説明

連続鋳型充填方法、鋳型アセンブリおよび鋳造物

複数の鋳型へ溶融金属または合金を鋳込むための方法および装置が開示される。この複数の鋳型は鋳型湯口通路によって溶湯供給路と溶湯が流通するように接続される。この溶湯供給路は、鋳型に溶融金属または合金を完全にまたは部分的に、順々に充填するように構成される。この態様で鋳型を充填することによって、鋳型への充填が均一となり、最初に充填された鋳型以降の鋳型への異物の混入が減少し、それにより鋳造物品の品質を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属または溶融合金の鋳造に関し、より詳細には、溶融金属または溶融合金を、この溶融金属または溶融合金の供給路に、この溶融金属または溶融合金が部分的または完全に順次充填される状態で接続された複数の鋳型に鋳込む方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、参照によって本願に組み込まれる2006年4月19日に出願された米国仮特許出願第60/793,318号の優先権および利益を主張するものである。
【0003】
溶融金属または溶融合金(溶湯)のインベストメント鋳造においては、従来、1つの溶湯注入カップが複数の物品成形鋳型の一つ一つに連結されたセラミック製のギャング鋳型(gang mold:一群の鋳型、または鋳型群)が用いられてきた。ガス・タービン・エンジン翼の鋳造用に設定されたある1つの従来式鋳造法において、この注入カップは、それ自体から延伸する複数の主溶湯供給ゲート・スポークを含んでいる。これらの各主ゲート・スポークは、それぞれがまた複数の個別の溶湯供給ゲート・スポークに枝分かれし、これら個別のゲート・スポークが各個別の鋳型へと延伸している。例えば、3つまたはそれ以上の溶湯供給分岐ゲート・スポークが、各主スポークから枝分かれしている場合もある。各物品成形鋳型は、少なくとも1つの、鋳造される物品の形状を有した鋳型空洞部を含んでいる。
【0004】
従来の鋳造では通常その設定において、溶湯を注入カップに受容し、鋳造炉内での溶湯の跳ね上がりを最小限に抑えるために、坩堝から鋳型の注入カップへと注入される初期ストリームは幅狭にされる。主ゲート・スポークはこの注入カップに連通しており、主として、溶湯を各分岐ゲート・スポークを経由して個別の各鋳型へと送出することと、鋳型内で生じる鋳引け(液体から固体への凝固時に生じる収縮)を補うための溶湯の適切な貯蔵部として機能することとの二重の役割を果たす。それ故例えば等軸晶物の鋳造の場合、スポークの断面積を、通常、このスポークから溶湯を充填される鋳型空洞部の断面積よりも大きくする必要がある。例えば従来の等軸鋳造ではその設定において、全スポークの断面積の合計が初期注入ストリームの断面積の少なくとも10倍となる場合もある。このように初期注入ストリームの断面積に対してスポークの断面積の割合が大きくなると、その結果として鋳型内への溶湯の供給が一貫性を欠いた不均一なものとなる。注入ストリームの方向に配向されたスポークは、注入ストリームの方向から離れて配置されたスポークよりも多くの溶湯流を受容することとなり、このため鋳型の初期の充填が不均一なものとなる。
【0005】
上述の従来の鋳造ではその設定において、溶湯の初期送出と、その後の個々の鋳型における凝固収縮を調整するための溶湯供給との両方を提供するために多数のスポークが必要とされるのは、金属または合金の利用が非効率となる観点から、望ましいことではない。即ち、主スポークおよび分岐スポーク内で凝固した金属または合金は、利用可能な物品へと注型されることなく、鋳型の個々のゲートとして残留することとなる。
【0006】
このギャング鋳型の形成は周知のロスト・ワックス法で行われてきた。このロスト・ワックス法においては、ギャング鋳型の形状に合致する蝋または他の一過性の模型アセンブリをセラミック・スラリーに繰り返し浸漬させ、余剰なスラリーを除去し、そして粗いセラミック・スタッコ粒子を塗布し、模型アセンブリ上に所望の鋳型肉厚のセラミック・シェルを形成する。続いてこの模型アセンブリを選択的に除去し、残ったセラミック・ギャング・シェル鋳型を高温で加熱し、このシェル鋳型にその後の鋳造に必要とされる強度を与える。鋳造の過程においては、溶融金属または合金が注入カップへと注入され、ゲートを経由して流れて、実質的に同時に物品成形鋳型群に充填される。この溶融金属または合金が鋳型内で凝固し、鋳型内でインベストメント鋳造物品が形成される。
【0007】
翼(vane)、ガス・タービン・エンジン翼などの重要な航空宇宙用構成部材のインベストメント鋳造においては、ギャング鋳型が、溶融金属または合金を注入カップからスポークへと供給する各溶湯供給路に配置された溶融金属または合金フィルタを含んでおり、個々の鋳型に流入する前にこの溶融金属または合金から非金属混入物を除去するように構成されている場合も多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、複数の鋳型へ溶融金属または合金を鋳込むための方法および装置について、鋳型への充填を均一とし、最初に充填された鋳型以降の鋳型への異物の混入を減少させ、それにより鋳造物品の品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、溶融金属または合金(溶湯)を鋳込むための方法および鋳型アセンブリを提供する。この方法および鋳型アセンブリは、金属または合金の溶湯を鋳型アセンブリの溶湯受容鋳型カップへ供給するステップと、この溶湯を鋳型アセンブリの鋳型カップから溶湯供給路へと供給し、複数の鋳型が一列に順々に接続されたこの溶湯供給路を通じて、各鋳型へと流入させるステップとを含む。この溶湯供給路は、一連の鋳型のそれぞれが、次の鋳型が少なくとも部分的に充填される前に、少なくとも部分的に充填されるように構成される。
【0010】
本発明の1つの例示的方法の実施形態においては、列中の1番目の鋳型が、列中の2番目の鋳型への充填が始まる前に、完全または部分的に充填される。続いて列中の2番目の鋳型が、列中の3番目の鋳型への充填が始まる前に、完全または部分的に充填され、列の残りの鋳型への充填が全て完了するまでこの状態が繰り返される。
【0011】
本発明のもう1つの例示的方法の実施形態においては、列中の次の鋳型に充填される溶湯に非金属混入物などの異物が混入する混入量を低減させるために、列中の1番目の鋳型が、溶湯をその鋳型空洞部を通じて次の鋳型へと流入させずに、デッド・エンド状態で充填される。
【0012】
デッド・エンド充填を実施するための1つの例示的実施の形態においては、列中の1番目の鋳型を溶湯供給路から流入する溶湯でその頂上部から完全に充填し、次に1番目の鋳型の頂上部から2番目の鋳型の頂上部へと延伸する第2の溶湯供給路を利用して2番目の鋳型をその頂上部から充填し、そして全ての鋳型の充填が完了するまでこれを繰り返す。またあるいは、もう1つのデッド・エンド充填法においては、1番目の鋳型の閉塞した反対端から離れた一端に配置された単一の流入路を利用して、1番目の鋳型を充填する。この第1の鋳型は、デッド・エンド流を提供するように構成された物品成形鋳型または非物品成形鋳型であってもよい。
【0013】
本発明の方法の実施においては、鋳型を、長手方向に沿って急な角度で傾斜する溶湯供給路に接続することも可能である。あるいは、鋳型を、長手方向に沿って徐々に縮小する(徐々にその断面積が小さくなる)溶湯供給路に接続することも可能である。そしてさらに、鋳型を、長手方向が直立した溶湯供給路に接続することも可能である。本発明の1つの好ましい実施の形態においては、列中の隣接する鋳型が、鋳型の頂上部から頂上部へ順次充填が行われる状態で、各溶湯供給路によって接続されている。
【0014】
本発明の特定の実施の形態においては、鋳型を、ギャング鋳型の直線状またはアーチ状溶湯供給路の長手方向に沿って配置することもできる。また鋳型を、等軸物品、鋳型の軸に沿った多数の柱状結晶粒を有する方向性凝固物品、または単一方向結晶粒を有する単結晶物品を鋳込むように構成することもできる。
【0015】
また本発明は、鋳型アセンブリの溶湯受容鋳型カップに金属または合金の溶湯を供給するステップと、鋳型カップから第1の複数の鋳型が一列に順々に接続された鋳型アセンブリの第1溶湯供給路に溶湯を供給するステップと、第1溶湯供給路から連結溶湯供給路を経由して第2の複数の鋳型が一列に順々に接続された第2供給路へ、第2の複数の鋳型への充填が始まる前に第1の複数の鋳型が少なくとも部分的に充填されるように溶湯を供給するステップとを含む、溶融金属または合金を鋳込むための方法および鋳型アセンブリをも想定に入れる。
【0016】
また本発明のさらにもう1つの実施の形態において、溶融金属または合金を鋳込むための方法および鋳型アセンブリは、金属または合金の溶湯を、列中の先の鋳型の頂上部とその次の鋳型の頂上部とを接続する各溶湯供給部材によって、一列に順々に接続された複数の鋳型に供給するステップと、そして列中の各鋳型に次の鋳型が充填される前に完全に充填しきるステップとを含む。
【0017】
もう1つの実施の形態において、本発明は、直線またはアーチ状凝固ゲート(湯口)に接続された複数の凝固金属または合金物品からなる、金属または合金鋳造物の鋳造法を提供する。この方法において、この凝固ゲートに接続された1番目の金属または合金物品は、同じくこの凝固ゲートに接続された残りの他の凝固金属または合金物品よりも多くの異物を含んでいる。この鋳造物には、傾斜し、種々の断面を有し、あるいは直立した凝固ゲートの全長に沿って連なって接続された凝固物品も含まれる。本発明のもう1つの実施の形態において、この鋳造物には、頂上部から頂上部へまたは頂上部から底部へ各凝固ゲートによって相互に接続された、隣接した凝固物品も含まれる。この凝固物品には等軸多結晶物品、方向性凝固柱状晶物品、単結晶物品または複合物品も含まれる。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、一連の鋳型にその充填の過程で大きな中断を差し挟むことなくより均一且つ一貫性のある充填をなすことができ、鋳造される高価な金属および合金をより有効に利用して製造コストの削減を図ることができ、また本発明のある実施の形態においては、順列中の後に続いて充填される物品への非金属混入物や溶滓(溶滓)などの異物の混入を低減させ、結果的に廃棄鋳造物品の発生を減少させることができる、といった有利点がある。さらに、物品を方向性凝固によって鋳造し、方向性凝固柱状晶または単結晶物品を生成する場合において、本発明を実施することにより、方向性凝固をもたらすための鋳型の結晶粒核形成室内の溶湯熱の維持を向上させることができる。それにより、鋳造物品の品質を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のその他の利点は、図面を参照して述べる以下の本発明の詳細な説明から、より容易に明白となるであろう。
【実施例】
【0020】
図1Aは、本発明の1つの例示的実施の形態による、鋳型注入カップの底部の湯口から放射状に延びる複数の溶湯供給部材を有するギャング鋳型アセンブリを示す斜視図である。
図1Bは、図1Aのギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
図1Cは、一連の各鋳型が次の鋳型への充填が始まる前に完全に充填し終えるように、各鋳型に対して傾斜して接続された溶湯供給路内の溶融金属または合金を示す、1つの溶湯供給部材を表す拡大部分断面図である。
図1Dは、鋳型が順次に部分的に充填されるように、傾斜した供給路の上部に取り付けられた構図を示す、もう1つの溶湯供給部材を表す拡大部分断面図である。
図2は、一連の各鋳型が次の鋳型への充填が始まる前に完全に充填し終えるように、鋳型注入カップから離れる方向に段々に断面積が減少する、複数の断面を有する(縮小する)非傾斜溶湯供給路内の溶融金属または合金を示す、もう1つの例示的溶湯供給部材を表す拡大部分断面図である。
図3は、重力鋳造の過程で水平に順々に充填され、一連の各鋳型が次の鋳型の充填が始まる前に完全に充填し終える形で、直立型の溶湯供給部材に沿って順々に鋳型が接続された、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
図4は、一連の鋳型の1番目の鋳型から2番目の鋳型そして3番目の鋳型そしてまたそれ以降へと、重力鋳造の過程で鋳型が順々に充填されるように、溶融金属または合金を頂上部から頂上部へと段階式に流動させる、一連のアーチ状溶湯供給部材によって連結される鋳型を有するギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。図4において、この段階式流れは、一連の鋳型のそれぞれが次の鋳型の充填がなされる前に完全に充填されるように、水平に順々に各鋳型の頂上部から次の鋳型の頂上部へと供給される。
図4Aは、一連の鋳型の1番目および2番目の鋳型が溶湯供給スポークに接続されている、一連のアーチ状溶湯供給部材によって接続される鋳型を有する、図4のアセンブリに対するもう1つの代替的ギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
図5は、異物を収集する状態で溶融金属または合金の溶湯が供給される擬似第1鋳型、およびこの溶湯が各鋳型空洞部の底部から頂上部を通じて一連の鋳型を水平に順々に流動するように、各鋳型の頂上部から次の鋳型の底部へこの溶湯を流動させる一連の溶湯供給部材によって連結された物品成形鋳型を有する、鋳型アセンブリの一連の鋳型を示す拡大部分断面図である。
図6は、異物の収集または捕捉を補助する状態で溶融金属または合金の溶湯が供給される擬似第1鋳型、およびこの溶湯が各鋳型空洞部の底部から頂上部を通じて一連の鋳型を斜めに順々に流動するように、各鋳型の頂上部から次の鋳型の底部へこの溶湯を流動させる一連の溶湯供給部材によって連結された物品成形鋳型を有する、さらにもう1つの鋳型アセンブリの一連の鋳型を示す拡大部分断面図である。
図7は、順列中2番目の鋳型への充填が完了する前に1番目の鋳型への充填が完了する状態で、一連の水平な溶湯供給部材によって直立型の湯口に連結された一連の鋳型を有する、本発明のもう1つの実施の形態によるギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。各鋳型が各溶湯供給部材の頂上部に接続された構図が示される。
図8は、順列中の次の積層鋳型への充填が完了する前に1番目の積層鋳型への充填が完了する状態で、それぞれ溶湯が流動するように一連の水平な各溶湯供給部材によって直立型の湯口に連結された垂直積層鋳型を有する、本発明のもう1つの実施の形態によるギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
図9は、順列中の2番目の鋳型への充填が完了する前に1番目の鋳型への充填が完了するように直立型の湯口に接続された、各溶湯供給部材の底部に接続された鋳型を有する、図7のギャング鋳型アセンブリに類似した本発明のもう1つの実施の形態によるギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
図10は、第1の複数の鋳型が溶湯が流動するように接続された第1アーチ状溶湯供給部材および第2の複数の鋳型が溶湯が流動するように接続された第2アーチ状溶湯供給部材を有する、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるギャング鋳型アセンブリを示す斜視図である。第1および第2溶湯供給部材が、第2の複数の鋳型への充填の前に第1の複数の鋳型への充填が部分的または完全になされるように、アーチ状の第3溶湯供給路によって接続されている構図が示される。
図11は、各配列または順列中の2番目の鋳型への充填が完了する前に1番目の鋳型への充填が完了するように、鋳型注入カップ底部の湯口からH型に延在する複数の溶湯供給部材を有する、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるもう1つのギャング鋳型アセンブリを示す斜視図である。
図12は、順列中の各鋳型への充填が次の鋳型への充填がなされる前に完了するように、鋳型注入カップ底部の湯口から傾斜螺旋状に延在するアーチ状溶湯供給部材を有する、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるさらにもう1つのギャング鋳型アセンブリを示す斜視図である。
図13は、単結晶物品を鋳造するように構成され、図5と同様の状態で一連の溶湯供給部材によって連結された物品成形鋳型を有する、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるさらにもう1つのギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
図14は、方向性凝固、柱状晶物品を鋳造するように構成され、図4と同様の状態で溶融金属または合金を頂上部から頂上部へと順に流動させて順列中の鋳型を充填するように一連の溶湯供給部材によって接続された物品成形鋳型を有する、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるさらにもう1つのギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
【0021】
溶融金属または合金を複数の鋳型に鋳込むための方法および装置の例示的実施の形態には、金属または合金の溶湯を鋳型アセンブリの溶湯受容鋳型カップに供給するステップと、そしてこの溶湯をこの鋳型カップから鋳型アセンブリの溶湯供給路へと供給して、この溶湯供給路に溶湯が流動するように一列に連なって接続された複数の鋳型へと流動させるステップとが含まれ、ここでこの溶湯供給路は、順列中の各鋳型が同じ順列中の次の鋳型へ少なくとも部分的に充填される前に少なくとも部分的に充填されるように構成される。
【0022】
図1A、1Bおよび1Cは、本発明の1つの実施の形態を、その範囲に制限を加えることなく例示する図である。図1A、1Bおよび1Cにおいて、ギャング鋳型10が、一体化した溶湯受容鋳型カップ10a、この鋳型カップ10aに連通した湯道10cを有する湯口10b、およびこの湯口に接続され、それぞれが溶湯供給路10eを有する複数の溶湯供給部材10dを有する構図が示される。オプションとして、溶湯が鋳型に流入する前の異物除去のために、例えば網状セラミック・フィルタまたは細胞流入セラミック・フィルタなどの従来型の溶融金属または合金フィルタ(図示せず)を、鋳型カップ10aに標準的に装備することも可能である。
【0023】
本発明の1つの例示的実施の形態において、複数の物品成形鋳型20が、水平よりもやや上方に傾斜し、鋳型カップ10aからほぼ放射方向に延在する複数(図中4本が示される)の溶湯供給部材10dのそれぞれに、その全長に沿って溶湯を流動させることができるように接続される構図が示される。各鋳型20は、生成される鋳造物品の形状および閉塞端20eを有する物品成形鋳型空洞部20cを内部に含み、またその領域を画定するセラミック・シェル20aにより構成される。鋳型空洞部は所望の鋳造物品を生成するための任意の形状でよいが、限定的な意味ではなく例示のために、鋳型空洞部20cがガス・タービン・エンジン翼の形状を有する構図が示される。このために、この鋳型空洞部は、翼根領域20r、翼プラットフォーム領域20p、翼幹領域20fおよび翼端領域20tを含む。この鋳型空洞部20cは、溶融金属または合金が鋳型カップ10aに供給され、湯口および湯道10eを通じて流動する際、各溶湯供給路10eから溶融金属または合金を受け入れるように、各溶湯供給路10eに流体連通した状態で接続された鋳型湯口通路20gによって接続される。溶融金属または合金は、鋳型カップまたは他の任意の溶湯格納容器上に位置する、従来型の傾斜可能坩堝または底部供給坩堝などの従来型坩堝CRから、鋳型カップ10aへと注ぎ込まれる。またあるいは、金属または合金を、固体装填物として鋳型カップ10a内に配置し、誘導溶解、電子ビーム溶解またはその他の溶解法によって、その内部で原位置溶解させることも可能である。溶融金属または合金を、真空、保護雰囲気、または鋳込まれる特定の溶融金属または合金に基づいた空気下の、坩堝またはその他の溶湯格納容器内で、溶解および/または保持することも可能である。
【0024】
ギャング鋳型10は、周知のロスト・ワックス法によってセラミック・シェル鋳型アセンブリとして形成され得る。このロスト・ワックス法においては、ギャング鋳型の形状に合致した形状を有するワックスまたは他の一過性模型アセンブリ(例えばワックス鋳型カップ、ワックス湯口、ワックス溶湯供給部材、ワックス鋳型)が作り上げられる。この一過性の模型アセンブリをセラミック・スラリーに繰り返し浸漬させ、余剰なスラリーを除去し、そして粗いセラミック・スタッコ粒子を塗布し、模型アセンブリ上に所望の鋳型肉厚のセラミック・シェルを形成する。続いてこの模型アセンブリを選択的に除去し、残ったセラミック・シェル・ギャング鋳型を高温で加熱し、このシェル鋳型にその後の鋳造に必要とされる強度を与える。
【0025】
鋳造の過程において、図1Bに示す溶融金属または合金Mは、坩堝CRまたはその他の溶湯格納容器から鋳型カップ10aへと注ぎ込まれ、重力によって湯口10bおよびゲート通路10eを通じて流動する。本発明の1つの実施の形態において、この溶融金属または合金Mは、湯口から傾斜した溶湯供給路10eを通じて流れ、溶湯供給部材10dの全長に沿った鋳型10の位置に応じて、順に物品成形鋳型空洞部20cへと充填される。例えば図3を参照すると、溶融金属または合金Mは最初に鋳型#1へと流れ込み完全に充填され、続いて2番目に鋳型#2へと流れ込み完全に充填され、続いて3番目に鋳型#3へと流れ込み完全に充填され、最後に鋳型#4へと流れ込み完全に充填される。この溶融金属または合金Mは鋳型内で凝固し、各鋳型20内でインベストメント鋳造物品が形成される。この鋳造物品は、鋳型材料が除去される時点では凝固ゲートおよび湯口および鋳型カップに接続されている。鋳型材料を除去した後、この鋳造物品を、切断、挽き切り、V字切り込みを利用した折り取り、または他の任意の分離技術によってゲートから分離する。
【0026】
図1A〜1Dにおいては、鋳型20が、鋳型空洞部20c内で等軸多結晶インベストメント鋳造物品を生成する構図が示されているが、本発明を実施することにより柱状晶物品、単結晶物品または複合物品などの任意のタイプの鋳造物品を生成することができ、本発明はこの内容に限定されるものではない。
【0027】
この順序で鋳型20へ充填することにより、一連の鋳型に対して、大きな中断を差し挟むことなくより均一且つ一貫した充填を行うことができるという利点が得られることが分かった。これによって鋳型20内の鋳造物品の稠度および品質が向上する。さらに、この順序で鋳型20へ充填することにより、鋳造に使用される高価な金属および合金をより効率的に利用することができ、製造コストの削減を図ることができる。また本発明を実施することにより、空孔欠陥、結晶粒欠陥、非金属混入物などの放射線検査により確認される欠陥、非金属混入物などの目に見える欠陥によって廃棄される鋳造物品の数を削減することができる。本発明の特定の実施の形態においては、順列中の後に続いて充填される鋳型(例えば鋳型#2−#4)への非金属混入物および溶滓などの異物の混入を減少させることにより、結果的に廃棄される鋳造物品の数を削減することができる。周知のように、非金属混入物は、製造される鋳造物品の伸張性、破断性、耐用年数を減少させるなど、鋳型内で凝固する物品の機械的性質にとって有害である。航空宇宙分野の用途では、鋳型#2、#3、#4などの内部で凝固する金属または合金物品の内部への非金属混入物のレベルを減少させることは、タービン・エンジンまたは機体の製造業者などの、物品(製品)のエンド・ユーザにとって、きわめて重要および/または多くの場合必要不可欠となる。鋳型#1内で生成された鋳造物品は、廃棄または再加工されるか、あるいは金属または合金を回収して再び溶解させる場合もある。
【0028】
図1Dを参照すると、本発明のもう1つの例示的実施の形態において、物品成形鋳型20が、傾斜した溶湯供給部材10d上に、溶湯供給路10eと流体連通した状態で配置される。図1Dに示されるように、溶湯供給部材10dは水平に対して鋭角的に傾斜している。
【0029】
図1A〜1Dおよび続く図2〜図14において、同じ参照番号は同じまたは類似の機能または構成要素を指すために用いられる。
【0030】
図2を参照すると、本発明のさらにもう1つの例示的実施の形態において、一連の物品成形鋳型20が、種々の断面(縮小する断面)10fを有し、鋳型カップから距離が離れるほど断面積が減少する、溶湯供給路10eを有する溶湯供給部材10dに、溶湯が流動するように接続された構図が示される。鋳型20は、鋳造の過程でこれらの鋳型が順々に充填されるように、溶湯が鋳型ゲート通路20gを通じて流動する状態で溶湯供給路10eの各断面(縮小する断面)10fに接続される。つまり、溶融金属または合金Mは、最初に鋳型#1へと流れ込み完全に充填され、次に鋳型#2へと流れ込み完全に充填され、最後に鋳型#3へと流れこみ完全に充填される。図2においては溶湯供給部材10dを水平に配置した構図が示されるが、これを水平に対して傾斜させることも可能である。
【0031】
図3を参照すると、本発明のさらにもう1つの例示的実施の形態において、物品成形鋳型20が、直立型溶湯供給部材10dから延在するゲート・スポーク10に、溶湯が流動する状態で接続される構図が示される。溶湯供給部材10dは直立型溶湯供給路10eを含んでおり、鋳型20には、各鋳型湯口通路20gを通じてほぼ水平に溶融金属または合金が供給される。各鋳型には溶融金属または合金Mが順々に充填され、最初に鋳型#1へと流れ込み完全に充填され、2番目に鋳型#2へと流れ込み完全に充填され、3番目に鋳型#3へと流れ込み完全に充填され、最後に鋳型#4へと流れ込み完全に充填される。溶融金属または合金は鋳型カップ10aに注入され、重力によって湯口10bを通じて下方へ流動し、次に金属の静圧および重力によって溶湯供給路10eを通じて上方へ流動し、各鋳型へと流れ込む。図においては鋳型20が水平方向を向いた構図が示されるが、先端領域20tが根元領域20rよりも下になるように下方に傾斜させて構成することもできる。
【0032】
図4を参照すると、本発明のさらにもう1つの例示的実施の形態において、金属または合金の溶湯を鋳型アセンブリの溶湯含有鋳型カップ10aに供給し、続いて鋳型カップ10aからの溶湯を鋳型アセンブリの溶湯供給スポーク10sに供給し、複数の鋳型20へと流動させる構図が示される。これらの鋳型20の内の1番目の鋳型は、鋳型カップから溶湯供給スポーク10sの通路を通じて直接溶湯が流れ込むように接続されており、それに続く鋳型は、各溶湯供給部材10dによって、順列中の先行する鋳型の頂上部から次の鋳型への頂上部へとそれぞれ相互に接続される。具体的に述べるとこの実施の形態においては、図に示すように、一連の物品成形鋳型20が、鋳型湯口通路20gに接続された溶湯供給部材10dの各溶湯供給路10eによって接続されており、順列中の1番目の鋳型#1の頂上部から2番目の鋳型#2の頂上部へ、そして3番目の鋳型#3の頂上部またそれ以降へと、溶融金属または合金を頂上部から頂上部へと段階的に流動させ、鋳造の過程において鋳型が順々に充填される。この一連の溶湯供給部材10dおよび相互に接続された鋳型20を、鋳型カップ10aまたは湯口10bに対して任意のパターンで配置することも可能である。例えば、この一連の溶湯供給部材10dおよび相互接続された鋳型20を、鋳型カップおよび/または湯口に対して直線状または円形状またはその他のアーチ状に配置することも可能である。
【0033】
図4を参照すると、溶融金属または合金の縦列流れは、溶湯が順列中の先行する鋳型の鋳型空洞部20cを通じて次の鋳型へ直接流れ込むのではなく、一連の鋳型20の各鋳型空洞部20c内部で一端行き詰まりとなり、続いて順列中の各鋳型20の鋳型空洞部20cの頂上部から次の鋳型20の鋳型空洞部の頂上部へと順々に流動する。具体的に述べると、通路10eを有する第1溶湯供給部材10dは、溶融金属または合金を、注入カップ10a(または湯口)から最初に充填される鋳型#1の鋳型空洞部20cの頂上部湯口通路20gへ供給するために配置され、そして第2ゲート部材10dは、溶湯金属または合金を、最初に充填される鋳型#1から順列中の次の鋳型#2の鋳型空洞部20cの頂上部へ、またそれ以降の鋳型へ供給するために配置される。
【0034】
鋳型は溶湯金属または合金によって順々に充填される。溶湯金属または合金は、鋳型カップ10a(または湯口)から最初に鋳型#1へと流れこみ完全に充填され、続いてこの鋳型#1から順列中の鋳型#2へと流れ込み完全に充填され、そして次の鋳型へと流れ込み完全に充填され、全ての鋳型が溶融金属または合金で充填されるまでこれを繰り返す。
【0035】
一連の溶湯供給部材はアーチ状の溶湯供給部材10dとして示されているが、適切な形状および溶湯通路10eの断面サイズを有する他の任意の溶湯供給部材を利用することもできる。例えば、溶湯供給部材10dを、順列中の先行する鋳型の頂上部から次の鋳型へ溶湯を順々に流動させることのできる、コ字状または反転湾曲形状またはその他の任意の形状をとる、直線および/または曲線状の部分で構成することも可能である。
【0036】
オプションとして、溶湯が鋳型に流入する前に溶滓および非金属混入物などの異物を除去するために、例えば網状セラミック・フィルタまたは細胞流入セラミック・フィルタなどの従来型の溶融金属または合金フィルタFを、溶湯供給スポーク10sの通路内に配置することも可能である。
【0037】
図4Aは、通路10eを有する一連のアーチ状溶湯供給部材10dによって接続された鋳型20を有する図4のギャング鋳型アセンブリに対する、1つの代替的ギャング鋳型アセンブリを示す断面図であり、ここでは順列中の1番目の鋳型#1および2番目の鋳型#2が、溶湯フィルタFをその内部に有する溶湯供給スポーク10sに接続されており、それに続く鋳型#3およびそれ以降の鋳型は、図4に示されるのと同様に頂上部と頂上部が接続されている。
【0038】
オプションとして、図4および4Aに示す物品成形鋳型#1を、図5および6を参照して以下に述べる、またこれらの図において鋳型#0として示される擬似または仮の非物品成形鋳型で置き換えることも可能である。擬似または仮の非物品成形鋳型とは、この非物品成形鋳型の鋳型空洞部20cが、物品成形鋳型によって鋳造される物品の形状を有していないという意味である。
【0039】
図5および6を参照すると、鋳型アセンブリにおいて、第1の擬似または仮の非物品成形鋳型#0にゲート・スポーク10sによって行き止まりの状態で溶湯が供給されて非金属混入物および溶滓などの異物が収集または捕捉され、続く物品成形鋳型#1−#3およびそれ以降の鋳型は一連の溶湯供給部材10dによってその頂上部と底部とが接続され、溶融金属または合金の溶湯が各鋳型の頂上部から次の鋳型の底部へ、そして各鋳型空洞部20cを通じて流れ、図5においては水平に図6においては斜め上に順々にそれぞれ流動する構図が示される。鋳型#1、#2、#3およびそれ以降の鋳型の各鋳型空洞部20cにおいて、図に示される溶湯供給部材10dの配置の結果として、溶湯は底部から頂上部へと流れる。図5および6において、溶湯は、鋳型カップ(図示せず)からゲート・スポーク10sの通路を通じて、擬似または仮の鋳型#0の頂上部へと流れる。この擬似または仮の鋳型#0が完全に充填された後、溶湯は、第1溶湯供給部材10dの通路10eを通じて鋳型#1の頂上部から鋳型#2の底部へと流れる。溶湯は、鋳型#2の底部から鋳型空洞部20cを通じて頂上部へと流れ、続いて第2溶湯供給部材10dを通じて鋳型#2の頂上部から次の鋳型#3の底部へと流れ、これが繰り返される。擬似または仮の鋳型#0は非物品成形鋳型として示されているが、この1番目の鋳型を例えば図4に示すような物品成形鋳型として構成することも可能である。
【0040】
図6においては、図5とは異なり一連の物品成形鋳型20が順々に上昇して配置される構図が示される。
【0041】
図7は本発明のもう1つの実施の形態によるギャング鋳型アセンブリ10を示しており、この鋳型アセンブリにおいては、鋳型20が、順列中2番目の鋳型#2への充填が完了する前に1番目の鋳型#1への充填が完了するように、各鋳型湯口通路20gによって、直立型湯口10bから溶湯が流動するように連通した通路10eを有する一連の水平溶湯供給部材10dに接続されている。この鋳型が各溶湯供給部材10dの頂上部に接続された構図が示される。この湯口10bは鋳型カップ10aから流れ込む溶湯を受け入れる。
【0042】
図8は本発明のもう1つの実施の形態による図7のギャング鋳型アセンブリに類似したギャング鋳型アセンブリを示しており、この鋳型アセンブリにおいては、上下方向に積み重ねられた鋳型20が、鋳型間の接続路Pによって溶湯が流動するように接続されている。この鋳型20は、下側の順列中2番目の鋳型#2への充填が完了する前に1番目の鋳型#1への充填が完了するように、また上側の順列中鋳型#4への充填が完了する前に鋳型#3への充填が完了するように、各鋳型湯口通路20gによって、直立型湯口10bに接続された一連の水平溶湯供給部材10dの通路10eに接続されている。
【0043】
図9は本発明のもう1つの実施の形態による図7のギャング鋳型アセンブリに類似したギャング鋳型アセンブリを示しており、この鋳型アセンブリにおいて、鋳型20は、順列中2番目の鋳型#2への充填が完了する前に1番目の鋳型#1への充填が完了するように、各鋳型湯口通路20gによって、直立型湯口10bに接続された各溶湯供給部材10dの通路10eの底部に接続されている。
【0044】
さらに図1A〜1Dおよび2を参照すると、鋳型20は、ギャング鋳型10の湯口10bから延在する直線状の(真っ直ぐな)溶湯供給部材10dの全長に沿って配置されている。
【0045】
一方図11を参照すると、鋳型は直線状の(真っ直ぐな)、傾斜した溶湯供給部材10dの全長に沿って配置されており、この溶湯供給部材10dは、水平に対して鋭角に傾斜し、クロス・ゲート・スポーク10sからH字形パターンに延在する。このクロス・ゲート・スポーク10sは、ギャング鋳型10の湯口10bに溶湯が流動するように接続され、この湯口10bから流入する溶融金属または合金の溶湯を受け入れ、鋳型へと供給する。本発明は任意の適切なパターンのゲート部材および鋳型を利用して実施することができ、本明細書において示しまた説明されたパターンのみに限定されるものではない。
【0046】
一方で例えば、鋳型を、ギャング鋳型のアーチ状ゲート部材の全長に沿って配置することも可能である。例えば図12を参照すると、溶湯供給部材10dは、溶湯が流動するように湯口10bに接続された略放射状のゲート・スポーク10sから延在する。図において、この溶湯供給部材10dが鋳型カップ10aを中心に上方に傾斜して螺旋状に延在し、鋳型20が溶湯が流動するようにこの螺旋状ゲート部材に接続されている構図が示される。この傾斜した螺旋形状によって、一連の鋳型20はこの螺旋の傾きの方向に順々に充填される。
【0047】
本発明の上述の例示的実施の形態においては、鋳型20が、その内部で等軸物品を鋳造するように構成されている構図が示される。つまり、溶融金属または合金は鋳型空洞部20cへと導入され、空気、真空または鋳込む金属または合金に応じた保護雰囲気下で凝固され、鋳造物品内に等軸結晶粒微構造が提供される。本発明は、等軸鋳造物品の生成のみに限定されるわけではなく、方向性凝固柱状晶物品、単結晶物品、複合物品などの他の鋳造物品の生成のために実施することも可能である。
【0048】
例えば図13を参照すると、単結晶物品を鋳造するための1つの例示的なギャング鋳型が、鋳型カップ10a、湯口10b、ゲート・スポーク10s、および単結晶物品を鋳造するように構成された鋳型20へ溶融金属又は合金を供給するための通路10eを有する、図5を参照して上に述べたタイプの一連のゲート部材10dによって構成される構図が示される。このゲート・スポーク10sが2つ、3つまたはそれ以上の分岐ゲート・スポークに分岐していてもよく、この場合、各分岐ゲート・スポークは一連の鋳型のそれぞれに溶湯が流動するように接続される。
【0049】
図13において、各鋳型20は、溶融金属または合金から熱を一方向に除去するチル・プレートCPによって閉塞された結晶粒核形成室21、およびこの核形成室に接続され、また内部を通じて上方へ伝播する単結晶又は単結晶粒を選択し、さらにその上方の鋳型空洞部20c内の溶融金属または合金に伝播させる“ピグテール(pigtail)”通路などの結晶セレクタ通路22を含む。核形成室21および/または“ピグテール”通路の代わりに、鋳型内に単結晶シード(図示せず)を配置し、単結晶粒または単結晶の核形成を行い鋳型20c内部に伝播させることも可能である。この場合鋳型#1はチル・プレートとは連通せずその下部が閉塞されており、鋳型#2〜#3またそれ以降の鋳型も同様である。物品が方向性凝固により鋳造され方向性凝固柱状粒または単結晶物品を生成する場合、本発明を実施することによって、方向性凝固をもたらすための鋳型結晶粒核形成室21内での溶湯熱の保持が向上する。
【0050】
図13に示す鋳造法は、鋳型が、鋳型注入カップの溶湯供給スポークから溶湯が供給されるセラミック・シェル鋳型の溶湯供給室上に積み重ねられる方法や、溶湯供給室がピグテールなどの結晶粒セレクタ上に配置される方法や、最下部の鋳型のみが鋳型湯口通路によって溶湯供給室と溶湯が流動するように直接接続されており、この最下部の鋳型の上に配置された残りの鋳型が鋳型間の直立型接続路によって次の鋳型に接続されている方法などの、先行技術による単結晶鋳造法とは異なる。また溶湯供給室上に複数の鋳型のスタック(積み重なり)を配置する方法も採られてきた。この方法においては、各スタックの最下部の鋳型のみが鋳型湯口通路によって溶湯が流動するように溶湯供給室と直接接続されており、各スタックにおける最下部の鋳型の上の残りの鋳型は、これらの鋳型間の直立型接続路によって次の鋳型に接続されており、最下部の鋳型に同時に溶湯が充填され、次にその上の鋳型に同時に溶湯が充填されそれ以降もこれが繰り返される、といったように構成されている。
【0051】
図14を参照すると、鋳型カップ10aと、湯口10bと、ゲート・スポーク10sと、および図4を参照して上に述べたタイプの、柱状晶物品を鋳造するように構成された鋳型20に溶融金属または合金を供給する通路10eを有する一連の溶湯供給部材10dと、によって構成された柱状晶物品を鋳造するための1つの例示的ギャング鋳型が示される。特に、鋳型20は、内部の溶融金属または合金から一方向に熱を除去するチル・プレートによって閉塞された結晶粒核形成室21を含む。鋳型空洞部20cは核形成室21に接続しており、この核形成室21内を上方に伝播する多数の結晶または結晶粒が、鋳型空洞部20c内の溶融金属または合金に伝播し、柱状晶物品を形成するように構成されている。また鋳型#1の下端をチル・プレートに接続させずに閉塞し、鋳型#2〜#3またそれ以降も同様にチル・プレートに接続させずに閉塞する、といったように構成することも可能である。
【0052】
上に述べた実施の形態において、溶融金属または合金が鋳型カップ、湯口、ゲート部材、鋳型20の鋳型空洞部20c内で凝固した後、鋳型材料を金属または合金鋳造物から取り除く。この金属または合金鋳造物には、鋳型空洞部20c内で形成され、湯口および注入カップに接続した凝固ゲートに接続した凝固金属または合金物品が含まれる。鋳型材料は、ノックアウト法、振動法、研磨剤吹き付け法、化学溶解/噴射除去法、またはその他の従来の鋳型除去法によって取り除かれる。最初に充填される鋳型(例えば図中の擬似鋳型#0または鋳型#1)内の凝固金属または合金物品中には、溶融金属または合金の時点で混入した非金属混入物がより多く含まれる。その後に続いて充填された残りの鋳型(例えば#2、#3、#4など)内で形成された、後の凝固金属または合金物品には、非金属混入物の混入の割合が少ない。
【0053】
図10は、本発明のもう1つの実施の形態による、鋳型カップ10a、湯口10bおよび溶融が流動するように接続された略放射状ゲート・スポーク10sを有するギャング鋳型アセンブリ10を示す。このゲート・スポーク10sは、第1の複数の鋳型20に溶湯が流動するように接続された通路10eを有する第1アーチ状溶湯供給部材10dに向かって延びる。この第1アーチ状溶湯供給部材は、第2の複数の鋳型20’に溶湯が流動するように接続された通路10e’を有する第2アーチ状溶湯供給部材10d’と、溶湯が流動するように接続されている。この第1および第2溶湯供給部材は、溶湯が流動して、第1の複数の鋳型20が、第2の複数の鋳型20’への充填の前に完全にまたは部分的に充填されるように、アーチ状溶湯供給接続部材10gによって接続されている。溶湯供給部材10d、10d’はリング状または図に示すような部分リング状である。あるいはこの溶湯供給部材が直線状またはその他の任意の形状であってもよい。さらにアーチ状または直線状の溶湯供給部材(図示せず)を、接続部材10gに類似した適切な溶湯供給接続部材(図示せず)によって接続し、それぞれ一連の複数の鋳型を溶湯が流動するように接続された第3、第4、第5、その他の溶湯供給部材を構成することも可能である。
【0054】
本発明の実施に際して、鋳型アセンブリにおいて、種々の鋳造法を利用した鋳造を行うことができる。例えば鋳型アセンブリにおいて、溶湯を鋳型カップ10aに供給し、空気、真空または保護雰囲気下に配置された鋳型20へと重力によって流動させる重力鋳造を行うことも可能である。さらに例えば米国特許第6,019,158および6,070,644号明細書に開示されるような、鋳型アセンブリにおいて、鋳型カップ10a内の溶湯にガス圧力を加え、鋳型への溶湯の流動を補助するといった方法を行うことも可能である。さらに米国特許第6,453,979号明細書に開示されるような、鋳型アセンブリに、外面釉薬層またはコーティングを施し、鋳型壁ガス透過率を低減させ、真空室内の鋳型カップに供給される溶湯にガス圧力を加えて溶湯の鋳型への流動を補助するといった方法を行うことも可能である。
【0055】
以下の例は、本発明の範囲に制限を加えることなく、本発明の内容をさらに例証するために示されるものである。
【0056】
この例では、高圧タービン翼を方向凝固させるためのセラミック・インベストメント・シェル鋳型アセンブリを生成した。この鋳型アセンブリは、真空および華氏500度(摂氏260度)の過熱下で市販のニッケル基超合金(RENE142)溶湯を注ぎ込む中央鋳型カップを含む。この鋳型カップ10aは、6個の放射状に延在する溶湯供給スポーク10sを含んでおり、この6個の溶湯供給スポーク10sのそれぞれは鋳型ギャングと溶湯が流動するように接続されており、この鋳型ギャングは最初に充填される円筒形擬似(非物品形成)シェル鋳型と、図4と同様の状態でアーチ状溶湯供給路によってその頂上部と頂上部とが相互に接続される一連の10個の物品形成(タービン翼形成)シェル鋳型とによって構成されている。擬似鋳型および1番目の物品成形鋳型は、図4Aと同様の状態で各溶湯供給スポーク10sに接続され、ここでこの円筒形擬似鋳型は図4Aの鋳型#1で示す位置に配置され、タービン翼鋳造物を形成するための各物品成形鋳型は図4Aの鋳型#2、#3およびそれ以降の鋳型の位置に配置された。各擬似鋳型は、円筒形の断面の鋳型空洞部を有し、その下端がチル・プレートCPに接続する。これらの物品成形鋳型およびチル・プレートは、鋳型カップを中心としてチル・プレート上で円形パターンで構成されているという点を除き、図14に示す構成と同じである。20ppi(線インチあたり細孔)の従来型溶湯セラミック・フィルタを、放射状にそれぞれ延在する各溶湯供給スポークの図4に示す位置と同じ位置に配置した。
【0057】
先に述べたタイプの複数の鋳型アセンブリにおいて、該例の連続充填法を利用して時間かけて充填を行い、タービン翼鋳造物を形成した。擬似鋳型内で形成される鋳造物は円筒状の形状をしており、これはタービン翼の鋳造物ではない。該実施例の連続充填法により鋳造された、一連の物品成形鋳型の2〜10番目のタービン翼鋳造物において、異物の混入により廃棄されたタービン翼鋳造物の割合は約1.2%〜2.5%であった。連続充填により、各一連の鋳型の内の1番目の鋳型で鋳造されたタービン翼鋳造物のうち、異物の混入によって廃棄された鋳造物の割合は約5%であった。従って該実施例により鋳造された、各一連の鋳型の内の2〜10番目の鋳型のタービン翼鋳造物においては、各一連の鋳型の内の1番目の鋳型で鋳造されたタービン翼の場合に比べ、廃棄される鋳造物の割合に著しい減少が見られた。
【0058】
本発明を特定の実施の形態を参照することによって上に述べてきたが、本技術分野の当業者であれば、本発明がこれらの実施の形態の内容に限定されるものではなく、添付請求項において述べる本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の修正、変更などを加えることができることを理解するであろう。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、順次充填される状態で接続された複数の鋳型に溶融金属または溶融合金を鋳込む方法および装置に関し、複数の鋳型へ溶融金属または合金を鋳込むための方法および装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】本発明の1つの例示的実施の形態による、ギャング鋳型アセンブリを示す斜視図である。
【図1B】図1Aのギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
【図1C】各鋳型に対して傾斜して接続された溶湯供給路内の溶融金属または合金を示す、1つの溶湯供給部材を表す拡大部分断面図である。
【図1D】傾斜した供給路の上部に取り付けられた構図を示す、もう1つの溶湯供給部材を表す拡大部分断面図である。
【図2】複数の断面を有する(縮小する)非傾斜溶湯供給路内の溶融金属または合金を示す、もう1つの例示的溶湯供給部材を表す拡大部分断面図である。
【図3】直立型の溶湯供給部材に沿って順々に鋳型が接続された、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
【図4】溶融金属または合金を頂上部から頂上部へと段階式に流動させる、一連のアーチ状溶湯供給部材によって連結される鋳型を有するギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
【図4A】図4のアセンブリに対するもう1つの代替的ギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
【図5】各鋳型の頂上部から次の鋳型の底部へこの溶湯を流動させる一連の溶湯供給部材によって連結された物品成形鋳型を有する、鋳型アセンブリの一連の鋳型を示す拡大部分断面図である。
【図6】各鋳型の頂上部から次の鋳型の底部へこの溶湯を流動させる一連の溶湯供給部材によって連結された物品成形鋳型を有する、さらにもう1つの鋳型アセンブリの一連の鋳型を示す拡大部分断面図である。
【図7】一連の水平な溶湯供給部材によって直立型の湯口に連結された一連の鋳型を有する、本発明のもう1つの実施の形態によるギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
【図8】それぞれ溶湯が流動するように一連の水平な各溶湯供給部材によって直立型の湯口に連結された垂直積層鋳型を有する、本発明のもう1つの実施の形態によるギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
【図9】図7のギャング鋳型アセンブリに類似した本発明のもう1つの実施の形態によるギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
【図10】本発明のもう1つの例示的実施の形態によるギャング鋳型アセンブリを示す斜視図である。
【図11】鋳型注入カップ底部の湯口からH型に延在する複数の溶湯供給部材を有する、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるもう1つのギャング鋳型アセンブリを示す斜視図である。
【図12】鋳型注入カップ底部の湯口から傾斜螺旋状に延在するアーチ状溶湯供給部材を有する、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるさらにもう1つのギャング鋳型アセンブリを示す斜視図である。
【図13】図5と同様の状態で一連の溶湯供給部材によって連結された物品成形鋳型を有する、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるさらにもう1つのギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
【図14】図4と同様の状態で溶融金属または合金を頂上部から頂上部へと順に流動させて順列中の鋳型を充填するように一連の溶湯供給部材によって接続された物品成形鋳型を有する、本発明のもう1つの例示的実施の形態によるさらにもう1つのギャング鋳型アセンブリを示す断面図である。
【符号の説明】
【0061】
10 ギャング鋳型
10a 溶湯受容鋳型カップ
10b 湯口
10c 湯道
10e 溶湯供給路
10d 溶湯供給部材
20 物品成形鋳型
20a セラミック・シェル
20c 物品成形鋳型空洞部
20e 閉塞端
20f 翼幹領域
20g 鋳型湯口通路
20p 翼プラットフォーム領域
20r 翼根領域
20t 翼端領域
CR 坩堝
M 合金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属または合金を鋳込むための方法であって、
金属または合金の溶湯を鋳型アセンブリの溶湯含有鋳型カップへ供給するステップと、
前記溶湯を前記鋳型カップから前記鋳型アセンブリの溶湯供給路へと供給し、前記溶湯供給路と溶湯が流通するように直列に順々に接続された複数の鋳型へと流動させるステップと
を含み、前記溶湯供給路が、列中の各鋳型が列中の次の鋳型が少なくとも部分的に充填される前に少なくとも部分的に充填されるように構成されることを特徴とする連続鋳型充填方法。
【請求項2】
列中の1番目の鋳型が列中の2番目の鋳型への充填がなされる前に完全に充填され、前記2番目の鋳型が列中の3番目の鋳型への充填がなされる前に完全に充填され、そして列中の残りの鋳型が充填され終えるまでこれが繰り返されることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項3】
列中の1番目の鋳型が、溶湯をその鋳型空洞部を通じて列中の次の鋳型へ流動させることなく、行き止まりの状態で充填されることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項4】
前記1番目の鋳型が、行き止まりの状態で構成される物品形成または非物品形成鋳型であることを特徴とする請求項3に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項5】
列中1番目の鋳型を溶湯供給路からその頂上部へ溶湯を供給することによって完全に充填するステップと、
次に列中2番目の鋳型を、前記1番目に充填された鋳型の頂上部から前記2番目の鋳型の頂上部へと延在する第2溶湯供給路を利用して、その前記頂上部から充填するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項6】
前記2番目の鋳型をその前記頂上部から完全に充填し、次に列中3番目の鋳型を、前記2番目の鋳型の前記頂上部から前記3番目の鋳型の頂上部へと延在する第3溶湯供給路を利用して、その前記頂上部から充填し、列中のその後に続く鋳型においてもこれが繰り返されることを特徴とする請求項5に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項7】
前記1番目の鋳型を、前記1番目の鋳型のその閉塞した反対端から離れて位置する一端の単一の流入路を利用して充填するステップ
を含むことを特徴とする請求項3に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項8】
2番目以降の鋳型に充填される溶湯金属または合金に含有される異物のレベルが、1番目の鋳型に充填される溶融金属または合金に含有される異物のレベルよりも低いことを特徴とする請求項3に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項9】
前記溶湯供給路がその全長に沿って水平に対して鋭角に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項10】
前記鋳型を前記傾斜した溶湯供給路の上方および/または下方に接続するステップ
を含むことを特徴とする請求項9に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項11】
前記溶湯の供給が、断面積が徐々に小さくなる可変断面を有し、長手方向に沿って縮小することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項12】
前記溶湯供給路がその長手方向に沿って直立していることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項13】
前記列中の隣接する鋳型を、アーチ状通路を有する各溶湯供給路によって接続するステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項14】
前記鋳型を、列中の先行する鋳型の頂上部から延在する溶湯供給通路により、前記列中の各鋳型の底部へ溶融金属または合金を供給することによって、直列に異なる高さで溶湯が供給されるように接続するステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項15】
前記鋳型を、ギャング鋳型の直線状溶湯供給路の全長に沿って配置するステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項16】
前記鋳型を、ギャング鋳型のアーチ状ゲート供給路の全長に沿って配置するステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項17】
前記通路が螺旋状または環状に延在することを特徴とする請求項16に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項18】
前記鋳型を、その内部で等軸多結晶物品を鋳造できるように構成するステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項19】
前記鋳型を、その内部で前記鋳型の軸に沿って多数の柱状粒子を有する方向性凝固物品を鋳造できるように構成するステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項20】
前記鋳型を、その内部で単一の粒子を有する単結晶物品を鋳造できるように構成するステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項21】
前記鋳型カップ内の前記溶湯にガス圧力を加えることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項22】
溶融金属または合金を鋳込むための方法であって、
金属または合金の溶湯を、列中の先行する鋳型の頂上部とその次の鋳型の頂上部とをそれぞれ接続する各溶湯供給部材によって直列に順々に接続された複数の鋳型へ供給するステップと、
前記列中の各鋳型をその次の鋳型が充填される前に完全に充填するステップと
を含むことを特徴とする連続鋳型充填方法。
【請求項23】
前記各溶湯供給部材がアーチ状の形状を有することを特徴とする請求項22に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項24】
溶融金属または合金を鋳込むための方法であって、
金属または合金の溶湯を鋳型アセンブリの溶湯含有鋳型カップへ供給するステップと、
前記溶湯を、前記鋳型カップから、第1の複数の鋳型が溶湯が流通するように直列に順々に接続された、前記鋳型アセンブリの第1溶湯供給路へ供給するステップと、
前記溶湯を、前記第1溶湯供給路から溶湯供給接続路を通じて、第2の複数の鋳型が溶湯が流通するように直列に順々に接続された第2供給路へ、前記第1の複数の鋳型が、前記第2の複数の鋳型の前に少なくとも部分的に充填されるように、供給するステップと
を含むことを特徴とする連続鋳型充填方法。
【請求項25】
前記第1溶湯供給路を、前記第1の複数の鋳型が前記第2の複数の鋳型への充填の前に少なくとも部分的に充填されるように構成された前記接続路によって、前記第2溶湯供給路に溶湯が流通するように接続するステップ
を含むことを特徴とする請求項24に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項26】
前記接続路がアーチ状の形状を有するように構成されることを特徴とする請求項25に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項27】
前記第1溶湯供給路が直線状またはアーチ状の形状であることを特徴とする請求項24に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項28】
前記第1溶湯供給路がその全長に沿って傾斜または縮小することを特徴とする請求項27に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項29】
前記第2溶湯供給路が直線状またはアーチ状の形状であることを特徴とする請求項24に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項30】
前記第2溶湯供給路がその全長に沿って傾斜または縮小することを特徴とする請求項29に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項31】
前記鋳型を、等軸多結晶粒凝固物品を鋳造できるように構成するステップ
を含むことを特徴とする請求項24に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項32】
前記鋳型を、その内部で前記鋳型の軸に沿って多数の柱状粒子を有する方向性凝固物品を鋳造できるように構成するステップ
を含むことを特徴とする請求項24に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項33】
前記鋳型を、その内部で単一の粒子を有する単結晶物品を鋳造できるように構成するステップ
を含むことを特徴とする請求項24に記載の連続鋳型充填方法。
【請求項34】
溶融金属または合金の溶湯を鋳込むための鋳型アセンブリであって、
溶湯含有鋳型カップと、
前記鋳型カップと溶湯が流通するように接続された溶湯供給部材と、
前記溶湯供給路と溶湯が流通するように直列に順々に接続された複数の鋳型と、
を含み、前記溶湯供給路が、列中の各鋳型が前記列中の次の鋳型が少なくとも部分的に充填される前に少なくとも部分的に充填されるように、構成されることを特徴とする鋳型アセンブリ。
【請求項35】
前記溶湯供給部材が水平に対して鋭角に傾斜し、その内部で溶融金属または合金を上方に傾斜した方向に流動させることを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項36】
前記鋳型が、前記傾斜した溶湯供給部材の上方および/または下方にそこに連通するように配置されることを特徴とする請求項35に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項37】
前記鋳型が、直立型溶湯供給路に沿って直列に接続されることを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項38】
前記溶湯供給部材が、鋳型カップから遠ざかる方向に断面が小さくなる可変断面を有することを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項39】
前記列中の隣接する鋳型が、前記隣接する鋳型の頂上部から頂上部へ溶融金属を流動させる各溶湯供給部材によって、溶湯が流通するように接続されることを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項40】
隣接する鋳型間の前記各溶湯供給路がアーチ状の通路を有することを特徴とする請求項39に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項41】
各溶湯供給部材が、列中の各鋳型の頂上部から隣接する次の鋳型の頂上部へと延在することを特徴とする請求項39に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項42】
前記列中の隣接する鋳型が、前記隣接する鋳型間でその頂上部から底部へ溶融金属を流動させる各溶湯供給部材によって、溶湯が流通するように接続されることを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項43】
前記鋳型が、隣接する鋳型間で各鋳型の底部へ溶融金属または合金を供給する溶湯供給路によって、直列に異なる高さで接続されることを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項44】
前記鋳型が、ギャング鋳型の直線状通路の全長に沿って配置されることを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項45】
前記鋳型が、ギャング鋳型のアーチ状通路の全長に沿って配置されることを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項46】
前記通路が螺旋状または環状に延在することを特徴とする請求項45に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項47】
前記各鋳型が、等軸多結晶物品を鋳造するための物品成形鋳型空洞部を含むように構成されることを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項48】
前記各鋳型が、前記鋳型の軸に沿って多数の柱状粒子を有する方向性凝固物品を鋳造するための物品成形鋳型空洞部の下方に配置され、また前記物品成形鋳型空洞部と連通する結晶粒核形成室を含むように構成されることを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項49】
前記各鋳型が、単結晶物品を鋳造するための物品成形鋳型空洞部の下方に配置される結晶粒セレクタ通路または単結晶シードを含むように構成されることを特徴とする請求項34に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項50】
溶融金属または合金の溶湯を鋳込むための鋳型アセンブリであって、
列中の先行する鋳型の頂上部と次の鋳型の頂上部とをそれぞれ接続する各溶湯供給部材によって順々に接続される複数の鋳型
を含むことを特徴とする鋳型アセンブリ。
【請求項51】
前記各溶湯供給部材がアーチ状の形状を有していることを特徴とする請求項50に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項52】
金属または合金の鋳造物であって、
凝固ゲートに接続された複数の凝固金属または合金物品
を含み、前記ゲートに接続された前記金属または合金物品の内の1番目の物品が、前記凝固ゲートに接続された残りの前記凝固金属または合金物品よりも多くの異物を含んでいることを特徴とする鋳造物。
【請求項53】
前記凝固物品が、傾斜した凝固ゲートの全長に沿って直列に接続されていることを特徴とする請求項52に記載の鋳造物。
【請求項54】
前記凝固物品が、前記凝固ゲートの上方および/または下方に配置されていることを特徴とする請求項53に記載の鋳造物。
【請求項55】
前記凝固物品が、可変断面を有する凝固ゲートに接続されていることを特徴とする請求項52に記載の鋳造物。
【請求項56】
前記隣接する凝固物品が、各凝固ゲートによって頂上部から頂上部へ相互に接続されていることを特徴とする請求項52に記載の鋳造物。
【請求項57】
各凝固ゲートが、各凝固物品の頂上部から次の凝固物品の頂上部へ延在することを特徴とする請求項56に記載の鋳造物。
【請求項58】
前記各凝固ゲートがアーチ状のゲートを有することを特徴とする請求項56に記載の鋳造物。
【請求項59】
前記隣接する凝固物品が、各凝固ゲートによって頂上部から頂上部へ相互に接続されていることを特徴とする請求項52に記載の鋳造物。
【請求項60】
前記凝固物品が直線状凝固ゲートの全長にそって配置されていることを特徴とする請求項52に記載の鋳造物。
【請求項61】
前記凝固物品がアーチ状凝固ゲートの全長に沿って配置されていることを特徴とする請求項52に記載の鋳造物。
【請求項62】
前記凝固ゲートが環状または螺旋状に延在することを特徴とする請求項52に記載の鋳造物。
【請求項63】
前記凝固物品がその内部に等軸多結晶物品を含有することを特徴とする請求項52に記載の鋳造物。
【請求項64】
前記凝固物品が方向性凝固柱状晶物品を含有することを特徴とする請求項52に記載の鋳造物。
【請求項65】
前記凝固物品が単結晶物品を含有することを特徴とする請求項52に記載の鋳造物。
【請求項66】
金属または合金の鋳造物であって、
各凝固ゲートによって頂上部と頂上部が相互に接続される複数の凝固金属または合金物品
を含み、各凝固ゲートが各凝固物品の頂上部から次の凝固物品の頂上部へと延在することを特徴とする鋳造物。
【請求項67】
前記各凝固ゲートがアーチ状の形状を有することを特徴とする請求項66に記載の鋳造物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−534193(P2009−534193A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506532(P2009−506532)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/009298
【国際公開番号】WO2007/123874
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(507328210)ホーメット コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】