説明

遊技機の装飾装置

【課題】 最小限の発光ダイオードにより、多数の光輝部を出現させることを可能にし、低コストで消費電力も少ない遊技機の装飾装置を提供する。
【解決手段】 遊技盤に設けられる基板11の表面に、外周面が角錐状または円錐状をなし、かつ外周面に中央反射面18を有する中央反射体12を、小径部が根元になるように突設するとともに、中央反射体12の小径部に対向する位置に、中央反射面18を照射可能な光源14を設け、さらに、中央反射体12の周辺に、中央反射面18から放射方向へ反射される光源14の光を基板11の表面に対してほぼ直角な方向へ反射可能な周辺反射面20を有する周辺反射体13を複数設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パチンコ機、スロットマシン等の遊技機の遊技盤面を光源により装飾するようにした遊技機の装飾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機、スロットマシン等の遊技機においては、遊技盤面またはその周辺部に多数のランプまたは発光ダイオード等の光源を点灯または点滅させて、遊技者に興趣を持たせるようにした装飾装置が設けられている。また、パチンコ機においては、遊技領域に打ち込まれた遊技球が特定の入賞口に入って、図柄変動装置が変動表示して、停止したときの図柄の表示形態が予め定められた特定表示形態になると、光源を点灯または点滅させることにより、多数の光輝部(明るく輝く部分)を出現させるようにした装飾装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2003−10406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の装飾装置は、多数の光輝部を出現させるためには多数の発光ダイオードを点灯または点滅させるようにしているため、コストが高くなるとともに、消費電力も大きくなる問題がある。
【0004】
本発明は、上述のような従来の課題を解決するためになされたもので、その目的は、最小限の発光ダイオードにより、多数の光輝部を出現させることを可能にし、低コストで消費電力も少ない遊技機の装飾装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)遊技盤面を光源により装飾するようにした遊技機の装飾装置において、前記遊技盤に設けられる基板の表面に、外周面が角錐状または円錐状をなし、かつ該外周面に中央反射面を有する中央反射体を、小径部が根元になるように突設するとともに、前記中央反射体の小径部に対向する位置に、前記中央反射面を照射可能な光源を設け、さらに、前記中央反射体の周辺に、前記中央反射面から放射方向へ反射される前記光源の光を前記基板の表面に対してほぼ直角な方向へ反射可能な周辺反射面を有する周辺反射体を複数設ける。
【0006】
(2)上記(1)項において、中央反射体及び周辺反射体を基板と一体的に形成するとともに、中央反射面及び周辺反射面をメッキ処理により形成する。
【0007】
(3)上記(1)または(2)項において、周辺反射体の周辺反射面を、着色反射面とする。
【0008】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、複数の光源を並設し、該複数の光源を順次点滅させる。
【0009】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、基板を、遊技盤と一体的に形成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
(a)請求項1記載の発明によると、光源の光を中央反射体により反射させるとともに、その反射された光を複数の周辺反射体で反射させるようにしたので、少ない光源で多数の光輝部を出現させることができ、安価でかつ消費電力を節約できる。
【0011】
(b)請求項2記載の発明によると、中央反射体及び周辺反射体を基板と一体に成形し、各反射体をメッキ処理するだけで反射面を簡単に形成できる。
【0012】
(c)請求項3記載の発明によると、周辺反射体の反射面を着色反射面とすることにより、種々の色彩の光の光輝部を出現させることができ、より装飾効果を高めることができる。
【0013】
(d)請求項4記載の発明によると、複数の光源を順次点滅させることにより、少ない光源で、光輝部が回転しているように見せることができる。
【0014】
(e)請求項5記載の発明によると、中央反射体、周辺反射体及び基板を、遊技盤と一体的に形成することができるため、組立が簡単になり、コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係わる装飾装置を適用した遊技機をなすスロットマシンの正面図、図2は、装飾装置の斜視図、図3は、装飾装置の正面図、図4は、図3におけるIV−IV線に沿う縦断面図、図5は、図3におけるV−V線に沿う縦断面図である。なお、以下の説明では、図1及び図3における紙面手前を遊技機及び装飾装置の前方とし、紙面奥側を同じく後方とし、左側を同じく左方とし、右側を同じく右方とする。
【0016】
スロットマシン(1)は、図柄、数字等で構成される複数の識別情報を変動及び停止表示可能な図柄表示装置(2)、電源装置(図示略)、遊技媒体であるメダルを払い出し可能なホッパー装置(図示略)、及び各装置を制御する制御基板(図示略)等が収容された筐体(3)と、筐体(3)の前面に開閉可能に設けられた遊技盤をなす合成樹脂製の前扉(4)とを備える。
【0017】
前扉(4)の前面のほぼ中央部には、図柄表示装置(2)の識別情報を視認可能とする矩形の表示窓(5)が設けられ、表示窓(5)の上方には、演出及び装飾用の光源(図示略)が収容されたランプカバー(6)、また、同じく下方には、遊技時に操作される各種操作スイッチが配置された操作領域部(7)がそれぞれ設けられている。
【0018】
操作領域部(7)の右上部には、遊技を開始するときにメダルが投入されるメダル投入口(8)が設けられ、また、同じく左右両側には、装飾面をなす光透過性の装飾カバー(9)が設けられている。装飾カバー(9)の後側には、点灯または点滅等により装飾カバー(9)の表面を光らせることにより、遊技時の演出及び装飾効果を高める本発明に係わる装飾装置(10)が設けられている。
【0019】
なお、本発明に係わる装飾装置(10)が設けられる場所は、本実施形態に特定されるものでなく、前扉(4)の上部に設けられたランプカバー(6)の後側でも良いし、その他の場所で光により装飾する装飾面であればどの場所でも適用可能である。
【0020】
次に、装飾装置(10)について詳細に説明する。図2〜図5に示すように、装飾装置(10)は、合成樹脂製の基板(11)の表面(前面)に、外周面をほぼ円錐形とするラッパ型(主に図5参照)をなし、かつ外周面に、例えばクロムメッキ処理により形成される中央反射面(18)を有する中央反射体(12)を、小径部(12a)(基板(11)の表面に対向する部分)が根本になるように突設するとともに、この中央反射体(12)の小径部(12a)に対向する位置に、中央反射面(18)を照射可能な光源をなす1個の発光ダイオード(14)を設け、さらに、中央反射体(12)の周辺、具体的には、中央反射体(12)を中心とする円周方向へ所定の間隔を置いて配置される複数の周辺反射体(13)を設けることによって形成されている。なお、各図における周辺反射体(13)の符号は、図面簡素化のため、一部の周辺反射体(13)のみに付与し、他の周辺反射体(13)については省略する。
【0021】
中央反射体(12)及び周辺反射体(13)は、基板(11)と一体的にされるが、これに変えて、中央反射体(12)及び周辺反射体(13)を基板(11)と別体で形成しても良い。
【0022】
基板(11)は、合成樹脂製で形成されるとともに、装飾カバー(9)の後面に対向するように前扉(4)に固定される。このように基板(11)を前扉(4)と別体に形成すると、所望の箇所に装飾装置(10)を取り付けることができる。しかし、本発明はこれに特定されるものでなく、前扉(4)と一体的に形成しても良い。この場合には、基板(11)の前扉(4)に対する組み付け作業が不要となり、コストの低減を図ることができる。
【0023】
中央反射体(12)は、その外周面に設けられた4個所の脚部(16)により、小径部(12a)と基板(11)の表面との間に若干の隙間(17)(図4参照)が設けられるように突設される。また、中央反射面(18)は、発光ダイオード(14)の光を放射方向へ反射しうるように基板(11)の表面に対してほぼ45度傾いている。
【0024】
なお、中央反射体(12)は、外周面を円錐形とするラッパ型に特定されるものでなく、例えば、外周面を角錐形としたラッパ型、または、ラッパ型でない単に円錐形や角錐形としても良い。要するに、外周面が円錐形または角錐形をなし、かつ外周面に、発光ダイオード(14)の光を放射方向へ反射しうるように傾斜する中央反射面(18)を有する形状であればどのような形状であっても良い。
【0025】
各周辺反射体(13)は、中央反射体(12)に向かって下り傾斜の傾斜面(19)が形成された側面視三角形状のもので、傾斜面(19)には、中央反射面(18)と同様なクロムメッキ処理により周辺反射面(20)が形成されている。
【0026】
発光ダイオード(14)は、中央反射体(12)の小径部(12a)に対向するように、取付基板(21)を介して基板(2)に固定される。発光ダイオード(14)が点灯または点滅すると、発光ダイオード(14)から出た光は、図5に示すように、中央反射体(12)の前後方向へ貫通する開口部(12b)を通過して矢印A方向から装飾カバー(9)を照射するとともに、中央反射体(12)の中央反射面(18)により放射方向(矢印B方向)へ反射される。そして、放射方向へ反射された光は、各周辺反射体(13)の周辺反射面(20)により基板(11)の表面に対してほぼ直角な方向(矢印C方向)へ反射される。これにより、各周辺反射面(20)が明るく輝くため、1個の発光ダイオード(14)により、周辺反射面(20)の数に対応する光輝部を得ることができ、装飾カバー(9)の表面に多数の光輝部を出現させることができる。
【0027】
また、必要に応じて、各周辺反射面(20)を、赤、緑、青等、周辺反射面(20)毎に異なった色の塗装あるいはメッキ等により形成することも可能である。この場合には、それぞれの周辺反射面(20)から異なった色の光輝部を出現させることができる。
【0028】
図6及び図7は、本発明における他の実施形態の入賞装置を示す。
第2実施形態においては、基板(11)に設けられる中央反射体(12)の小径部(12a)に対向する位置に光源をなす複数、具体的には3個の発光ダイオード(22a)〜(22c)を周方向へ並設している。各発光ダイオード(22a)〜(22c)の光りは、中央反射体(12)の中央反射面(18)のそれぞれの面を照射して、中央反射面(18)によりそれぞれの放射方向へ反射された後、各周辺反射体(13)の周辺反射面(20)により装飾面に向けて反射される。なお、発光ダイオードは、3個に特定されるものでなく、複数であれば何個でも良い。
【0029】
なお、発光ダイオード(22a)の光は、範囲(R1)内にある周辺反射面(20)に向けて重点的に反射し、発光ダイオード(22b)の光りは、範囲(R2)内にある周辺反射面(20)に向けて重点的に反射し、また、発光ダイオード(22c)の光は、範囲(R3)内にある周辺反射面(20)に向けて重点的に反射するようになっている。これにより、各発光ダイオード(22a)〜(22c)を制御する駆動回路(図示略)をもって、各発光ダイオード(22a)〜(22c)を時間差をもって順次点滅を繰り返すように制御することにより、光りが反射される範囲を円周方向へ移動させることができるため、光輝部が回転しているように見せることができる。また、複数の発光ダイオード(22a)〜(22c)は、同一色でもよいが、異種光発光ダイオードを使用すると、より興趣に富んだ装飾効果が得られる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(i)装飾装置を、前扉以外の装飾面に設ける。
(ii)装飾装置をパチンコ機、その他の遊技機に適用する。
(iii)光源を発光ダイオードに代えてランプとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係わる装飾装置を適用した遊技機の正面図である。
【図2】装飾装置の斜視図である。
【図3】装飾装置の正面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿う縦断面図である。
【図5】図3におけるV−V線に沿う縦断面図である。
【図6】他の実施形態における装飾装置の正面図である。
【図7】他の実施形態における装飾装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
(1)スロットマシン(遊技機)
(2)図柄表示装置
(3)筐体
(4)前扉(遊技盤)
(5)表示窓
(6)ランプカバー
(7)操作領域部
(8)メダル投入口
(9)装飾カバー(装飾面)
(10)装飾装置
(11)基板
(12)中央反射体
(12a)小径部
(12b)開口部
(13)周辺反射体
(14)発光ダイオード(光源)
(16)脚部
(17)隙間
(18)中央反射面
(19)傾斜面
(20)周辺反射面
(21)取付基板
(22a)〜(22c)発光ダイオード(光源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面を光源により装飾するようにした遊技機の装飾装置において、
前記遊技盤に設けられる基板の表面に、外周面が角錐状または円錐状をなし、かつ該外周面に中央反射面を有する中央反射体を、小径部が根元になるように突設するとともに、前記中央反射体の小径部に対向する位置に、前記中央反射面を照射可能な光源を設け、さらに、前記中央反射体の周辺に、前記中央反射面から放射方向へ反射される前記光源の光を前記基板の表面に対してほぼ直角な方向へ反射可能な周辺反射面を有する周辺反射体を複数設けたことを特徴とする遊技機の装飾装置。
【請求項2】
中央反射体及び周辺反射体を基板と一体的に形成するとともに、中央反射面及び周辺反射面をメッキ処理により形成したことを特徴とする請求項1記載の遊技機の装飾装置。
【請求項3】
周辺反射体の周辺反射面を、着色反射面としたことを特徴とする請求項1または2記載の遊技機の装飾装置。
【請求項4】
複数の光源を並設し、該複数の光源を順次点滅させるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の遊技機の装飾装置。
【請求項5】
基板を、遊技盤と一体的に形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遊技機の装飾装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−269(P2006−269A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178009(P2004−178009)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】