遊技媒体の製造方法
【課題】樹脂層の厚みを確保して適切にICタグを埋め込むことができる3層構造の遊技媒体遊戯媒体を提供する。
【解決手段】金属材料から成り、貫通穴を有する円形部と、円形部の円周から突出する爪部とを備える面部を複数作成する工程と、前記突出する爪部を山折りし、更に、前記山折りした爪部が、少なくとも円形部の径方向に略並行に伸びる部位と法線方向に伸びる部位とを含み、前記山折りの頂点より先の部位が前記山折りの頂点より内側となるように、折り曲げる工程と、前記折り曲げる工程の後、2つの面部を爪部が対向するように同心配置し、両面部間にICタグ及び樹脂材料を、樹脂材料がICタグを包含した状態となるように挿入する工程と、前記2つの面部に相互に接近する方向へ圧力を加えて貫通穴に樹脂材料を充填させながら硬化させる工程と、貫通穴からはみ出した樹脂材料を削って面一にする工程とを備える。
【解決手段】金属材料から成り、貫通穴を有する円形部と、円形部の円周から突出する爪部とを備える面部を複数作成する工程と、前記突出する爪部を山折りし、更に、前記山折りした爪部が、少なくとも円形部の径方向に略並行に伸びる部位と法線方向に伸びる部位とを含み、前記山折りの頂点より先の部位が前記山折りの頂点より内側となるように、折り曲げる工程と、前記折り曲げる工程の後、2つの面部を爪部が対向するように同心配置し、両面部間にICタグ及び樹脂材料を、樹脂材料がICタグを包含した状態となるように挿入する工程と、前記2つの面部に相互に接近する方向へ圧力を加えて貫通穴に樹脂材料を充填させながら硬化させる工程と、貫通穴からはみ出した樹脂材料を削って面一にする工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン等の遊技機において使用されるメダル等の遊技媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スロットマシン等の遊技機では、メダル等の遊技媒体として、金属製の円板(薄い円柱)状のものが使用されている。このような金属メダルは通常、プレス加工により製造され、1層構造となっている場合が多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
遊戯施設では、遊技者が景品交換等のために、また管理者が払い出し用に配備するために、金属メダルを運搬する状況が想定される。このような状況において大量の金属メダルを運搬する場合、個々の金属メダルの重量はそれほど大きくなくても全体として相当の重量となるため、遊技者や管理者に大きな身体的負担がかかっていた。
【0004】
ここで、遊技媒体の材質を樹脂にすれば媒体自体を軽量化することができるが、遊技機によっては媒体表面の導電性等をチェックして真偽を判断する機能を備えているものもあり、単純に樹脂材料で遊技媒体を製造した場合、上記のような機能を備えた遊技機では使用することができないという問題が生じる。また、樹脂材料により遊技媒体を製造した場合、装置内などで被る摩擦のために媒体表面が破損し易いという問題もある。
【0005】
本発明の発明者は、上記問題を検討した結果、遊技媒体を金属層/樹脂層/金属層の3層構造とすることで、表面材質に関して従来との互換性や耐摩耗性を確保しつつ、遊技媒体の軽量化を図ることができると考えるに至った。
【0006】
ここで、本発明の発明者は、3層構造とした遊技媒体の樹脂層にICタグを埋め込むことで、遊技機でICタグに記憶される情報を読み取って、遊技媒体の管理や遊技自体の制御に利用することができると考え、そのような遊技媒体の製造方法を検討したところ、ICタグを埋め込む樹脂層の厚みが十分でない場合、遊技媒体を製造する際に成形不良が起こり易いという新たな問題が生じることがわかった。
【0007】
そこで、本発明は、金属層/樹脂層/金属層の3層構造とすることで軽量化を図りつつ、樹脂層の厚みを確保して適切にICタグを埋め込むことができる遊戯媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の遊技媒体の製造方法は、金属材料から成り、略中央に貫通穴を有する円形部と、該円形部の円周を略均等にN(N≧3)分割する位置から突出するN個の爪部とを備える遊技媒体面部を複数作成する工程と、前記突出する爪部を山折りし、更に、前記山折りした爪部が、少なくとも前記円形部の径方向に略並行に伸びる部位と法線方向に伸びる部位とを含み、前記山折りの頂点より先の部位が前記山折りの頂点より内側となるように、折り曲げる工程と、前記折り曲げる工程の後、2つの前記遊技媒体面部を前記爪部が対向するように同心配置し、両遊技媒体面部間にICタグ及び非硬化状態の樹脂材料を、前記樹脂材料が前記ICタグを包含した状態となるように挿入する工程と、前記2つの前記遊技媒体面部に相互に接近する方向へ圧力を加えて前記円形部の貫通穴に前記樹脂材料を充填させながら、前記樹脂材料を硬化させる工程と、前記円形部の貫通穴からはみ出した前記樹脂材料を削って面一にする工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
好適には、前記折り曲げる工程は、前記突出する爪部の根元付近を頂点として略180度山折りする工程と、前記突出する爪部の根元から距離L1の箇所を頂点として略90度谷折りする工程と、前記突出する爪部の根元から距離L2(>L1)の箇所を頂点として略90度山折りする工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の遊技機は、本発明の製造方法により製造される遊技媒体を受け付け可能に構成されており、前記ICタグに記憶される情報を読み取り可能なICタグリーダを備えることを特徴とする。
【0011】
ここで「遊技機」に限定は無いが、例えば回動式遊技機(以下、「スロットマシン」という。)、ぱちんこ機(第一種ぱちんこ機、第二種ぱちんこ機を含む)等を含む。
【0012】
本発明の製造方法の一部又は全部の工程は、コンピュータによる制御のもと実施することができるが、そのためのコンピュータプログラムは、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリ及び通信ネットワークなどの各種の媒体を通じてコンピュータのメモリにインストールまたはロードすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属層/樹脂層/金属層の3層構造とすることで軽量化を図りつつ、樹脂層の厚みを確保して適切にICタグを埋め込むことができる遊戯媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態として、遊技場等に設置される遊技機(スロットマシン)について説明する。本スロットマシンでは、遊技媒体として円板状のメダルが使用される。なお、以下の実施形態は本発明の適応例に過ぎず、本発明は実施形態に限定されず種々に変更して適用することが可能である。
【0015】
まず筐体構成から説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシンの外観を示す正面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係るスロットマシン10の筐体の前面部は、開閉自在にフロントパネル20が取り付けられている。フロントパネル20の上部に表示機能を有する演出表示装置40が設けられた表示領域となっており、中央部に操作部が設けられている。
【0018】
筐体上部には、表示機能を有する演出表示装置40が設けられている。演出表示装置40は、例えば液晶パネルを含んで構成されており、種々の演出のための画像や遊技に必要な情報を表示領域に表示可能に構成されている。演出表示装置40には、1つの透明な表示窓21が設けられている。表示窓21の領域には、画像を表示するための液晶や液晶を構成する部材(偏光板など)や液晶を制御する回路などが設けられておらず、光を透過するようになっており、物理的に画像表示できない領域となっている。
【0019】
筐体内部であって表示窓21を通して視認可能な位置には、3つのリール(回胴)が配置されている。正面から見て左側から、左リール31L、中リール31C、右リール31Rの順番で配置されている。
【0020】
リール31L、31C及び31Rは、リング状の中空構造に成形されている。リールの外周は、外周面に貼られるリールテープの幅に成形されており、外周面にはリールテープ上に印刷される図柄の形状に合わせて開口が複数設けられている。リールの内部は中空になっており、外周面から延びるフレームで回転軸が支持されている。
【0021】
リールの外周面には入賞図柄(入賞役を構成する図柄)を印刷したリールテープが各々貼られている。それぞれのリールテープには、例えば21個の図柄が等間隔で配列されて印刷されている。図柄の配列は、リールテープごとに異なるようになっている。リールテープの図柄が、リールの外周面に設けられた開口に対応するようになっている。表示窓21からは、この表示窓を通してリール31L、31C及び31Rが観察されるようになっており、各リール外周面の上下方向で連続する3つの図柄が見えるように表示窓21の大きさが設定されている。図1では、リール群31(リール31L、31C及び31Rのまとまりを意味する)上に示された円が、一つの図柄を示している。
【0022】
リール31L、31C及び31Rのそれぞれの回転軸には、ステッピングモータ(図示せず)が各々連結されている。このステッピングモータは、リール31L、31C及び31Rを任意の速度で回転させたり、任意の角度(位置)で停止させたりすることが可能になっている。各リールが回転する場合には、リール31L、31C及び31Rの図柄が表示窓21内で上下に移動しているように視認されるようになっている。
【0023】
リール31L、31C及び31Rの内側には、バックランプ(図示せず)が設けられている。バックランプはリールごとに3個ずつ配置されており、リールが停止した時に表示窓21から見える総計で9個の図柄に対して、リール外周面の開口を通して光を照射するようになっている。
【0024】
図1に示す表示窓21上の破線は、有効ライン22a、22b及び22cからなる有効ライン群22を示すものである。有効ライン群22は、水平方向の中段の有効ライン22aと、水平方向の上段及び下段の2本の有効ライン22bと、右下がり及び左下がりの斜め方向の2本の有効ライン22cとから構成されている。そして、リール31L、31C及び31Rに付された図柄は、リール31L、31C及び31Rが停止した時に、表示窓21から見える9個の図柄が全てこれらの有効ライン群22上に位置するような間隔で配置されている。
【0025】
スロットマシン10の筐体の中央部において、演出表示装置40の右下側に当たる位置には、メダル投入口23が設けられており、メダル投入口23の近傍の筐体内部には、第1ICタグリーダ231(図示せず)が設けられている。
【0026】
メダル投入口23からメダルが投入されると、投入されたメダル枚数に応じて有効ライン22a、22b及び22cの1ライン乃至5ラインが有効になるように構成されている。すなわち、投入した枚数のメダルが掛け金として徴収される。投入されたメダルが1枚の場合には1つの有効ライン22aが有効になり、2枚のときは水平方向の3つの有効ライン22a及び22bが有効になり、3枚のときはさらに加えて斜め方向の2つの有効ライン22cを含む総計で5つの有効ライン22a〜22cが有効になる。これらの制御は、後述のメインCPU(中央演算装置)51(図2参照)により行われる。例えば、3枚のメダルが投入されている場合には、リール31L、31C及び31Rが停止した時に、少なくとも1つの有効ライン22a〜22cに特定の図柄の組み合わせが停止していれば、その組み合わせに応じた役に入賞したこととなる。
【0027】
また筐体の中央部には、遊技者によって操作される各種の操作スイッチが設けられている。例えば、本実施形態では、スタートスイッチ41、ストップスイッチ群42及びベットスイッチ群43が設けられている。
【0028】
スタートスイッチ41は、リール31L、31C及び31Rの回転をスタートさせるときに遊技者が操作するスイッチ、例えばボタンである。ストップスイッチ群42は、左リール31Lを停止させるときに操作する左ストップスイッチ42Lと、中リール31Cを停止させるときに操作する中ストップスイッチ42Cと、右リール31Rを停止させるときに操作する右ストップスイッチ42Rとから構成されている。これらのストップスイッチ42L、42C及び42Rは、例えばボタンとして並設されている。
【0029】
ベットスイッチ群43は、遊技者がクレジット内のメダルを投入する際にベット数(賭数)を指定するスイッチ群であり、1ベット・2ベットスイッチ43a及びMAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)43bから構成されている。これらのベットスイッチ43a及び43bも、例えばボタンとして配置されている。1ベット・2ベットスイッチ43aが操作されると、1枚又は2枚のメダルがベットされ(ゲームの掛け額として徴収され)、MAXベットスイッチ43bが操作されると、最大ベット数である3枚のメダルがベットされる。すなわち、ベットスイッチ群43の操作で指定されるベット数が、クレジットとなっているメダル数から徴収され、クレジットがベット数だけ減算される。
【0030】
さらに、筐体の下部の中央部には、メダル払出口90が設けられており、メダル払出口90の近傍の筐体内部には、第2ICタグリーダ901(図示せず)が設けられている。
【0031】
また、メダル払出口90の両側には、スピーカ71が設けられている。遊技(ゲーム)中には、種々の演出、例えばバックランプの点灯、演出表示装置40を用いた画像表示及びスピーカ71からの音声の出力等が行われる。さらに、このような演出として、入賞可能性の告知演出が行われることもある。
【0032】
これらの構成を有するスロットマシンにおいて実施される通常遊技の概要を簡単に説明する。スロットマシン10において、遊技者がメダル投入口23からメダルを投入するか、ベットスイッチ群43を操作すると、有効ライン22a〜22cがベット数に応じて有効化される。
【0033】
ベット数を指定した遊技者がスタートスイッチ41を操作すると、ベット数に応じた役の抽選が行われると共に、リール31L、31C及び31Rが回転し始める。そして、遊技者がストップスイッチ42L、42C及び42Rを操作すると、操作されたボタンに応じてリール31L、31C及び31Rの回転が停止する。このとき、スタートスイッチ41の操作と同時に行われている役の抽選結果が当選であった場合には、有効化されている有効ライン群22上に並ぶ図柄の組み合わせが、予め定められた何らかの役の図柄の組み合わせに一致するようにリールが停止制御され、その入賞役に応じたメダルの払い出し等が行われる。
【0034】
次に、スロットマシン10の内部構成等のシステム構成について説明する。
【0035】
図2は、本発明の実施形態に係るスロットマシン10のシステム構成を示すブロック図である。スロットマシン10の筐体内部には、メイン制御基板50、並びにこのメイン制御基板50に接続されたサブ制御基板60、リール基板11、中央表示基板12、電源装置基板13、第1ICタグリーダ231及び第2ICタグリーダ901が配置されている。
【0036】
(メイン制御基板50)
メイン制御基板50には、メインCPU51、ROM52、RAM53及びインタフェース回路(I/F回路)54が設けられており、これらはバス55を介して互いに接続されている。
【0037】
メインCPU51は、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、メインCPU51は、ROM52に記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、これらに基づいてスロットマシン10全体の制御を行う。
【0038】
ROM52には、メインCPU51に、操作に基づく抽選処理及びその他の遊技の制御に必要なソフトウェアプログラム及びデータ等が記憶されている。また、RAM53は、メインCPU51が各種の制御を行う時に用いられ、データ等を一時的に記憶可能に構成されている。
【0039】
I/F回路54は、メイン制御基板50と、サブ制御基板60、リール基板11、中央表示基板12及び電源装置基板13との間で行われる信号の送受信の際に、タイミングの制御等を行うようになっている。但し、メイン制御基板50とサブ制御基板60との間では、メイン制御基板50からサブ制御基板60への信号の送信は行われるが、サブ制御基板60からメイン制御基板50への信号の送信は行われないように構成されている。
【0040】
(サブ制御基板60)
サブ制御基板60には、サブCPU61、ROM62、RAM63、画像制御プロセッサ64、画像データROM65、ビデオRAM66、音源回路67、アンプ68及びインタフェース回路(I/F回路)69が設けられている。サブCPU61、ROM62、制御用RAM63、画像制御プロセッサ64、音源回路67及びI/F回路69はバス70を介して互いに接続されている。また、画像データROM65及びビデオRAM66は画像制御プロセッサ64に接続され、アンプ68は音源回路67に接続されている。
【0041】
サブCPU61は、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、サブCPU61は、ROM62に記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、サブ制御基板60全体の制御処理、特に遊技者に対する演出の制御処理を行うとともに、本発明に基づくメダル100内のICタグ101の識別情報を第1ICタグリーダ231及び第2ICタグリーダ901を介して取得し、メダル管理処理等を行うようになっている。なお、サブCPU61の処理能力や開発言語等には、何らの制約もない。
【0042】
ROM62には、サブCPU61に、遊技中の演出やメダル管理処理等に必要なソフトウェアプログラム及びデータ等が記憶されている。また、RAM63は、サブCPU61が各種の制御を行う時に用いられ、データ等を一時的に記憶可能に構成されている。
【0043】
これらのサブCPU61、ROM62及びRAM63は、夫々メイン制御基板50に設けられたメインCPU51、ROM52及びRAM53と同様の機能を有するものである。なお、ROM62及びRAM63は、夫々ROM52及びRAM53と同一のものを用いてもよいが、これらよりも容量の大きいものを用いてもよい。
【0044】
画像データROM65には、演出表示装置40に表示されるキャラクタ、文字及び背景等の画像データを生成するための元画像データが記憶されている。また、ビデオRAM66は、画像制御プロセッサ64が演出表示装置40に表示しようとする画像データを生成する時に用いられ、画像データROM65から読み出した元画像データ等に基づき生成された画像データがフレーム画像データとしてビデオRAM66に展開されるようになっている。演出表示装置40は、ビデオRAM66に記憶されたフレーム画像データを表示可能にサブ制御基板60に接続されている。
【0045】
サブ制御基板60には、さらにスピーカ71、上述のバックランプ等が設けられている。スピーカ71はアンプ68に接続されている。これらの演出用周辺機器は、遊技中の演出(役の当選可能性の告知演出等)の出力を行うものであり、サブ制御基板60にのみ接続されており、メイン制御基板50には接続されていない。
【0046】
I/F回路69は、メイン制御基板50からの信号の受信の際に、タイミングの制御等を行う。なお、上述のように、メイン制御基板50からサブ制御基板60への信号の送信は行われるが、サブ制御基板60からメイン制御基板50への信号の送信は行われない。すなわち、一方向の送信のみが可能となっている。
【0047】
(リール基板11)
リール基板11には、左リール31L、中リール31C及び右リール31Rを駆動するためのステッピングモータ(図示せず)が接続されている。各ステッピングモータは、さらに、これらのリール31L、31C及び31Rの回転軸に接続されていく。これらのリール31L、31C及び31Rの動作を制御するための制御信号は、メインCPU51からリール基板11に供給されるようになっている。
【0048】
(中央表示基板12)
中央表示基板12は、例えばフロントパネル20の裏側の中央部に取り付けられる。
【0049】
中央表示基板12には、セレクタ81、1ベット・2ベットスイッチ43a、MAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)43b、スタートスイッチ(レバー)41、左ストップスイッチ(ボタン)42L、中ストップスイッチ(ボタン)42C、右ストップスイッチ(ボタン)42R、設定表示部82及び設定変更スイッチ83が接続されている。
【0050】
セレクタ81は、メダル投入口23から投入されたメダルが正規のものであるか識別し、不正なメダルを排除するように構成されている。設定表示部82は、フロントパネル20の裏側から見えるように配置されており、確率や払い出しに関する設定(例えば、設定1〜設定6)等が表示される。設定変更スイッチ83は、確率や払い出しに関する設定等を変更する際に操作されるスイッチである。
【0051】
(電源装置基板13)
電源装置基板13には、設定変更有効化スイッチ91、電源スイッチ92、ホッパ装置93及び電源装置94が接続されている。
【0052】
設定変更有効化スイッチ91は、設定変更スイッチ83を用いた設定の変更を可能な状態にする際に操作するスイッチである。すなわち、設定変更有効化スイッチ91がオンの状態になっているときに限り、設定変更スイッチ83を用いた設定の変更が可能になる。電源スイッチ92は、電源装置94のオン/オフを切り替えるためのスイッチである。ホッパ装置93は、メダルの貯蔵及び払い出しを行う装置であり、電源装置基板13を介したメインCPU51からの指示に基づいて、予め貯蔵しておいたメダルから所定枚数のメダルをメダル払出口90に払い出すようになっている。
【0053】
(第1ICタグリーダ231及び第2ICタグリーダ901)
第1ICタグリーダ231及び第2ICタグリーダ901には、CPU、RAM、ROM、アンテナ、通信インタフェースといった通常のICタグリーダと同様のハードウェアが設けられている。
【0054】
各ICタグリーダは、通常のICタグリーダと同様の機能を備える。すなわち、各ICタグリーダのCPUは、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行機能を備え、各ICタグリーダのROMに記憶されているプログラム及びデータ等を読み出して解釈・実行することで、ICタグ読取機能などを実現する。
【0055】
例えば、第1ICタグリーダ231のCPUは、メダル投入口23に投入されたメダルに対してICタグの識別情報(タグ情報)の読み取りを試み、識別情報を読み取ることができた場合、サブ制御基板60に送信する。サブ制御基板60のサブCPU61は、メダル管理処理として、例えば、メダルが投入されたにもかかわらず、第1ICタグリーダ231が識別情報を読み取ることができなかった場合、又は、第1ICタグリーダ231から送信された識別情報が予め登録した正規の識別情報でなかった場合などに、不正なメダルが投入されたと判断し、該メダルをリジェクトしたり、アラームを鳴らしたりする。
【0056】
各ICタグリーダのROMには、ICタグ読取機能等の実現に必要なソフトウェアプログラム及びデータ等が記憶されている。また、各ICタグリーダのRAMは、各CPUがICタグ読取機能等を実現する時に用いられ、データ等を一時的に記憶可能に構成されている。
【0057】
次に、本実施形態で使用するメダル100について説明する。
【0058】
図3(a)はメダル100の概略斜視図、図3(b)及び(c)は側面図、図3(d)は上面図である。図に示すように、メダル100は円板状(薄い円柱状)のメダルであり、金属材料から成る第1層110、樹脂材料から成る第2層120、金属材料から成る第3層130を備える3層構造で構成されている。また、第1層110及び第3層130の略中央には第2層120の樹脂材料の一部が露出している。
【0059】
メダル100の直径は、従来遊技媒体として使用されている金属メダルと同様、約2cm〜3cmであり、厚さは約1.5〜2.0mmである。また、第1層110及び第3層130の厚さは約0.1mm〜0.2mm、第2層120の厚さは約1.1mm〜1.8mmである。
【0060】
第1層110及び第3層130の金属材料としては、鉄、アルミ、洋白、ステンレス、ゴールド、ニッケル等、従来の金属メダルに用いられている種々の材質から選択することができる。第1層110及び第3層130の金属材料は同じ材料であってもよく、また異なっていてもよい。
【0061】
一方、第2層120の樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など種々の周知の樹脂から選択することができ、例えばシリコン樹脂などを用いることが考えられる。
【0062】
以下、図4のフローチャートや図5等を参照して、メダル100の製造方法について説明する。なお、本明細書において、フローチャート等に示す各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0063】
まず、図5(a)に示すような、金属材料から成り、略中央に貫通穴140を有する円形部111と、該円形部111の円周を略均等にN(N≧3)分割する位置から突出するN個の爪部112とを備える遊技媒体面部113を複数作成する(S100)。図5(a)は、N=6の場合(爪部が6つある態様)を示している。
【0064】
円形部111は、従来の遊技媒体用金属メダルと同様の約2.0cm〜3.0cmの直径を有し、厚さは約0.1mm〜0.3mmである。円形部111の略中央には、貫通穴140が形成されており、その直径は円形部111の直径の約1/3程度、0.7cm〜1.0cmである。
【0065】
爪部112は、円形部111と一体的に縁部から径方向に突出して形成されている。爪部112は、幅約2mm、長さ(突出量)約5mmの略長方形状であり(ただし、R加工によって角取りがされていてよい)、厚さは円形部111同様、約0.1mm〜0.3mmである。
【0066】
なお、このような貫通穴140を有する円形部111及び爪部112を備える遊技媒体面部113は、プレス加工等の従来技術を用いて作成することができる。
【0067】
次に、前記作成した各遊技媒体面部113について、各爪部112を根元において山折りし、更に、前記山折りした爪部112が、少なくとも円形部111の径方向に略並行に伸びる部位114と法線方向に伸びる部位115とを含み、山折りの頂点116より先の部位が山折りの頂点116より内側となるように、折り曲げる(S101)。
【0068】
図6に、S101の折り曲げる工程の具体例を模式的に示す。まず、S100の工程によって作成された遊技媒体面部113(図6(a))について、その突出する爪部112を根元付近を頂点として略180度山折りする(図6(b))。次に、前記突出する爪部の根元から距離L1の箇所を頂点として略90度谷折りする(図6(c))。距離L1は、例えば爪部112の長さの約1/3とすることが考えられる。次に、前記突出する爪部の根元から距離L2(>L1)の箇所を頂点として略90度山折りする(図6(d))。この場合、図に示すように、略90度谷折りの頂点と略90度山折りの頂点との間の距離は(L2−L1)となる。距離L2は、例えば爪部112の長さの約2/3とすることが考えられる。なお、略180度山折り、略90度谷折り、略90度山折りの各工程の順序は、設計に応じて変更することができる。
【0069】
図5(b)に、折り曲げ工程後の遊技媒体面部113の断面図を示す。略90度山折りの頂点を118とすると、頂点117と頂点118の間の部分が、円形部111の法線方向に伸びる部位115に相当する。また頂点116と頂点117の間の部分、及び、頂点118より先の部分が、円形部111の径方向に略並行に伸びる部位114に相当する。また、このように折り曲げた場合、爪部112は、頂点116より先の部位が頂点116より内側となるように構成される。
【0070】
なお、本実施形態では、略180度山折り、略90度谷折り、略90度山折りを組み合わせて折り曲げることで、略180度山折りの頂点116より先の部位が該頂点116より内側となるように構成しているが、折り曲げ角度の組み合わせや折り曲げ位置を適宜調整することで、他の折り曲げパターンによっても、略180度山折りの頂点116より先の部位が頂点116より内側となるように構成することが可能である。図7に他の折り曲げパターンの例を示す。
【0071】
次に、図5(c)に示すように、折り曲げ加工した2つの遊技媒体面部113を爪部112が対向するように同心配置し、両遊技媒体面部113の間にICタグ101及び非硬化状態の樹脂材料121を、樹脂材料121がICタグ101を包含した状態となるように挿入する(S102)。
【0072】
ICタグ101は、ICチップ及びアンテナを備えており、ICチップ内部のメモリにはタグ自身の識別情報を記憶している。ICタグ101は、ICタグリーダから送信されアンテナを介して受信した信号の電力が所定値以上となる場合に、その信号により電力が供給されて起動し、メモリに記憶された自身の識別情報を含んだタグ情報をアンテナを介して送信するように構成されている。このようなICタグ101としては、従来のICタグを用いることができる。
【0073】
ICタグ101及び非硬化状態の樹脂材料121を、樹脂材料121がICタグ101を包含した状態となるように挿入する方法としては、例えば、流動性が比較的低い非硬化状態の樹脂材料121をシート状又は塊状に準備し、これにICタグ101を略中央に配されるように埋め込み、かかるICタグ101を埋め込んだ樹脂材料121を両遊技媒体面部113の間に挿入する方法や、メダル形成用金型内に同心配置した両遊技媒体面部113の間に、流動性が比較的高い非硬化状態の樹脂材料121を、最終的な挿入量の半分程度挿入し、その上の略中央にICタグ101を載せ、その後、樹脂材料121の残りの量を挿入する方法などを考えることができる。
【0074】
次に、図5(d)に示すように、樹脂材料121を間に挟んだ状態の前記2つの遊技媒体面部113に対し、相互に接近する方向(図の矢印方向)へ圧力を加えて円形部111の貫通穴140に樹脂材料121を充填させながら、樹脂材料121を硬化させる(S103)。貫通穴140への樹脂材料121の充填は、2つの遊技媒体面部113が相互に接近することで自然に行われる。また、樹脂材料121の硬化は、樹脂材料121が熱可塑性樹脂であれば冷却によって、樹脂材料121が熱硬化性樹脂であれば加熱することによって行う。
【0075】
次に、樹脂材料121が硬化した後、円形部111の貫通穴140からはみ出した樹脂材料121を削って、円形部111の表面に対して面一にする(S104)。メダル100の側面において円形部111よりも外に樹脂材料121がはみ出している(いわゆるバリが生じている)場合、従来技術を用いてバリ取りを行うことが望ましい。これにより、本実施形態のメダル100が得られる。
【0076】
図8に、上記工程によって製造したメダル100の断面図を示す。図8(a)は、図3(b)のA−Aに沿った断面図、図8(b)は、図3(c)のB−Bに沿った断面図である。
【0077】
本実施形態の方法により製造したメダル100は、3層構造のうち第2層120が樹脂により形成されているため、同じサイズ(直径、厚さ)の1層構造の金属製の遊技媒体に比較して、軽量化を図ることができ、大量に運搬する際の遊技者や管理者の身体的負担を大きく軽減することができる。
【0078】
また、3層構造のうち第1層110及び第3層130が金属材料により形成されているため、媒体表面の導電性等をチェックして真偽を判断する構成の遊技機などにおいても使用でき、また耐磨耗性にも優れている。
【0079】
更に、第1層110(第3層130)の爪部112が第2層120の樹脂材料121に組み込まれることで第1層110(第3層130)と第2層120の接着状態が保たれるため、接着剤を使用する必要なく、金属/樹脂/金属という異なる材質どうしが隣接する3層構造を形成することができる。その結果、接着剤中の揮発性物質などによる環境汚染や化学物質アレルギー等を防止することができる。
【0080】
また、樹脂材料121に組み込まれる爪部112について、少なくとも円形部111の径方向に略並行に伸びる部位114と法線方向に伸びる部位115とを含み、山折りの頂点116より先の部位が山折りの頂点116より内側となるように、折り曲げ加工しているため、メダル100の完成時に爪部112が円形部111よりも外にはみ出してしまうことを防ぎつつ、部位114によってメダル100の法線方向に対する剥離抵抗を高めるとともに、部位115によってメダル100の径方向に対する剥離抵抗を高めることができる。
【0081】
また、スロットマシン10に設けたICタグリーダ231、901によって、メダル100の第2層120(樹脂層)に埋め込まれたICタグ101の識別情報を取得することで、該識別情報を利用したメダル管理処理を実施することができる。
【0082】
特に、本実施形態のメダル100は、円形部111に貫通穴140を形成し、該貫通穴140に第2層120の樹脂材料121が充填されるようにして3層構造を構成しているため、第2層120に埋め込まれたICタグ101は、貫通穴140に充填された樹脂材料121を介することで、金属層(第1層110、第3層130)を介さずにICタグリーダからの信号を受けることができる。これにより、金属層を介して信号を送受する場合に起こる読取エラー(金属層に磁界を与えると、その表面に渦電流が生じ、これによって、与えられた磁界が打ち消されて、ICタグが動作できないなど)を抑制することができる。
【0083】
また、メダル100は、樹脂材料充填済み貫通穴140のある略中央付近では実質、樹脂層だけの一層となるため、貫通穴140を形成せずに3層構造とした場合に比べて、略中央付近における樹脂層の厚みをより厚くすることができ、その結果、ICタグ101を埋め込む樹脂層が薄い場合に生じるおそれのある成形不良を防止することができる。
【0084】
なお、本実施形態の製造方法の一部又は全部は、コンピュータによる制御のもと、従来の金属加工装置、樹脂加工装置などを用いて実施することが可能である。
【0085】
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の遊技媒体の製造方法及び遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した構成も、本発明の範囲に含まれる。
【0086】
例えば、上記実施形態では、メダル100の形状を円形とし、そのサイズ(直径、厚さ)や各層の厚み、材質などについて具体例を挙げて説明しているが、これらは例示に過ぎず、遊技媒体の形状、サイズ、各層の厚み、材質などは、設計に応じて自由に選択可能である。
【0087】
また上記実施形態では、爪部112について山折り/谷折り/山折りの3箇所で折り曲げているが、頂点116より先の爪部部分が頂点116より内側となっていれば4箇所以上で折り曲げる構成としてもよい。
【0088】
また上記実施形態では、一つの遊技媒体面部113につき6つの爪部112を備える構成としているが、爪部112の数は必ずしも6つに限定されず、設計に応じて種々の数を採用し得る。ただし、最低でも一つの遊技媒体面部113につき3以上の爪部112を備えることが望ましい。2つ以下の爪部112しかない場合、爪部112メダル100の特定の径方向に対して剥離抵抗を十分に確保できない可能性があるからである。
【0089】
また上記実施形態ではメダル100の表面加工については省略しているが、設計に応じて3層の接着前又は接着後にエンボス等の表面加工を行ってもよい。
【0090】
また上記実施形態では、本発明の遊技媒体を受け付け可能な遊技機としてスロットマシンを例に説明しているが、メダルゲームなどの他の遊技機において本発明の遊技媒体を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施形態に係るスロットマシンの正面図である。
【図2】本実施形態に係るスロットマシンのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態で使用するメダル100の概略斜視図、側面図及び上面図である。
【図4】本実施形態に係るメダル100の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るメダル100の製造方法を説明する図である。
【図6】本実施形態に係る爪部112の折り曲げ工程を説明する図である。
【図7】爪部112の折り曲げパターンの他の例を示す図である。
【図8】本実施形態で使用するメダル100の断面図である。
【符号の説明】
【0092】
10 スロットマシン
21 表示窓
31 リール
31L 左リール
31C 中リール
31R 右リール
40 演出表示装置
50 メイン制御基板
51 メインCPU
52、62 ROM
53、63 RAM
54、69 I/F回路
60 サブ制御基板
100 メダル
101 ICタグ
110 第1層
111 円形部
112 爪部
113 遊技媒体面部
114 貫通穴
120 第2層
121 樹脂材料
130 第3層
231 第1ICタグリーダ
901 第2ICタグリーダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン等の遊技機において使用されるメダル等の遊技媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スロットマシン等の遊技機では、メダル等の遊技媒体として、金属製の円板(薄い円柱)状のものが使用されている。このような金属メダルは通常、プレス加工により製造され、1層構造となっている場合が多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
遊戯施設では、遊技者が景品交換等のために、また管理者が払い出し用に配備するために、金属メダルを運搬する状況が想定される。このような状況において大量の金属メダルを運搬する場合、個々の金属メダルの重量はそれほど大きくなくても全体として相当の重量となるため、遊技者や管理者に大きな身体的負担がかかっていた。
【0004】
ここで、遊技媒体の材質を樹脂にすれば媒体自体を軽量化することができるが、遊技機によっては媒体表面の導電性等をチェックして真偽を判断する機能を備えているものもあり、単純に樹脂材料で遊技媒体を製造した場合、上記のような機能を備えた遊技機では使用することができないという問題が生じる。また、樹脂材料により遊技媒体を製造した場合、装置内などで被る摩擦のために媒体表面が破損し易いという問題もある。
【0005】
本発明の発明者は、上記問題を検討した結果、遊技媒体を金属層/樹脂層/金属層の3層構造とすることで、表面材質に関して従来との互換性や耐摩耗性を確保しつつ、遊技媒体の軽量化を図ることができると考えるに至った。
【0006】
ここで、本発明の発明者は、3層構造とした遊技媒体の樹脂層にICタグを埋め込むことで、遊技機でICタグに記憶される情報を読み取って、遊技媒体の管理や遊技自体の制御に利用することができると考え、そのような遊技媒体の製造方法を検討したところ、ICタグを埋め込む樹脂層の厚みが十分でない場合、遊技媒体を製造する際に成形不良が起こり易いという新たな問題が生じることがわかった。
【0007】
そこで、本発明は、金属層/樹脂層/金属層の3層構造とすることで軽量化を図りつつ、樹脂層の厚みを確保して適切にICタグを埋め込むことができる遊戯媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の遊技媒体の製造方法は、金属材料から成り、略中央に貫通穴を有する円形部と、該円形部の円周を略均等にN(N≧3)分割する位置から突出するN個の爪部とを備える遊技媒体面部を複数作成する工程と、前記突出する爪部を山折りし、更に、前記山折りした爪部が、少なくとも前記円形部の径方向に略並行に伸びる部位と法線方向に伸びる部位とを含み、前記山折りの頂点より先の部位が前記山折りの頂点より内側となるように、折り曲げる工程と、前記折り曲げる工程の後、2つの前記遊技媒体面部を前記爪部が対向するように同心配置し、両遊技媒体面部間にICタグ及び非硬化状態の樹脂材料を、前記樹脂材料が前記ICタグを包含した状態となるように挿入する工程と、前記2つの前記遊技媒体面部に相互に接近する方向へ圧力を加えて前記円形部の貫通穴に前記樹脂材料を充填させながら、前記樹脂材料を硬化させる工程と、前記円形部の貫通穴からはみ出した前記樹脂材料を削って面一にする工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
好適には、前記折り曲げる工程は、前記突出する爪部の根元付近を頂点として略180度山折りする工程と、前記突出する爪部の根元から距離L1の箇所を頂点として略90度谷折りする工程と、前記突出する爪部の根元から距離L2(>L1)の箇所を頂点として略90度山折りする工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の遊技機は、本発明の製造方法により製造される遊技媒体を受け付け可能に構成されており、前記ICタグに記憶される情報を読み取り可能なICタグリーダを備えることを特徴とする。
【0011】
ここで「遊技機」に限定は無いが、例えば回動式遊技機(以下、「スロットマシン」という。)、ぱちんこ機(第一種ぱちんこ機、第二種ぱちんこ機を含む)等を含む。
【0012】
本発明の製造方法の一部又は全部の工程は、コンピュータによる制御のもと実施することができるが、そのためのコンピュータプログラムは、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリ及び通信ネットワークなどの各種の媒体を通じてコンピュータのメモリにインストールまたはロードすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属層/樹脂層/金属層の3層構造とすることで軽量化を図りつつ、樹脂層の厚みを確保して適切にICタグを埋め込むことができる遊戯媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態として、遊技場等に設置される遊技機(スロットマシン)について説明する。本スロットマシンでは、遊技媒体として円板状のメダルが使用される。なお、以下の実施形態は本発明の適応例に過ぎず、本発明は実施形態に限定されず種々に変更して適用することが可能である。
【0015】
まず筐体構成から説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシンの外観を示す正面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係るスロットマシン10の筐体の前面部は、開閉自在にフロントパネル20が取り付けられている。フロントパネル20の上部に表示機能を有する演出表示装置40が設けられた表示領域となっており、中央部に操作部が設けられている。
【0018】
筐体上部には、表示機能を有する演出表示装置40が設けられている。演出表示装置40は、例えば液晶パネルを含んで構成されており、種々の演出のための画像や遊技に必要な情報を表示領域に表示可能に構成されている。演出表示装置40には、1つの透明な表示窓21が設けられている。表示窓21の領域には、画像を表示するための液晶や液晶を構成する部材(偏光板など)や液晶を制御する回路などが設けられておらず、光を透過するようになっており、物理的に画像表示できない領域となっている。
【0019】
筐体内部であって表示窓21を通して視認可能な位置には、3つのリール(回胴)が配置されている。正面から見て左側から、左リール31L、中リール31C、右リール31Rの順番で配置されている。
【0020】
リール31L、31C及び31Rは、リング状の中空構造に成形されている。リールの外周は、外周面に貼られるリールテープの幅に成形されており、外周面にはリールテープ上に印刷される図柄の形状に合わせて開口が複数設けられている。リールの内部は中空になっており、外周面から延びるフレームで回転軸が支持されている。
【0021】
リールの外周面には入賞図柄(入賞役を構成する図柄)を印刷したリールテープが各々貼られている。それぞれのリールテープには、例えば21個の図柄が等間隔で配列されて印刷されている。図柄の配列は、リールテープごとに異なるようになっている。リールテープの図柄が、リールの外周面に設けられた開口に対応するようになっている。表示窓21からは、この表示窓を通してリール31L、31C及び31Rが観察されるようになっており、各リール外周面の上下方向で連続する3つの図柄が見えるように表示窓21の大きさが設定されている。図1では、リール群31(リール31L、31C及び31Rのまとまりを意味する)上に示された円が、一つの図柄を示している。
【0022】
リール31L、31C及び31Rのそれぞれの回転軸には、ステッピングモータ(図示せず)が各々連結されている。このステッピングモータは、リール31L、31C及び31Rを任意の速度で回転させたり、任意の角度(位置)で停止させたりすることが可能になっている。各リールが回転する場合には、リール31L、31C及び31Rの図柄が表示窓21内で上下に移動しているように視認されるようになっている。
【0023】
リール31L、31C及び31Rの内側には、バックランプ(図示せず)が設けられている。バックランプはリールごとに3個ずつ配置されており、リールが停止した時に表示窓21から見える総計で9個の図柄に対して、リール外周面の開口を通して光を照射するようになっている。
【0024】
図1に示す表示窓21上の破線は、有効ライン22a、22b及び22cからなる有効ライン群22を示すものである。有効ライン群22は、水平方向の中段の有効ライン22aと、水平方向の上段及び下段の2本の有効ライン22bと、右下がり及び左下がりの斜め方向の2本の有効ライン22cとから構成されている。そして、リール31L、31C及び31Rに付された図柄は、リール31L、31C及び31Rが停止した時に、表示窓21から見える9個の図柄が全てこれらの有効ライン群22上に位置するような間隔で配置されている。
【0025】
スロットマシン10の筐体の中央部において、演出表示装置40の右下側に当たる位置には、メダル投入口23が設けられており、メダル投入口23の近傍の筐体内部には、第1ICタグリーダ231(図示せず)が設けられている。
【0026】
メダル投入口23からメダルが投入されると、投入されたメダル枚数に応じて有効ライン22a、22b及び22cの1ライン乃至5ラインが有効になるように構成されている。すなわち、投入した枚数のメダルが掛け金として徴収される。投入されたメダルが1枚の場合には1つの有効ライン22aが有効になり、2枚のときは水平方向の3つの有効ライン22a及び22bが有効になり、3枚のときはさらに加えて斜め方向の2つの有効ライン22cを含む総計で5つの有効ライン22a〜22cが有効になる。これらの制御は、後述のメインCPU(中央演算装置)51(図2参照)により行われる。例えば、3枚のメダルが投入されている場合には、リール31L、31C及び31Rが停止した時に、少なくとも1つの有効ライン22a〜22cに特定の図柄の組み合わせが停止していれば、その組み合わせに応じた役に入賞したこととなる。
【0027】
また筐体の中央部には、遊技者によって操作される各種の操作スイッチが設けられている。例えば、本実施形態では、スタートスイッチ41、ストップスイッチ群42及びベットスイッチ群43が設けられている。
【0028】
スタートスイッチ41は、リール31L、31C及び31Rの回転をスタートさせるときに遊技者が操作するスイッチ、例えばボタンである。ストップスイッチ群42は、左リール31Lを停止させるときに操作する左ストップスイッチ42Lと、中リール31Cを停止させるときに操作する中ストップスイッチ42Cと、右リール31Rを停止させるときに操作する右ストップスイッチ42Rとから構成されている。これらのストップスイッチ42L、42C及び42Rは、例えばボタンとして並設されている。
【0029】
ベットスイッチ群43は、遊技者がクレジット内のメダルを投入する際にベット数(賭数)を指定するスイッチ群であり、1ベット・2ベットスイッチ43a及びMAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)43bから構成されている。これらのベットスイッチ43a及び43bも、例えばボタンとして配置されている。1ベット・2ベットスイッチ43aが操作されると、1枚又は2枚のメダルがベットされ(ゲームの掛け額として徴収され)、MAXベットスイッチ43bが操作されると、最大ベット数である3枚のメダルがベットされる。すなわち、ベットスイッチ群43の操作で指定されるベット数が、クレジットとなっているメダル数から徴収され、クレジットがベット数だけ減算される。
【0030】
さらに、筐体の下部の中央部には、メダル払出口90が設けられており、メダル払出口90の近傍の筐体内部には、第2ICタグリーダ901(図示せず)が設けられている。
【0031】
また、メダル払出口90の両側には、スピーカ71が設けられている。遊技(ゲーム)中には、種々の演出、例えばバックランプの点灯、演出表示装置40を用いた画像表示及びスピーカ71からの音声の出力等が行われる。さらに、このような演出として、入賞可能性の告知演出が行われることもある。
【0032】
これらの構成を有するスロットマシンにおいて実施される通常遊技の概要を簡単に説明する。スロットマシン10において、遊技者がメダル投入口23からメダルを投入するか、ベットスイッチ群43を操作すると、有効ライン22a〜22cがベット数に応じて有効化される。
【0033】
ベット数を指定した遊技者がスタートスイッチ41を操作すると、ベット数に応じた役の抽選が行われると共に、リール31L、31C及び31Rが回転し始める。そして、遊技者がストップスイッチ42L、42C及び42Rを操作すると、操作されたボタンに応じてリール31L、31C及び31Rの回転が停止する。このとき、スタートスイッチ41の操作と同時に行われている役の抽選結果が当選であった場合には、有効化されている有効ライン群22上に並ぶ図柄の組み合わせが、予め定められた何らかの役の図柄の組み合わせに一致するようにリールが停止制御され、その入賞役に応じたメダルの払い出し等が行われる。
【0034】
次に、スロットマシン10の内部構成等のシステム構成について説明する。
【0035】
図2は、本発明の実施形態に係るスロットマシン10のシステム構成を示すブロック図である。スロットマシン10の筐体内部には、メイン制御基板50、並びにこのメイン制御基板50に接続されたサブ制御基板60、リール基板11、中央表示基板12、電源装置基板13、第1ICタグリーダ231及び第2ICタグリーダ901が配置されている。
【0036】
(メイン制御基板50)
メイン制御基板50には、メインCPU51、ROM52、RAM53及びインタフェース回路(I/F回路)54が設けられており、これらはバス55を介して互いに接続されている。
【0037】
メインCPU51は、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、メインCPU51は、ROM52に記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、これらに基づいてスロットマシン10全体の制御を行う。
【0038】
ROM52には、メインCPU51に、操作に基づく抽選処理及びその他の遊技の制御に必要なソフトウェアプログラム及びデータ等が記憶されている。また、RAM53は、メインCPU51が各種の制御を行う時に用いられ、データ等を一時的に記憶可能に構成されている。
【0039】
I/F回路54は、メイン制御基板50と、サブ制御基板60、リール基板11、中央表示基板12及び電源装置基板13との間で行われる信号の送受信の際に、タイミングの制御等を行うようになっている。但し、メイン制御基板50とサブ制御基板60との間では、メイン制御基板50からサブ制御基板60への信号の送信は行われるが、サブ制御基板60からメイン制御基板50への信号の送信は行われないように構成されている。
【0040】
(サブ制御基板60)
サブ制御基板60には、サブCPU61、ROM62、RAM63、画像制御プロセッサ64、画像データROM65、ビデオRAM66、音源回路67、アンプ68及びインタフェース回路(I/F回路)69が設けられている。サブCPU61、ROM62、制御用RAM63、画像制御プロセッサ64、音源回路67及びI/F回路69はバス70を介して互いに接続されている。また、画像データROM65及びビデオRAM66は画像制御プロセッサ64に接続され、アンプ68は音源回路67に接続されている。
【0041】
サブCPU61は、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、サブCPU61は、ROM62に記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、サブ制御基板60全体の制御処理、特に遊技者に対する演出の制御処理を行うとともに、本発明に基づくメダル100内のICタグ101の識別情報を第1ICタグリーダ231及び第2ICタグリーダ901を介して取得し、メダル管理処理等を行うようになっている。なお、サブCPU61の処理能力や開発言語等には、何らの制約もない。
【0042】
ROM62には、サブCPU61に、遊技中の演出やメダル管理処理等に必要なソフトウェアプログラム及びデータ等が記憶されている。また、RAM63は、サブCPU61が各種の制御を行う時に用いられ、データ等を一時的に記憶可能に構成されている。
【0043】
これらのサブCPU61、ROM62及びRAM63は、夫々メイン制御基板50に設けられたメインCPU51、ROM52及びRAM53と同様の機能を有するものである。なお、ROM62及びRAM63は、夫々ROM52及びRAM53と同一のものを用いてもよいが、これらよりも容量の大きいものを用いてもよい。
【0044】
画像データROM65には、演出表示装置40に表示されるキャラクタ、文字及び背景等の画像データを生成するための元画像データが記憶されている。また、ビデオRAM66は、画像制御プロセッサ64が演出表示装置40に表示しようとする画像データを生成する時に用いられ、画像データROM65から読み出した元画像データ等に基づき生成された画像データがフレーム画像データとしてビデオRAM66に展開されるようになっている。演出表示装置40は、ビデオRAM66に記憶されたフレーム画像データを表示可能にサブ制御基板60に接続されている。
【0045】
サブ制御基板60には、さらにスピーカ71、上述のバックランプ等が設けられている。スピーカ71はアンプ68に接続されている。これらの演出用周辺機器は、遊技中の演出(役の当選可能性の告知演出等)の出力を行うものであり、サブ制御基板60にのみ接続されており、メイン制御基板50には接続されていない。
【0046】
I/F回路69は、メイン制御基板50からの信号の受信の際に、タイミングの制御等を行う。なお、上述のように、メイン制御基板50からサブ制御基板60への信号の送信は行われるが、サブ制御基板60からメイン制御基板50への信号の送信は行われない。すなわち、一方向の送信のみが可能となっている。
【0047】
(リール基板11)
リール基板11には、左リール31L、中リール31C及び右リール31Rを駆動するためのステッピングモータ(図示せず)が接続されている。各ステッピングモータは、さらに、これらのリール31L、31C及び31Rの回転軸に接続されていく。これらのリール31L、31C及び31Rの動作を制御するための制御信号は、メインCPU51からリール基板11に供給されるようになっている。
【0048】
(中央表示基板12)
中央表示基板12は、例えばフロントパネル20の裏側の中央部に取り付けられる。
【0049】
中央表示基板12には、セレクタ81、1ベット・2ベットスイッチ43a、MAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)43b、スタートスイッチ(レバー)41、左ストップスイッチ(ボタン)42L、中ストップスイッチ(ボタン)42C、右ストップスイッチ(ボタン)42R、設定表示部82及び設定変更スイッチ83が接続されている。
【0050】
セレクタ81は、メダル投入口23から投入されたメダルが正規のものであるか識別し、不正なメダルを排除するように構成されている。設定表示部82は、フロントパネル20の裏側から見えるように配置されており、確率や払い出しに関する設定(例えば、設定1〜設定6)等が表示される。設定変更スイッチ83は、確率や払い出しに関する設定等を変更する際に操作されるスイッチである。
【0051】
(電源装置基板13)
電源装置基板13には、設定変更有効化スイッチ91、電源スイッチ92、ホッパ装置93及び電源装置94が接続されている。
【0052】
設定変更有効化スイッチ91は、設定変更スイッチ83を用いた設定の変更を可能な状態にする際に操作するスイッチである。すなわち、設定変更有効化スイッチ91がオンの状態になっているときに限り、設定変更スイッチ83を用いた設定の変更が可能になる。電源スイッチ92は、電源装置94のオン/オフを切り替えるためのスイッチである。ホッパ装置93は、メダルの貯蔵及び払い出しを行う装置であり、電源装置基板13を介したメインCPU51からの指示に基づいて、予め貯蔵しておいたメダルから所定枚数のメダルをメダル払出口90に払い出すようになっている。
【0053】
(第1ICタグリーダ231及び第2ICタグリーダ901)
第1ICタグリーダ231及び第2ICタグリーダ901には、CPU、RAM、ROM、アンテナ、通信インタフェースといった通常のICタグリーダと同様のハードウェアが設けられている。
【0054】
各ICタグリーダは、通常のICタグリーダと同様の機能を備える。すなわち、各ICタグリーダのCPUは、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行機能を備え、各ICタグリーダのROMに記憶されているプログラム及びデータ等を読み出して解釈・実行することで、ICタグ読取機能などを実現する。
【0055】
例えば、第1ICタグリーダ231のCPUは、メダル投入口23に投入されたメダルに対してICタグの識別情報(タグ情報)の読み取りを試み、識別情報を読み取ることができた場合、サブ制御基板60に送信する。サブ制御基板60のサブCPU61は、メダル管理処理として、例えば、メダルが投入されたにもかかわらず、第1ICタグリーダ231が識別情報を読み取ることができなかった場合、又は、第1ICタグリーダ231から送信された識別情報が予め登録した正規の識別情報でなかった場合などに、不正なメダルが投入されたと判断し、該メダルをリジェクトしたり、アラームを鳴らしたりする。
【0056】
各ICタグリーダのROMには、ICタグ読取機能等の実現に必要なソフトウェアプログラム及びデータ等が記憶されている。また、各ICタグリーダのRAMは、各CPUがICタグ読取機能等を実現する時に用いられ、データ等を一時的に記憶可能に構成されている。
【0057】
次に、本実施形態で使用するメダル100について説明する。
【0058】
図3(a)はメダル100の概略斜視図、図3(b)及び(c)は側面図、図3(d)は上面図である。図に示すように、メダル100は円板状(薄い円柱状)のメダルであり、金属材料から成る第1層110、樹脂材料から成る第2層120、金属材料から成る第3層130を備える3層構造で構成されている。また、第1層110及び第3層130の略中央には第2層120の樹脂材料の一部が露出している。
【0059】
メダル100の直径は、従来遊技媒体として使用されている金属メダルと同様、約2cm〜3cmであり、厚さは約1.5〜2.0mmである。また、第1層110及び第3層130の厚さは約0.1mm〜0.2mm、第2層120の厚さは約1.1mm〜1.8mmである。
【0060】
第1層110及び第3層130の金属材料としては、鉄、アルミ、洋白、ステンレス、ゴールド、ニッケル等、従来の金属メダルに用いられている種々の材質から選択することができる。第1層110及び第3層130の金属材料は同じ材料であってもよく、また異なっていてもよい。
【0061】
一方、第2層120の樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など種々の周知の樹脂から選択することができ、例えばシリコン樹脂などを用いることが考えられる。
【0062】
以下、図4のフローチャートや図5等を参照して、メダル100の製造方法について説明する。なお、本明細書において、フローチャート等に示す各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0063】
まず、図5(a)に示すような、金属材料から成り、略中央に貫通穴140を有する円形部111と、該円形部111の円周を略均等にN(N≧3)分割する位置から突出するN個の爪部112とを備える遊技媒体面部113を複数作成する(S100)。図5(a)は、N=6の場合(爪部が6つある態様)を示している。
【0064】
円形部111は、従来の遊技媒体用金属メダルと同様の約2.0cm〜3.0cmの直径を有し、厚さは約0.1mm〜0.3mmである。円形部111の略中央には、貫通穴140が形成されており、その直径は円形部111の直径の約1/3程度、0.7cm〜1.0cmである。
【0065】
爪部112は、円形部111と一体的に縁部から径方向に突出して形成されている。爪部112は、幅約2mm、長さ(突出量)約5mmの略長方形状であり(ただし、R加工によって角取りがされていてよい)、厚さは円形部111同様、約0.1mm〜0.3mmである。
【0066】
なお、このような貫通穴140を有する円形部111及び爪部112を備える遊技媒体面部113は、プレス加工等の従来技術を用いて作成することができる。
【0067】
次に、前記作成した各遊技媒体面部113について、各爪部112を根元において山折りし、更に、前記山折りした爪部112が、少なくとも円形部111の径方向に略並行に伸びる部位114と法線方向に伸びる部位115とを含み、山折りの頂点116より先の部位が山折りの頂点116より内側となるように、折り曲げる(S101)。
【0068】
図6に、S101の折り曲げる工程の具体例を模式的に示す。まず、S100の工程によって作成された遊技媒体面部113(図6(a))について、その突出する爪部112を根元付近を頂点として略180度山折りする(図6(b))。次に、前記突出する爪部の根元から距離L1の箇所を頂点として略90度谷折りする(図6(c))。距離L1は、例えば爪部112の長さの約1/3とすることが考えられる。次に、前記突出する爪部の根元から距離L2(>L1)の箇所を頂点として略90度山折りする(図6(d))。この場合、図に示すように、略90度谷折りの頂点と略90度山折りの頂点との間の距離は(L2−L1)となる。距離L2は、例えば爪部112の長さの約2/3とすることが考えられる。なお、略180度山折り、略90度谷折り、略90度山折りの各工程の順序は、設計に応じて変更することができる。
【0069】
図5(b)に、折り曲げ工程後の遊技媒体面部113の断面図を示す。略90度山折りの頂点を118とすると、頂点117と頂点118の間の部分が、円形部111の法線方向に伸びる部位115に相当する。また頂点116と頂点117の間の部分、及び、頂点118より先の部分が、円形部111の径方向に略並行に伸びる部位114に相当する。また、このように折り曲げた場合、爪部112は、頂点116より先の部位が頂点116より内側となるように構成される。
【0070】
なお、本実施形態では、略180度山折り、略90度谷折り、略90度山折りを組み合わせて折り曲げることで、略180度山折りの頂点116より先の部位が該頂点116より内側となるように構成しているが、折り曲げ角度の組み合わせや折り曲げ位置を適宜調整することで、他の折り曲げパターンによっても、略180度山折りの頂点116より先の部位が頂点116より内側となるように構成することが可能である。図7に他の折り曲げパターンの例を示す。
【0071】
次に、図5(c)に示すように、折り曲げ加工した2つの遊技媒体面部113を爪部112が対向するように同心配置し、両遊技媒体面部113の間にICタグ101及び非硬化状態の樹脂材料121を、樹脂材料121がICタグ101を包含した状態となるように挿入する(S102)。
【0072】
ICタグ101は、ICチップ及びアンテナを備えており、ICチップ内部のメモリにはタグ自身の識別情報を記憶している。ICタグ101は、ICタグリーダから送信されアンテナを介して受信した信号の電力が所定値以上となる場合に、その信号により電力が供給されて起動し、メモリに記憶された自身の識別情報を含んだタグ情報をアンテナを介して送信するように構成されている。このようなICタグ101としては、従来のICタグを用いることができる。
【0073】
ICタグ101及び非硬化状態の樹脂材料121を、樹脂材料121がICタグ101を包含した状態となるように挿入する方法としては、例えば、流動性が比較的低い非硬化状態の樹脂材料121をシート状又は塊状に準備し、これにICタグ101を略中央に配されるように埋め込み、かかるICタグ101を埋め込んだ樹脂材料121を両遊技媒体面部113の間に挿入する方法や、メダル形成用金型内に同心配置した両遊技媒体面部113の間に、流動性が比較的高い非硬化状態の樹脂材料121を、最終的な挿入量の半分程度挿入し、その上の略中央にICタグ101を載せ、その後、樹脂材料121の残りの量を挿入する方法などを考えることができる。
【0074】
次に、図5(d)に示すように、樹脂材料121を間に挟んだ状態の前記2つの遊技媒体面部113に対し、相互に接近する方向(図の矢印方向)へ圧力を加えて円形部111の貫通穴140に樹脂材料121を充填させながら、樹脂材料121を硬化させる(S103)。貫通穴140への樹脂材料121の充填は、2つの遊技媒体面部113が相互に接近することで自然に行われる。また、樹脂材料121の硬化は、樹脂材料121が熱可塑性樹脂であれば冷却によって、樹脂材料121が熱硬化性樹脂であれば加熱することによって行う。
【0075】
次に、樹脂材料121が硬化した後、円形部111の貫通穴140からはみ出した樹脂材料121を削って、円形部111の表面に対して面一にする(S104)。メダル100の側面において円形部111よりも外に樹脂材料121がはみ出している(いわゆるバリが生じている)場合、従来技術を用いてバリ取りを行うことが望ましい。これにより、本実施形態のメダル100が得られる。
【0076】
図8に、上記工程によって製造したメダル100の断面図を示す。図8(a)は、図3(b)のA−Aに沿った断面図、図8(b)は、図3(c)のB−Bに沿った断面図である。
【0077】
本実施形態の方法により製造したメダル100は、3層構造のうち第2層120が樹脂により形成されているため、同じサイズ(直径、厚さ)の1層構造の金属製の遊技媒体に比較して、軽量化を図ることができ、大量に運搬する際の遊技者や管理者の身体的負担を大きく軽減することができる。
【0078】
また、3層構造のうち第1層110及び第3層130が金属材料により形成されているため、媒体表面の導電性等をチェックして真偽を判断する構成の遊技機などにおいても使用でき、また耐磨耗性にも優れている。
【0079】
更に、第1層110(第3層130)の爪部112が第2層120の樹脂材料121に組み込まれることで第1層110(第3層130)と第2層120の接着状態が保たれるため、接着剤を使用する必要なく、金属/樹脂/金属という異なる材質どうしが隣接する3層構造を形成することができる。その結果、接着剤中の揮発性物質などによる環境汚染や化学物質アレルギー等を防止することができる。
【0080】
また、樹脂材料121に組み込まれる爪部112について、少なくとも円形部111の径方向に略並行に伸びる部位114と法線方向に伸びる部位115とを含み、山折りの頂点116より先の部位が山折りの頂点116より内側となるように、折り曲げ加工しているため、メダル100の完成時に爪部112が円形部111よりも外にはみ出してしまうことを防ぎつつ、部位114によってメダル100の法線方向に対する剥離抵抗を高めるとともに、部位115によってメダル100の径方向に対する剥離抵抗を高めることができる。
【0081】
また、スロットマシン10に設けたICタグリーダ231、901によって、メダル100の第2層120(樹脂層)に埋め込まれたICタグ101の識別情報を取得することで、該識別情報を利用したメダル管理処理を実施することができる。
【0082】
特に、本実施形態のメダル100は、円形部111に貫通穴140を形成し、該貫通穴140に第2層120の樹脂材料121が充填されるようにして3層構造を構成しているため、第2層120に埋め込まれたICタグ101は、貫通穴140に充填された樹脂材料121を介することで、金属層(第1層110、第3層130)を介さずにICタグリーダからの信号を受けることができる。これにより、金属層を介して信号を送受する場合に起こる読取エラー(金属層に磁界を与えると、その表面に渦電流が生じ、これによって、与えられた磁界が打ち消されて、ICタグが動作できないなど)を抑制することができる。
【0083】
また、メダル100は、樹脂材料充填済み貫通穴140のある略中央付近では実質、樹脂層だけの一層となるため、貫通穴140を形成せずに3層構造とした場合に比べて、略中央付近における樹脂層の厚みをより厚くすることができ、その結果、ICタグ101を埋め込む樹脂層が薄い場合に生じるおそれのある成形不良を防止することができる。
【0084】
なお、本実施形態の製造方法の一部又は全部は、コンピュータによる制御のもと、従来の金属加工装置、樹脂加工装置などを用いて実施することが可能である。
【0085】
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の遊技媒体の製造方法及び遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した構成も、本発明の範囲に含まれる。
【0086】
例えば、上記実施形態では、メダル100の形状を円形とし、そのサイズ(直径、厚さ)や各層の厚み、材質などについて具体例を挙げて説明しているが、これらは例示に過ぎず、遊技媒体の形状、サイズ、各層の厚み、材質などは、設計に応じて自由に選択可能である。
【0087】
また上記実施形態では、爪部112について山折り/谷折り/山折りの3箇所で折り曲げているが、頂点116より先の爪部部分が頂点116より内側となっていれば4箇所以上で折り曲げる構成としてもよい。
【0088】
また上記実施形態では、一つの遊技媒体面部113につき6つの爪部112を備える構成としているが、爪部112の数は必ずしも6つに限定されず、設計に応じて種々の数を採用し得る。ただし、最低でも一つの遊技媒体面部113につき3以上の爪部112を備えることが望ましい。2つ以下の爪部112しかない場合、爪部112メダル100の特定の径方向に対して剥離抵抗を十分に確保できない可能性があるからである。
【0089】
また上記実施形態ではメダル100の表面加工については省略しているが、設計に応じて3層の接着前又は接着後にエンボス等の表面加工を行ってもよい。
【0090】
また上記実施形態では、本発明の遊技媒体を受け付け可能な遊技機としてスロットマシンを例に説明しているが、メダルゲームなどの他の遊技機において本発明の遊技媒体を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施形態に係るスロットマシンの正面図である。
【図2】本実施形態に係るスロットマシンのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態で使用するメダル100の概略斜視図、側面図及び上面図である。
【図4】本実施形態に係るメダル100の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るメダル100の製造方法を説明する図である。
【図6】本実施形態に係る爪部112の折り曲げ工程を説明する図である。
【図7】爪部112の折り曲げパターンの他の例を示す図である。
【図8】本実施形態で使用するメダル100の断面図である。
【符号の説明】
【0092】
10 スロットマシン
21 表示窓
31 リール
31L 左リール
31C 中リール
31R 右リール
40 演出表示装置
50 メイン制御基板
51 メインCPU
52、62 ROM
53、63 RAM
54、69 I/F回路
60 サブ制御基板
100 メダル
101 ICタグ
110 第1層
111 円形部
112 爪部
113 遊技媒体面部
114 貫通穴
120 第2層
121 樹脂材料
130 第3層
231 第1ICタグリーダ
901 第2ICタグリーダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料から成り、略中央に貫通穴を有する円形部と、該円形部の円周を略均等にN(N≧3)分割する位置から突出するN個の爪部とを備える遊技媒体面部を複数作成する工程と、
前記突出する爪部を山折りし、更に、前記山折りした爪部が、少なくとも前記円形部の径方向に略並行に伸びる部位と法線方向に伸びる部位とを含み、前記山折りの頂点より先の部位が前記山折りの頂点より内側となるように、折り曲げる工程と、
前記折り曲げる工程の後、2つの前記遊技媒体面部を前記爪部が対向するように同心配置し、両遊技媒体面部間にICタグ及び非硬化状態の樹脂材料を、前記樹脂材料が前記ICタグを包含した状態となるように挿入する工程と、
前記2つの前記遊技媒体面部に相互に接近する方向へ圧力を加えて前記円形部の貫通穴に前記樹脂材料を充填させながら、前記樹脂材料を硬化させる工程と、
前記円形部の貫通穴からはみ出した前記樹脂材料を削って面一にする工程と、
を備えることを特徴とする3層構造の遊技媒体の製造方法。
【請求項2】
前記折り曲げる工程は、
前記突出する爪部の根元付近を頂点として略180度山折りする工程と、
前記突出する爪部の根元から距離L1の箇所を頂点として略90度谷折りする工程と、
前記突出する爪部の根元から距離L2(>L1)の箇所を頂点として略90度山折りする工程と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の製造方法により製造される遊技媒体を受け付け可能に構成されており、前記ICタグに記憶される情報を読み取り可能なICタグリーダを備えることを特徴とする遊技機。
【請求項1】
金属材料から成り、略中央に貫通穴を有する円形部と、該円形部の円周を略均等にN(N≧3)分割する位置から突出するN個の爪部とを備える遊技媒体面部を複数作成する工程と、
前記突出する爪部を山折りし、更に、前記山折りした爪部が、少なくとも前記円形部の径方向に略並行に伸びる部位と法線方向に伸びる部位とを含み、前記山折りの頂点より先の部位が前記山折りの頂点より内側となるように、折り曲げる工程と、
前記折り曲げる工程の後、2つの前記遊技媒体面部を前記爪部が対向するように同心配置し、両遊技媒体面部間にICタグ及び非硬化状態の樹脂材料を、前記樹脂材料が前記ICタグを包含した状態となるように挿入する工程と、
前記2つの前記遊技媒体面部に相互に接近する方向へ圧力を加えて前記円形部の貫通穴に前記樹脂材料を充填させながら、前記樹脂材料を硬化させる工程と、
前記円形部の貫通穴からはみ出した前記樹脂材料を削って面一にする工程と、
を備えることを特徴とする3層構造の遊技媒体の製造方法。
【請求項2】
前記折り曲げる工程は、
前記突出する爪部の根元付近を頂点として略180度山折りする工程と、
前記突出する爪部の根元から距離L1の箇所を頂点として略90度谷折りする工程と、
前記突出する爪部の根元から距離L2(>L1)の箇所を頂点として略90度山折りする工程と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の製造方法により製造される遊技媒体を受け付け可能に構成されており、前記ICタグに記憶される情報を読み取り可能なICタグリーダを備えることを特徴とする遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−245724(P2008−245724A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87909(P2007−87909)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】
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