活動を行うことになる。
【0044】
具体的には、ロックピン操作部材39の把手部39bを筒状部材38のフランジ部38c側へ引き寄せ、圧縮コイルスプリング42の付勢力をもってロックピン操作部材39のロックピン受容部39cにロックピン41を進入させたロック解除状態で、放水バルブ31の導水管37をバルブ連結部30の管状部47にから枝管部28b内へ弁体45を押し開きつつ挿入し、放水バルブ31側の円板部材40をバルブ連結部30側のストッパ部48に当接させる。その上で、リターンスプリング43の付勢力をもってロックピン操作部材39を円板部材40側へスライドさせ、当該ロックピン操作部材39の先端を円板部材40に当接させる。これにより、図6に示すように、ロックピン41がロックピン操作部39aとの当接をもって筒状部材38の径方向内側へ移動し、バルブ連結部29側の管状部47の係止溝47aに係合する。つまり、放水バルブ30がバルブ連結部29から離脱不能になる。また、このように放水バルブ30をバルブ連結部29に連結すると、導水管37の大径部37bと枝管部28bとの間がシールリング51をもってシールされることになる。
【0045】
さらに、放水バルブ31をバルブ連結部30に連結すると、放水バルブ30側に設けた検出スイッチ44がバルブ連結部30側の薄肉部48aとの当接をもって実質的に検出作動し、その検出信号がエレベータ装置2のコントロールユニット9に送出される。コントロールユニット9は、検出スイッチ44から検出信号を受信したことを条件にかご3の昇降動作、すなわち巻上機8の駆動を禁止することになる。
【0046】
そして、この状態で図示外の消防用ポンプ車両をもって受水部11から送水管28に消火用水を供給することにより、その消火用水が枝管部28bから導水管37を介して放水バルブ31のバルブボディ33に導かれ、放水を担当する消防隊員は放水バルブ31を開弁して放水ノズル20から消火用水を放出し、消火活動を行うことになる。なお、消火活動終了後には、ロックピン操作部材39を操作してロック解除状態とした上でバルブ連結部30から放水バルブ31を取り外すことになる。
【0047】
したがって、本実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と略同様の効果が得られるのは勿論のこと、第1の実施の形態のように送水管28がかご3に支持されていないため、送水管28によってかご3の重量バランスが悪化することを防止できるようになる。その上、上述した第1の実施の形態のようにかご3の走行に伴って送水管28が曲げ伸ばしされることがなく、連結送水管設備の耐久性が向上するメリットもある。
【0048】
また、放水バルブ31がバルブ連結部30に連結されていることを検出スイッチ44によって検出し、その検出スイッチ44の出力に基づいてかご3の昇降動作を禁止するようになっているため、消火活動時の安全性が向上するメリットがある。
【符号の説明】
【0049】
1…ビル(建物)
2…エレベータ装置
3…かご
11…受水部
12…放水バルブ(ホース連結部)
13…送水管
15…第2管部(固定管部)
17…かご側管部
18…可撓管部
19…放水ホース
28…送水管
30…バルブ連結部(ホース連結部)
32…バルブ挿通孔(開口部)
44…検出スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ装置の設置された建物に、消火活動用の放水ホースを連結可能なホース連結部と、上記建物内に外部から消火用水を供給するための受水部と、上記ホース連結部と受水部とを連結する送水管と、を設けてなる連結送水管設備において、
上記ホース連結部を上記エレベータ装置のかご内に設けることにより、上記ホース連結部がかごとともに上記建物の各階へ移動可能になっていることを特徴とする連結送水管設備。
【請求項2】
上記エレベータ装置のかご内に上記放水ホースが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の連結送水管設備。
【請求項3】
上記送水管は、当該送水管のうち上記建物の躯体側に設けられ、上記エレベータ装置の昇降路に沿って上下方向に延びる固定管部と、上記エレベータ装置のかごに設けられたかご側管部と、上記固定管部とかご側管部とを連結する可撓管部と、を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の連結送水管設備。
【請求項4】
上記可撓管部を蛇腹状に形成することにより当該可撓管部に湾曲容易性を具備させてあることを特徴とする請求項3に記載の連結送水管設備。
【請求項5】
エレベータ装置の設置された建物に、消火活動用の放水ホースを連結可能なホース連結部と、上記建物内に外部から消火用水を供給するための受水部と、上記ホース連結部と受水部とを連結する送水管と、を設けてなる連結送水管設備において、
上記エレベータ装置の昇降路のうち上記建物の各階に相当する高さ位置に上記ホース連結部がそれぞれ設けられているとともに、上記エレベータのかごのうち着床時においてその着床階に対応する上記ホース連結部に臨む位置に、上記ホース連結部にかご内から上記放水ホースを連結するための開口部が形成されていることを特徴とする連結送水管設備。
【請求項6】
上記ホース連結部に放水ホースが連結されていることを検出する検出スイッチを備えていて、上記ホース連結部に放水ホースが連結されているときに、上記検出スイッチの出力に基づいてかごの走行を禁止するようになっていることを特徴とする請求項5に記載の連結送水管設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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