説明

遊技システム

【課題】遊技機に対する不正改造を、より確実に検知できる遊技システムを提供する。
【解決手段】遊技球の投入を条件に所定の抽選契機成立ごとに当落抽選する遊技機メイン基板53を備えたパチンコ機2と、パチンコ機にデータを送受可能に接続し遊技球の貸出を制御する遊技球貸出装置63とを備えた遊技システム7において、データを暗号化及び復号化する暗号鍵を保持したセキュリティチップ64Aを遊技機メイン基板に設けるとともに、セキュリティチップ間で暗号化したデータを送受する際に用いる暗号鍵を保持し当該暗号鍵で暗号化したデータをセキュリティチップ間で送受してセキュリティチップを認証する第1暗号処理基板65を設け、遊技球貸出装置は、パチンコ機の第1暗号処理基板が保持する暗号鍵を設定可能に構成し、当該暗号鍵で暗号化したデータを第1暗号処理基板間で送受して相互に認証する第2暗号処理基板86を設ける構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に対する不正改造を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技媒体の投入を条件に、所定の抽選契機が成立するごとに当落抽選を行い、当選により遊技者が遊技媒体を増やせるようにした遊技機が知られている。この種の遊技機では、当該当落抽選を司る基板を、不正改造した基板に交換する不正行為が問題となっており、各種の対策技術が提案されている。例えば、当落抽選を司る基板を、遊技機が備える他の基板が認証を行うことで、基板の正当性を確認する技術(例えば、特許文献1、特許文献2参照)や、遊技場に設置した検査装置により遊技機に予め登録した固有識別情報の正当性を検査して不正改造を検知する技術(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−263340号公報
【特許文献2】特開2005−21330号公報
【特許文献3】特開2001−137516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2の技術では、認証に関与する全ての基板が不正な基板に交換されてしまった場合には、不正改造を検知できない、という問題がある。また特許文献3の技術では、検査装置に対して不正改造が行われていると、不当な遊技機を検知できなくなる、という問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、遊技機に対する不正改造を、より確実に検知できる遊技システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、遊技媒体の投入を条件に所定の抽選契機成立ごとに当落抽選する遊技機メイン基板を備えた遊技機と、前記遊技機にデータを送受可能に接続され前記遊技媒体の貸出を制御する遊技媒体貸出装置とを備えた遊技システムにおいて、データを暗号化及び復号化する暗号鍵を保持した第1セキュリティ手段を前記遊技機メイン基板に設けるとともに、前記第1セキュリティ手段との間で暗号化したデータを送受する際に用いる暗号鍵を保持し当該暗号鍵で暗号化したデータを前記第1セキュリティ手段との間で送受して前記第1セキュリティ手段を認証する第1暗号処理基板を設け、前記遊技媒体貸出装置には、前記遊技機の第1暗号処理基板が保持する暗号鍵を設定可能に構成され、当該暗号鍵で暗号化したデータを前記第1暗号処理基板との間で送受して相互に認証する第2暗号処理基板を設けたことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記遊技システムにおいて、前記遊技媒体貸出装置は、前記遊技媒体の貸出を制御する貸出装置メイン基板と、前記貸出装置メイン基板に設けられ、データを暗号化及び復号化する暗号鍵を保持した第2セキュリティ手段と、を備え、前記第2暗号処理基板は、前記第2セキュリティ手段との間で暗号化したデータを送受する際に用いる暗号鍵を保持し当該暗号鍵で暗号化したデータを前記第2セキュリティ手段との間で送受して前記第2セキュリティ手段を認証することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記遊技システムにおいて、前記遊技機、及び前記遊技媒体貸出装置は、相互に送受するデータを、前記第1及び第2暗号処理基板が保持する暗号鍵で暗号化して送受することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記遊技システムにおいて、前記遊技機は、前記遊技媒体の払い出しを制御するとともに、データを暗号化及び復号化する暗号鍵を保持した第3セキュリティ手段が設けられた払出制御基板を備え、前記第1暗号処理基板は、前記第1及び第2セキュリティ手段及のそれぞれの間で暗号化したデータを送受して、前記遊技機メイン基板、及び払出制御基板の組み合わせの正当性を認証することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技機には、遊技機メイン基板に設けた第1セキュリティ手段を認証する第1暗号処理基板を設けたため、遊技機メイン基板の不正交換を検知できる。また、遊技媒体貸出装置には、遊技機の第1暗号処理基板との間で相互に認証する第2暗号処理基板を設けたため、遊技機の第1暗号処理基板及び遊技媒体貸出装置の第2暗号処理基板のいずれか一方が不正交換されている場合でも、この不正な交換を検知することができる。したがって、遊技機及び遊技媒体貸出装置のいずれか一方において、不正交換の検知に係る全ての基板が不正に交換された場合でも、当該不正な交換を確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】遊技球貸出装置の機能的構成を示す図である。
【図4】本発明の変形例に係る遊技球貸出装置の機能的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技管理システム1の全体構成を示す図である。
遊技管理システム1は、遊技球を遊技媒体に使用するパチンコ機2を設置した遊技場に設けられ、パチンコ機2から遊技情報を取得して管理するシステムであり、複数台のパチンコ機2及びCR(Card Reader)ユニット(遊技球貸出装置)3と、精算機4と、ホールコンピュータ40を含む管理コンピュータ群5とを備え、CRユニット3、精算機4及び管理コンピュータ群5のそれぞれが通信ネットワーク6により互いに通信可能に接続されている。
【0012】
パチンコ機2は、遊技球を遊技媒体に使用する遊技機である。このパチンコ機2は、遊技者が、価値媒体たるプリペイド媒体22を購入、或いは、プリペイド媒体22に現金をチャージし、該プリペイド媒体22の残価値を代償として遊技球を借りて遊技する、いわゆるCR機と呼ばれる遊技機であり、パチンコ機2と、当該パチンコ機2と通信可能に接続され、プリペイド媒体22を読み取る上記CRユニット3とを備えて遊技システム7が構成され、パチンコ機2は、CRユニット3との通信可能に接続されている事を条件に遊技球を発射可能に構成されている。
【0013】
パチンコ機2は、遊技盤(ゲージ盤)8の前面に前面ガラス9を設け、該前面ガラス9を通じて遊技盤8の遊技領域を視認可能に構成したパチンコ機本体10を備えている。遊技盤8の遊技領域には、遊技球通過時に賞球が得られる始動口11や入賞口12、常閉状態の大入賞口(いわゆるアタッカー)13と、これら始動口11、入賞口12及び大入賞口13のいずれにも入賞しなかった遊技球(いわゆるアウト玉)を遊技領域から遊技盤8の裏側に導いて回収する回収口14と、多数の障害釘15と、始動口11への遊技球の入賞(通過)に伴い図柄を変動表示する図柄表示ユニットとしての遊技機液晶表示器16とが設けられている。
【0014】
パチンコ機本体10の正面には、遊技球の貸出操作用の玉貸ボタン38A、プリペイド媒体22の返却(遊技終了の指示)操作用の遊技終了ボタン38B、遊技機液晶表示器16での表示演出時などに操作入力するプッシュボタン38C等の各種操作ボタンが設けられている。
またパチンコ機本体10の右下には、遊技球を遊技盤8の遊技領域に1発ずつ所定の時間間隔で発射する遊技球発射ハンドル17が設けられている。遊技球発射ハンドル17の操作に伴って発射された遊技球が始動口11を通過したことを契機にパチンコ機2は特賞の当落抽選を行うとともに、遊技機液晶表示器16に図柄を後述する表示演出を伴って変動表示し、停止図柄により当落抽選結果を遊技者に通知する。また当選時には、パチンコ機2は、大入賞口13を開放して遊技球が入賞し易い状態とすることで遊技者に持玉を増やす機会を与える。
【0015】
ここで、このパチンコ機2は、所定個数(例えば25個)の遊技球をパチンコ機本体10に封入し、これらの遊技球をパチンコ機本体10の中で循環利用する封入球式の遊技機として構成されている。具体的には、パチンコ機2は、遊技盤8に発射され、入賞口12等に入賞した遊技球(いわゆるセーフ玉)及び回収口14に回収された遊技球(いわゆるアウト玉)をそれぞれ遊技盤8の裏側に回収し、発射位置に還流する循環流路(図示せず)を有し、当該循環流路内に所定個数の遊技球を封入して、封入した遊技球を繰り返して遊技領域に発射することで遊技を行うように構成されている。封入球式のパチンコ機2においては、パチンコ機本体10の外部から遊技球を補充する必要がないため、パチンコ機本体10の正面に、遊技球を一時的に貯留するいわゆる上皿や、上皿からパチンコ機本体10の内部に遊技球を捕球する捕球口、上皿に賞球を排出する排出口等は設けられておらず、かかる上皿等が従来配設された箇所(すなわち、前面ガラス9の下)には、タッチ液晶モジュール20が設けられている。
タッチ液晶モジュール20は、パチンコ機本体10の台枠に組み込まれたタッチ操作可能な表示ユニットであり、CRユニット3の操作部及び表示部として機能し、かかる構成については、後に詳述する。
【0016】
CRユニット3は、各パチンコ機2の片側に配置され互いに通信可能に接続されており、プリペイド媒体22の残価値がゼロでない事を条件に、玉貸ボタン38Aの操作を示す貸出操作信号をパチンコ機2から受信した場合に遊技球の貸出指示信号を出力する。プリペイド媒体22の残価値は、管理コンピュータ群5(より正確には後述するプリペイドシステム管理コンピュータ42)に管理されており、CRユニット3は、玉貸完了時に、管理コンピュータ群5との間で貸出玉数に応じてプリペイド媒体22の残価値を減じる処理を行う。なお、CRユニット3は、玉貸時における残価値の使用単位(例えば100円単位、500円単位など)や、1個の遊技球あたりの貸出単価(例えば4円/玉、1円/玉など)を予め設定可能に構成されており、遊技場側が営業形態に応じて適宜に設定・変更可能に成されている。
【0017】
プリペイド媒体22にはICを内蔵した硬貨形状のICコイン22A及びカード型の会員カード22Bが用いられている。会員カード22Bは、遊技店に会員登録している顧客に貸与される記録媒体であり、ICコイン22Aは、それ以外の顧客(いわゆる、ビジター)に貸与される記録媒体である。プリペイド媒体22には、一意に特定するための識別情報が付与されており、この識別情報と残価値とが対応付けられて管理コンピュータ群5により管理されている。
【0018】
このCRユニット3は、プリペイド媒体22の発行機能を有し、紙幣(例えば、「一万円」、「五千円」や「二千円」などの紙幣)を挿入する紙幣挿入口39、ICコイン22Aを投入するコイン投入口23、ICコイン22Aを排出するコイン排出口24、会員カード22Bを挿入する会員カード挿入口25が設けられている。
CRユニット3は、紙幣挿入口39に紙幣が挿入された場合、管理コンピュータ群5と通信して紙幣の額面に応じた価値をプリペイド媒体22に付与する処理を行う。具体的には、CRユニット3は、プリペイド媒体22として会員カード22Bが挿入されている場合には、会員カード22Bの残価値を管理する管理コンピュータ群5に対し、会員カード22Bの識別情報に投入金額分の価値を付与する旨を通知する。これにより、会員カード22Bへのプリペイド残高のチャージが行われる。また、会員カード22Bが挿入されていない場合には、CRユニット3は、新規にICコイン22Aを発行するとともに、ICコイン22Aの残価値を管理する管理コンピュータ群5に対し、このICコイン22Aの識別情報に投入金額分の価値を付与する旨を通知する。これにより、会員カード22Bを持たない遊技者に、プリペイド媒体22としてのICコイン22Aが新規に発行される。
【0019】
CRユニット3は、プリペイド媒体22が投入されている間、その残価値をタッチ液晶モジュール20に表示し、玉貸ボタン38Aの操作により玉貸が行われるごとに、残価値を減算更新し、また更新後の残価値をタッチ液晶モジュール20に表示する。また、CRユニット3は、遊技終了ボタン38Bが操作されたときには、プリペイド媒体22を排出するとともに、プリペイド媒体22の識別情報と残価値とを管理コンピュータ群5に送信し、これにより、CRユニット3から排出されたときのプリペイド媒体22の最終的な残価値が管理コンピュータ群5に記録される。
精算機4は、プリペイド媒体22の残価値を精算する装置であり、この精算機4には、ICコイン22Aのコイン投入口26及び会員カード22Bのカード挿入口27が設けられている。精算機4は、プリペイド媒体22が投入された場合、残価値を上記管理コンピュータ群5に問い合わせ、残価値に応じた金額を払い出す。精算機4は、金額払出完了後に、その旨を管理コンピュータ群5に通知し、管理コンピュータ群5が、そのプリペイド媒体22の残価値として記録している値をクリアすることで精算が完了する。
【0020】
この遊技管理システム1においては、パチンコ機2ごとにデータ表示器28を備えている。データ表示器28は、対応するパチンコ機2の過去営業日の大当たり情報や、当日の大当たり回数、前回大当たりからの図柄変動回数(スタート回数)といった遊技情報を表示する表示パネル29を有する。またデータ表示器28には、表示パネル29の他にも、遊技場のホールスタッフを呼び出す呼出ボタン30や、パチンコ機2の大当たり状態や確率変動遊技状態、時短遊技状態等の所定の遊技状態を報知するランプ31等が設けられている。各データ表示器28は、対応するパチンコ機2と通信するCRユニット3に接続され、パチンコ機2が出力する遊技情報をCRユニット3から取得して表示パネル29に表示する。
【0021】
管理コンピュータ群5は、ホールコンピュータ40と、顧客管理サーバ41と、プリペイドシステム管理コンピュータ42と、持玉管理サーバ43とを備えている。
ホールコンピュータ40は、各パチンコ機2での出球や大当たり回数、エラー状況、パチンコ機2のパチンコ機本体10が備える扉の開放等の遊技機に係る遊技情報、並びに、各CRユニット3への入金や再プレイ、プリペイド残価値の消費等に関する情報を中枢的に管理するコンピュータである。ホールコンピュータ40は、パチンコ機2ごとに設けたCRユニット3から上記遊技情報等の各種情報を取得する。
【0022】
顧客管理サーバ41は、会員登録した顧客を管理するコンピュータであり、顧客の氏名や年齢、性別、職業、携帯電話番号、会員番号、サービス利用のための暗証番号、会員カード22Bの識別情報、顧客が遊技場に預けている再遊技可能な遊技媒体数(いわゆる貯玉数)、遊技履歴に係る情報を管理する。CRユニット3は、会員カード22Bが挿入された場合、タッチ液晶モジュール20に暗証番号入力画面を表示して入力を促し、入力された暗証番号及び会員カード22Bの識別情報の正当性を顧客管理サーバ41に問い合わせる。CRユニット3は、これらの正当性が顧客管理サーバ41によって認められた場合に、当該顧客管理サーバ41から貯玉数を取得し、タッチ液晶モジュール20に表示する。またCRユニット3は貯玉が使用されるごとに顧客管理サーバ41に貯玉使用数を送信し、これにより顧客管理サーバ41が当該顧客の貯玉数を減算更新する。また、顧客の持玉を貯玉に変える指示が図示せぬ景品カウンター等に設置したコンピュータ等から顧客管理サーバ41に入力された場合に、顧客管理サーバ41が当該顧客の貯玉数を加算更新する。
【0023】
プリペイドシステム管理コンピュータ42は、プリペイド媒体22としてのICコイン22A及び会員カード22Bの各識別情報と残価値を対応付けて記憶し、これらの残価値を管理するコンピュータである。CRユニット3は、プリペイド媒体22が投入されたときには、当該プリペイド媒体22の識別情報に対応する残価値をプリペイドシステム管理コンピュータ42に問い合わせ、応答により得られた残価値をタッチ液晶モジュール20に度数表示する。
プリペイド媒体22の残価値は、CRユニット3でのチャージによって増加し、また玉貸によって減少し、プリペイドシステム管理コンピュータ42は、これらチャージ及び玉貸しに応じて残価値を更新する。すなわち、CRユニット3が残価値をプリペイド媒体22にチャージした場合には、プリペイドシステム管理コンピュータ42は、チャージされた残価値を識別情報とともに取得して残価値を加算更新する。玉貸ボタン38Aの操作に応じてCRユニット3が玉貸を行った場合には、プリペイドシステム管理コンピュータ42は、かかる玉貸の代償価値をプリペイド媒体22の識別情報とともに取得して残価値を減算更新する。
このプリペイドシステム管理コンピュータ42には、上述した精算機4が通信ネットワーク6を介して接続されており、精算機4は、プリペイド媒体22が投入された場合には、精算機4がプリペイド媒体22の残価値をプリペイドシステム管理コンピュータ42に問い合わせて、残価値に応じた金額払い出し等の精算を行う。
【0024】
持玉管理サーバ43は、遊技者の持玉数を管理するコンピュータである。具体的には、持玉管理サーバ43は、遊技者の持玉数を、投入されているプリペイド媒体22の識別情報とともに通信ネットワーク6を介してCRユニット3から取得して管理する。遊技者は、獲得当日に限り、持玉を遊技に使用することができ、CRユニット3は、プリペイド媒体22が投入されたときには、当該プリペイド媒体22の識別情報に対応する持玉数を持玉管理サーバ43に問い合わせ、応答により得られた持玉数をタッチ液晶モジュール20に表示する。このときCRユニット3は、持玉を使って遊技球の払い出しを受けるための持玉使用ボタン(図示せず)をタッチ液晶モジュール20に表示し、当該持玉使用ボタンが操作された場合には、所定玉数の遊技球の払出指示信号をパチンコ機2に出力するとともに、持玉管理サーバ43に対してプリペイド媒体22の識別情報とともに使用持玉数を送信する。持玉管理サーバ43は、使用持玉数を取得すると、対応するプリペイド媒体22の持玉数を減算更新する。また、CRユニット3は、プリペイド媒体22の排出時には、持玉管理サーバ43に対してプリペイド媒体22の識別情報とともに最終的な持玉数を送信し、この持玉数が持玉管理サーバ43に記録される。
【0025】
この遊技管理システム1においては、遊技者が持玉を景品や貯玉に交換可能になされている。すなわち、遊技者が景品カウンター(図示せず)等で持玉を景品や貯玉に交換した場合、当該景品カウンターのコンピュータから持玉を交換した旨が、プリペイド媒体22の識別情報とともに持玉管理サーバ43に入力され、持玉管理サーバ43がプリペイド媒体22の識別情報に対応する持玉数を減算更新することで交換が完了する。なお、持玉を貯玉に交換するときには、顧客管理サーバ41に、貯玉数がプリペイド媒体22の識別情報とともに送信され、管理されている貯玉数が加算更新される。また遊技場の営業日の終了時に、持玉がゼロでない会員カード22Bが持玉管理サーバ43に記録されている場合に、当該持玉管理サーバ43が顧客管理サーバ41に記録を転送し、当該顧客管理サーバ41が管理する会員カード22Bの貯玉に持玉を加算することで、自動で振り替えるようにしても良い。
【0026】
図2は、パチンコ機2の電気的構成をCRユニット3と共に示す図である。
パチンコ機2は、図2に示すように、主基板に分類される遊技機メイン基板53及び払出制御基板54と、主基板に対する周辺基板である演出用サブ基板51及び発射制御基板52とを備えている。主基板は、当落抽選及び遊技球の獲得に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある機能を有する回路を実装した基板である。
遊技機メイン基板53は、入賞に伴う賞球の払出指示や特賞の当落を抽選する回路を備えた基板である。具体的には、パチンコ機2は、始動口11、入賞口12及び大入賞口13のそれぞれに遊技球の入賞を検知する入賞検知センサ55を備え、検知信号が遊技機メイン基板53に出力される。遊技機メイン基板53は、始動口11、入賞口12及び大入賞口13ごとに賞球数を対応付けて記憶する入賞口別賞球数記憶部53Aを備え、入賞口への入賞が検知されるごとに、当該入賞口に応じた数の賞球の払い出しを指示する賞球払出指示信号を払出制御基板54に出力し、また遊技盤8に賞球数別に設けた賞球通知灯56を点灯する。
【0027】
また遊技機メイン基板53は、始動口11への入賞の検知を契機として特賞の当落抽選を行い、当落抽選結果を図柄表示部(いわゆる、特別図柄表示器)59に表示する。図柄表示部59は、遊技盤8に視認可能に設けられ、例えば7セグメント表示器や多数のLEDランプにより構成されており、表示図柄(7セグ表示や点灯LEDランプの組み合わせ)によって当落抽選結果を表示する。図柄表示部59では、当落抽選結果を示す表示図柄が、遊技機メイン基板53が都度決定する時間の変動表示を経て表示される。また、遊技機メイン基板53は、遊技機液晶表示器16や音源、ランプ等により当落抽選結果に応じた遊技演出を行うべく、どういった演出を行うかを指定し、また図柄の変動時間(当落抽選結果の表示タイミング)等を指定する演出指示信号を、当落抽選結果を示す大当たり発生信号とともに演出用サブ基板51に出力する。
【0028】
払出制御基板54は、遊技球の払出及び発射を管理するものである。このパチンコ機2は、上述の通り、封入球式の遊技機として構成されているため、遊技中にパチンコ機2の外から遊技球が投入されることはなく、当該遊技球の実際の投入に代えて、発射可能な遊技球の投入がデジタルデータ上で行われる。
すなわち、払出制御基板54は、遊技者が発射可能な遊技球の残数(以下、「発射可能玉数」と言う)を記憶する遊技機管理発射可能玉数記憶部54Aを備え、発射可能玉数が「ゼロ」でない事を条件に、遊技球の発射を許可する発射許可信号を後述する発射制御基板52に出力する。払出制御基板54は、CRユニット3から貸出指示信号が入力された場合、所定貸玉個数の遊技球の投入に代えて、当該所定貸玉個数分を発射可能玉数に加算する。
【0029】
また、払出制御基板54には、発射可能玉数の増減を管理可能にすべく、回収口14に回収されたアウト玉を検知するアウト玉検知センサ57、発射後遊技領域に到達しなかった遊技球であるファウル玉を検知するファウル玉検知センサ58、及び、発射された遊技球を検知する1或いは複数の発射球検知センサ64(図示例では1つ)のそれぞれの検知信号が入力される。そして、払出制御基板54は、遊技機メイン基板53から賞球払出指示信号を受けるごと、ファウル玉が検知されるごと、及びCRユニット3から貸出指示信号のいずれかが入力されるごとに発射可能玉数を加算更新し、また発射球検知センサ65の検知信号が入力されるごとに発射可能玉数を減算更新することで発射可能玉数を(すなわち遊技者の持玉数)を管理し、また、この発射可能玉数を遊技盤8に設けた玉数表示灯60に常時表示する。
なお、アウト玉検知センサ57及びファウル玉検知センサ58の出力を遊技機メイン基板53に入力し、当該遊技機メイン基板53から払出制御基板54に出力する構成としても良い。
上記発射制御基板52は、発射許可信号が払出制御基板54から入力されている事を条件に発射装置69による遊技球の発射を制御する基板であり、また遊技球の発射が可能か否かを示す発射状態信号を払出制御基板54に出力する。発射装置69は、発射制御基板52の制御に基づいて、遊技球発射ハンドル17の操作量に応じた弾発力で遊技球を発射する。
【0030】
主基板に分類される上記遊技機メイン基板53及び払出制御基板54のそれぞれは、外部から内部を視認可能な透明な主基板密封ケース50A、50Bに密封されている。この主基板密封ケース50A、50Bは、開封することにより、その痕跡が残る構造とされた、いわゆるかしめケースである。各主基板密封ケース50A、50Bには、その内部に、セキュリティ手段としての後述するセキュリティチップ64A、64Bが密封されており、これにより、セキュリティチップ64A、64Bが遊技機メイン基板53及び払出制御基板54に付随的に設けられる。なお、これらセキュリティチップ64A、64Bを、遊技機メイン基板53及び払出制御基板54と同じ基板に一体的に設けても良い。
【0031】
演出用サブ基板51は、遊技機メイン基板53の演出指示信号に基づいて、遊技機液晶表示器16や図示せぬ音源、台枠ランプを制御して、当落抽選結果に応じた遊技演出を行う回路を搭載した基板であり、遊技機メイン基板53に対して信号を出力することはなく、その動作が遊技機メイン基板53の当落抽選結果に影響を及ぼす事がないように構成されている。演出用サブ基板51は、各表示演出に用いる画像データを記憶する演出データ記憶部51Aを備え、遊技機メイン基板53の演出指示信号及び演出の進行に合わせて画像データを演出データ記憶部51Aから順次読み出し、この画像データに基づく画像信号を遊技機液晶表示器16に出力して、遊技機液晶表示器16に表示させる。
【0032】
またパチンコ機2は、上述した部材の他にも、図2に示すように、外部端子板61と、貸出装置接続基板62と、第1暗号処理基板65とを備え、さらに、上述したタッチ液晶モジュール20が組み込まれている。
外部端子板61は、遊技情報を示す外部出力信号SoutをCRユニット3に一方向に出力する端子板であり、CRユニット3から外部端子板61への信号入力は禁止されている。外部端子板61から出力される遊技情報は、遊技機メイン基板53及び払出制御基板54が管理する情報であり、これらの基板から外部端子板61に出力される。
この遊技情報を示す信号には、パチンコ機2での大当たり発生を示す大当たり信号、図柄表示部59での図柄の変動停止を示す図柄停止信号(スタート信号)、賞球数を示す賞球信号、アウト玉数を示すアウト玉信号、ファウル玉数を示すファウル玉信号等が含まれている。この遊技情報を周辺機器が取得することで、大当たり信号及び図柄変動停止信号に基づいて大当たり発生や大当たり発生回数、図柄変動回数(スタート回数)を特定でき、また、アウト玉信号、ファウル玉信号及び賞球信号に基づいて、払出制御基板54とは別に差玉を管理することができる。本実施形態では、外部端子板61がCRユニット3に接続されており、当該CRユニット3は、払出制御基板54とは別に、差玉に基づいて持玉数を管理している。
貸出装置接続基板62は、CRユニット3と接続するための基板であり、この貸出装置接続基板62を介してCRユニット3からパチンコ機2に貸出指示信号(持玉使用時にあっては払出指示信号)が出力され、また、玉貸し/払出しが正常に完了したか否かを示す貸出(払出)結果信号がパチンコ機2からCRユニット3に入力される。
【0033】
第1暗号処理基板65は、主基板に分類される上記遊技機メイン基板53及び払出制御基板54のそれぞれに設けたセキュリティチップ64A、64Bを認証するとともに、外部端子板61及び貸出装置接続基板62を介して入出力される信号を暗号化/復号化する基板であり、制御用マイコン66及びセキュリティチップ64Cを備えている。この第1暗号処理基板65は、基板外部から内部(後述の制御用マイコン66)の処理動作、処理内容等を特定不可能な、いわゆるブラックボックスとして構成されている。
制御用マイコン66は、上記認証及び暗号化/復号化の処理を中枢的に制御する。セキュリティチップ64Cは、データの暗号化及び復号化に供する暗号鍵を保持し、当該暗号鍵で暗号化したデータを送受する暗号通信機能を備えた回路である。遊技機メイン基板53に設けたセキュリティチップ64A(第1セキュリティ手段)、及び払出制御基板54に設けたセキュリティチップ64Bもセキュリティチップ64Cと同様な構成を有する。これらセキュリティチップ64A〜64Cのそれぞれは、相互に送受するデータを暗号化及び復号化するための暗号鍵を予め保持する。この暗号鍵は、暗号化と復号化とに共通の鍵を使用する共通鍵方式における共通鍵であっても良く、また暗号化と復号化とで異なる鍵を使用する公開鍵方式における公開鍵であっても良い。公開鍵方式においては、各セキュリティチップ64A〜64Cに秘密鍵が保持される。
【0034】
制御用マイコン66は、パチンコ機2の電源投入時に、セキュリティチップ64Cを制御することで、遊技機メイン基板53、及び払出制御基板54のそれぞれのセキュリティチップ64A、64Bと暗号鍵に基づく認証を行い認証結果を出力する。本実施形態では、認証結果は、外部端子板61又は貸出装置接続基板62を介してCRユニット3に出力され、ホールコンピュータ40及びタッチ液晶モジュール20に出力されるとともに、パチンコ機2に設けたLEDランプ等に第1暗号処理基板65から直接出力される。このように、認証結果をパチンコ機2の外部のみならずパチンコ機2のLEDランプ等にも出力することで、外部との通信線に対する不正行為により、認証結果が正常に出力されない場合でも、LEDランプの点灯等で遊技場の管理者に認証結果を通知することができる。
またブラックボックスとして構成された第1暗号処理基板65により、遊技機メイン基板53、及び払出制御基板54のそれぞれの正当性を認証することから高いセキュリティが実現される。
【0035】
特に、パチンコ機2においては、遊技機メイン基板53を遊技盤8に取り付け、払出制御基板54を遊技機本体10の本体枠に取り付けて構成されている。この構成においては、遊技機本体10の本体枠を機種毎に共通に使用し、遊技盤8を機種毎に設けることで複数の機種が構成されており、実際に、遊技場においてパチンコ機2を入れ替える時には、遊技盤8だけを取り替えるという運用も一般的である。このような場合に、遊技機本体10に、本来とは異なる他の遊技盤8を誤って取り付けてしまったときには、パチンコ機2の第1暗号処理基板65による遊技機メイン基板53、及び払出制御基板54の組み合わせの正当性を認証する相互認証により認証エラーが検出される。これにより、作業者は、上記のような誤取付を容易に察知することができる。
【0036】
タッチ液晶モジュール20は、CRユニット3により制御されて当該CRユニット3の表示部及び操作部として機能する。すなわち、CRユニット3が遊技球貸出装置の装置本体に相当し、タッチ液晶モジュール20が遊技球貸出装置の表示部及び操作部に相当し、これらによって遊技球貸出装置63が構成される。かかる遊技球貸出装置63の構成について図3を参照して説明する。
【0037】
図3は、遊技球貸出装置63の機能的構成を示す図である。
タッチ液晶モジュール20は、遊技球貸出装置63の装置本体たるCRユニット3に互いに通信可能に接続されており、液晶パネル73及びタッチパネル74を備えた液晶表示部75と、この液晶表示部75を制御する回路を実装した操作表示制御基板77とを備え、この液晶表示部75の表示画像を制御する画像表示制御信号SgがCRユニット3から操作表示制御基板77に入力されている。液晶表示部75に対するタッチ操作は、操作表示制御基板77からCRユニット3にタッチ操作入力信号Stとして出力され、当該CRユニット3にタッチ操作が入力される。すなわち、このタッチ液晶モジュール20は、パチンコ機2に組み込まれているものの、その表示動作はCRユニット3によって制御され、なおかつ、入力操作はCRユニット3に出力されており、CRユニット3の表示部及び操作部として構成されている。
【0038】
また、CRユニット3からタッチ液晶モジュール20には、当該タッチ液晶モジュール20の電力供給線76を介して動作電力が供給されている。すなわち、タッチ液晶モジュール20は、CRユニット3との間でパチンコ機2を介さずに直接的に通信し、また、動作電力もCRユニット3から供給を受ける構成であるため、パチンコ機2が備える電気回路を変更する必要が無く、製造等が容易となる。なお、タッチ液晶モジュール20は、CRユニット3との間の通信を、パチンコ機2が備える外部端子板61や貸出装置接続基板62を通じて行っても良い。
【0039】
CRユニット3は、貸出装置メイン基板80と、ICコイン22Aを読み書きするコインR/W81と、会員カード22Bを読み書きするカードR/W82と、ワンセグ放送(ワンセグ:携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス)を受信してタッチ液晶モジュール20に表示するワンセグ受信回路83と、パチンコ機2及びタッチ液晶モジュール20を接続するための接続基板である遊技機側外部入出力接続基板84と、ホール側外部入出力接続基板85と、第2暗号処理基板86とを備えている。遊技機側外部入出力接続基板84には、遊技球発射ハンドル17の操作量及び遊技情報を含む外部出力信号Soutが入力され、これらの情報がホール側外部入出力接続基板85からホールコンピュータ40に向けて出力される。
【0040】
貸出装置メイン基板80は、各部を中枢的に制御するメイン制御汎用CPU87を備え、上記ICコイン22A及び会員カード22Bのデータの読み書き、管理コンピュータ群5、及びデータ表示器28とのデータ送受等の制御、パチンコ機2に対する玉貸制御の他、さらに遊技中におけるプリペイド媒体22の残価値、持玉及び再プレイ可能玉数(貯玉数)を管理する。
詳述すると、メイン制御汎用CPU87は、キャッシュメモリを備え、当該キャッシュメモリを用いて、プリペイド残価値記憶部88、貸出装置管理持玉数記憶部89、再プレイ可能玉数記憶部90、遊技機管理残玉数記憶部91として機能する。
プリペイド残価値記憶部88は、プリペイド媒体22の残価値を記憶するものであり、プリペイド媒体22の投入時、或いは発行時にプリペイドシステム管理コンピュータ42から取得した残価値を初期値として記憶し、玉貸操作に伴って残価値を減算更新し、またチャージ操作に伴って加算更新する。
【0041】
貸出装置管理持玉数記憶部89は、CRユニット3がパチンコ機2から受信した遊技情報に基づいて遊技者の持玉数(以下、「貸出装置管理持玉数」と言う)を算出し記憶するものである。すなわち、CRユニット3は、遊技球の貸出操作や貯玉、持玉の払出操作ごとに、貸出玉数又は払出玉数を貸出装置管理持玉数に加算し、また遊技情報に含まれるアウト玉信号に基づいて貸出装置管理持玉数を減算更新し、さらに遊技情報に含まれるファウル玉或いは賞球を示す賞球信号に基づいて貸出装置管理持玉数を加算更新する。この貸出装置管理持玉数は、図2に示すように、タッチ液晶モジュール20にリアルタイムに表示される。
【0042】
ここで、パチンコ機2においても、上述の通り、払出制御基板54が持玉数を計数しており、この計数値が遊技機管理発射可能玉数記憶部54Aに記憶される。パチンコ機2が管理している遊技機管理残玉数は、発射制御基板52から遊技球発射を示す信号を受けるごとに減算更新されるのに対し、CRユニット3が管理している貸出装置管理持玉数は、アウト玉の検知信号に基づいて減算更新されるため、貸出装置管理持玉数の減算更新タイミングが遊技機管理残玉数よりも遅くなる。そこで、遊技終了ボタン38Bの操作に伴って持玉数を持玉管理サーバ43に通知する際には、CRユニット3はパチンコ機2から遊技機管理残玉数を取得して上記遊技機管理残玉数記憶部91に記憶し、この遊技機管理残玉数を持玉管理サーバ43に通知することで、正確な持玉数を記録することとしている。遊技終了ボタン38Bの操作時には、この遊技機管理残玉数も図2に示すようにタッチ液晶モジュール20に表示される。
【0043】
再プレイ可能玉数記憶部90は、遊技者の貯玉数を記憶するものであり、会員カード22Bの挿入後パスワード認証正常終了時に、顧客管理サーバ41から取得した貯玉数を初期値として記憶し、貯玉の払出操作に伴って貯玉数を減算更新する。この貯玉数は、図2に示すように、タッチ液晶モジュール20に再プレイ可能玉数として表示され、遊技終了ボタン38Bの操作時に、再プレイ可能玉数記憶部90に記憶されている貯玉数が顧客管理サーバ41に送信されて記録される。
【0044】
また、貸出装置メイン基板80には、同一基板上に、データの暗号化及び復号化に供する暗号鍵を保持する暗号通信機能を備えたセキュリティチップ(第2セキュリティ手段)64Dが設けられている。
第2暗号処理基板86は、貸出装置メイン基板80を認証するとともに、遊技機側外部入出力接続基板84を介して入出力される信号を暗号化/復号化する基板であり、かかる認証及び暗号化/復号化を中枢的に制御する制御用マイコン92と、上記セキュリティチップ64Dと同様な構成のセキュリティチップ64Eとを備える。セキュリティチップ64D、Eはそれぞれ、相互に送受するデータを復号化/暗号化するための暗号鍵を予め保持する。この第2暗号処理基板86は、第1暗号処理基板86と同様に、基板外部から内部(後述の制御用マイコン92)の処理動作、処理内容等を特定不可能な、いわゆるブラックボックスとして構成されている。
そして、第2暗号処理基板86の制御用マイコン92は、CRユニット3の電源投入時に、セキュリティチップ64Eを制御することで、貸出装置メイン基板80のセキュリティチップ64Dと暗号鍵に基づく認証を行い認証結果をホールコンピュータ40及びタッチ液晶モジュール20に出力する。
なお、セキュリティチップ64D、64Eが保持する暗号鍵は、セキュリティチップ64A〜64Cと同様に、共通鍵、公開鍵のいずれでも良い。
【0045】
また、CRユニット3とパチンコ機2とは、両者の電源が投入されたときに、それぞれのブラックボックスとして構成された第1及び第2暗号処理基板65、86が、互いにのセキュリティチップ64C、64Eの暗号鍵を用いて暗号通信することで相互に認証し、CRユニット3の第2暗号処理基板86は、認証結果をホールコンピュータ40及びタッチ液晶モジュール20に出力し、またパチンコ機2の第1暗号処理基板65は、認証結果をホールコンピュータ40にCRユニット3を介して出力するとともにパチンコ機2に設けられたLEDランプ等に出力する。これにより、第1及び第2暗号処理基板65、86のいずれかに対して、チップ交換や基板交換等の不正行為が行われた場合でも、それを確実に検知して遊技場側に報知することができ、高いセキュリティが実現できる。
【0046】
ここで、パチンコ機2の第1暗号処理基板65が使用する暗号鍵(すなわち、セキュリティチップ64Cが保持する暗号鍵)は、製造元或いは販売元により決定され、少なくとも遊技場に設置されるまでの間にパチンコ機2の各セキュリティチップ64A〜64Cに設定されて保持される。特に、セキュリティチップ64A、64Bに暗号鍵を設定した後に、主基板たる遊技機メイン基板53及び払出制御基板54とともに主基板密封ケース50A、50Bに密封することで、製造元或いは販売元から遊技場までの運搬過程において、これら遊技機メイン基板53及び払出制御基板54が交換された場合でも、この不正交換をパチンコ機2の第1暗号処理基板65により確実に検知することができる。
【0047】
一方、パチンコ機2に設定された暗号鍵は、製造元或いは販売元から遊技場に通知され、この暗号鍵がCRユニット3の第2暗号処理基板86のセキュリティチップ64Eにパチンコ機2の設置前に設定される。遊技場への暗号鍵の通知の手段には任意の手段を用いることができ、例えばインターネット等の電気通信回線を介して遊技場が備えるコンピュータ(例えば管理コンピュータ群5のいずれか)に配信できる。遊技場側に通知された暗号鍵は、操作部たるタッチ液晶モジュール20からの手入力、或いはホールコンピュータ40からホール側外部入出力接続基板85を通じてのデータ入力等によりCRユニット3に入力され、第2暗号処理基板86に入力される。第2暗号処理基板86の制御用マイコン92は、かかる暗号鍵が入力されると、この暗号鍵をセキュリティチップ64D、64Eのそれぞれに出力し保持させ、これにより暗号鍵の設定が完了する。
【0048】
このように本実施形態では、CRユニット3に設定される暗号鍵は、パチンコ機2の運搬経路とは別の経路を通じて製造元或いは販売元から取得されて設定される。これにより、パチンコ機2の運搬過程において、第1暗号処理基板65や遊技機メイン基板53、払出制御基板54が不正に交換や改造されたとしても、その不正交換・改造がパチンコ機2の設置時にCRユニット3の第2暗号処理基板86により検知されることとなる。
また、パチンコ機2の設置後においては、当該パチンコ機2及びCRユニット3のいずれか一方の第1、第2暗号処理基板65、86に対して不正交換・改造が行われたとしても、それらの間の相互認証により、その不正交換・改造が他方のパチンコ機2及びCRユニット3の第1、第2暗号処理基板65、86で検知される。
さらに、パチンコ機2及びCRユニット3のいずれかにおいて、第1及び第2暗号処理基板65、86以外の遊技機メイン基板53や払出制御基板54、貸出装置メイン基板80に対して不正交換・改造が行われた場合には、その基板と相互認証する第1及び第2暗号処理基板65、86により不正交換・改造が検知されることは上述の通りである。
【0049】
なお、パチンコ機2及びCRユニット3の間の相互認証、パチンコ機2の内部基板同士の相互認証、並びに、CRユニット3の内部基板同士の相互認証を行うタイミングは、電源投入時に限らず、一定期間ごとに行っても良く、また遊技場の管理者等がCRユニット3の操作部たるタッチ液晶モジュール20をタッチ操作する等して指示したタイミングで行っても良い。
【0050】
このように、本実施形態によれば、パチンコ機2に、遊技機メイン基板53に設けたセキュリティチップ64A、及び払出制御基板54に設けたセキュリティチップ64Bのそれぞれを認証する第1暗号処理基板65を設けたため、主基板に分類される遊技機メイン基板53及び払出制御基板54の不正交換を検知できる。
これに加え、遊技球貸出装置63の装置本体たるCRユニット3には、パチンコ機2の第1暗号処理基板65との間で相互に認証する第2暗号処理基板86を設けたため、パチンコ機2の第1暗号処理基板65及び遊技球貸出装置63の第2暗号処理基板86のいずれか一方が不正交換されている場合でも、この不正交換を確実に検知することができる。これにより、パチンコ機2及び遊技球貸出装置63のいずれか一方において、不正交換の検知に係る全ての基板が不正に交換された場合でも、当該不正な交換を確実に検知することができる。
【0051】
また本実施形態によれば、遊技球貸出装置63の貸出装置メイン基板80にセキュリティチップ64Dを設け、このセキュリティチップ64Dを第2暗号処理基板86が認証する構成とした。これにより、貸出装置メイン基板80の不正交換や改造を検知することができる。特に、封入球式のパチンコ機2においては、貸球がパチンコ機2の外に露出することが無いため、不正により大量の貸球が一度に発生した場合でも第三者が目視でそれを確認し難く不正が発見し難い。したがって、貸出装置メイン基板80に対する不正交換や改造等の不正行為が十分にあり得るが、本実施形態によれば、当該貸出装置メイン基板80に対する不正交換や改造等を確実に検知することができる。
【0052】
また本実施形態によれば、パチンコ機2、及び遊技球貸出装置63は、相互に送受するデータを、前記第1及び第2暗号処理基板65、86が保持する暗号鍵で暗号化して送受する構成とした。
この構成により、パチンコ機2、及び遊技球貸出装置63の間の通信経路上に不正部品を取り付けたりして送受データの改ざん等を行う行為を確実に防止できる。
特に、本実施形態の遊技システム7においては、パチンコ機2が外部出力信号Soutを暗号化してCRユニット3に出力し、そしてホールコンピュータ40に出力することとなるから、当該外部出力信号Soutの改ざん等の行為を防止できる。また封入球式のパチンコ機2においては、払出制御基板54が出球を遊技機管理発射可能玉数として管理し、当該遊技機管理発射可能玉数を外部出力信号Soutとしてホールコンピュータ40に出力するため、この遊技機管理発射可能玉数に改ざん等を行うことで、データ記録上、持玉を不正に増やすことができる。これに対して本実施形態によれば、外部出力信号Soutが所定の暗号鍵で暗号化されているため、かかる改ざんを防止し、持玉の不正なデータ記録を阻止できる。
【0053】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、パチンコ機2及びCRユニット3の間で送受するデータ(信号)を、それぞれに設けた第1、第2暗号処理基板65、86で暗号化して送受する構成としたが、これに限らない。
すなわち、図4に示すように、パチンコ機102、及び遊技球貸出装置163を互いにデータ送受可能に接続した遊技システム107において、パチンコ機102には、遊技機メイン基板153及び払出制御基板154のそれぞれに、セキュリティチップ164A、164Bを一体に設け、セキュリティチップ164Aで遊技機メイン基板153が出力する信号を暗号化し、またセキュリティチップ164Bで及び払出制御基板154が送受する信号を暗号化及び復号化するとともに、遊技球貸出装置163には、貸出装置メイン基板180にセキュリティチップ164Dを一体に設け、このセキュリティチップ164Dで貸出装置メイン基板180が送受する信号を暗号化及び復号化する構成としても良い。
【0054】
なお、図4に示す構成において、パチンコ機102には、制御用マイコン166及びセキュリティチップ164Cを有する第1暗号処理基板165を設けて遊技機メイン基板153及び払出制御基板154のセキュリティチップ164A、164Bをそれぞれ認証し、また、遊技球貸出装置163には、制御用マイコン186及びセキュリティチップ164Eを有する第2暗号処理基板186を設けて貸出装置メイン基板180の認証を行う点は上述した実施形態と同様である。このとき、パチンコ機102及び払出制御基板154の相互認証は、第1暗号処理基板165が払出制御基板154を通じて、或いは直接的に遊技球貸出装置163のCRユニット103と暗号化データを送受し、また、第2暗号処理基板186が貸出装置メイン基板180を通じて、或いは直接的にパチンコ機102と暗号化データを送受することで行われる。
【0055】
また、上述したパチンコ機2、102において、第1暗号処理基板65、165を、遊技機メイン基板53、153の動きと払出制御基板54、154の動きとを監視する機能を有して構成し、遊技機メイン基板53、153の状態と、払出制御基板54、154の状態との間に矛盾が発生した場合に、第1暗号処理基板65、165がそれを検知して報知する構成としても良い。
この構成により、例えば、パチンコ機2の稼働中における遊技球の不正な払い出しを速やかに検知して遊技場側に報知する、といった応用が可能となる。
【0056】
詳述すると、遊技機メイン基板53、153に接続された入賞検知センサ55で検出した各種入賞口への入賞を払出制御基板54、154に通知するための賞球払出指示信号や、遊技機メイン基板53、153の始動口11への入賞を契機にした抽選の結果発生した大当り状態を払出制御基板54、154に通知するための大当り発生電文などを遊技機メイン基板53、153が払出制御基板54、154にデータ通信で送付する際に、セキュリティチップ64A、164Aを介して第1暗号処理基板65、165に送信する。一方、払出制御基板54、154は、払い出した賞球数を示す賞球信号をセキュリティチップ64C、164Cを介して第1暗号処理基板65、165に出力する。そして、第1暗号処理基板65、165は、遊技機メイン基板53、153から受信したデータと、払出制御基板54、154から受信したデータとに基づいて、払い出し遊技球数の整合性を監視する。
これにより、例えば15個の賞球が得られる大入賞口への入賞検知の信号が遊技機メイン基板53、153から出力されていないのに15個払出の指示コマンド払出制御基板54、154から出力されている場合など、遊技機メイン基板53、153、及び払出制御基板54、154の両基板間で賞球や大当たり発生に関して矛盾した動作を検知することができる。
特に、遊技機メイン基板53、153、及び払出制御基板54、154は、それぞれセキュリティチップ64A、164A、64C、164Cを介して第1暗号処理基板65、165にデータを出力するため、それらの間のセキュリティも確保されることから、遊技機メイン基板53、153、及び払出制御基板54、154の両基板間での矛盾動作の検知のセキュリティが高められる。
【0057】
また上述した実施形態では、遊技機の一例としてパチンコ機2、102を例示したが、これに限らず、遊技媒体の投入を条件に、所定の抽選契機成立時に当落抽選を行う遊技機であれば、任意の遊技機に本発明を適用することができる。かかる遊技機には、例えば、遊技メダルを遊技媒体に使用し、遊技メダルの投入を条件に、操作レバーが操作された時に当落抽選を行うパチスロ機などが挙げられる。この場合には、本発明の遊技媒体貸出装置が遊技メダルをパチスロ機に貸し出す遊技メダル貸出装置に適用される。
【符号の説明】
【0058】
2、102 パチンコ機(遊技機)
3、103 CRユニット
5 管理コンピュータ群
7、107 遊技システム
20 タッチ液晶モジュール
22 プリペイド媒体
40 ホールコンピュータ
50A 主基板密封ケース
52 発射制御基板
53、153 遊技機メイン基板
54 払出制御基板
54A 遊技機管理発射可能玉数記憶部
61 外部端子板
62 貸出装置接続基板
63、163 遊技球貸出装置
64A〜64E、164A〜164E セキュリティチップ(セキュリティ手段)
65、165 第1暗号処理基板
66 制御用マイコン
80、180 貸出装置メイン基板
86、186 第2暗号処理基板
92 制御用マイコン
Sout 外部出力信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体の投入を条件に所定の抽選契機成立ごとに当落抽選する遊技機メイン基板を備えた遊技機と、前記遊技機にデータを送受可能に接続され前記遊技媒体の貸出を制御する遊技媒体貸出装置とを備えた遊技システムにおいて、
前記遊技機には、データを暗号化及び復号化する暗号鍵を保持した第1セキュリティ手段を前記遊技機メイン基板に設けるとともに、前記第1セキュリティ手段との間で暗号化したデータを送受する際に用いる暗号鍵を保持し当該暗号鍵で暗号化したデータを前記第1セキュリティ手段との間で送受して前記第1セキュリティ手段を認証する第1暗号処理基板を設け、
前記遊技媒体貸出装置には、前記遊技機の第1暗号処理基板が保持する暗号鍵を設定可能に構成され、当該暗号鍵で暗号化したデータを前記第1暗号処理基板との間で送受して相互に認証する第2暗号処理基板を設けたことを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記遊技媒体貸出装置は、
前記遊技媒体の貸出を制御する貸出装置メイン基板と、
前記貸出装置メイン基板に設けられ、データを暗号化及び復号化する暗号鍵を保持した第2セキュリティ手段と、を備え、
前記第2暗号処理基板は、前記第2セキュリティ手段との間で暗号化したデータを送受する際に用いる暗号鍵を保持し当該暗号鍵で暗号化したデータを前記第2セキュリティ手段との間で送受して前記第2セキュリティ手段を認証する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記遊技機、及び前記遊技媒体貸出装置は、相互に送受するデータを、前記第1及び第2暗号処理基板が保持する暗号鍵で暗号化して送受することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技システム。
【請求項4】
前記遊技機は、前記遊技媒体の払い出しを制御するとともに、データを暗号化及び復号化する暗号鍵を保持した第3セキュリティ手段が設けられた払出制御基板を備え、
前記第1暗号処理基板は、前記第1及び第2セキュリティ手段及のそれぞれの間で暗号化したデータを送受して、前記遊技機メイン基板、及び払出制御基板の組み合わせの正当性を認証することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遊技システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate