説明

遊技機

【課題】ミドル枠と外枠との間にバール等をネジ込んで外枠を撓ませることによりミドル枠の鉤状部材と外枠の係合片との係合を無理矢理に解除してミドル枠を不正に開放する行為を効率的に防止することが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機1は、ミドル枠12の右端縁に、フレーム、鉤状部材27a,27bを備えた摺動杆、施錠装置、コイルバネ等からなる施錠機構13が設けられているとともに、外枠2の右側の上下に、係合片が設けられており、常時は、コイルバネによって摺動杆が下方に付勢されることにより、各鉤状部材27a,27bが各係合片と係合した状態で保持されて、ミドル枠12が閉じた状態で保持されるようになっている。また、各鉤状部材27a,27bの外側には、各鉤状部材27a,27bと各係合片との係合代を増大させるための板状の抜止部材30が貼着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、スロットマシーン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常のパチンコ機は、周囲が外枠で覆われており、その外枠の前方に、遊技盤や機構板等を設置したミドル枠が、片開き自在に取り付けられている。また、ミドル枠には、施錠機構が設けられており、通常は、ミドル枠が、外枠に対して閉じた状態でロックされており、ロックを解除した場合にのみ、ミドル枠を外枠に対して片開きできるようになっている。かかる施錠機構としては、ミドル枠の開放側の端縁に、前面と直交した状態を保って上下動する平板状の鉤状部材を設けるとともに、外枠に、板状の係合片を鉤状部材と直交するように内向きに突設し、鉤状部材を係合片に係合させることによって、ミドル枠を外枠に対して閉じた状態で保持するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−149616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のパチンコ機においては、ミドル枠と外枠との間にバール等をネジ込んで外枠を撓ませることにより鉤状部材と係合片との係合を無理矢理に解除してミドル枠を開放する不正行為(以下、「外枠湾曲不正開放行為」という)が行われてしまう虞れがある。加えて、上記従来のパチンコ機においては、ミドル枠の下端においてミドル枠と外枠との間にバール等をネジ込んでミドル枠を外枠に対して上方へ動かすことにより鉤状部材と係合片との係合を無理矢理に解除してミドル枠を開放する不正行為(以下、「ミドル枠持ち上げ不正開放行為」という)が行われてしまう虞れもある。
【0005】
本発明の目的は、上記従来のパチンコ機が有する問題点を解消し、外枠湾曲不正開放行為やミドル枠持ち上げ不正開放行為を非常に効果的に防止することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、周囲を覆う外枠に、ミドル枠が片開き自在に取り付けられており、そのミドル枠の開放側の端縁に、前面と直交した状態を保って上下動する平板状の鉤状部材が設けられているとともに、前記外枠に、板状の係合片が、前記鉤状部材と直交するように内向きに突設されており、前記鉤状部材を前記係合片に係合させることによって、ミドル枠を外枠に対して閉じた状態で保持可能な遊技機であって、前記鉤状部材の外面に、抜止部材が貼着されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記ミドル枠の開放側の端縁であって、前記係合片の前記鉤状部材との係合側と反対側の端縁と隣接した部分に、外枠に対するミドル枠の上下方向の動きを規制するための規制部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記規制部材が、前記係合片と直交するように設けられた板状体であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載された遊技機は、鉤状部材の外面に、抜止部材が貼着されており、鉤状部材と係合片との係合代(鉤状部材と係合片とが噛み合っている部分の幅)が大きいので、ミドル枠と外枠との間にバール等をネジ込んで外枠を撓ませることにより鉤状部材と係合片との係合を無理矢理に解除してミドル枠を不正に開放する外枠湾曲不正開放行為を効率的に防止することができる。
【0010】
請求項2に記載された遊技機は、規制部材が係合片と接触することによって、外枠に対するミドル枠の上下方向の動きが規制されるため、ミドル枠の下端においてミドル枠と外枠との間にバール等をネジ込んでミドル枠を外枠に対して上方へ動かすことにより鉤状部材と係合片との係合を無理矢理に解除してミドル枠を不正に開放するミドル枠持ち上げ不正開放行為を効率的に防止することができる。
【0011】
請求項3に記載された遊技機は、係合片と直交するように設けられた板状の規制部材が、外枠に固着された係合片の動きを精度良く抑制することができるので、ミドル枠持ち上げ不正開放行為をきわめて効率的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】パチンコ機の正面を示す説明図である。
【図2】パチンコ機を示す斜視図(ミドル枠に対して前面枠を開放した状態)である(なお、図2においては、外枠の記載が省略されている)。
【図3】施錠機構の右側面を示す説明図である。
【図4】施錠機構の背面を示す説明図である。
【図5】施錠機構の平面を示す説明図である。
【図6】施錠機構を裏側から見た状態を示す斜視図である。
【図7】外枠を示す斜視図である。
【図8】パチンコ機の上側の裏面(施錠機構の設置側)を示す斜視図である。
【図9】パチンコ機の下側の裏面(施錠機構の設置側の後ろ正面)を示す説明図である。
【図10】図1におけるA−A線断面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の遊技機の一実施形態であるパチンコ機について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
<パチンコ機の構成>
図1、図2は、本発明に係るパチンコ機を示したものであり、パチンコ機1は、木製で所定幅の扁平な筒状の外枠2によって、上下面および左右両側面が覆われており、その外枠2に対して、金属製のミドル枠12が、左端縁を軸として片開き自在に取り付けられている。
【0015】
ミドル枠12には、各種の入賞装置を設置し多数の障害釘を植設した遊技盤3が取り付けられているとともに、遊技球払出装置等を設置した機構板11が取り付けられている。また、ミドル枠12の下側には、遊技球を貯留するための貯留皿8が設けられており、その貯留皿8の右側には、発射装置を操作するための発射ハンドル9が設けられている。さらに、ミドル枠12の前方には、ガラス板7を嵌め込んだ前面枠4が設置されており、当該前面枠4の下側には、遊技球を発射装置へ供給するための供給皿6が設けられている。そして、ミドル枠12の右端縁には、当該ミドル枠12を外枠2に対して閉じた状態でロックするための施錠機構13が設けられている。
【0016】
図3〜6は、施錠装置13を示したものであり、施錠機構13は、フレーム21、摺動杆22、施錠装置23、コイルバネ24,24等によって構成されている。フレーム21は、金属板を折り曲げることによって形成されており、細長い帯状の支持板25の左側方に、断面L字状の取付板26が連設された状態になっている。
【0017】
支持板25の表面の下端際には、円筒状の施錠装置23が固着されている。当該施錠装置23の基端には、2つのアームを突出させたカム33が、施錠装置23の軸心に対して回転可能に取り付けられている。
【0018】
一方、取付板26の基端には、金属製で長尺状の摺動杆22が、上下方向にスライド可能に設けられており、その摺動杆22の上下の端縁際には、厚さ約2.0mmの金属板を裁断することによって形成された鉤状部材27a,27bが、後方へ突出するように設けられている。それらの鉤状部材27a,27bは、先端が矢尻状に形成されており、V字状の係合突起28が下向きに突出し、基端に切り欠き29が形成された状態になっている。なお、鉤状部材27a,27bの先端は、強度を高めるため、内向きに湾曲した状態になっている。また、各鉤状部材27a,27bの係合突起28の基端部分(先端の鋭角部分を除いた部分)の外面には、厚さ約3.0mmの金属板(アルミニウム板)によって形成された抜止部材30が貼着されている(鉤状部材27a,27bに穿設された挿通孔と抜止部材30に穿設された挿通孔とを利用して複数のリベットによって固着されている)。当該抜止部材30は、左右の端縁が鉛直に裁断されており、上下の端縁は、鉤状部材27a,27bと略同様な形状に裁断されている。加えて、抜止部材30の外側の稜線(外郭線)は、R状に面取りされた状態になっている。
【0019】
上記の如く鉤状部材27a,27bを設けた摺動杆22は、コイルバネ24,24によって、常時、下方に付勢されており、それに伴って各鉤状部材27a,27bも下向きに付勢された状態になっている。さらに、摺動杆22には複数の長孔31,31・・が穿設されており、それらの長孔31,31・・に、取付板26に突設されたピン32,32・・を挿通させた状態になっている。そして、それらの長孔31,31・・とピン32,32・・とによって、スライド量が規制されている。加えて、摺動杆22の下端際には、作用孔34,34が穿設されており、それらの作用孔34,34内に、施錠装置23の基端に枢着されたカム33の一対のアームが挿通した状態になっている。
【0020】
また、取付板26の基端の外面であって上側の鉤状部材27aの下方には、外枠2に対するミドル枠12の上向きの動きを規制するための規制部材35が設けられている。当該規制部材35は、厚さ約3.0mmの金属板(アルミニウム板)を略矩形に裁断することによって形成されており、内面が取付板26の基端の外面に貼着されている(取付板26に穿設された挿通孔と規制部材35に穿設された挿通孔とを利用して複数のリベットによって固着されている)。加えて、規制部材35の外側の稜線(外郭線)は、R状に面取りされた状態になっている。
【0021】
一方、図10は、外枠2を示したものであり、外枠2の右側(パチンコ機1の正面から見た場合の右側)に位置した金属製のフレーム5の内面の上下には、係合部材41a,41bが固着されている。各係合部材41a,41bは、金属(アルミニウム)によって一体的に形成されており、外枠2の内面に貼着させるための基板42に対して、鉤状部材27a,27bと係合させるための係合片43が直交するように設けられている。また、係合片43の基端の部分は、リブ44,44によって補強されている。
【0022】
上側の係合部材41a、下側の係合部材41bとも、基板42の外面を外枠2の内面に貼着させる(基板42に穿設されたネジ孔と外枠2に穿設されたネジ孔とを利用してネジによって螺着する)ことによって外枠2に固着されている。そして、2つの係合部材41a,41bとも、係合片43を内向きに突出させ、係合片43の板面を前面に対して平行に配置させた状態になっている。
【0023】
<パチンコ機の作動内容>
図8、図9は、それぞれ、パチンコ機1の上側、下側の裏面(施錠機構13の設置側)の様子を、係合部材41a,41b以外の外枠2の記載を省略して示したものであり、図10は、図1におけるA−A線断面を示したものである。上記パチンコ機1においては、片開きしているミドル枠12を外枠2に対して閉じるように押し込むと、各鉤状部材27a,27bの先端の傾斜部分が、それぞれ、外枠2に設けられた各係合部材41a,41bの係合片43の上端に衝突し、摺動杆22が、コイルバネ24,24の付勢力に抗して上昇する。そして、ミドル枠12が完全に閉じられると、コイルバネ24,24の付勢力によって摺動杆22が下降し、各鉤状部材27a,27bの切り欠き29に、それぞれ、係合部材41a,41bの係合片43が係合し、ミドル枠12が、外枠2に対して閉じた状態でロックされる。
【0024】
また、施錠装置23の鍵穴に適合した鍵(図示せず)を挿入して所定位置まで回転させた場合には、カム33が回転し、そのカム33の回転に伴って、摺動杆22がコイルバネ24,24の付勢力に抗して上昇するため、各鉤状部材27a,27bの切り欠き29と各係合部材41a,41bの係合片43との係合が解除され、ミドル枠12を外枠2に対して片開きすることが可能となる。
【0025】
そして、上記の如く、ミドル枠12が、外枠2に対して閉じた状態でロックされると、各鉤状部材27a,27bは、自体の厚みと抜止部材30の厚みを合わせた約6.0mmの係合代(重なり代)で、各係合部材41a,41bの係合片43と係合し合った状態となる。それゆえ、ミドル枠12と外枠2との間にバール等をネジ込んで外枠2を撓ませることにより各鉤状部材27a,27bと各係合部材41a,41bの係合片43との係合を無理矢理に解除しようとしても、上記係合代(重なり代)を上回るように外枠2を撓ませるのが困難であるため、各鉤状部材27a,27bと各係合部材41a,41bの係合片43との係合状態が保持され、ミドル枠12が外枠2に対して閉じた状態で保持される。
【0026】
また、上記の如く、ミドル枠12が、外枠2に対して閉じた状態でロックされると、外枠2に貼着された上側の係合部材41aの係合片43の下端縁際に(約5.0mmの距離を隔てた下方に)、規制部材35が配置した状態となる。それゆえ、ミドル枠12の下端においてミドル枠12と外枠2との間にバール等をネジ込んでミドル枠12を無理矢理に外枠2に対して上方へ動かそうとしても、規制部材35が係合部材41aの係合片43と接触することによって、外枠2に対するミドル枠12の上向きの動きが規制されるため、各鉤状部材27a,27bと各係合部材41a,41bの係合片43との係合状態が保持され、ミドル枠12が外枠2に対して閉じた状態で保持される。
【0027】
<パチンコ機の効果>
パチンコ機1は、上記の如く、各鉤状部材27a,27bの外面に抜止部材30が貼着されているため、各鉤状部材27a,27bと各係合部材41a,41bの係合片43との係合代(各鉤状部材27a,27bと各係合部材41a,41bの係合片43とが噛み合っている部分の幅)が大きいので、ミドル枠12と外枠2との間にバール等をネジ込んで外枠2を撓ませることにより各鉤状部材27a,27bと各係合部材41a,41bの係合片43との係合を無理矢理に解除してミドル枠12を不正に開放する外枠湾曲不正開放行為を効率的に防止することができる。
【0028】
また、パチンコ機1は、ミドル枠12の開放側の端縁であって、係合部材41aの係合片43の鉤状部材27aとの係合側と反対側の端縁と隣接した部分に、外枠2に対するミドル枠12の上向きの動きを規制するための規制部材35が設けられているため、ミドル枠12の下端においてミドル枠12と外枠2との間にバール等をネジ込んでミドル枠12を外枠2に対して上方へ動かすことにより各鉤状部材27a,27bと各係合部材41a,41bの係合片43との係合を無理矢理に解除してミドル枠12を不正に開放するミドル枠持ち上げ不正開放行為をも効率的に防止することができる。
【0029】
さらに、パチンコ機1は、規制部材35が、係合部材41aの係合片43と直交するように設けられた板状体であるため、外枠2に固着された係合部材41aの係合片43の上向きの動きを精度良く抑制することができるので、ミドル枠持ち上げ不正開放行為をきわめて効率的に防止することができる。
【0030】
<パチンコ機の変更例>
なお、本発明の遊技機の構成は、上記した各実施例の態様に何ら限定されるものではなく、外枠、ミドル枠、前面枠、施錠機構、鉤状部材、抜止部材、規制部材、係合片等の材質、形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0031】
たとえば、パチンコ機は、上記実施形態の如く、右側に施錠機構が設けられたものに限定されず、左側に施錠機構が設けられたものでも良い。また、施錠機構は、上記実施形態の如く、2つの鉤状部材が摺動杆の作動に伴って連動するものに限定されず、1つの鉤状部材のみからなるものでも良いし、3つ以上の鉤状部材が連動するものでも良い。
【0032】
さらに、鉤状部材は、上記実施形態の如く、上下動して係合片と係合するものに限定されず、回動することによって係合片と係合するもの等に変更することも可能である。また、摺動杆を付勢する部材は、上記実施形態の如きコイルバネに限定されず、板バネ等の他の弾性部材を用いることができる。
【0033】
一方、ミドル枠は、上記実施形態の如く、金属によって形成されたものに限定されず、合成樹脂等によって形成されたものでも良い。また、ミドル枠は、遊技盤や機構板と別個になったものに限定されず、遊技盤や機構板と一体となってものでも良いし、その他の部材が設置されたものでも良い。
【0034】
加えて、本発明の遊技機は、パチンコ機ばかりでなく、スロットマシーン等の他の遊技機として応用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の遊技機は、上記の如く優れた不正防止効果を奏するものであるので、各種のパチンコ機やスロットマシーン等として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1・・パチンコ機
2・・外枠
27a,27b・・鉤状部材
30・・抜止部材
35・・規制部材
41a,41b・・係合部材
43・・係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲を覆う外枠に、ミドル枠が片開き自在に取り付けられており、そのミドル枠の開放側の端縁に、前面と直交した状態を保って上下動する平板状の鉤状部材が設けられているとともに、前記外枠に、板状の係合片が、前記鉤状部材と直交するように内向きに突設されており、前記鉤状部材を前記係合片に係合させることによって、ミドル枠を外枠に対して閉じた状態で保持可能な遊技機であって、
前記鉤状部材の外面に、抜止部材が貼着されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ミドル枠の開放側の端縁であって、前記係合片の前記鉤状部材との係合側と反対側の端縁と隣接した部分に、外枠に対するミドル枠の上下方向の動きを規制するための規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記規制部材が、前記係合片と直交するように設けられた板状体であることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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