説明

連続的溶液重合のための方法および装置

本発明は、例えば、炭化水素溶媒などの溶媒中の1つまたは複数のモノマーの連続的溶液重合のためのプラントを提供する。一態様において、このプラントは、高圧ポンプおよびポンプ下流の少なくとも1つの熱交換器を含む。別の態様では、供給物は、共通の3段コンプレッサーを用いて冷蔵される3つの熱交換器で冷却される。別の態様では、このプラントは、並行して作動するように配置された第1の反応器および第2の反応器を含み、第1の反応器の容積と第2の反応器の容積の比率は、60:40〜95:5の範囲内である。別の態様では、熱交換器内の液体冷却剤のレベルが一時的に低下する、熱交換器の付着物を除去する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的溶液重合のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続的溶液重合方法は、モノマーおよび溶媒混合物への触媒の添加を一般的に含む。この混合物は、逆混合することによって、実質的に濃度勾配のない環境において均一なポリマーを得ることができる。国際公開第94/00500号(Pannellら)は、連続的撹拌タンク反応器内でメタロセンを使用した溶液重合について記載しており、これは、様々な生成物を作製するように連続した反応器配置とすることができる。
重合反応の熱は、重合混合物によって吸収され、発熱を引き起こす可能性がある。代わりに、またはこれに加えて、反応熱は、冷却システムにより、反応器の容器の壁の外部冷却により、熱交換流体により冷却された内部配置の熱交換表面により、反応器の内容物が持続的に循環している外部熱交換器により、反応器から上昇する気体を常に冷却し、凝縮させるオーバーヘッドコンデンサーにより、またはこれら手段の組合せにより除去することができる。
重合の過程で、通常、大部分の量(50モル%を超えるモノマーまたは複数のモノマー)が消費され、形成されたポリマーは溶媒中に溶解する。ポリマー濃度が高いほど、ポリマー、溶媒、および未反応成分を含有する重合反応混合物の粘度がより高くなる。この混合物は、重合反応器から最終加工セクションへと通過し、この最終加工セクションで、ポリマー、溶媒および未反応のモノマーが分離される。最終加工の過程で、溶媒および未反応のモノマーは、ポリマーが固体ペレットまたはベールへと形成できるようになるまで、重合混合物から徐々に除去される。分離した溶媒およびモノマーは、重合反応器へと再循環させることができる。
【0003】
ポリマー溶液は、より低い臨界溶解温度で相分離が起きる可能性があり、相分離は、より高い温度および/またはより低い圧力で促進されることが広範な文献ソースから周知である。溶媒の選択はまた、相分離が生じる条件にも影響を及ぼす。
相分離の現象は、重合溶媒の選択において第一に考察されることである。反応器内での望ましくない相分離を回避するため、所与のポリマー/溶媒の組合せ条件に対して、適切な重合モノマー変換、特に揮発性モノマーの変換、温度、および圧力を選択しなければならない。例えばヘキサンなどの溶媒は、オレフィン重合での2相状態を回避するために、50バールを超える高い圧力が必要となり得る。オクタンなどの溶媒は、より低い圧力で均一な単一相状態を維持することができる。
【0004】
いくつかの溶液重合方法において、相分離の現象をこの反応ステップ後に利用することによって、一方では揮発性溶媒および未反応のモノマー成分と、他方ではポリマーとに分離させる。その場合、より低い臨界溶解温度よりもはるかに高い温度での分離を促進することによって、ポリマーに濃縮相を形成させることが可能となる。知られている一般的原理を説明している以前のいくつかの論文として以下がある:"A Low-Energy Solvent Separation Method," by T.G. Gutowski et al. in Polymer Engineering and Science, March, 1983, Vol. 23, No. 4, pp. 230-237; "Lower Critical Solution Temperature Behavior of Ethylene Propylene Copolymers in Multicomponent Solvents" by C.A. Irani et al. in Journal of Applied Polymer Science 1986, Vol. 31, pp. 1879-1899; "Separating Polymer Solutions with Supercritical Fluids," by Mark A. McHugh et al. in Macromolecules 1985, Vol. 18, pp. 674-680; "Critical dynamics and phase-separation kinetics in dynamically asymmetric binary fluids: New dynamic universality class for polymer mixtures or dynamic crossover?," by Hajime Tanaka in The Journal of Chemical Physics 01 April 1994、Vol. 100, Issue 7, pp. 5323-5337; "Short Chain Branching Effect on the Cloud Point Pressures of Ethylene Copolymers in Subcritical and Supercritical Propane," by S.J. Han et al. in Macromolecules 1998, Vol. 31, pp. 2533-2538。
【0005】
米国特許第6,881,800号および米国特許第7,163,989号は、エチレン、プロピレンおよび他のオレフィンコモノマーを含めたオレフィンの連続的溶液重合のための方法および装置について記載している。重合反応は、1つまたは複数の重合反応器内で、加圧下で行われ、次いで反応器または複数の反応器からの流出液を触媒キラーで処理し、次いで1つまたは複数の熱交換器内で加熱してから、圧力の急降下に供することで、流出液を、ポリマー高含有相と、ポリマー低含有相とに相分離する。これらの相が分離され、ポリマー低含有相が精製され、再循環して溶媒として使用される。ポリマー高含有相は、真空脱揮装置を通る通路を含めた、さらなる分離および精製工程に供される。真空脱揮に続いて、ポリマーは、貯蔵または出荷のためのペレットおよび/またはベールへと形成される。本方法は、一連の異なる種類のポリマーの製造に適している。
シングルサイトではあるがメタロセン触媒は高い活性を有し、その活性は相分離が高温で生じる条件下で維持されることが多い。相分離中の継続した重合活性は、ポリマー特性に望まない影響を与える可能性がある。
Ziegler−Natta、クロム触媒およびシングルサイト触媒、例えばメタロセンなどを含めた、多くの種類の触媒がオレフィン重合に対して知られている。
【0006】
本特許明細書の目的のため、「メタロセン」という用語は、元素周期表の遷移金属と組み合わせて、1つまたは複数のシクロペンタジエニル成分を含有すると、本明細書中で定義されている。
シングルサイト触媒の使用は、均一な溶液重合のための使用される脂肪性炭化水素、飽和した、非極性の溶媒中の低い溶解度を伴う。その結果、芳香族触媒溶媒、例えばトルエンなどを使用しなければならないこともある。これはかえって、反応器内にトルエンが蓄積するのを防止するために溶媒分離を複雑にし、環境汚染および追加の保守費用が生じる可能性がある。
一部の溶液方法(国際公開第98/02471号、Kolthammerを参照されたい)において、重合した混合物を2段階でフラッシュし、これによって、溶媒および未反応のモノマーを気体相へと変換する。効率的な溶媒などの抽出は、低い気体圧力および気相の圧縮または凝結、次にこれに続く分離段階のためのポンピングを必要とする。ポンピングを使用して、フラッシュ分離段階から最終の脱揮押出し機へとポリマーを搬送する。
【0007】
米国特許第3,912,698号は、液体再循環流のための熱交換器を使用することによって、複数のフラッシュの状況下で付着物を減少させながら反応器の容量を増加することを可能にして揮発物を除去する。
シングルサイト触媒の使用はまた、β−水素化物の抽出による水素の生成を伴う。このような水素は、反応器供給物に再循環させて戻した場合、調整剤として作用することによって、ポリマーの分子量を減少させる可能性がある。重合において確立される水素の量は、ターゲットの分子量によって、増加または低下させなければならないことがある。
一部の連続的溶液重合方法において、特に重合反応を断熱性条件下で行うような方法では、供給物は、反応器または複数の反応器にこれが提供される前に冷却され、これによって、重合反応により生成した熱エネルギーの量を増加させ、この生成した熱エネルギーを、過熱することなしに、この反応混合物により吸収させることができる。供給物の冷却は、作動中の機器およびエネルギーコストの両方において、多量の投資が必要となる。供給物を冷却するためのより良い装置および方法に対する必要性が依然として存在する。
一部の連続的溶液重合方法では、2つの反応器が使用される。一部の製品、例えばエチレン−プロピレン−ジエン−モノマー(EPDM)ポリマーなどに対して、反応器は連続して作動させることができる。他の製品、例えば、プロピレン−エチレンコポリマー、例えば欧州特許第1003814号に記載されているものについては、2つの反応器を並行して作動させるのが好ましい。このようなポリマーのより効率的な生産を可能にする改善された反応器のシステムの必要性が依然として存在する。
【0008】
連続的溶液重合方法において、反応器流出液は、通常1つまたは複数の分離ステップに供され、これらのステップにおいて、溶媒、残留モノマーおよび他の揮発物、例えば水素などがポリマーから取り除かれる。一般的に、溶媒およびモノマーは、一部の重い成分、例えばトルエンなど(触媒溶媒として導入された)と共に再循環され、一部のライトエンド汚染物質、例えば水素およびブタンなどは、例えば、燃焼に送られることによって永久的に除去される。再循環溶媒流は、例えば、0.1質量%未満の少量のポリマーを含有し得るが、これは、再循環溶媒が通過する溶媒乾燥器、熱交換器および他の機器を汚す可能性がある。このような付着物の影響を減少または軽減するための改善されたプラントおよび方法に対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以下の利点のうちの1つまたは複数をもたらす改善された連続的溶液方法およびプラントに対する必要性が依然として存在する:異なる重合温度を含めた、広範囲の作動枠の全域で経済的にポリマーを作製する;広範囲のポリマー、特に広く異なる平均分子量、分子量分布、および/またはコモノマー含有量を有するポリマーを作製する;高温(150℃より上)で有用な分子量を有するポリマーの生産を可能にする;広範囲の触媒性能に適用する;特に最終加工におけるエネルギー消耗を減少させ、環境放出を減少させる;ならびに未反応のモノマーと共に高活性のメタロセン種類の触媒および分離工程の温度を使用しながら、再循環および精製システムにおける付着物を減少または回避させる。
追加の背景技術に関しては、国際公開第94/00500号および国際公開第92/14766号も参照されたい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、炭化水素溶媒などの溶媒中の1つまたは複数のモノマーの連続的溶液重合のためのプラントを提供する。一態様において、このプラントは、高圧ポンプおよびポンプ下流の少なくとも1つの熱交換器を含む。別の態様では、供給物は、共通の3段コンプレッサーを用いて冷蔵される3つの熱交換器で冷却される。別の態様では、このプラントは、並行して作動するように配置された第1の反応器および第2の反応器を含み、第1の反応器の容積と第2の反応器の容積の比率は、60:40〜95:5の範囲内である。別の態様では、熱交換器内の液体冷却剤のレベルが一時的に低下する、熱交換器の付着物を除去する(defoul)方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】既知のオレフィン重合方法のプラントおよびプロセスの流れの概略レイアウトを示す図である。
【図2】図1のプラントの水素ストリッピング設備を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による第1の反応器および第2の反応器を有するプラント内の供給物ブレンディングおよび冷却レイアウトを概略的に示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に従い、冷却剤を冷蔵した熱交換器に供給するための3段コンプレッサーを概略的に示す図である。
【図5a】同様に、本発明の方法に従い付着物を除去することができる4パス熱交換器内の管のレイアウトの概略図を示す図である。
【図5b】同様に、本発明の方法に従い付着物を除去することができる4パス熱交換器内の管のレイアウトの概略図を示す図である。
【図5c】同様に、本発明の方法に従い付着物を除去することができる4パス熱交換器内の管のレイアウトの概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明(複数可)の第1の態様において、1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を含む供給物の連続的溶液重合のためのプラントであって、反応器と、1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒、例えば、炭化水素溶媒などをブレンドして、反応器のための供給物を作製するためのブレンディング手段と、供給物を少なくとも20バール、好ましくは少なくとも50バール、好ましくは少なくとも75バール、任意選択で少なくとも100バールの圧力に圧縮するためのポンプと、反応器へ入る前に、供給物を冷却するための冷却システムとを含み、前記冷却システムが、少なくとも2つの熱交換器を含み、前記熱交換器のうちの少なくとも1つが前記ポンプの下流にある、プラントが本明細書中に記載されている。
熱交換器は、冷却水で冷却されてもよく、冷却水の供給部へと接続されている。熱交換器の少なくとも1つは冷蔵されてもよい。ポンプ下流の少なくとも1つの熱交換器は冷蔵されてもよい。供給物を冷却するための熱交換器のそれぞれは冷蔵されてもよい。
溶媒は、従来からの炭化水素溶媒または従来からの非炭化水素溶媒である。好ましくは、溶媒は炭化水素溶媒である。より好ましくは、溶媒は、イソヘキサンまたは混合したヘキサンである。さらにより好ましくは、溶媒はイソヘキサンである。
【0013】
第2の態様において、1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を含む供給物が、少なくとも20バール、好ましくは少なくとも50バール、好ましくは少なくとも75バール、任意選択で少なくとも100バールの圧力にポンプで加圧され、次いでポンプの下流に位置する少なくとも1つの熱交換器中で冷却されてから、前記少なくとも1つの熱交換器の下流の反応器内で重合される、連続的溶液重合方法が提供される。一実施形態において、供給物は、少なくとも1つの冷蔵された熱交換器により、−10℃より下の温度まで冷却され、次いでポンプで少なくとも20バール、好ましくは少なくとも75バールの圧力に加圧され、次いでさらなる冷蔵された熱交換器内で、任意選択で−10℃から−42℃、任意選択で−10℃から−40℃、任意選択で−10℃から−35℃の温度までさらに冷却されてから、さらに冷蔵された熱交換器の下流の反応器内で重合される。
オレフィンの連続的溶液重合のための既知のプラントおよび方法において、冷蔵されていてもよい熱交換器(冷蔵された熱交換器はまた冷却機としても知られている)は、すべてポンプの上流にある。本発明の第1および第2の態様によるプラントおよび方法において、少なくとも最終の熱交換器は、ポンプの下流にある。一方の熱交換器がポンプの下流にあり、他方の熱交換器(複数可)がポンプの上流にあるのが有利である。
【0014】
本発明の第1および第2の態様によるプラントおよび方法において、ポンプは、少なくとも最終の熱交換器の上流にあり、したがって温度上昇が、供給物に対するポンプの作用により引き起こされ、この温度上昇は、3℃以上の領域であってよく、ポンプの下流の冷蔵された熱交換器で対応することができる。例えば、冷却剤としてプロピレンを使用して、プロピレンの圧力を大気圧より下に減少させることなく、冷蔵された熱交換器内で到達することのできる最低の温度は、約−41.7℃である。したがって、ポンプが最終の冷蔵された熱交換器の下流にある配置では、反応器入口での実行可能な最低供給温度は、ポンプが供給温度を約3℃上昇させたと仮定して、約−38℃から−39℃であろう。しかし、本発明のプラントおよび装置では、最終の熱交換器は、ポンプの下流にあり、よって、反応器に入る供給物の温度を、さらにより低い温度、例えば−41℃まで減少させることができ、これにより、反応器内のポリマー生産を増加させることが可能となる。
一実施形態において、少なくとも1つの熱交換器は、冷却水で冷却する。普通の冷却水での冷却は、反応器供給物の冷却を達成する最もコストのかからない方法であり、つまり、溶媒またはモノマー、またはモノマーと溶媒の組合せを冷却してから、冷蔵された熱交換器を使用してさらにより低い温度へと冷却することを意味する。
【0015】
さらに別の実施形態において、熱交換器のうちの少なくとも1つは、フィンファン冷却器であり、このフィンファン冷却器では、反応器供給物、つまり、溶媒またはモノマー、またはモノマーと溶媒の組合せは、バンクまたはそれ以上にフィン付き管の上に推し進められた外気と熱交換を行う。この方法は、冷却水が不足する場合、または湿度が高いために、冷却塔が実質的に効果的でなくなってしまう場合に特に有用である。
一実施形態においてポンプの下流の少なくとも1つの熱交換器は、冷却水または冷却用空気で冷却される。その実施形態において、ポンプの下流の少なくとも1つの熱交換器の位置は、冷却水または冷却用空気の温度に接近した温度まで供給物を冷却することを可能にする。
一実施形態において、供給物を冷却するための冷却システムは、3つの冷蔵された熱交換器を含み、このうちの1つは、高圧ポンプの下流にある。
【0016】
ポンプ下流の熱交換器(複数可)は、ポンプの下流の供給物の圧力で作動することが可能であり、例えば、これらの熱交換器は、75バール以上、任意選択で80バール以上、好ましくは90バール以上、より好ましくは95バール以上、およびある場合には120バール以上の圧力で作動することが可能である。
ポンプの下流のこの少なくとも1つの冷蔵された熱交換器は、シェル内管型熱交換器(tube-in-shell heat exchanger)であってよく、この管は、外径3/4インチ(1.91cm)を有していてもよい。供給物は、管内を流れ、これらの管は、これらの比較的に狭い直径、および高粘度の壁により、1インチ(2.54cm)管に比べて、高圧を取り扱うことにより良く適応している。標準的な管は、任意の所与の管外径に対して様々な壁の厚さを有するものが入手可能であり、壁の厚さの選択は、管が耐えなければならない圧力と釣り合っている。
ポンプは、必要とされる圧力に供給物を圧縮するのに適した任意のポンプまたはコンプレッサー、またはポンプとコンプレッサーの組合せであってよい。ポンプは、1つまたは複数のポンプの組合せであってよく、複数のポンプが存在する場合、本明細書中でのポンプの言及は、別の意味が文脈から明白でない限り、反応器の前のポンプの中で一番下流にあるものを指すと理解されるべきである。一実施形態において、ポンプは、多段階遠心ポンプである。
【0017】
本方法は、断熱性の連続的溶液の方法であってよい。任意選択でポンプは、供給物を、80バール以上、任意選択で90バール以上、好ましくは95バール以上、ある場合には120バール以上の圧力まで上昇させる。
ポンプの下流の少なくとも1つの熱交換器は、供給物の温度を、50℃〜20℃の範囲、好ましくは30℃〜0℃の範囲、より好ましくは0℃〜−30℃の範囲、ある場合には、より好ましくは−38℃〜−41℃の範囲の温度まで減少させてもよい。熱交換器が冷蔵される場合、任意の適した冷却剤を使用してもよい。この冷却剤は、プロピレンであり、多段階コンプレッサーによって、冷蔵された熱交換器に供給されてもよい。
供給物がポンプを通過すると、供給物は、任意選択で温度が少なくとも1℃、任意選択で少なくとも2℃、任意選択で少なくとも3℃、ある場合には少なくとも10℃増加する。
【0018】
一実施形態において、プラントは、2つの反応器を有し、第1の反応器および第2の反応器は、連続してまたは並行して作動するように配置される。各反応器への供給物の供給源は、それ自体のポンプを有し、それぞれのポンプの下流に位置する少なくとも1つの、冷蔵されていてもよい熱交換器を含んでもよい。一実施形態において、1つの反応器への供給物の供給源は、ポンプの上流に位置する冷却水で冷却した熱交換器を有する一方で、第2の反応器への供給物の供給源は、ポンプの下流に位置する冷却水で冷却した熱交換器を有する。一実施形態において、一方の反応器への供給物用冷却システムは、冷却水で冷却した熱交換器およびポンプの下流に位置する冷蔵された熱交換器を有し、他方の反応器用の冷却システムは、ポンプの上流に位置する冷却水で冷却した熱交換器のみを有し、すなわちポンプの下流に熱交換器は存在しない。
【0019】
一実施形態において、プラントは、a)第1の反応器および第1の供給物を第1の反応器へ供給するための第1の供給ラインであって、第1の供給物を少なくとも75バールへと圧縮するための第1のポンプと、第1のポンプの上流および供給物ブレンディング手段の下流に配置された第1および第2の冷蔵された熱交換器と、第1のポンプの下流および第1の反応器の上流に位置する第3の冷蔵された熱交換器とを含む第1の供給ライン、ならびにb)第2の反応器および第2の供給物を第2の反応器へと供給するための第2の供給ラインであって、第2の供給物を少なくとも75バールの圧力まで圧縮するための第2のポンプと、第2のポンプの上流および供給物ブレンディング手段の下流に位置する第4の冷蔵された熱交換器と、第2のポンプの下流および第2の反応器の上流に位置する第5の冷蔵された熱交換器とを含む第2の供給ラインを含む。
【0020】
別の実施形態において、プラントは、溶媒と、残留する溶解したモノマーを有する再循環溶媒との混合物の圧力を約25バール以上の圧力に上昇させるための共通の第1のポンプと、続いてこの混合物を45℃以下の温度に冷却するための水で冷却した熱交換器と、続いて水分または他の触媒毒を除去するための乾燥剤を含有するベッドとを含む。この流れは、次いで第1の反応器へ向かう第1の流れと、第2の反応器へ向かう第2の流れとに分割される。追加のモノマーを各反応器に対して必要な比率で、これらのそれぞれの溶媒流へと混合することによって、第1の供給物および第2の供給物を得るための手段が提供される。第1の反応器のための第1の供給物は、第1の反応器へ入るのに十分な圧力、例えば120バール以上の圧力までさらにポンピングされ、この結果、約15℃の温度上昇、例えば39℃から55℃への温度上昇が生じる可能性があり、次いで第1の供給物は、最初に冷却水交換器で45℃以下、好ましくは40℃以下の温度に冷却され、次いで冷蔵された熱交換器で、35℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下の温度までさらに冷却されてから、第1の反応器へ入る。第2の反応器用の第2の供給物は、最初に、冷却剤として冷却水を用いた熱交換器内で、40℃以下、好ましくは30℃以下の温度に冷却され、次いで第2の供給物は、反応器へ入るのに必要な圧力、例えば120バール以上に押し上げられ、このステップにより、供給物は約5℃温められ、温度は40℃〜45℃の範囲までになり得る。ポンプの前に熱交換器を配置することを選択することによって、第2の供給物がより高い濃度の軽い炭化水素モノマーを含有することができる。さもなければ、合わせた気体圧力が泡立ち点よりも高くなってしまい、反応器供給物のポンプの作動に悪影響をもたらすことになる。
【0021】
第3の態様において、1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を含む供給物の連続的溶液重合のためのプラントであって、反応器と、1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒とブレンドして反応器のための供給物を提供するブレンディング手段と、供給物を反応器へとポンピングするため、および供給物を所望の重合圧力に圧縮するための1つまたは複数のポンプと、ブレンディング手段の下流で、および反応器へ入る前に供給物を冷却するための冷却装置とを含み、冷却装置が、第1の熱交換器、第2の熱交換器、および第3の熱交換器と、コンデンサーを介してアキュムレータードラムと通じている出口、第1の吸引ドラムと通じていてもよい第1の吸引ポート、第2の吸引ドラムと通じていてもよい第2の吸引ポート、および第3の吸引ドラムと通じていてもよい第3の吸引ポートを有する共通の3段コンプレッサーと、アキュムレータードラムから第1の熱交換器へ冷却剤を供給するための導管および第1の熱交換器から第1の吸引ポートまたは存在する場合第1の吸引ドラムに冷却剤を戻すための導管、第1の吸引ポートまたは存在する場合第1の吸引ドラムから第2の熱交換器へ冷却剤を供給するための導管および第2の熱交換器から第2の吸引ポートまたは存在する場合第2の吸引ドラムに冷却剤を戻すための導管、ならびに第2の吸引ポートまたは存在する場合第2の吸引ドラムから第3の熱交換器へ冷却剤を供給するための導管および第3の熱交換器から第3の吸引ポートまたは存在する場合第3の吸引ドラムに冷却剤を戻すための導管とを含む、プラントが提供される。
【0022】
第4の態様において、1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を含む供給物を調製するステップと、第1の熱交換器、第2の熱交換器および第3の熱交換器に供給物を通過させるステップであって、第1、第2および第3の熱交換器のそれぞれに、共通の3段コンプレッサーにより冷却剤が供給され、第3の熱交換器への冷却剤の供給が−30℃未満の温度であるステップと、供給物を触媒と合わせて、ポリマーを作製するステップと、ポリマーを溶媒および残留するモノマーから分離するステップとを含む、連続的溶液重合方法が提供される。
本発明の第3および第4の態様のプラントおよび方法は、連続的溶液重合反応のための供給物を冷却する第1、第2および第3の熱交換器への、3段コンプレッサーからの冷却剤の供給を含む。本発明者らは、3段階の加圧を使用することによって、不当な複雑さを回避しながら、作動コストが削減された効率的および効果的なプラントおよび方法が得られることを発見した。
3段コンプレッサーはまた、プラント内の他の熱交換器、例えば、ペレット化用の水、または流動床乾燥器もしくは気体コンベヤー内の冷却用空気を冷却するための熱交換器などに冷却剤を供給してもよい。
【0023】
第1、第2および第3の熱交換器のそれぞれは、供給物が通過する複数の管、および冷却剤を含有するためのシェル内に配置されている複数の管を含んでもよい。
第1および第2の熱交換器は、外径1インチ(25.4mm)の管を有していてもよい。第3の熱交換器は、外径3/4インチ(19.1mm)の管を有していてもよい。第1および第2の熱交換器は、4パス反応釜熱交換器であってよい。第1、第2および第3の熱交換器は、少なくとも一部分の供給物が、それぞれの熱交換器を迂回できるようになっている3方向制御バルブをそれぞれ備えていてもよい。プラントはまた、第2の反応器と、第2の反応器への供給物を冷却するために配置された第4および第5の熱交換器を含む冷却装置とを含んでいてもよく、この冷却装置は、第1の吸引ポートまたは存在する場合、第1の吸引ドラムから第4の熱交換器へ冷却剤を供給するための導管および第2の吸引ポートまたは存在する場合、第2の吸引ドラムに冷却剤を戻すための導管、ならびに第2の吸引ポートまたは存在する場合第2の吸引ドラムから第5の熱交換器へ冷却剤を供給するための導管および第5の熱交換器から第3の吸引ポートまたは存在する場合、第3の吸引ドラムに冷却剤を戻すための導管をさらに含む。
任意選択でプラントは、第2の反応器への供給物を、少なくとも20バール、任意選択で少なくとも75バールの圧力に圧縮するための第2のポンプを含み、第2のポンプは、第4の熱交換器と第5の熱交換器の間に位置してもよい。任意選択で供給物を、少なくとも20バール、任意選択で少なくとも75バールの圧力に圧縮するためのポンプは、第2の熱交換器と第3の熱交換器の間に位置する。
【0024】
任意の適切な冷却剤を使用することができる。好ましい実施形態では、冷却装置は、冷却剤としてプロピレンを含有する。任意選択で、アキュムレータードラム内の冷却剤は、10〜25bargの範囲の圧力である。第1、第2および第3の吸引ドラムは存在するのが好ましい。任意選択で、第1の吸引ポートまたはドラム内の冷却剤は、存在する場合、4〜8bargの範囲の圧力である。任意選択で、第2の吸引ポートまたはドラム内の冷却剤は、存在する場合、1barg〜4bargの圧力である。任意選択で、第3の吸引ポートまたはドラム内の冷却剤は、存在する場合、1.1barg〜2bargの圧力である。任意選択で、連続的溶液重合は、連続的断熱性溶液重合である。
【0025】
第5の態様において、1つまたは複数のオレフィンモノマーの連続的溶液重合のためのプラントであって、並行して作動するように配置された第1の反応器および第2の反応器であって、第1の反応器の内部容積と第2の反応器の内部容積との比率が60:40〜95:5の範囲内である、第1の反応器および第2の反応器と、1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む第1の供給物を第1の反応器に供給するための第1の供給物供給手段、および重合触媒を第1の反応器に供給して、その中に第1のポリマー含有重合反応混合物を形成するための1つまたは複数の第1の触媒供給装置と、1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む第2の供給物を第2の反応器に供給するための第2の供給物の供給手段、および第2の重合触媒を第2の反応器に供給して、その中に第2のポリマー含有重合反応混合物を形成するための第2の触媒供給装置と、第1および第2のポリマー含有重合反応混合物を、第1のおよび第2の反応器の下流で合わせて、合わせた重合反応混合物を形成するための手段と、合わせた重合反応混合物からポリマーを単離するための手段(1つまたは複数)とを含むプラントが提供される。
【0026】
第6の態様では、オレフィンモノマーの連続的溶液重合のための方法であって、1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む第1の供給物および第1の触媒を第1の反応器に供給し、これによって、第1のポリマー含有重合反応混合物を形成するステップと、1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む第2の供給物および第2の触媒を第2の反応器に供給し、これによって、第2のポリマー含有重合反応混合物を形成するステップと、第1および第2の反応器の下流で第1および第2のポリマー含有重合反応混合物を合わせて、合わせたポリマー含有重合混合物を形成するステップと、合わせたポリマー含有重合反応混合物からポリマーを単離するステップとを含み、第1の反応器の内部容積と第2の反応器の内部容積の比率が、60:40〜95:5、任意選択で65:35〜90:10、任意選択で70:30〜90:10の範囲内である、方法が提供される。
【0027】
主に2つの反応器を連続して作動することを目的とする従来のプラントでは、同じサイズの反応器を使用するのが慣用的であった。しかし、主成分と微量成分とを有する2つの異なるポリマーのブレンド、例えば90:10のブレンドなどを作製するために並行の構成が使用される場合、第2の反応器内での反応物の滞留時間を比較的長くしなければならず、これによって、反応器の制御が困難となり、条件の変化への反応器の反応が遅くなることが見出された。対照的に、本発明は、第5および第6の態様において、1つの反応器(第1の反応器)が、他の反応器(第2の反応器)より大きい反応器の配置を提供する。この配置は、例えば2つの異なるコポリマーの、質量比90:10のブレンドを調製するための並行な反応器として使用した場合、微量成分は第2の反応器内で調製することができ、第2の反応器内でのこの反応物の滞留時間は、管理しやすいレベルで維持することができるという利点を有する。例えば、第1の反応器内での滞留時間は、約10分間であり、第2の反応器内での滞留時間は30分間であってよいのに対して、同じサイズの反応器では、滞留時間は、それぞれ約10分間および90分間となり、第2の反応器の制御が困難となる。さらに、第2の反応器が小さいサイズであることから、プラントを建設するコスト削減が可能となり、その上単一成分のポリマー製品を作製するためのより大きな第1の反応器が使用可能となる。
【0028】
任意選択で第1の反応器の容積と、第2の反応器の容積の比率は、65:35〜90:10、任意選択で70:30〜90:10の範囲である。プラントは、オレフィンモノマーの連続的断熱性溶液重合に適していてもよい。第1および第2の反応器は、連続的撹拌タンク反応器であってよい。第1の反応器内の第1のポリマー含有重合反応混合物の滞留時間は、3分間〜90分間の範囲、例えば,3分間〜30分間の範囲であってよい。第2の反応器内の第2のポリマー含有重合反応混合物の滞留時間は、3分間〜90分間の範囲、例えば、5〜30分間の範囲であってよい。連続的溶液重合は、断熱性条件下で行われてもよい。任意選択で合わせたポリマー含有重合混合物から単離されたポリマーは、60以上、任意選択で50以上のShore A硬度を有する。任意選択で合わせたポリマー含有重合混合物から単離したポリマーは、60℃以下、任意選択で40℃以下、任意選択で30℃以下のVicat A軟化点を有するポリマーである。
【0029】
本発明の第5の態様のプラントは、1つの反応器のみを使用して、1成分ポリマーを作製するために使用することができる。例えば、第5の態様のプラントは、単一の反応器のみを使用し、供給物がエチレンとブテンの混合物を含み、触媒が、反応器において、エチレン配列の約0.85〜約0.91の密度、および約10質量%〜50質量%のブテン含有量を有するエチレンとブテンのコポリマーが形成されるようなキラルメタロセン触媒である方法において使用することができる。しかし、2成分ポリマーブレンドを作製するためにこのプラントを使用するのが好ましい。反応器は、連続してまたは並行で使用してもよく、好ましくは並行で使用してもよい。ポリマーブレンドは、例えば、欧州特許第1003814号に記載されているようなブレンドであり得る。
【0030】
一実施形態において、第1の供給物は、エチレンとプロピレンの混合物を含み、第2の触媒は、第1の反応器において、アイソタクチックポリプロピレン配列の約2%〜約65%の結晶化度、約75質量%〜90質量%のプロピレン含有量、および25℃〜105℃の融点を有するエチレンとプロピレンのコポリマーが形成されるようなキラルメタロセン触媒であり、第2の供給物は、プロピレンまたはプロピレンと、C2もしくはC4〜C10のα−オレフィンからなる群から選択される1つまたは複数のモノマーとの混合物を含み、第2のポリマー含有重合反応混合物は、少なくとも約90質量%の重合したプロピレンを含有し、約110℃を超える融点を有する実質的にアイソタクチックなポリプロピレンポリマーを含む。このようなポリマーブレンドは、ExxonMobilから入手可能なVistamaxx系列の製品において使用されている。
任意選択で、第1の反応器内のポリマー生産速度と第2の反応器内のポリマー生産速度の比率は、60:40〜95:5、任意選択で65:35〜90:10、任意選択で70:30〜90:10の範囲内である。
【0031】
第7の態様において、1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を含む供給物の連続的溶液重合のためのプラントであって、反応器と、1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む供給物を調製する供給物ブレンディング手段ならびに供給物および触媒を反応器に供給して、その中にポリマー含有反応器混合物を形成するための手段と、反応器の下流にある、未反応のモノマーおよび溶媒からポリマーを分離するための分離手段と、溶媒を供給物ブレンディング手段から反応器に戻して再循環させるための再循環装置とを含み、この再循環装置が、水平に配置された管の上部アレイおよび上部アレイの下に配置された、水平に配置された管の下部アレイを有する少なくとも1つの熱交換器を含み、上部および下部の両方のアレイが、液体冷却剤のための入口および出口を有するシェル内に封入され、溶媒が、最初に管の上部アレイを通って、次いで管の下部アレイを通って流れ、入口には、冷却剤の流れがシェルに入るのを減少させるまたは防止するための弁が備えられており、その結果、使用中、シェル内の冷却剤のレベルを低下させて、管の上部アレイを露出させることができる、プラントが提供される。
【0032】
第8の態様では、1つまたは複数のオレフィンモノマーの連続的溶液重合のためのプラント内の熱交換器の付着物を除去する方法であって、溶媒中に1つまたは複数のオレフィンモノマーを含む供給物が重合されて、ポリマー含有重合反応器混合物を提供し、この混合物から、溶媒および残留モノマーが分離され、溶媒が、再使用の前に溶媒を冷却するための熱交換器を含む再循環装置を介して再循環され、熱交換器が、液体冷却剤を含有するシェル内に封入された、水平に配置された管の上部アレイおよび水平に配置された管の下部アレイを有し、溶媒が、最初に管の上部アレイを、次いで管の下部アレイを通過し、前記方法が、シェル内の液体冷却剤が管の上部および下部の両方のアレイを覆う熱交換器の管の上部および下部アレイに溶媒を通過させるステップと、熱交換器の付着物を除去する必要があるときに、シェル内の液体冷却剤のレベルを低下させて、管の上部アレイを露出させ、その結果、管の上部アレイ内の溶媒の温度が増加するステップとを含む、方法が提供される。
【0033】
オレフィンの連続的溶液重合のためのプラントおよび方法において、溶媒および残留するモノマーは通常、再循環流体の温度を減少させるための少なくとも1つの熱交換器を含む様々な精製およびプロセシング装置を介して、工程の開始点に戻され再循環される。しかし、溶媒は通常、少量の残留するモノマーを含むが、同様に少量、例えば0.1質量%未満のポリマーを含むことが多い。ポリマーは、種々の理由で存在し得る。反応器からの流出液が、2つの液相に分離される液相分離装置を有するプラントでは、ポリマー低含有相は、通常工程の開始点に戻されて再循環される。このポリマー低含有相は通常、上述されているような少量のポリマーを含む。溶媒および残留するモノマーが気相として取り除かれるように、分離が一連のフラッシュ容器を使用して行われるプラントでは、高いフラッシュドラム速度により、微量のポリマーが、再循環溶媒内に入る結果となり得る。再循環流中に存在するそのような微量のポリマーは、再循環装置内で機器に付着物を生じる可能性がある。例えば、再循環装置は通常、再循環流の精製のための1つまたは複数の乾燥ベッドを含むことになり、これら乾燥ベッドは、残留するポリマーにより付着物が付く可能性がある。付着物はまた、反応器の設備に供給物が入る前に、再循環溶媒および供給物を冷却するために使用される冷蔵された熱交換器内にも生じる。本発明の第7および第8の態様のプラントおよび方法において、熱交換器付着物は、水平に配置された管の上部アレイおよび上部アレイより下に配置された、水平に配置された管の下部アレイを有し、溶媒(および残留するモノマーを含んでもよい)の再循環流が、最初に上部アレイを通過して、下部アレイへと至る熱交換器を使用して取り扱われる。循環流が最初に上部アレイを通過する際に、再循環溶媒内に存在する微量のポリマーによる付着が、管の上部アレイにおいて優先的に生じることになる。例えば、熱交換器の全域での圧力の急降下が既定のレベルまで達したために、熱交換器の付着物の除去が望まれる場合、シェル内の冷却剤のレベルが減少することによって、管の上部アレイが露出するよう、シェルへの冷却剤の供給を削減または全て切断する。次いで、その管の上部アレイは、冷却剤により効率的に冷却されなくなり、その結果管の上部アレイおよびその中の液体の温度は上昇する。この温度上昇が、それらの管に堆積したポリマーを、再循環溶媒中に再溶解させ、これによって交換器の付着物を除去する。一度付着物が、実質的にまたは全て排除されたら、シェルへの冷却剤の供給をその正常レベルに戻すことができ、これによって管の上部アレイが再び冷却剤内に浸り、熱交換器の効率が修復される。
【0034】
熱交換器のシェル内の冷却剤レベルの一時的な低下の間、冷却剤のレベルは、反応器の設備に入る供給物の温度の許容できない上昇を過度に引き起こすことなく、最大限に可能な量だけ通常減少させることになる。したがって、冷却剤のレベルを、管の一部またはすべての下部アレイより下に低下させることも可能となり得る。
【0035】
熱交換器の付着物が除去される場合、熱交換器を通過する溶媒の温度は、その正常レベルより上に上昇することになり、これによって、あらゆる下流の乾燥ベッドまたは精製ベッドの温度の上昇が生じ得る。例えば、精製ベッドは、約5℃から30℃の温度の上昇が生じることによって、これらベッドへのポリマー付着物を溶解させることもできる。このように、精製ベッドはまた、熱交換器と同時に付着物を除去することができる。
熱交換器は、任意の適切な構成であってよい。管はシェルを介して一直線に通過することができる。すなわち、管は、シェルの一末端から入り、シェル全体の長さに沿って伸び、他の末端からシェルを出る。しかし、好ましい実施形態において、管は、シェルの同じ末端に入口と出口を有するU字管である。好ましい実施形態において、熱交換器は、4パス熱交換器であり、すなわち、溶媒(および残留するモノマーを含んでもよい)を含む再循環液体が、シェルの長さに沿って4回進行する。例えば、熱交換器が4パスU字管熱交換器の場合、再循環液体は、管の上部アレイに入り、U字管を下方に向かって一方向に進み、再び戻り、次いで管の下部アレイへと流れ込み、U字管の長さだけ下方にもう一回進み、再び戻ってくる。
熱交換器の管は、約1インチ(25.4mm)の外径、例えば22〜28mmの範囲の外径を有してもよい。あるいは、熱交換器の管は、3/4インチ(19.05mm)の外径、例えば、17〜21mmの範囲の外径を有していてもよい。1インチの管は、3/4インチ管と比較して、設備投資または熱伝達効率、または運転経費に関してあまり経済的ではなく、したがって、管を流れる液体が、付着物を生じる傾向がある場合のみに通常使用される。
冷却剤は、任意の適切な冷却剤であってよい。冷却剤はプロピレンであってよい。
【0036】
熱交換器シェル内の液体冷却剤のレベルは、液体冷却剤のシェルへの入口を閉じ、シェル内の液体冷却剤を煮沸して除去することによって、低下させてもよい。上述されているように、液体冷却剤のレベルは、反応器または複数の反応器に入る供給物の温度が、特定の既定の限界に到達するまで減少させてもよい。シェル内の液体冷却剤のレベルを低下させることによって、上述されている管の上部および下部の両方のアレイを露出させてもよい。シェル内の液体冷却剤の低下は一時的である。
【0037】
本発明の第7および第8の態様の状況において、供給物ブレンディング手段を介して、溶媒を反応器または複数の反応器に戻して再循環させるための再循環装置は、再循環溶媒が通過するすべての装置を含み、これには、供給物ブレンディング手段および反応器へと入る前に供給物を冷却するための熱交換器が含まれる。この装置は、供給物ブレンディング手段の上流にある熱交換器、ならびに供給物ブレンディング手段の下流にあり、反応器の上流にある1つまたは複数の熱交換器を含有し得る。好ましくは、熱ブレンディング手段の上流の熱交換器は、水平に配置された管の上部アレイおよび上部アレイの下に配置された、水平に配置された管の下部アレイを有し、上部アレイおよび下部アレイの両方は、液体冷却剤のための入口および出口を有するシェル内に封入され、この中で、溶媒は最初に上部アレイ管を流れ、次いで管の下部アレイを流れ、入口は、使用中、シェル内の冷却剤のレベルを低下させることによって、管上部を露出させることができるように、シェル内の冷却剤への流れ込みを減少または防止するための弁を備える。
任意選択で供給物ブレンディング手段の下流の1つまたは複数の熱交換器はまた、水平に配置された管の上部アレイおよび上部アレイの下に配置された、水平に配置された管の下部アレイを備え、上部および下部アレイの両方は、液体冷却剤のための入口および出口を有するシェル内に封入され、この中で、溶媒は最初に管の上部アレイを流れ、次いで管の下部アレイを流れ、入口は、使用中、シェル内の冷却剤のレベルを低下させることによって、管の上部アレイを露出させることができるように、シェル内への冷却剤の流れ込みを減少または防止するための弁を備える。
【0038】
本発明の第8の態様の方法は、供給物ブレンディング手段の上流の熱交換器で実施されてもよい。本発明の第8の態様の方法は、供給物ブレンディング手段の下流の1つまたは複数の熱交換器で実施されてもよい。管の上部および下部アレイの両方が液体冷却剤で覆われている間、すなわち熱交換器が正常に作動している間、溶媒は熱交換器により−39℃〜20℃の間の温度に冷却されてもよい。
【0039】
本発明の第7の態様のプラントは、ポリマー含有反応混合物の圧力を、この混合物が、ポリマー高含有相とポリマー低含有液相とに分離される圧力まで減少させることが可能な圧力降下手段を含み、ポリマー低含有液相が再循環され、再循環流として再循環装置に再循環されることが可能となるように、ポリマー高含有相からポリマー低含有液相を分離するための手段をさらに含んでもよい。
本発明の第8態様の方法において、ポリマー含有重合反応混合物は、ポリマー高含有液相とポリマー低含有液相とに分離され、ポリマー低含有液相は、再循環装置を介して再循環されてもよい。
【0040】
本発明のすべての態様のプラントおよび方法は、複数の反応器を含み得る。プラントが実際複数の反応器を含む場合、反応器のうちの1つだけを使用することによって、単一反応器グレードとし、他の反応器または反応器を未使用のままにしておくことも当然ながら可能である。本発明の第6の態様以外のすべての態様に適用できる一実施形態において、単一の反応器のみが使用され、供給物は、エチレンとブテンの混合物を含み、触媒は、エチレン配列の約0.85g/cm3から約0.91g/cm3の密度および約10質量%〜50質量%のブテン含有量を有するエチレンとブテンのコポリマーが反応器内で形成されるようなキラルメタロセン触媒である。
上述された本発明の態様を別々に実施してもよいし、または本発明の1つまたは複数の態様を一緒に実施してもよいことを理解されよう。本発明の各態様のうちの任意選択のおよび好ましい機能はまた、本発明の他の態様の任意選択の態様となり得る。
【0041】
本発明のすべての態様のプラントおよび方法で生産されるポリマーは、通常ポリオレフィンである。ポリマーはポリマー中に存在する全単位に対して、エチレンまたはプロピレン由来の少なくとも、総計50モル%単位を含有してもよい。任意選択でポリマーは、60未満、任意選択で50未満のShore A硬度を有するポリマーである。任意選択でポリマーは、60℃以下、任意選択で40℃以下、任意選択で30℃以下の、Vicat A軟化点を有するポリマーである。本明細書中でのVicat軟化点への言及とは、ASTM D 1525 Loading 1(10N)およびRateB(120C/h)で測定したものを意味する。ポリマーは、本明細書中で定義されたエチレンエラストマー製品であってよい。
【0042】
「エチレンエラストマー製品」とは、以下の制限内で(a)エチレンおよびプロピレン、ならびに任意選択でジエン、(b)エチレンおよびn−ブテン、または(c)エチレンおよびオクテンを含有する、溶液メタロセン反応器内で生産されたランダムコポリマーを意味する:
(i)(a)に対しては、少なくとも35質量%のエチレン含有量、20質量%〜65質量%のプロピレン含有量、および任意選択で1質量%〜10質量%のジエン含有量、または
(ii)(b)に対しては、少なくとも50質量%のエチレン含有量および10質量%を超えるn−ブテン含有量、ならびに1立方センチメートル(g/cm3)当たり0.905グラム未満のポリマー密度、または
(iii)(c)に対しては、少なくとも50質量%のエチレン含有量および15質量%を超えるオクテン含有量、ならびに1立方センチメートル(g/cm3)当たり0.905グラム未満のポリマー密度。
【0043】
回収および最終加工ステップで添加され、最終加工後の最終製品中に残存する抗酸化剤および加工助剤などの材料は、エチレンエラストマー製品の一部と考えるものとする。
任意選択でポリマーは、以下を含むポリマーブレンドである:a)キラルメタロセン触媒の存在下でエチレンとプロピレン混合物から調製し、アイソタクチックプロピレン配列から約2〜65%の結晶化度、75質量%〜90質量%のプロピレン含有量および25℃〜105℃の範囲の融点を有する第1の成分、およびb)プロピレン、またはプロピレンと、C2またはC4〜C10のα−オレフィンからなる群から選択される1つまたは複数のモノマーとの混合物から調製され、少なくとも90質量%の重合したプロピレンを含有し、110℃を超える融点を有する、実質的にアイソタクチックなポリプロピレンポリマーである第2の成分。このポリマーは、EPDMまたは熱可塑性エラストマーであってよい。
【0044】
本発明の様々な態様は、反応器の下流に第1の分離段階として液相分離装置を有する連続的溶液重合プラントという状況において、これよりさらに詳細に記述されることになる。しかしながら、本発明はまた、液相分離装置の無いプラントおよび方法にも適用できることを理解されたい。
溶媒中の1つまたは複数のオレフィンモノマーの供給物を供給するための手段は、任意の適切な装置であってよいが、モノマーのそれぞれを、共通の供給物の導管へ供給するための導管、再循環溶媒を供給するための導管(また一部の残留するモノマーを含有することが多い)、新鮮な溶媒を供給するための導管、および供給物を反応器または複数の反応器へとポンピングするため、および供給物を所望の圧力へと加圧するためのポンプまたは複数のポンプを通常含むことになる。
【0045】
本発明の第1、第2および第5から第8の態様における反応器配置は、単一の反応器または複数の反応器であってよく、好ましくは、反応器が連続して、または任意選択で並行して配置されている、2つの反応器の配置であってよい。各反応器は、連続的撹拌タンク反応器であってよい。
【0046】
プラントは、反応器または複数の反応器の上流に、供給物の圧力を必要レベルまで、例えば75バールまたは80バールより上に上昇させるための1つまたは複数のポンプを含む。任意選択でこの反応器への供給物の供給ライン、または各反応器への供給物の供給ラインは、ポンプ、例えば、溶媒の圧力を必要レベルまで上昇させるための遠心ポンプ(溶媒は、再循環残留モノマーを含有してもよい)および分離ポンプ、例えば各新鮮なモノマーの圧力を必要レベルまで上昇させるためのダイヤフラムポンプを含み、溶媒およびモノマーをポンプの下流で合わせる。しかしながら、モノマーまたは複数のモノマーを溶媒ポンプの上流で合わせることによって、合わせた供給物を、単一のポンプで所要圧力まで上昇させ、これによって、モノマーのための別個のダイヤフラムポンプの必要性が回避できるようにすることが好ましい。任意選択で、単一のポンプは遠心ポンプである。当然ながら、2つの反応器が存在する場合、各反応器は、その反応器への供給物を所要圧力まで上昇させるための別個のポンプを備える。この手法は、エチレンがイソヘキサンおよびn−ヘキサンなどの炭化水素溶媒中に容易に溶解することから、エチレンは低圧でプラントに供給され、したがって本方法により、エチレンを所要圧力までポンピングするための別個のポンプまたは複数のポンプまたはコンプレッサーの必要性が回避されるという特定の利点を有する。エチレンは、任意の適切な手段で溶媒流に混合することができる。例えば、エチレンは、溶媒を運ぶ導管にスパージすることができる。スパージングは、単一のスパージ口を介して行うことができ、または好ましくは2つ以上のスパージ口を介して行うことができる。このスパージ口は、ポンプ吸引に到達する前にエチレンが十分に溶解されるよう、ポンプから十分遠い上流の地点に、例えばポンプから少なくとも5メートル、好ましくは少なくとも10メートル上流に配置されるべきである。
【0047】
より軽いモノマーがより多く使用される場合、圧力を、例えば20バールより上に、または任意選択で75または80バールより上に、任意選択で上昇させることによって、広範囲な温度および重合条件下において、反応器または複数の反応器内での2相状態の形成が回避される。それ故多種多様な触媒を本方法において使用することができる。このような広範囲な触媒を使用することによって、最適化された生産条件下で高いおよび/または低い平均分子量材料を作製することができる。一実施形態において、反応器と液相分離装置の間に、粘性の重合混合物の圧力を押し上げるための別個のポンプを使用することを回避することができる[このようなポンプは、低粘度供給物ポンプよりはるかに高価である]。ポンプの圧力はまた、工程全体を介して伝達され、初期の溶媒分離段階のための蒸発が無いことと合わせて、最終加工の間の全体のポンピングの必要性が減少する。ポンプの圧力は、圧力減少手段の前に相分離を起こすことなく、粘性の重合混合物を液相分離装置の上流の圧力減少手段まで前進させる。本発明の好ましい形態において、ポンプの圧力は、分離した相のうちの1つまたは両方をさらに下流の分留システムまたは精製手段、例えば高圧フラッシュ分離装置または低圧フラッシュ分離装置などへとさらに前進させる。代替の実施形態では、液相分離は存在せず、ポリマーの単離は、フラッシュタンクまたは他の手段内での揮発物の蒸発により達成される。
【0048】
好ましくは、触媒キラーは、反応器または複数の反応器の下流で添加される(連続した反応器の場合、これはキラーが最後の重合反応器の下流で添加されることを意味する)。触媒キラーは、分離されている加熱した重合混合物のさらなる重合を抑制するための加熱設備および液相分離装置の上流に添加されてもよく、低含有相は、冷却装置を通過し、この冷却装置は、熱統合交換器および最終の冷却器を含んでもよく、ポンプ入口側の裏の乾燥器を含んでもよく、ポリマー高含有相は、固体ポリマーを得るための下流での追加の溶媒除去に供される。
触媒キラーの添加により、さらなる重合の危険性を冒すことなく、温度の増加が可能となるので、任意の余分なキラーの除去後、ポンプの入口サイド上の供給物の供給手段への、分離された溶媒およびモノマーの直接の再循環が促進される。「直接の」という用語は、低含有相は、一般的に分留する必要はないことを意味する。
【0049】
一部の既知の連続的重合方法は、触媒キラーとして水を利用する。しかし、発明者らは、メタノールはまた、触媒キラーとしても作用することを発見し、溶媒再循環に残留したポリマーにより生じる下流の付着物の量を減少させると考えられている。メタノールが使用される場合、メタノール除去に適した、再循環溶媒のための乾燥ベッド内で乾燥媒体を利用することが望ましい。例えば、乾燥ベッドは、4Åモレキュラーシーブを含有し得る。メタノールは、触媒とスカベンジャーを合わせたモルに対して5〜15モルのメタノールの量で、任意選択で触媒とスカベンジャーを合わせたモルに対して10〜30モルのメタノールの量で、反応器からポリマー含有重合混合流出液へと注入されてもよい。メタノールが使用される場合、乾燥ベッドは、水およびメタノールを除去するための3Åモレキュラーシーブおよび/またはメタノールおよびアルミナ、例えば他の触媒毒の除去のためのCDO200活性化アルミナなどを除去するための4Åモレキュラーシーブの両方を含有してもよい。
【0050】
メタノールが触媒キラーとして使用される一実施形態において、プラントは、2つの別個の乾燥ベッドを含む再循環溶媒乾燥システムを含有してもよい。第1のベッドは、4Åモレキュラーシーブを含む第1段階と、およびCDO200アルミナ(BASFから入手可能)を含む第2段階とを含有してもよい。第2のベッドは、4Åモレキュラーシーブを含有する第1段階と、CDアルミナを含有する第2段階とを含有してもよい。CDアルミナは、CDO200よりも特定のオレフィンに対してより攻撃的であるが、特定の酸素化した触媒毒を吸収するためのより大きな能力を有すると考えられている。使用の際には、2つの乾燥ベッドは、交互に使用され、一方のベッドが再循環溶媒の乾燥に採用されている間に、他方のベッドは、熱い窒素の流れを使用して再生される。
乾燥器を介する流れは、上向きまたは下向きであってよい。乾燥器を介した再循環溶媒の流れは、上向きが好ましい。これは、上向きの流れは、より均一の流れ分布を提供し、ベッド全体を使用する効率を向上させるからである。
【0051】
生産される単位ポリマー1つ当たりのエネルギー消耗は低く、溶媒回収およびエネルギー統合システム[例えば熱統合交換器など]はシンプルであることが好ましく、このようなシステムは、大気への放出を最小化するため、および液相分離装置上の流出液からの熱を回収するために採用することができる。
「液相分離装置」という用語は、この装置内で、単一相の液体混合物が2つの液相へと分離される条件に曝露されるような装置を指す。
【0052】
好ましくは、液相分離装置は、下流に配置されたフラッシュタンクに接続され、このフラッシュタンクは、液相分離装置からポリマー高含有相を受け取る。好ましくは、このフラッシュタンクは、分離用コンプレッサーを必要とせずに、気相を分留システムおよび精製システムに供給することを可能にする位十分な圧力で作動され、前記圧力は、一般的に2バールゲージ以上である。広範囲な分子量を有するポリマーの生産に適合するために、フラッシュタンク内の圧力を高レベル、例えば3〜10bargの間に上昇させることによって、溶液粘度を調整して、最終の揮発分除去段階への濃縮したポリマー溶液の供給を促進することができる。よって濃縮相から取り出した揮発相は、精製のためにフラッシュタンクの下流に配置された分留塔に、気体として単に搬送されてもよい。溶媒などが、低圧で気相中に取り除かれる一部の従来技術の設備では、抽出された揮発物は、凝縮され、それに続くさらなる分離ステップのためのポンピング手段を通過しなければならない。
【0053】
一実施形態において、低含有相は、液体形態で、重合中に添加または生成した水素を除去するための手段まで通過し、この手段は、ストリッピング気体を、向流の流れの配置で低含有相に接触させて、気相で水素を濃縮することによって、低含有相の再循環物から除去する手段を含む。
溶媒含有気体流は、プラントのいくつかの部分、例えばフラッシュタンクおよび脱揮装置などにより生成される。それらの流は通常、一緒にされ、凝縮されることによって液体溶媒が得られ、次いでこの液体溶媒を、液相分離装置からのポリマー低含有相と合わせることによって、合わせた溶媒再循環流が得られる。気体流の凝結中、これらは通常、溶媒精製塔を通過することによって、トルエンが取り出され、触媒溶媒としてシステムに入り、オクテンまたはENBなどの重いモノマーは、再循環貯蔵所に送ることができる。オクテンまたはENBなどの重いモノマーが使用されていない場合、プラントは、気体流を部分的に凝縮するための、塔のすぐ上流に配置されたコンデンサーを含んでもよい。例えば、約30質量%の気体が液体に凝縮されてもよい。次いでその液体は、塔に送られ、トルエンが分離されるが、残っている70質量%の気体は塔に送られないので、部分的コンデンサーを含まないプラントと比較して、塔の大きさを減少させることが可能となる。
液体は通常、トッププレートの上の塔に供給される。
【0054】
部分的コンデンサーは、冷却剤として水が与えられる並流のコンデンサーであってよい。この並流の配置は、普通でない状況、例えばプラントの始動時などの間に水が沸騰できないことを保証している。
溶媒精製塔の先端部からの気体流は、冷却および圧縮されることによって、混合した気体および液体流を形成してもよく、この気体流は液体と気体に分離され、液体は、ライトエンド塔の底部に供給され、気体は、ライトエンド塔の先端部に供給される。5つの床塔にこれらの流れを副流として導入することによって、より効率的な分離が得られるが、先端部および底部での導入により、3つの安価な床塔の使用が可能となる。
【0055】
液相分離装置の下流で、ポリマー高含有相は、溶媒および残留するモノマーが気化することによって、濃縮したポリマー相が残るような圧力で作動するフラッシュタンクへと入る。濃縮ポリマー相は、例えば、70質量%〜95質量%のポリマーを含み、残りは、揮発物、例えば溶媒および残留モノマーなどであってよい。気体は、オーバーヘッド流としてフラッシュタンクから分離され、濃縮ポリマー相は通常フラッシュタンクの底部で収集され、そこから、出口を通過して導管に至り、最終的に真空脱揮装置に流れる。
プラントは、好ましくはフラッシュタンクから濃縮ポリマー相を引き出すためのギアポンプなどのポンプを含み、これを脱揮装置の入口にポンプで送り込む。
【0056】
「真空脱揮装置」という用語は、この装置内で濃縮ポリマー相が真空に曝露され、その一方で撹拌により新しい表面積が曝露され、これによってさらなる残留溶媒およびモノマーの蒸発が起こり、これらが取り除かれるような装置を指す。
フラッシュタンクのすぐに下流の濃縮ポリマー相中に存在する揮発物のレベル(通常残留溶媒およびモノマー)は、任意選択で30質量%未満、好ましくは25質量%未満、およびより好ましくは15質量%未満である。脱揮装置のすぐに下流のポリマー中の揮発物のレベルは、好ましくは0.5質量%以下、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
【0057】
真空脱揮装置内の圧力は、好ましくは500mmHg以下、好ましくは55mmHg以下、好ましくは30mmHg以下である。温度は、150℃〜270℃の範囲であってよい。
本方法は、触媒系の触媒の作用を抑制するよう意味のある形で配位または妨害を行わない非極性の溶媒を使用するのが好ましい。好ましくは、本方法は、低沸騰の、アルカンベースの溶媒、任意選択でアルカン混合物を使用してもよく、このアルカン混合物は、直鎖または分岐であり、例えば4〜10個の炭素原子、好ましくは5〜7個の範囲の炭素原子を有するものなどで、任意選択でより高いまたは低い分子量の他のアルカンと混合しているものであってよい。溶媒はヘキサンが好ましい。
【0058】
一部の既知の連続的オレフィン重合方法は、溶媒としてn−ヘキサンを利用する。しかし、n−ヘキサンは、健康上の懸念が伴うので、溶媒としてイソヘキサンを使用するのが好ましい。イソヘキサンは、n−ヘキサンと比較してわずかに好ましくない熱容量を有するので、当量の反応熱を除去するために、n−ヘキサンと比較して、1または2%多くのイソヘキサンを使用することが必要となる。
ポリマーは、モノオレフィン、例えばエチレンまたはプロピレンなど、または4〜10個の炭素原子を有する他の高級α−オレフィンを主に含むモノマー由来であってよい。
上流の熱統合交換器および下流のトリム熱交換器により、反応器の重合混合物を、分離装置に到達する前に所定温度まで継続的に加熱することによって、および分離装置の低含有相を使用して、前記熱交換器のうちの上流のものに熱を供給することによって、かなりのエネルギーを保存することができる。
【0059】
本発明の方法における作動圧力は、75バール以上、80バール以上、90バール以上、95バール以上および特に120バール以上、またはさらに140バール以上とすることができる。圧力の上限は、決定的に制約されているわけではないが、通常200バール以下、好ましくは140バール以下、または120バール以下とすることができる。圧力は、圧力減少手段の点まで反応器溶液を単一相で保ち、プラント全体に渡り流体を搬送するための必要な作動圧力を提供するのに十分であるべきである。
供給物温度は、使用可能な発熱および重合温度に到達するために望まれるモノマー変換の程度に応じて異なってもよい。供給物の温度は、40℃以下、任意選択で20℃以下、任意選択で0℃以下、任意選択で−20℃以下および任意選択で−20℃から−40℃の範囲であることが有利である。重合温度は、望まれる分子量により制約され、添加される任意の水素の影響を受けることになる。連続した反応器による工程では、次に続く反応器の温度は、このような反応器に生じる重合の性質に応じて、連続的に徐々に上昇させることができる。エチレン由来の単位を主に含むポリマーに対する重合温度は、少なくとも100℃、好ましくは少なくとも150℃またはさらに(より低分子量の材料に対して)200℃以上が有利である。温度は、重合分解温度または触媒が重合反応を維持できる温度を上回るべきではない。
【0060】
全体の発熱は、重合反応器の入口温度と、50〜220℃または250℃までの出口温度との間の温度差動をもたらす可能性がある。例えば、マイナス40℃で供給し、210℃の温度まで発熱を上昇させることによって、より低い分子量のポリマーを作製するために極めて効率的な工程が生じる結果となり得る。より高い分子量のポリマーに対しては、反応器の混合性能を低下させ、よって非均一なポリマーをもたらし得る反応器溶液内の過剰な粘性を回避するために、増加したおよびより温かい供給物および/またはより低い反応器温度を介して、温度上昇を制約することが必要となり得る。
あるいは、ある実施形態において、供給物温度を、0℃より上の温度、例えば周辺温度、例えば約30℃またはさらにより高い温度にすることができる。これらの実施形態では、供給物を冷却するための熱交換器は、冷蔵するのではなく、冷却水を与え、これによって、コストを削減することができる。より高い温度の溶媒の再循環はまた、ポリマーの付着物により引き起こされる問題を回避することができる。しかし、断熱性工程については、供給物温度の増加により、任意の所与の全反応器供給量に対して、反応器内で作製されたポリマーの量が減少する結果となる。
【0061】
モノマー濃度は、ターゲットポリマーの種類および分子量、モノマーからポリマーへの付随する変換および作動温度に依存する。有利なことに、モノマー分圧は、重合反応器内での揮発性成分の全分圧の30%以上、特に40%以上であるべきであり、好ましくは、80%、70%または特に60%を上回るべきではない。すべての成分の全分圧は、気体泡の形成を回避するため、反応器圧力の100%未満であるべきである。一般的に、液相分離装置内の液相分離を向上させるために、より高いモノマー分圧が好ましい。
その最も広域な形態において、本発明は、任意の適切な触媒、例えば、Ziegler Natta触媒またはSSC(シングルサイト触媒)などを用いて実施することができる。SSCを使用するのが好ましい。これらは、周期表の第3〜10族の遷移金属を、重合中遷移金属と結合したままである少なくとも1つの補助配位子を一般的に含有する。好ましくは、遷移金属は、カチオンの状態で使用されるか、共触媒またはアクチベーターにより安定化される。特に好ましいのは、d0一価のカチオン状態で重合に使用され、これより以下により詳細に記載される1つまたは2つの補助配位子を有する、周期表第4族のメタロセン、例えばチタン、ハフニウムまたはジルコニウムなどである。配位重合に対するこのような触媒の重要な特徴は、抽出が可能な配位子であり、エチレン(オレフィン族)族を挿入できる配位子である。
【0062】
触媒は、かさ高い配位子の遷移金属触媒が好ましい。かさ高い配位子は、多重度の結合した原子、好ましくは炭素原子を含有し、1つまたは複数の任意選択のヘテロ原子を有する環状鎖であってよい基を形成する。かさ高い配位子は、メタロセン種類のシクロペンタジエニル誘導体であってよく、これらは単核または多核となり得る。1つまたは複数のかさ高い配位子は、遷移金属原子に結合することができる。一般に普及している科学的理論によると、かさ高い配位子は、重合過程において、一定の位置に留まることによって、均質の重合作用を提供すると仮定される。他の配位子は、遷移金属に結合または配位結合され、好ましくは、共触媒またはアクチベーター、例えばヒドロカルビルまたはハロゲン脱離基などにより脱離可能である。任意のこのような配位子の解離は、オレフィンモノマーが、ポリマー鎖へと挿入できる配位部位の生成につながると仮定されている。遷移金属原子は、元素周期表の第4、5または6族遷移金属である。遷移金属原子は、第4族原子が好ましい。
【0063】
メタロセン触媒は、気体圧力浸透圧法により判定される場合、4〜30の平均重合度を有する、アルモキサン好ましくはメチルアルモキサンであってよい共触媒と共に使用することができる。アルモキサンを改質することによって、直鎖状アルカンへの溶解性を得ることができ、またはスラリーで使用することもできるが、一般的にトルエン溶液から使用する。このような溶液は、未反応のトリアルキルアルミニウムを含んでいてもよく、アルモキサン濃度は、1リットル当たりのモルAlとして一般的に示され、この数字は、オリゴマーを形成するために反応しなかった任意のトリアルキルアルミニウムを含む。アルモキサンは、共触媒として使用される場合、遷移金属と比較して、モル過剰で、50以上、好ましくは100以上、および好ましくは1000以下、好ましくは500以下のモル比で一般的に使用される。
【0064】
SSCは、好ましくは、広範囲の使用可能なSSCの中から、SSC1グラム(例えばメタロセンなど)当たり少なくとも40,000gのポリマー、好ましくは少なくとも60,000またはさらにSSC1グラム当たり100,000gを超えるポリマーという活性で、工程条件下でポリマーが生産されるよう、作製されるポリマーの種類およびこれに付随するプロセスウィンドウに適合するようなものが選択されるべきである。最適化された触媒を選択して、異なる作動枠で異なるポリマーを作製することを可能にすることによって、任意選択で少量のスカベンジャーも使用して、SSCおよび任意の付随的触媒成分を少量で使用することができる。キラーを同様に少量で使用することができ、様々な対費用効果の高い方法を次いで導入することによって、非極性溶媒を再循環し、重合反応器(複数可)での再使用前に極性の混入物を除去するための処理を施すことを可能にすることができる。
メタロセンはまた、非配位結合または弱く配位結合されたアニオンである共触媒と共に使用することもできる。「非配位アニオン」という用語は、本明細書で使用する場合、弱く配位結合されたアニオンを含む。配位は、いずれにしても、重合が進行するにつれて明らかとなるように、不飽和のモノマー成分の挿入を可能にする位十分に弱い配位であるべきである。非配位のアニオンを供給し、当技術分野で記載されている方法のいずれかでメタロセンと反応させることができる。
【0065】
非配位アニオンに対する前駆物質を、原子価が減少した状態で供給されるメタロセンと共に使用することができる。前駆物質には、レドックス反応を行ってもよい。前駆物質は、前駆物質カチオンが中和され、および/またはいくつかの方法で排除されるイオンペアであってよい。前駆物質カチオンは、欧州特許第0277003号および欧州特許第0277004号の中のアンモニウム塩であってよい。前駆物質カチオンは、トリフェニルカルボニウム誘導体であってよい。
非配位アニオンは、ハロゲン化した、テトラアリール置換の第10〜14族の非炭素元素に基づくアニオンであってよく、特にアリール基上の、またはこれらアリール基上のアルキル置換基上の水素原子がフッ素基で置換されたものであってよい。
【0066】
本発明の効果的な第10〜14族元素の共触媒錯体は、好ましい実施形態において、4配位の第10〜14族元素アニオン錯体を含むイオン塩から誘導され、ここで、A-は、以下のように表すことができる:
[(M)Q12...Qi-
(式中、Mは、1つまたは複数の第10〜14族半金属または金属、好ましくはホウ素またはアルミニウムであり、各Qは、当技術分野で理解されている非配位アニオンとして[(M’)Q12...Qn-を適切なものにする、電子的効果または立体効果を提供するのに効果的な配位子であり、または十分な数のQは、[(M’)Q12...Qn-が、全体として、効果的な非配位または弱く配位したアニオンであるようなものである)。例示的Q置換基は、具体的にフッ化アリール基、好ましくはパーフルオロ化アリール基を含み、フッ素置換に加えて置換基を有する置換されたQ基、例えばフッ化ヒドロカルビル基などを含む。好ましいフッ化アリール基として、フェニル、ビフェニル、ナフチルおよびこれらの誘導体が挙げられる。
【0067】
非配位アニオンは、遷移金属成分に対してほぼ等モルの量、例えば少なくとも0.25、好ましくは0.5、および特に0.8、ならびに例えば4以下、好ましくは2および特に1.5の量で使用してもよい。
【0068】
代表的メタロセン化合物は、以下の式を有することができる:
ABCiMDE
(式中、LAは、Mにπ−結合した、置換シクロペンタジエニルまたはヘテロ−シクロペンタジエニル補助配位子であり、LBは、LAに対して定義された補助配位子の種類の構成員であるか、またはJ、すなわちMにσ−結合したヘテロ−原子補助配位子であり、LAおよびLB配位子は、第14族元素連結基を介して一緒に共有結合で架橋されていてもよく、LCiはM(iは、0〜3に等しい)への与格結合を有する、任意選択の中性の、非酸化配位子であり、Mは、第4または5族遷移金属であり、DおよびEは、独立してモノアニオン性の不安定な配位子であり、それぞれMへのσ−結合を有し、任意選択で互いにまたはLAもしくはLBと架橋している)。モノアニオン性配位子は、適切なアクチベーターにより置換可能であることによって、重合可能なモノマーの挿入を可能にし、またはマクロモノマーは、遷移金属成分の空の配位部位上に配位重合のために挿入できる。
SSCとして使用可能な代表的な非メタロセン遷移金属化合物として、テトラベンジルジルコニウム、テトラビス(トリメチルシリルメチル(trimethylsiylmethyl))ジルコニウム、オキソトリス(トリメチルシリルメチル(trimethlsilymethyl))バナジウム、テトラベンジルハフニウム、テトラベンジルチタン、ビス(ヘキサメチルジシラジド(disilazido))ジメチルチタン、トリス(トリメチルシリルメチル)二塩化ニオブ、およびトリス(トリメチルシリルメチル)二塩化タンタルも挙げられる。
【0069】
本発明によるオレフィン重合触媒として適切な追加の有機金属の遷移金属化合物は、配位子抽出により、触媒として活性のあるカチオンへと変換することができ、エチレンなどのオレフィン系で、不飽和モノマーで置換される位十分に不安定な非配位のまたは弱い配位のアニオンによりその活発な電子の状態で安定化している第3〜10族のいずれかである。
より好ましいのは、第4族遷移金属のビスシクロペンタジエニル誘導体、好ましくはジルコニウムまたはハフニウム、例えば、国際公開第9941294号に開示されているようなメタロセンである。これらは、有利には、例えば、国際公開第99/45040号および国際公開第99/45041号に開示されているような、単一の炭素およびケイ素原子に接続しているフルオレニル配位子およびシクロペンタジエニル配位子を含有する誘導体であってよい。より好ましくは、Cp環は、非置換であり、および/または架橋は、メタロセンのアルカン溶解性を援助するための、アルキル置換基、適切にはアルキルシリル置換基を含有する。
【0070】
Dowは、欧州特許第0418044号で、欧州特許第0416815号のものと同様のモノシクロペンタジエニル化合物を開示している。同様の化合物は、ExxonMobilの欧州特許第0420436号に記載されている。国際公開第97/03992号においてSumitomoは、単一のCp化学種およびフェノールが、CまたはSi連結、例えばMe2C(Cp)(3−tBu−5−Me−2−フェノキシ)TiCl2などで連結されている触媒を示している。国際公開第2001/05849号において、Novaは、Cp−ホスフィンイミン触媒、例えば(Cp)((tBu)3P=N−)TiCl2などを開示している。
【0071】
他の適切なメタロセンは、分子量を増加する効果を有し、したがって、より高い温度での重合を間接的に可能にする部分を有する縮合環上の1つまたは複数の位置で置換されていてもよいビスフルオレニル誘導体または非架橋のインデニル誘導体、例えば欧州特許第0693506号および欧州特許第0780395号に記載のものなどであってよい。
【0072】
上述した触媒を使用する場合、全部の触媒システムは、一般的にスカベンジャーとして1つまたは複数の有機金属化合物をさらに含むことになる。このような化合物は、本出願に使用された場合、この反応環境から極性不純物を除去するため、および触媒活性を増加させるために効果的であるような化合物を含むことを意図する。不純物は、重合反応成分のうちのいずれかと共に、特に溶媒、モノマーおよび触媒供給物と共に不注意に導入される可能性があり、触媒活性および安定性に不利な影響を与える。これは、特にイオン化アニオン前駆体が触媒系を活性化させる場合、触媒活性の減少、または排除さえもたらし得る。不純物、または触媒毒は、水、酸素、極性有機化合物、金属不純物などを含む。このような毒がこの反応物容器に導入される前に、例えば化学的処理または慎重な分離技法によって、様々な成分の合成または調製の後または調製中に、これらの毒を除去するための処理がとられるのが好ましいが、いくらかの微量な有機金属化合物が、依然として重合工程それ自体において通常使用されることになる。
【0073】
通常これらの化合物は、有機金属化合物、例えば米国特許第5,153,157号、米国特許第5,241,025号および国際公開第A−91/09882、国際公開第A−94/03506、国際公開第A−93/14132の第13族の有機金属化合物および国際公開第95/07941のものなどである。例示的化合物として、トリエチルアルミニウム、トリエチルボラン、トリ−イソブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、メチルアルモキサン、およびイソブチルアルモキサンが挙げられる。アルモキサンはまた、スカベンジング量で、他の活性化手段と共に、例えばメチルアルモキサンおよびトリ−イソブチル−アルモキサン(aluminoxane)をホウ素ベースのアクチベーターと共に使用することもできる。触媒化合物と共に使用するこのような化合物の量は、過剰量は触媒毒として作用する可能性があるので、重合反応の間、活性を増強するのに効果的な量(二重の役割で使用する場合、触媒化合物の活性化のために必要な量)まで最小化する。好ましいスカベンジャーはTNOAであり、これは、コストを削減し、安全性を向上させるために、溶液中ではなく、純粋なものを導入することが好ましい。
【0074】
本方法に使用される工程およびプラントは、上記で説明されているように、多種多様なポリマー種類および分子量の重合を可能にすることを目的とする。一般的に言えばポリマーは、主要成分(50モル%より多い)としてエチレンまたはプロピレンのいずれかから誘導される。ポリマーは、結晶化度および可動性が変動するよう、5〜40モル%のコモノマーを含有することが好ましこともある。コモノマーは、2〜20個の炭素原子を有するα−オレフィン(この用語の中には、環状鎖オレフィン、例えばスチレンなどが含まれる)、例えばエチレン(プロピレン由来の単位から主になるポリマーの場合)、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどであってよい。ジエン、例えばヘキサジエン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン(ENB)、ノルボルナジエンなどの量が含まれていることによって、重合したモノマー由来単位から作製される長いブランチそれ自体の不飽和および/または形成を促進することができる。
【0075】
プラストマーの場合、作製することができるポリマーは、以下の態様を含む:好ましくは、コモノマーは、3〜15個の炭素原子、より好ましくは4〜12個の炭素原子およびより好ましくは4〜10個の炭素原子を有するα−オレフィンである。エチレンは、少なくとも2つのコモノマーと重合することによって、ターポリマーを形成することができる。モノマーは、70.0〜99.99、好ましくは70〜90およびより好ましくは80〜95または90〜95モル%のエチレンと、0.01〜30、好ましくは3〜30およびより好ましくは5〜20モル%のコモノマーの割合で一般的に重合する。本特許明細書の目的のため、ポリマーの分子量分布は、Ultra−styrogel 5コラムおよび屈折率検出器を備えた、Waters Gel Permeation Chromatographを用いて判定することができる。機器の作動温度は、145℃に設定し、溶離液は、トリクロロベンゼンであり、キャリブレーション基準は、分子量が正確に知られている、分子量500から分子量520万の範囲の、16のポリスチレン、およびポリエチレン標準、NBS1475.10が含まれていた。本発明において生産されたプラストマーの分子量分布は、「狭い」と呼ばれ、すなわちMw/Mnが3未満、好ましくは2.5以下である。本発明のポリマーのMIは、一般的に、0.01dg/min〜200dg/min、好ましくは0.1dg/min〜100dg/min、より好ましくは0.2〜50dg/minおよびより好ましくは10dg/min未満の範囲である。プラストマーの予期される密度は、0.85〜0.93g/cm3、好ましくは0.87〜0.92g/cm3、より好ましくは0.88〜0.91g/cm3の範囲である。
【0076】
本発明は、1つまたは複数のモノマー、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1,4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよびスチレンなどの環状鎖オレフィンのα−オレフィンモノマーの重合を含めた共重合反応について特に関する。他のモノマーとして、極性ビニル、ジエン、ノルボルネン、アセチレンおよびアルデヒドモノマーなどを挙げることができる。
【0077】
エラストマーの場合、作製し得るポリマーには、高い質量平均分子量(Mw)のエチレン−α−オレフィン−EODE(エチレン−α−オレフィン−ジエンエラストマー)および0.3質量%を超えるジエン含有量、好ましくは2.0質量%を超えるジエン含有量のターポリマーが含まれる。これらのポリマーは、大部分がアモルファスであってよく、融合熱が低くてもよく、またはゼロであってよい。本明細書で使用する場合、「EODE」という用語は、エチレン、a−オレフィン、および1つまたは複数の非共役ジエンモノマーから構成される弾性ポリマーを包含する。非共役ジエンモノマーは、6〜15個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状鎖の炭化水素ジエンであってよい。適切な非共役ジエンの例として、直鎖非環式ジエン、例えば1,4−ヘキサジエンおよび1,6−オクタジエン;分枝鎖非環式ジエン、例えば5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエンなど、およびジヒドロミリセンとジヒドロオシネンの混合アイソマー;単環式脂肪族ジエン、例えば1,4−シクロヘキサジエンなど;および1,5−シクロドデカジエン;および多重環型環式脂肪族縮合したおよび架橋した環式ジエン、例えばテトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン;ビシクロ−1,5−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエンなど;アルケニル、アルキリデン、シクロアルキリデンノルボルネン、例えば5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエンなどが挙げられる。
【0078】
EPDMを調製するために通常使用するジエンの中でも、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および1,4−ヘキサジエン(HD)である。好ましいEODエラストマーは、20質量%〜90質量%までのエチレン、より好ましくは30質量%〜85質量%のエチレン、より好ましくは35質量%〜80質量%のエチレンを含有し得る。エチレンおよびジエンと共にエラストマーの調製に使用するのに適切なα−オレフィンは、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−ドデセンである。α−オレフィンは一般的に、10質量%〜80質量%、より好ましくは20質量%〜65質量%の量でEODEポリマー中に取り込まれる。非共役ジエンは一般的に、0.5質量%〜20質量%〜35質量%;より好ましくは1質量%〜15質量%、より好ましくは2質量%〜12質量%でEODE中に取り込まれる。所望する場合、複数のジエン、例えばHDおよびENBなどを、上に特定された制限内で全ジエンを取り込むことで、同時に取り込むこともできる。
【0079】
エラストマーはまたジエンを含まなくてもよく、2つのモノマー種類のコポリマーであってよい。このようなコポリマーは、高いMw、低結晶化度、および低灰分のエラストマーであってよい。このコポリマーは、高いMwのエチレン−α−オレフィンコポリマー(EPC)であってよい。本明細書で使用する場合、「EPC」という用語は、エラストマーの特性を示す、エチレンとα−オレフィン(必ずしもプロピレンでない)のコポリマーを意味する。エチレンとのエラストマーの調製に使用するのに適したα−オレフィンは、好ましくはC3〜C10α−オレフィンである。このようなα−オレフィンの例示的非限定的な例は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−ドデセンである。所望する場合、複数のα−オレフィンを取り込むこともできる。EPCエラストマーは、20質量%〜90質量%までのエチレン、より好ましくは30質量%〜85質量%のエチレン、より好ましくは35質量%〜80質量%のエチレンを含有し得る。
プロピレン由来の単位から主に由来するポリマーの場合、ポリマーは、鎖内のアイソタクチックポリプロピレン配列が存在する結果として、以下の機能を有する。
【0080】
プロピレンと少なくとも1つのコモノマーのコポリマーである一実施形態において、このコモノマーは、エチレンまたはα−オレフィンである。コモノマーは、エチレンおよび直鎖のまたは分岐のC4〜C30α−オレフィン、またはその組合せを含む。好ましい直鎖のα−オレフィンとしてエチレンおよびC4〜C8α−オレフィン、より好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテン、さらにより好ましくはエチレンまたは1−ブテンが挙げられる。好ましい分岐のα−オレフィンとして、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、および3,5,5−トリメチル−1−ヘキセンが挙げられる。プロピレンコポリマーは、用語が本明細書中で以下に定義されているランダムコポリマーが好ましい。
ポリプロピレンコポリマーは、2%〜65%の結晶化度を有する。この結晶化度の範囲内で、結晶化度の代替の下限は、5%または10%とすることができ、結晶化度の代替の上限は、50%、45%または40%とすることができる。
【0081】
ポリプロピレンコポリマーの結晶化度は、コポリマー内のアイソタクチック(またはあるいはシンジオタクチック)ポリプロピレン配列から誘導される。プロピレンの量は、65質量%〜95質量%とすることができる。この範囲内で、プロピレン含有量の代替の下限は、70質量%または80質量%とすることができ、プロピレン含有量の代替の上限は、92.5質量%、90質量%、または89質量%とすることができる。
半結晶性ポリプロピレンコポリマーは、結晶化度が測定可能なため、融合熱は必ずしもゼロでない。結晶化度は、100%結晶化度に対する好ましい値189J/gおよび融合熱と結晶化度の間の直線的関係を使用して、融合熱から計算することができる。B. Wunderlich, Macromolecular Physics, vol.3, Academic Press(1980), esp. Chapter 8.4.2.を参照されたい。
【0082】
ポリプロピレンコポリマーは、好ましくは単一の広域融解転移を有する。通常、ポリプロピレンコポリマーの試料は、主要なピーク近くに第2の溶融ピークまたは段部を示すことになり、この組合せは、単一の融点、すなわち単一の広域融解転移として一緒に考えられる。これらピークの最高は、融点と考えられる。ポリプロピレンコポリマーは、25℃〜110℃の融点を有することが好ましい。この範囲内で、融点の代替の下限は、30℃または35℃とすることができ、融点の代替の上限は、105℃または90℃とすることができる。
ポリプロピレンコポリマーの質量平均分子量は、10,000〜5,000,000g/モル、好ましくは80,000〜500,000とすることができる。MWDは、2より上が好ましい。MWDは、40未満、より好ましくは5未満およびより好ましくは3未満であってよい。別の実施形態において、ポリプロピレンコポリマーは、100未満、より好ましくは75未満、さらにより好ましくは60未満、より好ましくは30未満の125℃でのML(1+4)を有するのが好ましい。
【0083】
ポリプロピレンコポリマーは、狭い組成分布を有するランダムな、結晶化可能なコポリマーが好ましい。ポリマーの分子間組成分布は、溶媒中の熱分留で判定される。典型的な溶媒は、飽和した炭化水素、例えばヘキサンまたはヘプタンなどである。熱分留の手順は、以下に記載されている。通常、約75質量%、より好ましくは85質量%のポリマーを、すぐに前のまたはすぐ後の留分においてポリマーのバランスをとり、1つまたは2つの隣接する可溶性留分として単離する。これらの留分のそれぞれは、ポリプロピレンコポリマーの平均質量%のエチレン含有量から、20%(相対的)以下、より好ましくは10%(相対的な)以下の差を有する組成(質量%のエチレン含有量)を有する。本発明の開示の目的のため、上記に概略が示された分留試験を満たす場合、ポリプロピレンコポリマーは、「狭い」組成分布を有すると考えられる。
好ましいポリプロピレンコポリマーの立体規則性プロピレン配列の長さおよび分布は、実質的にランダムな統計的共重合と一致する。配列長さおよび分布は、共重合反応性比と関連していることは周知である。本明細書で使用する場合、「実質的にランダム」という用語は、反応性比の積が一般的に2以下であるコポリマーを意味する。対照的に、ステレオブロック構造において、PP配列の平均の長さは、同様の組成を有する実質的にランダムなコポリマーの長さを超える。ステレオブロック構造を有する従来技術のポリマーは、ランダムな、かなり統計的分布ではなくこれら「塊状」構造と一致したPP配列の分布を有する。
【0084】
ポリマーの反応性比および配列分布は、C−13 NMRにより判定することができ、これは、近くのプロピレン残基との関連でエチレン残基を位置づける。必要とされるランダムさおよび狭い組成分布を有する結晶化可能なコポリマーを作製するためには、(1)シングルサイト触媒;および(2)好ましいポリプロピレンコポリマーの実質的にすべてのポリマー鎖のための単一の重合環境しか可能にしない、よく混合した、連続的な流れの、撹拌タンク重合反応器を使用するのが望ましい。
好ましいプロピレン−エチレンコポリマーは、米国特許第6,635,715号に記載されている。
【0085】
ポリマー分子量が低すぎる場合の一般的ガイダンスとして、本明細書中に記載されている方式での液相分離は、妨害されるか、または非効率である場合がある。さもなければ過剰な量のポリマーが低含有相に送り込まれる可能性がある。正確な境界は、溶媒の組成およびポリマーの組成ならびに分子量による。一般的に20バール/秒を超える、好ましくは30バール/秒以上、より好ましくは40バール/秒以上、さらにより好ましくは50バール/秒以上の急速な圧力の低下は、2つの相の遊離の誘発を助ける。この急速な圧力の減少は、好ましくはバイノーダル境界またはLSCTより上の圧力から開始し、スピノーダル境界より下の圧力で停止する。好ましい相分離は、スピノーダル分解によるものであり、圧力誘発性相分離(PIPS)と呼ばれている。液相分離装置はまた、分離装置の下端の低含有相および濃縮相の沈降が可能となるような十分な滞留時間を提供すべきである。
【0086】
分子量制御は、水素レベルの制御を介して行われるべきであり、重合温度の制御による分子量制御を補助することができる。
低含有相は、重合中に添加または生成した水素を除去するための手段に、液体の形態で回されてもよく、この除去手段は、ストリッピング気体を、向流の流れの配置において低含有相と接触させることによって、低含有相の再循環から除去するため、気相内の水素を濃縮するための手段を含む。
【0087】
ストリッピング気体は、エチレンなどの揮発性モノマーからなることが好ましい。ストリッピング気体は、窒素などの不活性ガスであってよい。この手段は重合供給物として使用するための回収した溶媒流から水素を除去するためのストリッピング容器を含み得る。ストリッピング気体は、低い水素含有量、好ましくは5mppm以下の水素含有量を有するのが有利である。ストリッピング気体は、他のモノマーまたは溶媒成分よりも揮発性があり、重合触媒に有害な混入物を実質的に含まず、プラント回収系において回収可能であり、別個の追加の加圧の補助なしでストリッピング容器へと導入される位十分に高い供給圧力で好ましくは使用可能であるように選択することができる。
本実施形態は、反応器が連続して作動するように配置されているプラントレイアウト、水素なし、または低い水素条件下で上流反応器が作動することによって、より高い分子量の留分が得られるプラントレイアウト、ならびに水素が下流の反応器に添加されることによって、より低い分子量の留分が得られるプラントレイアウトに特に適用できる。
図1に関して、連続的溶液重合のためのプラントが、以下の通り配置される。
【0088】
重合およびポリマーおよび溶媒の初期の分離
重合用供給物は、遠心ポンプ(3)により導管(2)を通過する。この供給物は、以下を含有する:A)イソヘキサン(溶媒として)、B)モノマー(一般的に主なモノマーは、エチレンまたはプロピレン)、および任意選択でC)コモノマー(任意の共重合可能なα−オレフィンであってよい)および任意選択でD)ジエンまたは他のポリエンまたは環状鎖共重合可能な材料。供給物は、冷却機または冷却器(6)を通過し、この中で、供給物は、連続してまたは並行に作動している2つの連続的撹拌タンク反応器8(簡潔にするため図1には1つの反応器だけしか表されていない)における、続いて起こる断熱性重合のため、低温に冷やしてもよい。アクチベーターおよびメタロセン触媒は、前もって混合し、5および/または7で、1つまたは両方の反応器8に添加することができる。スカベンジャーは、一般的にアルキルアルミニウムの形態、例えばトリ−イソブチルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムなどが、4で添加されることによって、触媒活性に対する供給物および反応器内での毒の影響が最小化される。
重合温度の制御により提供される、分子量制御を補助するために、水素を、導管(示されていない)を介して1つまたは両方の反応器に添加することができる。
【0089】
反応器8から導管11にかけて出現するポリマー含有重合混合物は、最初に触媒キラー、水または好ましくはメタノールで処理され、イソヘキサン溶媒中の分子溶液中に10で添加されることによって、重合反応を終結させる。
重合流出液へのキラーの混合は、流出液がそこを通過し、キラー用の注入点を有する小さな容器の中の撹拌機を使用して行うことができる。あるいは、静的混合機を使用することによって、キラーを重合流出液に混合することができる。これにより、撹拌機および撹拌機シールの必要性が回避されるが、静的混合機を介して流出液を推し進めるために、反応器内の圧力を増加させることが必要とされる。
【0090】
熱交換器12は、熱統合配置の一部として配置され、液相分離器14内の上部層20から出現するポリマー低含有相により加熱され、導管11内のポリマー含有重合反応器流出液の温度の初期増加を提供する。水蒸気、熱いオイルまたは他の高温流体で加熱されたトリム熱交換器16は、液相分離に適切なレベルまで温度をさらに増加させる。次いで溶液は降下弁18を通過するが、この降下弁18において圧力の急降下が生じ、これがポリマー−含有重合反応器流出液の分離を引き起こし、ポリマー低含有相20およびその下のポリマー高含有相22へと沈降する。
【0091】
再び図1を参照すると、上述の熱交換器12で冷却した後、低含有相20を冷却装置24でさらに冷却し、水素をストリッピングすることに適応させたサージタンク26を通過し、次いで溶媒内のモノマーおよびコモノマーの濃度を判定するためのインライン化学的分析を43で施す。この冷却した低含有相43を、溶媒とモノマー30の新鮮な供給物と合わせることによって、所望の濃度を得て、次いで、触媒キラーとして使用した、もしくは供給された新鮮な供給物中に存在する任意の未反応メタノール、またはこれから説明される再循環溶媒およびモノマー中の任意の不純物を除去する働きをする乾燥器32を通過させる。
【0092】
サージタンク26は、図2に示されているように、ストリッピング気体としてエチレンを用いて水素をストリッピングするのに適切な容器26の形態で配置されている。冷却器24から支給される低含有相は、導管27を通過して、その上部の部分のオーバーヘッド空間の中の容器26の内側に位置する液体分配器配置300へと至る。液体分配器は、底部上に穴302を有する穴のあいた導管分配器からなる。分配器は、容器26の中で下向きに低含有相をスプレーする。低含有相は、容器26の下部で収集される。供給物導管2に添加されるエチレンの一部は、ライン25を介してストリッピング気体として提供される。ストリッピング気体は、容器の下部で収集された低含有相の中に沈んでいる、容器26の中に位置する気体スパージャー機器304に供給される。この気体スパージャーは、同軸に配置された複数のリング上に配置された、複数のディスクである微小孔のある媒体303からなる。気体泡は、気体スパージャー機器304から液体を介して表面へ、オーバーヘッド空間へと上昇する。オーバーヘッド空間内の気体は、以下に記載のさらなる処理のための導管308を通過する。下部の液体は、以下に記載される通り処理のための導管310を通過する。
【0093】
容器26の中で、液体供給物27およびストリッピング気体25の向流の流れが生じる。ストリッピング気体の泡が液体を介して上昇する段階において、気体中のエチレンは、液体に溶解し、液体中の水素が泡により取り込まれる。したがって、導管310を介して支給される液体は、エチレンを多く含み、これは再循環すると、重合の対象とすることができる。最初の平衡段階は、こうして近似させることができる。容器26の気体空間において、第2の平衡段階へ近似させることができるように、上昇性の気体が、ノズル302から支給される霧状の液体粒子からより多くの水素を抽出する。よって導管308を介して支給される気体は、ノズル302を介して導入される液体中に含有される水素の大部分を含有している。実質的に、分離の2つの平衡段階は、単一のフラッシュ容器内で達成することができる。低含有相内に存在する80%を超える、時には90%を超える、時には97%を超える水素をこのように除去することができる。
【0094】
供給されるストリッピング気体はエチレンであり、エチレンは、本方法に固有の揮発性モノマーである。その使用は、追加の運転経費および原料消費を最小化する。溶媒アキュムレーターに入る再循環溶媒からの水素のストリッピングに、窒素または他の不活性ガスを交互に使用することは有利となり得る。しかし、このようなガスは、ライトエンドコンプレッサーへの荷重を増加させ、プラントからのモノマーを含めた全部のパージ速度が結果としてより高くなり得る。
導管308からの気体は、塔36の逆流ドラム39へ送られる。これを処理することによって、導管43を介して乾燥器32の入口サイドに至る再循環用の分留塔36およびそのオーバーヘッド気体加圧/凝結系により、一部には貴重な成分を回収し、主として揮発性モノマー例えばエチレンおよびプロピレンなどを回収する。水素および任意の他の非凝縮物質を含む部分は燃やしてもよい。
【0095】
あまり好ましくない代替は、低含有相再循環の部分に対して、ストリッピング気体を添加することなく、単一段階フラッシュ容器内でフラッシュすることである。しかしこれによる水素除去には限りがあり、エネルギー集中型蒸発工程なしに低含有相をその液相の状態で再循環させるという利点を失う。
メタロセン触媒系を使用した単一反応器および連続した反応器の配置において、β水素化物抽出により、水素が反応器に注入されない場合でも、異なる量の水素を作製することができる。量は、選択したメタロセンにより変動し得る。その分子量削減効果は、反応器作動温度の適切な選択により適合させることができる。この水素の多くの量が、反応器流出液流11中で未反応のままである可能性がある。上述した方法でこの流れの中で再循環された水素の量を削減することは、生成した水素の除去による、または外部ソースからの、一般的に供給物導管2の中での水素添加による、重合作動温度から独立した分子量の調整を可能にするために有利となり得る。
【0096】
本明細書中に記載されているような連続した反応器の作動において、水素を除去する能力を有利に利用することによって、反応器間の分子量分割を広げ、別の方法では可能であろう範囲を超えて分子量分布を拡大できる。上流反応器に供給された供給物は、β水素化物の排除により生成された水素が再循環内にとどまっていた場合に得られたであろう量より低い水素含有量を有することができる。追加の余分な水素を下流の反応器に添加することによって、β水素化物の排除からの水素が再循環物中にとどまった場合に残る含量よりも高い水素含有量を得ることができる。
よって、効果的な水素の除去により、連続した反応器レイアウトで生産された二峰性組成物の範囲の増加を可能にする施設が得られる。効果的な水素の除去は、これらがβ水素化物の排除を介して水素を生成する傾向、またはこれらの重合混合物中の水素の存在に対する感受性に関わらず、より広域な範囲のメタロセン触媒系の選択も可能にする。
【0097】
高級オレフィン供給流の一部、例えばブテンなどは、これらのα−オレフィン含有量からモノマーとして高く評価される。しかし、このようなモノマー流は、触媒活性を損なう可能性のあるα−オレフィン以外の、少量の、通常10質量%未満、時には1質量%未満、時にはさらに0.1質量%未満の不活性な飽和炭化水素、例えばプロパンおよび/またはブタンなど、および時には他のアイソマーおよびジ−オレフィン、例えばブタジエンおよび/またはイソブチレンおよび/またはモノオレフィンなどを含有することが多い。このような種はまた、連鎖移動剤として作用し、これによって、反応器内で作製されたポリマーの分子量を減少させることが見出されている。さらに、これらの軽い不純物、例えばプロパン、ブタン、ジ−オレフィン、および切望しないアイソマーなどは、反応器供給物へと導入することができる新鮮なモノマーの量を縮小するレベルにまで再循環溶媒中で濃縮させてもよい。なぜならこれらは、時には、反応器供給物ポンプ内で泡の形成を引き起こし得るレベルまで気体圧力を増加させるからである。この現象は、ポンプにダメージを与える可能性がある。このような種はまた、ポリマー、溶媒、残留モノマーなどの混合物の全体密度を減少させる可能性があるが、この混合物は、反応器流出液であるので、この混合物の本体から分離したポリマーで製品ヒーター16を汚すことになる。これらすべての理由により、冷却機39を出るライトエンド流からより多くのガスをパージすることによって、これらの切望しない種を高速の速度でストリッピングすることが有利である。これは、コンプレッサー放出圧力を減少させ、ならびに/またはコンプレッサー下流の冷却器およびフラッシュドラムの作動温度を増加させることにより遂行することができる。
【0098】
ポリマー高含有相の処理
濃縮したポリマー高含有相は、蒸発した溶媒およびモノマーが、液相分離器14から出現する、より濃縮したポリマー溶液から分離される低圧分離器34まで通過する。
【0099】
蒸発した溶媒およびモノマー相は、気相内の導管35を通過して、蒸留により作動する精製塔36に至ることによって、一方では、極めて揮発性の溶媒および未反応のエチレンおよびプロピレンの軽い留分と、他方では、より重い、揮発性の低い成分、例えばヘキサン、および触媒またはアクチベーターおよび未反応のジエン種のコモノマーを溶解するために使用した任意のトルエンとに分離される。トルエンの使用により、触媒成分および触媒調製条件、例えばわずかなトルエンしか存在しないので、トルエン除去のための分離工程が必要とされないような点に到達するまで、触媒成分の溶解性を増加させるための触媒溶液温度の増加などの適切な選択により、適切な状況下で減少させることができる。
【0100】
ギアポンプ38は、これまでにさらに濃縮しているポリマーを、真空脱揮押出し機または撹拌機40に搬送し、ここで気相は再び精製のために取り除かれ、凝縮され、次いでポンプで精製塔50へと送られる。触媒溶媒として使用したトルエンの重い留分およびジエン、例えばエチレンノルボルナジエン(ENB)コモノマーまたは1−オクテンコモノマーなどがこの精製塔50で回収される。ENBまたはオクテンは、出口54を介して再循環することができる。代替の重いコモノマー、例えばENBおよびオクテンなどは、これにより別個の貯蔵容器55、56に貯蔵することができ、これによって、異なる製品ファミリー間(例えばEP(D)MおよびEOプラストマー))の急速な製品の移行を促進しながらその一方で、貴重な未反応のコモノマーも依然として最終的に回収することができる。この可能性は、多種多様な異なる製品を作製するための本方法の柔軟性をさらに増強する。
40から出現するポリマー溶融物は、次いで水中ペレタイザー内でペレット化することができ、42で冷やした水が与えられ、洗浄され、44で脱水されることによって、46での袋詰めまたは梱包に適したペレットが形成される。
【0101】
脱揮装置からの気体を処理することによって、溶媒を回収および再循環させる。一実施形態において、気体は、洗浄塔、冷蔵された熱交換器、次いで一連のコンプレッサーおよびポンプを通過することができる。最終ポンプは、液体凝縮物をドラムへ供給する液体リングポンプであり、このドラムから気体は、燃焼へと進む。任意選択で、ブタンおよびプロパンおよび他のC4混入物の燃焼への運搬を助けるために液体リングポンプから放出される液体凝縮物へと窒素をスパージする。窒素の添加は、温度の上昇から独立してもしくはこれと共に同時に、または図1の機器39の下流のライトエンドコンプレッサーの作動を減少させることによって行ってもよい。
【0102】
図3は、本発明の第1、第2、第3および第4の態様による配置の一実施形態を示している。図3は、第1の反応器101および並行して作動するように配置された第2の反応器102を有する重合プラントの一部を示している。各反応器は、オーバーヘッドモーターで駆動する垂直のスターラーシャフトを備えた連続的撹拌タンク反応器である。図3はまた、各反応器のための供給物ブレンディング手段を示す。パイプラインからの水素は、ライン103および104を介して供給され、TNOAの形態のスカベンジャーは、ライン105および106を介して、貯蔵所タンク(示されていない)から供給され、新鮮なエチレンは、導管107および108を介して低圧パイプライン(示されていない)から供給される。再循環されたイソヘキサンと生成イソヘキサンの混合物であり、また少量の残留エチレンを、任意選択により添加したプロピレンおよび1−ブテンと共に含有するイソヘキサンは、ライン109および110を介して入る。エチレン供給ライン107は、穴のあいたプレートの形態でスパージャーを用いて導管109にエチレンを供給し、このプレートを介して、導管109を介して運ばれるイソヘキサン流にエチレンをバブリングする。導管105および103は、アクチベーターおよび水素を導管109内の溶媒に供給することによって、供給物を形成し、この供給物は、最初に熱交換器111、第2の熱交換器112、遠心ポンプ113、第3の熱交換器114、次いで第1の反応器101を流れる。
【0103】
同様に、エチレンは、導管108を介して、同様のスパージャーユニットを介して導管110を通過する溶媒に供給される。エチレンスパージャーの下流で導管106および104は、アクチベーターおよび水素の供給のための導管110と結合し、これによって、第2の反応器102のための第2の供給物を作る。この第2の供給物は、第4の熱交換器115、遠心ポンプ116および第5熱交換器117を通過してから、第2の反応器102に入る。
【0104】
触媒とアクチベーターの混合物は、ライン118を介して第1の反応器101に供給される。同様に、触媒とアクチベーターの混合物は、ライン119を介して第2の反応器102に供給される。重合反応が、反応器101および102内で行われることによって、中にポリマーを含有する重合混合物が形成される。第1の反応器101は、第2の反応器102より大きく、2つの反応器の内部容積の比率は、70:30である。このようにすれば、第1の反応器で作製された70%の量の第1の成分と、第2の反応器102で作製された30%の量の第2の成分とを含むコポリマーブレンドは、第1および第2の反応器のそれぞれの滞留時間が、ほぼ同じであり、したがって両方とも管理しやすいレベルで維持できる工程で調製することができる。一実施形態において、例えばEPDM等級を作製する場合、または20:80分割を得ることが望ましいこともあり、またある時には、第1と第2の反応器の間で80:20の分割を得ることが望ましいこともあるような、特注の分子量分布が必要とされる場合には、反応器を連続して作動するように切り替えることができる。ポリマー含有重合流出液は、導管120を介して第1の反応器101を出て、ポリマー含有重合流出液は、導管121を介して第2の反応器102を出る。導管120および121は、混合ジャンクション122で出会い、合わせた流出液は、導管123を流れ、この導管123に、タンク124からのメタノールが触媒キラーとして注入される。
【0105】
第1、第2、第3、第4および第5の熱交換器111、112、114、115および117のそれぞれは、シェル内管型熱交換器がシェルに水平に固定されたU字管の2つのアレイを含む4パス配置を有する。シェルには、冷却剤としてプロピレンが3段コンプレッサー(図3に示されていない)から供給される。第1の熱交換器111、第2の熱交換器112および第3の熱交換器115は、1インチ(25.4mm)管を有するのに対して、第3の交換器114および第5の交換器117は、それぞれポンプ113および116の下流にあり、したがって高圧力に供されるので、3/4インチ(19.05mm)管を有する。
【0106】
導管109から入るそのイソヘキサンは、再循環熱交換器(示されていない)により約12℃の温度に冷却され、一連の乾燥ベッドを通過することによって、メタノールおよび存在する水が除去される。導管107および105からモノマー流が入り、導管103から水素が入ることによって、供給物の温度を約16℃に上昇させる。第1の熱交換器111は、供給物を12℃に冷却し、第2の熱交換器112は、これをさらに−17℃まで冷却する。次いで供給物は、ポンプ113に入り、ここで、120バールの圧力に加圧され、この加圧により供給物の温度が−10℃まで結果として上昇する。第3の熱交換器114が、温度を下方にほぼ−35℃まで減少させてから、供給物は、第1の反応器101に入る。
導管110を通過して第2の反応器102に至る第2の供給物は、第4の熱交換器115の上流で約16℃の温度を有し、第4の熱交換器は、供給物を−17℃に冷却する。ポンプ116を通過することで、供給物はほぼ120バールに加圧され、これによって第2の供給物の温度はいくらか上昇する。第5の熱交換器117は、第2の供給物の温度を、第2の反応器102へ入る前に、−35℃まで減少させる。熱交換器のレイアウト、特に各供給ラインにおいてポンプ113および116の下流に熱交換器が存在することにより、これらポンプにより引き起こされる温度上昇を逆転することができる。さらなる生産力を得るために、これら下流の熱交換器114および117は、所望する場合、供給物の温度を、プロピレン冷却剤により課された実際の制限であるほぼ−42℃までさらに下に減少させることができる。
【0107】
図4は、冷却剤プロピレンを用いたプラント内の様々な冷蔵された熱交換器を供給するために使用される冷蔵システムのレイアウトを概略図の形態で示している。冷却剤システムは、電気モーター151で駆動する共通の3段遠心コンプレッサー150を含む。プロピレン冷却剤の組成は、99質量%のプロピレンおよび1質量%のプロパンである。コンプレッサーは、プロピレンを約1700kPagの圧力に加圧し、加圧されたプロピレンは、出口152から流れ出し、熱交換器153を通過するが、この熱交換器153は、冷却水で冷却され、高圧プロピレンを全面的に液体に凝縮し、この液体は、アキュムレータードラム154へと流れる。液体プロピレン冷却剤は、溶媒再循環システム内をアキュムレーターから溶媒再循環熱交換器155へ供給され、第1の反応器101への供給ラインの第1の熱交換器111へ供給され、任意選択でプラント内の他の熱交換器、例えば冷却ペレタイザー冷却水のための熱交換器へと供給される。(明瞭にするため、すべてのこれら熱交換器は、図4において単一の記号で明示されている)。熱交換器111、155内で気化したプロピレンガスは、第1の吸引ドラム156に戻り、この中でプロピレン気体は、プロピレン液体から分離される。プロピレン気体は、−42℃の温度で、オーバーヘッド流として第1の吸引ポート157へと流れる。
【0108】
液体プロピレンは、第1の吸引ドラム156の底部から引き出され、第2および第4の熱交換器、すなわち、第1のおよび第2の反応器への第1および第2の供給物におけるポンプ113および116のすぐ上流の2つの熱交換器112および115を含めたプラント内の様々な熱交換器に供給される。前と同じように、明瞭にするために、1つの熱交換器記号だけしか図4には示されていない。これらの熱交換器からの気化したプロピレンは、導管を介して第2の吸引ドラム158に戻り、ここから、プロピレン気体は、−29℃の温度でコンプレッサー150の第2の吸引ポート159へ引き入れられる。液体プロピレンは、吸引ドラム158の底部から引き出され、ポンプ113および116の下流ならびに第1の反応器101および102の上流にそれぞれ位置する第3および第5の熱交換器114、117に供給される。前と同じように、これら2つの熱交換器は、明瞭にするため、図4では単一の記号により表示されている。プロピレン気体は、熱交換器114、117から第3の吸引ドラム160へと戻り、ここから気体は、約0℃の温度で、コンプレッサー150の第3の吸引ポート161へと引き入れられる。コンプレッサー150は、第1の吸引161に入るプロピレン気体を加圧し、次いでこの圧縮された気体と、加圧のため、および第1の吸引ポート157に入る気体を混合するための第2の吸引ポート159に入るプロピレン気体とを混合する。合わせた気体は、出口152を介してコンプレッサーを出る前に再び加圧される。
【0109】
図5aから5cは、本発明の第7および第8態様で使用するための、4パスU字管反応釜熱交換器のレイアウトを概略図の形態で示している。図5aは、溶媒再循環熱交換器155全体に渡る水平な断面を上から見た図であり、図5bは、熱交換器全体に渡る垂直のセクションを側面から見た図である。熱交換器155は、入口および出口の末端155aおよび反応釜またはシェルの部分155bを有する。反応釜部分155bの底部は、コンプレッサー150のアキュムレータードラム154からの冷却剤プロピレンのための入口155cを有し、反応釜155bの先端部は、コンプレッサー150の第1の吸引ドラム156へ戻るプロピレン気体のための出口155dを有する。
【0110】
反応釜部分155bの中で、U字管202の上部アレイ(明瞭にするため、1つのU字管しか図5aには示されていない)は、反応釜部分155bのほとんど全長に渡り、入口/出口部分155aから伸びている。U字管202の上部アレイの底面には、U字管203の下部アレイが同様に、反応釜部分155bのほとんど全長に渡り、入口/出口部分155aから伸びている(図5bには1つの上部管202および1つの下部のU字管203しか示されていない)。
【0111】
使用の際には、再循環溶媒は、入口207を介して入口/出口部分155aへと流れ、U字管202の上部アレイの一区間202cを下り、U字管202の他の区間202dを介して入口/出口部分に戻る。次いで再循環溶媒は、U字管203の下部アレイの一区間を下方に流れ、他の区間に沿って入口/出口部分155aへと戻る。冷却した再循環溶媒は、次いで出口212を介して入口/出口部分155aを出ることによって、下流の乾燥器へと進み、供給物ブレンディングセクションへと戻る。
入口/出口部分155aは、より詳細に図5cで示されているように、末端プレート201により反応釜部分155bから分離している。
熱交換器の円形末端プレート201は、U字管202の上部アレイへの入口202aを備え、これらの入口202aは、プレート201の後方に突出し、管出口202bにおいてプレート201へと戻る。図5cはまた、U字管203aの下部アレイへの入口203aおよび出口203bを示している。
そのプレート201が1つの壁を形成する熱交換器155の入口/出口部分155aは、上部管入口202aと上部管出口202bとを分離し、下部管入口203aと下部管出口203bとを分離する垂直の分割バッフル205により提供される。末端チャンバーはまた、上部がU字管202の上部アレイの入口202aを管203の下部アレイの下部出口203bから分割する水平バッフル206を備える。
【0112】
供給物ブレンディング装置の後ろの再循環溶媒(残留するモノマーを含んでもよい)用の再循環回路の中に位置する熱交換器155を使用中、再循環溶媒、主にイソヘキサンは、入口207を介して熱交換器155に入る。その再循環溶媒は、プレート201と共に、垂直バッフル205の上半分、水平バッフル206、熱交換器の円柱状の壁208および熱交換器の末端壁213によってその境界が定められる四分円形状のチャンバーに入る。再循環溶媒は、入口202aを介してこの四分円形状のチャンバー209を出て、上部のU字管202に至り、熱交換器のシェル内の上部U字管202に沿って運ばれ、出口202bを介して戻る。出口202bは、垂直バッフル205、熱交換器の円柱状の壁208、プレート201および末端壁213によってその境界が定められる半円チャンバー210に流れ込む。再循環溶媒は、入口203aを介してチャンバー210を出て、U字管203の下部アレイに至り、出口203bを介して四分円形状のチャンバー211へと戻る。
再循環溶媒は、出口212を介してチャンバー211を出て、供給物ブレンディング装置に戻る前にさらなる精製のための乾燥ベッドを含めた下流の機器に向かう。
【0113】
熱交換器155の長期に渡る使用の間、U字管の上部アレイは、再循環溶媒から堆積したポリマーによる付着物が付く。付着物は、初期の冷却効果が最も大きなU字管の上部アレイが最も多い。熱交換器の付着物を除去することが望まれる場合、反応釜またはシェル部分155bへのプロピレンの供給を減少させるまたは取りやめることによって、反応釜部分155bの中のプロピレンが、部分的に沸騰して蒸発し、管の上部アレイ202が露出したままとなる。この時点で、管の上部アレイ202を流れる再循環溶媒は、温かくなり始め、管202の上部アレイのポリマー付着物を再溶解させる。一度ポリマーが再溶解されたら、シェルへのプロピレンの供給は修復され、これによって、管の上部アレイ202が再び液体プロピレン冷却剤で覆われる。
【0114】
反応釜155b内のプロピレンの最小レベルは、再循環溶媒流に対する最大許容温度により決定される。多くの変法が可能である。例えば、熱交換器は、直線の管のアレイおよび直線の管の下部アレイを有する2つの流路の交換器であってよい。
プラント内の他の熱交換器も、同じ様に付着物を除去することができる。
「シェル」および「反応釜」という単語は、本明細書中で交換可能なように使用される。
【0115】
異なるポリマーの重合
図1のプラントおよび本発明のプラントの作動が、以下のページの表1に関連づけて例示されている。表1は、以下を作製するための重合工程を例として取り上げている:(1)低分子プラストマー(上に一般的に記載されているようなもの)、(2)高分子量エラストマー(上述の通り)および(3)高プロピレン含有量の、重合したエチレン共重合体(上述の通り)。
【0116】
【表1】

【0117】
図1のプラストマーを作製するためには、供給物の温度を冷却機により6℃から0℃に減少させる。アルミニウムアルキルは、スカベンジャーとして、供給物の毒含有量に対して適した量を添加する。あるいは、国際公開第97/22635号(Turnerら)の方法。圧力を遠心ポンプにより120バールに上昇させる。次いで、主として溶媒および50バール分圧までのエチレンおよびブテンまたはヘキセンまたはオクテンコモノマーを含む供給物が、2つの連続する反応器8のうちの第1の反応器に入る。触媒およびアクチベーターの望まれる重合温度(これはさらに望まれる分子量に関連する)を生じさせる量を反応器8に添加する。重合の熱を、150℃から200℃の温度に増加させることによって、水素を使用せずにプラストマーを形成する(ただし、H2を使用してもよい)。第2の連続反応器の出口において、ポリマー濃度は、15質量%〜22質量%の範囲内である。一般的条件は、国際公開第99/45041号に記載されている通りであってよい。
次いで10で水を供給することによって、重合反応を中止または中和するが、この重合反応は、別の方法では、残存する触媒、未反応のモノマー、および上昇した温度の存在下で存続させてもよい。
熱交換器12は、初期に温度を上昇させ、次いでさらなる熱交換器16は、220℃までのさらなる温度上昇を引き起こす。重合混合物が降下弁18を通過して液相分離器の中に至る際に、急速な圧力の急降下が生じ、圧力が100バールから40バールへと急速に急降下する。ポンプ3の出口と降下弁18の出口との間の圧力差が、供給物および重合混合物の、熱交換器12および16を含めた反応器8および導管11を介した流れを引き起こす唯一の原因である。
分離器14の中で、0.1質量%未満のポリマーを有する上部の低含有相および30質量%〜40質量%のポリマーを有する下部のポリマー高含有相が形成される。濃度は分離器14に供給される重合混合物の濃度のほぼ2倍から3倍である。低圧分離器34および押出し機40における溶媒およびモノマーのさらなる除去後、水を含めて、1質量%未満、好ましくは0.3質量%以下、さらにより好ましくは0.1質量%未満の揮発物を含有するポリマーを、プラントから除去することができる。
【0118】
プラントの使用を、エラストマーとマークした表1の列とここで比較した場合、重合温度は、プラストマーに対する温度より低く、反応器から出現するポリマー濃度は低いにもかかわらず(その粘度は、プラストマーに対する粘度と同様)、同じ分離方法およびプラントを使用することができ、生産高はいくらか低いことがわかる(より低い温度での重合工程の効率は減少することを反映している)。2つの反応器を連続して用いた、国際公開第99/45047号(Harringtonら)の開示を使用することができる。一般的に言えば、連続レイアウトにおいて、第1の反応器は、0℃から110℃の間の温度で作動し、第2の反応器は、40℃から140℃の間の温度で作動することが好ましい。第1の反応器は、10℃から90℃の間の温度で作動し、第2の反応器は、50℃から120℃の間の温度で作動することが好ましい。第1の反応器は、20℃から70℃の間の温度で作動し、第2の反応器は、60℃から110℃の間の温度で作動することがより好ましい。同じ工程条件下で、1つの反応器のみを使用するか、または2つの反応器を使用する場合、工程条件および毒レベルを適切に制御すれば、この桁の温度を得ることもできる。
【0119】
反応性の低いプロピレンモノマーが十分に高い分子量を形成するように温度を低下させた場合の、表1において「主にプロピレンを含有するコポリマー」とマークした列についても同じことが言える。国際公開第00/01745号に記載の一般的条件を使用することができる。作動中、重合温度は、28℃から70℃の間で変化した。
【0120】
本明細書中に引用されたすべての文献は、このような組み込みが認可されているすべての権限に対して参照により十分に、本明細書と矛盾しない範囲まで組み込まれている。優先権が主張されているすべての文献は、このような組み込みが認可されているすべての権限に対して、参照により十分に組み込まれる。従属請求項は、米国での慣習に従って単一の従属関係を有するが、従属請求項のいずれかにおける特徴のそれぞれは、同じ独立請求項または複数の独立請求項に依存する、1つまたは複数の他の従属請求項の特徴のそれぞれと組み合わせることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を含む供給物の連続的溶液重合のためのプラントであって、
反応器と、
1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒をブレンドして、前記反応器のための供給物を作製するためのブレンディング手段と、
前記供給物を少なくとも20バールの圧力に圧縮するためのポンプと、
前記反応器へ入る前に前記供給物を冷却するための冷却システムと
を含み、前記冷却システムが、少なくとも2つの熱交換器を含み、前記熱交換器のうちの少なくとも1つが前記ポンプの下流にある、プラント。
【請求項2】
1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を含む供給物が、少なくとも20バールの圧力に加圧され、次いで、少なくとも1つの熱交換器中で冷却されてから、前記少なくとも1つの熱交換器の下流の反応器内で重合される、連続的溶液重合方法。
【請求項3】
1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を含む供給物の連続的溶液重合のためのプラントであって、
反応器と、
1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒とブレンドして、前記反応器のための供給物を提供するためのブレンディング手段と、
前記供給物を前記反応器にポンピングするため、および前記供給物を所望の圧力に圧縮するための1つまたは複数のポンプと、
前記ブレンディング手段の下流で、および前記反応器へ入る前に、前記供給物を冷却するための冷却装置と
を含み、前記冷却装置が、
第1の熱交換器、第2の熱交換器および第3の熱交換器と、
コンデンサーを介してアキュムレータードラムと通じている出口、第1の吸引ドラムと通じていてもよい第1の吸引ポート、第2の吸引ドラムと通じていてもよい第2の吸引ポート、および第3の吸引ドラムと通じていてもよい第3の吸引ポートを有する共通の3段コンプレッサーと、
前記アキュムレータードラムから前記第1の熱交換器へ冷却剤を供給するための導管および前記第1の熱交換器から前記第1の吸引ポートまたは存在する場合第1の吸引ドラムに冷却剤を戻すための導管、前記第1の吸引ポートまたは存在する場合第1の吸引ドラムから前記第2の熱交換器へ冷却剤を供給するための導管および前記第2の熱交換器から前記第2の吸引ポートまたは存在する場合第2の吸引ドラムに冷却剤を戻すための導管、ならびに前記第2の吸引ポートまたは存在する場合第2の吸引ドラムから前記第3の熱交換器へ冷却剤を供給するための導管および前記第3の熱交換器から前記第3の吸引ポートまたは存在する場合第3の吸引ドラムに冷却剤を戻すための導管と
を含む、プラント。
【請求項4】
第2の反応器も含み、前記冷却装置が、前記第2の反応器への供給物を冷却するように配置された第4および第5の熱交換器を含み、前記冷却装置が、前記第1の吸引ポートまたは存在する場合第1の吸引ドラムから前記第4の熱交換器へ冷却剤を供給するための導管および前記第2のポートまたは存在する場合第2の吸引ドラムに冷却剤を戻すための導管、ならびに前記第2の吸引ポートまたは存在する場合第2の吸引ドラムから前記第5の熱交換器へ冷却剤を供給するための導管および前記第5の熱交換器から前記第3の吸引ポートまたは存在する場合第3の吸引ドラムへ冷却剤を戻すための導管をさらに含む、請求項3に記載のプラント。
【請求項5】
ポンプが、前記第2の熱交換器と前記第3の熱交換器の間に位置する、請求項3または請求項4に記載のプラント。
【請求項6】
1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を含む供給物を調製するステップと、第1の熱交換器、第2の熱交換器および第3の熱交換器に前記供給物を通過させるステップであって、前記第1、第2および第3の熱交換器のそれぞれに、共通の3段コンプレッサーにより冷却剤が供給され、前記第3の熱交換器に供給される前記冷却剤の温度が−30℃未満である、ステップと、
前記供給物を触媒と合わせて、ポリマーを作製するステップと、
前記ポリマーを前記溶媒および残留モノマーから分離するステップと
を含む、連続的溶液重合方法。
【請求項7】
前記コンプレッサーが、出口と、コンデンサーを介して前記出口と通じているアキュムレータードラムとを含み、前記アキュムレータードラム内の冷却剤が、10〜25bargの範囲の圧力である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数のオレフィンモノマーの連続的溶液重合のためのプラントであって、
並行して作動するように配置された第1の反応器および第2の反応器であって、前記第1の反応器の内部容積と前記第2の反応器の内部容積の比率が60:40〜95:5の範囲内である、第1の反応器および第2の反応器と、
1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む第1の供給物を前記第1の反応器に供給するための第1の供給物供給手段、および
第1の重合触媒を前記第1の反応器に供給して、その中に第1のポリマー含有重合反応混合物を形成するための第1の触媒供給装置と、
1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む第2の供給物を前記第2の反応器へ供給するための第2の供給物供給手段、および第2の重合触媒を前記第2の反応器へ供給して、その中に第2のポリマー含有重合反応混合物を形成するための第2の触媒供給装置と、
前記第1および第2のポリマー含有重合反応混合物を、前記第1および第2の反応器の下流で合わせて、合わせた重合反応混合物を形成するための手段と、
ポリマーを、前記合わせた重合反応混合物から単離する手段と
を含むプラント。
【請求項9】
前記第1の反応器の容積と、前記第2の反応器の容積の比率が、65:35〜90:10の範囲内である、請求項8に記載のプラント。
【請求項10】
オレフィンモノマーの連続的溶液重合のための方法であって、
1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む第1の供給物および第1の触媒を第1の反応器に供給し、これによって、第1のポリマー含有重合反応混合物を形成するステップと、
1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む第2の供給物および第2の触媒を第2の反応器に供給し、これによって、第2のポリマー含有重合反応混合物を形成するステップと、
前記第1および第2の反応器の下流で前記第1および第2のポリマー含有重合反応混合物を合わせて、合わせたポリマー含有重合混合物を形成するステップと、
前記合わせたポリマー含有重合反応混合物からポリマーを単離するステップと
を含み、前記第1の反応器の内部容積と前記第2の反応器の内部容積の比率が、60:40〜95:5の範囲内である、方法。
【請求項11】
前記第1の供給物が、エチレンおよびプロピレンの混合物を含み、前記第1の触媒が、前記第1の反応器において、アイソタクチックポリプロピレン配列の約2〜約65%の結晶化度、約75質量%〜90質量%のプロピレン含有量、および25℃〜105℃の融点を有するエチレンとプロピレンのコポリマーが形成されるようなキラルメタロセン触媒であり、前記第2の供給物が、プロピレンまたはプロピレンと、C2もしくはC4〜C10のαオレフィンからなる群から選択される1つまたは複数のモノマーとの混合物を含み、前記第2のポリマー含有重合反応混合物が、少なくとも約90質量%の重合したプロピレンを含有し、約110℃を超える融点を有する実質的にアイソタクチックなポリプロピレンポリマーを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の反応器におけるポリマー生産速度と前記第2の反応器におけるポリマー生産速度の比率が、95:5〜60:40の範囲内である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を含む供給物の連続的溶液重合のためのプラントであって、
反応器と、
1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む供給物を調製するための供給物ブレンディング手段ならびに前記供給物および触媒を前記反応器に供給して、その中にポリマー含有反応器混合物を形成するための手段と、
前記反応器の下流にある、未反応のモノマーおよび前記溶媒からポリマーを分離するための分離手段と、
前記溶媒を前記供給物ブレンディング手段から前記反応器に戻して再循環させるための装置と
を含み、前記装置が、水平に配置された管の第1のアレイおよび前記第1のアレイの下に配置された、水平に配置された管の第2のアレイを有する少なくとも1つの熱交換器を含み、前記第1および第2のアレイの両方が、液体冷却剤のための入口および出口を有するシェル内に封入され、前記溶媒が、最初に前記管の上部アレイを通って、次いで前記管の第2のアレイを通って流れ、その結果、使用中、前記シェル内の冷却剤のレベルを低下させて、前記管の上部アレイを露出させることができる、プラント。
【請求項14】
前記管が、U字管である、請求項13に記載のプラント。
【請求項15】
前記熱交換器が、4パス熱交換器である、請求項14に記載のプラント。
【請求項16】
1つまたは複数のオレフィンモノマーの連続的溶液重合のためのプラント内の熱交換器の付着物を除去する方法であって、1つまたは複数のオレフィンモノマーを溶媒中に含む供給物が重合されて、ポリマー含有重合反応混合物を提供し、この混合物から、前記溶媒および残留モノマーが分離され、前記溶媒が、再使用の前に前記溶媒を冷却するための熱交換器を含む装置を介して再循環され、前記熱交換器が、液体冷却剤を含有するシェル内に封入された、管の水平に配置された上部アレイおよび管の水平に配置された下部アレイを有し、ポリマー低含有相が、最初に管の前記上部アレイを、次いで管の前記下部アレイを通過し、
前記方法が、前記シェル内の液体冷却剤が前記管の上部および下部の両方のアレイを覆う前記熱交換器の管に前記溶媒を通過させるステップと、前記熱交換器の付着物を除去する必要があるときに、前記シェル内の液体冷却剤のレベルを低下させて、管の前記上部アレイを露出させ、その結果これら上部管の中の前記溶媒の温度が増加するステップとを含む、方法。
【請求項17】
前記シェルへの液体冷却剤の入口を閉じ、前記シェル内の液体冷却剤を沸騰させて蒸発させることによって、前記熱交換器シェル内の液体冷却剤のレベルが低下する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シェル内の液体冷却剤のレベルが低下して、前記管の上層および下層アレイの両方が露出する、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記溶媒がヘキサンである、請求項16から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記冷却剤がプロピレンである、請求項16から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記管の上部および下部アレイの両方が前記液体冷却剤により覆われている間、前記溶媒が、前記熱交換器により10から20℃の間の温度に冷却される、請求項16から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記ポリマー含有重合混合物が、ポリマー高含有液相とポリマー低含有液相とに分離され、前記ポリマー低含有液相が、再循環流の一部として再循環される、請求項16から21のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公表番号】特表2013−517348(P2013−517348A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548945(P2012−548945)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/061099
【国際公開番号】WO2011/087728
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】