説明

遊技機

【課題】耐久性があり、かつ簡易な構成のリール清掃装置を備える遊技機を提供する。
【解決手段】遊技機10は、外周面に図柄を配列して回転するリール26L・26C・26Rを有するリールユニット50を備える。リール26L・26C・26Rの外周面を清掃する清掃装置80は、各リール26L・26C・26Rの外周面に当接する回転ブラシ81L・81C・81Rと、回転ブラシ81L・81C・81Rを同軸上に配列して回転可能に保持する軸棒82と、一端部が軸棒の両端部に連結し、他端部がリールユニット50の両翼に回動可能に連結する一対のアーム83A・83Bと、を有する。回転ブラシ81L・81C・81Rは、リール26L・26C・26Rの外周面に一定の荷重を与えて当接し、リール26L・26C・26Rの外周面の回転が摩擦伝動されて従動回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。特に、複数の図柄を変動表示する変動表示部として、機械的に回転駆動される複数のリールを有する変動表示装置(以下、リールユニットという)を備える遊技機であって、これらのリールの外周面を清掃する清掃装置を備える遊技機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、遊技機の一種であるパチスロ機やスロットマシンは、外周面に所定間隔で表示された複数種類の図柄を有する図柄列が描かれた複数のリールを回転自在に横方向に並列配置している。そして、複数の図柄を変動表示するリールユニットを遊技機の本体の中央部に配置している。遊技者は、この本体の正面の表示窓を通して、各リールの図柄をそれぞれ観察できる。
【0003】
一方、遊技機が配置された遊技ホールにおいては、たばこの煙や埃などがリールの図柄表示面に付着するので、リールの図柄の視認性を損なわないように、定期的に従業員がリールの周囲面を手動で清掃しなければならないという不具合があった。
【0004】
このような不具合に対して、たばこの煙や埃などの多い遊技ホールにおいても、人手がかかる煩雑な清掃作業を要することなく遊技機の図柄表示面に付着したヤニなどを常時遊技中に除去して、図柄の視認性を良好に保持するためのメンテナンス性に優れる遊技機が発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1による遊技機は、リールユニットが複数のリールの図柄表示面にそれぞれ当接して、図柄表示面を清掃するリール面清掃部を備えている。又、リール面清掃部は、その先端に布又はブラシからなるリールクリーナを備えており、リールユニットに着脱自在に取り付けられている。更に、リール面清掃部は、図柄表示面に付着した埃やごみを除去するエア吹き付けノズル又はエア吸引ノズルを備えている。又、リール面清掃部は、その先端をリールの図柄表示面に対して進退させる駆動部を備えている。
【0006】
又、前記と同様な不具合に対して、表示窓の内部の汚れを検出したときに、この表示窓の内面をリールから突出する第1ブラシで清掃する筐体清掃用駆動装置(以下、第1駆動装置という)を備える遊技機が発明されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2による遊技機は、リールの外周面に接触して清掃するリール清掃部材(以下、第2ブラシという)と、第2ブラシがリールの外周面に接触することが可能になる接触位置と、この接触位置から退避してリールの外周面に接触不可能になる接触不能位置との間で第2ブラシを移動させるリール清掃用駆動装置(以下、第2駆動装置という)と、を設けている。
【0008】
そして、特許文献2による遊技機は、制御装置が、第1ブラシを退避位置に移動させたときには、第2ブラシを接触位置に移動させるように第1及び第2駆動装置を制御し、第1ブラシを接触不能位置に移動させたときには、第2ブラシを突出位置に移動させるように第1及び第2駆動装置を制御するので、リールの外周面を清潔に保つことが可能になり、図柄の視認性を向上させることができる、としている。
【特許文献1】特開2005−334166号公報
【特許文献2】特開2005−237445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1又は特許文献2では、ブラシに植設された多数の繊維がリールの回転中心に向かうように配置されている。そして、これら多数の繊維の先端がリールの外周面を圧接するように構成されている。前記の構成では、比較的短期間に多数の繊維が永久変形して、その清掃機能が損なわれることが懸念される。すなわち、清掃装置を用いてリールの外周面を清掃するに当り、比較的長期の使用に耐える清掃装置が求められている。
【0010】
特許文献1の内の一つの実施例、又は特許文献2では、ソレノイドを用いてブラシを進退させている。このように、ブラシを駆動する駆動装置を構成することは、遊技機のコストアップの要因となるばかりでなく、その構造が複雑になるという問題がある。したがって、電力などの外部エネルギを必要とする駆動装置を用いることなく、簡易な構成のリールの外周面を清掃する清掃装置が求められている。そして、以上のことが、本発明の課題といってよい。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、リールの外周面を清掃する清掃装置であって、耐久性があり、かつ簡易な構成の清掃装置を備える遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記目的を達成するため、リールの外周面に直接接触するように回転ブラシ又は回転ローラを配置し、この回転ブラシ又は回転ローラがリールの外周面に圧接又は離間可能となるように構成することにより、前述の課題が解決可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たな清掃装置を備える遊技機を発明するに至った。
【0013】
(1) 外周面に図柄を配列して回転する複数のリールを有するリールユニットを備える遊技機であって、前記複数のリールの外周面を清掃する清掃装置を備え、前記清掃装置は、前記リールの外周面に当接する複数の回転ブラシと、これらの回転ブラシを同軸上に配列して回転可能に保持する軸棒と、一端部が前記軸棒の両端部に連結し、他端部が前記リールユニットの両翼に回動可能に連結する一対のアームと、を有し、前記回転ブラシは、前記リールの外周面に一定の荷重を与えて当接し、当該リールの外周面の回転が摩擦伝動されて従動回転するように配置されていることを特徴とする遊技機。
【0014】
(1)の発明による遊技機は、リールユニットと清掃装置を備えている。リールユニットは、外周面に図柄を配列して回転する複数のリールを有している。清掃装置は、複数のリールの外周面を清掃する。そして、清掃装置は、複数の回転ブラシ、軸棒、及び一対のアームを有している。回転ブラシは、リールの外周面に当接する。軸棒は、複数の回転ブラシを同軸上に配列して回転可能に保持している。一対のアームは、一端部が軸棒の両端部に連結し、他端部がリールユニットの両翼に回動可能に連結している。回転ブラシは、リールの外周面に一定の荷重を与えて当接し、リールの外周面の回転が摩擦伝動されて従動回転するように配置されている。
【0015】
(1)の発明による遊技機は、例えば、筐体を開閉する前面扉を備えており、この筐体内部にリールユニットが配置される。一般に、筐体内部は棚で上下に仕切られており、この棚にリールユニットが配置される。又、前面扉に設けられる表示窓に対向するように、筐体内部にリールユニットを配置している。表示窓を介して、複数のリールに表示された複数種類の図柄を観察できる。
【0016】
例えば、回転ブラシは、直円柱状のローラの外周に合成樹脂製の多数の繊維が植設されてよく、外観として、直円柱状に形成される。回転ブラシはリールの外周面に当接するとは、多数の繊維の先端が弾性をもって、リールの外周面に当接することを意味している。多数の繊維の先端がリールの外周面を弾性的に摺動することにより、リールの外周面を清掃できる。
【0017】
軸棒は、複数の回転ブラシを同軸上に配列してよく、各回転ブラシは、各リールと一対一に対応するように配列される。各回転ブラシは、独立して回転するように保持されてよく、軸受部材としてベアング又はオイルレスメタルを使用してもよい。又、各回転ブラシがスラスト(軸)方向に移動しないように、軸棒に規制部材(ストップ部材)を設けることが好ましい。
【0018】
軸棒は、その伸長方向にリールユニットの横幅以上の長さを有してよく、軸棒の両端部に一対のアームの一端部が連結される。軸棒の両端部に一対のアームの一端部が連結されるとは、固定される態様を含んでよく、着脱自在に嵌合する態様を含むことができるが、少なくとも軸棒がスラスト方向に移動しないように連結される。
【0019】
一対のアームの他端部には、継手が設けられてよく、例えば、この継手は固定子と回転子で構成される。そして、一対の固定子がリールユニットの両翼に固定され、回転子が一対のアームの他端部に固定される。回転子は、固定子と回動可能に連結してよく、軸棒に保持された複数の回転ブラシを複数のリールに当接又は離間するように回動できる。固定子に対し、回転子が所定の角度以上に開角しないように、回転子の回動角度を規制することが好ましい。
【0020】
回転ブラシがリールに当接しているときは、すなわち清掃中は、回転ブラシがリールの上部に位置していることが好ましく、表示窓を介して複数の図柄を視認できる。回転ブラシがリールから離間しているときは、すなわち不使用時は、回転ブラシをリールユニットの後方に回動して退避できる。
【0021】
回転ブラシがリールの外周面に一定の荷重を与えるとは、直接接触により摩擦を利用する摩擦伝動装置の要件であるが、一定の荷重に回転ブラシの自重を含めることもできる。回転ブラシがリールの外周面を強く押すと、リール外周面を傷つけるので、一対のアームの他端部にバランサー(重し)を設けて、適宜な荷重とすることが好ましい。
【0022】
そして、(1)の発明による遊技機は、回転ブラシがリールの外周面の回転に追従して、回転するので、リールの外周面に付着した埃を除去し、リールの外周面を清掃できる。ブラシの繊維が弾性復帰するときに、その先端の反発で埃を除去するからである。ブラシの繊維としては、永久変形しない素材が好ましいが、ブラシの繊維が全周に亘りリールの外周面に圧接するので、永久変形を分散できるとも考えられる。すなわち、耐久性のある清掃装置を提供できる。
【0023】
又、(1)の発明による遊技機は、清掃装置にブラシを駆動する駆動装置を用いること無く、複数の回転ブラシ、軸棒、及び一対のアームで構成される簡易なリンク機構で清掃装置を実現している。(1)の発明による遊技機は、遊技中であっても前面扉を開けて直ちに清掃装置を使用することができるという利点がある。
【0024】
このように、(1)の発明による遊技機は、回転ブラシがリールの外周面に一定の荷重を与えて当接し、リールの外周面の回転が摩擦伝動されて従動回転するように配置されているので、耐久性がある清掃装置を備える遊技機を提供できる。又、(1)の発明による遊技機は、簡易な構成の清掃装置を実現している。
【0025】
(2) 前記回転ブラシの外周には、比較的短い多数の繊維を放射状に植設していることを特徴とする(1)記載の遊技機。
【0026】
例えば、回転ブラシの繊維の太さは、化粧用の柔らかいブラシに用いる生糸の太さ10デニール(約Φ40μm)以下が好ましいと考えられ、この太さ以下の繊維を例えば2mm以下の短い長さで回転ブラシに植設することにより、回転ブラシの繊維に作用する弾性的な反りが従来と比較して小さくなる。これにより、回転ブラシの繊維の永久変形が防止できる。このように、(2)の発明による遊技機は、リールに圧接する回転ブラシの繊維の永久変形が防止可能な清掃装置を提供できる。
【0027】
(3) 前記回転ブラシの外周には、比較的短い多数の繊維を螺旋状に植設していることを特徴とする(1)記載の遊技機。
【0028】
(3)の発明による遊技機は、リールに圧接する回転ブラシの外周には、比較的短い多数の繊維を螺旋状に植設しているので、回転ブラシには、ラジアル荷重とスラスト荷重が作用する。そして、前述のように各回転ブラシがスラスト(軸)方向に移動しないように、軸棒に規制部材を設けることにより、リールの外周面を周方向にも軸方向にも重複して清掃できる。
【0029】
(4) 外周面に図柄を配列して回転する複数のリールを有するリールユニットを備える遊技機であって、前記複数のリールの外周面を清掃する清掃装置を備え、前記清掃装置は、前記リールの外周面に当接する複数の回転ローラと、この回転ローラの外周に巻回された清掃シートと、前記複数の回転ローラを同軸上に配列して回転可能に保持する軸棒と、一端部が前記軸棒の両端部に連結し、他端部が前記リールユニットの両翼に回動可能に連結する一対のアームと、を有し、前記回転ローラは、前記リールの外周面に一定の荷重を与えて当接し、当該リールの外周面の回転が摩擦伝動されて従動回転するように配置されていることを特徴とする遊技機。
【0030】
(4)の発明による遊技機は、リールユニットと清掃装置を備えている。リールユニットは、外周面に図柄を配列して回転する複数のリールを有している。清掃装置は、複数のリールの外周面を清掃する。そして、清掃装置は、複数の回転ローラ、清掃シート、軸棒、及び一対のアームを有している。回転ローラは、リールの外周面に当接する。清掃シートは、回転ローラの外周に巻回されている。軸棒は、複数の回転ローラを同軸上に配列して回転可能に保持している。一対のアームは、一端部が軸棒の両端部に連結し、他端部がリールユニットの両翼に回動可能に連結している。回転ローラは、リールの外周面に一定の荷重を与えて当接し、リールの外周面の回転が摩擦伝動されて従動回転するように配置されている。
【0031】
例えば、回転ローラには、直円柱状のローラの外周に合成樹脂製の繊維が織られた清掃シートが巻回されてよく、外観として、直円柱状に形成される。清掃シートは、不織布であってもよい。回転ローラはリールの外周面に当接するとは、清掃シートの外面がリールの外周面に当接することを意味している。清掃シートの外面がリールの外周面を摺動することにより、リールの外周面を清掃できる。
【0032】
軸棒は、複数の回転ローラを同軸上に配列してよく、各回転ローラは、各リールと一対一に対応するように配列される。各回転ローラは、独立して回転するように保持されてよく、軸受部材としてベアング又はオイルレスメタルを使用してもよい。又、各回転ローラがスラスト(軸)方向に移動しないように、軸棒に規制部材(ストップ部材)を設けることが好ましい。
【0033】
回転ブラシがリールに当接しているときは、すなわち清掃中は、回転ブラシがリールの上部に位置していることが好ましく、表示窓を介して複数の図柄を視認できる。回転ブラシがリールから離間しているときは、すなわち不使用時は、回転ブラシをリールユニットの後方に回動して退避できる。
【0034】
回転ブラシがリールの外周面に一定の荷重を与えるとは、直接接触により摩擦を利用する摩擦伝動装置の要件であるが、一定の荷重に回転ブラシの自重を含めることもできる。回転ブラシがリールの外周面を強く押すと、リール外周面を傷つけるので、一対のアームの他端部にバランサー(重し)を設けて、適宜な荷重とすることが好ましい。
【0035】
そして、(4)の発明による遊技機は、清掃シートを巻回した回転ローラがリールの外周面の回転に追従して、回転するので、リールの外周面に付着したヤニや埃を除去し、リールの外周面を清掃できる。清掃シートの外面の繊維がヤニや埃を除去するからである。清掃シートが全周に亘りリールの外周面に圧接するので、相対的に清掃面積が大きくなったとも考えられる。すなわち、効率のよい耐久性のある清掃装置を提供できる。
【0036】
(5) 前記清掃シートは、洗浄成分を含侵していることを特徴とする(4)記載の遊技機。
【0037】
例えば、洗浄成分には、酸化チタンなどの光触媒成分や微生物の繁殖を阻止するための銀錯体などの無機系又は有機系抗菌剤成分を含んでよい。長期にわたるリールの耐汚染性や清潔性を更に向上させ、定期的な清掃作業の頻度を少なくできる。
【発明の効果】
【0038】
本発明による遊技機は、回転ブラシ又は回転ローラがリールの外周面に一定の荷重を与えて当接し、リールの外周面の回転が摩擦伝動されて従動回転するように配置されているので、耐久性がある清掃装置を備える遊技機を提供できる。又、本発明による遊技機は、簡易な構成の清掃装置を実現している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0040】
図1は、本発明による遊技機の一実施形態を示す正面図である。図2は、前記実施形態による遊技機の筐体の内部構造を示す斜視外観図であり、前面扉を開けた状態図である。
【0041】
図3は、前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットの斜視外観図である。図4は、前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットの正面図である。図5は、前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットの平面図である。図6は、前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットの右側面図であり、要部を断面で示している。図7は、前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットにおける別の実施形態を示す平面図である。図8は、前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットにおける更に別の実施形態を示す斜視外観図である。
【0042】
最初に、本発明による遊技機の構成を説明する。図1及び図2において、本体12は、遊技機10の外周を覆っている。遊技機10は、筐体11と、筐体11を開閉する前面扉13と、を備えている。そして、筐体11の内部にリールユニット50が配置されている。筐体11の内部は、棚43で上下に仕切られており、棚43にリールユニット50が載置されている。
【0043】
図2において、棚43の下方には、投入された遊技メダルを収納、又は遊技メダルを遊技メダル受け皿40に払い出すホッパー45や、還元率設定スイッチ72を含む電源ボックス46が配置されている。棚43の上方には、遊技機10を制御するメイン基板(プリント基板)及びサブ基板(プリント基板)を含む制御盤47などが配置されている。
【0044】
図1又は図2において、前面扉13に形成される正面パネル22には、矩形状の表示窓14が設けられている。表示窓14は、個別の表示窓14L・14C・14Rに区画されている。リールユニット50には、リールケース51を有し、このリールケース51には、各々の外周面に複数種類の図柄が描かれた3個のリール26L・26C・26Rが回転自在に設けられている。リール26L・26C・26Rの各々は、表示窓14を介して観察可能に配置されている。
【0045】
図1において、表示窓14の下方右側には、略水平の台座部28が設けられており、その上面右側には、遊技者が遊技媒体である遊技メダルを入れるための投入口25が設けられている。ここで、遊技メダルは、コイン、メダル、又はトークンと称される代用貨幣である。
【0046】
図1において、台座部28の上面左側には、押しボタン操作による三つのBETスイッチ29・30・31が配置されている。BETスイッチ29は、1回の遊技に1枚の遊技メダルを賭けられる。BETスイッチ30は、1回の遊技に2枚の遊技メダルを賭けられる。BETスイッチ31は、1回の遊技に3枚の遊技メダルを賭けられる。台座部28の前面の左側には、スタートレバー32が傾動可能に設けられている。スタートレバー32を遊技者が傾動操作することにより、三つのリール26L・26C・26Rの回転が一斉に開始される。3つのリール26L・26C・26Rが回転したときには、リール26L・26C・26Rの各々の外周面に描かれている複数の図柄が、表示窓14において変動表示される。
【0047】
図1において、台座部28の前面の中央には、3個のリール停止ボタン34L・34C・34Rが設けられている。リール停止ボタン34Lはリール26Lに対応し、リール停止ボタン34Cはリール26Cに対応し、リール停止ボタン34Rはリール26Rに対応している。リール停止ボタン34Lを遊技者が押動操作したときには、リール26Lが停止し、リール停止ボタン34Cを遊技者が押動操作したときには、リール26Cが停止し、リール停止ボタン34Rを遊技者が押動操作したときには、リール26Rが停止する。
【0048】
図1において、スタートレバー32の左側には、払出しボタン36が設けられている。遊技者が払出しボタン36を押動操作したときには、投入されている遊技メダルが正面下部の遊技メダル払出口38から払い出され、払い出された遊技メダルは遊技メダル受け皿40に溜められる。
【0049】
図1において、表示窓14には、横に3本(中央及び上下)及び斜めに2本の入賞ラインが設けられている。ゲーム開始に先立って、遊技者が投入口25から1枚の遊技メダルを投入したときは中央の入賞ラインだけが有効化され、2枚の遊技メダルを投入したとき、これに上下の入賞ラインが加わり、3枚の遊技メダルを投入したとき、全ての入賞ラインが有効化される。このような入賞ラインの有効化は、各入賞ラインの両端に配置された有効化ライン表示ランプ(図示せず)が点灯することにより、遊技者に表示される。
【0050】
次に、本発明による遊技機に備わるリールユニット50の構成を説明する。図2から図5において、リールユニット50は、三つのリール26L・26C・26Rとリールケース51と略箱状のリールカバー52と、を備えている。リール26L・26C・26Rは、各外周面に複数種類の図柄を表示している。リールケース51は、三つのリール26L・26C・26Rを軸方向に並列配置している。リールカバー52は、リールケース51に着脱する。
【0051】
図2から図5において、又、リールカバー52には3つの矩形状の湾曲した開口52A・52B・52Cが形成されている。これら開口52A・52B・52Cは、リール26L・26C・26Rに対応付けられている。したがって、これら開口52A・52B・52Cを介してリール26L・26C・26Rを視認できる。又、リールケース51の両翼には一対の把持部51A・51Bが形成され、リールユニット50を筐体11から取り出す際には、一対の把持部51A・51Bを把持して、リールユニット50を棚43から引き出すことができる。
【0052】
なお、図2から図4に示すように、リールケース51には、下側に屈折するフランジ51Cが設けられている。リールユニット50を棚43に載置した後には、フランジ51Cが棚43の前面端に当接するまでリールユニット50を押し込むことができる。
【0053】
図3から図5において、3つのリール26L・26C・26Rはその一部がリールケース51内に支持、収納などにより配置されている。又、リールケース51内には、各リール26L・26C・26Rを回転駆動するモータ(図示せず)が配置されている。そして、これらリール26L・26C・26Rの外周面は清掃装置80によって清掃することができる。
【0054】
次に、本発明による遊技機に備わる清掃装置の構成を説明する。図3から図5において、清掃装置80は、3つの回転ブラシ81L・81C・81Rを備え、これら回転ブラシ81L・81C・81Rは、それぞれリール26L・26C・26Rの外周面に当接している。具体的には、リールユニット50は、リールケース51とリールカバー52との間に軸方向に延びる開口が規定され、この開口からリール26L・26C・26Rの外周面が露出した状態となっている。この開口に沿って軸棒81が配置されている。そして、3つの回転ブラシ81L・81C・81Rが軸棒81に同軸上に配列されて回転可能に保持されている。
【0055】
図3から図5において、軸棒82の両端部には、一対のアーム83A・83Bが連結されている。一対のアーム83A・83Bの他端部は、それぞれリールケース51の両翼(側面)に回動可能に連結されている。そして、回転ブラシ81L・81C・81Rは、リール26L・26C・26Rの外周面に一定の荷重で当接している。そして、リール26L・26C・26Rの外周面の回転が回転ブラシ81L・81C・81Rに摩擦伝動されて、回転ブラシ81L・81C・81Rは従動回転する。
【0056】
なお、回転ブラシ81L・81C・81Rはリール26L・26C・26Rの外周面に一定の荷重で当接して、直接接触による摩擦伝動によって従動回転するが、回転ブラシ81L・81C・81R自体の自重によって一定の荷重でリール26L・26C・26Rの外周面に一定の荷重で当接させる。そして、回転ブラシ81L・81C・81Rがリール26L・26C・26Rの外周面を強く押すと、リール26L・26C・26Rの外周面を傷つけることにもなるので、アーム83A及び83Bの他端部にそれぞれバランサー(重し:図示せず)を設けて、適宜な荷重に調節することが好ましい。
【0057】
次に、本発明による遊技機に備わる清掃装置の作用を説明する。図4において、回転ブラシ81Cに注目すると、回転ブラシ81Cは、直円柱状のローラ84を有し、軸棒82がローラ84を貫通している。ローラ84の外周面に亘って、例えば、合成樹脂製の多数の繊維85が植設されて回転ブラシ81cが構成されている。そして、多数の繊維85の先端が弾性をもって、リール26Cの外周面に当接し、多数の繊維85の先端がリール26Cの外周面を弾性的に摺動して、リール26Cの外周面を清掃できる。
【0058】
前述の繊維85は、例えば、その長さが比較的短く、ローラ84の外周面から径方向外側に広がって放射状に植設されている。繊維85の太さは、化粧用の柔らかいブラシに用いる生糸の太さ10デニール(約Φ40μm)以下が好ましく、この太さ以下の繊維を、例えば、2mm以下の短い長さでローラ84の外周面に植設すれば、繊維85に作用する弾性的な反りが従来と比較して小さくなることがわかった。そして、この結果、繊維85の永久変形が防止できることになる。
【0059】
図4において、回転ブラシ81Cのローラ84の両翼には、一対の軸受部材(例えば、ベアリング又はオイルレスメタル)85A・85Bが配設されている。回転ブラシ81Cは、一対の軸受部材85A・85Bを介して軸棒82に回転可能に保持されている。又、回転ブラシ81Cがスラスト(軸)方向に移動しないように、回転ブラシ81Cの両端において軸棒82には一対の規制部材(ストップ部材、例えば、リング体)85C・85Dが設けられている。なお、回転ブラシ81L及び回転ブラシ81Rも回転ブラシ81Cと同様の構成となっている。
【0060】
図4に示すように、軸棒82は、リールユニット50(つまり、リールケース51)の横幅以上の長さを有しており、前述のように、軸棒82の両端部に一対のアーム83A・83Bの一端部が連結されている。例えば、軸棒82の両端部は、一対のアーム83A・83Bの一端部に固定される。なお、軸棒82の両端部は、一対のアーム83A・83Bの一端部に着脱自在に連結しているので、消耗した回転ブラシ81L・81C・81Rを新たな回転ブラシ81L・81C・81Rに交換できる。
【0061】
図3から図5において、一対のアーム83A・83Bの他端部には、一対の継手86A・86Bが設けられている。一対の継手86A・86Bは、一対の回転子87A・87Bと一対の固定子88A・88Bとでそれぞれ構成されている。そして、一対の回転子87A・87Bは、一対のアーム83A・83Bの他端部にそれぞれ固定されている。又、一対の固定子88A・88Bはリールケース51の両翼にそれぞれ固定されている。一対の回転子87A・87Bは、一対の固定子88A・88Bに回動可能にそれぞれ連結している。これによって、軸棒82に保持された回転ブラシ81L・81C・81Rをリール26L・26C・26Rに当接又は離間するように回動させることができる。
【0062】
具板的には、図6に示すように、リール26L・26C・26Rの外周面を清掃する際には、一対の回転子87A・87Bに結合する一対のアーム83A・83Bを一対の固定子88A・88Bに対して一方の方向に回動させて、回転ブラシ81L・81C・81Rをリール26L・26C・26Rに図中実線で示す状態に当接させる。この際には、前述したように、回転ブラシ81L・81C・81Rはリール26L・26C・26Rの上部に位置しているから、表示窓14L・14C・14Rを介して、リール26L・26C・26R上の図柄を容易に視認できる。
【0063】
一方、一対の回転子87A・87Bに結合する一対のアーム83A・83Bを一対の固定子88A・88Bに対して他方の方向に回動させて、回転ブラシ81L・81C・81Rをリール26L・26C・26Rから離間した位置(図中二点鎖線で示す状態)に退避できる。この状態では、回転ブラシ81L・81C・81Rは、リールケース51の後方に退避するから、回転ブラシ81L・81C・81Rによって、リール26L・26C・26R上の図柄の視認を妨げない。
【0064】
一対の回転子87A・87Bに結合する一対のアーム83A・83Bは、一対の固定子88A・88Bに対する回転角度は予め規制されており、回転子87A・87Bが所定の角度以上に開角しないように、一対のアーム83A・83Bの回動角度が規制される。例えば、図3又は図6に示すように、円板状の固定子88Aは、中心に開角する扇状の切り欠き部89が形成されており、切り欠き部89の開角範囲で一対のアーム83A・83Bが回動することになる。
【0065】
つまり、切り欠き部89の一面にアーム83Aの他端部が当接した状態で、回転ブラシ81L・81C・81Rはリール26L・26C・26Rに当接した位置となり、切り欠き部89の他面にアーム83Aの他端部が当接した状態で、回転ブラシ81L・81C・81Rはリール26L・26C・26Rから離間した位置となる。なお、図示されていないが、固定子88Bにも固定子88Aと同様の切り欠き部89が形成されている。
【0066】
このように、本実施の形態による遊技機1では、回転ブラシ81L・81C・81Rがリール26L・26C・26Rの外周面の回転に追従して回転するので、リール26L・26C・26Rの外周面に付着した埃を確実に除去して、リール26L・26C・26Rの外周面を清掃できる。
【0067】
このように、本実施形態による遊技機に備わる清掃装置80は、回転ブラシ81L・81C・81Rの繊維85が弾性復帰するときに、その先端の反発で埃を除去することができる。そして、繊維85が全周に亘ってリール26L・26C・26Rの外周面に当接するので、これによって、繊維85の永久変形が分散でき、耐久性のある清掃装置80を提供できる。
【0068】
更に、清掃装置80では回転ブラシ81L・81C・81Rがリール26L・26C・26Rに対して従動回転するから、回転ブラシ81L・81C・81Rを駆動するための駆動装置を用いる必要がない。そして、回転ブラシ81L・81C・81R、軸棒82、及び一対のアーム83A・83Bで構成される簡易なリンク機構で清掃装置が実現できることになって、遊技中であっても前面扉13を開けて、回転ブラシ81L・81C・81Rをリール26L・26C・26Rの外周面に当接させるだけで、直ちに清掃装置80を使用することができる。
【0069】
一方、別の実施形態による清掃装置では、回転ブラシ81L・81C・81Rにおいて、ローラの外周に比較的短い多数の繊維85を螺旋状に植設してリボンスクリュー状の螺旋体851を形成するようにしてもよい(図7参照)。このように、比較的短い多数の繊維85を螺旋状に植設して螺旋体851を形成するようにすれば、繊維85が螺旋状に形成されているので、回転ブラシ81L・81C・81Rには、ラジアル荷重とスラスト荷重がともに作用することになる。そして、前述のように、回転ブラシ81L・81C・81Rがスラスト(軸)方向に移動しないように、軸棒82に規制部材が設けられているので、リール26L・26C・26Rの外周面を周方向にも軸方向にも重複して清掃することができる。
【0070】
又、更に別の実施形態による清掃装置では、図8に示すように、回転ブラシ81L・81C・81Rの代わりに、直円柱状の回転ローラ90L・90C・90Rを備えるようにしてもよい。これら回転ローラ90L・90C・90Rは、それぞれリール26L・26C・26Rの外周面に当接し、回転ローラ90L・90C・90Rの外周には清掃シート91L・91C・91Rが巻回されている。なお、他の構成は図3から図5で説明した清掃装置80と同様であり、同一の構成要素には同一の参照番号が付されている。そして、回転ローラ90L・90C・90Rは、リール26L・26C・26Rの外周面に一定の荷重を与えて当接し、リール26L・26C・26Rの外周面の回転が摩擦伝動されて従動回転する。
【0071】
例えば、清掃シート91L・91C・91Rは合成樹脂製の繊維が織られたものである(不織布であってもよい)。そして、清掃シート91L・91C・91Rの外面をリール26L・26C・26Rの外周面に当接させれば、清掃シート91L・91C・91Rの外面がリール26L・26C・26Rの外周面を摺動する結果、リール26L・26C・26Rの外周面を清掃することができる。
【0072】
このようにして、図8に示す清掃装置80を用いれば、清掃シート91L・91C・91Rを巻回した回転ローラ90L・90C・90Rがリール26L・26C・26Rの外周面の回転に追従して回転するので、清掃シート91L・91C・91Rの外面の繊維によって、リール26L・26C・26Rの外周面に付着したヤニや埃を確実に除去して、リールの外周面を清掃することができる。又、清掃シート91L・91C・91Rが全周に亘ってリール26L・26C・26Rの外周面に圧接するので、相対的に清掃面積が大きくなり効率のよい耐久性のある清掃装置を提供できる。
【0073】
更に、清掃シート91L・91C・91Rには、洗浄成分を含侵させるようにしてもよい。例えば、洗浄成分には、酸化チタンなどの光触媒成分や微生物の繁殖を阻止するための銀錯体などの無機系又は有機系抗菌剤成分を含むことが好ましく、これによって、長期に亘ってリール26L・26C・26Rの耐汚染性や清潔性を更に向上させ、定期的な清掃作業の頻度を少なくすることできる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明による遊技機の一実施形態を示す正面図である。
【図2】前記実施形態による遊技機の筐体の内部構造を示す斜視外観図であり、前面扉を開けた状態図である。
【図3】前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットの斜視外観図である。
【図4】前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットの正面図である。
【図5】前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットの平面図である。
【図6】前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットの右側面図であり、要部を断面で示している。
【図7】前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットにおける別の実施形態を示す平面図である。
【図8】前記実施形態による遊技機に備わるリールユニットにおける更に別の実施形態を示す斜視外観図である。
【符号の説明】
【0075】
10 遊技機
26L・26C・26R リール(複数のリール)
50 リールユニット
80 清掃装置
81L・81C・81R 回転ブラシ(複数の回転ブラシ)
82 軸棒
83A・83B アーム(一対のアーム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に図柄を配列して回転する複数のリールを有するリールユニットを備える遊技機であって、
前記複数のリールの外周面を清掃する清掃装置を備え、
前記清掃装置は、前記リールの外周面に当接する複数の回転ブラシと、これらの回転ブラシを同軸上に配列して回転可能に保持する軸棒と、一端部が前記軸棒の両端部に連結し、他端部が前記リールユニットの両翼に回動可能に連結する一対のアームと、を有し、
前記回転ブラシは、前記リールの外周面に一定の荷重を与えて当接し、当該リールの外周面の回転が摩擦伝動されて従動回転するように配置されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記回転ブラシの外周には、比較的短い多数の繊維を放射状に植設していることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記回転ブラシの外周には、比較的短い多数の繊維を螺旋状に植設していることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項4】
外周面に図柄を配列して回転する複数のリールを有するリールユニットを備える遊技機であって、
前記複数のリールの外周面を清掃する清掃装置を備え、
前記清掃装置は、前記リールの外周面に当接する複数の回転ローラと、この回転ローラの外周に巻回された清掃シートと、前記複数の回転ローラを同軸上に配列して回転可能に保持する軸棒と、一端部が前記軸棒の両端部に連結し、他端部が前記リールユニットの両翼に回動可能に連結する一対のアームと、を有し、
前記回転ローラは、前記リールの外周面に一定の荷重を与えて当接し、当該リールの外周面の回転が摩擦伝動されて従動回転するように配置されていることを特徴とする遊技機。
【請求項5】
前記清掃シートは、洗浄成分を含侵していることを特徴とする請求項4記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−28241(P2009−28241A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194929(P2007−194929)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】