説明

遊技機の遊技球払出装置

【課題】球抜き作動時に遊技球による通路詰まりを回避できる遊技機の遊技球払出装置の提供。
【解決手段】パチンコ遊技機の遊技球払出装置は、入賞に応じて所定の回転数だけ回転し供給側通路1aからの遊技球Bを払出側通路2aへ所定数払い出し可能な払出ロータ40と、供給側通路1aからの遊技球Bを陥落口5aを介して排除する球抜き用通路6aと、供給側通路1aのうち陥落口5aの直前で遊技球Bを両溝縁部E,Eに跨らせて溝長さ方向に沿って転がして陥落口5a側へ送る球案内溝7aと、下位置と上位置との間で通路方向に沿ってスライド変位可能であって、下位置では陥落口5aを閉鎖すると共に球案内溝7aからの遊技球Bを受け載せて入口4aへ送り届け、上位置では球案内溝7aの溝長さ方向へ収容されて陥落口5aを開放する球通路橋8aを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給側通路からの遊技球を下流側の払出側通路へ所定数払い出し可能な払出ロータを備えた遊技機の遊技球払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のパチンコ遊技機の遊技球払出装置は、入賞に応じて所定の回転数だけ回転し供給側通路からの遊技球を下流側の払出側通路へ所定数払い出し可能な払出ロータと、払出側通路の途中から分岐した球抜き用通路とを備え、払出側通路と球抜き用通路との分岐点に球抜き機構が配置されている。この球抜き機構は分岐点に設けられた揺動可能な球抜き切替弁を有し、この球抜き切替弁のノーマル位置では球抜き用通路の入口を覆って閉鎖しているので、払出ロータからの遊技球が払出側通路の下流へ導かれるようになっており、一方、球抜き切替弁の球抜き位置では球抜き切替弁の先端側が払出側通路の対向壁面へ差し渡されるので、払出ロータからの遊技球が球抜き切替弁に遮られて球抜き通路へ案内されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−210448号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のパチンコ遊技機の遊技球払出装置においては、払出ロータから到来する遊技球のタイミングによっては、球抜き切替弁が払出側通路の対向壁面との間に到来した遊技球を瞬間的にも挟み込み易く、後続の遊技球が分岐点に滞留して通路を詰まらせる故障(ブリッジ)ともなり、球抜き作動の信頼性を却って損ねる原因となっていた。
【0005】
そこで、本発明の課題は上記問題点に鑑み、球抜き作動時に遊技球による通路詰まりを回避できる構造を備えた遊技機の遊技球払出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る遊技機の遊技球払出装置は、入賞に応じて所定の回転数だけ回転し供給側通路からの遊技球を下流側の払出側通路へ所定数払い出し可能な払出ロータと、供給側通路からの遊技球を払出側通路の入口よりも前にある陥落口を介して排除する球抜き用通路と、供給側通路で陥落口の前で遊技球を両溝縁部に跨らせて溝長さ方向に沿って転がして陥落口側へ送る球案内溝と、第1位置と第2位置との間で通路方向に沿ってスライド変位可能であって、第1位置では陥落口を閉鎖すると共に球案内溝からの遊技球を受け載せて上記入口へ送り届け、第2位置では球案内溝の溝長さ方向へ収容されて陥落口を開放する球通路橋を備えて成ることを特徴とする。
【0007】
ノーマル時は第1位置にある球通路橋が陥落口を閉鎖しているため、供給側通路の両溝縁部に跨って球案内溝を流れ下った遊技球は球通路橋上を転動して払出側通路の入口へ向かい、払出側通路へ導かれる。球抜き時では球通路橋が第2位置へスライド変位して球案内溝の溝長さ方向へ収容されるため、陥落口が開放状態となり、球案内溝を流下する遊技球は陥落口へ落ち込み、球抜き用通路へ導かれる。
【0008】
このように、本発明では、球通路橋をスライド変位で球案内溝側に対し抜き差しすることで、陥落口の閉鎖・開放を切り替えることができる。球抜き時において、遊技球が球通路橋上に載っている状態で球通路橋が球案内溝側へ収納されるときは、球通路橋が遊技球を拘束せず、その遊技球は通路を自然に下るだけであるから、タイミングによっては払出側通路の入口へ向うか、陥落口へ落ち込むかのいずれかであるので、遊技球を挟み込むことがなく、通路詰まりを抑制できる。
【0009】
また、可動体としての球通路橋は通路幅方向ではなく通路長さ方向へスライド変位するため、一般に遊技機の通路幅は一定寸法に限定されている条件下においても、球案内溝の溝幅は遊技球の直径近くにまで設定でき、それ故、この球案内溝に対し溝長さ方向から収納される球通路橋の通路幅も遊技球の直径近く幅広に設定できるので、球通路橋の強度を確保でき、払出装置の耐久性を高めることができる。
【0010】
そして、滑動可能な球通路橋ユニットが相平行する2条の球通路橋を備えている場合、
遊技球払出装置を2通路平行で構成することができ、球抜き動作の短時間化に資する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、球通路橋がスライド変位で球案内溝に対し抜き差し可能であるため、遊技球を挟み込まないので、球抜き作動時に到来する遊技球による通路詰まりを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)は本発明の一実施例に係るパチンコ遊技機の遊技球払出装置を片側ケースを外した状態のノーマル時を示す斜視図、(B)はその状態の球抜き時を示す斜視図である。
【図2】(A)は本発明の一実施例に係るパチンコ遊技機の遊技球払出装置を片側ケースを外した状態のノーマル時を示す正面図、(B)はその状態の球抜き時を示す正面図である。
【図3】(A)は本発明の一実施例に係るパチンコ遊技機の遊技球払出装置の内部構造のノーマル時を示す斜視図、(B)はその平面図である。
【図4】(A)は本発明の一実施例に係るパチンコ遊技機の遊技球払出装置の内部構造の球抜き時を示す斜視図、(B)はその平面図である。
【図5】同遊技球払出装置の組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本例のパチンコ遊技機の遊技球払出装置は2通路平行で構成されているが、まず図1〜図4に基づいて第1通路に限って説明すると、入賞に応じて所定の回転数だけ回転し下り勾配の供給側通路1aからの遊技球Bを通路天井側の掻き出し爪Kで下流側の払出側通路2aへ所定数払い出し可能な払出ロータ40と、供給側通路1aからの遊技球Bを払出側通路2aの入口4aの直前にある陥落口5aを介してほぼ真下へ排除する球抜き用通路6aと、供給側通路1aのうち陥落口5aの直前で遊技球Bを両溝縁部E,Eに跨らせて溝長さ方向に沿って転がして陥落口5a側へ送る球案内溝7aと、下位置と上位置との間で通路方向に沿ってスライド変位可能であって、下位置では陥落口5aを閉鎖すると共に球案内溝7aからの遊技球Bを受け載せて入口4aへ送り届け、上位置では球案内溝7aの溝長さ方向へ収容されて陥落口5aを開放する球通路橋8aとを備えている。
【0014】
本遊技球払出装置の部品構成は、図5に示す如く、支軸Jが差し込まれる円筒状の軸受部11並びに球通過センサユニットS,Sが差し込まれるセンサユニット挟持部12を前面側に有すると共に、支軸Jに装着される従動ギアGに噛み合う原動ギアGを持つモータM及び所要の電子部品を搭載する回路基板Pを背面側に有する樹脂製の本体ケース10と、この本体ケース10の背面側をネジbで止めて覆う樹脂製の裏蓋ケース20と、本体ケース10の前面側に嵌め込み固定される通路分離部材30と、通路分離部材30の円筒状の払出ロータハウジング30aに挿入され、従動ギアGの回転軸Sが中心孔hで噛み合い、2連の掻き出し爪K,Kを持つ払出ロータ40と、中心孔hの孔端に装着する軸受50と、相平行する2条の球通路橋8a,8bを備えて本体ケース10の下壁13の内側に滑動可能な球通路橋ユニット60と、この通路橋ユニット60の操作摘み61が突出する操作窓71を持つと共に球通過センサユニットSの端が嵌め込まれるセンサユニット受け部72を有し、本体ケース10の前面側をネジbで止めて覆う樹脂製の表蓋ケース70とを備えている。センサユニットSには通過孔として払出側通路2aの入口4aが形成され、同じくセンサユニットSには通過孔として払出側通路(図示せず)の入口4bが形成されている。
【0015】
本体ケース10は、図5に示す如く、第2通路の供給側通路1bの溝縁部Eを一体的に備え、下壁13とセンサユニット挟持部12との間に陥落口5a,5bを形成する陥落用開口部14を持ち、更に、センサユニット挟持部12の開口部14とは反対側に払出用通路2aを有している。また、本体ケース10には球通路橋ユニット60をスライド変位するための案内溝15が形成されている。そして、本体ケース10に通路分離部材30を組み込むことにより、球案内溝7bを両側に溝縁部E,Eを備えた第2通路の供給側通路1bが形成されると共に、陥落用開口部14が陥落口5a,5bに分離される。また、表蓋ケース70を組み込むことにより、球案内溝7aを両側に溝縁部E,Eを備えた第1通路の供給側通路1aが形成される。
【0016】
図1(A),図2(A),図3はノーマル時の状態を示す。球通路橋ユニット60が下位置にあり、陥落口5a(5b)を閉鎖すると同時に球通路橋8a(8b)が球案内溝7a(7b)の終わりから払出側通路の入口4a(4b)へ差し渡されているため、供給側通路1a(1b)の球案内溝7a(7b)の両縁部E,E(E,E)に跨って転がり下った遊技球Bは球通路橋8a(8b)上に乗り移り引き続き転動して払出側通路の入口4a(4b)へ向かい、払出側通路2aへ導かれる。
【0017】
図1(B),図2(B),図4は球抜き時の状態を示す。球通路橋ユニット60が通路の上位置へスライド変位する。即ち、球通路橋8a(8b)が球案内溝7a(7b)の溝長さ方向へ変位し、球案内溝7a(7b)側に収められるため、陥落口5a(5b)が開放状態となり、供給側通路1a(1b)の球案内溝7a(7b)の両縁部E,E(E,E)に跨って転がる遊技球Bは陥落口5a(5b)へ落ち込み、球抜き用通路6aへ導かれる。
【0018】
このように、本例では、球通路橋ユニット60をスライド変位で球通路橋8a(8b)を球案内溝7a(7b)に対し抜き差しすることで、陥落口5a(5b)の閉鎖・開放を切替ることができる。球抜き時、遊技球Bが球通路橋8a(8b)上に載っている場合に球通路橋8a(8b)が球案内溝7a(7b)側へ収納されるときは、球通路橋8a(8b)がその遊技球Bを路壁との間で挟み込むことはなく、その遊技球Bは通路を下るだけであるから、遊技球Bが払出側通路の入口4a(4b)へ向うか、陥落口5a(5b)へ落ち込むかのいずれかであるので、球通路橋ユニット60が遊技球Bを挟み込むことがなく、通路詰まりを抑制できる。
【0019】
また、可動体としての球通路橋ユニット60は通路幅方向ではなく通路長さ方向へスライド変位するため、一般に遊技機の通路幅は所定寸法に限定されている条件下においても、球案内溝7a(7b)の溝幅は遊技球Bの直径近くにまで設定でき、それ故、この球案内溝7a(7b)に溝長さ方向に収容される球通路橋8a(8b)の通路幅も遊技球Bの直径近く幅広に設定できるので、球通路橋8a(8b)の強度を確保でき、払出装置の耐久性を高めることができる。
【0020】
本例では、滑動可能な球通路橋ユニット60が相平行する2条の球通路橋8a,8bを備ており、遊技球払出装置を2通路平行で構成することができ、球抜き動作の短時間化に資する。そして、2条の球通路橋8a,8bは球通路橋ユニット60の下側にも巡っているため、そり状に滑動容易である。
【符号の説明】
【0021】
1a,1b…供給側通路
2a…払出側通路
4a,4b…入口
5a,5b…陥落口
6a…球抜き用通路
7a,7b…球案内溝
8a,8b…球通路橋
11…軸受部
10…本体ケース
12…センサユニット挟持部
13…下壁
14…陥落用開口部
15…案内溝
20…裏蓋ケース
30…通路分離部材
30a…払出ロータハウジング
40…払出ロータ
50…軸受
60…球通路橋ユニット
61…操作摘み
70…表蓋ケース
71…操作窓
72…センサユニット受け部
B…遊技球
,b…ネジ
,E…溝縁部
…原動ギア
…従動ギア
h…中心孔
J…支軸
,K…掻き出し爪
M…モータ
P…回路基板
S…回転軸
,S…球通過センサユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入賞に応じて所定の回転数だけ回転し供給側通路からの遊技球を下流の払出側通路へ所定数払い出し可能な払出ロータと、前記供給側通路からの前記遊技球を前記払出側通路の入口の前にある陥落口を介して排除する球抜き用通路と、前記供給側通路で前記陥落口の前で前記遊技球を両溝縁に跨らせて溝長さ方向に沿って転がして前記陥落口側へ送る球案内溝と、第1位置と第2位置との間でスライド変位可能であって、第1位置では前記陥落口を閉鎖すると共に前記球案内溝からの前記遊技球を受け載せて前記入口へ送り届け、第2位置では前記球案内溝の溝長さ方向へ収容されて前記陥落口を開放する球通路橋を備えて成ることを特徴とする遊技機の遊技球払出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機の遊技球払出装置において、相平行する2条の前記球通路橋を備えて滑動可能な球通路橋ユニットを有することを特徴とする遊技機の遊技球払出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−24429(P2012−24429A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167742(P2010−167742)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000177151)日本電産セイミツ株式会社 (143)
【Fターム(参考)】