説明

遅延変動が大きな環境におけるロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を最適化するためのシステムおよび方法

【課題】(AN/ATに存在する)コンプレッサと、(AT/ANに存在する)デコンプレッサとの間のロバスト・ヘッダ圧縮を最適化するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】方法は、コンプレッサの前の推定されたジッタ値を用いてコンプレッサを初期化することと、コンプレッサの前の推定されたジッタの値をデコンプレッサへ通知することと、コンプレッサとデコンプレッサとの間のジッタ(JITTER_CD)と、コンプレッサの前のジッタ(JITTER_BC)とのジッタ合計に基づいて、デコンプレッサにおいて様々なしきい値リミットを推定することと、しきい値リミットを超えた場合にはいつでもデコンプレッサがJITTERオプションを送ることと、受け取ったJITTERオプションに応答してコンプレッサがパケット・サイズを調節することとを備える。

【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本特許出願は、本願の譲受人に譲渡され、参照によって本願に完全に組み込まれている2005年12月23日出願の「System And Method For Optimizing Robust Header Compression In High Delay Variance Environment」と題された米国仮出願60/753,776番の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に、通信システムにおけるデータの圧縮および解凍に関し、特に、遅延変動が大きな環境におけるロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を最適化するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ROHCは、無線通信システムにおける効率およびロバスト性を定めるインターネット技術特別調査委員会(IETF)ヘッダ圧縮フレームワークである。他の特徴の中でも、ROHCは、リアルタイム転送プロトコル/ユーザ・データグラム・プロトコル/インターネット・プロトコル(RTP/UDP/IP)、およびUDP/IP圧縮プロファイルをサポートする。ROHCワーキング・グループはまた、伝送制御プロトコル/インターネット・プロトコル(TCP/IP)圧縮プロファイルに対するサポートを明白にしている。
【0004】
ROHCは、ロバスト性、すなわち、無線リンクにおける誤りを許容する能力を示す。ROHCは、マルチメディア・アプリケーションで使用可能であり、様々なアプリケーションおよびプロトコルのためのヘッダ圧縮を定める。ヘッダ圧縮は、リンクを介して送信されるヘッダ・サイズを低減し、もって、リンク効率およびスループットを高める技術である。ヘッダ圧縮は、ヘッダ・サイズの減少によってヘッダ・オーバヘッドが顕著に減少する小さなパケット・サイズの場合において、または、低速リンクにおいて、特に有用である。ヘッダ圧縮は、同じフローに属するパケットにおけるヘッダ・フィールド冗長をインタリーブすることによってこれを達成する。特に、例えばIPソース・アドレスおよび宛先アドレスのような多くのパケット・ヘッダ・フィールドは、フローが継続している間、一定を維持する。一方、例えばシーケンス番号のようなその他のフィールドは、予想されたように変化し、ヘッダ圧縮は、パケット毎にほんの数バイトのヘッダ情報のみを送信すればよくなる。
【0005】
図1は、通信リンクによるIP/UDP/RTPヘッダの一般的なROHC圧縮/解凍ブロック図100を例示する。一般に、オリジナルのパケット・ヘッダを高い信頼性で通信し、構築するために、完全なヘッダの参照コピーが、ROHCコンプレッサ102およびROHCデコンプレッサ104において格納される。本明細書に参照によって完全に組み込まれているURL www.faqs.org/rfcs/rfc3095.htmlにおいて入手可能なRFC 3095によって、ROCHデコンプレッサは、FEEDBACKパケットとともに送られたJITTERオプションを用いて、コンプレッサとデコンプレッサとの間(comp−decomp)のリンクで受け取られたパケットによって見られるジッタ(遅延変動)について、コンプレッサに通知することができる。次に、タイマ・ベースの圧縮方法を使用する場合、RTPタイムスタンプ(RTP TS)フィールドを圧縮するのに必要なビット数を推定するために、コンプレッサによってJITTERオプションが使用されうる。しかしながら、各パケットについてJITTERオプションを送ることは、フィードバック・チャネル上に顕著なオーバヘッドをもたらすので、その使用は最適化されるべきであることが認識される。従って、当該技術には、遅延変動が大きな環境においてROHCを最適化するためのシステムおよび方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、(アクセス・ネットワーク(AN)に存在しうる)コンプレッサと、(アクセス端末(AT)に存在しうる)デコンプレッサとの間のロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を最適化するシステムおよび方法に関する。この方法は、コンプレッサの前の推定されたジッタ値を用いてコンプレッサを初期化することと、JITTER_BCと称される、コンプレッサの前の推定されたジッタ値をデコンプレッサに通知することと、コンプレッサ前のジッタ(JITTER_BC)に基づいて、デコンプレッサにおいて、様々なしきい値リミットを推定することとを備え、デコンプレッサは、しきい値リミットが超えられたか、下回られたか場合には常に、JITTERオプションを送り、コンプレッサは、受け取ったJITTERオプションに応答してパケット・サイズを調節する。JITTER_BCの推定値は、シミュレーションあるいはチャネル特性に基づきうる。デコンプレッサへのJITTER_BC値の通知は、シグナリングによって達成されるか、あるいは、コンプレッサおよびデコンプレッサにおいて同じ値をハード・コーディングすることによって達成される。本発明は、フィードバック・チャネルを控えめに用いてジッタの推定を可能にし、与えられた任意の場合において、最大の圧縮効率を可能にしながら、フィードバック・チャネルの利用を最適化する。
【0007】
別の局面では、本発明は、コンプレッサを有するアクセス・ネットワークと、デコンプレッサを有するアクセス端末との間のロバスト・ヘッダ圧縮を最適化する方法に関する。この方法は、アクセス・ネットワークにおけるコンプレッサと、アクセス端末におけるデコンプレッサとの間で同じ値になるように、コンプレッサ前のジッタを表す初期JITTER_BC値を設定することと、アクセス・ネットワークにおけるコンプレッサからの圧縮されたTSフィールドを、初期JITTER_BC値に基づいて、アクセス端末におけるデコンプレッサへ送ることと、コンプレッサ−デコンプレッサ・リンク上のジッタ値がしきい値を超えるまたは下回る場合には、アクセス端末のデコンプレッサから、アクセス・ネットワークにおけるコンプレッサへJITTERオプションを送ることとを備える。この方法は更に、コンプレッサ前のジッタ(JITTER_BC)に基づいて複数のしきい値リミットを推定することを備え、初期JITTER_BC値を設定することは、コンプレッサおよびデコンプレッサにおいて同じ値をハード・コーディングすること、あるいはシグナリングすることを備える。
【0008】
上記局面では、コンプレッサはアクセス端末(またはその他任意のインターネット・プロトコル・ベースの通信デバイス)に存在し、デコンプレッサは、アクセス・ネットワーク(またはその他任意のインターネット・プロトコル・ベースの通信デバイス)に存在し、遅延変動が大きな環境におけるROHCを最適化するシステムおよび方法が動作するであろうことが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、通信システムにおける典型的なロバスト・ヘッダ・コンプレッサ/デコンプレッサのブロック図を例示する。
【図2】図2は、RTPヘッダを例示する。
【図3(a)】図3(a)は、最適化されたROHCの動作を例示するフローチャートである。
【図3(b)】図3(b)は、図3(a)の方法を実行する装置を例示する。
【図4(a)】図4(a)は、他の局面における最適化されたROHCの動作を例示するフローチャートである。
【図4(b)】図4(b)は、図4(a)の方法を実行する装置を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
用語「典型的」は、「例、事例あるいは例示として役立つ」ことを意味するために本明細書で使用される。本明細書で「典型的」と記述される何れの実施形態も、他の実施形態に対して好適であるとか、有利であるとか必ずしも解釈される必要はない。
【0011】
本明細書でアクセス端末(AT)とも称される高データ・レート(HDR)加入者局は、移動式または固定式であり、本明細書でモデム・プール・トランシーバ(MPT)と称される1または複数のHDR基地局と通信することができる。アクセス端末は、1または複数のモデム・プール・トランシーバを介して、本明細書でモデム・プール・コントローラと称されているHDR基地局コントローラとデータ・パケットを送受信する。モデム・プール・トランシーバおよびモデム・プール・コントローラは、アクセス・ネットワーク(AN)と呼ばれるネットワークの一部である。アクセス・ネットワークは、多くの接続端末間でデータ・パケットを搬送する。アクセス・ネットワークは更に、例えば企業イントラネットまたはインターネットのような、アクセス・ネットワーク外部の追加ネットワークへ接続されることができ、各アクセス端末と、そのような外部ネットワークとの間でデータ・パケットを伝送する。1または複数のモデム・プール・トランシーバとのアクティブなトラフィック・チャネル接続を確立したアクセス端末は、アクティブなアクセス端末と呼ばれ、トラフィック状態にあると言われる。1または複数のモデム・プール・トランシーバとのアクティブなトラフィック・チャネル接続を確立中のアクセス端末は、接続セットアップ状態にあると言われる。アクセス端末は、例えば光ファイバあるいは同軸ケーブルを使用して、無線チャネルを介して、あるいは有線チャネルを介して通信するあらゆるデータ・デバイスでありうる。アクセス端末は更に、限定される訳ではないが、PCカード、コンパクト・フラッシュ、外部モデムまたは内蔵モデム、あるいは、無線電話または有線電話を含む多くのタイプのデバイスのうちの何れかでありうる。アクセス端末がモデム・プール・トランシーバに信号を送る通信リンクは、逆方向リンクと呼ばれる。モデム・プール・トランシーバがアクセス端末へ信号を送る通信リンクは、順方向リンクと呼ばれる。
【0012】
本発明において説明される通信システムは、例えば、符号分割多元接続(CDMA)、IS−95、"CDMA2000 High Rate Packet Data Air Interface Specification," TIA/EIA/IS-856で明示されている高データ・レート(HDR)、CDMA 1x エボリューション・データ・オプティマイズド(EV−DO)、1xEV−DV、広帯域CMDA(WCDMA)、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)時分割シンクロナスCDMA(TD−SCMA)、直交周波数分割多重化(OFDM)のような1または複数の通信技術を使用しうる。下記に述べられた例は、他のシステムにも同様に適用可能である。また、本例は、本願を限定することを意味するものではない。
【0013】
上述したように、ROHCは、RTP/UDP/IPヘッダを効率的に圧縮するヘッダ圧縮技術である。図2を参照して、RTPヘッダ200を示す。ヘッダを圧縮するためにROHCが使用する技術のうちの1つは、RTPシーケンス番号(RTP SN)フィールド202を圧縮し、次に、RTP SNフィールド202から、例えばRTPタイムスタンプ(RTP TS)フィールド204のような他のフィールドへの線形関係を使用する。RTP SNフィールド202は、パケットが送信される毎に1増加し、RTP TSフィールド204は、サンプリング・レートにしたがってインクリメントする。ROHCはまた、幾つかのプロトコル・スタックをサポートすることができるフレキシブルなヘッダ圧縮フレームワークとなるように設計される。すなわち、一般的なパケット・フォーマット、コンプレッサおよびデコンプレッサ有限状態機械、運転モード、誤り復元および補正メカニズム、およびエンコード方法が、フレームワーク・レベルで定義される。パケット・ヘッダ内の動的フィールドのためのエンコード方法は、特定のフィールドの動的パターンに基づいて選択される。
【0014】
RFC 3095によれば、ROHCデコンプレッサは、JITTERオプションを用いて、コンプレッサ−デコンプレッサ(comp−decomp)間のリンク上で受け取られたパケットによって見られるジッタ(遅延変動)についてROHCコンプレッサに通知することが可能とされる。タイマ・ベースの圧縮方法を用いる場合、RTP TSを圧縮するのに必要なビット数を推定するために、ROHCコンプレッサによってJITTERオプションを使用することができる。上述したように、各パケットについてJITTERオプションを送ることは、フィードバック・チャネル上に多大なオーバヘッドをもたらす。したがって、その使用が最適化されるべきである。別の言い方をすれば、フィードバック・チャネルを著しく使用することは、システム容量の損失をもたらす。したがって、その使用が最適化されるべきである。(JITTER_CDと呼ばれる)コンプレッサ−デコンプレッサ間のジッタと、(JITTER_BCと呼ばれる)コンプレッサ前のジッタとの合計である合計ジッタは、RTP TSフィールドを圧縮するために、例えばkビットのように、どれだけのビットが必要とされるのかを判定する。必要とされるビット数に基づいて、パケット・フォーマットが、圧縮されたRTP TSフィールドを表すために少なくとも必要なビット数を含むことができるように、コンプレッサは、圧縮されたパケットをデコンプレッサへ送信するために、適切なパケット・フォーマットを用いる。
【0015】
しかしながら、ジッタがあるしきい値よりも増加すると、圧縮されたRTP TSフィールドを送信するためにより大きなkビットが必要とされ、kビットを適合させるために、異なるパケット・フォーマットが必要とされる。言い換えれば、kビットは、TSフィールドをエンコードするために使用され、デコンプレッサへ送信される。デコンプレッサは、既知の基準値を用いてオリジナルの値を導出する。コンプレッサの基準値のセットが、デコンプレッサによって使用されている基準値であり、送信されたkビットが、(JITTER_BCとJITTER_CDとの合計である)合計ジッタをキャプチャするのに十分大きいのであれば、正確さが保証される。
【0016】
kの値が大きくなると、大きなkをサポートするパケット・フォーマット自身のサイズが大きくなるので、圧縮効率は低減することが理解される。例えば、ジッタ<270ミリ秒の場合、IPv4パケットが、2次(SO)状態において、UO−1−TSパケットを用いて圧縮されうる。ジッタ>270ミリ秒の場合、UOR−2−TSパケットまたはそれより大きなパケットが使用される必要がある。これは、圧縮効率を低減する。従って、コンプレッサは、ある送信期間中、コンプレッサとデコンプレッサとの間と同様に、コンプレッサの前のジッタの正確な推定値を持つことが重要である。
【0017】
上記を考慮して、本発明の局面は、JITTERオプションを控えめに用いることである。図3(a)を参照して、本発明の動作を例示する一般的なフローチャートを示す。ブロック302では、JITTER_BCの初期値が、ANにおけるコンプレッサおよびATにおけるデコンプレッサにおいて同じ値に設定される。これは、例えば、ANからATへシグナリングすることによって、あるいは、ANおよびATにおいて同じ値をハード・コーディングすることによって達成される。次に、ブロック304では、デコンプレッサが、初期JITTER_BC値に基づいて、様々なしきい値リミットを推定する。これらリミットは、パケットを正確に解凍するために、パケット・フォーマットにおける変化を必要とする値として定義され、パケット・フォーマットにおける変化を必要とするジッタ値と、JITTER_BCの値との差分として計算される。ブロック306では、コンプレッサが、JITTER_CDとJITTER_BCとの合計に基づいて、圧縮されたRTP TSフィールドをデコンプレッサへ送る。ブロック308では、デコンプレッサが、コンプレッサとデコンプレッサとの間の推定ジッタ、すなわちJITTER_CDがしきい値を超えているか、下回っているかを判定する。最後に、ブロック310では、デコンプレッサが、コンプレッサへJITTERオプションを控え目に送る。すなわち、推定されたJITTER_CDがしきい値を超えたか下回っている場合にのみ、デコンプレッサは、JITTERオプションを送る。これは、フィードバックを控えめに用いてジッタを推定することを可能にする。その結果、本発明は、与えられた任意の場合において、最大の圧縮効率を考慮しながら、フィードバック・チャネルを最適に使用することを保証する。図3(b)は、図3(a)の方法を実行する手段312−320を備える装置を例示している。図3(b)における手段312−320は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実施されうる。コンプレッサはATに存在し、デコンプレッサはANに存在し、遅延変動が大きな環境におけるROHCを最適化するシステムおよび方法が動作するであろうことが認識される。
【0018】
図4(a)に示すように、JITTERフィードバック・オーバヘッドを最小化し、圧縮効率を最大化する本発明の別の局面に従うフローチャートが示される。ブロック402では、ANが、コンプレッサ前のジッタ(JITTER_BC)の推定値を用いてコンプレッサを初期化する。初期化は、シミュレーションあるいはチャネル特性に基づきうる。ブロック404では、デコンプレッサに、JITTER_BCの初期推定値について通知される。これは、(例えば、下部レイヤを用いた)幾つかのシグナリングを介してか、あるいは、コンプレッサおよびデコンプレッサに同じ値をハード・コーディングすることによって達成されうる。ブロック406では、デコンプレッサが、コンプレッサ−デコンプレッサ・リンクの前のジッタ(すなわち、JITTER_BC)に基づいて、コンプレッサとデコンプレッサとの間のジッタの様々なしきい値リミットを推定する。これらリミットは、パケットを正しく解凍するためにパケット・フォーマットにおける変化を必要とする値として定められ、パケット・フォーマットにおける変化を必要とするジッタ値と、JITTER_BC値との間の差分として計算されうる。ブロック408では、デコンプレッサが、受信した全てのパケットを用いて(または、計算オーバヘッドを定期的に低減するために、例えば10パケット毎に)、コンプレッサとデコンプレッサとの間のジッタ(JITTER_CD)を計算し、計算されたJITTER_CDの変化が、しきい値を超えているかまたは下回っていることが検出されると、デコンプレッサは、コンプレッサが異なるフォーマット・パケットを用いることができるように、ピア・コンプレッサにJITTERフィードバック・オプションを送る。ブロック410に示すように、JITTER_CDが、低いしきい値を下回るのであれば、コンプレッサは、パケット・サイズを低減し、圧縮効率を増加させるだろう。そうではない場合、つまり、ブロック412に示すようにJITTER_CDがしきい値を超えているのであれば、コンプレッサは、パケット・サイズを増加し、圧縮効率を低減させるだろう。図4(b)は、図4(a)の方法を実行する手段420〜432を備える装置を図示する。図4(b)における手段422−432は、ハードウェア、ソフトウェア、あるいはハードウェアとソフトウェアとの組み
合わせで実現されうる。コンプレッサはATに存在し、デコンプレッサはANに存在し、遅延変動が大きな環境におけるROHCを最適化するシステムおよび方法が動作するであろうことが認識される。
【0019】
当業者であれば、これら情報および信号が、種々異なった技術や技法を用いて表されることを理解するであろう。例えば、上述した記載の全体で引用されているデータ、命令群、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁性粒子、光学場または光学微粒子、あるいはこれら何れかの組み合わせによって表現されうる。
【0020】
当業者であれば、更に、本明細書で開示された実施形態に関連して記載された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズム・ステップが、電子工学ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせとして実現されることを理解するであろう。ハードウェアとソフトウェアとの相互置換性を明確に説明するために、様々な例示的な部品、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、それらの機能に関して一般的に記述された。それら機能がハードウェアとして又はソフトウェアとして実現されるかは、特定のアプリケーション及びシステム全体に課せられている設計制約に依存する。当業者であれば、各特定のアプリケーションに応じて変化する方法で上述した機能を実現することができる。しかしながら、この適用判断は、本発明の範囲からの逸脱をもたらすものと解釈されるべきではない。
【0021】
本明細書で開示された実施形態に関連して記述された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)あるいはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリート・ゲートあるいはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア部品、又は上述された機能を実現するために設計された上記何れかの組み合わせを用いて実現又は実施されうる。汎用プロセッサとしてマイクロプロセッサを用いることが可能であるが、代わりに、従来技術によるプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、あるいは状態機器を用いることも可能である。プロセッサは、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに接続された1または複数のマイクロプロセッサ、またはその他任意のこのような構成である計算デバイスの組み合わせとして実現することも可能である。
【0022】
本明細書で開示された実施形態に関連して記述された方法やアルゴリズムのステップは、ハードウェアによって直接的に、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュールによって、または、これらの組み合わせによって具体化される。ソフトウェア・モジュールは、RAMメモリ、フラッシュ・メモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM、あるいは当該技術分野で知られているその他の型式の記憶媒体に収納されうる。典型的な記憶媒体は、プロセッサがそこから情報を読み取り、またそこに情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。または、記憶媒体はプロセッサに統合されることができる。このプロセッサと記憶媒体とは、ASIC内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に存在することもできる。あるいはこのプロセッサと記憶媒体とは、ユーザ端末内のディスクリート部品として存在することができる。
【0023】
開示された実施形態における上述の記載は、当業者をして、本発明の製造または利用を可能とするように提供される。これらの実施形態への様々な変形例もまた、当業者には明らかであって、本明細書で定義された一般的な原理は、本発明の主旨または範囲から逸脱することなく他の実施形態にも適用されうる。従って、本発明は、本明細書で示された実施形態に限定されることは意図されておらず、本明細書で開示された原理および斬新な特徴と一致する最も広いスコープが与えられることとされている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサを有するアクセス・ネットワーク(AN)と、デコンプレッサを有するアクセス端末(AT)との間のロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を最適化する方法であって、
前記コンプレッサの前のジッタの初期値を、前記ANにおけるコンプレッサと、前記ATにおけるデコンプレッサとにおいて同じ値に設定することと、
前記ジッタの値に基づいて、前記ANから前記ATへと、圧縮されたTSフィールドを送ることと、
前記ジッタの値がしきい値を超えるか、下回る場合、前記ATのデコンプレッサからJITTERオプションを送ることと
を備える方法。
【請求項2】
前記コンプレッサの前のジッタの値に基づいて、複数のしきい値リミットを推定することを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンプレッサの前のジッタの初期値を設定することは、前記コンプレッサおよび前記デコンプレッサにおいて同じ値をハード・コーディングすること、またはシグナリングすることを備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
コンプレッサを有するアクセス・ネットワーク(AN)と、デコンプレッサを有するアクセス端末(AT)との間の最適化されたロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を提供するシステムであって、
前記コンプレッサの前のジッタの初期値を、前記ANにおけるコンプレッサと、前記ATにおけるデコンプレッサとにおいて同じ値に設定する手段と、
前記ジッタの値に基づいて、前記ANから前記ATへと、圧縮されたTSフィールドを送る手段と、
前記ジッタの値がしきい値を超えるか、下回る場合、前記ATのデコンプレッサからJITTERオプションを送る手段と
を備えるシステム。
【請求項5】
前記コンプレッサの前のジッタの値に基づいて、複数のしきい値リミットを推定する手段を更に備える請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンプレッサの前のジッタの初期値を設定する手段は、前記コンプレッサおよび前記デコンプレッサにおいて同じ値をハード・コーディング手段、またはシグナリングする手段を備える請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
コンプレッサを有するアクセス・ネットワーク(AN)と、デコンプレッサを有するアクセス端末(AT)との間のロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を最適化する方法であって、
前記コンプレッサの前のジッタの推定値を用いて前記コンプレッサを初期化することと、
前記ジッタの推定値を前記デコンプレッサへ通知することと、
前記コンプレッサの前のジッタに基づいて、前記ATのデコンプレッサにおいて複数のしきい値リミットを推定することと、
前記推定に基づいて、前記コンプレッサにおいてパケット・サイズを調節することとを備える方法。
【請求項8】
前記ジッタの推定値は、シミュレーションまたはチャネル特性に基づく請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ジッタの推定値を用いて前記コンプレッサを初期化することは、前記コンプレッサおよび前記デコンプレッサにおいて同じ値をハード・コーディングすること、またはシグナリングすることを備える請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ジッタの推定値がしきい値を超える場合、前記デコンプレッサが、JITTERオプションを送ることと、
前記JITTERオプションを受け取ると、前記コンプレッサが前記パケット・サイズを増やすことと
を更に備える請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ジッタの推定値がしきい値を下回る場合、前記デコンプレッサが前記JITTERオプションを送ることと、
前記JITTERオプションを受け取ると、前記コンプレッサが前記パケット・サイズを減らすことと
を更に備える請求項7に記載の方法。
【請求項12】
コンプレッサを有するアクセス・ネットワーク(AN)と、デコンプレッサを有するアクセス端末(AT)との間のロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を最適化するシステムであって、
前記コンプレッサの前のジッタの推定値を用いて前記コンプレッサを初期化する手段と、
前記ジッタの推定値を前記デコンプレッサへ通知する手段と、
前記コンプレッサの前のジッタに基づいて、前記ATのデコンプレッサにおいて複数のしきい値リミットを推定する手段と、
前記推定に基づいて、前記コンプレッサにおいてパケット・サイズを調節する手段とを備えるシステム。
【請求項13】
前記ジッタの推定値は、シミュレーションまたはチャネル特性に基づく請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記初期化する手段は、前記コンプレッサおよび前記デコンプレッサにおいて同じ値をハード・コーディングする手段、またはシグナリング手段を備える請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ジッタの推定値がしきい値を超える場合、前記デコンプレッサに、JITTERオプションを送らせる手段と、
前記JITTERオプションを受け取ると、前記コンプレッサに前記パケット・サイズを増加させる手段と
を更に備える請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記ジッタの推定値がしきい値を下回る場合、前記デコンプレッサにJITTERオプションを送らせる手段と、
前記JITTERオプションを受け取ると、前記コンプレッサに前記パケット・サイズを低減させる手段と
を更に備える請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
コンプレッサを有するアクセス端末(AT)と、デコンプレッサを有するアクセス・ネットワーク(AN)との間のロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を最適化する方法であって、
前記コンプレッサの前のジッタの初期値を、前記ATにおけるコンプレッサと、前記ANにおけるデコンプレッサとにおいて同じ値に設定することと、
前記ジッタの値に基づいて、前記ATから前記ANへと、圧縮されたTSフィールドを送ることと、
前記ジッタの値がしきい値を超えるか、下回る場合、前記ANのデコンプレッサからJITTERオプションを送ることと
を備える方法。
【請求項18】
前記コンプレッサの前のジッタの値に基づいて、複数のしきい値リミットを推定することを更に備える請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コンプレッサの前のジッタの初期値を設定することは、前記コンプレッサおよび前記デコンプレッサにおいて同じ値をハード・コーディングすること、またはシグナリングすることを備える請求項17に記載の方法。
【請求項20】
コンプレッサを有するアクセス端末(AT)と、デコンプレッサを有するアクセス・ネットワーク(AN)との間の最適化されたロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を提供するシステムであって、
前記コンプレッサの前のジッタの初期値を、前記ATにおけるコンプレッサと、前記ANにおけるデコンプレッサとにおいて同じ値に設定する手段と、
前記ジッタの値に基づいて、前記ATから前記ANへと、圧縮されたTSフィールドを送る手段と、
前記ジッタの値がしきい値を超えるか、下回る場合、前記ANのデコンプレッサからJITTERオプションを送る手段と
を備えるシステム。
【請求項21】
前記コンプレッサの前のジッタの値に基づいて、複数のしきい値リミットを推定する手段を更に備える請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記コンプレッサの前のジッタの初期値を設定する手段は、前記コンプレッサおよび前記デコンプレッサにおいて同じ値をハード・コーディングする手段、またはシグナリングする手段を備える請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
コンプレッサを有するアクセス端末(AT)と、デコンプレッサを有するアクセス・ネットワーク(AN)との間のロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を最適化する方法であって、
前記コンプレッサの前のジッタの推定値を用いて前記コンプレッサを初期化することと、
前記ジッタの推定値を前記デコンプレッサへ通知することと、
前記コンプレッサの前のジッタに基づいて、前記ANのデコンプレッサにおいて複数のしきい値リミットを推定することと、
前記推定に基づいて、前記コンプレッサにおいてパケット・サイズを調節することとを備える方法。
【請求項24】
前記ジッタの推定値は、シミュレーションまたはチャネル特性に基づく請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ジッタの推定値を用いて前記コンプレッサを初期化することは、前記コンプレッサおよび前記デコンプレッサにおいて同じ値をハード・コーディングすること、またはシグナリングすることを備える請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ジッタの推定値がしきい値を超える場合、前記デコンプレッサが、JITTERオプションを送ることと、
前記JITTERオプションを受け取ると、前記コンプレッサが前記パケット・サイズを増やすことと
を更に備える請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記ジッタの推定値がしきい値を下回る場合、前記デコンプレッサが前記JITTERオプションを送ることと、
前記JITTERオプションを受け取ると、前記コンプレッサが前記パケット・サイズを減らすことと
を更に備える請求項23に記載の方法。
【請求項28】
コンプレッサを有するアクセス端末(AT)と、デコンプレッサを有するアクセス・ネットワーク(AN)との間の最適化されたロバスト・ヘッダ圧縮(ROHC)を提供するシステムであって、
前記コンプレッサの前のジッタの推定値を用いて前記コンプレッサを初期化する手段と、
前記ジッタの推定値を前記デコンプレッサへ通知する手段と、
前記コンプレッサの前のジッタに基づいて、前記ANのデコンプレッサにおいて複数のしきい値リミットを推定する手段と、
前記推定に基づいて、前記コンプレッサにおいてパケット・サイズを調節する手段とを備えるシステム。
【請求項29】
前記ジッタの推定値は、シミュレーションまたはチャネル特性に基づく請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記初期化する手段は、前記コンプレッサおよび前記デコンプレッサにおいて同じ値をハード・コーディングする手段、またはシグナリングする手段を備える請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記ジッタの推定値がしきい値を超える場合、前記デコンプレッサに、JITTERオプションを送らせる手段と、
前記JITTERオプションを受け取ると、前記コンプレッサに前記パケット・サイズを増加させる手段と
を更に備える請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
前記ジッタの推定値がしきい値を下回る場合、前記デコンプレッサにJITTERオプションを送らせる手段と、
前記JITTERオプションを受け取ると、前記コンプレッサに前記パケット・サイズを低減させる手段と
を備える請求項28に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3(a)】
image rotate

【図3(b)】
image rotate

【図4(a)】
image rotate

【図4(b)】
image rotate


【公開番号】特開2012−130023(P2012−130023A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−10218(P2012−10218)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2008−547693(P2008−547693)の分割
【原出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】