説明

遊技機

【課題】第1基板と第2基板との間で制御に矛盾が生じたときは原則として遊技を行えないようにして、遊技機の信頼性を高める。
【解決手段】パチンコ機やアレンジボール機等のような遊技機に関し、遊技にかかる所要の制御を行う第1基板と、当該第1基板から伝達された信号に基づいて制御を行う第2基板とを備える。当該第2基板がリセットされた後は、第1基板から作動許可コマンド(特定の信号)を受信するまで第2基板の作動を停止する(ステップS34)。第2基板がリセットされると第1基板と第2基板との間で制御に矛盾が生じる可能性があるので、第2基板の作動を停止する。こうして制御の矛盾が生じたまま遊技が行われるのを防止することができるので、遊技機の信頼性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1基板と第2基板とを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機(例えばパチンコ機やアレンジボール機等)は、各装置や各基板等に電力を分配する電源基板や、遊技機全体の制御を総括するメイン制御基板、図柄等の表示を制御する図柄制御基板、スピーカから出す音を制御する音制御基板等のように、複数の基板を備えるのが通常である。このうち図柄制御基板や音制御基板等のようなサブ基板は、メイン制御基板から伝達される信号に従って制御を行うのが多い(下記特許文献1)。ところが何らかの原因(例えば電源ケーブルの断線や抜き差し等)によって、遊技中にサブ基板への電力供給が停止してしまう事態が考えられる。この場合には電源ケーブルの交換や差し込み等の措置を行えばサブ基板への電力供給を再開することができ、遊技を継続することもできる。
【0003】
ところで遊技機の中には、低確率の抽選状態にある低確率モードと、高確率の抽選状態にある高確率モードとを切り換え可能になっているタイプがある。高確率モードは低確率モードに比べると遊技者に有利であるため、低確率モードとは異なる演出を行うことが多い。例えば、液晶表示器に表示する背景色を変えたり、「確率変動中」等の文字を表示して演出を異ならせる。こうした表示の制御は上述した図柄制御基板が行なっており、メイン制御基板から伝達される信号に従って高確率モード用の演出と低確率モード用の演出とを切り換えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−202126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図柄制御基板のみについて電源ケーブルの断線や抜き差し等によって電力供給が一時的に停止すると、当該図柄制御基板はリセットされてしまう。このリセットによって通常は低確率モード用の演出を行うように設定するので、もしも高確率モード中にリセットがあるとメイン制御基板とは異なった確率モードになる。よってメイン制御基板は高確率モードで制御を行なっているにもかかわらず、図柄制御基板では低確率モードで制御を行うことになる。その結果、実際の遊技状態に対する演出が不適切になっていた。このことは図柄制御基板に限らず、音制御基板等のような他のサブ基板についても同様に起こり得る。本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、第1基板と第2基板との間で制御に矛盾が生じたときは原則として遊技を行えないようにし、遊技機の信頼性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(解決手段1)
課題を解決するための手段1は、請求項1に記載した通りである。ここで、請求項1に記載した用語については以下のように解釈する。当該解釈は他の請求項および発明の詳細な説明についても同様である。
(1)「第1基板」は下位基板を制御する上位基板であって、例えばメイン制御基板等が該当する。
(2)下位基板に相当する「第2基板」には、例えば図柄制御基板,ランプ制御基板,音制御基板,賞球制御基板等のように遊技機内に設置可能な制御基板が該当する。なお第1基板と第2基板との間には、第1基板から第2基板に信号を伝達可能な一以上の第3基板が介在していてもよい。
(3)「基板がリセット」されるとは、電源投入,リセットボタンの押下,電源ケーブルの一時的な断線や抜き差し等によってリセットされることを意味する。
【0007】
当該手段1によれば図1に模式的に示すように、遊技にかかる所要の制御を行う第1基板1と、当該第1基板1から伝達された信号に基づいて制御を行う第2基板2と、当該第2基板2がリセットされた後は第1基板1から特定の信号を受信するまで第2基板2の作動を停止する作動停止手段6とを有する。第2基板2がリセットされると第1基板1と第2基板2との間で制御に矛盾が生じる可能性があるので、作動停止手段6は第2基板2の作動を停止する。こうして制御の矛盾が生じたまま遊技が行われるのを防止することができるので、遊技機の信頼性を高めることができる。
(解決手段2)
課題を解決するための手段2は、請求項2に記載した通りである。当該手段2によれば、第2基板2の作動停止を報知する報知手段3を有する。当該報知手段3の報知によって第2基板2の状態を把握することができるので、遊技者4やホール係員等は早期に適切な措置を取ることができる。
(解決手段3)
課題を解決するための手段3は、請求項3に記載した通りである。当該手段3によれば、遊技にかかる所要の制御を行う第1基板1と、第1基板1から伝達された信号に基づいて制御を行う第2基板2と、第1基板1から特定の信号を受信するまで待機することを報知する報知手段3とを有する。第2基板2がリセットされると第1基板1と第2基板2との間で制御に矛盾が生じる可能性があるので、報知手段3が待機状態を報知する。こうして待機状態を報知することによって制御の矛盾が生じたまま遊技が行われるのを防止することができるので、遊技機の信頼性を高めることができる。
(解決手段4)
課題を解決するための手段4は、請求項4に記載した通りである。当該手段4によれば、第1基板1がリセットされると、特定の信号を送信する信号送信手段5を有する。第1基板1がリセットされると、既にリセットされた第2基板2と同じ制御状態になる。そこで信号送信手段5が特定の信号を伝達すれば遊技を開始(あるいは再開)することができ、しかも第1基板1と第2基板2との間で制御状態に矛盾が生じない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1基板と第2基板との間で制御に矛盾が生じたときは原則として遊技を行えないように構成したので、遊技機の信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の概要を模式的に示す図である。
【図2】パチンコ機の外観を示す正面図である。
【図3】メイン制御基板と図柄制御基板の概略構成を示すブロック図である。
【図4】メイン処理および図柄表示処理の手続きを示すフローチャートである。
【図5】メイン処理および図柄表示処理の手続きを示すフローチャートである。
【図6】図柄表示装置の表示例を示す図である。
【図7】メイン処理および図柄表示処理の手続きを示すフローチャートである。
【図8】メイン処理および図柄表示処理の手続きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態は遊技機の一つであるパチンコ機に本発明を適用した例であって、図2〜図6を参照しながら説明する。なお、本明細書における「図柄」は表示部で表示可能な全てのものを対象とし、単図柄のみや二以上の単図柄からなる図柄群を意味する。例えば、文字(英数字や漢字等),記号,符号,図形(キャラクタ等),映像などからなる抽選図柄(特別図柄,普通図柄等),装飾図柄(前景図柄,背景図柄等)などが該当し、静止画であってもよく、アニメーション等の動画であってもよい。
【0011】
まず図2には、パチンコ機10の外観を正面図で示す。当該パチンコ機10の遊技盤12上には、図柄を表示可能な図柄表示器18や保留球ランプ20等を複合的に有する複合装置14を有する。図示していないが、その他にパチンコ球が通過する可能な通過口(ゲートを含む)や、パチンコ球が入賞可能な入賞口(始動口を含む)、ソレノイドによって開閉可能な開閉部材を有する大入賞口、風車,障害釘などを適宜に配置している。
【0012】
遊技盤12の下方には、パチンコ機10に対して指示を行うための操作ボタン30(操作部)や、タバコの吸い殻等を入れる灰皿28、賞球を含むパチンコ球を一時的に貯留する下皿26、パチンコ球を発射させるために操作するハンドル24、賞球の受皿である上皿22の内部に設けられて音(音声,効果音,音楽等を含む。)を出すスピーカ32などを備える。また、パチンコ機10の遊技内容等に合わせて適切な位置に配置したランプ類16(発光体)や、上皿22の上方には球貸を指示する球貸スイッチ34,カード残量等の情報を表示する情報表示器36,カードの返却を指示する返却スイッチ38等を備える。
【0013】
次に、パチンコ機10によるパチンコ遊技を実現するメイン制御基板100と、そのメイン制御基板100から送られた表示指令(例えば停止表示する図柄や表示パターン等を含む信号)を受けて図柄表示器18に図柄を表示する図柄制御基板200とについて、これらの一構成例を示した図3を参照しながら説明する。これらのメイン制御基板100および図柄制御基板200は、いずれも例えばパチンコ機10の背面側に設ける。
【0014】
第1基板1に相当するメイン制御基板100は、CPU(プロセッサ)110を中心に構成する。当該メイン制御基板100は、遊技制御プログラムや所要のデータ(例えば大当たり値等)を格納するROM112、各種乱数や信号等のデータを格納するRAM114、入力装置から送られた信号を受けてメイン制御基板100内で処理可能なデータ形式に変換する入力処理回路102、CPU110から送られた作動データを受けて出力装置を作動させる出力処理回路104、CPU110から送られた表示データを受けて発光体の表示(点灯,点滅を含む。)を制御する表示制御回路106、図柄制御基板200や賞球制御基板300等に所要の信号を送る通信制御回路116等を有する。これらの構成要素はいずれもバス108に互いに結合する。
【0015】
入力装置には、パチンコ球の入賞や通過等を検出するためのセンサや、上述した操作ボタン30、起動時(電源投入時やリセット時等)にRAM114をクリアするためのクリアスイッチ40などが該当する。クリアスイッチ40の設置位置は任意であるが、例えば遊技者4に触れられないようにパチンコ機10の背面側に設置する。出力装置には、ソレノイドやモータ等の駆動装置などが該当する。表示制御回路106が表示制御する発光体には、例えば情報表示器36等が該当する。通信制御回路116は、必要に応じて他のコンピュータ(ホールコンピュータや島コンピュータ等)にも所要のデータを伝達可能である。
【0016】
次に、第2基板2に相当する図柄制御基板200はCPU210を中心に構成し、表示制御プログラム,所要の表示データ(例えば表示指令に対応する表示情報や、種々の表示パターン等)を格納するROM202、表示指令,表示情報等のデータや入出力信号を格納するRAM204、メイン制御基板100から送られたデータを受信してCPU210やRAM204等に送る通信制御回路206、所要の図柄を予め記憶しておき表示指令等を受けると図柄データを生成するキャラクタジェネレータ212、VRAMやパレットRAM等を備えCPU210から送られた表示情報を受けて図柄表示器18に加工した図柄を表示するVDP(Video Display Processor)214等を有する。これらの構成要素はいずれもバス208に互いに結合する。
【0017】
CPU210はROM202に格納した表示制御プログラムを実行して図柄表示器18に図柄を表示する。通信制御回路206は、必要に応じてホールコンピュータ等にも所要のデータを伝達可能である。キャラクタジェネレータ212が生成した図柄データを読み込んだVDP214は、配色指定及びスプライト処理等の画像編集を行なってVRAMやパレットRAMに図柄データを展開した上で、最終的に映像信号や同期信号等を図柄表示器18に出力する。なお、メイン制御基板100から送られた指令信号を受けて各種装置の作動を制御する賞球制御基板300や他のコンピュータ等については、本発明の要旨と関連しないために具体的な構成の図示や説明を省略する。上記各種装置としては、例えばハンドル24が操作されるとパチンコ球を発射する発射装置や、球貸しや賞球のためにパチンコ球の払い出しを行う払出装置などが該当する。
【0018】
上述のように構成したパチンコ機10において、本発明を実現するために実行する手続きについて図4,図5を参照しながら説明する。当該図4,図5では、メイン制御基板100で実現するメイン処理の手続きを図面左側に示し、図柄制御基板200で実現する図柄表示処理の手続きを図面右側に示す。図4と図5との間は、結合子A,Bを介してそれぞれ処理が継続する。なお図4において、ステップS14,S20は信号送信手段5を実現する処理に相当し、ステップS32は報知手段3を実現する処理に相当し、ステップS34は作動停止手段6を実現する処理に相当する。
【0019】
まず図4のメイン処理において、起動時にクリアスイッチ40が押されたか(ステップS10のYES)、あるいは当該クリアスイッチ40が押されていないがRAM114が正常でないときは(ステップS10のNO,ステップS12のNO)、RAM114の記憶内容をクリアし〔ステップS16〕、図柄制御基板200に作動許可コマンドを送信する〔ステップS20〕。作動許可コマンドは特定の信号に相当し、図柄制御基板200の作動を許可するための信号である。
【0020】
一方、起動時にはクリアスイッチ40が押されておらず(ステップS10のNO)、かつRAM114が正常なときは(ステップS12のYES)、ステップS20と同様に図柄制御基板200に作動許可コマンドを送信し〔ステップS14〕、復電処理を実行する〔ステップS18〕。当該復電処理は、停電後に遊技を再開する場合に対応して停電時の状態に復帰させるべく、CPU110内のレジスタやプログラムカウンタ等を設定したり、図柄制御基板200に所要のデータを送信したり、必要に応じて可動部材の準備等を行う。
【0021】
次に図4の図柄表示処理において、電源投入やリセットボタンが押されると初期設定を行うとともに〔ステップS30〕、作動許可コマンドを受信するまでは図柄制御基板200の作動を待機するために作動待機演出を行う〔ステップS32〕。初期設定としては、例えばRAM204をクリアしたり、VDP214を初期化したり等を行う。作動待機演出は作動を待機していることが認識できれば任意の演出でもよいが、例えば黒画面(すなわち内容未表示)で表示する態様や、図6(A)に示すように図柄表示器18に「しばらくお待ち下さい」というメッセージ50を表示する態様などが該当する。なお、外部出力端子を通じて他のコンピュータ(ホールコンピュータや島コンピュータ等)に作動待機を通知してもよい。この通知によって、ホール(遊技場)側は図柄制御基板200に異常が発生したことを早期に発見できるので、復旧のための措置を素早く行える。
【0022】
図4に戻って、メイン制御基板100から送信された作動許可コマンドを受信すると(ステップS34のYES)、図柄表示コマンドを受信までは図柄表示器18への表示を待機するために表示待機演出を行う〔ステップS36〕。表示待機演出は作動中の図柄制御基板200が表示を待機していることが認識できれば任意の演出でもよいが、例えば図6(B)に示すように図柄表示器18にデモンストレーションを行うとともに「デモンストレーション中」というメッセージ52を表示する態様などが該当する。なお、外部出力端子を通じて他のコンピュータに表示待機を通知してもよい。この通知によって、ホール側は図柄制御基板200に状態を的確に把握することができる。
【0023】
図5に移って、図面左側のメイン処理は図柄表示に関係する部分の手続きを示す。すなわち、パチンコ球が始動口に入賞する等のような特定の状態に到達したか否かを検出し〔ステップS22〕、到達した状態に応じて表示すべき図柄を特定するための図柄表示コマンドを作成し〔ステップS24〕、作成した図柄表示コマンドを図柄制御基板200に送信する〔ステップS26〕。このようなステップS22〜S24の処理を検出タイミング(例えば4ミリ秒ごと)に達すると繰り返し実行することにより〔ステップS28〕、図柄制御基板200に対して遊技状態に合わせた表示指令を行うことができる。
【0024】
一方、図面右側の図柄表示処理では、メイン制御基板100から送信された図柄表示コマンドを受信するまで待機する〔ステップS38〕。そして図柄表示コマンドを受信すると(YES)、当該図柄表示コマンドの内容を解析して表示情報を作成し〔ステップS40〕、作成した表示情報に基づいて図柄表示器18に図柄を表示する〔ステップS42〕。このようなステップS38〜S42の処理を表示タイミング(例えば1/60秒ごと)に達すると繰り返し実行することにより〔ステップS48〕、多彩な図柄の演出を実現することができる。
【0025】
上述したメイン処理および図柄表示処理を実行すると、起動時には図4に示す手続き(ステップS10〜S20,ステップS30〜S36)が実行され、各基板のリセットが行われる。すなわち、図3に示すRAM114およびRAM204(記憶媒体)のうち一方または双方について、現在の遊技状況を把握するデータとしての遊技情報が消去される。また、遊技中には図5に示す手続き(ステップS22〜S28,ステップS38〜S48)が実行され、図柄表示器18における図柄表示を実現することができる。ここで、遊技中に図柄制御基板200に対してのみについて例えば電源ケーブルの断線や抜き差し等によって電力供給が一時的に停止すると、当該図柄制御基板200はリセットされてしまう。このリセットによって通常は低確率モード用の図柄表示を行うように設定するので、もしも高確率モード中(パチンコ機10の例では確率変動や時短など)にリセットがあるとメイン制御基板100とは異なった確率モードになる。しかしメイン制御基板100と図柄制御基板200とで制御に矛盾が生ずると、図柄制御基板200はメイン制御基板100から作動許可コマンドを受信するまでは作動停止した(図4のステップS34)。よってパチンコ機10の信頼性を高めることができる。また、後にメイン制御基板100をリセットすることにより図柄制御基板200に作動許可コマンドを送信すると(図4のステップS14,S20)、双方の基板は同じ制御状態になる。よって遊技を開始することができる。
【0026】
なお、上述した実施の形態では図柄の表示とは別個に待機演出を行なったが(図4のステップS32,S36)、図7,図8に示すような手続きによって図柄の表示とともに待機演出を行なってもよい。当該待機演出には、作動待機演出と表示待機演出とのうち少なくとも一方、あるいはその他の演出が該当する。図7,図8は図4,図5に代わる手続きであって、図4,図5で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。図7と図8との間は、結合子A,B,Cを介してそれぞれ処理が継続する。よって、図4,図5と異なる手続きについて説明する。
【0027】
図7,図8に示す手続きが図4,図5に示す手続きと異なるのは、図柄表示処理である。図7において、初期設定では許可フラグをオフにし〔ステップS30〕、メイン制御基板100から作動許可コマンドを受信したときにのみ(ステップS34のYES)、許可フラグをオンにする〔ステップS35〕。許可フラグは、待機演出なしで図柄の表示を許可するか否かを識別するフラグである。図8に移って図柄の表示を行なった後〔ステップS42〕、許可フラグがオフのときにのみ(ステップS44のYES)、図6(C)に示すような待機演出を行う〔ステップS46〕。すなわち図6(C)に示す例では、図柄の表示としての左図柄変動54,中図柄変動56,右図柄変動58とともに、「待機中」というメッセージ60を表示している。このメッセージ60はメイン制御基板100から作動許可コマンドを受信した後は表示されなくなるので(ステップS35,S44)、制御の矛盾が生じているか否かを一目で判断できる。
【0028】
したがって、上述した実施の形態によれば以下に示す(a1)〜(a4)の効果を得ることができる。
(a1)電源投入,リセットボタンの押下,電源ケーブルの一時的な断線や抜き差し等によって図柄制御基板200(第2基板2)がリセットされると、メイン制御基板100(第1基板1)から作動許可コマンド(特定の信号)を受信するまで図柄制御基板200の作動を停止させた{作動停止手段6;図4のステップS34を参照}。よって制御の矛盾が生じたまま遊技が行われるのを防止することができるので、パチンコ機10(遊技機)の信頼性を高めることができる。
(a2)図柄制御基板200の作動停止を報知した{図4のステップS32を参照}。作動停止の報知によって図柄制御基板200の状態を把握することができるので、遊技者4やホール係員等は早期に適切な措置を取ることができる。
【0029】
(a3)メイン制御基板100から作動許可コマンドを受信するまで待機することを報知した{報知手段3;図4のステップS32、図7のステップS34,S35、図8のステップS44,S46を参照}。こうして待機状態を報知することによって制御の矛盾が生じたまま遊技が行われるのを防止することができるので、パチンコ機10の信頼性を高めることができる。
(a4)メイン制御基板100がリセットされると、一度だけ作動許可コマンドを送信した{信号送信手段5;図4のステップS14,S20を参照}。メイン制御基板100がリセットされると、既にリセットされた図柄制御基板200と同じ制御状態になる。そこで図柄制御基板200に作動許可コマンドを伝達すれば遊技を開始(あるいは再開)することができ、しかもメイン制御基板100と図柄制御基板200との間で制御状態に矛盾が生じない。
【0030】
〔他の実施の形態〕上述したパチンコ機10(遊技機)において、他の部分の構造,形状,大きさ,材質,配置および動作条件等については、上記実施の形態に限定されるものでない。例えば、上記実施の形態を応用した次の形態(b1)〜(b5)をそれぞれ実施することもできる。
(b1)上記実施の形態では、パチンコ機10に本発明を適用した。この形態に代えて、パチンコ機以外の他の遊技機(例えばスロットマシン,アレンジボール機,雀球遊技機,テレビゲーム機等)であって第1基板1と第2基板2とを備えたものにも同様に本発明を適用することができる。当該他の遊技機であっても第1基板1と第2基板2との間で制御に矛盾が生じたときは原則として遊技を行えないので、遊技機の信頼性が高められる。
【0031】
(b2)上記実施の形態では、第1基板1としてメイン制御基板100を適用し、第2基板2として図柄制御基板200を適用した{図3を参照}。この形態に代えて、上位基板と当該上位基板から伝達された信号に基づいて制御を行う下位基板との関係が成立する任意の基板についても同様に本発明を適用することができる。例えばメイン制御基板100を第1基板1としたとき、賞球制御基板300や、ランプ類16や保留球ランプ20等の表示を制御するランプ制御基板、スピーカ32から出す音を制御する音制御基板などを第2基板2として適用できる。この場合には、ランプ類16や保留球ランプ20等の表示や、スピーカ32から出す音等によって作動待機演出や表示待機演出を行う。なお、例えば賞球制御基板300が上位基板とし、球貸し機(CRユニット)の球貸しにかかわる制御を行う球貸し制御基板が下位基板になる場合には、メイン制御基板100または賞球制御基板300が第1基板1に相当し、球貸し制御基板が第2基板2に相当する。これらの形態であっても上位基板と下位基板との間で制御に矛盾が生じたときは原則として遊技を行えないので、パチンコ機10の信頼性を高めることができる。
【0032】
(b3)上記実施の形態では、特定の信号として作動許可コマンドを適用した{図4を参照}。この形態に代えて、図柄制御基板200の作動を停止させ、あるいは図柄制御基板200の作動を待機させることが可能な信号であれば任意の信号を適用してもよい。例えば、起動時に図柄表示器18でデモンストレーションを行うための図柄表示コマンドを適用してもよい。こうした信号を用いた場合でも制御の矛盾が生じたまま遊技が行われるのを防止することができるので、パチンコ機10の信頼性を高めることができる。
【0033】
(b4)上記実施の形態では、電源投入,リセットボタンの押下,電源ケーブルの一時的な断線や抜き差し等のように、人間の操作を介在して図柄制御基板200がリセットされたときは当該図柄制御基板200の作動を停止した{図4を参照}。この形態に代えて(あるいは加えて)、人間が介在しない状態で結果的に図柄制御基板200がリセットされたとき(例えば外来ノイズによって図柄制御基板200がリセットされたとき)にも同様に本発明を適用することができる。このように偶然に図柄制御基板200がリセットされたでも制御の矛盾が生じたまま遊技が行われるのを防止することができるので、パチンコ機10の信頼性を高めることができる。
【0034】
(b5)上記実施の形態では、信号送信手段5(図4のステップS14,S20)はメイン制御基板100で実現し、作動停止手段6(図4のステップS34)は図柄制御基板200で実現した。この形態に代えて、当該実現した基板以外の基板において実現することも可能である。例えば、図柄制御基板200の作動/停止を指示する信号線をメイン制御基板100と図柄制御基板200との間で接続し、作動停止手段6をメイン制御基板100で実現してもよい。この場合であっても矛盾が生じたまま遊技が行われるのを防止することができるので、パチンコ機10の信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 第1基板
2 第2基板
3 報知手段
4 遊技者
5 信号送信手段
6 作動停止手段
10 パチンコ機(遊技機)
16 ランプ類
18 図柄表示器(報知手段)
20 保留球ランプ
32 スピーカ
36 情報表示器
40 クリアスイッチ
100 メイン制御基板(第1基板)
110,210 CPU
112,202 ROM
114,204 RAM
200 図柄制御基板(第2基板)
212 キャラクタジェネレータ
214 VDP
300 賞球制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技にかかる所要の制御を行う第1基板と、前記第1基板から伝達された信号に基づいて制御を行う第2基板とを備えた遊技機において、
前記第2基板がリセットされた後は、前記第1基板から特定の信号を受信するまで前記第2基板の作動を停止する作動停止手段を有する遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載した遊技機において、第2基板の作動停止を報知する報知手段を有する遊技機。
【請求項3】
遊技にかかる所要の制御を行う第1基板と、前記第1基板から伝達された信号に基づいて制御を行う第2基板とを備えた遊技機において、前記第2基板がリセットされた後は、前記第1基板から特定の信号を受信するまで待機することを報知する報知手段を有する遊技機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載した遊技機において、第1基板がリセットされると、特定の信号を送信する信号送信手段を有する遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−207939(P2009−207939A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152139(P2009−152139)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【分割の表示】特願2001−2926(P2001−2926)の分割
【原出願日】平成13年1月10日(2001.1.10)
【出願人】(000148922)株式会社大一商会 (3,262)
【Fターム(参考)】