説明

遊技機の監視システム

【課題】 設備コストを低く抑えて、遊技制御基板などの不正な交換を検出可能にする遊技機の監視システムを提供することである。
【解決手段】 複数の遊技機1の、それぞれの遊技パネルや制御基板などの監視対象に直接もしくは間接的に、相互監視機能を有する監視手段3を設け、この監視手段3は、自身のIDおよび相互監視の監視対象IDを記憶する記憶部4と、処理部5と、無線送受信部6とを備え、上記処理部5は、自身のIDを無線送受信部6を介して送信する機能と、上記相互監視の監視対象IDを無線送受信部6を介して受信する機能と、受信したIDを上記記憶部4が記憶している監視対象IDと対比する機能と、対比した両IDが一致するか否かを判定する機能と、その判定結果を出力する機能とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ台などの遊技機に対して不正行為が行われたかどうかを監視する遊技機の監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
不当な利益を得ようとする者が、閉店後などに遊技場に入り込んで、遊技機を制御するプログラムを搭載した遊技制御基板を、不正に交換することがある。
このように、制御基板が不正に交換されたことを検出するため、制御基板に、IDを記憶し、それを発信する機能を有するICチップなどを取り付け、このICチップから発信される正規のIDを読み取ることによって、不正な交換がなされていないことを確認しようとするシステムが考えられている。
例えば、各制御基板にIDを発信するICチップを取り付けるとともに、発信されたIDを非接触で読み取る読み取り装置を遊技機毎に設け、この読み取り装置が読み取ったIDを管理装置に送信する。管理装置では、予め、正規の制御基板に対応させたIDを記憶し、上記読み取り装置から送信されたIDが、それと異なる場合には、制御基板が不正に交換されたことを検出できるようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
また、遊技島毎にガイドレールを設け、このガイドレール上に1台の読み取り装置を移動させて、島内の複数の遊技機に対する不正を1台の装置で監視するものもある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−288218号公報
【特許文献2】特開2000−202136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシステムでは、読み取り装置や不正検出装置が読み取ったIDを管理装置へ送信しなければならないので、各読み取り装置や不正検出装置と管理装置間の配線が必要である。特に、不正検出装置を島内で移動させるシステムでは、ガイドレールなどの設備も必要である。
つまり、上記のようなシステムは、配線などの大がかりな設備が必要であり、どのような遊技場においても、簡単に採用できるものではなかった。
【0005】
この発明の目的は、設備コストを低く抑えて、遊技制御基板などの不正な交換を検出可能にする遊技機の監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、複数の遊技機の、それぞれの遊技パネルや制御基板などの監視対象に直接もしくは間接的に、相互監視機能を有する監視手段を設け、この監視手段は、自身のIDおよび相互監視の監視対象IDを記憶する記憶部と、処理部と、無線送受信部とを備え、上記処理部は、自身のIDを無線送受信部を介して送信する機能と、上記相互監視の監視対象IDを無線送受信部を介して受信する機能と、受信したIDを上記記憶部が記憶している監視対象IDと対比する機能と、対比した両IDが一致するか否かを判定する機能と、その判定結果を出力する機能とを備えた点に特徴を有する。
【0007】
第2の発明は、遊技機の遊技パネルや制御基板などの監視対象に直接あるいは間接的に設けるとともに監視対象IDを記憶し、それを無線送信する機能を有するID送信手段と、上記遊技機の監視対象を除いた遊技機本体に設けた判定手段とを備え、この判定手段は、上記ID送信手段が記憶している監視対象IDを記憶する機能と、上記ID送信手段から送信されたIDを受信する機能と、受信したIDと自身が記憶している監視対象IDとを対比する機能と、対比した両IDが一致するか否かを判定する機能と、その判定結果を出力する機能とを備えた点に特徴を有する。
【0008】
なお、上記第1、第2の発明における上記監視対象に直接もしくは間接的に、監視手段を設けるとは、例えば、制御基板を監視対象とした場合に、この制御基板にこの監視装置を組み込んだり、制御基板にこの監視機能を搭載した別の基板等を直接取り付けたりするだけでなく、制御基板を覆っているカバーやケースに監視手段を取り付ける場合を含むということである。
また、上記処理部が、受信したIDと記憶部が記憶している監視対象IDとを対比して、対比した両IDが一致するか否かを判定する機能には、上記処理部が受信すべきタイミングにIDを受信しなかったときには、間違ったIDを受信したものとして判定する機能を含むものとする。
【0009】
第3の発明は、上記第2の発明を前提とし、上記処理部は、対比したIDが一致しないと判定したとき、上記判定結果として上記遊技機の遊技機能を停止させるための制御信号を出力する機能を備えた点に特徴を有する。
上記遊技機能には、その遊技機が備えている遊技を行うために必要な機能いっさいを含む。例えば、パチンコ台の場合、パチンコ玉を発射する機能や、玉を払い出す機能などである。
【0010】
第4の発明は、監視装置と、監視装置内の2点にそれぞれ接続した配線を監視装置の外部で接続する接続部とからなり、これら監視装置または上記接続部のいずれか一方を遊技機の制御基板などの監視対象に設けるとともに他方を上記遊技機であって上記制御対象以外の部分に設け、上記監視装置は、処理部と、この処理部に接続したデータ記憶部と、断線検出部と、これら処理部、データ記憶部および断線検出部に、電源を供給するバッテリーとを備え、上記断線検出部は、上記監視装置と上記接続部との間の接続または断線を検出する機能と、その結果を上記処理部に対して出力する機能とを備え、上記処理部は、上記断線検出部から断線検出信号を受信したとき、上記データ記憶部に断線したことを断線情報として記憶させる機能と、データ記憶部が記憶している断線情報を出力する機能とを備えた点に特徴を有する。
【0011】
第5の発明は、上記第4の発明を前提とし、上記データ記憶部は、その監視装置固有の装置IDを記憶する機能を備え、上記処理部は、データ記憶部が記憶している装置IDを出力する機能を備えた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明の監視システムは、各遊技機に設けた監視手段によって相互監視を行うため、従来のように監視対象から送信されるIDを、不正監視のための管理装置へ送信する必要がない。そのため、遊技場内に、不正監視のための大がかりな配線を設ける必要がなく、低い設備コストで、システムを導入することができる。
【0013】
第2〜第5の発明によれば、1台の遊技機に、完結した監視システムを設けることができるので、従来のように監視対象から送信されるIDを、不正監視のための管理装置へ送信する必要がない。そのため、遊技場内に、不正監視のための大がかりな配線を設ける必要がなく、低い設備コストで、システムを導入することができる。
さらに、遊技機の配列に関係なく、監視ができるので、システムを導入した後に、遊技機の入れ替えや並べ替えを行っても、特別な対応が必要ない。
【0014】
また、第2、第3の発明によれば、ID送信手段と判定手段との間の通信を無線で行うため、両者間の配線が不要である。
特に、第3の発明によれば、不正や異常を検出して知らせるだけでなく、不正行為が行われた遊技機による遊技を止めさせることもできる。
さらに、第4、第5の発明において、監視装置の外部に設けた接続部は、監視装置との間でデータの送受信機能などが不要なので、単純な構成にできる。そのため、設備コストをより低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜図6に、この発明の第1実施形態を示す。
図1は、複数の遊技機1a,1b,1c,・・・が並んだ1つの遊技島を表している。各遊技機1a,1b,1c,・・・の上部には、それぞれ呼び出しランプ2が取り付けられている。
なお、以下の説明において、各遊技機の配列を区別する必要がある場合には、符号1a,1b,1c,・・・を用いるが、配列を区別する必要がない場合には、遊技機の符号として符号1を用いるものとする。
【0016】
そして、この第1実施形態のシステムにおいては、各遊技機1の遊技パネルの裏面に設けられた制御基板ケースに、図2に示す監視手段3を取り付けている。そして、各監視手段3は、自身が取り付けられている遊技機1の隣に設置された遊技機1の制御基板を監視対象としている。
つまり、遊技機1aに取り付けた監視手段3は、遊技機1bの制御基板を監視し、遊技機1bに取り付けた監視手段3は、遊技機1aおよび1cの制御基板を監視する。
【0017】
そして、図2の監視手段3は、ICチップや電子基板などで構成され、自身のID(以下自IDという)および監視対象のIDである監視対象IDを記憶するID記憶部4と、処理部5と、他の監視手段3との間で無線通信を行うための無線送受信部6とを備えている。
各遊技機1に対応する上記ID記憶部4が記憶するIDの例を、図3のテーブル1に示している。テーブル1では、各監視手段3を、その設置遊技機1a,1b,1c,1d,・・・で表し、その自IDを、それぞれ、「k001」,「k002」,「k003」,「k004」,・・・としている。従って、例えば、遊技機1bに取り付けた監視手段3のID記憶部4は、自IDとして「k002」と、監視対象IDとして「k001」および「k003」とを記憶し、遊技機1cのID記憶部4は、自IDの「k003」、監視対象ID「k002」および「k004」を記憶する。
【0018】
ここでは、上記自IDは、監視手段3を取り付ける基板IDで、監視対象IDは、監視対象となる基板の基板IDである。
そして、上記自IDは、監視手段3を取り付ける制御基板ケースが決まった時点でID記憶部4に記憶させることができ、遊技機1の工場出荷時に記憶させておくことができる。また、監視対象IDも、制御基板を取り付けた遊技機1の配列が決まった時点でID記憶部4に記憶させることができる。
ただし、監視対象IDは、後で説明するように、遊技機1の設置後に記憶させるようにしてもよい。それぞれを記憶させるタイミングは、特に限定されないが、監視動作開始時には、自ID、監視対象IDともに、ID記憶部4に記憶されている必要がある。
【0019】
また、上記処理部5は、上記無線送受信部6を介して自身のID記憶部4が記憶している自IDを発信する機能と、両隣の遊技機1に設置されている監視手段3から発信されるIDを受信する機能と、それによって、監視対象、すなわち、両隣の遊技機1の制御基板に対して不正行為が行われた否かを判定する機能とを備えている。また、上記処理部5は、遊技機1に連係した呼び出しランプ2にも接続し、監視対象の異常を検出した場合に、呼び出しランプ2を点灯させる機能も備えている。これらの機能は、不正監視プログラムとして処理部5に設定しておく。
【0020】
以下に、上記監視手段3が、不正監視を行う手順を図4のフローチャートに従って説明する。なお、上記ID記憶部4は、自IDと監視対象IDとを記憶している。
また、上記無線送受信部6から送信される信号は、両隣の遊技機1に設置された無線送受信部6にのみ受信されるようにしている。このように、両隣の送受信部6にのみ、信号受信を可能にするためには、無線信号の出力によって到達距離を調整したり、特定の周波数に設定したりすることで実現する。
【0021】
そして、ここでは、遊技機1bの監視手段3の処理手順を例に説明する(図1参照)。
図4のステップS1で、遊技機1bの処理部5は、無線送受信部6を介して、問い合わせ信号を発信し、IDを問い合わせる。この問い合わせ信号の発信タイミングは、上記不正監視プログラムにプログラムされたタイミングである。この問い合わせ信号は、両隣、すなわち、遊技機1a,1cの処理部5が受信する。そして、各処理部5は、上記問い合わせ信号を受信したときに、自IDを送信するようにしている。そこで、上記遊技機1a,1cの処理部5が、正常に機能すれば、自身のID記憶部4が記憶している自IDを送信する。
【0022】
一方、遊技機1bの処理部5は、ステップS2で、IDを受信したら、ステップS3ヘ進み、受信したIDとID記憶部4が記憶している監視対象IDとを対比する。すなわち、遊技機1a,1cから送信されたIDと、監視対象IDである「k001」,「k003」とを対比する。ステップS4で、これらが一致するか否かを判断し、一致した場合には、ステップS1へ戻り、一致しなかった場合には、ステップS5へ進んで、呼び出しランプ2を点灯させる。
【0023】
例えば、遊技機1cの制御基板を別の基板と取り替えるために、制御基板ケースを取り外した場合、遊技機1cから、正規のID「k003」が送信されないことになる。異なるID「00x」が送信された場合、遊技機1bの処理部5は、そのID「00x」と遊技機1aからのID「k001」とを受信して、ID記憶部4が記憶している監視対象ID「k001」および「k003」と対比する。その結果、ステップS5でID「00x」が監視対象IDと一致しないと判断することになる。
また、遊技機1cから制御基板ケースを取り外したために、遊技機1cからIDの送信がない場合には、IDを受信しないので、ステップS2からステップS5へ進む。このように、IDを受信しない場合も、正規のIDを受信しないことになるので、不正のIDを受信したものとする。
【0024】
以上のように、制御基板が不正に取り替えられた場合には、その遊技機の隣の呼び出しランプ2が点灯して、遊技場の従業員にそれを知らせることができる。
図5には、遊技機の配列を示すとともに、呼び出しランプ2が点灯している個所を斜線で示しているが、上記のように、遊技機1cの制御基板が取り替えられた場合には、遊技機1bの呼び出しランプ2が点灯するだけでなく、同時に遊技機1dの呼び出しランプ2も点灯する。このように、点灯した呼び出しランプ2に挟まれた遊技機1cに対して、不正行為があったことが分かる。従って、遊技場の従業員は、その場所へ行って、取り替えられた制御基板によって不正に利益を得ようとしている遊技機を突き止めることもできる。
【0025】
ただし、島端の遊技機1aについては、それを監視対象とする監視手段3は、一方側の遊技機1bにだけ設けられるので、遊技機1aに不正があったとしても、点灯する呼び出しランプ2は1bのものだけである。つまり、図6のように、遊技機1bの呼び出しランプ2だけが点灯する。この場合には、遊技機1dの呼び出しランプ2が点灯していないことから、遊技機1cには不正が行われていないと判断することができる。
遊技機1の制御基板の交換などの不正行為は、特定の1台の遊技機1に対して行われることを前提とすれば、図5の状態では、遊技機1cが不正をされた遊技機であると特定できるが、例えば、遊技機1aおよび1cの両方に対して不正行為があった場合にも、図5に示すような点灯状態となる。このような場合、遊技機1bの点灯だけでは、遊技機1aにも不正行為があったのかどうかは判断できない。しかし、従業員が、呼び出しランプ2が点灯している遊技機1bの所へ行ってその両隣を見れば、獲得玉数や、大当たり状態などから異常を見つけることは可能である。
【0026】
なお、上記第1実施形態では、遊技機1に設けた監視手段3が、両隣の遊技機1との間で相互監視を行って、不正を検出するようにしているが、各監視手段3の監視対象は両隣に限らず、例えば、隣の隣まで含んだり、裏側の遊技機も含んだりと、監視対象の範囲を広げてもかまわない。
上記のように、各遊技機1に、相互監視のための監視手段3を設けて、この監視手段3に、自IDを送信する機能と、監視対象IDを受信する機能と、不正を判定する機能とを備えれば、従来のように、各遊技機1に対応させて読み取ったIDを管理装置へ送信する必要がないので、大がかりな設備が不要になる。
従って、設備コストを抑えて遊技機1を監視できる。
【0027】
なお、上記第1実施形態では、呼び出しランプ2を点灯させるための制御信号の出力が、この発明の判定結果の出力に当たるが、不正を検出した場合には、呼び出しランプとは別の警告ランプを点灯させるようにしても良いし、ディスプレイや、警報ブザーなど、ランプ以外の出力装置に判定結果を出力させるようにしてもよい。さらに、正常時には、ランプを点灯させて、異常時には消灯させるようにしてもよい。
また、特定の監視手段3が、IDを送受信するタイミングも、上記の例に限らない。例えば、各監視手段3が、自IDを予めプログラムされたタイミングで発信し、受信機能は常時機能するようにしておいてもよいし、反対に、自IDを常時発信するようにして、そのIDを隣接する遊技機の監視手段3が所定のタイミングで受信するようにしてもよい。
【0028】
なお、上記の例では、ID記憶部4には、予め、監視対象IDを記憶させていたが、遊技場に遊技機1を設置してから、上記ID記憶部4に監視対象IDを記憶させるようにしてもよいので、その方法の一例を簡単に説明する。
遊技機1を設置するときには、ID記憶部4は、自IDだけを記憶している。遊技機を設置したら、例えば島単位で電源を入れると、上記処理部5が動作する。処理部5は、無線送受信部6を介して、自IDを送信するとともに、隣接する遊技機1から送信されたIDを受信し、それを監視対象IDとしてID記憶部4に記憶させる。処理部5には、IDを受信したとき、ID記憶部4に監視対象IDとして記憶しているIDがあるかどうかを判断し、監視対象IDを記憶していない場合には、受信したIDを監視対象IDとして記憶させるように機能するためのプログラムが設定されている。
【0029】
上記のように、遊技機1の配置が決まってから監視対象IDを記憶させる方法を用いれば、遊技機1の配置を自由にできる。もしも、予め、監視対象IDが記憶された監視手段3が取り付けられた遊技機1を設置するためには、記憶している監視対象IDに応じて、遊技機1を配列する必要がある。
また、監視対象は、制御基板に限らない。例えば、遊技パネルなども、そこに、監視手段3を取り付ければ、相互監視することができる。
【0030】
図7、図8に示す第2実施形態は、監視対象である制御基板8に、ID送信手段9を取り付け、監視対象以外である遊技機本体に判定手段13を取り付けた第2の発明の実施形態であり、遊技機1はパチンコ台である。
図7は、遊技機1の背面を模式的に示したもので、遊技機1の遊技パネル7の裏面には制御基板8を取り付けている。また、遊技機1内には、パチンコ玉を発射するための発射モーター17が内蔵されている。
そして、同一の遊技機1に設けられたID送信手段9と判定手段13とによって、この発明の監視システムを構成している。
【0031】
上記ID送信手段9は、ICチップや、電子基板で構成され、ID記憶部10と、処理部11と、無線送受信部12とを備えている。このID送信手段9のID記憶部10には、これを取り付けている制御基板8を特定できる監視対象IDが記憶されている。また、上記処理部11は、上記ID記憶部10が記憶している監視対象IDを、上記無線送受信部12を介して、後で説明する判定手段13に対して送信する機能を備えている。
【0032】
一方、遊技機本体に取り付けた判定手段13も、ICチップや電子基板で構成され、ID記憶部14と、処理部15と、無線送受信部16とを備えている。
この判定手段13のID記憶部14には、上記ID送信手段9のID記憶部10が記憶している監視対象IDと同じ監視対象IDを記憶させておく。そして、処理部15は、上記ID送信手段9から送信された監視対象IDを受信する機能と、これを判定手段13のID記憶部14が記憶している監視対象IDと対比して、両者が一致するか否かを判定し、その判定結果を出力する機能とを備えている。また、この処理部15は、遊技機1の上部に設けられた呼び出しランプおよび遊技機本体内の発射モーター7に接続している。
なお、図7中、点線は無線通信を示している。
【0033】
このシステムにおいて、上記制御基板8が取り替えられたかどうかを判定する手順を、図8のフローチャートに従って説明する。なお、図8のフローチャートは、判定手段13の処理部15の処理手順を示したものである。
ステップS11で、処理部15は問い合わせ信号を送信し、IDを問い合わせる。ID送信手段9の処理部11は、無線送受信部12を介して、上記問い合わせ信号を受信して、ID記憶部10が記憶している監視対象IDを送信する。
判定手段13の処理部15は、ステップS12で、IDを受信したら、ステップS13へ進み、ID記憶部14が記憶している監視対象IDと、受信したIDとを対比し、ステップS14で、両者が一致するか否かを判定する。
【0034】
ステップS14で、両IDが一致すると判断した場合には、ステップS11へ戻るが、両者が一致しなかった場合には、ステップS15へ進み、発射モーター17を停止させるとともに、呼び出しランプ2を点灯させる。
判定手段13の処理部15が受信したIDが、ID記憶部14が記憶している監視対象IDと一致しないということは、ID送信手段9が送信したIDが、正規の監視対象IDではないということである。つまり、監視対象である制御基板8が、取り替えられたということになる。従って、処理部15は、発射モーター17を停止させて、その遊技機での遊技を中止させるとともに、呼び出しランプ2の点灯によって、遊技場の従業員に不正行為が行われたことを知らせることができる。
【0035】
この第2実施形態のシステムにおいても、従来のように、監視対象IDなどを管理装置へ送信して集中管理するシステムではないので、大がかりな設備を必要としない。また、1台の遊技機1の周囲だけで、監視システムが完結するので、上記第1実施形態のように、遊技機1の配列が問題にならない。つまり、一度、配置した複数の遊技機1から、1台だけ交換したとしても、判定手段13のID記憶部14に監視対象IDを記憶させ直す必要がない。
また、上記ID送信手段9は、判定手段13から、問い合わせ信号を受信したら監視対象IDを送信するようにしているが、監視対象IDの送信タイミングは、予め上記処理部11に設定しておくこともできるし、常時送信させて、判定手段13側で、受信タイミングを制御するようにしても良い。
【0036】
そして、判定手段13が問い合わせ信号を送信する必要がない場合には、判定手段13の無線送受信部16は、無線受信機能だけを備えていればよく、ID送信手段9の無線送受信部12は、送信機能だけを備えればよいことになる。
なお、この実施形態においても、判定手段13の判定結果の出力先は、第1実施形態と同様に、呼び出しランプ2や、発射モーター17に限らないし、どちらか一方だけでもよい。
上記発射モーター17を停止させる制御信号が、第3の発明の遊技機能を停止させるための制御信号にあたる。そして、遊技機の遊技機能には、パチンコなどの遊技を行うために必要な機能全てが含まれる。例えば、パチンコ玉を発射する機能のほか、玉を払い出す機能などである。判定手段13側の処理部15に、払い出し機構や、電源供給回路に連係させ、図8のステップS14で、両IDが一致しないと判定した場合に、払い出し機構を停止させたり、電源を切ったりすることもできる。
【0037】
図9に示す第3実施形態は、1台の遊技機1において複数の監視対象を監視する例である。
この実施形態では、遊技機1の制御基板8にID送信手段9aを設けるとともに、遊技パネル7に別のID送信手段9bを取り付けている。これらのID送信手段9a,9bは、どちらも図7に示す第2実施形態のID送信手段9と同じ構成である。同じ構成要素には、図7においてID送信手段9の各要素に付した符号と同じ数字にaまたはbを付けた符号を用い、ID送信手段9aまたは9bを区別している。そして、同じ数字を含んだ符号を付した構成要素は、同様の機能を備えているので、その詳細な説明は省略する。
なお、図9中、点線は、無線通信を示している。
【0038】
そして、制御基板8に設けたID送信手段9aのID記憶部10aには、この発明の監視対象IDである制御基板8を特定するためのIDが記憶され、遊技パネル7に設けたID送信手段9bのID記憶部10bには、監視対象IDである遊技パネル7を特定するためのIDが記憶されている。つまり、制御基板8および遊技パネル7が、監視対象である。
また、遊技機本体には、判定手段13を設けている。この判定手段13も、上記第2実施形態の判定手段13と同様の構成をしている。ただし、判定手段13のID記憶部14は、上記ID記憶部10aが記憶している監視対象IDと、ID記憶部10bが記憶している監視対象IDとの両方を記憶しなければならない。
【0039】
そして、判定手段13の処理部15は、無線送受信部16を介して上記ID送信手段9aおよびID送信手段9bからそれぞれ受信したIDと、ID記憶部14が記憶しているIDとを対比して、受信したIDが、ID記憶部14が記憶しているIDに一致するか否かを判定する。判定した結果、受信したIDのいずれか一方または両方が、ID記憶部14が記憶しているIDと一致しなかった場合には、呼び出しランプ2を点灯させるとともに、発射モーター17を停止させる。これにより、この遊技機1の制御基板8または遊技パネル7が不正に交換されたことを、遊技場の従業員に知らせることができるとともに、その状態で遊技を続けることができないようにすることもできる。
【0040】
この第3実施形態のシステムも、第2実施例と同様に1台の遊技機1内で、完結しているので、遊技機1外に、大きな設備を必要としないし、遊技機1の配列を自由にすることができる。
第3実施形態のシステムでは、制御基板8だけでなく、遊技パネル7にもID送信手段9bを設けたので、制御基板8をそのままにして、遊技パネル7を交換すると行った不正が行われた場合にも、それを検出することができる。
このように、複数のID送信手段9a,9bを設ければ、複数の監視対象をそれぞれ個別に監視することができる。
1台の遊技機1において、監視対象をいくつ設定してもかまわないが、多くすればするほど、ID送信手段を多く設けなければならないし、判定手段13に多くの監視対象IDを記憶させなければならないので、コストや、不正行為の発生頻度などに応じて監視対象を決めるようにすればよい。
なお、上記第2、第3実施形態において、判定手段13を遊技機本体に設けたのは、制御基板や制御パネルと比べ、遊技機本体は不正行為によって交換される心配がないからである。
【0041】
図10〜図12に示す第4実施形態は、請求項4に係わる発明の監視システムを用いた例である。
そして、図10に示すように、遊技機1の遊技機本体に監視装置18を取り付けるとともに、この監視装置18に接続された接続部24を、遊技パネル7の背面に設けた制御基板8に取り付けている。
上記監視装置18は、図11に示すように、処理部19と、これに接続した断線検出部20、データ記憶部21、出力部22と、バッテリー23とを備えている。バッテリー23は、上記監視装置18内の上記処理部19、断線検出部20,データ記憶部21、出力部22に電源を供給するためのバッテリーである。
【0042】
そして、上記監視装置18の断線検出部20からは、監視装置18の外部に出る2本の配線25a,25bが接続され、これらの配線の端部を接続した接続部24を、制御基板8に設けている。
図12に示すように、制御基板8には、抵抗Rを実装し、その両端をコネクタ26a,26bに接続している。そして、これらのコネクタ26a,26bにそれぞれ上記配線25a,25bを連結する。これにより、断線検出部20の2点に接続した配線25a,25bが、監視装置18の外部である、制御基板8内で抵抗Rを介して接続される。
上記抵抗R、コネクタ26a,26b、配線25a,25bを含む一点鎖線の部分が、この発明の接続部にあたる。
【0043】
上記断線検出部20は、配線25aと25b間が接続されているか否かを検出する機能を備えている。例えば、上記バッテリー23の電圧を利用して、抵抗Rの抵抗値を検出する回路が組み込まれている。従って、上記コネクタ26aや26bから、配線25a,25bが外された場合や、配線の途中が切れた場合には、断線検出部20は、正規の抵抗値が検出できないため、断線と判断する。断線検出部20は、断線と判断したら、断線検出信号を上記処理部19に対して出力する機能を備えている。
なお、上記接続部24としては、上記抵抗Rの代わりにコンデンサなど、他の電子部品を用いてもよい。また、コネクタ26aと26bの間を、単に導線で接続した状態でもよい。要するに、配線25aと25bとが接続状態であるのか、断線状態であるのかを、断線検出部20が検出できればよい。
【0044】
処理部19は、上記断線検出信号が入力されたら、断線したことを断線情報としてデータ記憶部21に記憶させる。遊技機の通常の使用状態では、断線状態となることはないので、断線情報は、断線状態に一度でもなったか否かがわかるビット単位の情報であってもよいし、断線時刻などのデータであってもよい。
また、処理部19は、外部からの要求に応じて、データ記憶部21が記憶している断線情報を、出力部22を介して外部に出力する機能を備えている。
【0045】
このような監視システムを用いて、遊技場に設置された遊技機1の制御基板8が、不正に交換されたことを検出する手順を説明する。
図10、図11のように、上記制御基板8に上記接続部24を設けた状態で、制御基板8を取り外す場合には、上記コネクタ26a,26bから配線25a,25bを外して、その後別の基板のコネクタに、上記配線25a,25bを接続する。
断線検出部20は、配線25a,25bがコネクタ26a,26bから外された時点で、断線を検出し、断線検出信号を出力する。
データ記憶部21は、上記断線検出信号を受けて断線情報をデータ記憶部21に記憶させる。その後、別の制御基板が取り付けられて、配線25a,25b間が接続状態になっても、データ記憶部21には、断線情報が記憶されている。
【0046】
従って、処理部19は、図示しない外部装置からの問い合わせに応じて、データ記憶部21が記憶している断線情報を出力する。出力された断線情報により、制御基板8が、交換された可能性があることを知ることができる。
例えば、閉店後に、制御基板が不正に交換された場合にも、データ記憶部21が記憶している断線情報から、不正行為を確認することができる。
なお、この第4実施形態では、制御基板8がこの発明の監視対象であり、監視対象側に監視装置18を設け、監視対象以外の部分に接続部24を設けているが、監視対象以外の部分に監視装置18を設けてもかまわない。
要するに、監視対象を取り外す際に、監視装置18と接続部24間の断線が検出できるように構成されていればよい。
【0047】
また、上記データ記憶部21にその監視装置18に固有の装置IDを記憶させておいて、外部装置からの問い合わせに応じて、それを出力させるようにすれば、より確実に不正を検出することができる。
なぜなら、上記のように監視装置18の断線検出部20検出した断線情報をデータ記憶部21が記憶していることによって、不正を検出するようにしているが、監視装置18そのものを交換された場合にも、正しい装置IDが出力されたかどうかということによって、監視装置18が交換されたことを検出できる。
例えば、制御基板8に監視装置18を取り付け、遊技機本体に接続部24を取り付けていた場合、監視装置18ごと制御基板8を取り外してから、偽の監視装置を取り付けた制御基板を取り付けて、遊技機本体の接続部24と接続し直しても、そのことを検出できないことがある。ただし、監視装置18が、装置IDを出力するようにしておけば、偽の監視装置から、正しい装置IDが出力されない場合に、不正があったことを知ることができる。
【0048】
図13〜図19を用いて、第5実施形態を説明する。図13は、3台の監視装置A,B,Cを備えたグループ監視システムである。各監視装置A,B,Cはそれぞれ遊技場に設置したパチンコ台などの遊技機の制御基板などの監視対象に取り付けるものとする。
そして、各監視装置A,B,Cが、他の全ての監視装置を監視する監視システムである。
なお、監視対象とそれに取り付けた各監視装置A,B,Cとは一体なので、ここでは、監視装置同士が監視し合っているとして説明をする。
【0049】
上記監視装置A,B,Cは、図14に示すように、処理部27と、IDを記憶するID記憶部28と、他の監視装置B,Cとの間で通信を行うための無線送受信部29とを備えている。
上記無線送受信部29で信号をやりとりできる通信エリアは、各監視装置A,B,Cを中心とする円である(図13参照)。そして、それぞれの通信エリア内に位置している監視装置から送信されるID信号を直接受信するようにしている。
なお、いずれかの監視装置の通信エリア内に位置する監視装置同士を、全て、同一グループのメンバーと定義する。厳密には、各監視装置を取り付けた遊技機が、同一グループである。例えば、同一島内に設置された遊技機に、監視装置を取り付けて、これら島内の遊技機同士が、他のメンバーを監視するようにする。
【0050】
上記ID記憶部28は、監視装置のIDを記憶する記憶部であり、初期状態では、自身のIDのみを記憶している。
また、処理部27は、ID記憶部28が記憶しているIDを、上記無線送受信部29を介して送信し、受信したIDをID記憶部28へグループIDとして記憶させる機能を備えている。IDの送受信タイミングは、予め処理部27に設定されたプログラムに基づいて制御されるようにする。例えば、ID記憶部28が記憶している自身のIDを定期的に送信し、他の監視装置から送信されたIDを定期的に受信するようにする。また、他の監視装置に対して所定のタイミングで、ID問い合わせ信号を送信し、これを受信した監視装置が、ID記憶部28に記憶している自身のIDを送信するようにしてもよい。
さらに、上記処理部27は、上記無線送受信部29を介して受信した全てのIDをグループIDとして、ID記憶部28に記憶させる機能を備えている。
【0051】
そして、図13に示すように、監視装置Aは、監視装置Bの通信エリア内に位置し、監視装置Bは、監視装置AおよびCの通信エリア内に位置し、監視装置Cは、監視装置Bの通信エリア内に位置している。つまり、監視装置Aを一の監視装置とすると、監視装置Bが一の監視装置の通信エリア内に位置する他の監視装置であり、監視装置Cが、他の監視装置(監視装置B)の通信エリア内で、かつ上記一の監視装置(監視装置A)の通信エリア外に位置する監視装置である。このような位置関係にある3台の監視装置A,B,Cは同一グループのメンバーである。そして、各監視装置A,B,Cが直接通信可能な監視装置は、図15に示す通りである。
また、各監視装置は、他の装置から受信したIDを、自身の通信エリア内の別の装置に対して送信する機能も備えている。
【0052】
以下に、図13の位置関係を維持した状態で、各監視装置A,B,Cが通信を開始し、グループIDを記憶する手順を説明する。
初期状態では、各ID記憶部28は、自身のIDのみを記憶していて、グループIDは記憶していない。
まず、処理部27は、無線送受信部29を介して、自身のIDを送信するとともに、他の監視装置から送信されたIDを受信する。受信したIDを、通信エリア内の監視装置に対して送信するとともに、自身のID記憶部28にグループIDとして記憶させる。
【0053】
図15の表では、各監視装置に、直接送受信が可能な装置と、受信IDとを対応づけて表している。そして、各装置のIDは装置の符号に括弧()をつけて表している。
上記受信するIDとして直接受信するIDと間接受信するIDとを分けて表しているが、上記直接受信するIDとは、自身の送信エリア内に位置する監視装置から発信されるIDのことである。つまり、上記通信エリア内に位置する監視装置のIDであり、間接受信するIDとは、その他の監視装置のIDである。
【0054】
例えば、監視装置Aは、自身のID(A)を監視装置Bに対して送信し、監視装置Bは、ID(B)を、監視装置Aと監視装置Cへ送信する。監視装置Bは、監視装置AからID(A)を、監視装置CからID(C)をそれぞれ受信し、これらを自身のID(B)とともにグループIDとして記憶させる。つまり、監視装置Bは、ID(A),ID(B),ID(C)をID記憶部28に記憶する。
さらに、監視装置Bは、監視装置Aおよび監視装置Cと送受信可能であるため、監視装置Aから受信したID(A)を上記監視装置Cへ送信し、上記監視装置Cから受信したID(C)を監視装置Aへ送信する。
これにより、監視装置Aおよび監視装置Cは、上記ID(A),ID(B),ID(C)を受信し、それらをグループIDとして自身のID記憶部28に記憶させる。
【0055】
つまり、監視装置Aは、通信エリア外に位置する監視装置CのID(C)と、はじめに自身が送信した自身のID(A)とを監視装置Bから受信するが、これらを間接的に受信するIDということにした。
同様に、監視装置Cも、監視装置BからID(B)を直接受信し、ID(A)およびID(C)を間接的に受信する。
これらの送受信関係を、図16に、直接受信を実線で、間接受信を点線で示している。その結果、全ての監視装置A,B,Cは、同一グループに属する全ての監視装置のID(A),ID(B),ID(C)を直接または間接的に受信して、グループIDとして記憶し、グループ登録することができる。
【0056】
このように登録されたグループの監視可能なエリアは、図17の斜線で示すエリアS1である。このエリアS1内に、新たな監視装置が位置した場合には、それをグループのメンバーとして登録することができる。
例えば、図17に示す斜線のエリアS1内なら、どこに新しい監視装置Dが入ってきても、そのID(D)をグループIDとして、全ての監視装置A〜CのID記憶部28が記憶し、監視装置Dも、全ての監視装置A〜DのIDをID記憶部28に記憶し、グループのメンバーとして登録することができる。例えば、監視装置Cを備えた遊技機の隣に設置された遊技機に監視装置Dを取り付けた場合である。
【0057】
監視装置Dが、図17の白丸○位置に入ったとき、この監視装置Dは、監視装置Cの通信エリア内に位置するので、監視装置Cとの間では、直接IDの送受信ができるが、他の監視装置A,Bとの間での通信はできない。
監視装置Dが上記エリアS1内に入る前の状態では、各監視装置A〜Cは、上記図16のような通信の結果、全てのID(A),ID(B),ID(C)をグループIDとして記憶している。
【0058】
そこに、監視装置Dが入った場合の、IDの送受信関係を図18に示す。ここでも、直接の送受信を実線で示し、間接的な送受信を点線で示している。
図18に示すように、監視装置Dは、自身のID(D)を監視装置Cへ送信するとともに、監視装置Cから送信されるID(C)を直接受信し、ID(A),ID(B),ID(D)を間接的に受信する。
また、監視装置Cは、上記監視装置DからID(D)を受信したら、それをグループIDとしてID記憶部28に記憶させるとともに、このID(D)を自身の通信エリア内にある監視装置Bおよび監視装置Dに対して送信する。
【0059】
監視装置CからID(D)を受信した監視装置(B)は、このID(D)をグループIDとしてID記憶部28に記憶させるとともに、自身の通信エリア内にある監視装置Aに対してID(D)を送信する。
監視装置Aは、ID(D)を受信したら、それをグループIDとしてID記憶部28に記憶させる。
【0060】
以上の手順によって、全ての監視装置A〜Dが、全てのID(A)〜ID(D)をグループIDとしてID記憶部28に記憶させ、新しいグループ登録が完了する。
このように、既存のグループを構成するメンバーの監視装置の通信エリア内、すなわち、監視可能なエリア内に、新たな監視装置が入ったときには、自動的に、新たな監視装置を加入させてグループ登録が完了する。新しい遊技機を追加設置する場合にも、グループ登録のための特別な登録作業をしなくても、次々に、グループ登録ができる。
なお、上記の例では、各監視装置が、受信したIDをその送信元に対しても送信するようにしているが、IDを受信したときに、送信元を特定して、送信元には送信しないように設定しておいてもよい。ただし、送信元にも、かまわず送信するようにすれば、IDを受信したときに、IDの送信元を特定する機能が必要なくなる。
また、同様に、他の監視装置から受信した自身のIDも、受信したIDから省いて送信してもよい。
【0061】
次に、グループ登録が完了した監視装置A〜Dにおいて、互いにメンバーが、グループから脱落していないかどうかを監視する手順を説明する。
いずれかのメンバーが脱落するということは、そのメンバーが、他のメンバーのいずれの通信エリアからもはずれるということである。例えば、監視装置Dが脱落するとは、図17に示したエリアS1外に移動したということである。具体的には、この監視装置Dを取り付けた遊技機の制御基板が外された場合である。
【0062】
そして、脱落メンバーを特定するため、各監視装置A〜Dの処理部27は、次のような機能を備えている。すなわち、処理部27は、自身の通信エリア内に位置する他の監視装置から受信したIDを、ID記憶部28が記憶しているグループIDと対比して、全てのグループIDを受信したかどうかを判断する機能と、上記グループIDのうち受信しないIDがあったときに、異常検出信号を出力する機能とを備えている。なお、上記処理部27を、図示しない警報装置などの出力部に接続し、上記異常検出信号によって、警報を発生させるようにする。ただし、上記異常検出信号の出力先は、警報装置に限らず、異常を検出したことがわかれば、どのようなものでもかまわない。
【0063】
上記のように、各監視装置A〜Dが、それぞれグループIDとしてID(A),ID(B),ID(C),IC(D)を記憶した状態から、上記監視装置Dが、図17の斜線で示すエリアS1の外に離れてしまうと、監視装置Dは、他の監視装置A〜Cのいずれとも通信ができなくなる。そのため、監視装置Dが離れた後の送受信タイミングにおいて、監視装置A,B,Cは、ID(D)を受信しない。そこで、各監視装置A〜Cの処理部27は、各ID記憶部28が記憶しているグループIDの中の、ID(D)を受信しなかったことを認識し、異常検出信号を出力する。これにより、監視装置Dが、グループから離れたことを検出できる。
【0064】
一方、監視装置Dは、他の監視装置A〜Cから送信されるいずれのIDも受信できないので、自身のID記憶部28が記憶しているグループID(A)〜ID(D)のいずれも受信しない。従って、監視装置Dの処理部27も、異常を検出して、異常検出信号を出力する。
このような場合、監視装置A〜Cから、監視装置Dが離れてしまったと考えることもできるし、監視装置Dから、他のメンバーである監視装置A〜Cが、離れてしまったと考えることもできる。
【0065】
このようなグループ監視システムでは、一台の監視装置の通信エリアに比べて、広いエリアをグループとして監視することが可能である。
上記監視装置を、パチンコ台などの遊技機の制御基板に搭載して、遊技機を監視することもできる。
遊技場においては、同一機種の遊技機を並べて設置することが多いが、この機種ごとにグループを構成して、グループ内の遊技機のIDを監視し、グループとして管理することもできる。
【0066】
この場合、一つの監視装置の通信エリア内には、少なくとも、隣接する遊技機に設けられた1台の監視装置が位置していれば、次々に、IDを送信することができる。そのため、全ての遊技機の監視装置が、一番端の遊技機に設置された監視装置の通信エリア内に位置する必要がない。言い換えれば、個々の監視装置の通信エリアに比べて、広いエリアをグループとして監視できる。
新しく設置された遊技機を、グループメンバーとして認識できるエリア、すなわち、グループとして監視可能なエリアは、例えば、監視装置A〜Cの時には、図17のエリアS1である。
【0067】
これに対し、各監視装置が、直接通信できる監視装置のIDしか受信できない場合には、個々の監視装置の通信エリアを大きくする必要がある。
例えば、一つの監視装置Aが、グループ内の全ての遊技機を監視できるようにするために、図19に示すように、遊技機に取り付けられた全ての監視装置A〜Dが、監視装置Aの通信エリア内に位置していなければならない。つまり、一つの監視装置Aの通信エリアと監視可能なエリアとが一致する必要がある。
このような場合、図19に示すように、一つの監視装置Aの通信エリアS2が、図13に示す個々の円と比べて非常に大きくなってしまう。
【0068】
また、上記第5実施形態のシステムでは、グループ内に、新しい遊技機を設置した場合には、監視装置間でIDの送受信を行って、自動的にグループIDを登録できるので、遊技機の設置時に特別な設定が不要である。
さらに、いったんグループ登録を行った後に、グループ内で遊技機の配置を交換するなどしても、グループIDはそのまま維持される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】遊技島の状態を示した正面図である。
【図2】第1実施形態のシステム構成図である。
【図3】第1実施形態のシステムにおいてID記憶部が記憶しているIDを示したテーブルである。
【図4】第1実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
【図5】第1実施形態における不正検出状態を説明するための模式図である。
【図6】第1実施形態における不正検出状態を説明するための模式図である。
【図7】第2実施形態のシステム構成図である。
【図8】第2実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】第3実施形態のシステム構成図である。
【図10】第4実施形態のシステム個性図である。
【図11】第4実施形態の監視装置の構成図である。
【図12】第4実施形態の接続部の説明図である。
【図13】第5実施形態のシステムにおける監視装置の通信エリアを示した模式図である。
【図14】第5実施形態の監視装置の構成図である。
【図15】第5実施形態の各監視装置の通信を示した表である。
【図16】第5実施形態におけるID信号の流れを示した図である。
【図17】第5実施形態のグループに新しいメンバーが入ってきた状態を示す模式図である。
【図18】第5実施形態において新たなグループ設定を行う際のID信号の流れを示した図である。
【図19】直接通信しかできない監視装置絵を用いた監視システムの説明図である。
【符号の説明】
【0070】
1,1a,1b,・・・ 遊技機
4 ID記憶部
5 処理部
6 無線送受信部
7 遊技パネル
8 制御基板
9,9a,9b ID発信手段
10,10a,10b ID記憶部
11,11a,11b 処理部
12,12a,12b 無線送受信部
13 判定手段
14 ID記憶部
15 処理部
16 無線送受信部
18 監視装置
19 処理部
20 断線検出部
21 データ記憶部
23 バッテリー
24 接続部
25a,25b 配線
26a,26b コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機の、それぞれの遊技パネルや制御基板などの監視対象に直接もしくは間接的に、相互監視機能を有する監視手段を設け、この監視手段は、自身のIDおよび相互監視の監視対象IDを記憶する記憶部と、処理部と、無線送受信部とを備え、上記処理部は、自身のIDを無線送受信部を介して送信する機能と、上記相互監視の監視対象IDを無線送受信部を介して受信する機能と、受信したIDを上記記憶部が記憶している監視対象IDと対比する機能と対比した両IDが一致するか否かを判定する機能と、その判定結果を出力する機能とを備えた遊技機の監視システム。
【請求項2】
遊技機の遊技パネルや制御基板などの監視対象に直接あるいは間接的に設けるとともに監視対象IDを記憶し、それを無線送信する機能を有するID送信手段と、上記遊技機の監視対象を除いた遊技機本体に設けた判定手段とを備え、この判定手段は、上記ID送信手段が記憶している監視対象IDを記憶する機能と、上記ID送信手段から送信されたIDを受信する機能と、受信したIDと自身が記憶している監視対象IDとを対比する機能と、対比した両IDが一致するか否かを判定する機能と、その判定結果を出力する機能とを備えた遊技機の監視システム。
【請求項3】
上記処理部は、対比したIDが一致しないと判定したとき、上記判定結果として上記遊技機の遊技機能を停止させるための制御信号を出力する機能を備えた請求項2に記載の遊技機の監視システム。
【請求項4】
監視装置と、監視装置内の2点にそれぞれ接続した配線を監視装置の外部で接続する接続部とからなり、上記監視装置または上記接続部のいずれか一方を遊技機の制御基板などの監視対象に設けるとともに他方を上記遊技機であって上記制御対象以外の部分に設け、上記監視装置は、処理部と、この処理部に接続したデータ記憶部と、断線検出部と、これら処理部、データ記憶部および断線検出部に、電源を供給するバッテリーとを備え、上記断線検出部は、上記監視装置と上記接続部との間の接続または断線を検出する機能と、その結果を上記処理部に対して出力する機能とを備え、上記処理部は、上記断線検出部から断線検出信号を受信したとき、上記データ記憶部に断線したことを断線情報として記憶させる機能と、データ記憶部が記憶している断線情報を出力する機能とを備えた遊技機の監視システム。
【請求項5】
上記データ記憶部は、その監視装置固有の装置IDを記憶する機能を備え、上記処理部は、データ記憶部が記憶している装置IDを出力する機能を備えた請求項4に記載の遊技機の監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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