説明

連続溶融メッキラインのメッキ槽ロール軸受部装置

本発明は鋼板の溶融金属メッキ槽に浸漬され移送鋼板を支持する安定化ロールのようなメッキ槽ロールを提供する。
鋼板の溶融金属(溶融亜鉛)メッキ時、メッキ槽(亜鉛メッキ槽)に浸漬されるメッキ槽ロール軸受部装置であって、スリーブが上記メッキ槽ロールの軸に結合される。ブッシュハウジングは上記スリーブを支えるブッシュが内部に固定され湾曲外曲面を備える。またブッシュハウジング固定リングが上記メッキ槽ロールのリグと連携設置される固定リングハウジングの内部の両側に固定される。上記それぞれのブッシュハウジング固定リングはブッシュハウジングを両側で支持しながら上記ブッシュハウジングの湾曲外曲面と面接触する湾曲内曲面を備える。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋼板の溶融金属メッキ槽に浸漬され移送鋼板を支持する安定化ロール(stabilizing roll)のようなメッキ槽ロールに関するもので、さらに詳しくは、ロール軸受部の部品間の局部摩耗などによる軸受部の振れなどを効果的に防ぐことにより、鋼板メッキの高速操業を可能とする一方、ロールの連続使用期間を延長させることは勿論、鋼板のメッキ品質を向上させる連続溶融メッキラインのメッキ槽ロール軸受部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属鋼板の表面に第2の他の金属層をメッキする場合、電気化学的処理法を用いたメッキ法や、または、メッキしようとする第2金属が溶融されているメッキ槽(Zinc Pot)内に鋼板が浸漬されてメッキされる溶融メッキ槽を用いたメッキ法を主に使用する。
【0003】
ところが、代表的な溶融金属メッキ形態の一つが鋼板の表面に亜鉛をメッキするために溶融亜鉛を満たしたメッキ槽を鋼板が通過しながら表面に亜鉛をメッキする亜鉛メッキ鋼板のメッキ形態である。
【0004】
特に、鋼板を連続的にメッキ槽を通過させ鋼板の表面に連続的にメッキする設備を連続溶融メッキライン(Continuous Galvanizing Line、CGL)という。
【0005】
溶融亜鉛メッキ鋼板は初期には殆ど建資材として使用されてきたが、最近は厳しい加工条件でも耐えられる溶融亜鉛メッキ鋼板の大量生産が可能になることにより、その用途が各種の家電製品または自動車用素材に幅広く拡大れている。
【0006】
従って、表面品質が重要な家電製品または自動車用素材にまでその使用範囲が広くなることにより、メッキ鋼板を用いた素材の表面光沢、耐食性、溶接性または塗装性などの品質向上のための鋼板のメッキ品質に対する基準が徐々に高くなる実情にある。
【0007】
図1では溶融亜鉛連続メッキライン(CGL)のメッキ槽とその内部設備を図示している。
【0008】
即ち、図1に図示した通り、鋼板200が緩み装置(未図示)から連続的に供給され、加熱炉(未図示)及びこれに連結されメッキ槽220の湯面の下に浸漬されたスナウト210を通して溶融亜鉛222が満たされたメッキ槽220に導入される。
【0009】
そして、メッキ槽220内に浸漬されたメッキ槽ロール、即ちシンクロール230とその直上部の安定化ロール240により鋼板200はそのパスラインがメッキ槽の直上部に垂直に変わることにより連続移送される。
【0010】
即ち、メッキ槽220内に満たされた溶融金属222、例えば、溶融 亜鉛が鋼板200の表面に付着してメッキされる。
【0011】
この際、シンクロール230を通過した鋼板200は、その直上部の一対の安定化ロール240の間を通過することで安定化ロールの作動により鋼板はその反りが矯正される。
【0012】
そして、矯正された鋼板200はメッキ槽の湯面の直上部に配置された一対のエアナイフ250の間を通過することにより溶融亜鉛の鋼板付着量が調節される。
【0013】
その後、鋼板は冷却固形化され巻取装置(未図示)を通してコイル形態に巻取される。
【0014】
従って、図1のシンクロール230と安定化ロール240は、メッキ槽内の溶融金属(溶融亜鉛)に浸漬されるロールで、鋼板200のパスラインを案内したり、または鋼板が高温のメッキ槽内に浸漬された後湯面の上に排出されるときに発生する鋼板の反りを矯正する役割をする。例えば、図1で加熱炉と連結されメッキ槽の湯面に浸漬された密閉管形態のスナウト210を通過した鋼板200は、シンクロール230によってその進行方向が転換され垂直に上部に進行し、シンクロール230の直上部に配置された一対の安定化ロール240はその間を通過する移送鋼板200の前後表面を圧迫する。
【0015】
従って、このようなシンクロール230と安定化ロール240は高温状態の鋼板200の反り、歪み、反曲または振動(振れ)などを抑制する。
【0016】
しかし、通常高温の溶融亜鉛が満たされたメッキ槽220に浸漬された状態で駆動されるメッキ槽ロール(シンクロール230と安定化ロール240)は通常の常温で駆動される駆動ロールとは異なり、略450℃〜460℃程度の高温溶融亜鉛液体内で作動することとなる。
【0017】
そして、このようなメッキ槽ロールは別途の駆動源が連携されていなく、無動力状態で鋼板と接触しながら鋼板が移送される移送力により回転することとなる。従って、通過する鋼板200の厚さと幅によって張力の負荷は異なって作用する。
【0018】
一方、図1においてシンクロール230と冷却帯の上部に位置した偏向ロール(図示せず)の間の間隔は50m−60m程度であるため、この区間では鋼板の張力の損失や移送の精密性が劣るため鋼板の振動(振れ)が激しく発生する。
【0019】
従って、シンクロール230の直上部に設置される安定化ロール240は、メッキ鋼板が移送する時の振動(振れ)現象と反曲などの形状の変形を矯正する重要な役割をする。
【0020】
ところで、現在の製鉄工場で生産する鋼板の厚さは0.4〜2.3mm程度で、幅は800mm〜1860mm程度と多様であるため、一対の安定化ロール240の一つ(図1の左側)は固定型で設置され、もう一つ(図1の右側)は移動型で設置される。
【0021】
例えば、図2に図示した通り、安定化ロールの一側240aはリグ250上に固定型で設置され、他側240bは油圧シリンダー、駆動モータなどの駆動源により前後移動する移動アーム260と連携されて鋼板の厚さや幅などに対応して適切に鋼板を矯正するようリグ上に設置される。
【0022】
また、リグ(ハウジング)250の下部にはシンクロール230が連携設置される。
【0023】
従って、リグ250と一体にロール230、240a、240bのメッキ槽の導入や取出が行われる。
【0024】
しかし、図1及び図2に図示した通り、メッキ槽ロールのうち特に、シンクロールより直径が小さくて長さの長い安定化ロールは450℃以上の高温の溶融金属222に浸漬された状態で回転するため、支持する鋼板200の張力により曲げ変形を受けることとなりロール軸の中心線が傾く現象が発生する。
【0025】
例えば、図3ではメッキ槽に浸漬された状態で作動する安定化ロール240の実際荷重の分布を分析したものを模式図で図示している。
【0026】
図3に図示した通り、直径が50〜70mmの軸を使用する安定化ロールで鋼板張力に影響を受ける前にはC1のロール軸中心線を維持するが、鋼板の張力に影響を受けるとC2のロール軸中心線にそのロール軸の中心線が傾くことが分かる。
【0027】
次に、図4では連続溶融メッキラインのメッキ槽ロール、特に従来の安定化ロール240とその軸受部を図示している。
【0028】
即ち、図4に図示した通り、ロール軸241に固定されたスリーブ242を支持する軸受部のブッシュ243が固定型のブッシュハウジング244により固定され、この固定型ブッシュハウジング244は先に説明したリグ250と連携されたフレーム245に固定されている。
【0029】
従って、図3及び図4に図示した通り、従来のメッキ槽の安定化ロール240の場合には、鋼板張力による曲げ変形により中心線が傾こうとする力を持続的に受けるが、実際のロール軸受部ではその中心線の傾きを補償することが出来なかった。
【0030】
例えば、図4で固定型ブッシュハウジング244にブッシュ243が一体で合体した構造であるため、ロール軸241のスリーブ242がブッシュ243に局部接触してしまい容易に挟まれるようになる。
【0031】
従って、ロール軸の回転時にスリーブとブッシュとの局部摩擦が増加して結局はロール軸と共にロール自体の回転が円滑にならない。
【0032】
そして、ロール軸241の回転が円滑ではないと、メッキ槽内で安定化ロール240の表面とこれに接触する鋼板200との間では滑りが発生する。
【0033】
結果として、このような鋼板とロールとの間の滑りは鋼板の表面欠陥を引き起こす。
【0034】
そして、シンクロールや安定化ロールのようなメッキ槽ロールは、別途の駆動源無しで溶融金属が充填されたメッキ槽220内で鋼板とロール表面との摩擦力だけで回転するため、上記安定化ロールの回転時に溶融金属の粘性抵抗摩擦力やロール軸受部の滑り摩擦力によりロールの回転力を低下させる。
【0035】
通常、粘性抵抗及び滑り摩擦力は相互物体の相対速度の増加により増加することとなる。従って、メッキ槽浸漬ロールの回転は鋼板とロール表面との摩擦力が粘性抵抗摩擦力と軸受部摩擦力の和より大きい場合にのみ可能である。
【0036】
しかし、製鉄工場の実際操業ラインで溶融メッキ鋼板の生産速度(操業速度)を高めるために鋼板200のメッキ槽通過速度を高めると、先に説明したように抵抗摩擦力が回転力より大きくなり、ロールと鋼板との滑りが発生した。即ち、実際の操業ラインでメッキされる鋼板の進行速度を高めることは容易ではない。
【0037】
従って、メッキ槽ロールにおいて、図3のようにロールの曲げ変形を補償して軸スリーブとブッシュとの局部接触が発生しないようにすることが重要となった。
【0038】
一方、別途の図面により図示してはいないが、このような通常のメッキ槽ロールから発生する問題を解決した従来の他のメッキ槽ロールの軸受部が特許文献1に開示されている。
【0039】
例えば、別途の図面により図示してはいないが、上記米国特許の図6では溶解槽ロールが開示され、ロール軸に嵌め込み結合されたスリーブが固定され、球形外曲面(spherical annular covex surface)を備えるリテーナの左側外曲面が流動可能に支持される円錐形内曲面(frusto−conical concave annular bearing shoulder)を備え、ハウジングで支持されるスリーブと、上記リテーナの右側外曲面が流動可能に支持される円錐形内曲面(annular concave frusto−conical surface)を備え、スリーブで固定されるベアリングリングで構成されている。
【0040】
従って、上記米国特許のメッキ槽ロールはリテーナの球形外曲面がスリーブの円錐形内曲面とは点接触(円錐形の内曲面により)するため、実質的にリテーナとスリーブの点接触部位に集中荷重が発生し、これにより局部的な変形が発生する。
【0041】
そして、リテーナとスリーブとの間で発生する滑り摩擦により局部摩耗が発生し、局部摩耗はロールの回転時に振れを加重させるという問題点があった。
【0042】
【特許文献1】米国特許5,549,393号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
本発明は、上記のような従来の問題点を改善するため案出されたもので、その目的は、長時間の使用にも偏有隔や偏心回転が防止されロール軸の振れによる鋼板振動を抑制し、メッキ鋼板の高速運転にも正常のメッキを可能とするメッキ槽ロール軸受部装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0044】
上記の目的を達成するための技術的な側面として本発明は、メッキ槽ロールの軸に結合されるスリーブと、上記スリーブを支えるブッシュが内部固定され湾曲外曲面を備えるブッシュハウジングと、上記ブッシュハウジングを両側で支持しながら上記ブッシュハウジングの湾曲外曲面と面接触する湾曲内曲面を備え、メッキ槽ロールのリグと連携設置される固定リングハウジングの内部の両側に固定されるブッシュハウジング固定リングとを含んで構成された連続溶融メッキラインのメッキ槽ロール軸受部装置を提供する。
【0045】
好ましくは、上記ブッシュハウジングの湾曲外曲面は凸球面に形成され、上記ブッシュハウジング固定リングの湾曲内曲面は上記ブッシュハウジングの凸球面と面接触が可能であるよう凹球面に形成される。
【0046】
好ましくは、上記ブッシュを固定するよう上記ブッシュハウジングの一側に結合されるブッシュハウジングリングをさらに含む。
【0047】
さらに好ましくは、上記ブッシュハウジングリングと上記ブッシュハウジングリングに近接したブッシュとの間に挿入される緩衝フィルムをさらに含む。
【0048】
上記固定リングハウジングとブッシュハウジング固定リングの両側に配置されて固定される内外部固定リングとシェルハウジングをさらに含み、上記シェルハウジングはメッキ槽ロールのリグと連結固定される。
【0049】
好ましくは、上記内部固定リングとシェルハウジング及び、上記外部固定リングとシェルハウジングとの間に溶融金属の浸透を遮断するよう挿入されるガスケットをさらに含むことが出来る。
【0050】
上記固定リングハウジングに設けられ上記ブッシュハウジングの回転を防ぐよう上記ブッシュハウジングのピンホールに挿入される固定ピンをさらに含むことが出来る。
【0051】
また、上記ブッシュハウジングの端部で上記ブッシュハウジング固定リングの間に溶融金属の内部浸透を遮断するよう覆われる第1、2カバー部材をさらに含む。
【0052】
好ましくは、上記第1カバー部材は上記ブッシュハウジングに固定される内径部と、上記ブッシュハウジングリングと内部固定リングとの間に固定される外径部とを備え、上記第2カバー部材は反対側のブッシュハウジング固定リングに固定される内径部と、上記ブッシュハウジング固定リングと外部固定リングとの間に固定される外径部とを備える。
【0053】
好ましくは、上記ブッシュは上記スリーブ潤滑膜を形成するよう内側面に形成される溝を備える。
【0054】
ここで、上記メッキ槽ロールはメッキ槽シンクロールを通過する鋼板をエアナイフの下部で支持する安定化ロールで構成されることが出来る。
【発明の効果】
【0055】
本発明のメッキ槽ロール軸受部装置によると次のような優れた効果を提供する。
【0056】
先ず、メッキ槽ロールの回転速度がさらに拡張されメッキ鋼板の生産性を向上させる。
【0057】
そして、ブッシュとスリーブが操業中に面接触を維持し局部摩耗が発生せず、接触面全体に接触力が分散して摩耗が減少するため、摩耗の深さを相対的に減少させる。
【0058】
従って、長時間の使用にも局部的な摩耗の進展が減少してブッシュとスリーブとの間の初期有隔が維持されることにより、ロールの偏心回転による鋼板の振動が減少し、結果としてメッキの品質を非常に向上させる。
【0059】
また、ロールのリグなどのフレームの振動が小さくなり長期の操業時にも良好な操業条件を維持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、添付の図面により本発明を詳しく説明する。
【0061】
先ず、図5乃至図7では、本発明による連続溶融メッキライン(CGL)のメッキ槽ロール、特に、安定化ロールの軸回転が可能であるよう支持する軸受部装置1を図示している。
【0062】
即ち、このような本発明のメッキ槽ロール軸受部装置1は、図5及び図6に図示した通り、ロールの軸112に結合されたスリーブ(sleeve)10と、スリーブ10を支えるブッシュ(bush)20が内部固定され湾曲外曲面32を備えるブッシュハウジング(bush housing)30と、ブッシュハウジング30を両側で支持し上記ブッシュハウジング外曲面と面接触する湾曲内曲面42を備え、メッキ槽ロールのリグと連携設置される固定リングハウジング(fixed ring housing)50の内部の両側に固定されるブッシュハウジング固定リング(bush housing fixed rings)40とを含んで構成されている。
【0063】
従って、本発明のメッキ槽ロール軸受部装置1の特徴は、ロール軸112が嵌め込み結合されるスリーブ10を支えるブッシュ20が内径部に嵌められるブッシュハウジング30の外曲面を、図6のように中央が膨らむようになった凸球形の外曲面32に形成し、これに接するブッシュハウジング固定リング40は、ブッシュハウジング30の球形外曲面32と、従来とは異なって、球形の曲面にロール軸の中心変形が発生しても面接触するようにする凹球形の湾曲内曲面42を備えることにある。
【0064】
即ち、図7に図示した通り、本発明のメッキ槽ロール軸受部装置1は、図3のような高温の溶融亜鉛が充填されたメッキ槽内で鋼板の張力により曲げ変形が発生する場合、ブッシュハウジング30の球形外曲面32がブッシュハウジング固定リング40の球形内曲面と面接触した状態で相互曲面状に接触流動することにその特徴がある。
【0065】
従って、図3のように、ロール軸の中心線がC1からC2に変更する場合にもロール軸スリーブとブッシュとの間の局部集中的な摩擦が発生せず、摩耗が接触面の全体部分に渡って均一に発生して従来の軸受部で最も問題とされる偏摩耗発生を抑制させる。
【0066】
この際、図6及び図7に図示した通り、ブッシュハウジング30の外曲面32は凸球面に形成され、ブッシュハウジング固定リング40の内曲面は上記外曲面との面接触が可能であるよう凹球面に形成されることが摩擦抵抗などを考えたとき最も好ましい。
【0067】
結局、本発明でブッシュハウジング30の外曲面32と一対のブッシュハウジング固定リング40の内曲面42が、従来の溶解槽ロールが点接触することとは異なって、完全に面接触するため局部摩耗が発生せず摩耗されても面全体に渡って発生するため局部摩耗によるロールの振れ(振動)の発生を減少させる。
【0068】
このような本発明のメッキ槽ロール軸受部装置1は、ロールの軸中心の変形による軸の嵌め込みによる抑制トルクの増加を減少させるために、ロールの中心線と軸を支持するブッシュの中心線が常に一致して維持できるようにする。
【0069】
また、図5及び図6に図示した通り、ブッシュハウジングリング34と上記ブッシュハウジングリングに近接したブッシュとの間には緩衝フィルム(図示せず)が介在することが好ましい。
【0070】
このような緩衝フィルムは、耐摩耗性は高いが衝撃には多少弱い上記ブッシュを熱変形や衝撃荷重から保護する。
【0071】
また、図5及び図6に図示した通り、固定リングハウジング50とその 内側に両側に固定されるブッシュハウジング固定リング40は、両側に付着されて囲われる内外部固定リング(inner and outer fixed rings)60、60’とシェルハウジング(shell housing)70により固定され、シェルハウジング70はメッキ槽浸漬ロールのリグ(図2の250)と連携されている。
【0072】
そして、図6に図示した固定リングハウジング50の外面に略4つが一定の間隔で加工された凹んだ加工面50aは、シェルハウジング70との組み立てのための組立面である。
【0073】
一方、図6に図示した通り、内部固定リング60とシェルハウジング70及び、外部固定リング60’とシェルハウジングとの間にはガスケット(gaskets)Gが介在されることが好ましい。このようなガスケットは溶融金属の浸透を遮断する。
【0074】
例えば、上記ガスケットGは複数の固定リングとハウジングとの間に溶融金属が浸透することを防ぎ、軸受部装置の再使用のための常温での分解及び再組立を容易にする。
【0075】
また、図5及び図6に図示した通り、固定リングハウジング50に設置されブッシュハウジング30に挿入されてブッシュハウジングの回転を防ぐ固定ピン80をさらに備えることが好ましい。
【0076】
即ち、固定ピン80は図6のようにブッシュハウジングの外曲面の中央部分に形成されたピンホール30aに挿入支持される。
【0077】
従って、このような固定ピン80はブッシュハウジング30とブッシュハウジング固定リング40との間の滑りによる摩耗を防ぐ。
【0078】
例えば、米国特許で開示された従来の場合には、このような固定ピン構造が無いため、実質的にブッシュを固定するハウジングとこれを固定するリテーナとの間の滑り現象が発生しやすい。
【0079】
即ち、図5においてロール軸112が回転するとき、ブッシュ20とスリーブ10の摩擦により一体で構成されたブッシュとブッシュハウジングがロール軸に沿って回転すると、ブッシュハウジング30の曲面とブッシュハウジング固定リング40の曲面との滑り摩耗が発生し、このような摩耗が進展して有隔が拡大すると、ブッシュの振動が誘発される。
【0080】
従って、ブッシュハウジングの回転を防ぐためブッシュハウジング30にピンホール30a(図7)を形成させ固定ピン80を設置することが好ましい。
【0081】
一方、このような固定ピン80はブッシュハウジングを拘束して一定範囲(例えば2−3°)を外れる回転を防ぐ。
【0082】
従って、ブッシュハウジング(ブロック)が定められた位置の一定範囲内に拘束されているため、軸との摩耗部分が限定的に維持され一回の作業を終えた後ブッシュハウジングの設置角度を変えて設置すると、新しいブッシュの内面を使用することが可能となり少なくとも4回ほどの再使用が可能となる。
【0083】
即ち、図7のようにロール軸の軸中心の変形(C1−>C2)によるスリーブ10とブッシュ20との接触部位が制限され、固定ピンとピンホールの位置をブッシュハウジングの組立時に調整すると、軸の変形時にブッシュとスリーブの接触部位が可変してブッシュの使用期間を延長することが可能となる。
【0084】
一方、図5に図示した通り、ブッシュハウジング30の端部からブッシュハウジング固定リング40の間に覆われて固定されるカバー部材90をさらに備えることが好ましい。
【0085】
この際、図5に図示した通り、カバー部材90の一つは締結ボルト96であって、ブッシュハウジング30に固定される内径部(inner side)92と、ブッシュハウジングリング34と内部固定リング60との間に固定される外径部(outer side)94を備える。また、他のカバー部材90は固定ボルト96であって、反対側のブッシュハウジング固定リング40に締結固定される内径部と、ブッシュハウジング固定リング40と外部固定リング60’との間に固定される外径部とを含む。
【0086】
即ち、本発明のカバー部材90は内径部側が内側に凹んだリング状に形成されロール軸受部の両側に付着され、このようなカバー部材90は耐熱性のある材質、例えば、SUS316L系列を使用する。
【0087】
図5に図示した通り、カバー部材90はブッシュハウジング30とブッシュハウジング固定リング40との間に溶融亜鉛の溶融金属やドロス(dross)などの金属化合物が浸透することを遮断する。
【0088】
従って、ブッシュハウジング外曲面32と固定リング内曲面42との間の面接触部位に溶融金属や金属化合物が浸透すると、ロール軸受部装置の再使用のための常温での整備作業時、浸透した溶融金属及び金属化合物が内部で凝固して外曲面32と内曲面42を固着させるという問題を解消する。
【0089】
溶融金属などが浸透して固着すると、洗浄及び溶融金属融点温度以上に高くしても固着を解消することが難しく、結果としてロール軸受部装置の再使用時に少なくともブッシュとブッシュハウジング及びブッシュハウジング固定リングのブッシュブロック全体を分解した後、再度組立なければならない。
【0090】
次に、図5及び図8に図示した通り、本発明のロール軸受部装置1において、スリーブ10を支えながら接触するブッシュ20の内面に一体に形成され、溶融金属、即ち溶融亜鉛が満たされてスリーブ潤滑膜を提供する溝20a、例えば、エンボスをさらに含む。
【0091】
即ち、本発明においてブッシュ20は耐熱性に優れたセラミックスで作製し、ロール軸112が組立られるスリーブ20が接触する駆動面、即ち内面に溝
20aを図8のように一定の配列で形成させる。
【0092】
従って、ブッシュ20で支えられ回転するスリーブ10の間に溝20aに満たされた溶融亜鉛がスリーブを押し出す役割、即ち潤滑性を高め、結局、ロール軸の回転に直接的な影響を与えるスリーブとブッシュ駆動面の摩擦力を減少させる。
【0093】
結局、本発明のメッキ槽ロール軸受部装置1の場合にはロール軸の回転が非常に円滑で、各構成部品間の局部的な摩耗要因を最少化させることにより、その分だけメッキ槽浸漬ロール、特に、鋼板の張力に影響されながら軸の反り変形が容易に発生する安定化ロール(図2、3の240)の場合に適用することが好ましい。
【0094】
従って、本発明のロール軸受部装置1を備える連続溶融メッキラインのメッキ槽ロール100の作動性も向上することとなる。
【0095】
次に、これまで説明した本発明のロール軸受部装置1のロール軸の組立をみると、図5及び図6に図示した通り、先ず、メッキ槽ロール100のロール胴体110に一体になったロール軸112に軸との滑り摩耗から軸部分を保護するために耐摩耗性が大きいスリーブ10を嵌め、軸の外に離脱しないようスリーブリング12(図5、6)をロール軸112に溶接固定する。
【0096】
次に、ロール軸が嵌められたスリーブ10を支えるブッシュ20をブッシュハウジング30に熱打ちで固定しブッシュハウジングリング34を溶接結合して離脱を防ぎ、この際ブッシュ20は耐摩耗性に優れ摩擦界面が均一なセラミックス材質を使用する。
【0097】
また、先に説明したように、ブッシュハウジングリング34とブッシュハウジングリングに近接したブッシュとの間には熱膨張の差による熱変形の荷重を緩和させるため緩衝フィルム(図示せず)が介在される。
【0098】
また、凸球形外曲面の湾曲外曲面32と面接触する凹球形内曲面の湾曲内曲面42をそれぞれ含むブッシュハウジング30とブッシュハウジング固定リング40及び固定リングハウジング50は、スクリュー(S)として結合される内外部固定リング60、60’とシェルハウジング70とに組立てブロック化拘束する。
【0099】
そして、軸受部装置の分解、組立及び脱付着を容易にするため溶融金属が部品の間に浸透しないよう、内部固定リング60とシェルハウジング70との間と、シェルハウジング70と外部固定リング60’との間にそれぞれガスケットGを挿入して組立て、組立時の精密性を考えてスクリュー(S)を用いて各部品を締結する。
【0100】
さらに、カバー部材90をブッシュハウジング30の端部でブッシュハウジング固定リング40の間に溶融金属の内部浸透を遮断するよう挿入される。
【0101】
従って、本発明のメッキ槽ロール軸受部装置1は、メッキ槽ロールの軸中心線とブッシュ中心線が一致しない場合にもブッシュハウジングはこれを補償する形態で固定リングと面接触するため、摩擦力の増加によるロールの回転力の低下を発生せず、特にロールの偏心回転を防いでロール軸の振れによるメッキ
鋼板の振動を抑制する。
【0102】
本発明は特定の実施例に関して図示し説明したが、以下の特許請求範囲により備えられる本発明の精神や分野を外れない範囲内で本発明が多様に改造及び変化出来るということを当業者は容易に分かることを明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】連続溶融メッキライン(CGL)のメッキ槽(Zinc Pot)とその内部設備を図示した斜視図である。
【図2】メッキ槽ロールを図示した正面図である。
【図3】メッキ槽ロールの軸変形現象を図示した模式図である。
【図4】従来のメッキ槽ロール(stabilizing roll)とその軸受部を図示した構造図である。
【図5】本発明によるメッキ槽ロールとその軸受部装置を図示した構造図である。
【図6】図5の一部分解斜視図である。
【図7】本発明のメッキ槽ロールの軸可変状態を図示した作動状態図である。
【図8】本発明のメッキ槽ロール軸受部装置のブッシュ変形構造を図示した構造図である。
【符号の説明】
【0104】
1 ロール軸受部装置
10 スリーブ
20 ブッシュ
20a 溝
30 ブッシュハウジング
32 ブッシュハウジングの湾曲外曲面
40 ブッシュハウジング固定リング
42 固定リングの湾曲内曲面
50 固定リングハウジング
60、60’ 内外部固定リング
70 シェルハウジング
80 固定ピン
90 カバー部材
100 メッキ槽ロール(安定化ロール)
110 ロール胴体
112 ロール軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキ槽ロールの軸に結合されるスリーブと、
前記スリーブを支えるブッシュが内部固定され湾曲外曲面を備えるブッシュハウジングと、
前記ブッシュハウジングを両側で支持しながら前記ブッシュハウジングの湾曲外曲面と面接触する湾曲内曲面を備え、メッキ槽ロールのリグと連携設置される固定リングハウジングの内部の両側に固定されるブッシュハウジング固定リングと、
を含んで構成された連続溶融メッキラインのメッキ槽ロール軸受部装置。
【請求項2】
前記ブッシュハウジングの湾曲外曲面は凸球面で形成され、前記ブッシュハウジング固定リングの湾曲内曲面は前記ブッシュハウジングの凸球面と面接触が可能であるよう凹球面に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のメッキ槽ロール軸受部装置。
【請求項3】
前記ブッシュを固定するよう前記ブッシュハウジングの一側に結合されるブッシュハウジングリングをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載のメッキ槽ロール軸受部装置。
【請求項4】
前記ブッシュハウジングリングと前記ブッシュハウジングリングに近接したブッシュとの間に挿入される緩衝フィルムをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のメッキ槽ロール軸受部装置。
【請求項5】
前記固定リングハウジングとブッシュハウジング固定リングの両側に配置されて固定される内外部固定リングとシェルハウジングをさらに含み、前記シェルハウジングはメッキ槽ロールのリグと連結固定されたことを特徴とする請求項1に記載のメッキ槽ロール軸受部装置。
【請求項6】
前記内部固定リングとシェルハウジング及び、前記外部固定リングとシェルハウジングとの間に溶融金属の浸透を遮断するよう挿入されるガスケットをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のメッキ槽ロール軸受部装置。
【請求項7】
前記固定リングハウジングに設けられ前記ブッシュハウジングの回転を防ぐよう前記ブッシュハウジングのピンホールに挿入される固定ピンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のメッキ槽ロール軸受部装置。
【請求項8】
前記ブッシュハウジングの端部で前記ブッシュハウジング固定リングの間に溶融金属の内部浸透を遮断するよう覆われる第1、2カバー部材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のメッキ槽ロール軸受部装置。
【請求項9】
前記第1カバー部材は、前記ブッシュハウジングに固定される内径部と、前記ブッシュハウジングリングと内部固定リングとの間に固定される外径部とを備え、
前記第2カバー部材は、反対側のブッシュハウジング固定リングに固定される内径部と、前記ブッシュハウジング固定リングと外部固定リングとの間に固定される外径部とを備えることを特徴とする請求項8に記載のメッキ槽ロール軸受部装置。
【請求項10】
前記ブッシュは、前記スリーブ潤滑膜を形成するよう内側面に形成される溝を備えることを特徴とする請求項1に記載のメッキ槽ロール軸受部装置。
【請求項11】
前記メッキ槽ロールはメッキ槽シンクロールを通過する鋼板をエアナイフの下部で支持する安定化ロールで構成されたことを特徴とする請求項1に記載のメッキ槽ロール軸受部装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−520883(P2009−520883A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547096(P2008−547096)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005494
【国際公開番号】WO2007/073060
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(508055342)
【Fターム(参考)】