説明

連続操作閉ループ除染システムおよび方法

【課題】新規な気相除染システムを提供する。
【解決手段】引込み口ポートと引出し口ポートとを有する密閉可能なチャンバと、このチャンバの引出し口ポートと流体接続する閉ループ流体回路と、この回路を通ってガスを循環させる手段と、除染剤蒸気を再循環搬送ガス中に送達する該引込み口ポートに隣接して上記回路に流体接続された蒸発器とを有し、上記チャンバ内の、温度と、相対湿度および除染剤蒸気濃度の少なくとも1つとをモニターするモニターをさらに備え、このモニターは、上記チャンバ中の相対湿度または除染剤蒸気濃度の少なくとも1つをモニターし、残りのパラメーターはチャンバの外側で間接的にモニターされ、このモニターからの出力信号を受信し、この信号に従って加熱手段を制御して、除染剤蒸気および搬送ガスの少なくとも温度を制御するプロセッサーをさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本願は、気相除染システムおよびその方法に関する。気相除染システムおよびその方法は、特にフロースルーまたは閉ループ型システムに応用され、特にこれに関連して説明する。
【背景技術】
【0002】
医学、薬学、および生物学で再使用できる器具は、一般的に使用前毎に滅菌される。更に、医学、薬学、および生物学の応用で使用される再使用可能な容器、例えば、手袋およびインキュベータも、一般的に使用前毎に滅菌される。このようなタイプの用具および容器が一日に何度も使用される施設や応用には、滅菌を効率良く、そして、経済的に達成することが重要である。今までに、気相滅菌剤を封入物またはチャンバの中に放出することで、中に置かれた器具およびその外部を滅菌する方法がいくつか開発されてきた。1つの方法として、「深真空」法と呼ばれる、およそ1Torr以下の深真空状態を用いて熱蒸発器の中へ液状滅菌剤を吸引する方法がある。一旦蒸発すると、滅菌剤蒸気が真空または密封チャンバの中へ引き込まれる。もう1つの方法として、「フロースルー」法と呼ばれる、滅菌剤蒸気と、滅菌剤蒸気をチャンバの中へ運び込み、チャンバ内を通して外へ出す搬送ガスとを混合する方法がある。チャンバ内は、ほぼ大気圧付近であるが、正圧または負圧であることもある。
【0003】
1990年9月11日に発行された、特許文献1は、気相滅菌の深真空法で、所定濃度の過酸化水素蒸気が密封された真空チャンバの中で保たれる方法を開示している。チャンバの中に注入される滅菌剤蒸気の量は、過酸化水素滅菌剤蒸気が閉システム内で時間の経過と共に水および酸素に分解することを考慮して調節または調整される。その他の方法として、特許文献2および特許文献3において示されるように、所定飽和率が開フロースルー滅菌で維持される方法がある。過酸化水素蒸気の搬送ガス中への注入率は、搬送ガスの所定の特徴に対応して調節または調整される。更に、気相滅菌を行うシステムは他にも開発されている。滅菌剤蒸気の残留物を処理するように設計された開フロースルーシステムが、1990年3月20日に発行された特許文献4に開示されている。
【0004】
1992年12月22日に発行された特許文献5は、もう1つのフロースルーシステムとして、気相過酸化水素が搬送ガスの再循環閉流中に導入される方法を開示している。過酸化水素蒸気は、導入され、滅菌サイクルを最適化するために予め選択された濃度に保たれる。乾燥器が再循環流を除湿し、好ましくは少なくとも約10%に相対湿度を押さえ、過酸化水素蒸気が時間の経過と共に分解する際の湿気の堆積を防ぐ。湿気の堆積を除去することによって、このシステムは滅菌チャンバ内の過酸化水素蒸気の濃度を長時間にわたって高く保つことができる。予め乾燥させた気体は、より多くの滅菌剤蒸気を収容する。更に、滅菌剤蒸気の凝縮を避けるために、チャンバ内の相対湿度を滅菌剤蒸気を導入する前に少なくとも約10%に、減らしておくのが好ましい。分解完了後、封入物は選択用途によって必要に応じて再加湿したり、調整したりしても良い。前述の方法およびシステムは効率的な滅菌サイクルを提供するが、更なる改良およびより高い滅菌効率が必要とされている。
【特許文献1】米国特許第4,956,145号明細書
【特許文献2】米国特許第5,445,792号明細書
【特許文献3】米国特許第5,508,009号明細書
【特許文献4】米国特許第4,909,999号明細書
【特許文献5】米国特許第5,173,258号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明において、閉ループフロースルー気相除染システムが提供される。密閉可能なチャンバは引込み口ポートおよび引出し口ポートを有する。閉ループ流体回路は、チャンバ引込み口ポートと流体接続される第1の端部と、チャンバ引出し口ポートと流体接続される第2の端部を有する。流体回路は搬送ガスをチャンバの中へ入れ、中を通って外へ再循環させる通路を提供する。手段は、ガスを閉ループ流体回路に循環させる。蒸発器は、引込み口ポートに隣接した流体回路に流体接続されており、除染剤蒸気を再循環搬送ガスへ送達する。モニターは、チャンバ内の温度、相対湿度、および除染剤蒸気濃度の少なくとも2つをモニターする。調節可能な乾燥器は蒸発器から上流の流体回路に流体接続されており、蒸発器に入る再循環ガスを選択的に乾燥する。プロセッサーは、モニターからの出力信号を受信し、その受信内容に応じて乾燥器を制御する。
【0007】
また、本発明のその他の局面において、閉ループフロースルー気相除染の方法が提供される。搬送ガスは、密閉可能なチャンバの引込み口ポートを入り、チャンバ内を通り抜け、チャンバの引出し口ポートを出て、引出し口ポートから閉ループ流体回路を回って、引込み口ポートに戻る再循環をする。除染剤蒸気は、チャンバの引込み口ポートから上流の再循環搬送ガスの中に送達される。チャンバ内の温度、相対湿度、および除染剤蒸気濃度の少なくとも2つはモニターされている。搬送ガスは、モニターされた温度、相対湿度、および除染剤蒸気濃度に応じて、除染剤蒸気の送出より上流で、選択的に乾燥され、チャンバ内の所定の除染剤蒸気飽和率が保たれる。
【0008】
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
1.引込み口ポート(12)と引出し口ポート(14)とを有する密閉可能なチャンバ(10)と、上記チャンバの引出し口ポートと流体接続して搬送ガスを上記チャンバ(10)の中に引き入れ、中を通って、外へ再循環させる通路を提供する第1の端部を有する閉ループ流体回路(16)と、上記閉ループ流体回路を通ってガスを循環させる手段(22a、22b)と、除染剤蒸気を再循環搬送ガス中に送達する上記引込み口ポート(12)に隣接して上記流体回路に流体接続された蒸発器(18)とを有し、上記チャンバ(10)内の、温度、相対湿度、および除染剤蒸気濃度の少なくとも1つをモニターするモニター(44、46、48)と、搬送ガス受け入れ口と上記密閉可能なチャンバの上記引込み口ポートとの間に蛇行状内部通路を有する上記蒸発器と、(a)上記蒸発器入り口の上流、(b)上記蛇行状通路沿いおよび外部、ならびに(c)上記蒸発器と上記チャンバの間、の少なくとも1つに配置された加熱手段(60、61、62)と、上記モニター(44、46、48)から出力信号を受信し、上記出力信号に従って上記加熱手段(60、61、62)を制御して、上記除染剤蒸気および上記搬送ガスの少なくとも温度を制御するプロセッサー(42)と、を特徴とする、閉ループフロースルー気相除染システム。
2.上記蒸発器に入る上記再循環ガスを選択された湿度まで乾燥するための上記蒸発器(18)から上流の上記流体回路(16)と流体接続された調節可能な乾燥器(24)によってさらに特徴づけられる、項目1に記載のシステム。
3.流体ループと搬送ガスの外部源との間に流体接続されたライン(72)と、搬送ガスが中を通る通路を制御するための、上記ラインと接続されたバルブ(76)と、チャンバ内圧力をモニターするモニター(54)と、上記モニターされた圧力に従って上記流体回路(16)から選択的に搬送ガスを追加および除去するための、上記モニターされたチャンバ圧力に従って上記バルブ(76)をさらに制御する上記プロセッサー(42)とによってさらに特徴づけられる項目1および2のいずれかに記載のシステム。
4.上記蒸発器の上流に位置づけられ、上記蒸発器に入り込む上記搬送ガスの温度および蒸気吸収容量を調節する上記加熱手段によってさらに特徴づけられる、項目1から3のいずれか1つに記載のシステム。
5.上記蒸発器の下流に位置づけられ、上記蒸発器と上記チャンバとの間の上記搬送ガスおよび蒸気の温度を維持し、蒸気凝縮を防ぐ上記加熱手段によってさらに特徴づけられる、項目1から3のいずれか1つに記載のシステム。
6.上記加熱手段を制御して、上記蒸発器の上部から下部にわたって所定の温度勾配を提供する上記プロセッサーによってさらに特徴づけられる、項目1から3のいずれか1つに記載のシステム。
7.搬送ガスを密閉可能なチャンバ(10)の引込み口ポート(12)から入れ、上記密閉可能なチャンバの中を通し、上記密閉可能なチャンバの引出し口ポート(14)から出し、上記密閉可能なチャンバの引出し口ポートから閉ループ流体回路(16)を回って、上記密閉可能なチャンバの上記引込み口ポートに再循環させる工程と、上記チャンバの上記引込み口ポートから上流の上記再循環する搬送ガスに除染剤蒸気を送達(18)する工程とを含み、
上記チャンバ内の温度、相対湿度、および除染剤蒸気濃度の少なくとも1つをモニターする(44、46、48)こと、蛇行状通路に沿って液体除染剤を加熱蒸発し(18)上記除染剤蒸気を形成すること、(a)蒸発器に入り込む上記搬送ガスの温度および蒸気吸収容量を制御するために、上記蒸発器から上流、(b)上記蛇行状通路沿いの温度勾配、ならびに(c)凝縮を抑制する上昇させた温度で、上記搬送ガスおよび上記除染剤蒸気を維持するために、上記蛇行状通路と上記チャンバとの間、のいずれか少なくとも1つに沿った流体回路の部分を加熱する(60、61、62)こと、を特徴とする、閉ループフロースルー気相除染方法。
8.上記モニターされた、温度、相対湿度、除染剤蒸気濃度に従って、上記除染剤蒸気の送達より上流の上記搬送ガスを選択的に乾燥し(24)上記チャンバ内の上記除染剤蒸気の所定の飽和率を維持することをさらに特徴とする、項目7に記載の方法。
9.上記チャンバ内の圧力をモニター(54)すること、
上記モニターされた圧力に従って、上記閉ループ流体回路(16)から搬送ガスを選択的に導入または除去すること、をさらに特徴とする、項目7および8のいずれかに記載の方法。
10.上記モニタリングに応じて、上記加熱を制御して上記蒸発器の入り口の上流から上記チャンバ引込み口ポート(12)までに、選択された熱プロフィールを確立することをさらに特徴とする、項目7から9のいずれか1つに記載の方法。
11.上記モニター工程の中で、上記搬送ガスの温度(44)および流量(40)をモニターし、上記モニターされた温度および流量に応答して、選択的にヒータを作動すること、
をさらに特徴とする、項目7から10のいずれかに記載の方法。
12.上記加熱手段を制御して、上記蒸発器の上部から下部に選択的な温度勾配を提供することをさらに特徴とする、項目7から11のいずれか1つに記載の方法。
13.引込み口ポート(12)と引出し口ポート(14)とを有する密閉可能なチャンバ(10)と、搬送ガスを上記チャンバ(10)の中に引き入れ、中を通って、外へ再循環させる通路を提供する、上記チャンバ引込み口ポートと流体接続する第1の端部および上記チャンバ引出し口ポートと流体接続する第2の端部を有する閉ループ流体回路(16)と、上記閉ループ流体回路を通ってガスを循環させる手段(22a、22b)と、除染剤蒸気を再循環搬送ガス中に送達する、上記引込み口ポート(12)に隣接した上記流体回路に流体接続された蒸発器(18)とを有し、上記チャンバ(10)内の、温度、相対湿度、除染剤蒸気濃度の少なくとも2つをモニターするモニター(44、46、48)と、上記蒸発器に入る上記再循環ガスを選択的に乾燥させる、上記蒸発器(18)から上流の上記流体回路(16)と流体接続された調節可能な乾燥器(24)と、出力信号を上記モニター(44、46、および48)から受信し、それに応じて上記乾燥器(24)を制御するプロセッサー(42)と、を特徴とする、閉ループフロースルー気相除染システム。
14.搬送ガスを密閉可能なチャンバ(10)の引込み口ポート(12)から入れ、上記密閉可能なチャンバの中を通し、上記密閉可能なチャンバの引出し口ポート(14)から出し、上記密閉可能なチャンバの上記引出し口ポートから閉ループ流体回路(16)を回って、上記密閉可能なチャンバの上記引込み口ポートに再循環させる工程と、上記チャンバ引込み口ポートから上流の上記再循環する搬送ガスに除染剤蒸気を送達する工程(18)とを含み、上記チャンバ内の温度、相対湿度、および除染剤蒸気濃度の少なくとも2つをモニターし(44、46、48)、上記モニターされた温度、相対湿度、および除染剤蒸気濃度に従って、上記除染剤蒸気の送達より上流の上記搬送ガスを選択的に乾燥(24)し、上記チャンバ内の上記除染剤蒸気の所定の飽和率を維持すること、を特徴とする、閉ループフロースルー気相除染方法。
15.引込み口ポート(12)と引出し口ポート(14)とを有する密閉可能なチャンバ(10)と、搬送ガスを上記チャンバ(10)の中に引き入れ、中を通って、外へ再循環させる通路を提供する、上記チャンバ引込み口ポートと流体接続する第1の端部および上記チャンバ引出し口ポートと流体接続する第2の端部を有する閉ループ流体回路(16)と、上記閉ループ流体回路を通ってガスを循環させる手段(22a、22b)と、除染剤蒸気を再循環搬送ガス中に送達する上記引込み口ポート(12)に隣接した上記流体回路に流体接続された蒸発器(18)とを含み、上記搬送ガスの圧力を感知する圧力センサー(54)と、
上記感知された搬送ガスの圧力に変化に応じて、搬送ガス導管から上記搬送ガスを追加および除去する手段と、を特徴とする、閉ループフロースルー気相除染システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の利点の1つは、滅菌効率の向上である。
【0010】
本発明のもう1つの利点は、一貫性の向上と、滅菌の確実さにある。
【0011】
本発明における更なる利点については、当業者が、次に示す好ましい実施態様の詳細な説明を読み、理解することで明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
用語「除染」は、滅菌、殺菌、消毒を含むものとする。本明細書では、好ましい実施態様を説明するために、滅菌について説明する。
【0013】
滅菌剤蒸気は、好ましくは、30〜35重量パーセントの過酸化水素水溶液から発生した過酸化水素を含む。搬送ガスは好ましくは空気を含む。他の圧縮可能な滅菌ガスおよび窒素などの他の不活性搬送ガスも使用され得ることが考えられる。好ましい実施態様を説明する目的で、搬送ガスおよび滅菌剤蒸気を、それぞれ、空気および過酸化水素水溶液から発生した気相過酸化水素について説明する。
【0014】
この方法で、搬送ガスの流れは、密閉可能な滅菌チャンバの中へ連なり、中を通して、外へ連なる閉ループ導管回路内で再循環される。液体滅菌剤は蒸発し、チャンバへ流れ込む搬送ガス内へ送達され、そしてチャンバから出た後に廃棄するのにふさわしい形態へ、即ち、過酸化水素滅菌剤の場合には水と酸素に、変換される。
【0015】
この方法は、チャンバ内温度、相対湿度、および蒸気濃度をモニターすることによって、うまく滅菌を最適にする。搬送ガスは、これらのパラメーターに応答して部分的および選択的のみに乾燥され、滅菌チャンバ内の所定の滅菌剤蒸気飽和率を保つ。飽和率は、滅菌剤蒸気の実際の濃度と露点での濃度との比率で規定される。
【0016】
本発明の方法で、チャンバ内に入り込む搬送ガスの水蒸気濃度が、従来得られた、または望まれていたものより高くなることがある。それでも、優れた殺傷性およびより効率的な滅菌を得ることができる。
【0017】
本発明によってもたらされる改善は、図1および図2を参照することによって理解され得る。図1は、Bacillus sterothermophilus のD値と、1.5 mg/lから3.7 mg/lの過酸化水素蒸気濃度との関係を示している。飽和率は、80%に保たれている。図示するように、濃度が倍のとき、滅菌効率はおよそ2倍(D値は半減)になる。
【0018】
従来の閉フロースルーシステムは、前述の関係を認知し、滅菌チャンバ内へ流れ込む搬送ガス内の滅菌剤蒸気濃度を最大化しようと試みた。しかしながら、搬送ガス中に注入できる滅菌剤の量は、露点の関係で限られている。表1は、(本明細書に参考のために援用する米国特許第4,642,165号で説明されるように)一定の温度と相対湿度の空気が入った封入物中に瞬間蒸発させた35%の過酸化水素の露点濃度を示している。
【0019】

表1:H2O2蒸気の露点濃度
封入物相対湿度
封入物温度 0% 10% 20% 30%
15℃ 1.103 0.903 0.731 0.585
20℃ 1.562 1.284 1.044 0.839
25℃ 2.184 1.805 1.477 1.185
30℃ 3.008 2.497 2.051 1.651
35℃ 4.097 3.410 2.810 2.270
40℃ 5.485 4.599 3.803 3.081

図2は、Bacillus sterothermophilusのD値と1.6mg/lに保たれた過酸化水素蒸気濃度との関係を示している。図示するように、滅菌剤蒸気飽和率が2倍強になるとき、滅菌効率は4倍近く(D値は4からほぼ1)になる。飽和率を濃度から独立して制御することによって、本発明は著しく改善された滅菌を得る。
【0020】
図3から図5も、本発明で得られた改善された結果を示している。図3は、濃度の最大化をねらった従来の滅菌サイクルの典型的な滅菌剤蒸気および飽和率のプロットを示す。図4は本発明の典型的な滅菌剤蒸気および飽和率のプロットを示す。飽和率は、従来の滅菌サイクルの最初半分は70%未満である。本発明では、飽和率は、滅菌サイクルの最初の10分のみが70%未満で、ほとんどのサイクルで約90%である。
【0021】
滅菌サイクルの殺傷性は、滅菌サイクル時間に対する瞬間殺傷率をグラフに表示し、曲線より下の面積を計算することで決定できる。図2のD値ならびに図3および図4の曲線を用いて、従来のシステムおよび本発明のシステムの殺傷率が図5に描かれている。斜交平行線模様の領域は、本発明の著しく改良された殺傷性を表している。
【0022】
ここで、本発明の方法を、図6に示す例示的なシステムをさらに参照して、説明する。図示するように、本発明のフロースルー気相滅菌システムは引込み口ポート12と引出し口ポート14とを有する密閉可能なチャンバ10を含む。導管又は流体回路16は、チャンバのポートと流体接続し、搬送ガスをチャンバ10の中に入れて、中を通して外へ再循環するための閉ループ流路を提供する。
【0023】
システムは、搬送ガス流の中に蒸発した液体滅菌剤を送達するための、液体滅菌剤蒸発装置18も含む。蒸発装置18は、乾燥装置とチャンバの引込み口ポートの間にある導管回路と流体接続されている。液体滅菌剤は蒸発器18に流体接続された噴霧器56において好ましくは霧状にされ、完全蒸発の可能性を高めるために、細粒の霧状で蒸発器に送達される。
【0024】
図7および図8に示すように、好ましくは一定間隔に配置されて減少していくワット量の一連の蒸発器ヒーター60、61、62を用いて、過酸化水素蒸気などの感熱性の蒸気が滅菌剤であるときに蒸発器18の上部から下部への熱勾配を提供する。液体/霧状の滅菌剤のフラッシュ蒸発のほとんどは、蒸発器の蛇行状通路64上部で起こる。液体/蒸気混合物が、蛇行状通路を下降するにつれて、低いワット量のヒーターが蒸発器の中部と下部でより少ない熱を発し、既に形成された蒸気を減損させないように、そして、残留液体を蒸発させるようにする。ヒーターは、一定間隔で配置され、2対を1グループとして制御可能である(60aおよび60b、61aおよび61b、62aおよび62b)のが好ましい。例えば、蒸発器内の空気と蒸気の流量が高いところでは、全てのヒーターが作動し得る。流量が低いときは、ヒーターのいくつかが選択的に停止し得る。
【0025】
加えて、システムは、滅菌剤蒸気を廃棄に適した形態に変換するコンバータ20を有し、コンバータ20は、チャンバの引出し口ポート14の下流の導管回路に流体接続されている。滅菌剤蒸気が過酸化水素であるとき、コンバータ20は、好ましくは過酸化水素を水と酸素に分解する触媒コンバータを含む。
【0026】
システムは、また、それぞれ導管回路に流体接続されている、送風装置22aおよび22bと、調節可能な乾燥装置24を有する。送風装置は、閉ループ流路を回る搬送ガスを押す、または、付勢する働きをする。図7に示し、そして下記に説明するように、システムは、導管回路に流体接続された付加的なチャンバ圧力微調整装置70を有し、それは微量の大気を追加、または、導管回路内の微量の搬送ガスを除去することによって、流路内の圧力を微調整するのに使用され得る。この装置は、好ましくは高流量を有する搬送ガス流が使用されるときに用いられ、封入物の圧力を送風装置の送風機速度を変えずに微調整するのに用いられ得る。
【0027】
少なくとも1つのヒーター58は、乾燥装置24から下流の導管回路に流体接続され、蒸発器18に入り込む搬送ガスの温度を制御する。図7および図9に示すように、好ましくは異なるワット量の、少なくとも2つのヒーター58aおよび58bで、一連に流体接続されたものが設けられている。ヒーターは、流動センサー40によって感知される搬送ガス流量、および蒸発器内の既知の滅菌剤注入率に基づいて、処理装置42によって、独立して制御可能である(以下に記載する)。故に、ヒーターは、搬送ガスを所望の温度に予め加熱するために選択的に作動できる。例えば、低流量状態(20 SCFM未満)および/または低注入率では、低いワット量のヒーターが選択的に作動される。中位の流量状態(20−40 SCFM)および/または、注入率では、より高いワット量のヒーターが選択的に使用され得る。さらに高い流量状態(40−70 SCFM)では、高ワット量のヒーターと低ワット量のヒーターとの組み合わせが選択的に使用され得る。ヒーターはさらに、搬送ガスの望ましい温度を維持するために、温度センサー44で感知された温度に応答して、プロセッサーによってONおよびOFFのパルス入力がされ得る。
【0028】
調節可能な乾燥装置24は、チャンバに入る搬送ガス流から選択的に湿気を除去する働きをする。乾燥装置は、好ましくは、第1の流路A−Bと第2の流路B−Cとを有する可変バルブ26、および引込み口ポート30と引出し口ポート32とを有する再生式空気乾燥器28を有する。空気乾燥器28は、可変バルブ26の下流に設置される。第1の流体流動ライン34は第1の流路を乾燥器引込み口ポート30に接続し、第2の流体流動ライン36は、乾燥器28をバイパスして、乾燥装置の下流の導管回路と接続する。第1および第2のバルブ流路内の流動量を変化させることにより、搬送ガス流の選択された部分が乾燥器28をバイパスするための経路を定められる。あるいは、乾燥器28による乾燥率、例えば、水蒸気の凝縮は、直接調整され得る。このように、搬送ガスの湿度は、滅菌サイクルが進むときのチャンバ内の滅菌剤蒸気を所定の飽和率に維持するために、調節または調整することができる(すなわち、搬送ガスは選択的に乾燥することができる。)
第1の湿度センサー50は、コンバータ20から出ていく空気流の絶対湿度を測定するために、コンバータ20の下流に設置される。第2の湿度センサー52は、空気乾燥器28から出ていく空気流の絶対湿度を測定するために、空気乾燥器28の下流に設置される。例えば、コンバータを出ていく空気流の湿度が11.5mg/l、そして、空気乾燥器がその内部を通る空気流の湿度を2.3mg/lに減少させると仮定すると、蒸発器に入っていく空気流の湿度は、表2に報告されるように計算することができる。
【0029】

表2
迂回留分 乾燥留分 空気流絶対湿度
(湿度センサー52測定値)
0 1.0 2.3 mg/l
.1 .9 3.22
.2 .8 4.14
.3 .7 5.06
.4 .6 5.98
.5 .5 6.9
.6 .4 7.82
.7 .3 8.74
.8 .2 9.66
.9 .1 10.58
1.0 0 11.5
mg/l

送風装置は、好ましくは、乾燥装置の上流に設置された第1の送風機22aおよび、下流に設置された第2の送風機22bを有する。さらに好ましくは、送風機は、流動センサー38および40からのフィードバックに基づいて調節可能で、圧力トランスデューサ54でモニターされている滅菌チャンバ10内に若干正圧または負圧を加える。
【0030】
図7に示す、チャンバ圧力微調整装置70は、好ましくは、送風機22aの上流に設置され、導管回路を二方向バルブ74と三方向バルブ76を経由して大気に流体接続する空気ライン72を有する。三方向バルブ76は、ポンプ78と流体接続する。圧力調節装置が使用されていないとき、バルブ74は閉じ、バルブ76は、導管回路内の搬送ガス流を止めるべく、トグルで留められる。搬送ガス流路から微量の搬送ガスを取り除く際、ポンプ78が少量の空気をプロセス空気流から引き抜く。搬送ガス流に微量の大気を加える際、バルブ76が閉じ、バルブ74が瞬間的に開く。追加および除去プロセスは、望ましい封入物圧力の点に達するまで交互に続けられ得、到達した時点で、圧力微調整装置が作動を停止する。装置の作動または停止は、少なくとも圧力センサー54からのフィードバックに基づいてプロセッサー制御されている。
【0031】
さらに、システムは、滅菌中に滅菌チャンバ内の次の三つのパラメーター1)温度、2)相対湿度、および3)滅菌剤蒸気濃度、をモニターするための処理装置42を有する。処理装置はさらに、これら三つのパラメーターに応答して、搬送ガスの乾燥率を決定または選択し、滅菌中の所定の滅菌剤蒸気飽和率を維持する。
【0032】
処理装置は、チャンバ10内に設置され、チャンバ内温度、相対湿度、および蒸気濃度を直接モニターする、温度センサー44、相対湿度センサー46、および蒸気濃度センサー48を有し得る。あるいは、処理装置は、これらのパラメーターを間接的にモニターする手段を有し得る。蒸気濃度は、測定された空気流量と、滅菌剤蒸気の注入率に基づいた計算によって間接的にモニターすることができる。相対湿度は、コンバータの下流に設置され、退出空気流の絶対湿度を測定する湿度センサー50を使用して、間接的にモニターすることができる。バックグラウンド湿度は、その値から減算される。標準水蒸気露点表を調べて、異なるチャンバ温度の相対湿度をわりだす。
【0033】
本発明の好ましい実施態様を、35%過酸化水素水溶液をフラッシュ蒸発させた以下の実施例でさらに説明する。
【実施例1】
【0034】
チャンバ温度は35℃、相対湿度は20%、滅菌剤蒸気濃度は、2.27mg/lである。表1または、その他に利用可能な露点濃度表を参照すれば、滅菌剤の露点濃度は2.810mg/lと示されている。飽和率は、故に80%である。
【0035】
本発明によると、チャンバに流れ込む搬送ガスの湿度は、可変バルブを配置し直して、封入物の相対湿度が30%になるようにさらに大きな空気留分をバイパスさせ、調節される。露点濃度表によると、露点濃度は現在2.27mg/lである。そうすれば飽和率が100%になる。
【実施例2】
【0036】
チャンバ温度は40℃、そして、空気流量と滅菌剤送達率に基づいて計算された滅菌剤蒸気濃度は3.081mg/lである。湿度センサー50は、帰還空気流の絶対湿度が15.94mg/lであると示している。フラッシュ蒸発された滅菌剤について、水溶液が10.22mg/lの湿度、すなわち(65/35)×3.081mg/lに寄与している。この値を、絶対湿度から引くと、15.94−5.72mg/l=10.22mg/lのバックグラウンド湿度という結果となる。露点表を参照すると、40℃において、これは20%の相対湿度になる。40℃および20%の相対湿度において、滅菌剤蒸気露点濃度は3.803mg/lである。これは、計算された飽和率が81%であることを意味する。
【0037】
可変バルブが配置し直され、空気乾燥器の回りに空気流のさらに大きな留分をバイパスする。帰還空気流のバックグラウンド湿度は、表1によると、40℃で3.081 mg/lの過酸化水素蒸気濃度の露点状態で、30%である。30%のバックグラウンド相対湿度に対応する絶対湿度は、次の様にわかる。
【0038】
AH = (65/35)×3.081mg/l+15.35mg/l=21.08mg/l.新しい絶対湿度のために上記の計算を繰り返すと、飽和率は100%であると示される。よって、搬送ガスの湿度を20%から30%に増やすことによって、チャンバ内は100%滅菌に達し、滅菌を大いに改善する。
【実施例3】
【0039】
送風機22bは、流動センサー40からのフィードバックに基づき調節され、50 CFMの空気流量を提供する。送風機22bは、それよりも低い空気流量を提供する様に調節される。圧力トランスデューサ54からの測定値に基づいて、送風機22aの回転速度を増加(または、減少)させる。よって、若干正の(WCで0.2£P£WCで2)圧力は、望まれる空気流量、滅菌剤蒸気濃度、および飽和率を保ちつつ、半密閉の封入物中で保たれる。
【実施例4】
【0040】
送風機22aは、流動センサー38からのフィードバックに基づいて調節され、50 CFMの空気流量を提供する。送風機22bは、それよりも低い空気流量を提供するように調節される。送風機の回転速度は、圧力トランスデューサ54からの測定値に基づいて増加(または、減少)される。よって、若干負の(WCで02£P£WCで−0.13)圧力が、望まれる空気流量、滅菌剤蒸気濃度、および飽和率を保ちつつ、半密閉の封入物中で保たれる。
【0041】
好ましい実施態様は、よって説明され、本発明の請求項される
【0042】
(要約)
蒸発器(18)は、液体過酸化水素またはその他の液体滅菌剤を蒸発させて除染剤蒸気を生成する。ヒータ(60、61、62)は、除染剤蒸気および、空気など搬送ガスの温度を制御する。滅菌剤蒸気は、蒸発器から、密閉可能なチャンバ(10)の引込み口ポート(12)を通り、チャンバ内を通って、引出し口ポート(14)を通り、引出し口ポートから流体回路(16)を通って、引込み口ポートに戻る。コンバータ(20)は、過酸化水素を水に分解する。送風機(22a、22b)は、搬送ガスを流体回路内で循環させる。モニター(44、46、48、54)は、チャンバ内の温度、相対湿度、蒸気濃度、および圧力をモニターする。プロセッサー(42)は、空気を追加または除去して圧力を調節する圧力微調整装置(70)を制御し、モニターされた温度、相対湿度および蒸気濃度に従って、調節可能な乾燥器(24)を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明は、様々な構成要素および構成要素の配置、および、様々な工程および工程の組合せで具体化し得る。図面は、好適実施態様を例証することのみを目的とし、発明を限定するものではない。
【図1】図1は、過酸化水素濃度範囲の例示的なD値を示すグラフである。
【図2】図2は、過酸化水素飽和率範囲の例示的なD値を示すグラフである。
【図3】図3は、所定の滅菌剤蒸気濃度を保つ従来の閉フロースルー滅菌方法における、滅菌サイクル中の滅菌剤濃度および滅菌剤飽和率を示すグラフである。
【図4】図4は、所定の滅菌剤蒸気飽和率を保つ本発明の滅菌方法における、滅菌サイクル中の滅菌剤濃度および滅菌剤飽和率を示すグラフである。
【図5】図5は、滅菌サイクル中のバクテリア殺傷率を図3および図4の滅菌方法で比較したグラフである。
【図6】図6は、本発明の連続操作閉ループフロースルーシステムの1つの実施態様の概略図である。
【図7】図7は、本発明の連続操作閉ループフロースルーシステムのもう1つの実施態様の概略図である。
【図8】図8は、蒸発器ヒーターを含む液状除染剤蒸発器の概略図である。
【図9】図9は、一連の搬送ガスプレヒーターを概略的に示す図7および図8の切断図である。
【符号の説明】
【0044】
10 チャンバ
12 引込み口ポート
14 引出し口ポート
16 流体回路
18 蒸発器
20 コンバータ
22a、22b 送風機
24 乾燥器
42 プロセッサー
44、46、48、54 モニター
60、61、62 ヒーター
70 圧力微調整装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引込み口ポート(12)と引出し口ポート(14)とを有する密閉可能なチャンバ(10)と、該チャンバの引出し口ポートと流体接続して搬送ガスを該チャンバ(10)の中に引き入れ、中を通って、外へ再循環させる通路を提供する第1の端部を有する閉ループ流体回路(16)と、該閉ループ流体回路を通ってガスを循環させる手段(22a、22b)と、除染剤蒸気を再循環搬送ガス中に送達する該引込み口ポート(12)に隣接して該流体回路に流体接続された蒸発器(18)とを有し、
該チャンバ(10)内の、温度、相対湿度および除染剤蒸気濃度の少なくとも1つをモニターするモニター(44、46、48)であって、ここで、該チャンバ中の相対湿度または除染剤蒸気濃度の少なくとも1つがモニターされるとき、残りのパラメーターが該チャンバの外側で間接的にモニターされるモニターと、
搬送ガス受け入れ口と該密閉可能なチャンバの該引込み口ポートとの間に蛇行状内部通路を有する該蒸発器と、
(a)該蒸発器入り口の上流、(b)該蛇行状通路沿いおよび外部、ならびに(c)該蒸発器と該チャンバの間、の少なくとも1つに配置された加熱手段(60、61、62)と、
該モニター(44、46、48)から出力信号を受信し、該出力信号に従って該加熱手段(60、61、62)を制御して、該除染剤蒸気および該搬送ガスの少なくとも温度を制御するプロセッサー(42)と、
を特徴とする、閉ループフロースルー気相除染システム。
【請求項2】
前記蒸発器に入る前記再循環ガスを選択された湿度まで乾燥するための該蒸発器(18)から上流の前記流体回路(16)と流体接続された調節可能な乾燥器(24)によってさらに特徴づけられる、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
流体ループと搬送ガスの外部源との間に流体接続されたライン(72)と、
搬送ガスが中を通る通路を制御するための、該ラインと接続されたバルブ(76)と、
チャンバ内圧力をモニターするモニター(54)と、
該モニターされた圧力に従って前記流体回路(16)から選択的に搬送ガスを追加および除去するための、該モニターされたチャンバ圧力に従って該バルブ(76)をさらに制御する前記プロセッサー(42)とによってさらに特徴づけられる請求項およびのいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記蒸発器の上流に位置づけられ、該蒸発器に入り込む前記搬送ガスの温度および蒸気吸収容量を調節する前記加熱手段によってさらに特徴づけられる、請求項からのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
前記蒸発器の下流に位置づけられ、該蒸発器と前記チャンバとの間の前記搬送ガスおよび蒸気の温度を維持し、蒸気凝縮を防ぐ前記加熱手段によってさらに特徴づけられる、請求項からのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
前記加熱手段を制御して、前記蒸発器の上部から下部にわたって所定の温度勾配を提供する前記プロセッサーによってさらに特徴づけられる、請求項からのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
搬送ガスを密閉可能なチャンバ(10)の引込み口ポート(12)から入れ、該密閉可能なチャンバの中を通し、該密閉可能なチャンバの引出し口ポート(14)から出し、該密閉可能なチャンバの引出し口ポートから閉ループ流体回路(16)を回って、該密閉可能なチャンバの該引込み口ポートに再循環させる工程と、該チャンバの該引込み口ポートから上流の該再循環する搬送ガスに除染剤蒸気を送達(18)する工程とを含み、
該チャンバ内の温度、相対湿度および除染剤蒸気濃度の少なくとも1つをモニターする(44、46、48)ことであってここで、該チャンバ中の相対湿度または除染剤蒸気濃度の少なくとも1つがモニターされるとき、残りのパラメーターが該チャンバの外側で間接的にモニターされ、
蛇行状通路に沿って液体除染剤を加熱蒸発し(18)該除染剤蒸気を形成すること、
(a)蒸発器に入り込む該搬送ガスの温度および蒸気吸収容量を制御するために、該蒸発器から上流、(b)該蛇行状通路沿いの温度勾配、ならびに(c)凝縮を抑制する上昇させた温度で、該搬送ガスおよび該除染剤蒸気を維持するために、該蛇行状通路と該チャンバとの間、のいずれか少なくとも1つに沿った流体回路の部分を加熱する(60、61、62)こと、
を特徴とする、閉ループフロースルー気相除染方法。
【請求項8】
前記モニターされた、温度、相対湿度、除染剤蒸気濃度に従って、前記除染剤蒸気の送達より上流の前記搬送ガスを選択的に乾燥し(24)前記チャンバ内の該除染剤蒸気の所定の飽和率を維持することをさらに特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記チャンバ内の圧力をモニター(54)すること、
該モニターされた圧力に従って、前記閉ループ流体回路(16)から搬送ガスを選択的に導入または除去すること、
をさらに特徴とする、請求項およびのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記モニタリングに応じて、前記加熱を制御して前記蒸発器の入り口の上流から前記チャンバ引込み口ポート(12)までに、選択された熱プロフィールを確立することをさらに特徴とする、請求項からのいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記モニター工程の中で、前記搬送ガスの温度(44)および流量(40)をモニターし、
該モニターされた温度および流量に応答して、選択的にヒータを作動すること、
をさらに特徴とする、請求項から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記加熱手段を制御して、前記蒸発器の上部から下部に選択的な温度勾配を提供することをさらに特徴とする、請求項から11のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−283148(P2007−283148A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207283(P2007−207283)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【分割の表示】特願平10−501880の分割
【原出願日】平成9年6月13日(1997.6.13)
【出願人】(302044247)アメリカン ステリライザー カンパニー (24)
【Fターム(参考)】