説明

連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御装置及び制御方法

【課題】異なる周波数帯域をもつ湯面変動を適切に抑制することができる連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】湯面レベル計21で検出した湯面レベルの検出値とその目標値との偏差を求めてPI制御することで、モールド3内の湯面変動を抑制する。その際、湯面レベル検出信号を周波数スペクトル解析することで、バルジング性湯面変動とダミーバー性湯面変動とのピーク周波数を検出し、そのピーク周波数によって、外乱補償器として機能する微分フィルタ12を切り替える。微分フィルタ12は、上記偏差から抑制したい周波数(ピーク周波数)の信号成分を抽出し、且つその位相特性を90度進ませて出力する特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造機のモールド内の湯面レベルを制御するモールド内湯面レベル制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造機において、モールド内の溶融金属(溶鋼)の湯面レベルの変動を抑止して、湯面レベルが一定になるように制御することは、操業の安定上のみならず、鋳片の品質管理上からも極めて重要なことである。
従来、モールド内湯面レベル制御方法としては、モールド内の溶鋼の湯面レベルを湯面レベル計によって計測し、この計測値に基づいてスライディングノズルの開度を調節することで、モールドから引き抜かれていく溶鋼とタンディッシュから注入される溶鋼とのマスバランスを釣り合わせるという方法がとられている。
【0003】
モールド内の溶鋼の湯面レベルが変動する最も大きな要因は、ガイドロールやピンチロールなどの鋳片支持ロールの間で生じる鋳片の厚み方向への膨らみ(バルジング)に起因する湯面レベル変動(バルジンク性湯面変動)であるといわれている。
このようなバルジング性湯面変動を抑制するものとして、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、湯面レベルの目標値と検出値との偏差に基づいて、スライディングノズルの開度指令を出力するPI制御器と、上記偏差からバルジング性湯面変動を抽出し、且つその位相特性を90度進ませて出力する特性を有する帯域微分を用いた外乱補償器とを併用して、湯面レベルが一定になるように制御するものである。ここでは、過去の鋳造速度のデータを利用してバルジング性湯面変動の周波数を求め、その周波数を用いて外乱補償器を制御することで、鋳造速度変更中にバルジング性湯面変動が発生した場合であっても外乱補償を有効に行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−160647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モールド内の溶鋼の湯面レベルが変動する要因には、バルジング性湯面変動の他にダミーバー性湯面変動がある。ダミーバー性湯面変動とは、ダミーバーによって鋳片を引き抜いて連続鋳造を開始する連続鋳造開始時において、ダミーバーが鋳片支持ロールに引っかかることに起因して発生する湯面レベル変動である。このダミーバー性湯面変動の周波数帯域は、バルジング性湯面変動の周波数帯域とは異なる。
【0006】
そのため、上記特許文献1に記載のモールド内湯面レベル制御方法にあっては、周波数帯域の低いバルジング性湯面変動は抑制できるが、バルジング性湯面変動の周波数帯域よりも高い周波数帯域のダミーバー性湯面変動については抑制することができない。
そこで、本発明は、異なる周波数帯域をもつ湯面変動を適切に抑制することができる連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御装置及び制御方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御装置は、連続鋳造機のモールド内の湯面レベルを制御する連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御装置であって、前記モールド内の湯面レベルを検出する湯面レベル計と、前記湯面レベル計で検出した湯面レベル検出信号と所定の湯面レベル目標値との偏差信号に基づいて、タンディッシュに設けられたスライディングノズルの開度指令を出力するPI制御器と、バルジング性湯面変動の周波数帯域とダミーバー性湯面変動の周波数帯域を包含する周波数帯域を対象として、前記湯面レベル計で検出した湯面レベル検出信号を周波数スペクトル解析し、湯面変動のピーク周波数を検出するピーク周波数検出器と、前記偏差信号から前記ピーク周波数検出器で検出したピーク周波数の信号成分を抽出し、且つその位相特性を90度進ませて出力する外乱補償器と、前記外乱補償器の出力信号を前記PI制御器が出力する前記開度指令に加算して最終的な前記開度指令とし、スライディングノズルの開度を調整するスライディングノズル制御器と、を備えることを特徴としている。
【0008】
これにより、バルジング性湯面変動のピーク周波数とダミーバー性湯面変動のピーク周波数と適切に求め、そのピーク周波数の外乱を補償するように外乱補償器を切り替えることができる。したがって、PI制御器に併せてこの外乱補償器を用いてスライディングノズルの開度を調整することで、異なる周波数帯域のバルジング性湯面変動とダミーバー性湯面変動とを効果的に抑制することができる。ここで、外乱補償器の周波数特性を、ピーク周波数の信号成分を抽出し、且つその位相特性を90度進ませて出力する特性とするので、単純な微分制御器を適用する場合のような高周波ノイズの影響を排除して位相遅れを改善することができる。
【0009】
また、上記において、前記外乱補償器は、前記偏差信号から制御対象の周波数の信号成分を抽出し、且つその位相特性を90度進ませて出力する特性を有し、前記制御対象の周波数がそれぞれ異なる複数の制御器を備えており、前記ピーク周波数検出器で検出したピーク周波数が前記制御対象の周波数となっている前記制御器のみを有効とするように構成されていることを特徴としている。
これにより、比較的簡易な構成で、周波数スペクトル解析により検出した湯面変動のピーク周波数に応じて外乱補償器を切り替えることができる。
【0010】
さらに、本発明に係る連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御方法は、連続鋳造機のモールド内の湯面レベルを制御する連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御方法であって、湯面レベル計で検出した湯面レベル検出信号と所定の湯面レベル目標値との偏差信号に基づいて、PI制御によりタンディッシュに設けられたスライディングノズルの開度指令を出力し、バルジング性湯面変動の周波数帯域とダミーバー性湯面変動の周波数帯域を包含する周波数帯域を対象として、前記湯面レベル計で検出した湯面レベル検出信号を周波数スペクトル解析することで、湯面変動のピーク周波数を検出し、前記偏差信号から前記ピーク周波数の信号成分を抽出し、且つその位相特性を90度進ませた信号を、前記PI制御により出力した前記開度指令に加算して最終的な前記開度指令とし、スライディングノズルの開度を調整することを特徴としている。
これにより、異なる周波数帯域をもつ湯面変動を適切に抑制することができる連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御方法とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、周波数の低い(周期の長い)バルジング性湯面変動や周波数の高い(周期の短い)ダミーバー性湯面変動など、異なる周波数帯域をもつ湯面変動を適切に抑制することができる。そのため、連続鋳造機におけるモールド内の溶鋼の湯面レベルを目標値で一定とすることができ、鋳片品質の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態における連続鋳造機のモールド周辺部の構成を示す断面図である。
【図2】モールド内湯面レベル制御系を示すブロック図である。
【図3】湯面レベル変動の周波数解析結果を示す図である。
【図4】微分フィルタの周波数特性を示す図である。
【図5】本実施形態の効果を示すシミュレーション結果の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における連続鋳造機のモールド周辺部の構成を示す断面図である。
図中、符号1は溶鋼であり、符号2は溶鋼1が満たされたタンディッシュである。タンディッシュ2はモールド3の上部に配置されており、タンディッシュ2の底部にはスライディングノズル(以下、一部SNと略記)4が取り付けられている。スライディングノズル4の下面側には浸漬ノズル5が取り付けられており、タンディッシュ2内に満たされた溶鋼1は、スライディングノズル4、浸漬ノズル5を経てモールド3内へ注入される。
【0014】
モールド3内へ注入された溶鋼1は、モールド3の側面より冷却されることで、表面から凝固してシェル6を形成しつつ、ピンチロール7によって下方に引き抜かれ鋳片8となる。この引抜速度は、ピンチロール制御装置(図示せず)によりほぼ一定に制御されている。
モールド3内に注入される溶鋼量は、スライディングノズル4の開度により決まる。スライディングノズル開度(SN開度)の調整は、制御装置10が油圧シリンダなどの図示しないアクチュエータ(スライディングノズル制御器)を駆動することで行う。
【0015】
SN開度は、モールド3内に注入される溶鋼量と下方へ引き抜かれる量とがバランスするように制御される。その制御は、モールド3内の湯面22のレベル(モールド内湯面レベル)が、予め設定された湯面レベル目標値で一定となるようにスライディングノズル4の開度指令値(SN開度指令値)を設定することで実現される。モールド内湯面レベルは湯面レベル計21によって検出され、その検出値は制御装置10に入力される。
【0016】
図2は、モールド内湯面レベル制御系を示すブロック図である。
図2に示すように、湯面レベル計21から得られる湯面レベルLと所定の湯面レベル目標値Lrefとの偏差(Lref−L)は、PI(比例+積分)制御器11と外乱補償器として機能する微分フィルタ12とにそれぞれ入力される。PI制御器11は、入力された偏差を零にするようなSN開度指令値を出力する。
【0017】
微分フィルタ12は、上記偏差から制御対象である特定周波数の信号成分を抽出すると共に、その位相特性を90度進ませる処理を行うものであり、制御対象の周波数がそれぞれ異なる複数の制御器から構成されている。微分フィルタ12は、FFT解析13の周波数解析結果に応じて、複数の制御器のうち1つが有効となるように切り替えられる。
FFT解析13は、湯面レベル計21で検出した湯面レベルLを入力し、湯面レベル変動の周波数スペクトル解析を行うFFT(高速フーリエ変換)機能を有する。このように、ここではFFTによるオンライン解析(信号を取り込みながらの解析)を行う。このFFT解析13により、湯面レベルの変動周波数に対する変動振幅の関係(周波数スペクトル)が得られ、変動振幅が最大となる変動周波数を湯面変動のピーク周波数として特定できる。すなわち、FFT解析13は、ピーク周波数検出器として機能する。
【0018】
図3は、湯面レベル変動の周波数解析結果の一例を示す図であり、(a)はバルジング性湯面変動発生時の周波数解析結果、(b)はダミーバー性湯面変動発生時の周波数解析結果である。
ここで、バルジングとは、モールド3を通過した後の鋳片8内部の未凝固の溶鋼の静鉄圧(溶湯圧)により、鋳片8の表面に形成されたシェル6が鋳片8を支持するピンチロール7間で厚み方向に膨らむ現象である。このように、所定間隔で配置されたピンチロール7を通過していく過程で、シェル6ひいては内部の未凝固の溶鋼が厚み方向に膨らんだり押し込まれたりを繰り返すことに起因して発生する湯面レベル変動が、バルジング性湯面変動である。このバルジング性湯面変動は、湯面レベル変動の主な原因となっており、その変動周波数はピンチロール間隔や鋳造速度によって決まる。
【0019】
一方、連続鋳造機では、鋳片8をダミーバーによって引き抜くことで鋳造を開始するが、この鋳造開始時において、ダミーバーがピンチロール7に引っかかることに起因して湯面レベル変動が発生する。これがダミーバー性湯面変動である。ダミーバー性湯面変動の変動周波数は、鋳造速度に依存せず溶鋼1の種類等によって決まる。
バルジング性湯面変動とダミーバー性湯面変動とは変動周波数が異なり、バルジング性湯面変動の周波数帯域は比較的低く(0.04〜0.07Hz程度)、ダミーバー性湯面変動の周波数帯域は比較的高い(0.25程度)。そのため、周波数スペクトル解析により、バルジング性湯面変動発生時には、図3(a)に示すようにピーク周波数が比較的低く測定され(この例では0.05Hz)、ダミーバー性湯面変動発生時には、図3(b)に示すようにピーク周波数が比較的高く測定される(この例では0.25Hz)。
【0020】
なお、FFT解析13では、バルジング性湯面変動の変動周波数帯域とダミーバー性湯面変動の変動周波数帯域とを包含する周波数帯域(例えば、0.04Hz〜0.3Hz)を対象として、周波数スペクトル解析を行う。すなわち、湯面レベル計21で検出した湯面レベル検出値を、解析対象の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタに通し、その結果に対して周波数スペクトル解析を行うようにする。これにより、バルジング性湯面変動とダミーバー性湯面変動とのピーク周波数を適切に測定することができる。
【0021】
そして、FFT解析13によって測定された湯面変動のピーク周波数を、湯面レベル制御において抑制したい湯面変動の周波数とし、上記微分フィルタ12を、上述した偏差信号から当該ピーク周波数の信号成分を抽出し、且つその位相特性を90度進ませる特性を有するように切り替える。
図4は、微分フィルタ12の周波数特性の一例を示す図であり、抑制したい周波数(湯面変動のピーク周波数)が0.3Hzの場合を示している。図4に示すように、抑制したい周波数のゲインを0dBとし、低周波領域及び高周波領域においてゲインを0dBよりも低くすることで、抑制したい周波数の信号成分のみを抽出し、さらにその位相を90度進めるようにしている。本実施形態では、例えば0.01Hz毎に抑制したい周波数が設定された上記特性の制御器を複数用意しておき、これらの制御器の有効/無効を湯面変動のピーク周波数によって切り替えるものとする。
【0022】
微分フィルタ12による演算結果は、SN開度補正値としてPI制御器11から出力されるSN開度指令値に加算され、その結果が最終的なSN開度指令値となる。すなわち、図2に示すモールド内湯面レベル制御系は、湯面レベルLとその目標値Lrefとの偏差が零となるように、PI制御器11と併せて、上記偏差から特定周波数の湯面変動成分(バルジング性湯面変動成分及びダミーバー性湯面変動成分)を抽出し、その位相特性を90度進ませて出力する特性を有する微分フィルタ12によりSN開度を制御することで、湯面レベルの変動を抑制している。
【0023】
すなわち、SN開度指令値が出力されると、所定の無駄時間を経て(むだ時間14)SN開度が調節されることでモールド3への溶鋼1の流入流量が制御される(SN特性15)。すると、その流入流量に流量外乱として湯面レベル変動(湯面レベル外乱)が加わった総流入流量の溶鋼1がモールド3に流入する。このとき、モールド3への流入流量を積分したものがモールド3内の湯面レベルLとなり(流量積分16)、これが湯面レベル計21によって検知される(センサ特性17)。
このようにして、湯面レベルLを湯面レベル目標値Lrefに一致させるべく作用するフィードバック制御ループが形成される。
【0024】
一般に、モールド内湯面レベル制御系では、湯面レベルの検出値とその目標値との偏差を0にするためにPI制御器を用いていたり、モールドへの流入流量が積分されてモールド内の湯面レベルとなったりするため、積分動作が系の特性を支配する。ところが、積分動作は90度の位相遅れを伴う動作であるため、この位相遅れを改善して適切な制御を行うためには、位相を90度進ませる動作が必要となる。
【0025】
通常、90度の位相進みを実現するためには、D(微分)制御が用いられる。しかしながら、単純な微分動作は、ノイズの影響を受けやすく、また高周波となるほどゲインが高くなる特性を有することから、上記PI制御器に代えて単純にPID制御器を用いてしまうと、高周波成分の信号を不必要に抑制してしまい、適切な湯面レベル制御を行うことができない。
【0026】
そこで、本実施形態では、図4に周波数特性の一例を示すように、抑制したい特定周波数で位相を90度進めるような微分フィルタ12を、外乱補償器として付加する。この微分フィルタ12としては、抑制したい特定周波数よりも高周波領域でゲインを低くするような特性を有する制御器を適用する。これにより、単純なD制御器を適用した場合のように、高周波成分の湯面変動を不必要に抑制することがなく、抑制すべき特定周波数の湯面変動を適切に抑制することができる。
【0027】
図5は、本実施形態の効果を示すシミュレーション結果の一例である。ここで、図5の実線aは、微分フィルタ12を適用せず、PI制御器11のみでSN開度を制御するシステムにおけるシミュレーション結果である。一方、図5の破線bは、PI制御器11と併せて微分フィルタ12を適用した本実施形態におけるシミュレーション結果である。この図5からもわかるように、微分フィルタ12を併用することで、湯面レベルの変動幅低減効果(25%程度の変動幅低減効果)が得られる。
このように、本実施形態では、バルジング性湯面変動の周波数帯域とダミーバー性湯面変動の周波数帯域を包含する周波数帯域を対象として、湯面レベル計で検出した信号を周波数スペクトル解析するので、周波数帯域の異なるバルジング性湯面変動とダミーバー性湯面変動のピーク周波数をそれぞれ適切に検出することができる。
【0028】
そして、検出したピーク周波数によって微分フィルタを切り替え、微分フィルタの出力によってPI制御器が出力するSN開度指令を補正する。ここで、微分フィルタは、入力信号から特定周波数の信号成分を抽出し、且つその位相特性を90度進ませて出力する特性を有するものとする。このような微分フィルタをピーク周波数によって切り替えることで、湯面変動の周期変化(湯面変動の原因)に応じた外乱補償を実現することができ、異なる周波数特性をもつ湯面変動を適切に抑制することができる。
【0029】
また、微分フィルタによって90度の位相進みを実現することができるので、PI制御器の積分動作による位相遅れを改善し、適切な位相で湯面レベル制御を行うことができる。さらに、微分フィルタのゲイン特性を、上記特定周波数よりも高周波領域でゲインを低くする特性とするので、単純なD制御器を適用した場合に発生する高周波ノイズの影響を排除することができる。
以上のように、異なる周波数特性を持つ湯面変動を効果的に抑制し、モールド内の湯面レベルを目標値で一定に保つことができるので、品質の安定性を向上させて良好な鋳片を製造することができる。
【符号の説明】
【0030】
1…溶鋼、2…タンディッシュ、3…モールド、4…スライディングノズル(SN)、5…浸漬ノズル、6…シェル、7…ピンチロール、8…鋳片、10…制御装置、21…湯面レベル計、22…湯面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造機のモールド内の湯面レベルを制御する連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御装置であって、
前記モールド内の湯面レベルを検出する湯面レベル計と、
前記湯面レベル計で検出した湯面レベル検出信号と所定の湯面レベル目標値との偏差信号に基づいて、タンディッシュに設けられたスライディングノズルの開度指令を出力するPI制御器と、
バルジング性湯面変動の周波数帯域とダミーバー性湯面変動の周波数帯域を包含する周波数帯域を対象として、前記湯面レベル計で検出した湯面レベル検出信号を周波数スペクトル解析し、湯面変動のピーク周波数を検出するピーク周波数検出器と、
前記偏差信号から前記ピーク周波数検出器で検出したピーク周波数の信号成分を抽出し、且つその位相特性を90度進ませて出力する外乱補償器と、
前記外乱補償器の出力信号を前記PI制御器が出力する前記開度指令に加算して最終的な前記開度指令とし、スライディングノズルの開度を調整するスライディングノズル制御器と、を備えることを特徴とするモールド内湯面レベル制御装置。
【請求項2】
前記外乱補償器は、前記偏差信号から制御対象の周波数の信号成分を抽出し、且つその位相特性を90度進ませて出力する特性を有し、前記制御対象の周波数がそれぞれ異なる複数の制御器を備えており、前記ピーク周波数検出器で検出したピーク周波数が前記制御対象の周波数となっている前記制御器のみを有効とするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のモールド内湯面レベル制御装置。
【請求項3】
連続鋳造機のモールド内の湯面レベルを制御する連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御方法であって、
湯面レベル計で検出した湯面レベル検出信号と所定の湯面レベル目標値との偏差信号に基づいて、PI制御によりタンディッシュに設けられたスライディングノズルの開度指令を出力し、
バルジング性湯面変動の周波数帯域とダミーバー性湯面変動の周波数帯域を包含する周波数帯域を対象として、前記湯面レベル計で検出した湯面レベル検出信号を周波数スペクトル解析することで、湯面変動のピーク周波数を検出し、
前記偏差信号から前記ピーク周波数の信号成分を抽出し、且つその位相特性を90度進ませた信号を、前記PI制御により出力した前記開度指令に加算して最終的な前記開度指令とし、スライディングノズルの開度を調整することを特徴とするモールド内湯面レベル制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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