説明

連続押出装置

【課題】
【解決手段】
絶縁の銅ケーブルのような芯ケーブル(58)に欠陥や途切れのないアルミニウムのシージング(56)を連続押出しする装置は、一対の周溝(4)を有する回転ホイール(2)と、各溝(4)の外側部と半径方向に当接する弧状の部材(14)と、90°のエルボ(37)と短い末広がりの通路(39)を介して正反対の位置(35)で押出し室(36)に水平方向に送出する末広がりの出口開口(34)を備えたダイ本体(22)とを具備している。電源と冷却循環手段に接続された銅管のコイルからなる電磁誘導加熱体(46)は、ダイ本体(22)の放射方向外端部(48)に配置され、エネルギー供給可能であり、押出し室(36)の周りを約480℃の一定の温度に保つために熱電対(50,52)からの信号により規制してダイ本体に熱を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯ケーブルの周りにシース(sheath)を連続押出しする連続押出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EP−A−0125788は、2つの同一の周溝を有する回転ホイールと、各溝の外側部と半径方向に当接する弧状の部材(arcuate tooling bounding radially outer portions)と、各溝から門型マンドレル(portal mandrel)の周りに配置された押出し室に向かって全体的に(generally)半径方向に伸びて、マンドレルの中間にある環状断面のダイオリフィスを通してマンドレルの軸方向に送出する出口開口(exit apertures)を備えたダイ本体(die body)と、ダイ本体壁とを有する連続押出装置を開示し、また該マンドレルを通して芯(core)を供給するようになされた手段を提供する。
【特許文献1】EP−A−0125788
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、押出し室からホイールの半径方向外側にダイ本体の一部に熱を供給するようになされた加熱手段が設けられている。
【0004】
好ましくは、加熱手段は電磁誘導加熱コイルを備えている。このコイルはダイ本体に配置されてもよい。
【0005】
適当であるのは、熱電対を押出し室からホイールの半径方向内側と外側にダイ本体の各位置に設けて、加熱手段からの熱入力を規制するのに利用可能な信号を供給して押出し室の周りのダイ本体の温度を実質的に一定に保つために接続する。
【0006】
望ましくは、ダイ本体は、回転ホイールと接触する枢動可能なシュー(shoe)に形成されたポケットの取り外し可能な滑りばめである。
【0007】
有利であるのは、各周溝から全体的に半径方向に伸びる出口開口は、90°のエルボ(elbows)と回転ホイールの接線方向に伸びる短い通路を介して正反対の位置で押出し室に水平方向に接続する。出口開口は流れ方向に末広がりの断面(divergent cross-section)を有してもよい。
【0008】
さらに有利であるのは、弧状の部材(arcuate tooling)がダイ本体に取り付られて、回転ホイールの半径方向外側にダイ本体の面を圧迫するようになされた圧力ヨークによって回転ホイールに対置可能(positionable against)なことである。各周溝をふさぐ一対の受面(abutment)は、回転ホイールに隣接するダイ本体の結合面(associated face)と滑り接触して、周溝の方へまたは周溝から外へ、回転ホイールに接線方向に移動可能に取り付られてもよい。ダイ本体は、回転ホイールを支えるフレームワークに設けられた止め部材(stop)、圧力ヨークを支える軸(pivot)、およびダイ本体を止め部材の方へ圧迫する(urging)圧力ヨークに調整可能な力をかけるようになされたラムに対置(located against)されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ここで、本発明について、一例として、添付の部分図を参照して説明する。
図1は、ダイ本体部分を概略で示した連続押出装置の断面側面図である。図2は、供給材料を省略して拡大した図1のダイ本体部分である。図3は、連続押出装置のその他の実施例の断面側面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿って見たダイ本体部分の断面端面図である。図5は、図4のV−V線に沿って見たダイ本体部分の断面平面図である。
【0010】
図示の通り、連続押出装置は一対の周溝4を有する回転ホイール2を備えており、基部8に取り付けられたサイドフレーム7に配置されたベアリング(図示せず)で駆動する水平駆動シャフト6に装着される。軸12に取り付けられたシュー10はサイドフレーム7の中間に、かつ水平駆動シャフト6と平行に伸びて、各溝4と一致する(registering with)弧状の部材14を支持し(carries)、また、シュー10に形成されたショルダー20を圧迫する(bearing against)油圧ラム18によって、ホイール2に隣接配置された止め部材16に抗して駆動シャフト6よりも上になるように付勢される(urged)。
【0011】
矩形断面のダイ本体22は、シュー10に形成されたポケット24に取り外し可能に配置され、各溝4と一致して、それをふさぐようになされた(arranged to register with, and obturate)一対の受面26を備えている。ダイ本体22内の階段状の通路(stepped passage)28は、シュー10を貫通し、ホイール2の接線方向に伸びる通路30,32と一致する。
【0012】
各溝4から全体的に半径方向に伸びて、末広がりの断面(divergent cross-section)の出口開口34は、90°のエルボ37とホイール2の接線方向に伸びる短い末広がりの(short divergent)通路39を介して、正反対の位置35で押出し室36に水平方向に接続する。押出し室36の開口端部はダイ本体22の面に設置するガイドリング38とダイリング40とを備えている。円筒型で管状のマンドレル42は通路28の段43に据え付けられ、ダイリング40と協動(co-acts)して環状の押出しオリフィス44を形成する。
【0013】
冷却媒体循環ポンプ(図示せず)と電源(図示せず)に接続された銅管からなる電磁誘導加熱コイル46は、ダイ本体22の放射方向外端部48に配置される。熱電対50,52は押出し室36の半径方向内側と外側にダイ本体22に配置され、導体(図示せず)を介して電磁誘導加熱コイル46の通電を制御する制御回路(図示せず)に接続される。
【0014】
実施では、直径50mmから200mmの、絶縁体で被覆した銅伝導体のような芯ケーブル58にアルミニウムのシース56を形成するために、押出し開始の準備としてダイ本体22をシューから外して、所望の押出し温度である約480℃から500℃近くまで加熱する。次いでダイ本体22をポケット24に再び配置して、シュー10をホイール2と接触するように枢動して、油圧ラム18を作動させて動力(power)をシューに加える。駆動シャフト6に接続された駆動部(図示せず)が通電され、アルミニウムのロッドフィードストック54が溝4内に送出される。そのアルミニウムのフィードストック54は、該アルミニウムのフィードストック、溝壁、弧状の部材14および受面26の間で発生する摩擦力によって塑性状態になされて、連続押出しプロセスとして出口開口34を通って押出し室36に流れる。各出口開口34からの流れは押出し室36で結合し、環状の押出しオリフィス44を通って押出し、芯ケーブル58をマンドレル42の実質的に共軸方向に供給するために調節可能な偏心軸61に取り付けたガイドローラ59上に供給された芯ケーブル58に連続シース56を形成する。電磁誘電加熱コイル46に電圧を加えることによって発生した半径方向外側部48に伝達される熱入力で、摩擦力から発生した半径方向内側部62に伝達される熱入力を増やすことによって、約500℃の実質的に一定の温度が押出し室36の周りのダイ本体22で維持される。熱電対50,52からの出力信号をコイル46の通電を調節するために利用して、ダイ本体22の必要な加熱を得る。押出し室36の周りを実質的に一定の温度に維持することによって、出口開口34からの自由流れ(free flow)と2つの流れの混合(mixing of two flows)が得られるので、欠陥や途切れのない正常なシージング(sheathing)が提供される。
【0015】
連続押出装置からの出口では、芯ケーブル58の絶縁用クラッド材(insulating cladding material)への熱の悪影響を抑えるために、シース56が急速冷却にかけられる。ローラコルゲータ(roller corrugator)(図示せず)は連続押出装置の下流に配置され、芯ケーブル58と接触しながらシース56に螺旋状の波形を形成する。
【0016】
前記記載では、連続押出装置は芯ケーブル58が水平方向に供給されるようになされているが、当然のことながら、芯ケーブルが垂直方向に供給されるように90°まで回転できるようにして、押出し中に芯ケーブルとシースの共軸配列が円滑に行われるようにしてもよい。
【0017】
また当然のことながら、押出し室36内でのアルミニウムの混合と結合した流れ(mixing and combining flows)を、押出し室の壁面を溝切り(グルービング)し、かつ成形(シェーピング)することによって促進してもよい。
【0018】
さらに当然のことながら、電磁誘導加熱コイル46をシューに配置してもよい。
【0019】
図3〜図5に示す配置では、一対の周溝4を有する回転ホイール2が基部8に取り付けられたサイドフレーム7に配置されたベアリング(図示せず)で駆動する水平駆動シャフト6に装着される。軸61に取り付けられた圧力ヨーク60はサイドフレーム7の中間にかつ水平駆動シャフト6に平行に伸びて、各溝4と一致する弧状の部材64を支持するダイ本体62と協動する。圧力ヨーク60は圧力ヨーク60に形成されたショルダ70を圧迫する(bearing against)油圧ラム68によってホイール2の方へ付勢される(urged)。
【0020】
矩形断面のダイ本体62は、サイドフレーム7の中間に取り外し可能に配置され、該サイドフレーム7に設けられたフランジ74に据え付けるようになされた段付部(stepped portion)72が形成されている。半径方向外側のヘッド部76には、圧力ヨーク60に嵌め込まれた曲面78と協動する(co-acting)曲面77が形成され、圧力ヨーク60からヘッド部76まで油圧ラム68による圧力荷重の伝達を促進する。
【0021】
一対の受面(abutment)80はサイドフレーム7に摺動自在に装着されたキャリッジ(carriage)82に配置され、サイドフレーム7においてキャリッジ82と固定の台(fixed mounting)86との間に亘って作動する油圧ラム84よって各溝4の方へ、また各溝4から外へ移動可能である。受面80は圧力ヨーク60とダイ本体62を介して作動する油圧ラム68と、キャリッジ82を介して作動する油圧ラム84により加えられる力によって溝4をふさぐ位置で保持されるように、受面80はダイ本体62の半径方向内側部で摺動自在に面88と接触する結合面(associated faces)を有している。
【0022】
各溝4から全体的に半径方向に伸びて、末広がり断面(divergent cross-section)の出口開口34は、90°のエルボ37とホイールの接線方向に伸びる短い末広がりの(short divergent)通路39を介して、正反対の位置35で押出し室36に水平方向に接続する。押出し室36の開口端部はダイ本体22の面に設置するガイドリング38とダイリング40とを備えている。円筒型で管状のマンドレル42は通路28の段43に据え付けられて、ダイリング40と協動して環状の押出しオリフィス44を形成する。
【0023】
冷却媒体循環ポンプ(図示せず)と電源(図示せず)に接続された銅管からなる電磁誘導加熱コイル46は、ダイ本体22の放射方向外端部48に配置される。熱電対50,52は押出し室36の半径方向内側と外側にダイ本体22に配置され、導体(図示せず)を介して電磁誘導加熱コイル46の通電を制御する制御回路(図示せず)に接続される。
【0024】
実施では、図3〜図5と共に説明した装置は、図1と図2と共に説明した装置の作動と同様に機能する。サイドフレーム7でフランジ74にダイ本体22の段付部72を据え付けることにより、500℃に近い高温のために作動中のダイブロック22が全体的に熱膨張するにもかかわらず、弧状の部材64を伴うダイ本体22と受面80との間隔を接近した限界内(within close limits)で維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ダイ本体部分を概略で示した連続押出装置の断面側面図である。
【図2】供給材料を省略して拡大した図1のダイ本体部分である。
【図3】連続押出装置のその他の実施例の断面側面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿って見たダイ本体部分の断面端面図である。
【図5】図4のV−V線に沿って見たダイ本体部分の断面平面図である。
【符号の説明】
【0026】
2 回転ホイール 4 溝
6 水平駆動シャフト 7 サイドフレーム
8 基部 10 シュー
12 軸 14 弧状の部材
16 止め部材 18 油圧ラム
20 ショルダー 22 ダイ本体
24 ポケット 26 受面
28 通路 30,32 通路
34 出口開口 35 正反対の位置
36 押出し室 37 エルボ
38 ガイドリング 39 通路
40 ダイリング 42 マンドレル
43 段 44 オリフィス
46 電磁誘導加熱コイル 48 外端部
50,52 熱電対 54 ロッドフィードストック
56 シース 58 芯ケーブル
59 ガイドローラ 60 圧力ヨーク
61 偏心軸 62 ダイ本体
64 弧状の部材 68 油圧ラム
70 ショルダ 72 段付部
74 フランジ 76 ヘッド部
77,78 曲面 80 受面
82 キャリッジ 84 油圧ラム
86 固定の台 88 面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの同一の周溝(4)を有する回転ホイール(2)と、各溝(4)の外側部と半径方向に当接する(bounding)弧状の部材(arcuate tooling)(14,64)と、各溝(4)から門型マンドレル(42)の周りに配置された押出し室(36)に向かって全体的に(generally)半径方向に伸びて、マンドレル(42)の中間にある連続環状断面のダイオリフィス(44)を通してマンドレルの軸方向に送出する出口開口(exit apertures)(34)を備えたダイ本体(die body)(22,62)と、ダイ本体壁(40)とを有し、さらにマンドレル(42)を通して芯(core)(58)を供給するようになされた手段が設けられた連続押出装置であって、
加熱手段(46)が押出し室(36)からホイール(2)の半径方向外側にダイ本体(22,62)の一部に熱を供給するようになされて設けられていることを特徴とする連続押出装置。
【請求項2】
前記加熱手段が電磁誘導加熱コイル(46)を備えていることを特徴とする請求項1記載の連続押出装置。
【請求項3】
前記コイル(46)が前記ダイ本体に配置されていることを特徴とする請求項2記載の連続押出装置。
【請求項4】
熱電対(50,52)が押出し室(36)からホイール(2)の半径方向内側と外側にダイ本体(22,62)の各位置(at locations)に設けられて、加熱手段(46)からの熱入力を規制するのに利用可能な信号を供給して押出し室(36)の周りのダイ本体(22,62)の温度を実質的に一定に保つために接続されていることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の連続押出装置。
【請求項5】
周溝(4)から全体的に(generally)半径方向に伸びる出口開口(34)が、90°のエルボ(37)と回転ホイール(2)の接線方向に伸びる短い通路(39)を介して正反対の位置(35)で押出し室(36)に水平方向に接続することを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の連続押出装置。
【請求項6】
前記短い通路(39)が流れ方向に末広がりの断面(divergent cross-section)であることを特徴とする請求項5記載の連続押出装置。
【請求項7】
前記出口開口(34)が流れ方向に末広がりの断面(divergent cross-section)であることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の連続押出装置。
【請求項8】
ダイ本体(22)が回転ホイール(2)と接触する枢動可能なシュー(shoe)(10)に形成されたポケット(24)の取り外し可能な滑りばめであることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の連続押出装置。
【請求項9】
弧状の部材(64)がダイ本体(62)に取り付けられて、回転ホイール(2)の半径方向外側にダイ本体(62)の面(77)を圧迫するようになされた圧力ヨーク(60)によって回転ホイール(2)に対置可能(positionable against)であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の連続押出装置。
【請求項10】
各周溝(4)をふさぐ一対の受面(abutment)が、回転ホイール(2)に隣接するダイ本体(62)の結合面(associated face)(88)と滑り接触して、周溝(4)の方へまたは周溝(4)から外へ、回転ホイール(2)に接線方向に移動可能に取り付られることを特徴とする請求項9記載の連続押出装置。
【請求項11】
ダイ本体(62)が、回転ホイール(2)を支えるフレームワーク(7)に設けられた止め部材(74)、圧力ヨーク(60)を支える軸(61)、およびダイ本体(62)を止め部材(74)の方へ圧迫する(urging)圧力ヨーク(60)に調整可能な力をかけるようになされたラム(68)に対置(located against)されることを特徴とする請求項9または10記載の連続押出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−516780(P2008−516780A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537379(P2007−537379)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004048
【国際公開番号】WO2006/043069
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(502122299)ビーダブリュイー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】BWE LIMITED
【住所又は居所原語表記】Beaver Road Industrial Estate Ashford Kent TN23 7SH G.B.
【Fターム(参考)】