説明

連絡支援システム、連絡支援装置、アプリケーションサーバ、および、連絡支援方法

【課題】定義された連絡網等のグループの構成員全員にメッセージを順次既定の順番で申し送ることによって構成員全員の負担の平準化が図られ、且つ、連絡が確実に行き亘ることが可能な連絡支援システム、連絡支援装置、アプリケーションサーバ、および、連絡支援方法を提供する。
【解決手段】UE111からの当該連絡支援サービスの利用の操作に応じ、HSS160に保持された構成員情報を参照して、次の連絡先を判定しそこへの発呼を生じさせる。また、該発呼による連絡先への連絡が繋がらない等、既定の要件を充足するように実行され得なかったときには、HSS160における構成員情報によって当初に規定されていた連絡の優先度を変更し、該変更した優先度を適用して次の連絡先を再判定し、該再判定した連絡先への発呼を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、緊急連絡網等の定義されたグループに属する複数の端末装置間で、最初の発信者のメッセージを順次申し送るための連絡支援システム、連絡支援装置、アプリケーションサーバ、および、連絡支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、学級連絡網や、災害時の緊急連絡網等の定義されたグループの構成員全員に同一内容のメッセージを伝達する場合には、確実に伝達が行き亘るようにしなくてはならないという強い要請がある。そして、このような要請に応えるための技術が、従来より種々提案されている。
一つの提案として次のようなものがある。即ち、グループの各構成員の名前とその電話番号を個人情報管理テーブルに登録しておき、この個人情報管理テーブルに登録された上記各名前とその電話番号を対象に、電話をかけるべき相手の名前を指定画面上で複数件数分指定すると共にその順番を指定する。
【0003】
このように指定した相手の名前とその順番は発呼順管理テーブルに記憶される。そして、発呼順管理テーブルに記憶された各電話番号を、上記相手の名前に対応して指定された順番に従って個人情報管理テーブルから抽出し、該抽出された各電話番号に対して順次発呼する(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の技術では、何れか一人の構成員(端末装置)から順次全員にメッセージを伝達する方式であるため、発信元となる構成員における負担が一方的に重くなり、このような負担の偏在に起因して、発信元から全ての構成員に連絡が行き亘るまでに多大な時間を要することになってしまう虞もあるため、学級連絡網等としては採り入れ難い方式である。
【0004】
このため、学級連絡網等においては、連絡先となる電話番号のリストを予め用意し、各構成員がこの電話番号リストを参照して順次他の構成員に連絡事項を伝達する方法を採るのが一般的である。しかしながら、このように最初の発信者のメッセージを順次既定の順番で申し送る方法では、連絡先が多くなるほどミスも多くなる。例えば同じ連絡事項を同じ連絡先に重複して伝達したり、或いは、一部の連絡先には連絡事項が伝達されないといった問題が生じる惧れがある。
そして、このような問題に対処する方法も従来より提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に開示の技術では、連絡事項を伝達する際の宛先の電話番号及び連絡順序を含む複数の連絡先データを格納するデータベースと連絡先データを送信する連絡先データ送信手段とを備えた管理サーバを設ける。一方、情報通信端末には、該管理サーバより受信した連絡先のうち連絡先選択手段を通して選択した電話番号に対して発信する発信制御手段と、相手方と接続されたときに、通話中の音声をデジタル変換して音声データを作成し、該音声データを上述の管理サーバに送信してそのデータベースに格納する通話記録作成手段を設ける。
【0006】
特許文献2では、上述の構成により、管理サーバに保存される通話記録をユーザが参照することによって、所要の全ての連絡先に漏れなく且つ重複なく確実に連絡事項を伝達することができるとされている。更に、所定の連絡順序に従って連絡先が提示されると共に、ユーザが選択した連絡先の電話番号に自動的に発信するよう電話機が制御され、連絡先を間違えることなく確実に通話することができるとされている。
【0007】
また、上掲の特許文献2と同様に、最初の発信者のメッセージを順次既定の順番で申し送る方式を採り、データベースに格納された連絡ルートに従って、ユーザの操作に応じて自動的に電話回線を接続することにより、正しい連絡ルートの構築と操作性を向上した連絡先自動検索発信システムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3の技術では、発信者の電話番号(発信者番号)と、選択した事象(火災は番号1、事故は番号2、地震は番号3)に基づいて連絡ルートデータベースから当該事象に該当する連絡ルートを選択し、ユーザの操作に応じて当該連絡ルートの中から次の順番で連絡する連絡者に自動的に発信する。このようにして、順次次の連絡者に発信し、最終連絡者になると現在ルート保存手段に保存されているルートを削除して回線を切断して終了する。
【0008】
更にまた、電話による一連の通信相手情報を関連付けて記憶手段に登録しておき、該登録されている通信相手情報を参照して、前回の着信相手に対応する次の発信相手へ自動発信することによって、発信を容易にする技術も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特許文献4の技術では、相手から電話があった場合に、記憶手段を検索し、次の連絡相手を表示手段に表示する。表示された相手に対する発信時に、回線状態監視手段で回線の状態を監視し、以下、所定の手順で発信を実行する。即ち、連絡する相手との終話や相手が話し中や電話に出られない場合には、更に、次の連絡先を表示する。連絡する相手との終話や相手が話し中や電話に出られない場合には、更に、次の連絡先を表示する。また、回線状態監視手段によって、自動発信した相手が通信中である等の理由で応答しない場合、記憶手段に残っている電話番号を再度表示させるので、より柔軟な通信を行い得る利点があるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−126481号公報
【特許文献2】特開2008−187382号公報
【特許文献3】特開2007−36606号公報
【特許文献4】特開平5−260156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上掲の特許文献1の方式では、既述のとおり、発信元となる構成員における負担が一方的に重くなり、学級連絡網等には不向きである。
また、特許文献2の技術では、管理サーバの連絡先データ送信手段より表示された連絡先データのうちから特定の連絡先データを発信元の構成員が選択する必要があり、取り扱いの煩雑さや誤操作の虞は未だ十分には払拭されない。
更に、特許文献3の技術においても、発信者側は呼出後に相手が電話に出ると緊急連絡内容を告げ、通話完了時に双方の通話当事者は電話機をオンフックして一旦回線を遮断し、次の申し送りに際して、次の発信者が電話機から予め決めてある同じ緊急連絡番号をプッシュするといったように人為的行為の連鎖で緊急連絡内容を申し送るものであり、取り扱いの煩雑さや誤操作の虞は未だ十分には払拭されない。
【0011】
また、特許文献4の技術では、連絡すべき相手が話し中や電話に出ない場合に、その次の相手が表示され、あるいは、1のルートの連絡が終了したら、他のルートの次の相手が表示される等、より柔軟な連絡網の連絡が実現されるとされているが、連絡対象者に漏れなく連絡が行き亘るようにするための方途は示されていない。
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたものであり、定義されたグループの構成員全員にメッセージを順次申し送ることによって連絡に際しての構成員全員の負担の平準化が図られ、且つ、連絡が確実に行き亘るような連絡支援サービスを提供することが可能な、連絡支援システム、連絡支援装置、アプリケーションサーバ、および、連絡支援方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能な連絡支援システムであって、
前記グループの構成員への連絡用電話番号および連絡の優先度ならびに連絡完了状況に係る情報を含む構成員情報を自装置の管理下で保持し、一の前記構成員からの当該連絡支援サービスを利用するための操作に基づいて、前記構成員情報を参照して次の連絡先を判定し、該判定による連絡先への発呼を生じさせるように構成され、該発呼による連絡先への連絡が既定の要件を充足するように実行され得なかったときには、前記構成員情報によって当初に規定されていた連絡の優先度を変更し、該変更した優先度を適用して次の連絡先を再判定し、該再判定した連絡先への発呼を生じさせる連絡支援装置を備えていることを特徴とする連絡支援システム。
【0013】
上記(1)の連絡支援システムでは、既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能である。
この連絡支援システムに備られている連絡支援装置は、前記グループの構成員への連絡用電話番号および連絡の優先度ならびに連絡完了状況に係る情報を含む構成員情報を自装置の管理下で保持している。
【0014】
そして、前記連絡支援装置は、一の前記構成員からの当該連絡支援サービスを利用するための操作に基づいて、前記構成員情報を参照して、次の連絡先を判定し、該判定による連絡先への発呼を生じさせる。
また、該発呼による連絡先への連絡が既定の要件を充足するように実行され得なかったときには、前記構成員情報によって当初に規定されていた連絡の優先度を変更し、該変更した優先度を適用して次の連絡先を再判定し、該再判定した連絡先への発呼を生じさせる。
【0015】
(2)前記連絡支援装置は、前記再判定によって次の連絡先が変更されたときには、該変更がされた旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を実行することを特徴とする(1)の連絡支援システム。
上記(2)の連絡支援システムでは、(1)の連絡支援システムにおいて特に、前記連絡支援装置は、前記再判定によって次の連絡先が変更されたときには、該変更がされた旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を実行する。
【0016】
(3)前記構成員情報に基づいて、前記グループの構成員全員への連絡が完了したことが認識されたときには、該当する端末装置に構成員全員への連絡が完了した旨の表示を行わせるための信号を発するアプリケーションサーバを更に備えていることを特徴とする(1)の連絡支援システム。
上記(3)の連絡支援システムでは、(1)の連絡支援システムにおいて特に、前記構成員情報に基づいて、前記グループの構成員全員への連絡が完了したことが認識されたときには、該当する端末装置に構成員全員への連絡が完了した旨の表示を行わせるための信号を発するアプリケーションサーバを更に備えている。
【0017】
(4)既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能な連絡支援システムの構成要素として適用される連絡支援装置であって、
前記グループの構成員への連絡用電話番号および連絡の優先度ならびに連絡完了状況に係る情報を含む構成員情報を自装置の管理下で保持する情報保持部と、
一の前記構成員からの当該連絡支援サービスを利用するための操作に基づいて、前記構成員情報を参照して、次の連絡先を判定し、該判定による連絡先への発呼を生じさせるように構成され、該発呼による連絡先への連絡が既定の要件を充足するように実行され得なかったときには、前記構成員情報によって当初に規定されていた連絡の優先度を変更し、該変更した優先度を適用して次の連絡先を再判定し、該再判定した連絡先への発呼を生じさせる連絡支援制御部と、
を備えていることを特徴とする連絡支援装置。
【0018】
上記(4)の連絡支援装置は、既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能な連絡支援システムの構成要素として適用される。
その情報保持部が、前記グループの構成員への連絡用電話番号および連絡の優先度ならびに連絡完了状況に係る情報を含む構成員情報を自装置の管理下で保持している。
【0019】
また、その連絡支援制御部が、前記グループの構成員からの当該連絡支援サービスを利用するための操作に基づいて、前記構成員情報を参照して、次の連絡先を判定し、該判定による連絡先への発呼を生じさせるように構成され、該発呼による連絡先への連絡が既定の要件を充足するように実行され得なかったときには、前記構成員情報によって当初に規定されていた連絡の優先度を変更し、該変更した優先度を適用して次の連絡先を再判定し、該再判定した連絡先への発呼を生じさせる。
【0020】
(5)前記連絡支援制御部は、前記再判定によって次の連絡先が変更されたときには、該変更がされた旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を実行することを特徴とすることを特徴とする(4)の連絡支援装置。
上記(5)の連絡支援装置では、(4)の連絡支援装置において特に、前記連絡支援制御部が、前記再判定によって次の連絡先が変更されたときには、該変更がされた旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を実行する。
【0021】
(6)前記連絡支援制御部は、一の前記構成員による端末装置への所定の操作に基づいて、前記情報保持部における連絡完了状況に係る情報を、全て連絡未了の状態にリセットすることを特徴とする(4)の連絡支援装置。
上記(6)の連絡支援装置では、(4)の連絡支援装置において特に、前記連絡支援制御部が、一の前記構成員による端末装置への所定の操作に基づいて、前記情報保持部における連絡完了状況に係る情報を、全て連絡未了の状態にリセットする。
【0022】
(7)前記連絡支援制御部は、前記情報保持部における連絡完了状況の情報が予定した全ての連絡先への連絡が完了している旨であるときには、この旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を所定のアプリケーションサーバを通して実行することを特徴とする(4)の連絡支援装置。
上記(7)の連絡支援装置では、(4)の連絡支援装置において特に、前記連絡支援制御部が、前記情報保持部における連絡完了状況の情報が予定した全ての連絡先への連絡が完了している旨であるときには、この旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を所定のアプリケーションサーバを通して実行する。
【0023】
(8)既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能な連絡支援システムの構成要素として、連絡完了状況の情報を反映した連絡先の判定と該判定による連絡先への発呼を制御する連絡支援装置と共に適用されるアプリケーションサーバであって、
前記連絡支援装置における連絡完了状況の情報が予定した全ての連絡先への連絡が完了している旨であるときには、この旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を実行することを特徴とするアプリケーションサーバ。
上記(8)のアプリケーションサーバは、前記連絡支援装置における連絡完了状況の情報が予定した全ての連絡先への連絡が完了している旨であるときには、この旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を実行する。
【0024】
(9)既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能な連絡支援方法であって、
前記グループの構成員への連絡用電話番号および連絡の優先度ならびに連絡完了状況に係る情報を含む構成員情報を保持し、
一の前記構成員からの当該連絡支援サービスを利用するための操作に基づいて、前記構成員情報を参照して、次の連絡先を判定し、該判定による連絡先への発呼を起動し、
該発呼による連絡先への連絡が既定の要件を充足するように実行され得なかったときには、前記構成員情報によって当初に規定されていた連絡の優先度を変更し、
該変更した優先度を適用して次の連絡先を再判定し、該再判定した連絡先への発呼を起動させることを特徴とする連絡支援方法。
【0025】
上記(9)の連絡支援方法では、既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能である。
一の前記構成員からの当該連絡支援サービスを利用するための操作に基づいて、前記保持された構成員情報を参照して、次の連絡先を判定し、該判定による連絡先への発呼を起動する。
そして、起動した発呼による連絡先への連絡が既定の要件を充足するように実行され得なかったときには、前記構成員情報によって当初に規定されていた連絡の優先度を変更する。
このように連絡の優先度を変更した場合には、該変更した優先度を適用して次の連絡先を再判定し、該再判定した連絡先への発呼を起動させる。
【発明の効果】
【0026】
定義されたグループの構成員全員にメッセージを順次申し送ることによって構成員全員の負担の平準化が図られ、且つ、連絡が確実に行き亘ることが可能な、連絡支援システム、連絡支援装置、アプリケーションサーバ、および、連絡支援方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一つの実施の形態としての連絡支援システムを表す概念図である。
【図2】図1の連絡支援システムの構成要素とその動作を表すシーケンスチャートである。
【図3】図1のHSSが保有し管理するデータベースの情報を例示する図である。
【図4】本案発明の実施に適用されるUEにおけるポップアップ表示を例示する図である。
【図5】図1の連絡支援システムによる連絡支援サービスを利用した通話を終了する動作を例示するシーケンスチャートである。
【図6】図1の連絡支援システムの動作を表すフローチャートである。
【図7】グループの構成員全員に連絡が行き亘った場合の動作を表すシーケンスチャートである。
【図8】加入者からの操作に基づいて、データベースにおける連絡完了を表すチェックマーク「レ」を全て解除する場合の動作を表すシーケンスチャートである。
【図9】本発明の連絡支援システムによる連絡支援サービスの利用に際しての所要の情報登録手続について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述することにより、本発明を明らかにする。
(システムの構成の概要)
図1は、本発明の一つの実施の形態としての連絡支援システムを表す概念図である。
この連絡支援システムは、以下に述べるような複数のノードを含む移動体通信網100として構成されている。
この移動体通信網100では、ノードの種別によっては同種のノードが複数設置され、これら複数のうちの一方(一方の群)のものが発信側のノードとして機能するときに、他方の(他方の群)のものが着信側のノードとして機能し得る。
【0029】
図1の移動体通信網(連絡支援システム)100には、次のような各ノードが設置される。
即ち、図1の連絡支援システムを構成する移動体通信網100は、2基のCS−GW(Circuit Switching-Gateway)131,132、2基のS−CSCF(Serving-Call Session Control Function)141,142、2基のAS(Application Server)151,152、HSS(Home Subscriber Server)160、および、MRF(Multimedia Resource Function)170を含んで構成されている。
【0030】
尚、図1を参照しての説明では、これらノードの設置数は説明の便宜上、原則的に必要最小限の数を表記しているが、実際の移動体通信網100では、同種のノードがさらに多く設置され得る。
CS−GW(Circuit Switching-Gateway)131,132は、3G−CSの無線ネットワークとIPネットワークとの接続を仲介する機能を有するノードであり、3GPPのシステムにおいては認証や秘匿制御を行い、3Gのシステムにおいては位置登録制御を行うように機能する。
【0031】
S−CSCF(Serving-Call Session Control Function)141,142は、SIP登録サーバとして、HSS(後述)からダウンロードした加入者情報や端末装置の現在位置情報を保持する機能を有し、通信当事者間のセッション制御を行い所要に応じてAS(後述)のサービス処理を起動し、発信元の通信当事者が相手方を電話番号で指定した場合に、この指定に応じてルーティングを行うべく機能する。
【0032】
AS(Application Server)151,152は、サービス利用者が当該サービスに係る正規の利用契約を締結しているか否かの判定を含むサービスの制御を行うように機能する。
HSS(Home Subscriber Server)160は、加入者情報の保持および管理、各加入者の加入しているサービスプロファイルの管理、認証用情報の管理、各サービスの利用可否の管理を行うように機能する。
【0033】
本例のHSS160は、本発明の実施の形態としての連絡支援装置を構成している。そして、HSS160は、グループの構成員への連絡用電話番号および連絡の優先度ならびに連絡完了状況に係る情報を含む構成員情報を自装置の管理下に保持する情報保持部161と、この構成員情報に関し、条件に応じて所要の更改を行って管理すると共に、この情報を参照して後述するような所要の各判定処理を実行する連絡支援制御部162とを含んで構成されている。
【0034】
連絡支援制御部162における管理機能には、後に詳述する次のような機能が含まれる。即ち、着信側(連絡順)優先度変更機能、データベースのチェック機能、データベースにおける代表者の切り替え機能、および、データベースのチェック欄のリセット機能である。
MRF(Multimedia Resource Function)170は、画像のコーディング変換や音声合成等を行うように機能する。本発明の一つの実施の形態であるシステムにおいてはRBT(Ring Back Tone)信号の供給源としても機能する。
【0035】
図1において、上述の各ノードは、この線図で表記の如く、関係する相互間で結ばれている。
図1では、一方の端末装置であるUE(User Equipment)111が公知のように無線伝送路でBS(Base Station)121と結ばれ、このBS121が、上述のCS−GW131と結ばれている。同様に、他方の端末装置であるUE112が公知のように無線伝送路でBS122と結ばれ、このBS122が、上述のCS−GW132と結ばれている。
【0036】
(連絡支援システムの構成要素とその動作)
図2は、図1の連絡支援システムの構成要素とその動作を表すシーケンスチャートである。
図2においては、該当するノードについて、発信側のノードとして機能している場合には、そのノードの表記の末尾に(発)と表記している。同様に、着信側のノードとして機能している場合には、そのノードの表記の末尾に(着)と表記している。そして、発信側のノードとして機能するか着信側のノードとして機能するかの別を問わない説明においては、これらの末尾の表記を伴わずに表している。また、図2では、通信を中継するBS121および122については図示を省略してある。また、着信側のUEについては、対象となるものが3基あるものとして表記している。
【0037】
着信側の3基のUEについて、ここでは、112−1,112−2,112−3の符号を割当てている。そして、UE112−1の電話番号は0X0−1111−1111、UE112−2の電話番号は0X0−2222−2222、UE112−3の電話番号は0X0−3333−3333であるものとする。
発信側のUEで、この連絡支援システムによる連絡支援サービスを利用するための専用の電話番号を入力すると、この連絡支援サービスの要求がUE111からCS−GW(発)131を経て、S−CSCF(発)141に伝達される(S201、S202)。
【0038】
そして、S202の伝達に基づいて、S−CSCF(発)141とAS(発)151との間で既定のルーティングを行ない(S203,S204)、S−CSCF(発)141からAS(発)151を介して、HSS160に、上述の連絡支援サービスを利用して次の連絡対象者に連絡するための相手方となる個人の電話番号を既定の番号の中から特定して通知するように要求する(S205)。
【0039】
S205の要求を受けたHSS160では、要求の発信元がこの連絡支援サービスに係る正規の加入者であるか否かを判定し、正規の加入者であると判定したときに、データベースにおいて、連絡未了の連絡先電話番号を探索する。そして、連絡の優先順位が最も高い連絡未了の連絡先電話番号(0X0−1111−1111)を次の連絡先と判定する(S206)。そして、該判定結果の連絡先電話番号をS−CSCF(発)141に払い出す(S207)。尚、連絡未了の連絡先(着信者)が存在しない状態に到っている場合には、ここで終話となるが、これについては、後に図7を参照して詳述する。
【0040】
図3は、HSS160がその情報保持部161(図1)にデータベースの形態で保持する情報を例示する図である。既述の通り、情報保持部161に保持された情報については、連絡支援制御部162が条件に応じて所要の更改を行って管理する。
上述のS206の判定も連絡支援制御部162が実行する。そして、S206の判定に際しては、図3(a)に示された情報が参照される。
【0041】
尚、上述の、S206において正規の契約に係る登録が無いと判定されたときには、この段階で呼を接断する。
S206で連絡支援サービスの発信元が正規の加入者であると判定されたときには、次いで、S−CSCF(発)141は、S207で払い出された連絡先電話番号によって特定されるUEへの発呼を生じさせるべく、S−CSCF(着)142に接続する(S208)。更に、S−CSCF(着)142とAS(着)152との間で既定のルーティングを行ない(S209,S210)、S−CSCF(着)142からCS−GW(着)132に先の電話番号のUE112−1への接続要求を発する(S211)。
【0042】
CS−GW(着)132は、この接続要求を受けてUE112−1へのページングを発する(S212)。
一方、HSS160は、AS(発)151、および、CS−GW(発)131等を介してUE111に着信者決定通知を伝達する(S213,S214,S215)。
着信者決定通知を受けたUE111では、受信処理を実行し(S216)自己の端末画面にポップアップによる着信者決定通知を表示する(S217)。
【0043】
UE111のユーザである当初の連絡発信者は、この着信者決定通知の表示によって、システム側で自動的に選択された連絡先である着信者を認識できる。
S217の表示を行うと、UE111は、CS−GW(発)131、および、AS(発)151等を介して、HSS160に当該表示を行った旨を応答する(S218,S219,S220)。
【0044】
これ以降は、一般的な既存の手順で呼接続制御が実行される(S221)。
そして、AS(着)152からのRBT(Ring Back Tone)開始要求が、S−CSCF(着)142を介してMRF170に発されると(S222,S223)、MRF170からUE111にRBTが供給される(S224)。
RBTの継続時間はAS(着)152の呼出タイマによって管理されている(S225)。
【0045】
そして、タイマに設定された時間が満了し、既定の時間内に相手方との通話が開始されるという既定の要件を充足する形でセッションが確立し得なかったことが検出される(即ち、タイムアウトに到る)と、AS(着)152からS−CSCF(着)142を介してMRF170にRBT停止要求が発される(S226,S227)。
AS(着)152はまた、タイムアウトを検出すると、返答なしの旨をS−CSCF(着)142を介してS−CSCF(発)141に応答する(S228,S229)。
【0046】
S229の応答を受けたS−CSCF(発)141は、既定の時間内に相手方との通話が確立し得なかった旨(即ち、既定の要件を充足する形でセッションが確立し得なかったこと)を伝達する(S230)。
S230の伝達を受けたHSS160は、図3を参照して上述した自己の管理下にあるデータベースにおける連絡の順番の変更を実施するべく、該当する連絡対象者のグループに関する連絡完了状況を再度チェックして次の連絡先を再判定する(S231)。
【0047】
HSS160は、S231でのチェックによる再判定の結果、現在時点での状況において、次の連絡先にすべきであると決定した相手先のUE112−2(電話番号:0X0−2222−2222)に向けて、S−CSCF(発)141を通してS−CSCF(着)142に接続要求を発する(S232→S233)。
S233での接続要求を受けたS−CSCF(着)142はAS(着)152との間で既定のルーティングを行ない(S234,S235)、S−CSCF(着)142からCS−GW(着)132に先の電話番号(0X0−2222−2222)のUE112−2への接続要求を発する(S236)。
【0048】
CS−GW(着)132は、この接続要求を受けてUE112−2へのページングを発する(S237)。
そして、UE112−2からのページング応答がCS−GW(着)132を介してS−CSCF(着)142に伝達される(S238,S239)。
一方、HSS160は、S231での判定によって次の連絡先(次の着信者)にすべきであるとして選択した相手先のUE112−2(電話番号:0X0−2222−2222)の情報を、AS(発)151、および、CS−GW(発)131等を介してUE111に着信者決定通知として伝達する(S240,S241,S242)。
【0049】
着信者決定通知を受けたUE111では、受信処理を実行し(S243)自己の端末画面にポップアップによる着信者変更通知を表示する(S244)。
本実施の形態の連絡支援システムでは、上述のようにして、当初の連絡先である着信者が自動的に変更されることがあるが、UE111のユーザである当初の連絡発信者は、この着信者変更通知の表示によって、当初の連絡先である着信者が表示の通りに変更されたことを確実に認識できる。
S244の表示を行うと、UE111は、CS−GW(発)131、および、AS(発)151等を介して、HSS160に当該表示を行った旨を応答する(S245,S246,S247)。
そして、これ以降は、一般的な既存の手順で呼処理が実行される(S248)。
【0050】
(連絡先の判定、変更等の管理)
次に図3を参照して、連絡支援システム(移動体網)100の一つの要素であり、本発明の一つの実施の形態でもある連絡支援装置(既述のHSS160として具現されている)における連絡先の判定、変更等の管理について更に説明する。
既述のとおり、図3はHSS160が管理するデータベースの情報を例示する図であり、特に、図3(a)は、上述のS206やS231の判定、管理を行うに際して参照し、所要に応じて内容を更改する対象とされたデータベースの情報を表す図である。
【0051】
ここに想定した一つの定義されたグループは、例えば、学級連絡網のグループであり、説明の便宜上、このグループの構成員は4名であると仮定する。これらの構成員たる各ユーザのUE(図2におけるUE111、112−1、112−2、112−3)には、それぞれ専用の電話番号が割り当てられている。そして、これらの電話番号が、図3(a)の左欄に「グループ内番号」と表記のものである。
また、図3(a)の「チェックリスト」の欄におけるチェックマーク「レ」は、該当する電話番号のグループの構成員相互間で呼が成立して所定の申し送りが完了した場合に、該当欄に記される。
従って、このチェックマークが未記入である電話番号について、この連絡支援サービスによる申し送り(連絡)が未完了であると判定される。
【0052】
また、「優先度」の欄における番号は、何れの電話番号にもチェックマークが未記入の状態における着信選択(次の連絡先の選択)の優先度を規定する。
即ち、既述のように、電話番号0X0−0000−0000のUEを当初の発信者として順次所定のメッセージの申し送りを行うべくこの連絡支援サービスを利用する場合に、何れの電話番号にもチェックマークが未記入の状態では、「優先度」の欄における番号の順に連絡の相手方が選択される。
一方、何れかの電話番号には既にチェックマークが記入されている状態では、残っているチェックマークが未記入の電話番号について、相対的に「優先度」の高い相手方のUEが次の連絡先として選択されることになる。
【0053】
(UEにおけるポップアップ表示)
図4は、本案発明の実施に適用されるUEにおけるポップアップ表示を例示する図である。
図4(a)は、図1および図2を参照して説明した連絡支援システムによる連絡支援サービスの起動時における発信側のUEのディスプレイでのポップアップ表示を例示する図である。UEにおいて、連絡支援サービスを利用するための専用の電話番号を入力すると、当該UEにおいて図示のようなポップアップ表示が行われる。
図4(b)は、連絡支援サービスが起動し、当該連絡支援システム側における判定によって次の連絡先(着信者のUE)が決定した場合に、連絡支援システム側からの通知に基づいて発信側のUEのディスプレイに表示されるポップアップ表示を例示する図である。図4(b)の例は、図2を参照して説明したS244での表示、即ち、連絡先がUE112−2(電話番号:0X0−2222−2222)へと変更された場合の表示例である。
【0054】
(連絡支援サービスを終了する場合の動作)
次に、図5を参照して、本案発明の連絡支援システムによる連絡支援サービスを終了する場合における動作について説明する。
図5は、図1および図2を参照して説明した連絡支援システムによる連絡支援サービスを利用した通話を終了する場合における発信側のUEでのポップアップ表示処理を含む動作を例示するシーケンスチャートである。
発信側のUE111で通話終了ボタンの押圧等により通話終了操作(図中「切断」と表記)が行われると、CS−GW(発)131、S−CSCF(発)141、AS(発)151の順にセッションの解放指令が伝達されて解放が実行され(S501,S502,S503)、これに応じて、AS(発)151、S−CSCF(発)141、CS−GW(発)131の順にセッションの解放完了通知が伝達される(S504,S505,S506)。
【0055】
また、AS(発)151からS−CSCF(発)141を介してS−CSCF(着)142、AS(着)152へとセッションの解放指令が伝達されて解放が実行されると(S507,S508,S509)、これに応じて、AS(着)152、S−CSCF(着)142、AS(発)151の順にセッションの解放完了通知が伝達される(S510,S511,S512)。
S512の通知を受けて、AS(発)151では、セッションの解放を検知して(S513)、HSS160に対して、当該連絡支援サービスによる連絡が完了した旨の確認ポップアップ表示を行うためのポップアップ要求を発する(S514)。
【0056】
S514の要求を受けたHSS160は、AS(発)151に、了解の旨の応答を発すると共に(S515)、AS(発)151、CS−GW(発)131を介して、UE111に向けて連絡が完了した旨の通知を行う(S516,S517,S518)。
UE111では、S518の通知を受信して認識し(S519)、予定されたグループの構成員への連絡が完了したか否かの確認用のポップアップ表示を行う(S520)。
UE111のユーザ(連絡の当初の発信者)が、この確認用のポップアップ表示に応じて連絡完了(または未完了)の確認応答の操作を行うと、この確認応答が、CS−GW(発)131、AS(発)151を介してHSS160に伝達される(S521,S522,S523)。
HSS160では、S523での確認応答を受けて、既述のデータベースにおける保持情報を新たな連絡完了を加味して更新する(S524)。
【0057】
図3(b)は、図5のS524における場合の、HSS160でのデータベースの保持情報を更新した状態を例示する図である。
図3(b)より了解される通り、図2のシーケンスチャートにおける後半部(S225以降)におけるように、電話番号(0X0−2222−2222)のUE112−2に変更してのセッションが成立して、UE112−2のユーザ(着信者)への連絡が完了したことに応じて、該当する電話番号(0X0−2222−2222)の「チェックリスト」欄にチェックマーク「レ」が附されている。
【0058】
S524におけるデータベースの保持情報の更新の後に、HSS160では、「チェックリスト」を確認して、全ての連絡先に対応する「チェックリスト」にチェックマーク「レ」が附されていることを認識すると、SMS(Short Message Service)蓄積サーバ180に蓄積されている定型文のガイダンスのうちから、例えば「全員に連絡が完了しました」等のメッセージがUE111(連絡の当初の発信者の端末装置)に表示されるべく表示の制御を実行する(S525)。
【0059】
一方、AS(着)152は解放指令を受けて(S509)、S−CSCF(着)142、CS−GW(着)132、を介してUE112−2(電話番号:0X0−2222−2222)へとセッションの解放指令が伝達されて解放が実行されると(S526,S527,S528)、これに応じて、UE112−2、CS−GW(着)132、S−CSCF(着)142の順にセッションの解放完了通知が伝達される(S529,S530,S531)。
【0060】
尚、図5のシーケンスチャートを参照して上述した動作では、発信側のUE111で通話終了ボタンの押圧等により通話終了操作が行われ、この操作に基づいて、セッションが切断された場合を想定していた。しかしながら、現実の通信(通話)においてセッションの切断が発生するのは上述のような発信側のUE111のユーザの意思による操作に基づく場合に限られるものではない。
【0061】
即ち、通話中に何れか一方のUE(例えば、着信側)が移動して圏外に到り、このため圏内に留まっている他方のUE(発信側)の通話断検出タイマが計時期間満了となった場合にも、同様にセッションの切断が発生する。この場合においては、計時期間満了の検出出力に基づいて当該UEからCS−GW(発)に対して“通話切断要求(図内Disconnect)”が通知される。
【0062】
従って、UEのユーザの意思によらず圏外に離脱したこと等に起因するセッションの切断においても“通話切断要求(図内Disconnect)”の発生以降、図5のシーケンスチャートを参照して既述のS501〜S520におけると同様のステップによってポップアップ表示が行われ得る。このため、ユーザは、当該ポップアップ表示に基づいてセッションの切断が発生したことを確実に認識することができ、然るべき対応をとることが可能である。
【0063】
(連絡支援システム全体の動作)
次に、図6を参照して、図1の連絡支援システム全体の動作について説明する。
図6は、図1の連絡支援システムの動作を表すフローチャートである。尚、このフローチャートでは、各ステップの処理の主体が図1における何れの要素であるかを、処理内容を表すブロックの左肩に表記している。
発信側のUE111において、既述の連絡支援サービスを利用するための専用電話番号の入力操作が受け付けられると(S601)、HSS160において、その連絡支援サービス専用の電話番号に関連付けられたデータベースの内容が確認される(S602)。
【0064】
S602において確認されるデータベースの内容は、図3を参照して既述のようなデータであり、このデータから、連絡完了を表すチェックマーク「レ」が附されていないメンバ(当該連絡支援サービスによる連絡の対象となるグループの構成員)が存在するか否かが判断される(S603)。
連絡未了のメンバが存在すると判断された場合は(S603:Yes)、HSS160は、それらのメンバのうち連絡先(着信者)としての選択の優先度が相対的に高いメンバを次の連絡先であると判定し、該メンバへ接続を指示する(S604)。
【0065】
次いで、HSS160は、発信側のUE111に、次の連絡先であると判定した着信者を表す情報の表示を指示する(S605)。
一方、AS(着)152において、所定時間内に連絡先(着信者)側からの応答があったかを監視し(S606)、所定時間内に応答があったときには(S606:Yes)、該当するUE間で通話が開始する(S607)。
通話の終了を待って(S608:No)、終了すると(S608:Yes)、AS152が連絡完了を確認するためのポップアップ表示要求を発し(S609)、これを受けてUE111に連絡完了を確認するためのポップアップ表示が行われる(S610)。
【0066】
S610のポップアップ表示は、当初予定の連絡事項は伝えきれたか否かを問うものであり、この表示に対するユーザからのUE111への入力が肯定的である場合(1のボタンを押圧)には(S611:Yes)、HSS160は、データベースにおける「チェックリスト」欄に、該当する連絡が完了した旨のチェックマーク「レ」を附す(S612)。
S612の処理が実行された結果、データベースにおける「チェックリスト」欄の全てに「レ」が附された状態に到ったか否かが判定され(S613)、未だ、「チェックリスト」欄の全てに「レ」が附された状態に到っていないと判定されたときには(S613:No)、そのまま終話に到る。
【0067】
一方、先のS603で、連絡未了のメンバが存在しないと判断された場合は(S603:No)、AS151から、音声ガイダンスによる連絡済みの旨の通知が発信者のUE111に発される(S614)。尚、S614での音声ガイダンスによる通知は、MRF170への発信指示に基づいてMRF170が音声信号をUE111に向けて供給するようにして行われ得る。そして、この音声ガイダンスによる通知が完了すると、そこで終話に到る。
また、先のS606で、所定時間内に連絡先(着信者)側からの応答がなかったときには(S606:No)、HSS160において、当該連絡先(着信者)の優先度を下げる処理を実行した上(S615)、S603に戻る。
【0068】
また、先のS611で、当初予定の連絡事項は伝えきれたか否かを問うポップアップ表示に対するユーザからのUE111への入力が否定的である場合(2のボタンを押圧)には(S611:No)、HSS160は、データベースにおける「チェックリスト」欄にチェックマーク「レ」を附すことなく(S616)、終話に到る。
また、先のS613で、データベースにおける「チェックリスト」欄の全てに「レ」が附された状態に到っていると判定されたときには(S613:Yes)、HSS160から今回の連絡の当初の発信者である「代表者」にSMS(Short Message Service)によって、例えば「全員に連絡が完了しました」等のメッセージが送信された上、終話に到る。
【0069】
(全員への連絡が完了した場合のポップアップ表示動作)
次に、図7を参照して、グループの構成員の全員への連絡が完了した場合にポップアップ表示が行われる動作について説明する。
図7は、連絡完了を表すチェックマーク「レ」が附されていないメンバが存在せず、当該連絡支援サービスによる連絡の対象となるグループの構成員全員に連絡が行き亘った場合の動作を表すシーケンスチャートである。
発信側のUE111で、既述の特定の電話番号(0X0−0000−0000)を入力すると、この連絡支援サービスの要求がUE111からCS−GW(発)131を経て、S−CSCF(発)141に伝達され(S701、S702)に伝達される。
【0070】
そして、S702の伝達に基づいて、S−CSCF(発)141とAS(発)151との間で既定のルーティングを行ない(S703,S704)、S−CSCF(発)141からAS(発)151を介してHSS160に連絡支援サービスを利用して次の連絡対象者に連絡するための専用電話番号の払い出しを要求する(S705)。
S705の要求を受けたHSS160では、要求の発信元がこの連絡支援サービスに係る正規の加入者であるか否かを判定し、正規の加入者であると判定したときに、データベースにおいて、連絡未了の連絡先電話番号を探索する(S706)。
【0071】
図3(c)は、S706の探索の対象となるデータベースの状態を表す図である。
S706の探索の結果、連絡完了を表すチェックマーク「レ」が附されていないメンバは存在せず、既に、当該連絡支援サービスによる連絡の対象となるグループの構成員全員に連絡が行き亘っていることが判明したときに、全員に連絡が完了している旨の応答をS−CSCF(発)に発する(S707)。
【0072】
更に、S−CSCF(発)141とAS(発)151との間で既定のルーティングを行ない(S708,S709)、S−CSCF(発)141からMRF170に、全員に連絡済みの旨の音声ガイダンスの要求を発する(S710)。
MRF170は、音声ガイダンスの要求を受けて、この要求に対応する「グループ内の全てのメンバと通話できました」なる発声を実行するための信号をUE111に送信する(S711)。
そして、これ以降は、既存の呼制御が行われる。
【0073】
(全チェックマークの解除動作)
次に、図8を参照して、データベースにおける連絡完了を表すチェックマークを全て解除する動作について説明する。
図8は、加入者からの操作に基づいて、データベースにおける連絡完了を表すチェックマーク「レ」を全て解除する場合の動作を表すシーケンスチャートである。
既存の呼制御(S801)を実行後の、或いは、実行中の適宜の時点で、加入者からのカスタマーコントロールによるチェックリスト解除信号に基づいて、HSS160が保持するデータベースにおける「チェックリスト」欄の全てのチェックマーク「レ」が消去され、連絡未了の状態にリセットされる(S802)。
【0074】
図3(d)は、S802の処理が実行された場合の、データベースにおける保持情報の様子が表されている。
図3(d)では、「代表者」の欄における電話番号0X0−0000−0000のところ(既述の、連絡の当初の発信者)に「○」が附されている。これは、電話番号0X0−0000−0000の者が代表者として、上述のような「チェックリスト」欄の全てのチェックマーク「レ」を消去するリセット操作の権限を持つものとして管理されていることを意味している。因みに、この「代表者」の設定や変更は、HSS160に関する設定操作として許容される。
そして、S802の処理の実行後に、再び、既存の呼制御(S803)が継続される。
尚、上述のようなカスタマーコントロールによるチェックリスト解除の操作は、任意の時点で可能であるが、例えば、グループの構成員の全員への連絡完了後や、或いは、連絡支援サービスの利用開始に際しての適宜の時点がこの操作を行う機会となり得る。
【0075】
(連絡支援サービスに関する所要の情報の登録手続)
次に、図9を参照して、連絡支援サービスに関する所要の情報を登録する手続について説明する。
図9は、本発明の連絡支援システムによる連絡支援サービスの利用に先立って、この連絡支援システムに対し予め行っておくべき所要の情報の登録手続について説明するフローチャートである。
この登録手続は、パーソナルコンピュータ190を用いて、既述のHSSに対してデータを入力することによって行われる。
【0076】
即ち、パーソナルコンピュータ190でのGUI(Graphical User Interface)等に対応する入力操作が受け付けられ(S901)、このようにして受け付けられた、一つの定義されたグループとしての、例えば、学級連絡網のグループにおける各構成員に対する専用の電話番号が払い出される(S902)。
そして、HSS160が保有する図3を参照して既述のようなデータベースに、該当するメンバ登録が実行される(S903)。
順次のメンバ登録操作において、更に追加のメンバ登録が必要か否かがチェックされ(S904)、必要である限り(S904:Yes)、繰り返して登録が行われ、追加の必要がなくなったところで(S904:No)、登録が完了する。
【符号の説明】
【0077】
100………………………………………移動体通信網
111,112……………………………UE
112−1,112−2,112−3…UE
121,122……………………………BS
131,132……………………………CS−GW
141,142……………………………S−CSCF
151,152……………………………AS
160………………………………………HSS
161………………………………………情報保持部
162………………………………………連絡支援制御部
170………………………………………MRF
180………………………………………SMS蓄積サーバ
190………………………………………パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能な連絡支援システムであって、
前記グループの構成員への連絡用電話番号および連絡の優先度ならびに連絡完了状況に係る情報を含む構成員情報を自装置の管理下で保持し、一の前記構成員からの当該連絡支援サービスを利用するための操作に基づいて、前記構成員情報を参照して次の連絡先を判定し、該判定による連絡先への発呼を生じさせるように構成され、該発呼による連絡先への連絡が既定の要件を充足するように実行され得なかったときには、前記構成員情報によって当初に規定されていた連絡の優先度を変更し、該変更した優先度を適用して次の連絡先を再判定し、該再判定した連絡先への発呼を生じさせる連絡支援装置を備えていることを特徴とする連絡支援システム。
【請求項2】
前記連絡支援装置は、前記再判定によって次の連絡先が変更されたときには、該変更がされた旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の連絡支援システム。
【請求項3】
前記構成員情報に基づいて、前記グループの構成員全員への連絡が完了したことが認識されたときには、該当する端末装置に構成員全員への連絡が完了した旨の表示を行わせるための信号を発するアプリケーションサーバを更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の連絡支援システム。
【請求項4】
既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能な連絡支援システムの構成要素として適用される連絡支援装置であって、
前記グループの構成員への連絡用電話番号および連絡の優先度ならびに連絡完了状況に係る情報を含む構成員情報を自装置の管理下で保持する情報保持部と、
一の前記構成員からの当該連絡支援サービスを利用するための操作に基づいて、前記構成員情報を参照して、次の連絡先を判定し、該判定による連絡先への発呼を生じさせるように構成され、該発呼による連絡先への連絡が既定の要件を充足するように実行され得なかったときには、前記構成員情報によって当初に規定されていた連絡の優先度を変更し、該変更した優先度を適用して次の連絡先を再判定し、該再判定した連絡先への発呼を生じさせる連絡支援制御部と、
を備えていることを特徴とする連絡支援装置。
【請求項5】
前記連絡支援制御部は、前記再判定によって次の連絡先が変更されたときには、該変更がされた旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を実行することを特徴とする請求項4に記載の連絡支援装置。
【請求項6】
前記連絡支援制御部は、一の前記構成員による端末装置への所定の操作に基づいて、前記情報保持部における連絡完了状況に係る情報を、全て連絡未了の状態にリセットすることを特徴とする請求項4に記載の連絡支援装置。
【請求項7】
前記連絡支援制御部は、前記情報保持部における連絡完了状況の情報が予定した全ての連絡先への連絡が完了している旨であるときには、この旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を所定のアプリケーションサーバを通して実行することを特徴とする請求項4に記載の連絡支援装置。
【請求項8】
既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能な連絡支援システムの構成要素として、連絡完了状況の情報を反映した連絡先の判定と該判定による連絡先への発呼を制御する連絡支援装置と共に適用されるアプリケーションサーバであって、
前記連絡支援装置における連絡完了状況の情報が予定した全ての連絡先への連絡が完了している旨であるときには、この旨を当初の連絡発信元である前記構成員に通知するための連絡先変更通知制御を実行することを特徴とするアプリケーションサーバ。
【請求項9】
既定の複数の構成員を含むグループにおける構成員間で順次通話によって連絡事項を申し送る場合の、順次の申し送りにおける各連絡先の電話番号を自動的に選択し該選択した電話番号の端末装置への発呼を生じさせる連絡支援サービスを提供可能な連絡支援方法であって、
前記グループの構成員への連絡用電話番号および連絡の優先度ならびに連絡完了状況に係る情報を含む構成員情報を保持し、
一の前記構成員からの当該連絡支援サービスを利用するための操作に基づいて、前記構成員情報を参照して、次の連絡先を判定し、該判定による連絡先への発呼を起動し、
該発呼による連絡先への連絡が既定の要件を充足するように実行され得なかったときには、前記構成員情報によって当初に規定されていた連絡の優先度を変更し、
該変更した優先度を適用して次の連絡先を再判定し、該再判定した連絡先への発呼を起動させることを特徴とする連絡支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−80241(P2012−80241A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222161(P2010−222161)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】