説明

遅延ゆらぎ吸収量設定システム、遅延ゆらぎ吸収量設定方法、中継装置及び通信端末

【課題】通信開始前に通信経路に応じた適切なゆらぎ吸収量を設定でき、通信経路に変更があった場合、通信経路の遅延量が変わった場合にも最適なゆらぎ吸収量を設定することができるようにする。
【解決手段】本発明の遅延ゆらぎ吸収量設定システムは、各中継装置を介して通信を行う各通信端末の有する遅延バッファ手段に遅延ゆらぎ吸収量を設定する。各中継装置は、予め対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を保持しておき、少なくとも通信開始前に、通信端末と通信先との間で授受するパケットに、中継経路の遅延ゆらぎ量情報を当該パケットに逐次付加して転送する遅延ゆらぎ量情報転送手段を備え、各通信端末は、パケットに付加されている全通信経路の遅延ゆらぎ量情報を用いて、少なくとも通信開始前に遅延バッファ手段に遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遅延ゆらぎ吸収量設定システム、遅延ゆらぎ吸収量設定方法、中継装置及び通信端末に関し、例えば、リアルタイム性が必要なパケット単位に通信を行う装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受信パケットのデータ蓄積量が一定量に達した後、受信バッファ(ゆらぎ吸収バッファ)から受信データを読み出す読み出し動作を行っている状態において、ゆらぎの大きさに応じて、以下の遅延ゆらぎ吸収動作を行うことが記載されている。
【0003】
まず、相対的に小さい遅延ゆらぎの場合、通常動作として受信バッファ1がゆらぎを吸収する。これに対して、相対的に大きな遅延ゆらぎ(つまり受信バッファ1がオーバ/アンダーフロー)の場合、受信バッファ2によるオーバフローデータの救済と無音データの削除による装置としてのオーバフローの解消、及び、無音データの挿入によるアンダーフローの救済を行う。
【0004】
特許文献2には、一定蓄積量までパケットを受信した後、受信バッファからの読み出し動作を行っている状態において、ゆらぎの大きさに応じて、以下のゆらぎ吸収動作を行うことが記載されている。
【0005】
まず、ゆらぎ吸収バッファ(パケット格納手段)の蓄積量に、上限閾値及び下限閾値を設定する。読み出し動作中に、上限閾値を一定回数超えた場合、ゆらぎが大きいと判定し、蓄積量を多くするように設定変更する。つまり、パケット格納手段からの読み出し遅延時間を増やす。また、読み出し動作中に、下限閾値を一定回数超えた場合、ゆらぎが小さいと判定し、蓄積量を少なくするように設定変更する。つまり、パケット格納手段からの読み出し遅延時間を少なくする。
【0006】
さらに、特許文献2には、パケット格納手段の蓄積量に応じて、変更手段が統計的手法等を用いてゆらぎの大きさを判定し、設定変更することも記載されている。
【0007】
特許文献3には、受信パケットが蓄積されてから、ゆらぎ吸収バッファからの読み出し動作を開始するものであって、伝送系で発生するゆらぎ量の増減に、開始蓄積パケット数及び最大蓄積パケット数を動的に変更する技術が記載されている。
【0008】
【特許文献1】特許第3556140号公報
【特許文献2】特許第3518982号公報
【特許文献3】特開2004−48680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1〜特許文献3に記載の技術はいずれも、通信が開始してからの通信状況(ゆらぎ吸収バッファの蓄積量)に応じて、ゆらぎ吸収量の設定を変更するものであり、通信の開始部分は最適設定にはなっていないという問題が生じ得る。
【0010】
また、特許文献1〜3の記載技術は、受信データに応じてゆらぎ吸収量の設定を変更するものであるから、精度よく最適な値になるまでには、パケットをある程度受信する必要があるため、ゆらぎ吸収量の設定を変更できるまでに時間がかかってしまうという問題も生じ得る。
【0011】
さらに特許文献1に記載の技術の場合には、通信開始の初期の蓄積量が最適でないため、オーバフローやアンダーフローを起こしデータが廃棄されてしまう可能性も生じ得る。
【0012】
また、リアルタイム性が必要な場合に、特許文献2の記載技術を適用しようとすると、データ通信の途中で読み出し遅延時間を変更することになるため、データ途切れとなる可能性がある。特に、端末間の通信経路が切り替わった場合など接続先が変わるような場合には、ゆらぎ量も接続ごとに変化することになり、動作途中での変更が接続のたびに発生するようだと品質のよいデータ通信ができなくなるおそれもある。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑み、通信開始前に通信経路に応じた適切なゆらぎ吸収量を通信装置に設定することができ、通信経路に変更があった場合にも即時に適切なゆらぎ吸収量を設定変更することができ、通信経路の遅延量が変わった場合にもその遅延変動量に応じて最適なゆらぎ吸収量を設定することができる、遅延ゆらぎ吸収量設定システム、遅延ゆらぎ吸収量設定方法、中継装置及び通信端末を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の遅延ゆらぎ吸収量設定システムは、1又は複数の中継装置を介して通信を行う各通信端末の有する遅延バッファ手段に、通信に係る遅延ゆらぎ量を反映させた遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定システムにおいて、(1)各中継装置は、予め対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を保持しておき、少なくとも通信開始前に、通信端末と通信先との間で授受するパケットに、中継経路の遅延ゆらぎ量情報を当該パケットに逐次付加して転送する遅延ゆらぎ量情報転送手段を備え、(2)各通信端末は、パケットに付加されている全通信経路の遅延ゆらぎ量情報を用いて、少なくとも通信開始前に遅延バッファ手段に遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定手段を備えることを特徴とする。
【0015】
第2の本発明の遅延ゆらぎ吸収量設定方法は、1又は複数の中継装置を介して通信を行う各通信端末の有する遅延バッファ手段に、通信に係る遅延ゆらぎ量を反映させた遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定方法において、(1)各中継装置の遅延ゆらぎ量情報転送手段が、予め対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を保持しておき、少なくとも通信開始前に、通信端末と通信先との間で授受するパケットに、中継経路の遅延ゆらぎ量情報を当該パケットに逐次付加して転送する遅延ゆらぎ量情報転送工程を有し、(2)各通信端末の遅延ゆらぎ吸収量設定手段が、パケットに付加されている全通信経路の遅延ゆらぎ量情報を用いて、少なくとも通信開始前に上記遅延バッファ手段に遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定工程を有することを特徴とする。
【0016】
第3の本発明の中継装置は、1又は複数の中継装置を介して通信を行う各通信端末の有する遅延バッファ手段に、通信に係る遅延ゆらぎ量を反映させた遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定システムを構成する各中継装置において、予め対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を保持しておき、少なくとも通信開始前に、通信端末と通信先との間で授受するパケットに、中継経路の遅延ゆらぎ量情報を当該パケットに逐次付加して転送する遅延ゆらぎ量情報転送手段を備えることを特徴とする。
【0017】
第4の本発明の通信端末は、1又は複数の中継装置を介して通信を行う各通信端末の有する遅延バッファ手段に、通信に係る遅延ゆらぎ量を反映させた遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定システムを構成する上記各通信端末において、通信開始前に、通信端末と通信先との間で授受するパケットに、各中継装置により付加された全通信経路の遅延ゆらぎ量情報を用いて、少なくとも通信開始前に遅延バッファ手段に遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、通信開始前に通信経路に応じた適切なゆらぎ吸収量を通信装置に設定することができ、通信経路に変更があった場合にも即時に適切なゆらぎ吸収量を設定変更することができ、通信経路の遅延量が変わった場合にもその遅延変動量に応じて最適なゆらぎ吸収量を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明の遅延ゆらぎ吸収量設定システム、遅延ゆらぎ吸収量設定方法、中継装置及び通信端末の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
第1の実施形態は、中継装置が複数の通信網と接続して構成される多段接続のネットワーク(通信システム)及びこれを構成する通信装置及び中継装置に、本発明を適用した場合の実施形態を説明する。
【0021】
(A−1)第1の実施形態の構成
(A−1−1)全体構成
図1は、第1の実施形態のゆらぎ量測定方法を行う通信システム(ネットワーク)の全体構成を示す全体構成図である。
【0022】
図1において、第1の実施形態の通信システム100は、通信装置1(1−1〜1−N:Nは正の整数)、通信装置2(2−1〜2−M:Mは正の整数)、通信装置3(3−1〜3−J:Jは正の整数)、通信装置4(4−1〜4−K:Kは正の整数)、中継装置A〜D、を少なくとも有して構成される。
【0023】
図1には図示しないが、ネットワークの規模に応じて、さらに通信装置が階層化されるようにしてもよいし、逆に小さなネットワークでは、末端の通信装置のみしかないような構成としてもよい。また、ネットワーク上、通信経路の振り分けを行うスイッチ装置等のようなネットワーク装置を経由するようにしてもよい。
【0024】
なお、以下において、例えば通信装置1−1〜1−Nに共通の構成をまとめて説明するときには通信装置1のように表記して説明する。
【0025】
通信装置1〜4は、通信システム100の末端に位置する通信装置であり、例えば、通信機能を有するパーソナルコンピュータ、電話端末、携帯電話機及びPDA等が備える通信装置に該当する。また、通信装置1〜4は、対向する通信装置と通信を行う場合には、接続する中継装置A〜Dを経由して、対向する通信装置に対してパケットを送信する。
【0026】
中継装置A〜Dはそれぞれ、ネットワークNと接続可能な中継装置であり、末端に位置する通信装置と接続するものである。図1では、各中継装置A〜Dが、2台の通信装置と接続する場合を例示するが、通信装置の接続台数は特に限定されるものではない。
【0027】
また、各中継装置A〜Dは、通信装置間のEND−END通信を行う場合、接続する通信装置1〜4から受信したパケットを、ネットワークNを介して対向する中継装置に与えることで中継処理を行い、他の中継装置A〜Dから受信したパケットを宛先の通信装置1〜4に送信する。
【0028】
なお、中継装置A〜Dが接続する通信装置1〜4との間の通信網の通信プロトコルと、ネットワークNの通信プロトコルとは、それぞれ同じプロトコルであってもよいし、異なるプロトコルであってもよい。
【0029】
通信装置1〜4及び中継装置A〜Dはいずれも、通信開始前に各通信経路のゆらぎ量を測定し、各通信経路のゆらぎ量を保持しておき、受信パケットに含まれるゆらぎ量情報及び保持する各通信経路のゆらぎ量に基づいて、ゆらぎ吸収バッファのゆらぎ吸収量を設定するゆらぎ吸収量設定部33を備えるが、このゆらぎ吸収量設定部33の詳細な構成及び動作については後述する。
【0030】
また、各通信装置1〜4及び中継装置A〜Dは、通信経路を介して、他の中継装置A〜D又は他の通信装置1〜4と接続している。
【0031】
例えば中継装置Aの接続構成を例示して説明する。中継装置Aは、通信装置1−1〜1−Nとの間の通信経路220及び230(太線で示す)と、他の中継装置B〜Dとの間の通信経路300、320及び350(点線で示す)とを有している。
【0032】
具体的には、通信経路220は中継装置A−通信装置1−1の通信経路であり、また通信経路230は、中継装置A−通信装置230の通信経路である。また、通信経路300は中継装置A−中継装置Cの通信経路であり、通信経路320は中継装置A−中継装置Cの通信経路であり、通信経路350は中継装置A−中継装置Cの通信経路である。
【0033】
また、他の中継装置B〜Dについても中継装置Aと同様に、太線で示す通信経路を介して末端に位置する通信装置と接続し、点線で示す通信経路を介して他の中継装置と接続するものとする。
【0034】
具体的には、通信経路240は中継装置B−通信装置2−1、通信経路250は中継装置B−通信装置2−M、通信経路260は中継装置C−通信装置3−1、通信経路270は中継装置C−通信装置3−J、通信経路280は中継装置D−通信装置4−1、通信経路290は中継装置D−通信装置4−Kを示す。また、通信経路300は中継装置A−中継装置C、通信経路310は中継装置B−中継装置D、通信経路320は中継装置A−中継装置B、通信経路330は中継装置B−中継装置C、通信経路340は中継装置C−中継装置D、通信経路350は中継装置A−中継装置Dを示す。
【0035】
また、各通信経路220〜290及び300〜350には、それぞれゆらぎ量が存在し、それぞれの通信経路のゆらぎ量は、時々変動し得るものである。また、第1の実施形態では、対向通信を想定するため、各通信経路220〜290及び300〜350は、上り経路(例えば通信装置から中継装置Aへの通信経路)と、下り経路(例えば、中継装置Aから通信装置の通信経路)とを有しており、ゆらぎ量は上り経路毎又は下り経路毎に別々に存在する。
【0036】
(A−1−2)通信装置1〜4の内部構成
各通信装置1〜4のハードウェア構成は、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスク等のプログラムの実行構成、及び、通信を実行する通信インターフェースを有する。例えば、CPUが、ROMに格納されるゆらぎ吸収プログラムを実行することにより、以下で説明するゆらぎ量吸収設定動作を実現することができる。
【0037】
なお、物理的に1台のコンピュータにより実現される場合だけでなく、複数のコンピュータによる分散処理で実現できるようにしてもよい。また、ゆらぎ吸収プログラムは、インストールすることにより構築してもよい。
【0038】
図2は、第1の実施形態の通信装置1〜4の主な内部構成を示す内部構成図である。図2において、第1の実施形態の通信装置1〜4は、送信バッファ21、ゆらぎ検出用生成部22、パケット挿入部23、パケット抽出部31、ゆらぎ吸収バッファ32、ゆらぎ吸収量設定部33を少なくとも有するものである。
【0039】
送信バッファ21は、送信パケットを保持するものであり、パケット挿入部23に与えるものである。
【0040】
ゆらぎ量検出用パケット生成部22は、ゆらぎ量検出用パケットを生成するものであり、その生成したゆらぎ量検出用パケットをパケット挿入部23に与えるものである。このゆらぎ量検出用パケットは、ゆらぎ量検出用パケットであることを示す識別情報を有するものである。
【0041】
また、ゆらぎ量検出用パケット生成部22が、ゆらぎ量検出用パケットを生成するタイミングは、少なくとも通信開始前とする。例えば、装置起動時のタイミングでゆらぎ量検出用パケットを生成し、その後は所定の間隔で定期的に生成する。
【0042】
パケット挿入部23は、送信バッファ21からのパケット又はゆらぎ量検出用パケット生成部22からのゆらぎ量検出用パケットを、接続する中継装置(対向装置)宛に送信するものである。
【0043】
このように、対向装置に対してゆらぎ量検出用パケットを送信することにより、当該通信装置と接続する中継装置(対向装置)との間の通信経路のゆらぎ量を、対向装置に検出させることができる。
【0044】
なお、パケット挿入部23は、ゆらぎ量検出用パケットを送信する際、送信バッファ21からのパケット送信に影響を与えないタイミングで送信する送信調整機能を備えるようにしてもよい。
【0045】
パケット抽出部31は、接続する中継装置(対向装置)から受信したパケットのパケット種別を判断し、当該受信パケットがゆらぎ量検出用パケット及び制御パケット(例えば、通信開始要求信号や応答信号等)をゆらぎ吸収量設定部33に与え、通常パケットをゆらぎ吸収バッファ32に与えるものである。
【0046】
ゆらぎ吸収バッファ32は、ゆらぎ吸収バッファ制御部34の制御を受けて、受信パケットを一時的に蓄積し、図示しない後段処理部に出力するものである。
【0047】
ゆらぎ吸収バッファ32がパケットを蓄積する蓄積量は、ゆらぎ吸収バッファ制御部34により制御されるものである。ゆらぎ吸収バッファ32は、蓄積量や蓄積時間を用いてパケットを一時的に蓄積するようにしてもよい。
【0048】
ゆらぎ吸収量設定部33は、その詳細な構成の説明は後述するが、通信開始前に受信したゆらぎ量検出用パケットに基づいて、それぞれの通信経路のゆらぎ量を検出し、当該通信経路のゆらぎ量を保存しておくものである。
【0049】
また、ゆらぎ吸収量設定部33は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報と、当該制御パケットの接続経路に係る通信経路のゆらぎ量とを用いて、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報の加算処理を行うものである。
【0050】
また、通信開始後にゆらぎ量検出用パケットを受信した場合、ゆらぎ吸収設定部33は、今回受信したゆらぎ量検出用パケットに含まれるゆらぎ量情報に応じてゆらぎ量を変更するようにしてもよい。
【0051】
ゆらぎ吸収バッファ制御部34は、ゆらぎ吸収量設定部33からのゆらぎ量に応じて、ゆらぎ吸収バッファ32の遅延量を設定したり又は変更したりするものである。
【0052】
例えば、全通信路のゆらぎ量の総量が閾値を超えている場合には、ゆらぎ吸収バッファ32の蓄積量が多くなるように設定し、逆に閾値以下である場合には、ゆらぎ吸収バッファ32の蓄積量が小さくなるように設定する。なお、この閾値を複数個設けておき、それぞれの閾値との比較結果により、多段階に蓄積量を設定するようにしてもよい。
【0053】
(A−1−3)中継装置A〜Dの内部構成
各中継装置A〜Dのハードウェア構成は、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスク等のプログラムの実行構成、及び、通信を実行する通信インターフェースを有する。例えば、CPUが、ROMに格納されるゆらぎ吸収プログラムを実行することにより、以下で説明するゆらぎ量吸収設定動作を実現することができる。
【0054】
なお、物理的に1台のコンピュータにより実現される場合だけでなく、複数のコンピュータによる分散処理で実現できるようにしてもよい。また、ゆらぎ吸収プログラムは、インストールすることにより構築してもよい。
【0055】
図3は、中継装置A〜Dの内部構成を示す内部構成図である。図3において、中継装置A〜Dは、ゆらぎ量検出用パケット生成部22、パケット挿入部23、パケット抽出部31、ゆらぎ吸収量設定部33を少なくとも有するものである。
【0056】
ゆらぎ量検出用パケット生成部22は、通信装置1〜4のゆらぎ量検出用パケット生成部22と同様の機能を行うものである。
【0057】
パケット挿入部23は、ゆらぎ量検出用パケットを対向する装置に送信するものである。当該中継装置A〜Dのパケット挿入部23は、当該中継装置A〜Dが接続する通信装置又は他の中継装置A〜Dを対向装置として、ゆらぎ量検出用パケットを送信するものである。
【0058】
これにより、当該中継装置A〜Dと対向装置との間の通信経路のゆらぎ量を対向装置に検出させることができる。
【0059】
パケット抽出部31は、受信したパケットのヘッダ情報を解析するものである。パケット抽出部31は、受信パケットがゆらぎ量検出用パケット又は制御パケットである場合、ゆらぎ吸収設定部33に与えるものである。また、パケット抽出部31は、受信パケットが通常のパケットである場合には、当該中継装置A〜Dの転送制御部(図示しない)に与える。
【0060】
ゆらぎ吸収設定部33は、通信装置A〜Dのゆらぎ吸収設定部33と同様の機能を行うものであり、その構成の詳細な説明については次に説明する。
【0061】
(A−1−4)ゆらぎ吸収量設定部の詳細な構成
上述したように、通信装置1〜4及び中継装置A〜Dは、それぞれ個別にゆらぎ吸収量設定部33を実装する。
【0062】
通信開始前に、それぞれの通信装置1〜D及び中継装置A〜Dは、それぞれ接続する対向装置にゆらぎ量検出用パケットを送出し、このゆらぎ量検出用パケットに基づいて、各通信経路のゆらぎ量を検出し、各通信経路のゆらぎ量を保存しておく。
【0063】
通信開始時に、通信装置1〜4は、通信開始要求信号や応答信号等の制御パケットを送信する。この制御パケットには、接続経路情報とゆらぎ量情報とが含まれている。
【0064】
当該制御パケットの接続経路に係る通信装置1〜4及び中継装置A〜Dは、この制御パケットに含まれるゆらぎ量情報と、自身が保存している制御パケットの接続経路に係る通信経路のゆらぎ量とを用いて、接続経路に係るゆらぎ量を加算し、この加算結果のゆらぎ量情報を含む制御パケットを伝送していく。その結果、当該通信の端末間の通信に使用する通信経路全体のゆらぎ量を、末端の通信装置1〜4が知ることができる。
【0065】
つまり、通信開始前に、通信装置1〜4は通信経路全体のゆらぎ量を認識することができ、このゆらぎ量に応じてゆらぎ吸収バッファの蓄積時間を事前に設定することができる。
【0066】
その後、通信が開始されてからは、通信装置1〜4は、通常の通信を実施することができる。
【0067】
図4は、通信装置1〜4及び中継装置A〜Dが有するゆらぎ吸収量設定部33の内部構成を示す内部構成図である。
【0068】
図4において、ゆらぎ吸収量設定部33は、ゆらぎ量検出部51、ゆらぎ量情報メモリ52、接続識別部53、ゆらぎ量加算部54を少なくとも有するものである。
【0069】
ゆらぎ量検出部51は、ゆらぎ量検出用パケットを受信すると、当該ゆらぎ量検出用パケットに含まれる時刻表示、到達時間、間隔などを用いて、ゆらぎ量を算出するものである。
【0070】
ゆらぎ量検出部51によるゆらぎ量の検出方法としては、種々の方法を採ることができるが、例えば、次のようにして検出することができる。
【0071】
ゆらぎ量検出部51は、最新のゆらぎ量検出用パケットが何番目のものであるかをカウントする受信数カウンタ機能、当該ゆらぎ量検出用パケットに含まれる時刻と現在時刻との差分を検出したり、最新のゆらぎ量検出用パケットの到着時刻を保持する到着時刻差分測定機能、過去の到着時刻差分の合計を算出して保持する差分量保存機能、受信数カウンタ機能のカウント値(RNUM)と、最新のゆらぎ量検出用パケットの到着時刻差分情報(DTIM)と、過去(前回まで)の到着時刻差分の合計(TTIM)とに基づいて、ゆらぎ量を求めるゆらぎ量測定機能を備える。ゆらぎ量測定機能は、例えば、遅延ゆらぎ量=TTIM+DTIM*RNUM…式(1)に従って求める方法を適用することができる。
【0072】
また、ゆらぎ量検出部51は、各通信経路のゆらぎ量を検出すると、各通信経路のゆらぎ量をゆらぎ量情報メモリ52に与えて記憶させる。
【0073】
接続識別部53は、受信パケットのヘッダ情報から接続経路を識別するものであり、ゆらぎ量検出用パケットを受信したときには、その接続経路情報をゆらぎ量情報メモリ52に与えるものである。
【0074】
また、接続識別部53は、受信パケットが制御パケットであるときには、制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、接続経路情報をゆらぎ量加算部54に与えるものである。
【0075】
ゆらぎ量情報メモリ52は、ゆらぎ量検出部51により検出されたゆらぎ量と、接続識別部53により識別された接続経路情報とを対応付けて記憶する記憶領域である。
【0076】
例えば、図4では、中継装置Aのゆらぎ量情報メモリ52が記憶する記憶情報例を示す。例えば、中継装置Aは、通信装置1−1が送信したゆらぎ量検出用パケットを通信経路220を介して受信する。ゆらぎ量検出部51は、このゆらぎ量検出用パケットに含まれる情報を利用してゆらぎ量(ここでは、X1とする)を検出する。また、接続識別部53は、ヘッダ情報から通信装置1−1からのパケットであることを識別する。その結果、通信経路「(1−1)−A」間のゆらぎ量D(1−1_A)を記憶する。
【0077】
同様にして、ゆらぎ量情報メモリ52には、「(1−N)−A」間のゆらぎ量D(1−N_A)、「B−A」間のゆらぎ量:D(B_A)、「C−A」間のゆらぎ量D(C_A)、「D−A」間のゆらぎ量D(D_A)、…を記憶する。
【0078】
ゆらぎ量加算部54は、接続識別部53からの接続経路情報に基づいて、接続経路に対応する通信経路のゆらぎ量をゆらぎ量情報メモリ52から呼び出す、制御パケットに含まれているゆらぎ量情報と、呼び出した通信経路のゆらぎ量とに基づいて、それまでの経路のゆらぎ量あるいは次の経路までのゆらぎ量を算出するものである。
【0079】
また、ゆらぎ量加算部54は、その算出したゆらぎ量情報を出力するものである。中継装置A〜Dの場合には、算出結果のゆらぎ量情報を制御パケットに挿入して、次の転送先に送信する。また、末端の通信装置1〜4の場合には、算出したゆらぎ量情報をゆらぎ吸収バッファ32に与える。
【0080】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態のゆらぎ量測定処理の動作について図面を参照しながら説明する。
【0081】
(A−2−1)通信経路のゆらぎ量の検出及び保存の処理
まず、通信装置1〜4及び中継装置A〜Dはそれぞれ、対向する装置(通信装置1−4、中継装置A〜D)に向けて、ゆらぎ量検出用パケットを送信する。このゆらぎ量検出用パケットは、例えば、自装置の起動時に送信し、その後定期的に送信する。
【0082】
ゆらぎ量検出用パケットを受信した各通信装置1〜4及び各中継装置A〜Dのゆらぎ吸収量設定部33において、以下の通信経路のゆらぎ量の検出及び保存の処理が行われる。
【0083】
ゆらぎ量検出用パケットが受信すると、ゆらぎ量検出部51において、所定の検出方法によりゆらぎ量が検出され、検出されたゆらぎ量がゆらぎ量情報メモリ52に与えられる。
【0084】
例えば、ゆらぎ量は、ゆらぎ量検出用パケットに付与される送信時刻と受信した時刻(現在時刻)との差分や、事前に規定しておく送信間隔からのずれをもとにして、ゆらぎ量検出部51が検出する。
【0085】
同時に、接続識別部53において、受信したゆらぎ量検出用パケットのヘッダ情報に基づいて、接続経路情報が識別され、この接続経路情報がゆらぎ量情報メモリ52に与えられる。
【0086】
ゆらぎ量情報メモリ52では、接続経路情報から、その接続時の通信経路のゆらぎ量が読み取れるように、当該通信経路のゆらぎ量を記憶する。例えば、接続経路情報とメモリアドレスの対応ができるようにし、接続経路情報をメモリアドレスに変換することで、そのメモリアドレスにデータとして当該通信経路のゆらぎ量を保存する方法を採用できる。
【0087】
このようにして、各通信装置1〜4及び各中継装置A〜Dはそれぞれ、各通信経路のゆらぎ量を予め保存しておくことができる。
【0088】
なお、ネットワークの規模により、中継装置が存在する場合、中継装置が存在しない場合、中継装置が階層的に複数存在する場合などが考えられるが、いずれの場合も同様の動作を適用することができる。
【0089】
ただし、中継装置が階層的に複数存在する場合は、上位の階層の装置においては、以下のゆらぎ量の加算動作は行わず、下位の階層の装置がその間全てのゆらぎ量を保存するようにしてもよい。これにより、見かけ上、ゆらぎ量の加算動作を行わない上位の階層の装置は通常のスイッチ類と同じとみなすか又は存在しないのと同等に扱うことができる。
【0090】
(A−2−2)末端の通信装置のゆらぎ量設定処理
次に、通信開始前に、末端の通信装置のゆらぎ量設定処理について図面を参照しながら説明する。
【0091】
通信開始前の経路選択やその他の制御情報のやり取りのなど、送受信間のネゴシエーション時に、通信する経路のゆらぎ量情報を各装置が末端の通信装置に与える。
【0092】
例えば、第1の実施形態では、これから通信開始を希望する通信装置1〜4は、通信先の通信装置1〜4に向けて、通信開始要求などの制御パケットを送信するが、この制御パケットが通信開始前のゆらぎ量情報を通知するトリガとなる。
【0093】
図5は、第1の実施形態の通信装置1〜4のゆらぎ量設定処理を示すフローチャートである。図5では、通信装置1−1が通信装置3−Jに対して通信開始要求を行う場合であって、中継装置A及びCを中継して行う場合を例示する。
【0094】
まず、通信装置1−1は、通信を開始するにあたり、通信先である通信装置3−Jに対して通信開始要求の制御パケットを送信する(ステップS101)。
【0095】
このとき、通信装置1−1からの制御パケットは、通信経路220を介して中継装置Aに与えられる。
【0096】
中継装置Aのゆらぎ量設定部33では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から、通信装置1−1と中継装置Aとの間のゆらぎ量D(1−1_A)を読み出す。
【0097】
ゆらぎ量加算部54は、ゆらぎ量情報メモリ52から読み出された通信装置1−1と中継装置Aとの間のゆらぎ量D(1−1_A)をゆらぎ量情報として制御パケットに挿入して、次の対向装置である中継装置Cに送信する(ステップS102)。
【0098】
中継装置Cのゆらぎ量設定部33では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から中継装置Aと中継装置Cとの間のゆらぎ量D(A_C)を読み出す。
【0099】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報であるD(1−1_A)に、今回読み出したゆらぎ量D(A_C)を加算したものをゆらぎ量情報(D(1−1_A)+D(A_C))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置3−Jに送信する(ステップS103)。
【0100】
通信装置3−Jのゆらぎ量設定部33では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から中継装置Cと通信装置3−Jとの間のゆらぎ量D(C_3−J)を読み出す。
【0101】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報である(D(1−1_A)+D(A_C))に、今回読み出したゆらぎ量D(C_3−J)を加算する。
【0102】
そして、ゆらぎ量加算部54は、この加算結果を全通信路のゆらぎ量として、ゆらぎ吸収バッファ制御部34に与えてゆらぎ吸収バッファ32の設定に反映をさせる(ステップS104)。
【0103】
次に、通信装置3−Jは、通信開始要求に対する応答信号を通信装置1−1に返信する(ステップS105)。
【0104】
このとき、通信装置3−Jからの制御パケットは、通信経路270を介して中継装置Cに与えられる。
【0105】
中継装置Cのゆらぎ量設定部33では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から、通信装置3−Jと中継装置Cとの間のゆらぎ量D(3−J_C)を読み出す。
【0106】
ゆらぎ量加算部54は、ゆらぎ量情報メモリ52から読み出された通信装置3−Jと中継装置Cとの間のゆらぎ量D(3−J_C)をゆらぎ量情報として制御パケットに挿入して、次の対向装置である中継装置Aに送信する(ステップS106)。
【0107】
中継装置Aのゆらぎ量設定部33では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から中継装置Cと中継装置Aとの間のゆらぎ量D(C_A)を読み出す。
【0108】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報であるD(3−J_C)に、今回読み出したゆらぎ量D(C_A)を加算したものをゆらぎ量情報(D(3−J_C)+D(C_A))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置1−1に送信する(ステップS107)。
【0109】
通信装置1−1のゆらぎ量設定部33では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から中継装置Aと通信装置1−1との間のゆらぎ量D(A−1_1)を読み出す。
【0110】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報である(D(3−J_C)+D(C_A))に、今回読み出したゆらぎ量D(A_1−1)を加算する。
【0111】
そして、ゆらぎ量加算部54は、この加算結果を全通信路のゆらぎ量として、ゆらぎ吸収バッファ制御部34に与えてゆらぎ吸収バッファ32の設定に反映をさせる(ステップS108)。
【0112】
図5に示す処理の場合、最初の末端の通信装置からのパケットにはゆらぎ量の情報は無く、受信装置でその間のゆらぎ量情報が付与される。これを繰り返し、最後の末端の通信装置は対向装置間のゆらぎ量を自分で加算後、ゆらぎ吸収バッファの設定を全通信路のゆらぎ量に合わせて設定する。末端の通信装置は、対向装置とのゆらぎ情報を保存する必要がないので、メモリを削減できる。
【0113】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、通信開始前に通信経路に応じた適切なゆらぎ量を通信送受端末装置に設定することが可能になる。ゆらぎ量を各装置に分散配置することで、各装置のゆらぎ量の保存量や処理のための負荷が分散できる。また、定期的にネットワークの監視をしたり、接続された経路上の装置に変更があった場合などにゆらぎを監視することでネットワークの変更にも対応可能である。
【0114】
通信途中で通信路の切替などが発生した場合でも、その経路へ変更されるさいに、切替先のゆらぎ情報がすぐに反映される。これらのことから、ゆらぎ量に応じた、ゆらぎ吸収バッファの適切な設定が通信経路ごとに細かく設定できるという効果が得られる。
【0115】
(B)第2の実施形態
次に、本発明の遅延ゆらぎ吸収量設定システム、遅延ゆらぎ吸収量設定方法、中継装置及び通信端末の第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0116】
第1の実施形態では、各装置(通信装置1〜4、各中継装置A〜D)が自装置までのゆらぎ量を加算して次の装置に送信し、末端の装置が更にゆらぎ加算を行う場合を説明した。
【0117】
これに対して、第2の実施形態では、各装置(通信装置1〜4、各中継装置A〜D)が次の装置までのゆらぎ量を加算して次の装置に送信し、末端の装置がゆらぎ加算を行わない場合を説明する。
【0118】
(B−1)第2の実施形態の構成及び動作
第2の実施形態の全体構成は、第1の実施形態と同じであるので、図1を用いて説明する。
【0119】
第2の実施形態の通信装置1〜4及び中継装置A〜Dは、ゆらぎ吸収量設定部の機能が異なり、第2の実施形態では、ゆらぎ吸収量設定部63と示して説明する。また、それ以外の構成要件は、第1の実施形態の通信装置1〜4及び中継装置A〜Dの構成と同じである。
【0120】
そこで、第2の実施形態の通信装置1〜4の内部構成については図6に示す。また、第2の実施形態の中継装置A〜Dの内部構成については図3を用いて説明できる。さらに、第2の実施形態のゆらぎ吸収量設定部63の構成については図4を用いて説明できる。
【0121】
図6及び図3において、通信装置1〜4及び中継装置A〜Dのゆらぎ吸収量設定部63は、送信する制御パケットのヘッダ情報から次の接続経路情報を抽出し、次の接続経路情報に対応する通信経路のゆらぎ量情報をゆらぎ量情報メモリ52から読み出し、この読み出したゆらぎ量情報を制御パケットに挿入して、次の対向装置に向けて送信させるものである。
【0122】
図7は、第2の実施形態の通信装置1〜4のゆらぎ量設定処理を示すフローチャートである。図7では、通信装置1−1が通信装置3−Jに対して通信開始要求を行う場合であって、中継装置A及びCを中継して行う場合を例示する。
【0123】
まず、通信装置1−1では、通信を開始するにあたり、通信先である通信装置3−Jに対して通信開始要求の制御パケットを送信する。
【0124】
このとき、通信装置1−1におけるゆらぎ量吸収設定部63では、接続識別部53が制御パケットの送信先への接続経路情報を識別し、通信装置1−1から中継装置Aまでの通信経路のゆらぎ量D(1−1_A)をゆらぎ量メモリ52から読み出す。
【0125】
そして、ゆらぎ量加算部54は、ゆらぎ量情報メモリ52から読み出されたゆらぎ量D(1−1_A)をゆらぎ量情報制御パケットに挿入し、この制御パケットを中継装置Aに送信する(ステップS201)。
【0126】
次に、中継装置Aのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から中継装置Aと中継装置Cとの間のゆらぎ量D(A_C)を読み出す。
【0127】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報であるD(1−1_A)に、今回読み出したゆらぎ量D(A_C)を加算したものをゆらぎ量情報(D(1−1_A)+D(A_C))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置Cに送信する(ステップS202)。
【0128】
中継装置Cのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から中継装置Cと通信装置3−Jとの間のゆらぎ量D(C_3−J)を読み出す。
【0129】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報である(D(1−1_A)+D(A_C))に、今回読み出したゆらぎ量D(C_3−J)を加算したものをゆらぎ量情報(D(1−1_A)+D(A_C)+D(C_3−J))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置3−Jに送信する(ステップS203)。
【0130】
通信装置3−Jのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、自装置が送信先であることを識別すると、この制御パケットに含まれているゆらぎ量情報である(D(1−1_A)+D(A_C)+D(C_3−J))を、全通信路のゆらぎ量として、ゆらぎ吸収バッファ制御部34に与えてゆらぎ吸収バッファ32の設定に反映をさせる(ステップS204)。
【0131】
次に、通信装置3−Jは、通信開始要求に対する応答信号を通信装置1−1に返信する。
【0132】
このとき、通信装置3−Jにおけるゆらぎ量吸収設定部63では、接続識別部53が制御パケットの送信先への接続経路情報を識別し、通信装置3−Jから中継装置Cまでの通信経路のゆらぎ量D(3−J_C)をゆらぎ量メモリ52から読み出す。
【0133】
そして、ゆらぎ量加算部54は、ゆらぎ量情報メモリ52から読み出されたゆらぎ量D(3−J_C)をゆらぎ量情報制御パケットに挿入し、この制御パケットを中継装置Cに送信する(ステップS205)。
【0134】
次に、中継装置Cのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から中継装置Cと中継装置Aとの間のゆらぎ量D(C_A)を読み出す。
【0135】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報であるD(3−J_C)に、今回読み出したゆらぎ量D(C_A)を加算したものをゆらぎ量情報(D(3−J_C)+D(C_A))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である中継装置Aに送信する(ステップS206)。
【0136】
中継装置Aのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から中継装置Aと通信装置1−1との間のゆらぎ量D(A_1−1)を読み出す。
【0137】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報である(D(3−J_C)+D(C_A))に、今回読み出したゆらぎ量D(A_1−1)を加算したものをゆらぎ量情報(D(3−J_C)+D(C_A)+D(A_1−1))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置1−1に送信する(ステップS207)。
【0138】
通信装置1−1のゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、自装置が送信先であることを識別すると、この制御パケットに含まれているゆらぎ量情報である(D(3−J_C)+D(C_A)+D(A_1−1))を、全通信路のゆらぎ量として、ゆらぎ吸収バッファ制御部34に与えてゆらぎ吸収バッファ32の設定に反映をさせる(ステップS208)。
【0139】
図7の処理の場合、最初の末端の通信装置は対向装置とのゆらぎ量の情報を付与したパケットを送信するム受信装置では、さらに次の装置とのゆらぎ情報を加算したパケットを送信する。これを繰り返し、最後の末端の通信装置は加算処理は行わず、受信したゆらぎ量に応じて、ゆらぎ吸収バッファの設定を行う。末端の通信装置は加算処理の必要がないので加算回路を削除できる。
【0140】
(B−2)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、末端の通信装置は加算処理の必要がないので加算回路を削除できる。
【0141】
(C)第3の実施形態
次に、本発明の遅延ゆらぎ吸収量設定システム、遅延ゆらぎ吸収量設定方法、中継装置及び通信端末の第3の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0142】
第1の実施形態では、各装置(通信装置1〜4、各中継装置A〜D)が自装置までのゆらぎ量を加算して次の装置に送信し、末端の装置が更にゆらぎ加算を行う場合を説明した。
【0143】
また、第2の実施形態では、各装置(通信装置1〜4、各中継装置A〜D)が次の装置までのゆらぎ量を加算して次の装置に送信し、末端の装置がゆらぎ加算を行わない場合を説明する。
【0144】
これに対して、第3の実施形態では、第1の実施形態、第2の実施形態に対して、末端の通信装置はゆらぎ加算、ゆらぎ情報の送出ともに行わない場合を説明する。
【0145】
(C−1)第3の実施形態の構成及び動作
第3の実施形態の構成は、第1の実施形態の構成又は第2の実施形態の構成を適用することで実現することができる。
【0146】
図8及び図9は、第3の実施形態の通信装置1〜4のゆらぎ量設定処理を示すフローチャートである。図8及び図9はいずれも、通信装置1−1が通信装置3−Jに対して通信開始要求を行う場合であって、中継装置A及びCを中継して行う場合を例示する。
【0147】
図8では、末端の通信装置に直前に位置する中継装置が、通信経路のゆらぎ量の加算を集中的に行う場合の処理を示す。
【0148】
図9では、末端の通信装置の直前ではないが、その上位に位置する中継装置が通信経路のゆらぎ量の加算を集中的に行う場合の処理を示す。
【0149】
図8において、まず、通信装置1−1では、通信を開始するにあたり、通信先である通信装置3−Jに対して通信開始要求の制御パケットを送信する(ステップS301)。
【0150】
次に、中継装置Aのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から通信装置1−1と中継装置Aとの間のゆらぎ量D(1−1_A)を読み出す。
【0151】
ゆらぎ量加算部54は、今回読み出したゆらぎ量D(1−1_A)を加算したものをゆらぎ量情報(D(1−1_A))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置Cに送信する(ステップS302)。
【0152】
中継装置Cのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から、中継装置Aと中継装置Cとの間のゆらぎ量D(A_C)と、中継装置Cと通信装置3−Jとの間のゆらぎ量D(C_3−J)とを読み出す。
【0153】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報である(D(1−1_A))に、今回読み出したゆらぎ量D(A_C)と、D(C_3−J)を加算したものをゆらぎ量情報(D(1−1_A)+D(A_C)+D(C_3−J))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置3−Jに送信する(ステップS303)。
【0154】
通信装置3−Jのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、自装置が送信先であることを識別すると、この制御パケットに含まれているゆらぎ量情報である(D(1−1_A)+D(A_C)+D(C_3−J))を、全通信路のゆらぎ量として、ゆらぎ吸収バッファ制御部34に与えてゆらぎ吸収バッファ32の設定に反映をさせる(ステップS304)。
【0155】
次に、通信装置3−Jは、通信開始要求に対する応答信号を通信装置1−1に返信する(ステップS305)。
【0156】
次に、中継装置Cのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から通信装置3−Jと中継装置Cとの間のゆらぎ量D(3−J_C)を読み出す。
【0157】
ゆらぎ量加算部54は、今回読み出したゆらぎ量D(3−J_C)を加算したものをゆらぎ量情報(D(3−J_C))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である中継装置Aに送信する(ステップS306)。
【0158】
中継装置Aのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から、中継装置Cと中継装置Aとの間のゆらぎ量D(C_A)と、中継装置Aと通信装置1−1との間のゆらぎ量D(A_1−1)とを読み出す。
【0159】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報である(D(3−J_C))に、今回読み出したゆらぎ量D(C_A)、D(A_1−1)を加算したものをゆらぎ量情報(D(3−J_C)+D(C_A)+D(A_1−1))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置1−1に送信する(ステップS307)。
【0160】
通信装置1−1のゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、自装置が送信先であることを識別すると、この制御パケットに含まれているゆらぎ量情報である(D(3−J_C)+D(C_A)+D(A_1−1))を、全通信路のゆらぎ量として、ゆらぎ吸収バッファ制御部34に与えてゆらぎ吸収バッファ32の設定に反映をさせる(ステップS308)。
【0161】
図9において、まず、通信装置1−1では、通信を開始するにあたり、通信先である通信装置3−Jに対して通信開始要求の制御パケットを送信する(ステップS401)。
【0162】
次に、中継装置Aのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から通信装置1−1と中継装置Aとの間のゆらぎ量D(1−1_A)と、次の中継装置Aと通信装置Cとの間のゆらぎ量D(A_C)とを読み出す。
【0163】
ゆらぎ量加算部54は、今回読み出したゆらぎ量D(1−1_A)、D(A_C)を加算したものをゆらぎ量情報(D(1−1_A)+D(A_C))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置Cに送信する(ステップS402)。
【0164】
中継装置Cのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から、中継装置Cと通信装置3−Jとの間のゆらぎ量D(C_3−J)を読み出す。
【0165】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報である(D(1−1_A)+D(A_C))に、今回読み出したゆらぎ量D(C_3−J)を加算したものをゆらぎ量情報(D(1−1_A)+D(A_C)+D(C_3−J))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置3−Jに送信する(ステップS403)。
【0166】
通信装置3−Jのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、自装置が送信先であることを識別すると、この制御パケットに含まれているゆらぎ量情報である(D(1−1_A)+D(A_C)+D(C_3−J))を、全通信路のゆらぎ量として、ゆらぎ吸収バッファ制御部34に与えてゆらぎ吸収バッファ32の設定に反映をさせる(ステップS404)。
【0167】
次に、通信装置3−Jは、通信開始要求に対する応答信号を通信装置1−1に返信する(ステップS405)。
【0168】
次に、中継装置Cのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から通信装置3−Jと中継装置Cとの間のゆらぎ量D(3−J_C)と、中継装置Cと中継装置Aとの間のゆらぎ量D(C_A)とを読み出す。
【0169】
ゆらぎ量加算部54は、今回読み出したゆらぎ量D(3−J_C)とD(C_A)を加算したものをゆらぎ量情報(D(3−J_C)+D(C_A))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である中継装置Aに送信する(ステップS406)。
【0170】
中継装置Aのゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、この接続経路情報に基づいてゆらぎ量情報メモリ52から、中継装置Aと通信装置1−1との間のゆらぎ量D(A_1−1)とを読み出す。
【0171】
ゆらぎ量加算部54は、制御パケットに含まれるゆらぎ量情報である(D(3−J_C)+D(C_A))に、今回読み出したゆらぎ量D(A_1−1)を加算したものをゆらぎ量情報(D(3−J_C)+D(C_A)+D(A_1−1))として、制御パケットに挿入し、次の対向装置である通信装置1−1に送信する(ステップS407)。
【0172】
通信装置1−1のゆらぎ量設定部63では、接続識別部53が制御パケットのヘッダ情報から接続経路情報を識別し、自装置が送信先であることを識別すると、この制御パケットに含まれているゆらぎ量情報である(D(3−J_C)+D(C_A)+D(A_1−1))を、全通信路のゆらぎ量として、ゆらぎ吸収バッファ制御部34に与えてゆらぎ吸収バッファ32の設定に反映をさせる(ステップS408)。
【0173】
図8及び図9の処理の場合、基本的な動作は図5の処理、または、図7の処理と同じであるが、送信側の末端の通信装置と対向装置間は対向の受信装置側での加算[図5の処理に相当]を必ず行い、送信側の末端の通信装置と対向装置間では対向の送信装置側での加算[図7での処理に相当]を必ず行うものである。これにより、末端の通信端末では、ゆらぎ量保存用のメモリや加算回路を削除でき、数の多い末端の通信端末の負荷を軽くでき、処理を上位装置に集中することが可能である。
【0174】
(C−2)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、末端の通信端末では、ゆらぎ量保存用のメモリや加算回路を削除でき、数の多い末端の通信端末の負荷を軽くでき、処理を上位装置に集中することが可能である。
【0175】
(D)他の実施形態
第1〜第3の実施形態では、ゆらぎ量検出用パケットを用いる場合を例示して説明した。しかし、ゆらぎ量検出用の専用パケットでなくても、同様の制御情報を載せたパケットを用いても実現することができる。
【0176】
第1〜第3の実施形態では、通信開始前の全通信経路のゆらぎ量を末端の通信装置に知らせる方法として、通信開始要求や応答などの制御パケットを用いる場合を例示して説明した。しかし、ゆらぎ量を末端の通信装置に知らせる専用のパケットを用いて実現するようにしてもよい。
【0177】
第1〜第3の実施形態のいずれかの処理を採用するかにより、ゆらぎ量情報メモリ52に保存しておかなければならない接続先の数も変化する。例えば、第1の実施形態の場合は受信方向の接続先、第2の実施形態の場合は送信方向のゆらぎ量のみ保存しておけばよいことになる。第3の実施形態の場合は、末端の通信装置の対向装置のみ送受両方のゆらぎ量を保存する必要があるが、末端の通信装置にはゆらぎ量を保存する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】第1の実施形態の通信システムの全体構成を示す全体構成図である。
【図2】第1の実施形態の通信装置の内部構成を示す内部構成図である。
【図3】第1の実施形態の中継装置の内部構成を示す内部構成図である。
【図4】第1の実施形態のゆらぎ吸収量設定部の内部構成を示す内部構成図である。
【図5】第1の実施形態のゆらぎ吸収量設定処理を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態の通信装置の内部構成を示す内部構成図である。
【図7】第2の実施形態のゆらぎ吸収量設定処理を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施形態のゆらぎ吸収量設定処理を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施形態のゆらぎ吸収量設定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0179】
100…通信システム、1−1、1−N、2−1、2−M、3−1、3−J、4−1、4−K…通信装置、A〜D…中継装置、33、63…ゆらぎ吸収量設定部、51…ゆらぎ量検出部、52…ゆらぎ量情報メモリ、53…接続識別部、54…ゆらぎ量加算部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の中継装置を介して通信を行う各通信端末の有する遅延バッファ手段に、通信に係る遅延ゆらぎ量を反映させた遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定システムにおいて、
上記各中継装置は、予め対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を保持しておき、少なくとも通信開始前に、上記通信端末と通信先との間で授受するパケットに、中継経路の遅延ゆらぎ量情報を当該パケットに逐次付加して転送する遅延ゆらぎ量情報転送手段を備え、
上記各通信端末は、上記パケットに付加されている全通信経路の遅延ゆらぎ量情報を用いて、少なくとも通信開始前に上記遅延バッファ手段に上記遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定手段を備える
ことを特徴とする遅延ゆらぎ吸収量設定システム。
【請求項2】
上記遅延ゆらぎ量情報転送手段が、
予め対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を検出する遅延ゆらぎ量検出部と、
上記対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を記憶する遅延ゆらぎ量記憶部と、
少なくとも通信開始前に上記通信端末から通信先宛に送信されるパケットに含まれる接続経路情報に基づき、上記遅延ゆらぎ量記憶部から読み出した対応する通信経路の遅延ゆらぎ量情報を、上記パケットに含まれる上記遅延ゆらぎ量情報に加算して中継する遅延ゆらぎ量情報変更部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の遅延ゆらぎ吸収量設定システム。
【請求項3】
上記遅延ゆらぎ吸収量設定手段が、
予め対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を検出する遅延ゆらぎ量検出部と、
上記対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を記憶する遅延ゆらぎ量記憶部と、
上記通信パケットに含まれる上記遅延ゆらぎ量情報を変更する遅延ゆらぎ量情報変更部と、
遅延ゆらぎ吸収量設定実行部と
を備え、
上記各通信端末及び上記各中継装置の上記遅延ゆらぎ量変更部が、上記パケットの上記接続経路情報に基づいて、転送元から自装置までの通信経路の遅延ゆらぎ量情報を加算していくものであり、
上記遅延ゆらぎ吸収量設定実行部が、当該通信端末の上記遅延ゆらぎ量変更部により直前の転送元から自装置までの通信経路の遅延ゆらぎ量情報を加算した結果を用いて、上記遅延ゆらぎ吸収量に反映させるものである
ことを特徴とする請求項2に記載の遅延ゆらぎ吸収量設定システム。
【請求項4】
上記遅延ゆらぎ吸収量設定手段が、
予め対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を検出する遅延ゆらぎ量検出部と、
上記対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を記憶する遅延ゆらぎ量記憶部と、
上記通信パケットに含まれる上記遅延ゆらぎ量情報を変更する遅延ゆらぎ量情報変更部と、
遅延ゆらぎ吸収量設定実行部と
を備え、
上記各通信端末及び上記各中継装置の上記遅延ゆらぎ量変更部が、上記パケットの上記接続経路情報に基づいて、次の転送先までの通信経路の遅延ゆらぎ量情報を加算していくものであり、
上記遅延ゆらぎ吸収量設定実行部が、受信した上記パケットに含まれる上記遅延ゆらぎ量情報を上記遅延ゆらぎ吸収量に反映させるものである
ことを特徴とする請求項2に記載の遅延ゆらぎ吸収量設定システム。
【請求項5】
上記各中継装置の上記遅延ゆらぎ量変更部が、上記パケットの上記接続経路情報に基づいて、転送元から自装置までの通信経路の遅延ゆらぎ量情報を加算していくもの、又は、次の転送先までの通信経路の遅延ゆらぎ量情報を加算していくものであり、
通信先の上位に位置する上記各中継装置の上記遅延ゆらぎ量変更部が、転送元から自装置までの通信経路の遅延ゆらぎ量情報と、次の転送先までの通信経路の遅延ゆらぎ量情報との両方を加算するものである
ことを特徴とする請求項2に記載の遅延ゆらぎ吸収量設定システム。
【請求項6】
1又は複数の中継装置を介して通信を行う各通信端末の有する遅延バッファ手段に、通信に係る遅延ゆらぎ量を反映させた遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定方法において、
上記各中継装置の遅延ゆらぎ量情報転送手段が、予め対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を保持しておき、少なくとも通信開始前に、上記通信端末と通信先との間で授受するパケットに、中継経路の遅延ゆらぎ量情報を当該パケットに逐次付加して転送する遅延ゆらぎ量情報転送工程を有し、
上記各通信端末の遅延ゆらぎ吸収量設定手段が、上記パケットに付加されている全通信経路の遅延ゆらぎ量情報を用いて、少なくとも通信開始前に上記遅延バッファ手段に上記遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定工程を有する
ことを特徴とする遅延ゆらぎ吸収量設定方法。
【請求項7】
1又は複数の中継装置を介して通信を行う各通信端末の有する遅延バッファ手段に、通信に係る遅延ゆらぎ量を反映させた遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定システムを構成する上記各中継装置において、
予め対向装置との間の通信経路の遅延ゆらぎ量情報を保持しておき、少なくとも通信開始前に、上記通信端末と通信先との間で授受するパケットに、中継経路の遅延ゆらぎ量情報を当該パケットに逐次付加して転送する遅延ゆらぎ量情報転送手段を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項8】
1又は複数の中継装置を介して通信を行う各通信端末の有する遅延バッファ手段に、通信に係る遅延ゆらぎ量を反映させた遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定システムを構成する上記各通信端末において、
通信開始前に、上記通信端末と通信先との間で授受するパケットに、上記各中継装置により付加された全通信経路の遅延ゆらぎ量情報を用いて、少なくとも通信開始前に上記遅延バッファ手段に上記遅延ゆらぎ吸収量を設定する遅延ゆらぎ吸収量設定手段を備えることを特徴とする通信端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−114680(P2010−114680A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285768(P2008−285768)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(593065844)株式会社沖コムテック (127)
【Fターム(参考)】