説明

遊技機の個体監視方法

【課題】本来の遊技機ではない別の機種にすり替えられたり、不正なプログラムが書き込まれた不正ROMへの交換や制御基板毎入れ替えるような不正改造が行われたりすることを的確に監視できる遊技機の個体監視方法を提供する。
【解決手段】監視対象の遊技機よりパルス信号の遊技機IDを受信し、受信したパルス信号をシリアル/パラレル変換して有意な遊技機IDに変換して一時記憶領域に記憶し、比較基準IDを比較基準ID記憶領域より取り出し、一時記憶領域に記憶した一時記憶IDと比較基準IDとを比較し、一時記憶IDと比較基準IDとが一致していれば通常表示を行い、一時記憶IDと比較基準IDとが不一致であれば警告表示を行い、監視対象の遊技機がすり替えられたり不正改造された可能性があることを報らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体毎に異なる情報である遊技機IDを出力可能な遊技機を監視する遊技機の個体監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技場において、各遊技機の稼動情報を機種別に集計・分析するためには、ホールコンピュータ等の遊技場管理装置に台番号と機種名を関連付ける情報を手入力するという作業が必要で、この入力操作は手間がかかる上に、入力ミス等が起き易かった。このような煩雑で不正確な入力操作を省くため、遊技機の外部端子板から機種IDを出力する遊技機と、この機種ID情報を中継器を通じて管理コンピュータに直接送信するシステムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載の遊技機情報収集システムにおいては、遊技機から機種名等の遊技機情報を取得する方法として、遊技機名情報をパルス信号で遊技機から出力させ、このパルス信号を中継BOXで受け付けてネットワーク送信データに変換した後、管理コンピュータ等の外部装置へ送信する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−190601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された遊技機情報収集システムでは、前回接続されていた遊技機と、今回接続した遊技機の個体が同一か否かまで管理することができない。例えば、本来の遊技機ではない別の機種にすり替えられたり、不正なプログラムが書き込まれた不正ROMへの交換や制御基板毎入れ替えるような不正改造が行われたりしても、特許文献1に記載の遊技機情報収集システムでは対処できないのである。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、本来の遊技機ではない別の機種にすり替えられたり、不正なプログラムが書き込まれた不正ROMへの交換や制御基板毎入れ替えるような不正改造が行われたりすることを的確に監視できる遊技機の個体監視方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、個体毎に異なる情報である遊技機IDを出力可能な遊技機を監視する遊技機の個体監視方法であって、監視対象である遊技機から出力される遊技機IDを取得する遊技機ID取得工程と、前記遊技機ID取得工程にて取得した遊技機IDを一時記憶IDとして所定の一時記憶領域に記憶する一時記憶工程と、前記一時記憶工程にて記憶した一時記憶IDと、監視対象である遊技機を特定する情報として比較基準ID記憶領域に予め記憶している比較基準IDとを比較し、両者が一致していれば通常報知を行う一方、両者が不一致であれば警告報知を行う監視工程と、を行い、監視対象の遊技機が同一の個体であるか否かを監視することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の遊技機の個体監視方法において、前記監視工程で警告報知を行った後に、所定の更新要求を受けることに基づいて、一時記憶IDを比較基準ID領域に比較基準IDとして記憶し、監視対象である遊技機の個体情報を更新するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の遊技機の個体監視方法において、遊技場に設置された各遊技機に対応して設けられる遊技機情報表示器によって、前記遊技機ID取得工程と、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の遊技機の個体監視方法において、遊技場に設置された各遊技機に対応して設けられる情報中継器によって、前記遊技機ID取得工程を行い、前記情報中継器から遊技機IDが送信される遊技場管理装置によって、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の遊技機の個体監視方法において、遊技場に設置された各遊技機に対応して設けられる遊技機情報表示器によって、前記遊技機ID取得工程と、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うと共に、前記遊技機情報表示器によって取得した遊技機IDを各遊技機に対応して設けられる情報中継器へ送信し、該情報中継器を経由して遊技機IDが送信される遊技場管理装置によっても、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る遊技機の個体監視方法によれば、監視対象である遊技機から出力される遊技機IDを取得する遊技機ID取得工程と、前記遊技機ID取得工程にて取得した遊技機IDを一時記憶IDとして所定の一時記憶領域に記憶する一時記憶工程と、前記一時記憶工程にて記憶した一時記憶IDと、監視対象である遊技機を特定する情報として比較基準ID記憶領域に予め記憶している比較基準IDとを比較し、両者が一致していれば通常報知を行う一方、両者が不一致であれば警告報知を行う監視工程と、を行い、監視対象の遊技機が同一の個体であるか否かを監視するので、本来の遊技機ではない別の機種にすり替えられたり、不正なプログラムが書き込まれた不正ROMへの交換や制御基板毎入れ替えるような不正改造が行われたりして、遊技機IDが変わった状態を的確に監視できる。
【0013】
また、請求項2に係る遊技機の個体監視方法によれば、前記監視工程で警告報知を行った後に、所定の更新要求を受けることに基づいて、一時記憶IDを比較基準ID領域に比較基準IDとして記憶し、監視対象である遊技機の個体情報を更新するようにしたので、遊技場の新装開店時や機種入替時に、監視対象の遊技機を入れ替えるときには、個体識別用の遊技機IDを簡便に更新することができ、利便性が高い。
【0014】
また、請求項3に係る遊技機の個体監視方法によれば、遊技場に設置された各遊技機に対応して設けられる遊技機情報表示器によって、前記遊技機ID取得工程と、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うようにしたので、遊技機の近くに設けられる遊技機情報表示器によって警告報知を行うことができる。
【0015】
また、請求項4に係る遊技機の個体監視方法によれば、遊技場に設置された各遊技機に対応して設けられる情報中継器によって、前記遊技機ID取得工程を行い、前記情報中継器から遊技機IDが送信される遊技場管理装置によって、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うようにしたので、遊技場内の各遊技機を集中管理する遊技場管理装置によって効率良く遊技機を管理できる。
【0016】
また、請求項5に係る遊技機の個体監視方法によれば、遊技場に設置された各遊技機に対応して設けられる遊技機情報表示器によって、前記遊技機ID取得工程と、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うと共に、前記遊技機情報表示器によって取得した遊技機IDを各遊技機に対応して設けられる情報中継器へ送信し、該情報中継器を経由して遊技機IDが送信される遊技場管理装置によっても、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うようにしたので、遊技機の近くに設けられる遊技機情報表示器によって警告報知を行うことができると共に、遊技場内の各遊技機を集中管理する遊技場管理装置によって効率良く遊技機を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】遊技機IDを出力可能な遊技機の概略構成図である。
【図2】本発明に係る遊技機の個体監視方法の実施形態を示すフローチャートである。
【図3】比較基準IDの更新処理を示すフローチャートである。
【図4】遊技機の個体監視方法を実現可能な遊技機情報表示器の概略構成図である。
【図5】遊技機の個体監視方法を実現可能なホールコン中継基板とホールコンピュータの概略構成図である。
【図6】ホールコンピュータにて管理する台別遊技機の個体管理情報テーブルの構成説明図である。
【図7】ホールコンピュータの表示部における遊技機ID不一致表示・ID更新の画面イメージを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る遊技機の個体監視方法の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、本実施形態で監視対象とする遊技機は、遊技機の各個体に固有情報として、メーカー名(メーカーID)、機種名(機種ID),個体ID(市場に出荷されている全ての遊技機を識別可能なように割り振られたユニークな番号で、例えば、各遊技機の制御装置に搭載されたCPUのチップナンバを用いることが出来る)を遊技機IDとして出力可能なものに限られる。そこで、先ずは遊技機IDを出力可能な遊技機について説明する。
【0019】
図1は、遊技球を用いた弾球遊技を行うための種々の機能を備える遊技機10の概略構成を示すもので、外部出力端子板10aを介して各種の信号が外部に出力される。なお、図示を省略したが、遊技機10が備える遊技媒体貸出装置接続端子板が、遊技媒体貸出装置の貸出インターフェース基板とPIFケーブルで接続され、遊技機10から遊技媒体貸出装置へは、遊技機接続確認信号(PSI),遊技機準備状態信号(PRDY),遊技機貸出完了信号(EXS),貸出ボタンスイッチ信号等が送信されると共に、遊技媒体貸出装置20から遊技機10へは、貸出装置準備状態信号(BRDY),貸出装置貸出要求信号(BRQ)が送信され、相互に状態確認しつつ適正な遊技媒体貸出制御が実行される。
【0020】
遊技機10には、弾球遊技の主たる制御を行う主制御基板11を備え、前面扉が開放された状態を検知する扉開放センサ12、不正の有無を判定するために設けた不正検出センサ13、遊技球が飛入する遊技盤上に設けた始動口への球入賞を検出する始動口センサ14等から各種検出信号が主制御基板11に入力されると共に、主制御基板11から賞球或いは貸出球の排出指令を払出制御基板15へ送信し、遊技球排出装置から所定の遊技球を払い出させるのである。なお、電源基板16からは主制御基板11の諸機能を稼働させるための電源が供給される。
【0021】
主制御基板11には、CPUチップ111、ROM112、RAM113が内部バスにより接続され、ROMのプログラム領域に書き込まれたプログラムをCPUチップ111が実行して、遊技制御が実現される。遊技の進行結果や各種センサ入力情報(例えば、大当り信号、図柄停止信号、賞球信号、扉開放信号、不正検出信号など)は、個別I/Oポート114から外部出力端子板10aを介して外部へ出力される。
【0022】
さらに、本構成の遊技機10においては、ROM112のデータ領域内にメーカーIDと機種IDが、CPUチップ111のCPUチップ個体IDレジスタ111aに個体IDが、各々記憶されており、遊技機の個体情報である遊技機ID(メーカーID、機種ID、個体ID)も、外部出力端子板10aを介して外部に出力できるのである。なお、遊技機IDは、シリアル通信バッファ115およびシリアルI/O116により、パルス信号として出力されるものとし、受信側では、受信したパルス信号列(シリアル信号)をパラレル信号に変換することで、元の遊技機固有情報にデコードできる。
【0023】
すなわち、遊技機10から出力された遊技機ID信号からメーカーID、機種ID、個体IDを予め記憶しておけば、その後に遊技機10から受信した遊技機ID信号によるメーカーID、機種ID、個体IDとの一致・不一致を判定すれば、主制御基板11自体が交換された場合はもとより、CPUチップ111又はROM112が交換された場合をも的確に知ることができる。なお、近来の遊技機は、CPUチップ111,ROM112,RAM113,個別I/Oポート114,シリアル通信バッファ115,シリアルI/O116等を一体に集約したワンチップMPUが用いられる傾向にあり、ワンチップMPUから出力される遊技機IDとして、メーカーID,機種ID,個体IDの3つをセットで監視対象とすることが効率良いが、CPUチップ111、ROM112が別体として組み付けられている場合には、CPUチップ111からの個体IDのみを監視対象としても良い。また、本構成例の遊技機10は、遊技媒体である遊技球の貸出機能を備えたCRタイプの遊技機であるが、例えば、遊技媒体としてコイン形状の遊技メダルを使うスロット式遊技機であっても、遊技機ID出力機能を備えていれば、個体管理が可能である。
【0024】
図2は、本発明に係る遊技機の個体監視方法の実施形態を示すフローチャートである。遊技機10の個体監視に際しては、先ず、上述した遊技機10よりパルス信号の遊技機IDを受信し(ステップS01)、受信したパルス信号をシリアル/パラレル変換して有意な遊技機ID(例えば、公知既存の文字コードにより表現される情報)に変換する(ステップS02)。これらステップS01およびS02は、「監視対象である遊技機から出力される遊技機IDを取得する遊技機ID取得工程」に相当する。なお、遊技機10からの遊技機IDをP/S変換等でデコードする必要がない場合には、そのまま受信バッファ等に蓄積することで遊技機ID取得工程となる。
【0025】
続いて、有意な情報に変換した遊技機IDを一時記憶IDとして一時記憶領域に記憶する(ステップS03)。これが「遊技機ID取得工程にて取得した遊技機IDを一時記憶IDとして所定の一時記憶領域に記憶する一時記憶工程」である。なお、一時記憶領域は、電源断によって消える作業用の揮発性メモリで構わない。
【0026】
続いて、比較基準IDを比較基準ID記憶領域より取り出し、一時記憶領域に記憶した一時記憶IDと比較基準IDとを比較し、一時記憶IDと比較基準IDとが一致しているか不一致であるかを判定する。比較基準IDとは、例えば、監視対象の遊技機10を遊技場へ導入したときに受信した遊技機IDを記憶しておくもので、正規に導入された遊技機10の真正な個体情報として記憶しておくものである。すなわち、比較基準ID記憶領域は、電源断によっても記憶が保持される不揮発性のメモリや記憶装置を用いる必要がある。
【0027】
上記ステップS05にて、一時記憶IDと比較基準IDが一致していると判定された場合には、表示部へ通常表示を行う(ステップS06)。しかしながら、一時記憶IDと比較基準IDが不一致であると判定された場合には、真正な遊技機10の個体情報が変わっていることから、別の機種にすり替えられたり、不正なプログラムが書き込まれた不正ROMへの交換や主制御基板毎入れ替えるような不正改造が行われたり可能性があるので、表示部へ警告表示を行う(ステップS07)。
【0028】
上述したステップS04〜S07が、「一時記憶工程にて記憶した一時記憶IDと、監視対象である遊技機を特定する情報として比較基準ID記憶領域に予め記憶している比較基準IDとを比較し、両者が一致していれば通常報知を行う一方、両者が不一致であれば警告報知を行う監視工程」である。なお、本実施形態では、表示部へ可視表示することで、遊技機IDの一致・不一致を報知するものとしたが、音声や警告音等の出力によって報知するようにしても構わないし、上位の管理装置等へ判定結果を送信することで上位システムに報知するようにしても構わない。
【0029】
なお、遊技店の新装開店などで遊技機の入替を行った場合であっても、上記ステップS05で一時記憶IDと比較基準IDが不一致と判定されることとなるため、このような場合には、比較基準IDの更新処理(図2中、破線で示すステップS08)を行うことで、比較基準とする遊技機IDを更新し、以降の監視対象である遊技機の個体情報を簡単に変更できるようにすると、利便性が高い。
【0030】
図3は、比較基準IDの更新処理を示すもので、先ず、本実施形態に係る遊技機の個体管理方法を実行する装置等に対して、操作パネルやリモコン等で比較基準IDの更新指示があったか否かを判定し(ステップS11)、更新指示があった場合には、比較基準ID記憶領域に一時記憶IDを新たな比較基準IDとして書き込み(ステップS12)、比較基準ID更新処理が完了した旨を表示部に表示する(ステップS13)。斯くして、監視対象となる遊技機10の個体情報が更新され、その後は、この新たな比較基準IDを用いて監視対象遊技機の同一性を監視するのである。
【0031】
なお、上記ステップS11で比較基準IDの更新指示がなかった場合には、リセット操作の有無を判定し(ステップS14)、リセット操作があった場合には、警告表示をクリアして表示部に通常表示を行う(ステップS15)。これは、意図的に異なる遊技機IDを送信して遊技機の個体監視が適正に行われているかをテストする場合など、遊技機10から受信した最新の遊技機IDである一時記憶IDを新たな比較基準IDに更新する必要がないときには、警告表示を簡便にリセットできるので、利便性がよい。
【0032】
次に、上述した遊技機の個体監視方法を遊技機情報表示器20にて行う構成例を、図4に基づき説明する。遊技機情報表示器20は、呼び出しランプ、または、台ランプと呼ばれる機器(遊技場に設置された各遊技機10の上方部に各々対応して設けられ、遊技機10の遊技状態を表示したり、遊技機10の過去の遊技履歴情報を表示したりできるもの)、あるいは、台間情報端末、または、台間情報公開モニターと呼ばれる機器(遊技機10の側方に各々対応付けられて隣接設置して、遊技機10の情報を表示したり遊技店のサービスを受け付けられるようにしたもの)である。
【0033】
遊技機情報表示器20の外部入力端子板20aには、遊技機10の外部出力端子板10aより、大当り信号、図柄停止信号、賞球信号、扉開放信号、不正検出信号などが入力され、また、遊技機10が設置されている島設備の補給機構から出力される補給信号やアウト玉信号が入力されており、これらの信号は、外部入力信号処理手段21aにて受信処理されると共に、外部出力用パルス発生手段21bから外部出力端子板20bを介して各信号がホールコン中継基板30に出力され、このホールコン中継基板30を経由してホールコンピュータ40へ送信される。
【0034】
また、遊技機10の外部出力端子板10aから出力された遊技機ID(パルス信号)は、遊技機情報表示器20のID入力端子22aを介して入力された後、シリアル/パラレル変換手段22bによって文字コードに変換し、遊技機ID一時記憶領域23に記憶する。すなわち、遊技機情報表示器20におけるID入力端子22aとシリアル/パラレル変換手段22bによって遊技機ID取得工程を行い、遊技機ID一時記憶領域23によって一時記憶工程を行うのである。
【0035】
そして、遊技機ID一時記憶領域23に記憶した一時記憶IDと、監視対象である遊技機を特定する情報として比較基準ID記憶領域24aに予め記憶している比較基準IDとをID比較手段24bによって比較し、その比較結果として両者が一致していれば表示部24cに通常表示を行う一方、両者が不一致であれば表示部24cに警告表示を行う。すなわち、遊技機情報表示器20における比較基準ID記憶領域24aとID比較手段24bと表示部24cによって監視工程を行うのである。
【0036】
表示部24cに警告表示が行われているとき、外部操作入力手段25aを介して比較基準IDの更新指示が入力されると、比較基準ID更新制御手段25bによって、遊技機ID一時記憶領域23に記憶されている一時記憶IDが比較基準ID記憶領域24aに書き込まれ、以降は、新たな比較基準IDがID比較手段24bによる判定に供される。比較基準ID記憶領域24aは、最新の比較基準IDのみを記憶するものに限らず、例えば、リングメモリ構成とすることで、過去の比較基準IDを所定数まで保持しておけるようにしても良い。
【0037】
なお、遊技機情報表示器20に外部通信手段26を設けて、監視結果等を外部の上位管理装置等へ出力するようにしても良い。また、遊技機10に確認入力端子10bを設け、遊技機10から遊技機IDを受信した遊技機情報表示器20が、ID受信確認信号を外部出力端子板21bより出力するものとすれば、遊技機10が出力した遊技機IDが遊技機情報表示器20に受信されたことを遊技機10で確認できる。
【0038】
次に、上述した遊技機の個体監視方法をホールコン中継基板30とホールコンピュータ40が協働することで行う構成例を、図5に基づき説明する。ホールコン中継基板30は、遊技場に設置された各遊技機10に対応して設けられる情報中継器であり、このホールコン中継基板30にて中継することで、遊技機10からの諸情報が、遊技場内の諸設備を統括的に管理する遊技場管理装置たるホールコンピュータ40へ送信されるのである。
【0039】
先ず、遊技機10の外部出力端子板10aより出力された遊技機ID出力(パルス信号)は、ホールコン中継基板30のシリアル/パラレル変換手段31によって文字コードに変換し、受信遊技機ID一時記憶領域32に記憶し、これを送信用データ作成手段33により加工し、対ホールコン通信手段34によってホールコンピュータ40へ送信する。なお、遊技場内の各ホールコン中継基板30…とホールコンピュータ40は、高速なデータ伝送が可能なLAN回線50で接続してあり、遊技機10からホールコン中継基板30へ遊技機IDを送信するのに比べて、遥かに高速な遊技機IDの送信が可能である。
【0040】
上記のようにして、ホールコン中継基板30より遊技機IDが送信されると、ホールコンピュータ40は、外部通信手段41にて受信し、これを遊技機ID一時記憶領域42に記憶する。すなわち、ホールコン中継基板30とホールコンピュータ40の外部通信手段41によって遊技機ID取得工程を行い、遊技機ID一時記憶領域42によって一時記憶工程を行うのである。なお、遊技機ID一時記憶領域42は、遊技場内の全ての遊技機に対応させて設けてあり、台別の個体監視をホールコンピュータ40で集中的に行うことができる。
【0041】
そして、遊技機ID一時記憶領域42に記憶した一時記憶IDと、監視対象である遊技機を特定する情報として比較基準ID記憶領域43aに予め記憶している比較基準IDとをID比較手段43bによって比較し、その比較結果として両者が一致していれば表示部43cに通常表示を行う一方、両者が不一致であれば表示部43cに警告表示を行う。すなわち、ホールコンピュータ40における比較基準ID記憶領域43aとID比較手段43bと表示部43cによって監視工程を行うのである。
【0042】
図6は、ホールコンピュータ40にて管理する台別遊技機個体管理情報テーブルの一例を示すもので、前回取得した個体IDを比較基準IDとし、今回取得した個体IDを一時記憶IDとして状態判定を行い、両IDが不一致の台に対する状態項目を“異常”とする。図7は、ホールコンピュータ40の表示部43cであるモニタの表示例として、遊技機ID不一致表示・ID更新の画面イメージを示したもので、台別遊技機個体管理情報テーブルの状態項目が異常である遊技機のみを抽出して表示し、今回IDと不一致である旨を警告色で目立たせる。
【0043】
上記のように、表示部43cに警告表示が行われているとき、外部操作入力手段44aを介して特定の台(或いは特定範囲の複数台)に対する比較基準IDの更新指示が入力されると、比較基準ID更新制御手段44bによって、遊技機ID一時記憶領域42に台別に記憶されている一時記憶IDが、該当する台の比較基準ID記憶領域43aに書き込まれ、以降は、新たな比較基準IDがID比較手段43bによる判定に供される。このID更新操作は、図7の画面イメージに示すように、島単位に指定したり、台別に指定したり、全台一斉に指示したりでき、ID更新後の台別情報を表示することで、意図通りに更新されたか否かを確認できる。
【0044】
なお、ホールコンピュータ40には、比較基準ID履歴記憶領域45を設けてあり、過去の比較基準IDを台別に記憶保持しておくことができる。このように、過去の比較基準ID履歴を保存しておけば、更新してはいけない一時記憶IDを比較基準IDにしてしまったような場合に、元の比較基準IDへ復元させることも可能となる。
【0045】
また、ホールコンピュータ40には、遊技機状態情報記憶領域46を設けてあり、遊技機10から遊技機情報表示器20を経由してホールコン中継基板30に入力される遊技機状態信号(大当り信号、図柄停止信号、賞球信号、扉開放信号、不正検出信号など)を、ホールコン中継基板30の遊技機状態信号入力手段35が受けて、ホールコン中継基板30よりホールコンピュータ40へ送信されると、この遊技機状態情報を台別に遊技機状態情報記憶領域46に記憶して行き、図6に示したような台別遊技機個体管理情報テーブルを生成する。
【0046】
以上、本発明に係る遊技機の個体監視方法の実施形態と、これを具現化できる構成例を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、これらの実施形態等に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。
【符号の説明】
【0047】
10 遊技機
10a 外部出力端子板
111 CPUチップ(個体ID)
112 ROM(メーカーID、機種ID)
20 遊技機情報表示器
22a ID入力端子
22b シリアル/パラレル変換手段
23 遊技機ID一時記憶領域
24a 比較基準ID記憶領域
24b ID比較手段
24c 表示部
30 ホールコン中継基板
40 ホールコンピュータ
41 外部通信手段
42 遊技機ID一時記憶領域
43a 比較基準ID記憶領域
43b ID比較手段
43c 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体毎に異なる情報である遊技機IDを出力可能な遊技機を監視する遊技機の個体監視方法であって、
監視対象である遊技機から出力される遊技機IDを取得する遊技機ID取得工程と、
前記遊技機ID取得工程にて取得した遊技機IDを一時記憶IDとして所定の一時記憶領域に記憶する一時記憶工程と、
前記一時記憶工程にて記憶した一時記憶IDと、監視対象である遊技機を特定する情報として比較基準ID記憶領域に予め記憶している比較基準IDとを比較し、両者が一致していれば通常報知を行う一方、両者が不一致であれば警告報知を行う監視工程と、
を行い、監視対象の遊技機が同一の個体であるか否かを監視することを特徴とする遊技機の個体監視方法。
【請求項2】
前記監視工程で警告報知を行った後に、所定の更新要求を受けることに基づいて、一時記憶IDを比較基準ID領域に比較基準IDとして記憶し、監視対象である遊技機の個体情報を更新するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機の個体監視方法。
【請求項3】
遊技場に設置された各遊技機に対応して設けられる遊技機情報表示器によって、前記遊技機ID取得工程と、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機の個体監視方法。
【請求項4】
遊技場に設置された各遊技機に対応して設けられる情報中継器によって、前記遊技機ID取得工程を行い、
前記情報中継器から遊技機IDが送信される遊技場管理装置によって、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機の個体監視方法。
【請求項5】
遊技場に設置された各遊技機に対応して設けられる遊技機情報表示器によって、前記遊技機ID取得工程と、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うと共に、前記遊技機情報表示器によって取得した遊技機IDを各遊技機に対応して設けられる情報中継器へ送信し、該情報中継器を経由して遊技機IDが送信される遊技場管理装置によっても、前記一時記憶工程と、前記監視工程を行うようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機の個体監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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