説明

進路制御装置、地上送受信装置、車車間信号リレー装置、及び踏切制御装置

【課題】誤って更に前方の先行列車の信号を受信して走行したり、後続列車が他の列車と許容範囲を超えて接近することのない列車制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】既存信号送信装置1015からの伝送信号1005により先行列車1103及び後続列車1104の走行を制御する既存信号システム1200と、先行列車からの車車間通信伝送信号1030により後続列車の走行を制御する車車間通信システム1201と、列車ID送受信地上装置1050により先行列車の通過を検知すると共に先行列車の列車情報を取得し、後続列車の通過を検知すると共に列車情報を後続列車に送信し、列車情報に基づいて既存信号システムと車車間通信システムとを切替えて後続列車の走行を制御する列車ID送受信システム1202とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車間で情報を送受信することにより、列車を制御する進路制御装置、地上送受信装置、車車間信号リレー装置、及び踏切制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車車間通信を利用した列車制御システムでは、先行列車が列車ID(Identification Data:列車を識別するための番号等)と列車位置を含む伝送信号を後続列車に送信し、後続列車の車上装置は、受信された先行列車の列車IDと列車位置を読み取り、先行列車と同様にして検出又は算出した後続列車の現在位置と列車速度に基き、後続列車の走行速度を制御する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システムとしては、線路を軌道区間に分割し、各軌道区間で列車を検知し、この検知情報に基づいて、各軌道区間に列車1台しか進入できないように制御するための情報を含む伝送信号を、軌道区間毎に線路を伝送媒体として送信するATC(Automatic Train Control)信号システムがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、車車間通信を用いずに列車を制御する他の既存信号システムとしては、線路を軌道区間に分割せず、各列車が自列車の位置を測定し、これを地上装置に送信し、地上装置は先行列車の列車位置に基づいて後続列車の停止位置を決定し、地上装置は無線装置を用いて既存信号システムによる伝送信号を後続列車に送信する無線による自動列車制御システムがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
上記のような車車間通信を利用した列車制御システムにあっては、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システムに比較して、列車をより接近させて走行させることができる。つまり、各軌道区間に列車1台しか進入できないATC信号システムでの列車制御に比べて、後続列車が先行列車の列車位置に基づいて走行するので、より接近させた走行が可能となる。
【0006】
また、先行列車の位置情報が一旦地上装置を介して後続列車に送信される無線による自動列車制御システムでの列車制御に比べて、後続列車が列車位置の情報を受信する遅延時間を短くできるため、より接近させた走行が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−27617号公報(0035〜0047段、図1)
【特許文献2】特開平2−109770号公報(第3頁右上欄第2行目〜第5頁左上欄第5行目、第4図)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】情報処理2007年8月号48巻8号(P.864〜869)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような従来の車車間通信を利用した列車制御システムにあっては、後続列車が誤って直前の先行列車ではなく更に前方の先行列車の信号を受信し、この列車の列車位置に基づいて後続列車の走行速度を制御すれば、本来の先行列車と許容範囲を超えて接近するという問題があった。
【0010】
また、先行列車と後続列車が駅で異なるホーム番線に到着する場合、後続列車が先行列車の信号を受信し、これに基づいて走行速度を制御すれば、後続列車が線路の分岐点が所定方向を向いていないのに進入するという問題や、先行列車と異なるホーム番線に到着中の列車に許容範囲を超えて接近するという問題があった。
【0011】
なお、本明細書で前方とは、列車の進行先の方向を意味し、後方とは、列車の進行方向と逆の方向を意味する。
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、誤って更に前方の先行列車の信号を受信して走行することを防止し、列車間隔が広がった場合や、先行列車の無線信号送信装置が故障した場合にも、後続列車を制御でき、先行列車と後続列車の到着するホーム番線が異なる場合においても、後続列車が他の列車と許容範囲を超えた接近をしたり、分岐点が所定方向を向いていないのに進入することを防ぐ、進路制御装置、地上送受信装置、車車間信号リレー装置、及び踏切制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る進路制御装置は、駅の各ホームへの分岐点手前の第一の駅進入位置から列車の制動距離以上後方の第二の駅進入位置及び駅間進出位置に設けられる地上送受信装置に接続し、第二の駅進入位置と駅間進出位置とに設けられた地上送受信装置からの列車情報に基づいて列車が駅の各ホームへ進入する進路を制御するものである。
【0014】
本発明に係る地上送受信装置は、第一の列車及び第一の列車に後続して走行する第二の列車の通過を検知する列車検知部と、第一の列車からの列車情報を取得する地上受信部と、列車情報を記憶する第一の地上記憶部と、第二の制御システムにより走行を制御する場合の所定の制御続行距離を記憶する第二の地上記憶部と、列車情報及び制御続行距離を第二の列車に送信する地上送信部と、列車検知部で第一の列車の通過を検知した場合に、第一の列車から列車情報を地上受信部により取得すると共に第一の地上記憶部に記憶し、列車検知部で第二の列車の通過を検知した場合に、第二の列車に第一の地上記憶部に記憶する列車情報及び第二の地上記憶部に記憶する制御続行距離を送信する地上送受信制御部とを備えるものである。
【0015】
本発明に係る車車間信号リレー装置は、駅間進出位置と駅進入位置との間に設けられ、第一の列車からの車車間信号を受信し、第一の列車に後続して走行する第二の列車に車車間信号を送信するものである。
【0016】
本発明に係る踏切制御装置は、踏切を含む閉そく区間への進入位置から列車の制動距離以上後方の位置に設けられる地上送受信装置に接続し、地上送受信装置からの列車情報に基づいて踏切の開閉を制御するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、列車制御システムは、先行列車から取得した列車情報に基づいて、車車間通信を利用した列車制御システムと車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システムとを切替えて後続列車の走行を制御することにより、誤って更に前方の先行列車の信号を受信して走行することを防止でき、列車間隔が広がった場合や、先行列車の無線信号送信装置が故障した場合にも、後続列車を制御できる。
【0018】
また、先行列車と後続列車の到着する駅のホームが異なる場合においても、後続列車が他の列車と許容範囲を超えた接近をしたり、分岐点が所定方向を向いていないのに進入することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る列車制御システムの実施の形態1の構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る列車制御システムの実施の形態1の構成において駅間進出位置と駅進入位置を説明するための模式図である。
【図3】本発明に係る列車制御システムの実施の形態1の列車ID送受信地上装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る列車制御システムの実施の形態1の列車ID送受信地上装置での処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る列車制御システムの実施の形態1の列車ID送受信地上装置による列車の走行例を示す模式図である。
【図6】本発明に係る列車制御システムの実施の形態1の進路制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る列車制御システムの実施の形態1の進路制御装置における解除抑止進路テーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明に係る列車制御システムの実施の形態1の進路制御装置の続行運転判断部での処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る列車制御システムの実施の形態1の列車側装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明に係る列車制御システムの実施の形態1の車車間通信車上制御部での処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る列車制御システムの実施の形態2の構成を示す模式図である。
【図12】本発明に係る列車制御システムの実施の形態2の車車間通信伝送信号リレー装置の車車間通信伝送信号リレー装置制御部での処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明に係る列車制御システムの実施の形態3の構成を示す模式図である。
【図14】本発明に係る列車制御システムの実施の形態3の踏切制御装置の動作例を説明するための模式図である。
【図15】従来の列車制御システムの課題を説明するための模式図である。
【図16】従来の列車制御システムの課題を説明するための模式図である。
【図17】従来の列車制御システムの踏切制御装置の動作例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図15及び図16は、本発明が解決しようとする課題の具体例を説明する図である。図15において、13001は後続列車であり、13002は本来の先行列車、13003はそれより前方の先行列車である。通常の場合後続列車13001は、本来の先行列車13002が、送信装置13005によって送信する列車IDと列車位置を含む伝送信号13007を受信装置13004で受信し、これに基づいて制御を行う。
【0021】
ところが、例えば先行列車13002の送信装置13005の故障発生や、先行列車13002がそもそも送信装置13005を持たない列車である等の理由により、後続列車13001が伝送信号13007を受信できず、更に前方の先行列車13003の伝送信号13008を受信する場合もある。
【0022】
これに対して特許文献1では、後続列車は、線区の各列車を特定する列車IDコードの表(特許文献1の0026段参照)を記憶しており、この先行列車が後続列車の直前を走行する列車であることを確認するのに用いている(特許文献1の0044段参照)。
【0023】
しかしながら、このような構成においては、後続列車13001に先行列車の列車IDコードを記憶させた時点では、ダイヤ上先行列車13003と設定されており、その後ダイヤ変更等により後続列車の先行列車に13002が挿入された場合、後続列車13001は誤って列車13003を先行列車として走行し、ダイヤ変更後の先行列車13002に許容範囲を超えて接近をする恐れがある。
【0024】
図16においては、先行列車14002はホーム番線14020に到着するので、駅の進路を制御する進路制御装置は、分岐点14010を、先行列車14002が通過するまでは、ホーム番線14020の方向へ制御している。次の後続列車14001が先行列車14002とは異なるホーム番線14021に到着する場合、進路制御装置では、先行列車14002が通過した後に分岐点14010をホーム番線14021の方向へ転換する。
【0025】
しかし、後続列車14001が先行列車14002からの信号による先行列車14002の位置に基づいて速度制御する場合、分岐点14010の転換完了前に分岐点14010上を通過し、後続列車14001が、分岐点が所定方向を向いていないのに進入する恐れがある。
【0026】
更に、分岐点14010を通過できた場合においても、ホーム番線14021に他の列車14030が在線しており、列車14030の列車位置が、先行列車14002の位置より、後続列車14001の近くであれば、先行列車14020の列車位置に基づいて速度を制御していた後続列車14001は、制動しきれずに列車14030に許容範囲を超えた接近をする恐れがある。
【0027】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、以下、本発明に係る列車制御システムの各種実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0028】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る実施の形態1における列車制御システムの構成を示す模式図である。
【0029】
図1において、線路1101上には、第二の列車としての後続列車1104、第一の列車としての先行列車1103、更に前方の列車1102が走行している。本実施の形態1における列車制御システムは、車車間通信を用いずに列車を制御する第一の制御システムとしての既存信号システム1200、第二の制御システムとしての車車間通信システム1201、及び第三の制御システムとしての列車ID送受信システム1202から構成されている。
【0030】
最初に、本実施の形態1における列車制御システムの構成要素である車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200について説明する。
【0031】
本実施の形態1の車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200は、少なくとも、地上に設置された既存信号送信装置1015、列車に設置された既存信号受信部1010、及び既存信号送信装置1015から各列車の既存信号受信装部1010へ送信する伝送信号1005によって構成されており、各列車に安全に列車を制御するための制御信号を送信している。
【0032】
なお、本実施の形態1における列車制御システムの構成要素である既存信号システム1200はATC信号システムに基づいているが、車車間通信を用いずに列車を制御する他の既存信号システム、例えば特許文献2のような既存信号システムでも差し支えない。
【0033】
次に、本実施の形態1における列車制御システムの構成要素である車車間通信システム1201について説明する。車車間通信システム1201は、少なくとも、各列車に設置された車車間通信送信部1035、車車間通信受信部1025、及び先行列車1103の車車間通信送信部1035から後続列車1104の車車間通信受信部1025へ送信する車車間信号としての車車間通信伝送信号1030によって構成されている。
【0034】
車車間通信送信部1035は、後続列車1104へ車車間通信伝送信号1030を送信しやすいように、列車後尾へ設置することが望ましい。また、車車間通信受信部1025は、先行列車1103からの車車間通信伝送信号1030を受信しやすいように、列車先頭部へ設置することが望ましい。
【0035】
また、車車間通信伝送信号1030には、先行列車1103を一意に特定する列車IDと、先行列車1103が測定した先行列車1103の後尾位置を情報として含んでいる。後続列車1104は少なくとも先行列車1103から受信した先行列車1103の後尾位置までに列車が停止できるように、速度制御を行う。
【0036】
次に、本実施の形態1における列車制御システムの構成要素である列車ID送受信システム1202について説明する。
【0037】
列車ID送受信システム1202は、少なくとも地上に設置された地上送受信装置としての列車ID送受信地上装置1050、列車に設置された車上送受信装置としての列車ID車上送受信部1045、列車ID送受信地上装置1050から列車ID車上送受信部1045へ送信する列車ID送受信地上装置伝送信号1040、及び列車ID車上送受信部1045から列車ID送受信地上装置1050へ送信する列車ID送受信車上装置伝送信号1020によって構成されている。
【0038】
列車ID送受信車上装置伝送信号1020には、信号を送信する列車を一意に特定する列車情報としての列車IDを情報として含んでいる。
【0039】
列車ID送受信地上装置伝送信号1040には、列車ID送受信地上装置1050に列車ID送受信車上装置伝送信号1020を送信中の列車に、その1本前に走行した先行列車1103の列車ID、または1本前に走行を検知したが列車IDを特定できなかった場合には先行列車1103を確認不能であるということを示す情報を列車情報として含む。
【0040】
更に、列車ID送受信地上装置伝送信号1040は、先行列車1103から受信した車車間通信伝送信号1030で列車制御を行ってもよい範囲の制御情報である制御続行距離としての車車間通信走行続行距離を含んでいる。列車ID送受信地上装置1050は、少なくとも駅間進出位置と駅ホームへ進入する分岐点手前の第一の駅進入位置から列車制動距離以上後方の第二の駅進入位置に設置され、駅の進路を制御する進路制御装置1060と接続可能である。
【0041】
ここで、駅間進出位置とは、図2に示すように、列車2101が駅を出発し、列車の後尾が、出発駅2061の線路の分岐点2051を完全に抜けた直後の前方の位置2001のことである。第一の駅進入位置とは、列車2102の先頭が、次の駅2062の線路の分岐点2052に入る直前の後方の位置2002のことである。
【0042】
列車制動距離とは、図2の速度Vと距離Dの関係のグラフに示すように、列車2103が最高速度(列車の速度:V=Vmax)2070の状態でブレーキ制御を開始した地点2004から、減速(V<Vmax)2071して、完全に停車(V=0)2072する地点2002までの制動距離2003のことである。
【0043】
また、第二の駅進入位置位置とは、図2に示すように、第一の駅進入位置2002から列車制動距離2003後方の位置にある第二の駅進入位置2004のことである。
【0044】
図3は、本発明に係る実施の形態1における列車制御システムの列車ID送受信地上装置1050の構成を示す模式図である。
【0045】
図3において、列車ID送受信地上装置1050は、列車からの列車ID送受信車上装置伝送信号1020を受信する地上受信部としての地上側列車ID受信部3003、列車ID送受信地上装置伝送信号1040を列車へ送信する地上送信部としての地上側列車ID送信部3004、通過する列車を検知する列車検知部3005、地上側列車ID受信部3003と列車検知部3005の入力情報から列車ID送受信地上装置伝送信号1040を作成する地上送受信制御部としての地上側列車ID送受信制御部3002を持つ。
【0046】
なお、地上側列車ID受信部3003や地上側列車ID送信部3004のように、列車と伝送信号を送受信する装置の例としては、鉄道用トランスポンダー地上子がある。また、通過する列車を検知する列車検知部3005の例としては、短小軌道回路と呼ばれる、通過列車を検知する装置がある。
【0047】
また、列車ID送受信地上装置1050は、第二の地上記憶部としての地上側車車間通信走行続行距離記憶部3000、第一の地上記憶部としての地上側列車ID記憶部3001をもち、地上側車車間通信走行続行距離記憶部3000及び地上側列車ID記憶部3001は進路制御装置1060によるデータの読み込みが可能である。
【0048】
さらに、地上側列車ID記憶部3001は、列車検知部3005上を列車が通過していることを記録する列車通過発生フラグ領域3103、列車検知部3005上を通過している列車の列車IDを記録する通過中列車ID領域3101、後続列車へ送信する列車IDを記録する先行列車ID領域3102、をもち、これらの情報は、地上側列車ID送受信制御部3002により設定される。
【0049】
地上側車車間通信走行続行距離記憶部3000は、車車間通信走行続行距離が進路制御装置1060から設定される。駅間進出位置2001に設置する列車ID送受信地上装置1050においては、次の駅の第一の駅進入位置2002までが車車間通信走行続行距離として設定されている。なお、車車間通信走行続行距離の設定についての詳細は、図5を用いて後述する。
【0050】
次に、図4のフローチャートに従い、本実施の形態1における列車制御システムの列車ID送受信地上装置1050での動作について説明する。図4は、列車ID送受信地上装置1050の動作の一例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、列車ID送受信地上装置1050の地上側列車ID送受信制御部3002は、列車検知部3005から列車検知情報を入力し(S4001)、列車が通過中かチェックする(S4002)。通過中であるならば列車通過発生フラグを設定し(S4003)、地上側列車ID受信部3003を動作させる(S4004)。
【0052】
続いて、地上側列車ID送受信制御部3002は、列車ID送受信車上装置伝送信号1020を受信中であるかチェックし(S4005)、まだ受信していなければS4001に戻り、列車検知のチェックを続行する。受信中であるなら受信中の列車ID送受信車上装置伝送信号1020から列車IDを取り出し、通過中列車IDとして地上側列車ID記憶部3001に記憶する(S4006)。
【0053】
次いで、地上側列車ID送受信制御部3002は、地上側列車ID記憶部3001から先行列車IDを読み出し(S4007)、地上側車車間通信走行続行距離記憶部3000から、車車間通信走行続行距離を読み出し(S4008)、これらから列車ID送受信地上装置伝送信号1040を作成し地上側列車ID送信部へ出力する(S4009)。
【0054】
列車ID送受信地上装置伝送信号1040の出力後、地上側列車ID送受信制御部3002は、再度列車検知部3005からの列車検知情報を入力し(S4010)、列車通過中かチェックする(S4011)。通過中である場合は地上側列車ID送信部3004の出力を続行する(S4009)。
【0055】
列車通過が終了すれば、地上側列車ID送受信制御部3002は、S4003で設定した列車通過発生フラグを解除し、また通過完了した列車を、次の通過列車の先行列車として登録する(S4012)。すなわち、地上側列車ID記憶部3001に通過中列車IDとして記憶された列車IDを地上側列車ID記憶部3001の先行列車IDへシフトする。その後、S4001に戻り列車通過のチェックを続行する。
【0056】
一方、S4002で列車通過ではないと判断された場合は、地上側列車ID送受信制御部3002は、列車通過フラグが設定済みかチェックする(S4013)。未設定であるなら、列車が列車ID送受信地上装置上を通過していないことを意味するから、再度S4001に戻り列車通過のチェックを続行する。
【0057】
S4013で列車通過発生フラグ設定済みの場合は、列車が通過完了したにも関わらず、列車ID送受信車上装置伝送信号1020を受信できなかったことを意味するから、地上側列車ID送受信制御部3002は、先行列車IDへ先行列車を確認不能であるということを示す情報を設定する(S4014)。
【0058】
これは、予め定められた、列車を一意に特定する列車ID以外の情報であり、例えば列車IDとして正の整数を用いる場合に、0や負数を用いることが考えられる。S4014で先行列車を確認不能であるということを示す情報を設定後は、地上側列車ID送受信制御部3002は、列車通過発生フラグを解除して(S4015)、列車検知情報入力のチェックに戻る(S4001)。
【0059】
上記のように、本実施の形態1の列車制御システムにおける列車ID送受信地上装置1050は、先行列車1103の列車IDを駅間進出位置2001等で記憶し、これを後続列車1104に送信するので、列車ダイヤの変更等があっても、実際に先行して走行している列車の列車IDを後続列車に送信することができる。
【0060】
これにより、後続列車1104が、先行列車1103の車車間通信システム1201の故障等により、更に前方の列車1102の車車間信号を受信した場合においても、受信した信号が実際の先行列車からの情報か否かを正確に判別できるため、この信号に基づいて速度制御を行い誤って実際の先行列車に許容範囲を超えた接近をすることはない。
【0061】
また、本実施の形態1の列車制御システムにおける列車ID送受信地上装置1050は、先行列車1103の列車ID車上送受信部1045が故障の場合や先行列車1103が列車ID送受信車上装置1045を持たない場合等は、後続列車に先行列車を確認不能であるということを示す情報を送信することができる。
【0062】
これにより、後続列車1104は先行列車1103に何らかの問題があることを検知し、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200により走行制御することで、誤って先行列車に許容範囲を超えた接近をすることはない。
【0063】
また、駅間進出位置2001に設置する列車ID送受信地上装置1050においては、これを通過した列車は、列車ID送受信地上装置1050から受信した列車ID送受信地上装置伝送信号1040にある次の駅の第一の駅進入位置2002までの距離を、車車間通信走行続行距離としているので、次の列車ID送受信地上装置からの列車ID送受信地上装置伝送信号を受信しない限り、第一の駅進入位置2002からは、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200により走行制御する。
【0064】
従って、列車ID車上送受信部1045や列車ID送受信地上装置1050の故障により、信号の送受信に失敗した場合には既存信号システム1200により走行制御するため、駅ホームへの分岐点が所定方向を向いていないのに進入することや他の列車に許容範囲を超えた接近をすることはない。
【0065】
図5は、本発明に係る実施の形態1における列車制御システムの駅間進出位置2001に設置する列車ID送受信地上装置1050と、第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081による列車の走行例を示す模式図である。
【0066】
図5において、後続列車1104は駅間進出位置2001に設置する列車ID送受信地上装置1050により、先行列車1103の列車IDと車車間通信走行続行距離5061を受信して走行中である。後続列車1104の前方には第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081が設置されている。
【0067】
第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081は、進入先の駅の進路制御装置5071に接続されている。また、次の駅間進出位置5005に設置する列車ID送受信地上装置5082は、進出元の進路制御装置5071に接続されている。
【0068】
列車ID送受信地上装置5081は、後続列車1104が次の駅へ進入するに際して先行列車1103と同一の進路を走行する場合には、続行運転判断部6102により第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081の車車間通信走行続行距離5062として、更に前方にある次の第一の駅進入位置5007までを後続列車1104に送信する。
【0069】
これにより、後続列車1104は、車車間通信走行続行距離5062先にある第一の駅進入位置5007までにおいては車車間通信システム1201を用いて、先行列車1103から車車間通信受信装置1025で受信した車車間通信伝送信号1030で列車制御を行うので、駅構内において車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200よりも接近した列車走行を行うことができる。
【0070】
また、列車ID送受信地上装置5081は、後続列車1104が次の駅へ進入するに際して先行列車1103と異なる進路を走行する場合には、第二の駅進入位置2004から第一の駅進入位置2002までを、車車間通信走行続行距離2003として後続列車1104に送信する。これにより、後続列車1104は、第一の駅進入位置2002からは車車間通信システム1201を用いずに列車を制御する既存信号システム1200に従って走行制御する。
【0071】
また、列車ID送受信地上装置5081に故障が発生し、後続列車1104が、列車ID送受信地上装置伝送信号1040を受信しなかった場合、後続列車1104は受信済みの車車間通信走行続行距離5061先にある位置、すなわち第一の駅進入位置2002からは車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200に従って走行制御する。
【0072】
このため、分岐点2052が転換中等の理由により駅に進入できない場合は、第一の駅進入位置2002で停車するので、分岐点2052が所定方向を向いていないのに進入することや他の列車に許容範囲を超えた接近をすることはない。
【0073】
図6は、本発明に係る実施の形態1における列車制御システムの進路制御装置5071の構成を示す模式図である。図6において、進路制御装置5071は、駅2062のホームに進入するすべての列車の進路番号と時刻情報を列車IDに対応させて記録した第一の進路記憶部としての列車ダイヤ6103、列車ダイヤ6103に基づいて駅の進路を制御する進路制御部6101をもつ。進路制御部6101の動作は、既存のものと同一でよく、ここでは詳細を述べない。
【0074】
また、進路制御装置5071は、後続列車1104が先行列車1103と同一の進路をとるか否かを判断し、列車ID送受信地上装置5081の車車間通信走行続行距離2003、5061、5062を設定し、また同一の進路をとる場合に後続列車1104が進路を通過するまで進路制御部6101により該当進路の解除を抑止する続行運転判断部6102をもつ。
【0075】
さらに、進路制御装置5071は、続行運転判断部6102の指示により、解除を抑止する進路を列車ID毎に記録する第二の進路記憶部としての解除抑止進路テーブル6104をもつ。解除抑止進路テーブル6104の一例を図7に示す。解除抑止進路テーブル6104は1つのレコードに、列車ID7001と抑止対象となる進路を一意に特定する進路番号7002を記録する領域を持つ。
【0076】
次に、図8のフローチャートに従い、本実施の形態1における列車制御システムの進路制御装置5071の続行運転判断部6102での動作について説明する。図8は、続行運転判断部6102の動作の一例を示すフローチャートである。
【0077】
まず、続行運転判断部6102は、後続列車1104が次の駅2062への第二の駅進入位置2004に差し掛かると、列車ID送受信地上装置5081からの指示により、第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081の列車ID記憶部3001の情報を読み込む(S8001)。次に、列車通過発生フラグが設定済み、かつ通過中列車ID設定済みかをチェックする(S8002)。
【0078】
いずれも設定済みなら、第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081を、後続列車1104が現在通過中であるから、続行運転判断部6102は、後続列車1104が解除抑止進路テーブル6104に登録済みかを列車IDによりチェックする(S8003)。
【0079】
未登録であるならば、続行運転判断部6102は、列車ダイヤ6103を検索し、進路制御部6101が後続列車1104に対して設定予定の進路番号を得る(S8004)。次に、進路制御部6101からは現在設定中の進路番号を得る(S8005)。続いて、後続列車1104に対して設定予定の進路番号と現在設定中の進路番号が同一であるかをチェックする(S8006)。
【0080】
同一であるなら、先行列車1103により設定されている進路に、後続列車1104が続行して進入することになるから、続行運転判断部6102は、第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081の車車間通信走行続行距離5062先にある位置として、更に前方にある次の第一の駅進入位置5007までの位置を設定する(S8007)。
【0081】
続いて、続行運転判断部6102は、列車5091が車車間通信システム1201により、設定済みの進路に続行して進入するように制御する。後続列車1104の通過後、解除抑止進路テーブル6104に、後続列車1104の列車ID7001と進路番号7002を設定する(S8008)。
【0082】
S8006で設定予定の進路番号と現在設定中の進路番号が異なるなら、続行運転判断部6102は、第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081に第一の駅進入位置2002までの車車間通信走行続行距離2003を設定し(S8009)、後続列車1104を、第一の駅進入位置2002からは車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200により、制御する。
【0083】
なお、S8002で列車IDを認識可能な列車が通過中でない場合、またはS8003で後続列車1104の列車IDが解除抑止進路テーブル6104に既に登録済みの場合、解除抑止進路テーブル6104の操作は不要であるので、S8004〜S8009の処理は行わない。
【0084】
次いで、続行運転判断部6102は、後続列車1104が駅2062を出て駅間進出位置5005に差し掛かると、駅間進出位置5005に設置する列車ID送受信地上装置5082の地上側列車ID記憶部3001の情報を読み込む(S8010)。次に、列車通過発生フラグが設定済み、かつ通過中列車ID設定済みかをチェックする(S8011)。
【0085】
いずれも設定済みなら、設定中の列車IDが解除抑止進路テーブルに登録済みかチェックする(S8012)。登録済みであるならば、第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081を通過した後続列車1104が、駅2062から進出したことを確認できたので、解除抑止進路テーブル6104から後続列車1104の列車ID7001のレコードを削除する(S8013)。
【0086】
なお、S8011で第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081を列車IDが認識可能な列車が通過中でない場合、またはS8012で解除抑止進路テーブル6104に後続列車1104の列車IDが設定されていない場合は、解除抑止進路テーブル6104の操作は不要であるので、S8013の処理は行わない。
【0087】
以上の処理が終了すれば、進路制御部6101へ、解除抑止進路テーブル6104に登録された進路の解除抑止を指示し(S8014)、誤って進路を解除しないように鎖錠する。
【0088】
上記のように、本実施の形態1の列車制御システムにおける続行運転判断部6102は、第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081を通過中の後続列車1104が現在設定中の進路と同一の進路を通る場合は、第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081の車車間通信走行続行距離5062先の位置として、更に前方にある次の第一の駅進入位置5007までの位置を設定するので、該当列車は車車間通信システム1201により、続行して接近した列車走行が可能である。
【0089】
また、後続列車1104が、更に前方にある駅間進出位置5005に設置する列車ID送受信地上装置5082を通過したことを確認するまで後続列車1104の進路を解除抑止対象とするので、更に後続の列車が進路進入前に、進路制御部が誤って進路を解除し、解除後の進路に進入するような問題が発生することがない。
【0090】
また、第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081を通過中の後続列車1104が現在設定中の進路と異なる進路を通る場合は、第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081の車車間通信走行続行距離2003先の位置として、第一の駅進入位置2002を設定することにより、後続列車1104は第一の駅進入位置2002からは車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200により制御されるので、後続列車1104が線路の分岐点2052で、分岐点2052が所定方向を向いていないのに進入するする恐れや、先行列車1103と異なるホーム番線に到着中の列車に許容範囲を超えた接近を防ぐことができる。
【0091】
また、本実施の形態1で、特に、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200にATC信号システムを用いた場合、特許文献2の無線による自動列車制御装置に比較して次の効果が得られる。
【0092】
すなわち、特許文献2の無線による自動列車制御装置では、全線の列車の信号を受信するため、全線を覆うように地上無線伝送総装置を設置する必要があるのに対して、本実施の形態1の列車制御システムでは、列車ID送受信地上装置を少なくとも駅間進出位置と第一の駅進入位置から列車制動距離以上後方の位置に設置すればよく、無線地上設備が著しく簡素化できる上に、特許文献2の無線による自動列車制御装置と同等以上の接近した列車走行が可能となる。
【0093】
図9は、本発明に係る実施の形態1における列車制御システムの列車側装置の構成を示す模式図である。図9において、車上制御部としての車車間通信車上制御部9004は、車車間通信受信部1025、車車間通信送信部1035、車上送受信部としての列車ID地上送受信部1045と接続している。
【0094】
車車間通信車上制御部9004は、車車間通信受信部1025から先行列車1103の列車IDと、先行列車1103が測定した先行列車1103の後尾位置を情報として含む車車間通信伝送信号1030を受信し、車車間通信送信部1035から、後続列車1104の列車IDと後続列車1104が測定した後続列車1104の後尾位置を情報として含む車車間通信伝送信号1031を更に後続の列車に送信する。
【0095】
車車間通信車上制御部9004は、列車ID車上送受信部1045により自列車IDの情報を含む列車ID送受信車上装置伝送信号1020を常時送信し、列車ID送受信地上装置1050からの列車ID送受信地上装置伝送信号1040を受信する。
【0096】
また、車車間通信車上制御部9004は、位置・速度測定装置9001、ブレーキ装置9002に接続しており、位置・速度測定装置9001により後続列車1104の現在位置・速度を得ることができ、ブレーキ装置9002により必要に応じてブレーキ出力を行う。
【0097】
さらに、車車間通信車上制御部9004は、車上記憶部としての車車間通信制御情報記憶部9005を持っており、同記憶部には受信した列車ID送受信地上装置伝送信号1040内の先行列車1103の列車IDを記憶する先行列車ID領域9101、列車ID送受信地上装置伝送信号1040内の車車間通信走行続行距離の情報に現在の後続列車1104の位置を加えて得られる車車間通信走行続行限界位置を設定する車車間通信走行続行限界位置領域9102を持つ。
【0098】
後続列車1104は、位置・速度測定装置9001とブレーキ装置9002に接続した既存信号制御部9003をもっている。車車間通信車上制御部9004は、既存信号制御部9003と接続しており、必要に応じて列車の制御を既存信号制御部9003に切替える。
【0099】
次に、図10のフローチャートに従い、本実施の形態1における列車制御システムの車車間通信車上制御部9004の動作について説明する。図10は、車車間通信車上制御部9004の動作の一例を示すフローチャートである。
【0100】
まず、後続列車1104の車車間通信車上制御部9004は、列車ID車上送受信部1045から列車ID送受信地上装置伝送信号1040を受信しているかチェックする(S10001)。受信中の場合、列車ID送受信地上装置伝送信号1040に先行列車IDが設定されているかチェックする(S10002)。
【0101】
先行列車IDが設定されていない場合は、車車間通信車上制御部9004は、車車間列車制御情報としての先行列車ID領域9101及び車車間通信走行続行限界位置領域9102の情報を車車間通信制御情報記憶部9005から消去する(S10003)。
【0102】
また、先行列車IDが設定されていない場合は、先行列車1103が故障中もしくは本発明の構成要素である列車ID車上送受信部1045を搭載していない場合とわかるから、車車間通信による列車制御を行うことはできないので、車車間通信車上制御部9004は、後続列車1104の制御を車車間通信を用いずに、既存信号制御部9003により列車の制御を実施する(S10004)。
【0103】
従って、故障中もしくは列車ID送受信車上装置1045を搭載していない列車が先行列車1103の場合、後続列車1104は車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200で制御され、先行列車1103と後続列車1104が許容範囲を超えた接近をすることはない。
【0104】
なお、列車ID送受信地上装置伝送信号1040の先行列車IDに、先行列車1103を確認不能であるということを示す情報が設定されている場合は、先行列車IDが設定されていないこととみなす。
【0105】
S10002において先行列車IDが設定されていた場合、車車間通信車上制御部9004は、車車間通信制御情報記憶部9005に列車ID送受信地上装置伝送信号1040の先行列車ID、および車車間通信走行続行距離に現在の自列車位置を加えた値である車車間通信走行続行限界位置を車車間列車制御情報として設定する(S10005)。
【0106】
S10001で列車ID送受信地上装置伝送信号1040を受信中でない場合、車車間通信車上制御部9004は、車車間通信制御情報記憶部9005に既に車車間通信制御情報が設定中かチェックする(S10006)。設定されていない場合は車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号制御部9003による制御を実施する(S10004)。
【0107】
S10006で車車間通信制御情報が設定中の場合、車車間通信車上制御部9004は、列車ID車上送受信部1045により自列車の現在位置が車車間通信走行続行限界位置に到達しているかチェックする(S10007)。
【0108】
到達している場合、これ以上は車車間通信システム1201による列車制御は行わないので、車車間通信車上制御部9004は、車車間通信制御情報記憶部9005から車車間列車制御情報を消去し(S10008)、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号制御部9003による制御を実施する(S10004)。
【0109】
S10007で車車間通信走行続行限界位置に未到達である場合、車車間通信車上制御部9004は、車車間通信走行続行限界位置で停止するためにはブレーキ出力が必要かチェックする(S10009)。
【0110】
ここで、車車間通信走行続行限界位置で停止するためにブレーキ出力が必要な状況とは、車車間通信車上制御部9004が列車ID車上送受信部1045により、例えば図5で第二の駅進入位置2004に設置する列車ID送受信地上装置5081から第一の駅進入位置2002までの距離2003を受信した場合に相当する。
【0111】
ブレーキ出力が必要な場合は、次に車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号制御部9003を用いる場合にブレーキ出力が必要かチェックする(S10010)。ブレーキ出力が不要なら、車車間通信車上制御部9004は、車車間通信制御情報記憶部9005から車車間列車制御情報を消去し(S10008)、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号制御部9003による制御を実施する(S10004)。
【0112】
ここで、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号制御部9003を用いる場合でブレーキ出力不要とは、例えば図5で進路制御装置5071により線路の分岐点2052における後続列車1104の進路が設定済みであり、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200が後続列車1104の進行を許可する状態になっている場合に相当する。
【0113】
S10010で既存信号制御部9003を用いる場合でもブレーキ出力が必要と判断された場合には、車車間通信車上制御部9004は、ブレーキ装置9002によりブレーキ出力を行う(S10011)。
【0114】
S10009でブレーキ出力が不要と判断された場合には、車車間通信車上制御部9004は、車車間通信受信装置1025から車車間通信伝送信号1030を受信中で、かつ受信した列車IDが車車間通信制御情報の先行列車1103の列車IDと一致するかチェックする(S10012)。
【0115】
一致しないのであれば、先行列車1103と異なる列車の信号を受信したことがわかるから、車車間通信車上制御部9004は、この信号は使用せず、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号制御部9003による制御を実施する(S10004)。
【0116】
あるいは、車車間通信伝送信号1030を受信していない場合は、先行列車1103が遠方を走行しているため信号を受信出来ない場合や先行列車が本発明の構成要素である列車ID送受信車上装置1045を搭載していない場合が考えられるが、この場合においても、車車間通信車上制御部9004は、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号制御部9003による制御を実施する(S10004)。
【0117】
S10012で、列車IDが一致すれば、先行列車1103の信号を受信したことを意味し、車車間通信車上制御部9004は、車車間通信伝送信号1030の先行列車1103の列車位置と自列車の列車位置に基づいて、先行列車1103の列車位置で停止するためにはブレーキ出力が必要かチェックする(S10013)。
【0118】
なお、S10012で先行列車1103が遠方を走行しているため信号を受信出来ない場合は、列車間隔が接近すれば、車車間通信伝送信号1030が受信可能となる場合がある。この場合は、S10012で先行列車1103の列車IDが一致する場合に相当するので、車車間通信車上制御部9004は、の車車間通信伝送信号1030を用いた列車制御に復帰することができる(S10013)。
【0119】
ブレーキ出力が必要であるなら、車車間通信車上制御部9004は、ブレーキ装置9002によりブレーキ出力を実施する(S10011)。
【0120】
以上の処理を終了すれば、車車間通信送信装置1035から自列車IDと自列車後尾位置の情報を含む車車間通信伝送信号1031を送信し(S10014)、S10001へ戻る。
【0121】
従って、車車間通信車上制御部9004により、信号状況の悪化等の不確定な要素により先行列車1103の信号を受信できなくなれば、直ちに車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200に移行した安全な列車制御が行える上に、再び先行列車1103の信号を受信できるようになれば、直ちに車車間通信システム1201を用いた列車制御に復帰することができ、列車間隔を接近させた列車制御が可能である。
【0122】
以上のように、本実施の形態1では、列車ID送受信システム1202により、実際に駅間に進入した先行列車1103が自列車の列車IDを列車ID送受信地上装置1050に送信し、後続列車1104は、この列車IDを列車ID送受信地上装置1050から受信して、これを用いて先行列車1103を特定するようにしたので、後続列車が誤って更に前方の先行列車の信号を受信した場合においても、これを正確に判別することができ、実際の先行列車と許容範囲を超えた接近を防ぐことができる。
【0123】
また、ダイヤが変更される度に、列車に搭載された各列車を特定する列車IDコードの表もしくはダイヤの情報を変更する必要がなくメンテナンスが容易である。
【0124】
また、先行列車1103が本発明の構成要素である列車ID車上送受信部1045を搭載していない場合においては、駅間進出位置2001に設置した列車ID送受信地上装置1050は、車車間通信を用いずに列車を検知する列車検知部3005により先行列車1103を検知中に列車IDを受信せず、後続列車1104は先行列車1103を確認不能であるということを示す情報を受信し、これにより車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200に従って制御するようにしたので、先行列車と許容範囲を超えた接近を防ぐことができる。
【0125】
また、先行列車1103と後続列車1104の間隔が広くなり、後続列車1104が伝送信号を受信できなくなると、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200に従って制御するようにしたので、先行列車の信号を受信できなくとも、後続列車は制御できる。
【0126】
また、後続列車1104が先行列車1103と異なる進路をとる場合には、列車ID送受信地上装置1050は後続列車1104に、第一の駅進入位置2002までを車車間通信走行続行距離2003として送信し、後続列車1104は分岐点2052の手前から車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200に従った制御を開始するようにしたので、列車が転換中の分岐点で、分岐点が所定方向を向いていないのに進入することや、駅間走行中での先行列車と異なるホーム番線に停車中の列車に許容範囲を超えた接近を防ぐことができる。
【0127】
実施の形態2.
図11は、本発明に係る実施の形態2における列車制御システムの構成を示す模式図である。
【0128】
図11において、実施の形態2における列車制御システムの構成は、実施の形態1の構成に車車間信号リレー装置としての車車間通信伝送信号リレー装置11001が追加されている。その他の構成に関しては、実施の形態1と同様であり、相当部分には図1と同一符号を付して説明を省略する。
【0129】
車車間通信伝送信号リレー装置11001は、先行列車1103と後続列車1104の車間距離が広い場合や、線路1101の曲線位置等で、直接の車車間通信伝送信号1030の送受信ができない場合に対応する目的で設けられている。
【0130】
車車間通信伝送信号リレー装置11001は、先行列車1103や後続列車1104に搭載されるのと同様の第一のリレー受信部としての車車間通信受信装置1025、第一のリレー送信部としての車車間通信送信装置1035、列車ID送受信地上装置1050に搭載されるのと同様の第二のリレー受信部としての地上側列車ID受信部3003、及びリレー列車検知部としての列車検知部3005から構成される。
【0131】
また、車車間通信伝送信号リレー装置11001は、本装置を制御するリレー送受信制御部としての車車間通信伝送信号リレー装置制御部11002、および本装置上を通過した列車の列車IDを記憶するリレー地上記憶部としての通過列車ID記憶部11003を持つ。
【0132】
車車間通信伝送信号リレー装置11001の車車間通信伝送信号リレー装置制御部11002は、列車検知部3005で列車検知中に受信した列車IDを通過列車ID記憶部11003に記憶し、同列車IDを含む車車間通信伝送信号1030を車車間通信受信装置1025で受信した場合、その受信信号を車車間通信送信装置1035から出力する。
【0133】
次に、図12のフローチャートに従い、本実施の形態2における列車制御システムの車車間通信伝送信号リレー装置11001の車車間通信伝送信号リレー装置制御部11002での動作について説明する。図12は、車車間通信伝送信号リレー装置制御部11002の動作の一例を示すフローチャートである。
【0134】
まず、車車間通信伝送信号リレー装置制御部11002は、列車検知部3005から列車検知情報を入力し(S12001)、列車が通過中かチェックする(S12002)。
【0135】
通過中である場合は、車車間通信伝送信号リレー装置制御部11002は、地上側列車ID受信部3003から情報を入力し(S12003)、列車ID送受信車上装置伝送信号1020を受信中かチェックする(S12004)。
【0136】
受信中であるならば、車車間通信伝送信号リレー装置制御部11002は、受信している列車IDを通過列車ID記憶部11003に記憶する(S12005)。受信中でないならば、通過列車が確認不能であることを示す情報を、通過列車ID記憶部11003に記憶する(S12006)。
【0137】
続いて、車車間通信伝送信号リレー装置制御部11002は、車車間通信受信装置1025から車車間通信伝送信号1030を受信中で、かつ信号内の列車IDが通過列車ID記憶部11003に記憶された列車IDと一致するかチェックする(S12007)。
【0138】
一致するなら、本装置上を最後に通過した列車の信号を受信したことがわかるから、この車車間通信伝送信号1030を車車間通信送信装置1035により、後続列車1104へ送信する。
【0139】
以上のように、本実施の形態2では、先行列車1103と後続列車1104の間隔が広くなり、後続列車1104が伝送信号を受信できなくなっても、車車間通信伝送信号リレー装置11001を介した列車ID送受信システム1202により、先行列車1103の信号を後続列車1104へ送信するようにしたので、車車間通信列車制御装置11001を用いた接近した列車走行が可能となる。
【0140】
なお、車車間通信伝送信号リレー装置11001に地上側列車ID送信部3004を追加し、列車ID送受信地上装置1050と共用して用いても差し支えない。
【0141】
実施の形態3.
図13は、本発明に係る実施の形態3における列車制御システムの構成を示す模式図である。
【0142】
図13において、実施の形態3における列車制御システムの構成は、実施の形態1の構成の列車ID送受信地上装置1050が、少なくとも踏切15004を含む閉そく区間15005への進入位置から列車制動距離以上後方の位置に設置される。実施の形態1のように駅間進入位置や駅間進出位置に列車ID送受信地上装置を設置する必要はない。
【0143】
実施の形態1で進路制御装置1060から設定される車車間通信走行続行距離は、少なくとも踏切を含む閉そく区間15005からの進出位置より前方の位置に固定し、列車ID送受信地上装置1050に記憶する。その他の構成に関しては、実施の形態1と同様であり、相当部分には図1と同一符号を付して説明を省略する。
【0144】
閉そく区間15005は、ATCのような既存信号システム1200で設定する、列車を1台しか進入させない軌道区間である。例えば先行列車1103が、閉そく区間15005に在線する場合は、閉そく区間進入位置に設置された既存信号装置1015は、閉そく区間15005進入位置までに停止するための情報を含む伝送信号を後続列車1104に送信する。
【0145】
警報開始検知装置15001、警報終了検知装置15002、警報開始検知装置15001から警報終了検知装置15002までの区間である踏切制御区間15006、踏切制御装置15003、踏切15004は、従来の踏切装置の構成である。
【0146】
警報開始検知装置15001は、踏切制御区間15006に進入する通過列車を検知する装置である。警報開始検知装置15001で列車の通過を検知することにより、踏切制御装置15003は、踏切制御区間15006の列車本数をカウントアップする。また、踏切制御装置15003は、踏切制御区間15006の列車本数が1以上の場合、踏切15004の閉制御を行う。
【0147】
警報終了検知装置15002は、踏切制御区間15006から進出する通過列車を検知する装置である。警報終了検知装置15002で列車の通過を検知することにより、踏切制御装置15003は、踏切制御区間15006区間の列車本数をカウントダウンする。また、踏切制御装置15003は、踏切制御区間15006の列車本数が0になれば、踏切15004の閉制御を終了する。
【0148】
ここで、2本の列車が接近して走行している場合の、従来の踏切装置の動作例を図17を用いて示す。図17(a)は、踏切制御区間15006に先行列車1103が接近している状態を示しており、踏切制御区間15006内の列車本数が0のため、踏切制御装置15003は閉制御を開始していない。
【0149】
次に、図17(b)で、先行列車1103が警報開始検知装置15001上を通過するので、踏切制御装置15003は踏切制御区間15006内の列車本数を1にカウントアップし、踏切閉制御を開始する。この時刻をt1とする。
【0150】
続いて、図17(c)で、後続列車1104も警報開始検知装置15001上を通過し、踏切制御装置15003は踏切制御区間15006内の列車本数を2にカウントアップし、踏切閉制御を続行する。一方、後続列車1104は、既存信号システム1200での伝送信号により、閉そく区間15005の進入位置で停止する。
【0151】
次いで、図17(d)で、先行列車1103が警報終了検知装置15002上を通過するので、踏切制御装置15003は踏切制御区間15006内の列車本数を1にカウントダウンし、踏切閉制御を続行する。この時刻をt2とする。ここで、(t2−t1)は1本の列車が踏切制御区間15006を走行する時間であり、これを標準踏切閉時間T1と呼ぶ。
【0152】
続いて、図17(e)で、先行列車1103は踏切15004を含む閉そく区間15005から進出するので、既存信号システム1200での伝送信号による列車1104の停止が解除され、後続列車1104は走行を開始する。この時刻をt3とする。ここで、(t3−t2)は1本の列車が警報終了検知装置15002上を通過してから、閉そく区間15005を進出するまでの時間であり、これをT2と呼ぶ。
【0153】
最後に、図17(f)で、後続列車1104が警報終了検知装置15002上を通過するので、踏切制御装置15003は踏切制御区間15006内の列車本数を0にカウントダウンし、踏切閉制御を終了する。この時刻をt4とする。
【0154】
ここで、後続列車1104が閉そく区間15005前で停止した状態から走行を開始し、警報終了検知装置15002通過までの時間をほぼ標準踏切閉時間T1に等しいとすれば、2本の列車が通過するまでの踏切閉制御続行時間は次式のようになる。

踏切閉制御続行時間≒2*T1+T2
【0155】
次に、本発明に係る実施の形態3による踏切制御の流れを図14を用いて示す。図14(a)は、踏切制御区間15006に先行列車1103が踏切15004を含む閉そく区間15005への進入位置から列車制動距離以上後方の位置に設置される列車ID送受信地上装置1050上を通過した状態であり、先行列車1103のIDが送信され、列車ID送受信地上装置1050に登録される。
【0156】
続いて、図14(b)で、先行列車1103が警報開始検知装置15001上を通過するので、踏切制御装置15003は踏切制御区間15006内の列車本数を1にカウントアップし、踏切閉制御を開始する。この時刻は図17(b)のt1と一致する。
【0157】
次いで、図14(c)で、後続列車1104は列車ID送受信地上装置1050上を通過し、先行列車1103の列車IDを受信し、また先行列車1103からの車車間通信伝送信号1030を受信することにより、車車間通信システム1201に基づいた列車制御を開始する。
【0158】
後続列車1104は、受信した先行列車1103の列車IDに基づき、受信した信号が実際の先行列車からの情報か否かを正確に判別できる。後続列車1104が、先行列車1103の車車間通信システム1201の故障等により、更に前方の列車の車車間信号を受信した場合には、車車間通信システム1201から既存信号システム1200に切替えて速度制御を行う。これにより、後続列車1104は、誤って実際の先行列車1103に許容範囲を超えた接近をすることはない。
【0159】
また、列車ID送受信地上装置1050は、先行列車1103の列車ID車上送受信部が故障の場合や先行列車1103が列車ID送受信車上装置を持たない場合等は、後続列車に先行列車を確認不能であるということを示す情報を送信することができるので、後続列車1104は、先行列車1103に何らかの問題があることを検知できる。
【0160】
後続列車1104は、先行列車1103に何らかの問題があることを検知した場合には、後続列車1104は、車車間通信を用いずに列車を制御する既存信号システム1200により走行制御する。この場合も、後続列車1104は、誤って先行列車1103に許容範囲を超えた接近をすることはない。
【0161】
続いて、図14(d)で、後続列車1104も警報開始検知装置15001上を通過し、踏切制御装置15003は踏切制御区間15006内の列車本数を2にカウントアップし、踏切閉制御を続行する。後続列車1104は、車車間通信システム1201に基づいた列車制御により、踏切15004を含む閉そく区間15005の進入位置で停止することなく走行する。
【0162】
次いで、図14(e)で、先行列車1103が警報終了検知装置15002上を通過するので、踏切制御装置15003は踏切制御区間15006内の列車本数を1にカウントダウンし、踏切閉制御を続行する。一方、後続列車1104は、車車間通信システム1201に基づいた列車制御により、踏切15004を含む閉そく区間15005内を先行列車1103に引き続いて走行する。この時刻は図17(d)のt2と一致する。
【0163】
最後に、図14(f)で、後続列車1104が警報終了検知装置15002上を通過するので、踏切制御装置15003は踏切制御区間15006内の列車本数を0にカウントダウンし、踏切閉制御を終了する。よって、図14(e)の状態から図14(f)までの時間をαとすると、実施の形態3での2本の列車が通過するまでの踏切閉制御続行時間は次式のようになる。

踏切閉制御続行時間≒T1+α
【0164】
図14(e)と図14(f)からわかるように実施の形態3では、後続列車1104が、車車間通信システム1201に基づいた列車制御で、先行列車1103に接近して走行することにより、αは標準踏切閉時間T1より小さくなる。
【0165】
以上のように、本実施の形態3では、2本の列車が接近して走行している場合は、列車ID送受信地上装置1050を用いた列車ID送受信システム1202により、車車間通信システム1201に基づいた列車制御を用いて、踏切15004を含む閉そく区間15005を同時に走行させるようにしたので、踏切閉時間を著しく短縮することができる。
【0166】
また、従来の踏切装置の構成装置、すなわち、警報開始検知装置15001、警報終了検知装置15002、踏切制御装置15003、踏切15004を一切変更することなく、踏切閉時間を著しく短縮することができる。
【符号の説明】
【0167】
1005 伝送信号
1103 先行列車
1104 後続列車
1020 列車ID送受信車上装置伝送信号
1025 車車間通信受信装置
1030、1031 車車間通信伝送信号
1035 車車間通信送信装置
1040 列車ID送受信地上装置伝送信号
1045 列車ID送受信車上装置
1050 列車ID送受信地上装置
1060 進路制御装置
1200 既存信号システム
1201 車車間通信システム
1202 列車ID送受信システム
2001 駅間進出位置
2002 第一の駅進入位置
2003 列車制動距離
2004 第二の駅進入位置
2052 線路の分岐点
2061 出発駅
2062 次の駅
2101 列車
2102 列車
3000 地上側車車間通信走行続行距離記憶部
3001 地上側列車ID記憶部
3002 地上側列車ID送受信制御部
3003 地上側列車ID受信部
3004 地上側列車ID送信部
3005 列車検知部
5005 駅間進出位置
5006 第二の駅進入位置
5007 第一の駅進入位置
5061、5062 車車間通信走行続行距離
5071、5072 進路制御装置
5081、5082、5083 列車ID送受信地上装置
6101 進路制御部
6102 続行運転判断部
6103 列車ダイヤ
6104 解除抑止進路テーブル
7001 列車ID
7002 進路番号
9004 車車間通信車上制御部
9005 車車間通信制御情報記憶部
11001 車車間通信伝送信号リレー装置
11002 車車間通信伝送信号リレー装置制御部
11003 通過列車ID記憶部
15003 踏切制御装置
15004 踏切
15005 閉そく区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅の各ホームへの分岐点手前の第一の駅進入位置から列車の制動距離以上後方の第二の駅進入位置及び駅間進出位置に設けられる地上送受信装置に接続し、前記第二の駅進入位置と前記駅間進出位置とに設けられた地上送受信装置からの列車情報に基づいて前記列車が駅の各ホームへ進入する進路を制御する進路制御装置。
【請求項2】
駅の各ホームへの分岐点での進路を制御する進路制御部と、列車IDに対応して予め設定される進路番号と時刻情報からなる駅の列車ダイヤを記憶する第一の進路記憶部と、第一の列車が進入する前記駅の一のホームへの進路に第二の列車が進入中の場合に前記進路の解除を抑止する進路制御情報を記憶する第二の進路記憶部と、前記列車ダイヤに応じて前記第二の列車の前記一のホームへの進入を前記進路制御部により制御し、前記一のホームに進入した第二の列車が前記駅の駅間進出位置を進出するまでの間、前記進路制御情報に基づいて前記駅のホームへの分岐点での進路の解除を前記進路制御部により抑止する続行運転判断部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の進路制御装置。
【請求項3】
続行運転判断部は、地上送受信装置の第二の地上記憶部に接続され、第二の列車が第二の駅進入位置を通過する際には、第一の列車と異なる進路番号の進路に前記第二の列車の進路を制御する場合に、第一の駅進入位置までの制御続行距離を前記第二の地上記憶部に設定し、同じ進路番号の進路に制御する場合に、次の駅の第一の駅進入位置までの制御続行距離を前記第二の地上記憶部に設定し、第二の列車が駅間進出位置を通過する際には、次の第二の駅進入位置までの制御続行距離を前記第二の地上記憶部に設定することを特徴とする請求項2に記載の進路制御装置。
【請求項4】
第一の列車及び前記第一の列車に後続して走行する第二の列車の通過を検知する列車検知部と、前記第一の列車からの列車情報を取得する地上受信部と、前記列車情報を記憶する第一の地上記憶部と、第二の制御システムにより走行を制御する場合の所定の制御続行距離を記憶する第二の地上記憶部と、前記列車情報及び前記制御続行距離を第二の列車に送信する地上送信部と、前記列車検知部で第一の列車の通過を検知した場合に、前記第一の列車から前記列車情報を前記地上受信部により取得すると共に第一の地上記憶部に記憶し、前記列車検知部で第二の列車の通過を検知した場合に、前記第二の列車に前記第一の地上記憶部に記憶する前記列車情報及び前記第二の地上記憶部に記憶する前記制御続行距離を送信する地上送受信制御部とを備える地上送受信装置。
【請求項5】
駅間進出位置と駅進入位置との間に設けられ、第一の列車からの車車間信号を受信し、前記第一の列車に後続して走行する第二の列車に前記車車間信号を送信する車車間信号リレー装置。
【請求項6】
第一の列車からの車車間信号を受信する第一のリレー受信部と、前記第一のリレー受信部で受信した車車間信号を第二の列車に送信する第一のリレー送信部と、第一の列車及び第二の列車の通過を検知するリレー列車検知部と、前記リレー列車検知部で検知した第一の列車からの列車情報を取得する第二のリレー受信部と、前記第二のリレー受信部で取得した列車情報を記憶するリレー地上記憶部と、前記列車情報に基づいて前記第一のリレー受信部で受信した車車間信号を第一のリレー送信部により第二の列車に送信するリレー送受信制御部とを備えることを特徴とする請求項5記載の車車間信号リレー装置。
【請求項7】
踏切を含む閉そく区間への進入位置から列車の制動距離以上後方の位置に設けられる地上送受信装置に接続し、前記地上送受信装置からの列車情報に基づいて前記踏切の開閉を制御する踏切制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−82450(P2013−82450A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−2414(P2013−2414)
【出願日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【分割の表示】特願2010−519623(P2010−519623)の分割
【原出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】