説明

遊技媒体計数装置

【課題】パチンコ玉やスロット用メダル等の遊技媒体の計数結果の伝送の信頼性を確保して不正行為を有効に防止し得るとともに、その場合であっても媒体計数の臨場感が損なわれないようにする。
【解決手段】遊技媒体数をカウントする計数手段2と、前記計数手段2によるカウント結果をそのカウント毎に出力されるパルス信号によって通知するパルス伝送手段4と、前記計数手段2によるカウント結果をそのカウント終了後に出力されるカウント値信号によって通知するシリアル伝送手段5と、前記パルス信号に基づいて前記計数手段2によるカウント結果についての表示出力を行う表示手段3aと、前記パルス伝送手段4で通知されるカウント結果と前記シリアル伝送手段5で通知されるカウント結果を比較照合し、これらが一致しなければ異常と判断する管理制御手段3fとを備えて、遊技媒体計数装置1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場で用いられるパチンコ玉やスロット用メダル等の遊技媒体の計数を行う遊技媒体計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技媒体計数装置は、計数結果を記したレシートの偽造による不正防止に対応すべく、当該レシートの発券を行うだけでなく、景品コントローラと通信で連携して管理がなされる(例えば、特許文献1参照)。つまり、遊技媒体計数装置としては、遊技媒体を計数する計数機としての部分の他に、その計数結果の発券/通信機としての部分を備えたものが一般的である。そして、計数機部分と発券/通信機部分との間では、遊技媒体の計数結果の伝送を、例えば遊技媒体の1カウント毎につき1パルスが出力されるパルス信号によって行うようになっている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、例えば図4(a)に示すように、玉/メダル計数機11での計数結果が、パルス伝送によって発券/通信機12へ通知される。なお、発券/通信機12へ通知された計数結果は、LEDパネル等の計数表示器13によって表示出力されるとともに、景品コントローラ14へ伝送されて管理されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−305484号公報
【特許文献2】特開2006−102067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の遊技媒体計数装置では、玉/メダル計数機11と発券/通信機12との間でパルス伝送が行われるので、必ずしも不正行為を有効に防止し得るとは限らない。パルス伝送では、伝送される信号の暗号化が困難で、不正な信号を入力することにより、過剰な計数値による不正計数を行い得るからである。
【0005】
これを改善するためには、例えば図4(b)に示すように、玉/メダル計数機11と発券/通信機12との間でシリアル伝送(RS232Cによる通信等)を行うことが考えられる。ただし、シリアル伝送の場合は、通信速度上の都合から、パルス伝送のように遊技媒体の1カウント毎につき1パルスが伝送されるのではなく、例えばカウント終了後にそのカウント値に相当するカウント値信号が伝送される。したがって、パルス伝送の場合のように計数表示器13が計数結果のリアルタイム表示(計数中にも表示を行うとともに当該表示が経時的に変化するような表示態様)を行うことが困難であり、計数結果に対する利用者の期待感・興趣を高める上では好適とは言えない。
【0006】
そこで、本発明は、伝送の信頼性を確保して不正行為を有効に防止し得るとともに、その場合であっても媒体計数の臨場感を高めて利用者の興趣を喚起することのできる遊技媒体計数装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために案出された遊技媒体計数装置で、遊技媒体の数をカウントする計数手段と、前記計数手段によるカウント結果を当該計数手段でのカウント毎に出力されるパルス信号によって通知するパルス伝送手段と、前記計数手段によるカウント結果を当該計数手段でのカウント終了後に出力されるカウント値信号によって通知するシリアル伝送手段と、前記パルス信号に基づいて前記計数手段によるカウント結果についての表示出力を行う表示手段と、前記パルス伝送手段で通知されるカウント結果と前記シリアル伝送手段で通知されるカウント結果を比較照合し、これらが一致しなければ異常と判断する管理制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成の遊技媒体計数装置によれば、伝送方式の異なるパルス伝送とシリアル伝送との両方を、媒体計数結果の伝送に共用している。したがって、媒体計数結果の伝送過程において不正行為があれば、伝送受信側でこれらの伝送結果が一致せずに、異常と判断されることになる。しかも、一方がパルス伝送であることから、当該パルス伝送によって通知されるパルス信号を基に表示出力を行えば、計数中にも表示を行うとともに当該表示が経時的に変化するような表示態様にて、当該表示出力を行い得るようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る遊技媒体計数装置では、パルス伝送とシリアル伝送との共用および各伝送結果の比較照合により、媒体計数結果の伝送過程において不正行為があればこれらの伝送結果が一致せずに異常と判断されるので、伝送の信頼性を確保して不正行為を有効に防止し得るようになる。また、2つの伝送方式を利用することにより、シリアル伝送単独の場合よりも伝送の信頼性をさらに増すことができる。しかも、一方がパルス伝送であることから、計数結果についての表示出力のリアルタイム性を確保することができ、媒体計数の臨場感を高めて利用者の興趣を喚起することができる。つまり、表示のリアルタイム性と不正行為防止の有効性との両立が実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明に係る遊技媒体計数装置について説明する。なお、ここでは、本発明を、遊技媒体がスロットマシンにて使用されるメダルである場合、すなわちメダルの計数を行うメダル計数装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1は、メダル計数装置の概略構成例を示す外観斜視図である。図例のように、メダル計数装置1は、大別すると、メダル計数機2と、発券/通信機3と、を備えて構成されている。
【0012】
メダル計数機2は、計数対象となるメダルが投入されるメダル投入口2aを有しており、メダル投入口2aに投入されたメダルについて、その数をカウントするものである。すなわち、メダル計数機2は、メダル数をカウントする計数手段として機能するものである。なお、メダル数のカウントの手法については、公知技術を用いて行えばよく、特に限定されるものではない。
【0013】
発券/通信機3は、メダル計数機2によるメダル数のカウント結果が通知されると、そのカウント結果についての出力をメダル計数装置1の利用者(遊技者または遊技場従業員)に対して行うものである。そのために、発券/通信機3は、カウント結果を含む各種情報を表示出力する表示手段として機能するLEDパネル等の計数表示器3aと、カウント結果が印刷された景品引換券(レシート、チケット等)を発券する発券ユニット3bと、メダル計数装置1の利用者が操作して発券等を指示するための操作手段3dと、メダル計数装置1の利用者に対するアラーム出力を行う報知手段3eと、を有している。また、発券/通信機3は、メダル計数機2によるメダル数のカウント結果について、メダル計数装置1の利用者に対する出力を行うだけでなく、当該発券/通信機3に接続する上位装置である景品コントローラ(ただし不図示)への伝送出力も行うようになっている。
【0014】
図2は、メダル計数装置の機能構成例を示すブロック図である。図例のように、メダル計数装置1では、メダル計数機2と発券/通信機3との間が、パルス伝送路4とシリアル伝送路5との両方によって接続されている。
【0015】
パルス伝送路4は、メダル計数機2によるメダル数のカウント結果をパルス信号によって発券/通信機3へ通知するものである。パルス信号は、メダル計数機2がメダル数をカウントする毎に出力される信号であり、例えば1カウント毎につき1パルスが出力される。すなわち、パルス伝送路4は、メダル計数機2によるメダル数のカウント結果を、当該メダル計数機2でのカウント毎に出力されるパルス信号によって、発券/通信機3へ通知するパルス伝送手段として機能するものである。
【0016】
このパルス伝送路4を通じて送られてくるパルス信号に基づいて、発券/通信機3では、メダル計数機2によるメダル数のカウント結果についての表示出力を、計数表示器3aを用いて行うようになっている。
【0017】
一方、シリアル伝送路5は、メダル計数機2によるメダル数のカウント結果をカウント値信号によって発券/通信機3へ通知するものである。カウント値信号は、シリアル伝送(RS232Cによる通信等)に適した信号であり、メダル計数機2でのメダル数カウントの結果であるカウント値について当該カウントの終了後に出力される信号である。すなわち、シリアル伝送路5は、メダル計数機2によるメダル数のカウント結果を、当該メダル計数機2でのカウント終了後に出力されるカウント値信号によって、発券/通信機3へ通知するシリアル伝送手段として機能するものである。
【0018】
ところで、発券/通信機3には、メダル計数機2によるメダル数のカウント結果が、パルス伝送路4とシリアル伝送路5との両方を通じて送られてくる。このことから、発券/通信機3では、管理制御手段3fとしての機能を備えている。
【0019】
管理制御手段3fは、メダル計数機2によるメダル数のカウント結果についての管理およびその出力や伝送等の制御を行うものである。具体的には、管理制御手段3fでは、パルス伝送路4で通知されるカウント結果と、シリアル伝送路5で通知されるカウント結果を比較照合し、これらが一致しなければ異常と判断して、報知手段3eにアラーム出力を行わせる。また、それぞれのカウント結果が一致した場合には、その一致したカウント結果について、発券ユニット3bでの発券を行い、さらに発券/通信機3に接続する景品コントローラ6への伝送出力を行うようになっている。なお、発券/通信機3と景品コントローラ6との間の接続は、特に限定されるものではなく、例えば無線または有線の別、広域ネットワークまたはローカルネットワークの別等を問わない。
【0020】
この管理制御手段3fは、発券/通信機3が有するCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の組み合わせからなる機能、すなわち当該発券/通信機3におけるコンピュータとしての機能が、所定プログラムを実行することによって実現されるものである。その場合に、当該所定プログラムは、発券/通信機3内へのインストールに先立ち、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであっても、または有線若しくは無線による通信手段を介して配信されるものであってもよい。
【0021】
次に、以上のように構成されたメダル計数装置1における処理動作例を説明する。図3は、メダル計数装置における処理動作例を示すフローチャートである。
【0022】
メダル計数装置1では、メダル計数機2のメダル投入口2aへのメダル投入があると、投入されたメダルについての計数、すなわちメダルの数のカウントを開始する。メダルの計数開始にあたって、メダル計数機2は、先ず、メダル計数を開始する旨を、シリアル伝送路5を通じて、発券/通信機3へ通知する(ステップ101、以下ステップを「S」と略す)。そして、メダル計数を開始したら、メダル計数機2は、メダル数をカウントする毎、すなわち1カウントにつき1パルスのパルス信号を出力し、パルス伝送路4を通じて発券/通信機3へ通知し(S102)、これをメダル計数が終了するまで行う(S103)。その後、メダル計数が終了すると、メダル計数機2は、そのカウント結果であるカウント値について、カウント値信号を生成して、シリアル伝送路5を通じて、発券/通信機3へ通知する(S104)。
【0023】
一方、発券/通信機3では、メダル計数機2からメダル計数を開始する旨の通知があると(S101)、計数表示器3aを動作可能状態にして、メダル計数結果の表示準備を行う。そして、メダル計数機2からパルス伝送路4を通じてパルス信号が送られてくると(S102)、発券/通信機3では、計数表示器3aがメダル計数機2でのメダルカウント数についての表示出力を行う(S105)。このとき、計数表示器3aは、送られてきたパルス信号を基にして当該表示出力を行うので、パルス信号の1パルス毎に表示出力する値の更新(インクリメント)を行うことになる。したがって、計数表示器3aによる表示出力は、メダル計数機2でのメダルカウント数についてのリアルタイム表示(計数中にも表示を行うとともに当該表示が経時的に変化するような表示態様)に相当するものとなる。このような表示出力は、メダル計数機2でのメダル計数が終了するまで、継続して行う(S106)
【0024】
その後、メダル計数機2でのメダル計数が終了し当該メダル計数機2からカウント値信号がシリアル伝送路5を通じて送られてくると、発券/通信機3では、管理制御手段3fが、そのカウント値信号の内容を、パルス信号を基にしたメダルカウント数の最終値と比較照合する(S107)。
【0025】
その結果、これらのパルス伝送とシリアル伝送による値が一致すれば、管理制御手段3fは、正常な発券処理および正常な計数結果報告処理を行う(S108)。詳しくは、一致したカウント結果について、発券ユニット3bでの発券を行う。さらには、一致したカウント結果について、景品コントローラ6への伝送出力を行う。
【0026】
また、これらが一致しなければ、何らかの不正行為が介在している可能性が高いと考えられるため、管理制御手段3fは、異常と判断して、報知手段3eにアラーム出力を行わせる(S109)。アラーム出力は、報知手段3eだけでなく、計数表示器3aや発券ユニット3b等を用いて行ってもよい。さらに、管理制御手段3fは、異常と判断すると、アラーム出力を行うだけでなく、その旨を景品コントローラ6にも伝送出力して報告するようになっている。
【0027】
以上に説明したように、本実施形態におけるメダル計数装置1では、パルス伝送による不正防止とシリアル伝送によるリアルタイム性の改善のために、メダル計数機2の部分と発券/通信機3の部分との間のメダル計数結果伝送に、パルス伝送とシリアル伝送を共用し、計数表示の際はパルス伝送を基に1個単位のリアルタイム表示を行うとともに、計数終了時には計数結果をシリアル伝送し、パルス伝送結果とシリアル伝送結果を比較照合することにより、パルス伝送に対する不正行為を防止する。つまり、伝送方式の異なるパルス伝送とシリアル伝送との両方をメダル計数結果の伝送に共用することで、メダル計数結果の伝送過程において不正行為があれば伝送受信側でこれらの伝送結果が一致しないことを利用して異常と判断することを可能とし、しかも一方がパルス伝送であることから当該パルス伝送によって通知されるパルス信号を基にしたリアルタイム表示を行うことが可能となるのである。
【0028】
したがって、本実施形態におけるメダル計数装置1によれば、不正行為があれば異常と判断されるので、伝送の信頼性を確保して不正行為を有効に防止し得るようになる。また、2つの伝送方式を利用することにより、シリアル伝送単独の場合よりも伝送の信頼性をさらに増すことができる。しかも、一方がパルス伝送であることから、計数結果についての表示出力のリアルタイム性を確保することができ、媒体計数の臨場感が損なわれてしまうことがなく、結果として利用者の興趣を喚起することができる。つまり、表示のリアルタイム性と不正行為防止の有効性との両立が実現可能となるのである。
【0029】
なお、本実施形態では、本発明の好適な実施具体例について説明したが、本発明はその内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態では、本発明をメダル計数装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、パチンコ玉等の他の遊技媒体について計数を行う遊技媒体計数装置であっても、全く同様に本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明が適用されたメダル計数装置の概略構成例を示す外観斜視図である。
【図2】本発明が適用されたメダル計数装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明が適用されたメダル計数装置における処理動作例を示すフローチャートである。
【図4】従来の遊技媒体計数装置の機能構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0031】
1…メダル計数装置、2…メダル計数機、3…発券/通信機、3a…計数表示器、3b…発券ユニット、3d…操作手段、3e…報知手段、3f…管理制御手段、4…パルス伝送路、5…シリアル伝送路、6…景品コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体の数をカウントする計数手段と、
前記計数手段によるカウント結果を当該計数手段でのカウント毎に出力されるパルス信号によって通知するパルス伝送手段と、
前記計数手段によるカウント結果を当該計数手段でのカウント終了後に出力されるカウント値信号によって通知するシリアル伝送手段と、
前記パルス信号に基づいて前記計数手段によるカウント結果についての表示出力を行う表示手段と、
前記パルス伝送手段で通知されるカウント結果と前記シリアル伝送手段で通知されるカウント結果を比較照合し、これらが一致しなければ異常と判断する管理制御手段と
を備えることを特徴とする遊技媒体計数装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−142304(P2008−142304A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332906(P2006−332906)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000128485)株式会社オーイズミ (191)
【Fターム(参考)】