説明

遊技機

【課題】 本物のゲームのようにプレイヤが自分の手で賭け位置にチップ(メダル)を持って行くことを入力として扱うことが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】 遊技機は、対象物が置かれたゲームテーブルを撮像し、画像データを出力する撮像手段と、前記撮像手段により出力された画像データを処理して、ゲームテーブル上の対象物の位置及びその対象物の種類を判定し、その対象物を使用したプレイヤ及び賭け位置を示す対象物情報を出力する対象物判定手段と、前記対象物判定手段から出力された対象物情報に基づいて、遊技機を制御する全体制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に遊技機に関し、より詳しくは、例えばスクリーンなどの結像手段に画像を表示させるとともに、プレイヤ毎に外観の異なるメダルを使用させて、スクリーン上におかれたメダルを識別することによりどのプレイヤがどの位置(ベット枠など)に賭けたのかを判別することが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲームセンターや遊技場に設置される遊技機として、モニターディスプレイを利用してポーカーテーブル、ベッティングボードなどを表示し、ゲームを提供する装置が存在していた。例えば、ルーレット遊技機であって、ルーレットを有するとともに液晶ディスプレイ装置やCRTモニタを利用したモニターディスプレイにプレイヤに賭ける対象となる番号などを表示するベッティングテーブルを表示する装置が提案されている。(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−325726号公開公報(図1,図3、段落([0028]〜[0033])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような遊技機では、各プレイヤはゲームを進行させる手段、或いは遊技機に自己の決定(例えば、どこにいくら賭けるのか)を入力する方法として、手元のコンソールパネルに設けられた入力ボタン、決定ボタン、ベットボタンなどを使用するのが一般的であった。
【0004】
しかし、手元のコンソールパネルを使用した入力方法では、プレイヤにゲームの臨場感を味わって貰うことが困難であった。すなわち、実際のルーレットのようなゲームでは、プレイヤはゲームテーブル上に手を伸ばし、チップやメダルを所望の場所におき、どこにいくら賭けるのかを指定するが、従来の遊技機のようにプレイヤ手元のコンソールパネルを使用した入力方法では、このような動作をプレイヤがする必要はなく、従来の遊技機のゲームパッドの操作のように単純にボタンを押下することが要求されるだけで、ゲームの臨場感を提供するには適していなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消できる、本物のゲームのようにプレイヤが自分の手で賭け位置にチップ(メダル)などの対象物を持って行くことを入力として扱うことが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するため手段として、以下のような特徴を有する。
本発明の第1の態様は、ゲームテーブル上に載置可能な複数種類の対象物であって、種類毎にそれぞれ異なる外観的特徴を有する対象物を用いる、多人数ゲームのための遊技機として提案される。
この遊技機は、対象物が置かれたゲームテーブルを撮像し、画像データを出力する撮像手段(例えば、カメラ)と、撮像手段により出力された画像データを処理して、ゲームテーブル上の対象物の位置及びその対象物の種類を判定し、その対象物を使用したプレイヤ及び賭け位置を示す対象物情報を出力する対象物判定手段(例えば、画像解析部)と、対象物判定手段から出力された対象物情報に基づいて、遊技機を制御する全体制御手段(例えば、ゲーム制御部)とを有することを特徴としている。
【0007】
ここにいう「対象物」は、それぞれの種類の対象物が他の種類の対象物と区別可能な外観的特徴を有するものであって、例えばマーカー、チップ、コイン、メダル、駒などである。
【0008】
「外観的特徴」は、色、形状、模様或いはこれらの内、2つ以上の組み合わせである。なお、可視光下で認識される外観的特徴に限られず、ある特定のスペクトルを有する光(例えば、紫外光)の元で認識可能な外観的特徴であっても構わない。
【0009】
この遊技機によれば、実際にゲームテーブル上にチップなどを用いてベットする操作感・臨場感を演出することが可能であり、また複数人が同時又はほぼ同時にベットを行っても、プレイヤ毎にベットした位置を認識することが可能となり、ターン制のようにプレイヤのプレイ順番を指定してゲームの流れを不自然とする虞もない。
【0010】
この遊技機は、プレイヤにより操作されるプレイヤ端末手段(プレイヤ端末部)をさらに有し、プレイヤ端末手段はプレイヤの操作に応じてゲームの指示情報を受け付け、全体制御手段は、対象物情報およびこの指示情報に基づいて、遊技機を制御するようにしてもよい。ゲームの指示情報としては、例えばベット数、ベット価値(10クレジット、100クレジットなど)の指定情報である。
【0011】
本発明の第2の態様は、ゲームテーブル上に載置可能な複数種類の対象物であって、種類毎にそれぞれ異なる外観的特徴を有する対象物を用いる、多人数ゲームのための遊技機として提案される。
【0012】
この遊技機は、ゲームテーブルを表示させるための画像を投影する投影手段(例えば、液晶プロジェクタ)と、投影手段により投影された画像を結像させる結像手段(例えば、透過性スクリーン)と、結像手段上におかれた対象物を結像手段背面から撮像し、画像データを出力する撮像手段(例えば、カメラ)と、撮像手段により出力された画像データを処理して、結像手段上の対象物の位置及びその外観的特徴を判定し、その対象物を使用したプレイヤ及び賭け位置を示す対象物情報を出力する対象物判定手段(例えば、画像解析部)と、対象物判定手段から出力された対象物情報に基づいて、遊技機を制御する全体制御手段(例えば、ゲーム制御部)とを有することを特徴としている。
【0013】
本発明の態様によれば、実際にゲームテーブル上にチップなどを用いてベットする操作感・臨場感を演出することが可能であり、また複数人が同時又はほぼ同時にベットを行っても、プレイヤ毎にベットした位置を認識することが可能となり、ターン制のようにプレイヤのプレイ順番を指定してゲームの流れを不自然とする虞もなく、さらに外乱要因(遊技機周辺からのゲームテーブルへの写り込み、反射など)によって画像データに不要な情報が加わることを防止し、より正確な対象物情報を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、実際にゲームテーブル上にチップなどの対象物を用いてベットする操作感をプレイヤに提供することが可能であり、また複数人が同時又はほぼ同時にベットを行っても、プレイヤ毎にベットした位置を認識することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
[1.第1の実施の形態]
まず、本発明にかかる第1の実施の形態について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明にかかる第1の実施の形態による、検出機能を有する画像表示システムの基本的構成例を示す図である。
【0016】
この画像表示システム1は、結像手段10と、画像データを供給するための映像制御手段30と、映像制御手段30からの画像データに基づいて、この結像手段10背面側から画像を投影するための投影手段20と、結像手段10上方に設けられ、結像手段10及び結像手段10前面(表面)に置かれた対象物Mを撮影するための撮像手段40と、撮像手段40から出力される結像手段10前面の画像データを受け取り、この画像データから対象物Mの位置及び対象物に対応付けされたプレイヤを判定し、対象物Mについて位置を示す情報及び対応するプレイヤを示す情報を含む対象物情報を出力する対象物判定手段50と、対象物判定手段50からの対象物情報に基づいて、画像表示システム1の動作を制御し、例えば結像手段10に映し出す画像を映像制御手段30に指令する全体制御手段60とを有している。結像手段10、投影手段20,及び映像制御手段30は、利用者に画像を表示するための画像表示手段70を構成する。
【0017】
この画像表示システム1は複数のプレイヤ(ユーザ)によって同時に使用することが可能であり、各プレイヤには結像手段10上において、位置の指定及びその位置を指定したプレイヤを示すための対象物Mが用意されている。
【0018】
対象物Mは、結像手段10上に載置可能なものであればどのようなものでも良く、たとえばプラスチック製チップ、金属製メダルなどである。この実施の態様において使用される対象物Mは2以上の種類を有しており、各種類の対象物Mはそれぞれ他の種類の対象物Mと区別可能な外観的特徴を与えられており、各種類の対象物Mの外観的特徴はその対象物Mを使用するプレイヤに対応付けされている。外観的特徴は、色彩、形状、模様のいずれか或いはこれらの二以上の組み合わせである。例えば各種類の対象物Mに他の種類の対象物Mと区別可能な外観的特徴として色を設定することが考えられる。今、5人のプレイヤがこの画像表示システム1を使用すると仮定すると、5種類の対象物Mが使用されることとなり、この5種類の対象物Mは、例えば青、赤、黄、白、黒に着色された同形状で同サイズのプラスチック製チップなどとして用意されればよい。
【0019】
結像手段10は透過性を有しており前面及び背面からの光を透過する。結像手段10は、たとえば液晶プロジェクタ用の透過性スクリーンである。この結像手段10である透過性スクリーンは、光散乱層を有しており液晶プロジェクタなどからの光を効率よく散乱して、光コントラスト映像を映し出すスクリーンを含む。ユーザUは結像手段10前面から結像手段10を見ると、結像手段10背面側から投影手段20によって射出された光学的画像が結像手段10上に結像して見え、その結果ユーザUは、投影手段20が照射した、画像データに対応する画像を看取することができるようになっている。
【0020】
投影手段20は画像データに基づいて光学的画像を結像手段10に投射可能な光学的投射系であって、たとえば液晶プロジェクタ(DLP(Digital Liquid Projector))などである。
【0021】
撮像手段40は、結像手段10前面を撮像し、の画像データを生成する手段であって、たとえばデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、CCDカメラユニット、などである。
【0022】
映像制御手段30,対象物判定手段50、全体制御手段60は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、及び必要に応じてハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、たとえばコンピュータ、ワークステーション、LSIチップなどの情報処理装置である。前記ROM、もしくはハードディスク装置などに情報処理装置を映像制御手段30,対象物判定手段50、或いは全体制御手段60として機能させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより映像制御手段30,対象物判定手段50、又は全体制御手段60が実現される。また、上記プログラムはからなずしも情報処理装置内の記憶装置に記憶されていなくともよく、外部の装置(例えば、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダのサーバなど))から提供され、これを主メモリに乗せる構成であっても良い。
【0023】
映像制御手段30,対象物判定手段50、全体制御手段60はそれぞれ別個独立の情報処理装置によって実現されても良いし、一つの情報処理装置が映像制御手段30,対象物判定手段50、及び全体制御手段60のいずれか二以上として機能する構成としてもかまわない。
【0024】
映像制御手段30は、ユーザに見せるための画像データを複数記憶しており、全体制御手段60からの指令に応じて必要な画像データを読み出し、必要に応じて画像処理を行い、投影手段20に提供する。
【0025】
対象物判定手段50は、撮像手段40からの結像手段10前面の画像データを受け取り、この画像データに必要な画像処理を行うことにより、対象物Mの位置及び対応するプレイヤを判定し、判定により得られた位置を示す情報、プレイヤを示す情報を含む対象物情報を出力する。画像処理としては、対象物Mの画像を領域抽出するための閾値処理、対象物Mの輪郭を抽出するためのエッジ検出などがある。対象物判定手段50は、これら閾値処理やエッジ検出により得られた領域、輪郭線のピクセルの座標位置情報を利用して、対象物Mの位置情報を生成する。
【0026】
全体制御手段60は、画像表示システム1全体の動作を制御する機能を有し、映像制御手段30にどの画像データをどのタイミングで出力するかなどの指令を行うとともに、対象物判定手段50からの対象物情報に応じて、画像表示システム1全体の制御、例えば映像制御手段30に画像データを変化させる指令などを送る。
【0027】
[2.第1の実施の形態の変形例]
図2に、図1に示す画像表示システム1の変形例を示す。図1に示すシステムでは、対象物Mを結像手段10上側から撮影し、対象物Mを含む画像を用いたが、この図2に示す変形例では、撮像手段40を結像手段10下方に配置し、結像手段10に映る対象物Mの影MSを撮影することにより対象物の判定、すなわち対象物Mの位置及び対応するプレイヤの特定を行う。結像手段10は光を透過するため画像表示システム1外部から内部へ向かう光を透過し、その結果対象物Mによって光が遮られた領域は影として撮像手段40によって捉えることが可能である。なお、本変形例で使用するのは影MSであるため、色彩、模様は現れず、もっぱら形状を利用して対象物の判定を行うこととなる。すなわち、この変形例にかかる画像表示システム1は、対象物Mの実像の変わりに、影MSを用いて対象物の判定を行う構成である。かかる構成によっても画像表示システム1を実現することができる。
【実施例】
【0028】
次に、本発明にかかる実施例について説明する。
[1.実施例にかかる遊技機]
図3は、本発明にかかる画像表示システム1を利用した遊技機の外観斜視図である。ここでは、遊技機は、バカラゲームをユーザに遊戯させる装置であるとして説明するが、本実施例にかかる遊技機は、バカラゲームに限られず、ポーカ、ブラックジャック、ブリッジ、ルーレットなど本発明にかかる画像表示システム1を適用可能なゲームであればどのようなものであってもかまわない。
本実施例における遊技機300は、テーブル部301と、テーブル部301上の後方に載置された正面ディスプレイ部302、正面ディスプレイ部302から前方に伸びるアーム部304と、アーム部304先端に取り付けられたカメラ305とを有している。
【0029】
テーブル部301は画像表示システム1を構成する光学系及び情報処理機器を格納している。テーブル部301上面中央には、開口が設けられており、この開口には結像手段10である透過性スクリーン303が張られている。この透過性スクリーン303は、ユーザにゲーム画像を表示するための画像表示手段70である上面ディスプレイ(以下、「テーブルスクリーン306」という)として機能する。なお、透過性スクリーン303上方は、ガラスパネルなどの透明板部材により保護されており、プレイヤがテーブルスクリーン306に手で触れたり、対象物Mであるメダルをおいても透過性スクリーン303が破れたり汚損しない様になっている。
【0030】
正面ディスプレイ部302の上部には、アーム部304がテーブルスクリーン306中央に向けて延出するよう設けられており、アーム部304先端には、撮像手段40であるカメラ305がテーブルスクリーン306全体を撮像できるよう下向きに固定されている。
【0031】
図4は、テーブル部301内部などに格納されている画像表示システム1を構成する光学系の配置例を示す図である。
テーブル部301の中央部には、透過性スクリーン303がガラスプレート(図略)などにより保護された状態で固定されている。透過性スクリーン303の下方にはミラー401が傾斜した状態で設置されている。ミラー401に対向する位置に、投影手段20に相当するデジタル液晶プロジェクタ(以下、DLP)401が固定されている。ミラー401はDLP402から照射された画像を透過性スクリーン303に向けて反射し、画像を所望の大きさで映し出すように、DLP402との距離、反射面の角度が調整されている。
【0032】
次に、遊技機300の電気的構成例について説明する。図5は、遊技機300の電気的構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、遊技機300には、透過性スクリーン303が設けられている。投影手段20であるDLP402は、この透過性スクリーン303にゲームに関する画像を光学的に投射する。映像制御手段30であるスクリーン画面制御部501は、DLP302に画像データ(以下、「前面画像データ」と呼ぶ)を供給する。撮像手段40であるカメラ305は、透過性スクリーン303前面を撮影し、透過性スクリーン303の撮影により得られた画像データを出力する。対象物判定手段50である画像解析部503は、この画像データを処理することにより、メダルMDの位置及び対応するプレイヤを判定し、判定により得られた位置を示す情報、及びプレイヤを示す情報を含むメダル判定情報を出力する。全体制御手段60であるゲーム制御部502は、遊技機300の動作を制御する機能を有し、スクリーン画面制御部501にどの画像データをどのタイミングで出力させるかなどの指令を行うとともに、画像解析部503からのメダル判定情報を受け取り、このメダルの位置及び対応するプレイヤを示す情報に基づいて、遊技機300の動作を制御する。
【0033】
正面ディスプレイ制御部302は、ゲーム制御部502からの指令に応じて、正面ディスプレイ302に表示する画像の画像データ(以下、「正面画像データ」と呼ぶ)を出力する。正面ディスプレイ302は、この正面画像データを受け取り、表示する。正面ディスプレイ302に表示される画像は、透過性スクリーン303に表示される画像と相まって、ゲームの状況、進行具合などをユーザに知らしめる。
【0034】
この実施例では、正面ディスプレイ302には、ルーレットのディーラーが動画により表示される。図6は、正面ディスプレイ302に表示される画面例である。画面には、ディーラー600が表示されており、ゲームの進行に従ってルーレットへの球の投入、チップの回収・受け渡し動作を行う様子が表示され、プレイヤがあたかも実際のルーレットテーブルでルーレットゲームを行っているような演出が行われる。
【0035】
次に、テーブルスクリーン306(透過性スクリーン303)に表示される画面例を示す。図7は、遊技機300のテーブルスクリーン306(透過性スクリーン303)に表示される画面例である。この実施例では、テーブルスクリーン306にはルーレットテーブルを模した画面が表示される。各プレイヤは自分のメダルMDを賭けたい位置に置くことにより、遊技機300に賭けた位置及びプレイヤを伝える。なお、ベットするチップの枚数/金額/クレジット数は、後述のプレイヤ端末部505のベットボタンによってプレイヤが決定できるようになっている。なお、プレイヤ端末部505によりベットするチップの枚数/金額/クレジット数が入力された後は、ベットした枚数のチップの山の画像がテーブルスクリーン306の賭けた位置に表示されるよう、テーブルスクリーンに表示される画像が変化するようにしてもよい。
【0036】
図5に戻り、遊技機300の電気的構成例の説明を続ける。
ゲーム制御部502には、複数のプレイヤ端末部505〜505が接続されている。各プレイヤ端末部505は、プレイヤが貨幣、紙幣、プリペイドカード、クレジットカードなどを受け取り、これを遊技機300で使用するクレジット(メダル/コイン)として扱えるようにするとともに、プレイヤからの払出指示に応じてその時点で所有しているクレジット(メダル/コイン)の払出を行うビルバリ機能、およびゲームにおけるベットの枚数/金額/クレジット数を決定するベット入力機能を有する端末機である。プレイヤはこのプレイヤ端末部505と対象物MであるメダルMDにより遊技機300に対して指示を行う。
【0037】
[2.メダルに関する判定処理など]
次に、透過性スクリーン303(テーブルスクリーン306)の画像データからメダル情報を生成し、出力する処理について図8を参照しながら説明する。図8は、画像データを用いてメダルの位置とその使用プレイヤを判定する処理の例を示すフロー図である。
まず、遊技機300は、撮像処理を行う(ステップS801)。すなわち、カメラ305は、テーブルスクリーン306およびテーブルスクリーン306上に置かれたメダルMDを撮像し画像データを画像解析部503に出力する。
【0038】
図9は、5人のプレイヤに用意されたメダルMDである、5種類のメダルMD1〜MD5を示す図である。メダルMD1〜MD5は、同形状、同サイズであるが色が異なっている。図9では色の違いをハッチングの違いとして示している。例えば、メダルMD1〜MD5は、順に赤、緑、青、白、黒の色に着色されている。なお、着色される部分は少なくともカメラ305によって撮影される面で足り、その他の部分まで彩色される必要はない。
【0039】
また、メダルMD1〜MD5に対応するプレイヤは、遊技機300に記憶されており、例えばメダルMD1の外観的特徴は色が赤、対応するプレイヤはプレイヤA、メダルMD2の外観的特徴は色が緑、対応するプレイヤはプレイヤB、…というようにメダルの外観的特徴とそのメダルを使用するプレイヤの対応関係がテーブルなどとして記憶されている。図10は、メダルMD1〜MD5がそれぞれのプレイヤによってテーブルスクリーン306上の所望の賭け位置に配置された状態を、カメラ305が撮像して得られた画像の例である。遊技機300はメダルMD1〜MD5の画像を含むテーブルスクリーン306を撮像した画像データから各メダルの位置及び外観的特徴から判断される対応するプレイヤを判定して、メダル情報を出力する。
【0040】
次に、画像解析部503は、カメラ305から供給された画像データを用いて画像解析処理を行う(ステップS802)。画像解析部503は、画像データから各メダルMDの画像領域を特定し、この領域に含まれるピクセルの座標値(x、y値)を取得し、これに基づいてメダル位置情報を生成する。また、画像解析部503は各メダルMDの画像領域と、予め記憶しているメダルMDの外観的特徴とプレイヤの対応関係から、メダル位置情報とともにそのメダルを使用するプレイヤを特定する情報(例えば、プレイヤ番号、プレイヤIDなど)を出力する。例えば、画像解析部503は各メダルMDの画像領域に含まれるピクセルの色情報(RGB値)と、メダルMDの外観的特徴(RGB値として記憶される)とを比較してプレイヤを特定する。
【0041】
例えば、図10に示す画像を解析すると、画像解析部503はメダルMD1は、25〜36までの12の数字にメダルMD1に対応するプレイヤ1が賭けていることを示し、メダルMD2は、7、8、10,11の4つの数字にメダルMD2に対応するプレイヤ2が賭けていることを示し、メダルMD3は、1にメダルMD3に対応するプレイヤ3が賭けていることを示し、メダルMD4は、「EVEN」にメダルMD4に対応するプレイヤ4が賭けていることを示し、メダルMD5は、「EVEN」にメダルMD5に対応するプレイヤ5が賭けていることを示すメダル判定情報を出力する。
【0042】
次に、画像解析部503は、ステップS802において生成したメダル判定情報をゲーム制御部502に出力する(ステップS803)。ゲーム制御部502は、このメダル判定情報を受け取り、ゲーム全体の制御を行う(ステップS804)。例えば、ゲーム制御部502は別途ルーレットの当たり数字を決定する処理を行い、この当たり数字とメダル判定情報とを比較して各プレイヤの当たり/ハズレを判定し、当たった場合はベット数及び位置情報に応じて定まる配当倍率に応じた配当をプレイヤに与えるなどの処理を行う。
【0043】
[3.変形例]
図11に、遊技機300の変形例を示す。この変形例では、カメラ305は、テーブルスクリーン306上方からの画像ではなく、その透過性スクリーン303背面からの画像を撮影し、画像解析部503はメダルMDの影MDSを含む画像を用いてメダル判定処理を行う。その他の構成要素及び動作については、図7に示す遊技機300と同様であり、同一の構成要素には同一の参照番号を付すことによりそれぞれの説明は省略する。
【0044】
[4.その他]
(1) 各プレイヤは一枚のメダルを用いて複数の場所にベットできるように、プレイヤはプレイヤ端末部505の決定ボタンを用いて一のベット位置をメダルで指定した後、確定ボタンを押し、別のベット位置にメダルを配置して複数の場所のベットをできるようにしても構わない。
(2) 対象物としては、プレイヤが手に持ってベット位置を指し示す指示棒などを用いても良い。
(3) プレイヤ毎にそれぞれ外観の異なるメダルを用意し、それぞれのメダルに異なる価値(例えば、1BET、10BET、100BET)を対応付けて記憶させ、遊技機にメダルに基づいてベット価値を判定させるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、遊技機に限らず、プレゼンテーション用画像表示システム、販売促進用デモンストレーション装置、など画像表示と表示された画像を利用したユーザ入力受付を行うすべての装置若しくはシステムに適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】画像表示システムの基本的構成例を示す図
【図2】画像表示システムの別の基本的構成例を示す図
【図3】画像表示システムを利用した、実施例にかかる遊技機の外観斜視図
【図4】実施例にかかる遊技機を構成する光学系の配置例を示す図
【図5】実施例にかかる遊技機の電気的構成例を示すブロック図
【図6】正面ディスプレイに表示される画面例を示す図
【図7】遊技機の透過性スクリーンに表示される画面例を示す図
【図8】画像データを用いてメダル判定処理を行う例を示すフロー図
【図9】メダルの外観的特徴の違いの例を示す図
【図10】カメラによって撮像された、メダルが乗った状態のテーブルスクリーンを示す図
【図11】実施例にかかる遊技機の変形例の電気的構成例を示すブロック図
【符号の説明】
【0047】
1 … 画像表示システム
10 … 結像手段
20 … 映像制御手段
30 … 投影手段
40 … 撮像手段
50 … 対象物判定手段
60 … 全体制御手段
70 … 画像表示手段
M … 対象物
MS … 対象物の影
MD … メダル
MDS … メダルの影

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームテーブル上に載置可能な複数種類の対象物であって、種類毎にそれぞれ異なる外観的特徴を有する対象物を用いる、多人数ゲームのための遊技機において、
対象物が置かれたゲームテーブルを撮像し、画像データを出力する撮像手段と、
前記撮像手段により出力された画像データを処理して、ゲームテーブル上の対象物の位置及びその対象物の外観的特徴を判定し、その対象物を使用したプレイヤ及び賭け位置を示す対象物情報を出力する対象物判定手段と、
前記対象物判定手段から出力された対象物情報に基づいて、遊技機を制御する全体制御手段と
を有することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技機は、プレイヤにより操作されるプレイヤ端末手段をさらに有し、前記プレイヤ端末手段はプレイヤの操作に応じてゲームの指示情報を受け付け、前記全体制御手段は、前記対象物情報およびこの指示情報に基づいて、遊技機を制御することを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
ゲームテーブル上に載置可能な複数種類の対象物であって、種類毎にそれぞれ異なる外観的特徴を有する対象物を用いる、多人数ゲームのための遊技機において、
ゲームテーブルを表示させるための画像を投影する投影手段と、
前記投影手段により投影された画像を結像させる結像手段と、
前記結像手段上におかれた対象物を結像手段背面から撮像し、画像データを出力する撮像手段と、
前記撮像手段により出力された画像データを処理して、前記結像手段上の対象物の位置及びその外観的特徴を判定し、その対象物を使用したプレイヤ及び賭け位置を示す対象物情報を出力する対象物判定手段と、
前記対象物判定手段から出力された対象物情報に基づいて、遊技機を制御する全体制御手段と
を有することを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−6912(P2006−6912A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137217(P2005−137217)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】