説明

遊技機

【課題】 演出のみに用いられる検出済みの遊技球を、電源供給停止や電源供給復帰をはさんでも極力保持して検出済み遊技球による演出を行いたい。
【解決手段】 電源投入時処理において、RAMクリア信号が入力されたか否か、すなわちRAM消去か否かを判断(S2)して、肯定判断ならば(S2:yes)RAM消去(S6)、サブ統合制御装置83へ初期画面指定コマンド送信(S8)、停留球解除信号をサブ統合制御装置へ送信(S9)、解除フラグを1に設定する(S10)。
また、否定判断のときでも、RAM保証値が1でない場合(S3:no)、SUM値が0でない場合(S5:no)は、RAM消去(S6)、初期画面指定コマンド送信(S8)、停留球解除信号送信(S9)、解除フラグ=1(S10)を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出済みの遊技球を用いて当否に関する演出を行うパチンコ遊技機の検出済み遊技球のカウント数管理に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新たな演出方法として、1度入賞検出した遊技球を、そのまま遊技機外に排出することなく保持しておき、予告演出や確変昇格演出の一環として、その検出済みの遊技球にて演出を行うものがある(以下、遊技球演出装置と称す)。
実際に販売されたものとして、演出領域にピンボール遊技に用いられるポケットとフリッパー状の可動物を設け、そこに検出済みの遊技球を排出して、フリッパーにて弾かれた遊技球が上手くポケットに入賞すると特別な告知を行うものがある。
特に大当り中においては確変昇格演出(次回の遊技が高確率遊技であることを告知する演出)として、演出ボタンの押下でフリッパーを操作可能にしてポケット入賞を目指す演出があり、過去には無い新規な演出として遊技者にインパクトを与えた。
【0003】
また、下記特許文献1には、上記演出装置の具体的な制御内容として、停留されている遊技球数により、遊技球を用いた演出が選択されやすい判定用テーブルと選択されにくい判定用テーブルを用いることが記載されており(請求項4など)、停留された遊技球数が少ない時は他の演出内容を選択しやすく、停留された遊技球数が所定以上の場合は、遊技球を用いた演出が選択されやすいようにすることが開示されている。
【0004】
他にも、一度の演出において、排出される遊技球数が多いほど大当りとなりやすい構成(請求項2など)、転動板上の遊技球の転動時間により大当りに対する期待度を異ならせる構成(請求項7など)などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−239251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような遊技球演出装置を備える遊技機においては、一旦電源供給を停止し、再度電源供給を復帰させた場合など、主制御基板はバックアップ電源により電源供給停止前の各種遊技情報を記憶しているため、遊技球演出装置に停留されている遊技球をそのまま停留していてもカウント数を主制御基板が把握しているので何ら問題ないが、RAMクリアスイッチ押下を伴う電源復帰時は、主制御基板が記憶していた各種遊技情報を初期化するため、遊技球演出装置で停留している遊技球数を把握することができなくなり、遊技再開時に実際の停留数と異なるカウント数にて遊技が進行されるという問題が生じる。
解決策としては、電源供給停止時毎に停留球を全て解除してしまうことが考えられるが、通常の電源復帰時においても停留数ゼロから遊技が再開することになり、遊技開始時には遊技球演出装置による演出が期待できないという問題点がある。また、特許文献1の請求項2のように、一度の演出に用いられる遊技球の数で大当りの期待度を示すことを実施可能となるにも、ある程度の時間を要すことになる。
これでは遊技球演出を期待して当該遊技機を選んだ遊技者に対して、その演出が可能となるまでの遊技球蓄積期間を耐えさせることになり、演出の在り方として避けたい解決方法である。
【0007】
本発明は、通常の電源復帰時には引き続き停留球を用いて、遊技開始時から遊技球演出を可能とし、且つ、RAMクリアを伴う電源復帰時のみ停留球を解除することにより、主制御基板が有するカウント数とのズレを防いで、且つ、正確な情報による演出が可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1記載の遊技機は、遊技機全体を制御するための各種指示を行うバックアップ機能を有するRAMを備えた主制御装置と、該主制御装置から指示された指示内容に基づいて所定の制御を行うサブ制御装置と、前記サブ制御装置の制御により遊技球を用いて演出を行う遊技球演出装置と、各制御装置に電源を供給するための電源装置と、該電源装置からの電源の供給及び停止を操作するための電源スイッチと、少なくとも前記主制御装置に備えられたバックアップ機能を有するRAMに記憶された各種情報をクリアするためのRAMクリアスイッチと、を備えたパチンコ遊技機において、
前記遊技球演出装置は、遊技盤上に発射された遊技球が入球可能な入球口と、該入球口入球した遊技球を検出する入球検出手段と、該入球検出手段により検出した遊技球を前記遊技球演出装置内の停留領域に停留する停留手段と、停留が解除されて前記停留領域から排出される遊技球を検出する解除球検出手段と、前記停留領域から排出された遊技球により演出を行う演出領域と、を備え、
前記主制御装置は、前記入球検出手段及び前記解除球検出手段の信号を基に前記停留手段に停留されている遊技球数を管理するカウント数記憶手段を有し、前記サブ制御装置は、前記停留手段の解除操作や前記演出領域の可動物の動作を制御する構成であって、前記RAMクリアスイッチの操作を伴って前記電源スイッチを操作することにより、前記バックアップ機能を有するRAMに記憶された各種情報をクリアした状態で電源供給する場合は、 前記主制御装置は前記停留手段の停留を解除させるための停留解除信号を前記サブ制御装置へ送信し、前記サブ制御装置は、前記停留解除信号を受信することにより前記停留手段を操作して停留している全ての遊技球を解除することを特徴とするパチンコ遊技機である。
【0009】
バックアップ機能とは、例えば、電源装置などに蓄電基板としてコンデンサを備え、常には受電基板から電力を受けて充電しながら主制御装置などのもRAMに電力供給を行い、いざ受電基板からの供給が停止したときには、受電基板からの電力の代わりに充電していた電力を供給することによりRAMの記憶を保持する機能を指す。
このようなバックアップ機能を有したRAMを備える制御装置は、必ずしも主制御装置だけである必要はなく、払出制御装置、サブ統合制御装置、演出図柄制御装置に備える構成でも良い。
【0010】
遊技球演出装置とは、遊技の結果に対しては何も影響を与えることなく、ただ演出することのみに検出済みの遊技球を用いる装置を指す。
遊技の結果に影響とは、大当り遊技の当否に関わることや、賞球の発生率に関わることなど、遊技者に何かしら利益、不利益を生じさせることを指す。
【0011】
停留手段とは、ソレノイドやモータなどを用いて、停留状態、解除状態を操作可能なものが好適である。例えば、通路上に停留片が出没し、通過を堰きとめるものや、賞球払出装置のように通路上にスプロケットを備えるものなどが考えられる。停留の方法は特に限定しない。
【0012】
停留されている遊技球数を管理するとは、入球検出により+1し、解除球検出により−1するといったようにカウントして停留球を把握していくことを指す。また遊技球演出装置の構成によっては、最大停留数が決まっており、それ以上の入球に対しては遊技機裏面に排出するものも考えられ、その場合は解除球のみでなく、排出された遊技球についても−1していく必要がある。
【0013】
前記課題を解決するために請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記サブ制御装置は、当否を示す図柄を可変させて図柄組み合わせゲームを行う演出装置としての図柄表示装置を制御する図柄制御手段を備え、前記主制御装置は、前記図柄組み合わせゲームの演出内容を指示する変動パターンを前記サブ制御装置へ送信する構成で、変動パターンを決定する際に、少なくとも前記カウント数記憶手段のカウント数を参照することを特徴とするパチンコ遊技機である。
【0014】
ここでいうサブ制御装置は、図柄制御手段と遊技球演出装置の制御のみでなく、電飾ランプ、スピーカを制御するための音ランプ制御手段を有しても良い。前記の制御を1つの基板により構成しても良いし、各々を別体の基板で構成しても良い。また、音制御手段、ランプ制御手段が各々単独の手段として構成しても良い。
また、音ランプ制御手段と遊技球演出装置の制御手段をサブ統合制御基板として構成し、サブ統合制御基板からの信号により動作する図柄制御手段を有した演出表示制御基板とした構成でも良い。
また、音ランプ制御手段をサブ統合制御基板として構成し、サブ統合制御基板からの信号により動作する図柄制御手段と遊技球演出装置の制御手段を演出表示制御基板とした構成でも良い。
【0015】
一般的に変動パターンを選択する際には、遊技状態、当否、リーチ有無、図柄作動保留数を参照した上で、変動パターン用乱数を用いて変動パターンを決定している。そこに停留数も加えて決定しても良いし、何れかを省いて決定しても良い。
【0016】
前記課題を解決するために請求項3記載の遊技機は、請求項1〜2の遊技機において、前記解除球検出手段からの信号は前記主制御装置のみに入力される構成とし、前記RAMクリアを伴う電源復帰の際には、前記解除球検出手段からの信号を一時的に無視することを特徴とするパチンコ遊技機である。
【0017】
解除球検出手段からの信号を無視する期間としては、最大停留数の遊技球が停留を解除されて遊技球演出装置を介して遊技盤裏に取り込まれるのに充分な時間が与えられていれば特に問題はない。また、無視する期間として、主制御装置が停留解除信号をその間出力し続ける構成でも良いし、電源復帰してから最初の入球検出手段からの信号を受信するまででも良い。
【0018】
前記課題を解決するために請求項4記載の遊技機は、請求項1〜3の遊技機において、前記主制御装置は、前記入球検出手段又は前記解除球検出手段からの信号を受信する度に前記サブ制御装置へ停留数を示すカウント数信号を送信すると共に、前記電源スイッチのみの操作による電源供給時にも前記カウント数信号を送信し、前記サブ制御装置は、受信した前記カウント数信号に基づいて前記停留手段に停留されている遊技球数のカウント数を記憶するバックアップ機能を有しないサブ側カウント記憶手段を備えたことを特徴とするパチンコ遊技機である。
【0019】
カウント数信号は、入球検出手段又は解除球検出手段からの信号を受信した場合は+1、−1を示す信号で、RAMクリアを行わない電源供給時に送られるカウント数信号は主制御装置で記憶している総カウント数を送信するという構成でも良い。
無論、入球検出手段又は解除球検出手段からの信号を受ける度に総カウント数を送信する構成でも良い。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、通常の電源復帰時の場合は、主制御装置に備えられたカウンタ記憶手段が電源供給停止前の停留数を記憶していることから、停留している遊技球をそのまま利用して電源復帰後当初から遊技球演出装置を用いる演出を実行可能であり、一方、RAMクリアに伴う電源復帰時の際には、カウンタ記憶手段の停留数の記憶のクリアと共に主制御装置がサブ制御装置へ停留解除信号を送信する構成のため、データ上の停留数と実際の停留数がクリアされることにより誤差が生じることを防ぐことができる。
頻度の少ないRAMクリアを伴う電源復帰の時のみ停留を解除することにより、通常の使用状態である、営業終了と共に電源供給停止して営業開始と共に電源復帰する場合などでは、そのまま停留している遊技球を用いることができ、検出済みの遊技球を使用した演出を遊技開始当初から実行することが可能となる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、主制御装置が、停留数を参照した上で変動パターンを決定するので、サブ制御装置は変動パターン1つを受信すれば図柄表示装置での表示内容、遊技球演出装置の使用の可否を認識することが可能となる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、RAMクリアを伴う電源復帰時には、停留解除信号によってサブ制御装置は全ての停留球を解除するため、解除球検出手段の信号により逐一解除個数を把握する必要はなく、無駄な処理を省くことが可能となる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、サブでもカウント数を管理することにより、サブ制御装置側で停留数を参照しながら遊技球演出装置の動作内容を決定することが可能となる。主制御装置以外でも決定できるようにすることにより、多様なタイミングで遊技球演出装置を用いることができる。例えば、主制御装置のみが停留数を把握している場合は、主制御装置が遊技球演出装置の使用決定、解除する遊技球数を変動パターンで指定する方法しかできないが、サブ制御装置でも停留数を把握している場合では、1つの変動パターンでも遊技球演出装置の使用の可否、解除する数をサブ制御装置で決定することが可能となり、より豊富な表現が可能となる。
また、RAMクリアを伴わない電源復帰の場合は、主制御装置が記憶しているカウント値をサブ制御装置へ送信するため、サブ制御装置はバックアップ機能を備えなくても問題がない。特にサブ制御装置が一時記憶するカウント値は遊技の結果に影響を全く与えない使用方法のため、それだけのためにバックアップ機能を搭載するよりも上記構成の方がコスト面でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】パチンコ遊技機50の正面図
【図2】遊技盤1の正面図。
【図3】パチンコ遊技機50の裏面図。
【図4】パチンコ遊技機50の電気的構成を示すブロック図。
【図5】(a)センターケース5の拡大図。停留球停留状態。 (b)センターケース5の拡大図。停留球解除状態。
【図6】主制御装置80が実行する起動処理のフローチャート。
【図7】主制御装置80が実行する割込み(INT)処理のフローチャート。
【図8】主制御装置80が実行する割込み(NMI)処理のフローチャート。
【図9】電源装置85の電気的構成を示すブロック図。
【図10】主制御装置80が実行する始動入賞確認処理のフローチャート。
【図11】主制御装置80が実行する特別図柄遊技処理のフローチャート1。
【図12】(a)主制御装置80が実行する特別図柄遊技処理のフローチャート2。 (b)主制御装置80が実行する特別図柄遊技処理のフローチャート3。
【図13】主制御装置80が実行する特別遊技処理のフローチャート。
【図14】停留球のカウント数の管理、及び停留球解除の流れを示すブロック図。
【図15】主制御装置80が実行する変動パターン決定の流れを示す一覧表。
【図16】遊技球演出装置の演出領域98の正面図
【図17】演出領域98と演出図柄表示装置6(画面6a)の対応図1。
【図18】演出領域98と演出図柄表示装置6(画面6a)の対応図2。
【図19】演出領域98と演出図柄表示装置6(画面6a)の対応図3。
【図20】演出領域98と演出図柄表示装置6(画面6a)の対応図4。
【図21】主制御装置80が実行する停留数信号処理のフローチャート。
【図22】第2実施例の停留球のカウント数の管理、及び停留球解除の流れを示すブロック図。
【図23】(a)サブ統合制御装置83が実行する停留球数と変動パターンによる演出内容の振分表。 (b)サブ統合制御装置83が決定する演出内容の詳細表。
【図24】停留数表示時の画面6aの正面図。
【図25】主制御装置80が実行する停留数送信処理のフローチャート。
【図26】第2実施例の主制御装置80が実行する起動処理のフローチャート。
【図27】第2実施例の停留球のカウント数の管理、及び停留球解除の流れを示すブロック図2。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施例等により発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は下記の実施例等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。
【0026】
[第1実施例]
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。
外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。
【0027】
前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
前枠52の上側左右及び外枠下側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。
前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
【0028】
下皿63の左側には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、遊技者が所定期間中に、該演出ボタン67を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。
また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、貸出ボタン57、精算ボタン58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
【0029】
図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の図示しない遊技釘が打ち付けられている。
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり疑似図柄を表示する。)の画面6aを臨ませる窓5a等を備えている。
【0030】
窓5aの上側にはドットマトリクスの普通図柄表示装置7及び7セグメントの特別図柄表示装置9と4個のLEDからなる普通図柄保留記憶表示装置8が設置され、下側には特別図柄保留記憶表示装置10が設置されている。
なお、本実施例のパチンコ遊技機は、1度入球検出した遊技球をそのまま装置内に停留させ、しかるべき演出内容の時に、遊技球を用いて演出を行うための回転体が備えられた演出領域へ送り出し、送り出された遊技球が回転体のどの入球口に入球したかにより大当りの可能性を示唆する遊技球演出装置をセンターケース5内に備えている。遊技球演出装置に関する演出回転体97や演出誘導口99などについては後述する。
【0031】
センターケース5の向かって左横には普通図柄作動ゲート17が配置されている。
センターケース5の下方には、第1始動口11と第2始動口12とがユニット化された複合入賞装置13が配置されている。
第1始動口11は、いわゆるチャッカーであり、常時入球可能である。
第2始動口12は電動チューリップであり、周知の電動チューリップと同様に開閉変化するが、上方に第1始動口11があるために図示の閉鎖状態では遊技球を入球させることができない。しかし、遊技球が普通図柄作動ゲート17を通過すると行われる普通図柄抽選で当り、普通図柄表示装置7に当りの普通図柄が確定表示されると、第2始動口12は開放されて入球容易になる。
複合入賞装置13の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置され、その下方にはアウト穴15が設けられている。
また、複合入賞装置13の左側には第1左入賞口31と第2左入賞口32が、右側には第1右入賞口33と第2右入賞口34がガイドレール2bに沿うように設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第1右入賞口33、第2右入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
【0032】
図3に示すように、パチンコ機50の裏側は、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。
また、パチンコ機50の裏側には(図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。
また、球タンク71の右側には、外部接続端子板78が設けられており、この外部接続端子板78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータ87に送られる。なお、従来はホールコンピュータ87へ信号を送信するための外部接続端子板には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータ87へ出力するための端子)と枠用((枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータ87へ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施例では、一つの外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87へ遊技状態や遊技結果を示す信号を送信している。
【0033】
このパチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には電源回路は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84、電源基板85にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31および第2左入賞口32に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a、第1右入賞口33および第2右入賞口34に入球した遊技球を検出する右入賞口スイッチ33a、図5に詳細に示している、センターケース5に設けられた演出誘導路入口99内に入球した遊技球を検出する誘導路入球スイッチ99a、通路内に設けられた溢れ玉通路104に設けられた溢れ玉通路スイッチ104a、解除球通路105内に設けられた解除球スイッチ105aなどの検出信号が遊技盤中継端子板74を介して入力される。
【0034】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特別図柄表示装置9及び普通図柄表示装置7の表示、特別図柄保留記憶表示装置10及び普通図柄保留記憶表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、遊技盤中継端子板74を介して大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普電役物ソレノイド12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。なお、普電役物とは普通電動役物を示す。
主制御装置80からの出力信号は、上記のほかにも試験信号端子や、図柄変動や大当たり等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールメインコンピュータに送られる。
【0035】
主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。図4の構成では、払出制御装置81は裏配線中継端子板75と払出中継端子板76を介して払出モータ20を制御する構成である。また、本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81は満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力される構成で、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンク71に遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してCRユニット56と交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示装置25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸スイッチ57、精算を要求するための返却スイッチ58が接続されている。
【0036】
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠70、前枠52)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。
なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドル64からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止スイッチ信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
【0037】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LEDや各種ランプを制御する。なお、音声出力に関しては、音量調整スイッチ83aにて音量を調節することができる。
また、演出領域98に備えられた演出回転体の演出回転体モータ27、停留手段101の停留手段ソレノイド19の制御も行う。
また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67が接続されており、遊技者が演出ボタン67を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0038】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、疑似図柄等の演出画像を画面6aに表示させる。
【0039】
センターケース5に備えられた遊技球演出装置について図5に従って説明する。
図5(a)に示す図は、センターケース5に備えられた演出誘導路入口99から入球した遊技球が、停留手段101により停留されているところを示す。
演出誘導路入口99の直下には誘導路入球スイッチ99aが設けられており、入球を検出する度に主制御装置80へ入球信号を送信する。
停留手段101は、通路内設けられた開口部に、通路外から突出して進入可能なように停留手段用のソレノイド19により可動可能に設けられている。停留手段101が突出している状態では、遊技球は停留手段101を避けて通過していくことは不可能なように設計されている。
なお、本実施例ではソレノイドがOFFの状態の時に停留手段101は突出状態となるように構成されている。
【0040】
演出誘導路入口99から入球した遊技球は、本実施例では、解除球通路105を介して演出誘導路出口100から演出領域98へ排出されるか、溢れ玉通路104から遊技機外へ排出される構成である。図では推定15球を停留可能に設計されており、15球以上の遊技球が入球すると停留された遊技球と通路の形状により溢れ玉通路104へ誘導されるようになっている。
解除球通路105には解除球スイッチ105aが備えられており、遊技球が通過すると検出信号を主制御装置80へ送信する。
溢れ玉通路104には溢れ玉通路スイッチ104aが備えられており、遊技球が通過すると検出信号を主制御装置80へ送信する。
なお、停留球数については、上限を設けない構成でも良いし、遊技球1個のみを停留する構成でも良く、演出したい内容に応じて適宜変更可能である。
【0041】
図5(b)に示す図は、停留手段が通路外に待避することにより停留されていた遊技球が停留解除となり、解除球通路105、演出誘導路出口100を介して演出領域98へ至っているところを示す。
本実施例の構成では、演出領域98に遊技球が入球可能な入球口が複数備えられた演出回転体97が回転可動しており、遊技球がどの入球口に入るかに興趣を持たせている。詳細な説明は後述するが、複数の入球口の中の1つに特定領域106を設けたものが設置されており、特定領域106へ入球した遊技球は特定領域スイッチ106aにより検出され、検出信号はサブ制御装置83へ送信される。
演出回転体97に取り込まれた遊技球は遊技機外へ排出される。演出領域98に進入した遊技球は全て演出回転体97を介して遊技機外へ排出される構成である。
【0042】
次に主制御装置80の主制御CPUの電源投入時処理の動作を詳しく説明する。
図6に示すように、図示しないセキュリティーチェックが終了した後に、主制御CPUは先ず電源投入時処理を実行する。
ここでは、RAM初期設定処理(S1)を行ってから、RAMクリア信号が入力されたか否か、すなわちRAM消去か否かを判断(S2)して、肯定判断ならば(S2:yes)RAM消去(S6)を行い、サブ統合制御装置83へ初期画面指定コマンドを送信(S8)する。また、本発明特有の構成である停留球解除信号をサブ統合制御装置へ送信(S9)し、解除フラグを1にする(S10)。
【0043】
否定判断のときは、RAM保証値が1か否かを判断する(S3)。RAM保証値が1でなければ(S3:no)RAM消去(S6)、初期画面指定コマンド送信(S8)、停留球解除信号送信(S9)、解除フラグ=1(S10)を行い、RAM保証値が1なら(S3:yes)、SUM値作成処理(S4)を行い、SUM値が0か否かを判断する(S5)。
SUM値が0でなければ(S5:no)RAM消去(S6)、初期画面指定コマンド送信(S8)、停留球解除信号送信(S9)、解除フラグ=1(S10)を行う。
SUM値が0なら(S5:yes)RAMに記憶されていたデータに基づいて電源断前の遊技状態に復帰させるための電源復帰処理(S7)を行う。なお、電源復帰処理で復帰した場合は、初期画面指定コマンドは送信せず、待機画面を表示させる構成である。
S9またはS7の実行で電源投入時処理が終了し、残余処理が始まる。
【0044】
ここでは、割り込みを禁止し(S11)、NMIフラグが0か否かを判断する(S12)。
NMIフラグが0なら(S12:yes)、初期値乱数更新処理1(S13)、初期値乱数更新処理2(S14)、初期値乱数更新処理3(S15)を実行して、割り込み禁止を解除する(S16)。なお、本実施例では、初期値乱数1は第1始動口スイッチ11aで取得する大当り図柄決定用乱数の初期値を更新するための処理であり、初期値乱数2は第2始動口スイッチ12aで取得する大当り図柄決定用乱数の初期値を更新するための処理、初期値乱数3は普通図柄作動スイッチ17aで取得する当り図柄決定用乱数の初期値を更新するための処理である。
この残余処理中にINT割り込みがあると、割り込み禁止が解除(S16)された後に図7に示す割り込み(INT)処理にジャンプして本処理を行う。
【0045】
この処理では、特別図柄当否判定に使用する各種の乱数値を更新し(S21)、タイマのカウントを更新し(S22)、入賞口等に設置されている検出スイッチからの遊技球検出信号や枠装置に設けられたスイッチ類からの信号等の入力処理を行い(S23)、当否報知および大当たり遊技の実行に関わる特別図柄遊技処理(S24)、普通図柄当否判定および普通電動役物(第2始動口)12の制御に関わる普通図柄遊技処理(S25)、演出画像の表示、電飾、音声出力などを制御するサブ統合装置83への演出制御コマンド送信処理(S26)、特別図柄表示装置9の表示制御や可変入賞口(普通電動役物12、大入賞口14)の開閉制御のためのデータ出力処理(S27)を行う。
【0046】
そして、割り込み回数カウンタを+1して(S28)、割り込み回数が所定回数を超えたか否かを判断する(S29)。
INT割り込みはタイマによって定期的(2ms毎または4ms毎)に行われるので、その割り込み回数を計数すれば、電源投入時処理(図6参照)が行われた後の経過時間を測定したのと同じことになる。
割り込み回数が所定回数を超えていれば(S29:yes)、すなわち「タイマ手段による計時が所定時間を経過した」ことになる。
【0047】
この所定時間(所定回数)は、賞球制御CPU31aのセキュリティーチェックに必要な時間から主制御CPUのセキュリティーチェックに必要な時間を減じた時間以上に設定されている。
そして、割り込み回数が所定回数を超えていれば(S29:yes)、払出制御装置81に賞球コマンドを送信する(S30)。
【0048】
賞球コマンドは、入賞口に設置されている検出スイッチからの遊技球検出信号(S23参照)に基づいて生成されるコマンドであり、払い出し個数(賞球個数)を特定可能なデータ構成になっている。
払出制御装置81の賞球制御CPUは、賞球コマンドが主制御装置80から送られてくると、払出中継端子板76を介して払出モータ20を駆動させて、賞球コマンドで指定された個数の賞球を払い出させる。
【0049】
割り込み回数が所定回数を超えていないときは(S29:no)、上記のように生成した賞球コマンドを例えばRAMに記憶する(S31)。
なお、ここでは賞球コマンドを記憶する代わりに、賞球個数を記憶してもよく、複数の入賞分の賞球個数を加算記憶しても何ら差し支えない。
S30またはS31を実行すると割り込み(INT)処理から残余処理にリターンする。
【0050】
一方、電源装置85(図9参照)に設けられる停電検出回路110が停電を検出して停電検出信号111を出力し、この信号が主制御装置80に入力されると、主制御CPUにリセット信号(NMI信号)112が与えられる。なお、本実施例ではリセット信号としてNMI(ノンマスカブルインタラプト)を用いるため、以後リセット信号をNMI信号と記す。
主制御CPUは、NMI信号112があると、残余処理や本処理にかかわらず直ちに現在のプログラムを中断して、図8に示す割り込み(NMI)処理にジャンプ(実行途中の処理は行う構成とし、次のステップへは移行せずに割り込み(NMI)処理にジャンプ)して強制割り込み処理を行う。
この割り込み(NMI)処理では、現在のプログラムのアドレスをレジスタに記憶して(S35)、NMIフラグを1にセットしてから(S36)、レジスタに記憶したアドレスから処理を再開する(S37)。
【0051】
この処理の再開後の残余処理においてS9を実行すると、NMIフラグが1になっているので(S12:no)、バックアップ処理に移行して、SUM値を作成し(S17)、RAM保証値を1にして(S18)、RAMライトプロテクト処理(S19)によりRAMの書き込みを禁止する。
このようにバックアップ処理が行われた後に復電すれば、電源投入時処理が行われるが、ここではRAM保証値が1であるから(S3:yes)、上述のS4、S5が実行され、またSUM値が0ではないから(S5:yes)電源復帰処理(S7)を行う。
【0052】
電源投入時処理後に実行される残余処理中にINT割り込みがあると、割り込み禁止が解除(S16)された後に割り込み(INT)処理にジャンプして本処理を行うので、電源投入時処理の終了後に各種入賞口への入賞があった場合には、即座に払い出しはできないものの、入賞があったことを検出して主制御装置80が記憶することができる。
その検出した入賞に関しては、払出制御装置81の賞球制御CPUの立ち上がりに要する時間を経過した後に、賞球コマンドが主制御装置80から払出制御装置81に送信されるので、賞球コマンドを払出制御装置81が取りこぼすことがない。
よって、遊技者は、入賞したのに賞球が払い出されないという不利益を被らない。
【0053】
図9は電源装置85の電源供給を示すブロック図である。
図9に示すように、電源装置85は電源回路113、停電検出回路110及びバックアップ用電源回路114、受電回路116、電源スイッチ117、RAMクリアスイッチ115を備えている。
電源回路113は、受電回路116を経由して供給される主電源AC24Vを基にして、各制御装置やアクチュエータ等の作動電源を生成して供給する。また、受電回路116には、当該受電回路116から電源回路113への主電源AC24Vの供給を導通/非導通に切り替えられる電源スイッチ117が接続されている。
【0054】
バックアップ用電源回路114は、電源回路113で生成されたDC5Vを充電し、バックアップ対象にバックアップ用電源(DC5V)として供給する。停電検出回路110は、主電源の電圧(24V)が所定電圧以下に降下すると主制御装置80、払出制御装置81に停電検出信号111とリセット信号(NMI信号)112を出力する。なお、主電源の電圧が所定電圧以上に上昇すると停電検出信号111、リセット信号112ともに出力を停止する。
また、本実施例で停電検出信号111とリセット信号112を主制御装置80と払出制御装置81に送信する構成としたが、必ずしもこの構成である必要はない。主制御装置80のみに送信し、主制御装置80が払出制御装置81に停電用のコマンドを送信しても良いし、その逆の構成なども考えられる。
【0055】
RAMクリアスイッチ115は操作に応じてRAMクリアスイッチ信号を出力する。なお、RAMクリアスイッチ115の操作によりRAMクリアスイッチ信号を出力するためのRAMクリアスイッチ信号発生用の回路は、必ずしも電源装置85に設ける必要はなく、主制御装置80や払出制御装置81のいずれかに設けることも考えられるし、主制御装置80、払出制御装置81に各々設けることも考えられる。その場合は主制御装置のみをRAMクリアできたり、払出制御装置81のみクリアできる構成とする。
【0056】
図10に示す始動入賞確認処理では、主制御装置80は、第1始動口スイッチ11a又は第2始動口スイッチ12aの検出信号に基づいて、第1始動口11又は第2始動口12に遊技球が入球したか否かを判断する(S90)。
肯定判断なら、大当り決定用乱数、大当たり図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、特別図柄保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S91)。
保留記憶が満杯でなければ(S91:no)、上記の各乱数を特別図柄保留記憶として記憶し、特別図柄保留記憶表示装置10の点灯数を1増加させる(S92)。既に4個の保留記憶があれば(S91:yes)保留記憶せず、特別図柄保留記憶表示装置10の点灯数も増やさない。
なお、特別図柄の保留記憶数の増減はサブ統合制御装置83を経由して演出図柄制御装置82に伝えられ、演出図柄表示装置6の画面6aにて、特別図柄保留記憶表示装置10の点灯数と同数の疑似保留表示がなされる。無論、疑似保留表示は必ずしも行う必要があるものではない。
【0057】
図11に示す特別図柄遊技処理では、主制御装置80は、条件装置の作動中か否かを大当たりフラグに基づいて判断する(S40)。
S40の判定が否定判断で、特別図柄が変動中でなく(S41:no)、確定図柄の表示中でもなければ(S42:no)、特別図柄保留記憶(上記、S92による保留記憶)があるか否かを判断する(S43)。
この保留記憶があれば(S43:no)、特別図柄保留記憶の中で最も古いもの読み込んで(その特別図柄保留記憶は保留記憶から消去し)、確変フラグがセットされているか(高確率状態か)否かを判定する(S44)。
肯定判断であれば(S44:yes)、読み込んだ大当り決定用乱数を確変テーブルに記録されている当り値と照合し(S46)、否定判断であれば、読み込んだ大当り決定用乱数を通常テーブルに記録されている当り値と照合する(S45)。
本実施例の場合、上述したように通常確率状態時には1/350の確率で当選し、高確率遊技状態には1/35の確率で当選する。
【0058】
S45又はS46の判定で大当りなら(S47:yes)、大当たり図柄決定用乱数によって大当り図柄を決定し(S48)、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定する(S49)。
また、外れのときは(S47:no)、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを決定する(S50)。本実施例の場合、ハズレの場合の特別図柄の表示は「− −」の1種類しかないので、ハズレ図柄は決定しなくてもよい。
【0059】
S49又はS50に続いては、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には通常大当たり、確変大当たり、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に出力し、また特別図柄表示装置9を制御して特別図柄の変動表示を開始させる(S51)。
従って、サブ統合制御装置83は変動開始コマンドに基づけば大当たり図柄又は外れ図柄(以下、まとめて確定図柄)、リーチの有無及び変動時間を判別できる。
変動開始コマンドを受信したサブ統合制御装置83は、特別図柄の変動表示に呼応した音声及びランプの演出制御を行い、また演出図柄制御装置82に変動開始コマンドを送る。
【0060】
主制御装置80は、特別図柄の変動中であれば(S41:yes)、図12(a)に示すように図柄変動時間(S49又はS50の変動パターンに基づく)を経過したか否かを判断する(S52)。
肯定判断なら図柄停止コマンドをサブ統合制御装置83に出力し、また特別図柄表示装置9を制御して確定図柄を確定表示させる(S53)。
図柄停止コマンドを受信したサブ統合制御装置83は、特別図柄の変動表示に呼応した音声及びランプの演出を終了させ、また演出図柄制御装置82に図柄停止コマンドを送る。
【0061】
主制御装置80は、確定表示させた特別図柄が大当たりになる表示であれば(S54:yes)、確定図柄表示設定処理(S55)を行い、条件装置作動開始処理(S56)により、大当たりフラグをセットする。
続いて、確変フラグがセットされているか否かを判定し(S57)、肯定判断なら確変フラグをクリアする(S58)。否定判断なら(S57:no)、時短フラグがセットされているか(時間短縮状態か)否かを判定し(S59)、肯定判断なら時短フラグをクリアする(S60)。
【0062】
確定表示させた特別図柄が大当たりにならない表示(つまり外れ)のときは(S54:no)、確定図柄表示設定処理(S61)を行い、開放延長フラグが立っているか否かを判断する(S62)。なお、開放延長フラグは、高確率状態中及び時間短縮状態中には立っている。開放延長フラグが立っていれば記憶されている開放延長回数カウントを−1して(S63)、このカウントの値が0になったなら(S64:yes)、各フラグを終了する(S65)。
このS65の処理では、現在が高確率状態であれば、確変フラグ、時短フラグと開放延長フラグを終了させ、現在が時間短縮状態であれば、時短フラグと開放延長フラグを終了させる。
【0063】
S42で確定図柄の表示中であれば(S42:yes)、図12(b)に示すように、確定図柄表示設定(S55又はS61)で設定された確定図柄表示時間を経過したか否かを判断し(S66)、経過していれば(S66:yes)、確定図柄表示終了処理(S67)により特別図柄表示装置9を制御して特別図柄の確定表示を終了させ、またサブ統合制御装置83経由で演出図柄制御装置82に指示して、疑似図柄の確定表示を終了させる。
【0064】
図13に示す特別遊技処理では、主制御装置80は、条件装置の作動中か否かを大当たりフラグに基づいて判断する(S70)。
条件装置の作動中なら(S70:yes)、大入賞口14が開放中か否かを判断する(S71)。
大入賞口14の開放中でなく(S71:no)、大当たり開始演出中でなく(S72:no)、インターバル中でもなく(S73:no)、大当たり終了演出中でもなければ(S74:no)、大当たり図柄及び大当たりした状態を記憶し(S75)、大当たり開始演出処理(S76)により、サブ統合制御装置83に大当たり開始コマンドを送信し、また大入賞口14を開放させる。
【0065】
サブ統合制御装置83は大当たり用の音声及びランプの演出を開始し、また演出図柄制御装置82に大当たり開始コマンドを送る。大当たりコマンドを受信した演出図柄制御装置82は、演出図柄表示装置6を制御して大当たり開始演出(いわゆるファンファーレ画面)を表示させる。上記大入賞口14の開放は、この大当たり開始演出を待って行われる。
【0066】
S72、S73又はS74で肯定判断のときはリターンする。S71で肯定判断のときは大入賞口14への入賞球が10個になったか否かをカウントスイッチ14aの検出信号に基づいて判断し(S77)、否定判断なら大入賞口開放時間の終了か否かを判断する(S78)。S78で否定判断ならリターンし、S77又はS78で肯定判断なら大入賞口14を閉鎖させる(S79)。
続いて、最終ラウンドであったか否かを判断し(S80)、否定判断なら大当たりインターバル処理(S81)により、サブ統合制御装置83にインターバルコマンドを送信し、サブ統合制御装置83からインターバルコマンドを受信した演出図柄制御装置82の制御で演出図柄表示装置6の画面表示が変更されるのを待って、大入賞口14を開放させる。
【0067】
S80で肯定判断のときは大当たり作動は継続しないので、大当たり終了演出処理(S82)を実行してから、条件装置停止処理(S83)により条件装置を停止させる(大当たりフラグをクリアする)。
そして、S55で特別図柄表示装置9に確定表示させS75で記憶した大当たりした図柄が確変図柄であれば(S84:yes)、確変フラグ・時短フラグ作動処理(S85)を行い、確変フラグ、時短フラグ、開放延長フラグをセットし、開放延長カウンタの値を10000にセットする。
確変図柄でないときは(S84:no)、時短フラグ作動処理(S86)により時短フラグ、開放延長フラグをセットし、開放延長カウンタの値を大当りした図柄に対応した値にセット(本実施例では100である)。する。
S85又はS86の処理の後は、サブ統合制御装置83に大当り終了コマンドを送信する(S87)。
【0068】
図14は、本実施例1の遊技球演出装置の停留球のカウント数の管理、及び停留球解除の流れを簡略化したブロック図である。
実施例1では、遊技球演出装置内に設けられた誘導路入球スイッチ99a、解除球スイッチ105a、溢れ玉通路スイッチ104aが主制御装置80に送信される構成である。主制御装置80には、上記スイッチからの信号を受信するたびにカウンタ値を変動させて停留している遊技球数を把握している。なお、このカウンタ値は、主制御装置80に備えられたバックアップ機能により電源供給が停止してもカウンタ値を保持できるようになっている。
【0069】
カウンタ値は、誘導路入球スイッチ99aからの信号を受信すると+1され、解除球スイッチ105a、玉溢れ通路スイッチ104aからの信号を受信すると−1される。これにより、主制御装置80が停留球数を常に把握することが可能となる。
主制御装置80は、サブ制御装置83へ図柄組み合わせゲームを変動表示させるための変動パターンを送信するとき、このカウント値を参照して変動パターンを決定する。変動パターンの決定方法については図15も参照して説明する。
【0070】
図15に示す表は、本実施例の遊技機の主制御装置80がどのように変動パターンを決定しているかを示す表である。
最初に遊技状態を参照する。本実施例では、大当り確率が最も低い状態である低確率時と、第2始動口である普通電動役物の開放時間が延長された状態である(いわゆる時短状態)開放延長機能作動時、大当り確率が高い状態である確率変動作動時の3つの遊技状態を備えている。図は低確率時の場合を表わしている。
【0071】
次に大当り判定を行い、当選かハズレかを参照する。当選ならば、リーチを経由することになるのでリーチ判定用乱数は参照する必要はない。ハズレの場合はリーチ判定用乱数により、リーチを行うか行わないかを決定する。
大当り判定が当選の場合は、次に停留数を参照する。この表では停留数での振り分けの上限を5個以上としている。例えば停留数が0個である場合は、0個用のテーブルにて変動パターン用乱数を参照し、変動パターンを決定する。
【0072】
次に大当り判定がハズレでリーチを行う場合も停留数を参照する。この場合も停留数に応じたテーブルにて変動パターン用乱数を参照し、変動パターンを決定する。
大当り判定がハズレでリーチを行わない場合は、停留数は参照せずに特図の作動保留数を参照する。各分岐された保留数に応じたテーブルを用いて変動パターンを決定する。
このように予め停留数を加味した上で変動パターンを決定しているため、サブ制御装置上で遊技球演出装置を用いるか否かの判断等を行う必要がなく、余計な負担を与えずに済む。
【0073】
図16に示す図は、停留手段101によって停留されていた遊技球が、サブ制御装置83が停留手段ソレノイド19を制御することにより解除され、演出誘導路出口100から排出された遊技球が到達する演出領域98の拡大図である。
本実施例の演出領域98は、演出図柄表示装置6の画面6a液晶表示部の下端に位置し、遊技者が視認しやすいように、前方に行くに従って低くなるように勾配をつけて設置されている。
また、画面6aと接するように設けることにより、遊技者の視界の中にお互いが入りやすくなり、遊技球演出装置と演出図柄表示装置6が連動して演出を行ってもどちらも把握しやすくなる。
【0074】
演出誘導路出口100から排出された遊技球は、演出領域98に設けられた誘導路107に導かれて演出回転体97が設けられている箇所までやってくる。演出回転体97は所定の変動パターンがサブ制御装置83に送信されると、サブ制御装置は、遊技球演出装置での演出が開始されることを報知されるタイミングで演出回転体モータ27を駆動して回転を開始させる。なお、通常時から回転させていても特に問題はなく、回転開始タイミングは特に限定するものではない。
図では演出回転体97に設けられた入球口の数は4つである。その内、「V」と記載された入球口のみを特定領域106に設定している。特定領域106以外の入球口へ遊技球が入球しても、演出表示内容等に変化は起こらない。入球した遊技球もそのまま遊技機外へ排出されるのみである。
対して特定領域106には特定領域スイッチ106aが備えられており、該スイッチで遊技球が検出されると検出信号はサブ制御装置83へ送られ、サブ制御装置83は図柄制御装置82に指示を出し、画面6a上で大当りの期待度を表示する。
【0075】
上記に記載した演出内容をより具体的に図17〜20にて説明する。
図17は停留手段101が停留手段ソレノイド19が動作することにより、停留していた遊技球を3球解除し、演出領域98に放出されたことを示す。
停留手段101が停留を解除する前に、画面6aにて遊技球演出装置にて演出が行われることを遊技者に報知している。この図では解除する遊技球数も示すことにより、告知が達成される可能性をも示している。3球解除するということは、演出回転体97に設けられた入球口が4つであるので3/4の確率で告知されることとなる。
また、「V」が表記された入球口に入球すると告知されることも遊技者に報知して、この演出の説明を画面6a上で行って遊技者の混乱を回避している。ちなみに、この段階では図柄は全て高速変動中である。
【0076】
図18は演出回転体97の特定領域106に2球目に解除された遊技球が入球したところを示す。
本実施例の構造ではこの地点ではまだ特定領域スイッチ106aにて検出されていない状態である。図示しないが回転体の10時の箇所に遊技球取り込み口が設けられており、そこに特定領域スイッチ106aが備えられている。
一方、このとき画面6aでは演出の名称(「告知チャンス!」)と残り秒数が示されている。この残り秒数の間に特定領域スイッチ106aが検出しないと特定領域106の入球口に入っていても告知されないことになる。ちなみに、この段階でも図柄は全て高速変動中である。
【0077】
図19は演出回転体97の特定領域106が10時の位置まで移動し、遊技球が下方に取り込まれたところを示す。取り込まれた時に特定領域スイッチ106aにて検出されたため、画面6aでは「V入賞!」と報知画面に切り替わっている。ちなみにこの段階では左図柄が停止し、他の図柄は変動中である。
【0078】
図20は演出領域98に最後まで残っていた3球目の遊技球が下方に取り込まれたところを示す。なお、本実施例では特定領域106以外は入球検出を行っていないが、演出内容によっては他の入球口に入球した遊技球も検出することも考えられる。
画面6aでは「V入賞!」により大当りの期待度を星の数で示す表示内容に切り替わり、今回は星4つと告知されていることを示す。
本実施例では最高で星5つが表示される構成のため、かなり期待度が高いことを示した状態となっている。ちなみに図柄は左図柄のみが停止している状態であとの図柄は変動中である。
【0079】
図21では、停留球数のカウント値がどのように増減するのか、また、図6の電源投入時処理の停留球解除信号が送信(S9)、解除フラグ=1(S10)を行った場合の処理を示すものである。なお、本実施例でこの処理が行われるのは、図7に示す割込み処理の入力処理(S23)の時に行う構成である。
最初に誘導路入球スイッチ99aが検出を行ったかを参照する(S101)。誘導路入球スイッチ99aが検出していない場合は(S101:no)、解除球スイッチ105aが検出を行ったか参照する(S102)。解除球スイッチ105aが検出していない場合は(S102:no)、溢れ玉通路スイッチ104aが検出を行ったか参照する(S103)。溢れ玉通路スイッチ104aが検出していない場合は(S103:no)、そのままリターンに抜ける。
【0080】
解除球スイッチ105aが検出している場合(S102:yes)と溢れ玉通路スイッチ104aが検出している場合は(S103:yes)、解除フラグが1であるか参照する(S104)。解除フラグが1である場合は(S104:yes)、そのままリターンに抜けるが、解除フラグが1でない場合は(S104:no)、カウント値を1マイナスする(S105)。
誘導路入球スイッチ99aが検出している場合は(S101:yes)、解除フラグが1であるかを参照し(S106)、解除フラグが1の場合は(S106:yes)解除フラグを0に戻して(S107)カウント値を1プラスする(S108)。解除フラグが1でない場合はそのままカウント値を1プラスする(S108)。
このように制御することにより、RAMクリアを伴う電源投入を行った場合は、初回の誘導路入球スイッチ99aが検出を行うまでは解除球スイッチ105a、溢れ玉通路スイッチ104aの検出を無効とすることができる。
【0081】
以上が実施例1の構成であるが、このようにRAMクリアを伴う電源投入時のみは停留球解除を行い、且つ、主制御装置80は解除球スイッチ105aの入力を無効とするため、通常の電源投入時では初回の図柄組合せゲーム時から遊技球演出の選択が可能な状態で始めることができ、尚且つ、RAMクリアを行った際には主制御装置80が記憶していたカウンタ値がクリアされるのに合わせて停留球も全て解除されるため、常にカウンタ値と停留球数に誤差が生じない。
また、主制御装置80が停留数を参照した上で変動パターンを決定するので、サブ統合制御装置83は、停留数の数を把握していなくても停留手段ソレノイド19を作動することができる。
また、RAMクリアを伴う電源投入時は解除球スイッチ105aの信号を無視するので無駄な処理を省くことができる。このような構成のため、遊技球を用いた演出力を最大限に発揮することができる。
【0082】
[第2実施例]
第2実施例では、誘導路入球スイッチ99a、溢れ玉通路スイッチ104a、解除球スイッチ105aの信号により加減算するカウンタ値を、主制御装置80のみではなく、サブ統合制御装置83又は演出図柄制御装置82の少なくとも一方も備える構成であり、これ以外は第1実施例と略同様の構成である。そのため、第1実施例と同一部品には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について述べる。
【0083】
図22は、本実施例2の遊技球演出装置の停留球のカウント数の管理、及び停留球解除の流れを簡略化したブロック図である。
本実施例2では、まず実施例1と同様に遊技球演出装置内に設けられた誘導路入球スイッチ99a、解除球スイッチ105a、溢れ玉通路スイッチ104aが主制御装置80に送信される構成である。主制御装置80は上記スイッチからの信号を受信するたびにカウンタ値を変動させて停留している遊技球数を把握する。なお、このカウンタ値は、バックアップ電源により電源供給が停止しても記憶を保持できるようになっている。
【0084】
カウンタ値は、誘導路入球スイッチ99aからの信号を受信すると+1され、解除球スイッチ105a、玉溢れ通路スイッチ104aからの信号を受信すると−1される。これにより、主制御装置80が停留球数を常に把握することが可能となる。
主制御装置80はこのようにカウント値を変動させると、その度にサブ統合制御装置83へ停留数信号を送信する。なお、主制御装置80が送る停留数信号をサブ統合制御装置83ではなく、図柄制御装置82へ送信する構成でも良い。説明としてはサブ統合制御装置83へ送る構成を用いて述べる。
サブ統合制御装置83では、主制御装置から送られてくる停留数信号に応じて加減算するカウンタをそなえており、この値によって遊技球演出を行うか、遊技球をいくつ使用するかを決定する(以下、演出の詳細指定ともいう)。演出の詳細指定については図23も参照して説明する。
【0085】
図23(a)が示すのは、停留数と主制御装置80から送られてくる変動パターンA、Bとでサブ統合制御装置83が演出内容を振り分ける演出内容振分表である。
図23(b)は、(a)の演出内容の詳細である。
この表の構成では、変動パターンAを受信した場合は、停留数に即した演出内容が選択されるのに対して、変動パターンBを受信した場合は停留数が5個以上の場合でしか遊技球演出を行わない。本実施例では一度の演出で放出される停留数が多ければ多いほど大当りに対する期待度が高くなることを表わしているため、変動パターンBの場合は停留球が設定された上限個数分あれば大当りの期待が非常に高いことを報知するが、上限個数に達していない場合は遊技球演出すら行わないことになり、遊技者にとっては変動パターンBの存在により停留数が上限個数まで溜めることを喚起させることができるようになっている(大当りの期待度が正確に報知されやすくなるため)。
【0086】
また、図22に示されるように、サブ統合制御装置83が主制御装置80から停留数信号を受信し、自己のカウンタ値を更新するとともに図柄制御装置82に総カウント数を送信し、演出表示装置6の画面6a上に図24のようにカウント数を表示することも考えられる。
図24の場合、「停留数」と表記し、「丸」の数で最大停留数を示し、「○」と「●」により上限5個のうち、3個まで停留していることを表わしている。
画面6a上に最大停留数と実際に停留されている停留数を表示することにより、遊技球演出が行われた際に、停留数と演出で使用された遊技球数とで、おおよその期待度が把握できる。という効果を奏することができる。本実施例では一度の演出で解除される遊技球数が多ければ多いほど大当りの期待が高いことを表わしているため、停留している遊技球全てを使って演出が行われた場合などは非常に期待ができることを示すことになる。
また、3個開放された場合でも、最大停留数が示されているので、3/3の開放なのか、3/5の開放なのか把握することができ、微妙な期待度の違いを表わすことが可能となる。
なお、図柄制御装置82にもカウンタを備えて主制御装置80からの停留数信号に基づいて画面6a上に表示する構成でも良い。
【0087】
図25では、停留球数のカウント値がどのように増減するのか、また、図6の電源投入時処理の停留球解除信号が送信(S9)、解除フラグ=1(S10)を行った場合の処理を示し、かつ、カウント値をサブ統合制御装置83に送信するタイミングを示す。なお、本実施例でこの処理が行われるのは、図7に示す割込み処理の入力処理(S23)の時に行う構成である。
最初に誘導路入球スイッチ99aが検出を行ったかを参照する(S110)。誘導路入球スイッチ99aが検出していない場合は(S110:no)、解除球スイッチ105aが検出を行ったか参照する(S111)。解除球スイッチ105aが検出していない場合は(S111:no)、溢れ玉通路スイッチ104aが検出を行ったか参照する(S112)。溢れ玉通路スイッチ104aが検出していない場合は(S112:no)、そのままリターンに抜ける。
【0088】
解除球スイッチ105aが検出している場合(S111:yes)と溢れ玉通路スイッチ104aが検出している場合は(S112:yes)、解除フラグが1であるか参照する(S113)。解除フラグが1である場合は(S113:yes)、そのままリターンに抜けるが、解除フラグが1でない場合は(S113:no)、主制御装置80がカウントしているカウント値を1マイナスする(S114)とともに、サブ統合制御装置83へ停留球信号としてカウント−1信号を送信する(S115)。
誘導路入球スイッチ99aが検出している場合は(S110:yes)、解除フラグが1であるかを参照し(S116)、解除フラグが1の場合は(S116:yes)解除フラグを0に戻して(S117)カウント値を1プラスする(S118)とともに、サブ制御装置83へカウント+1信号を送信する(S119)。解除フラグが1でない場合はそのままカウント値を1プラスする(S118)とともに、カウント+1信号をサブ制御装置83へ送信する(S119)。
このように入球検出の度にカウント信号を送信すれば主制御装置80とサブ統合制御装置83、図柄制御装置82とのカウント数の時間的ズレは最小に抑えられ、停留数を有効に使用することができる。
【0089】
実施例2の構成は、サブ統合制御装置83もしくは図柄制御装置82がカウント値を用いて遊技球演出を行うものであるが、サブ統合制御装置83、図柄制御装置82は遊技の結果に(大当り確率や出玉数などに)影響を及ぼす機能は備えておらず、あくまで演出を制御しているのみである。そのため、上記制御装置にバックアップ電源が供給される構成を用いることは稀で、電源供給停止から電源供給再開された際にはサブ統合制御装置83、図柄制御装置82はカウント値がクリアされてしまう遊技機が殆どである。
これでは、上記で説明してきた、サブ統合制御装置83、図柄制御装置82が停留数を参照して演出内容を決定する構成に不都合が生じてきてしまう。そこで、第2実施例では図26のような処理を備えている。
【0090】
図26、図27に示す図は、図6の起動処理に、総カウント数送信処理(S200)を追加したものである。
総カウント数送信処理(S200)は、電源投入時処理で、RAM保証値が1であり(S3)、SUM値が0の場合(S5)に無事電源復帰処理(S7)した場合に、主制御装置80が記憶していた総カウント値をサブ統合制御装置83へ送信する処理である。
このように、サブ統合制御装置83にわざわざバックアップ電源を供給しなくても、電源投入時に主制御装置80が記憶しているカウント値を1度送る構成にすれば何ら問題はない。
【0091】
以上が第2実施例の構成であるが、停留数のカウント値をサブ統合制御装置83側でも備えることにより、停留手段ソレノイド19、演出回転体モータ27の制御と共にカウント値も把握しているため、サブ統合制御装置83のみの判断で多様なタイミングで遊技球演出を開始させることも可能となり、より自由に使用することができる。
また、RAMクリアを伴う電源投入時のみは停留球解除を行い、且つ、主制御装置80は解除球スイッチ105aの入力を無効とするため、通常の電源投入時では初回の図柄組合せゲーム時から遊技球演出の選択が可能な状態で始めることができ、尚且つ、RAMクリアを行った際には主制御装置80が記憶していたカウンタ値がクリアされるのに合わせて停留球も全て解除されるため、常にカウンタ値と停留球数に誤差が生じない。
また、RAMクリアを伴う電源投入時は解除球スイッチ105aの信号を無視するので無駄な処理を省くことができる。このような構成のため、遊技球を用いた演出力を最大限に発揮することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 : 遊技盤 、 5 : センターケース
6 : 演出図柄表示装置 、 11a : 第1始動口スイッチ
12a : 第2始動口スイッチ 、 17a : 普通図柄作動スイッチ
19 : 停留手段ソレノイド 、 27 : 演出回転体モータ
50 : パチンコ機 、 80 : 主制御装置
81 : 払出制御装置 、 82 : 演出図柄制御装置
83 : サブ統合制御装置 、 85 : 電源装置
97 : 演出回転体 、 98 : 演出領域
99a : 誘導路入球SW 、 101 : 停留手段
103 : ステージ 、 104a: 溢れ玉通路SW
105a: 解除球SW 、 106a: 特定領域SW
110 : 停電検出回路 、 111 : 停電検出信号
112 : リセット信号 、 113 : 電源回路
114 : バックアップ用電源回路、 115 : RAMクリアスイッチ
116 : 受電回路 、 117 : 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機全体を制御するための各種指示を行うバックアップ機能を有するRAMを備えた主制御装置と、
該主制御装置から指示された指示内容に基づいて所定の制御を行うサブ制御装置と、
前記サブ制御装置の制御により遊技球を用いて演出を行う遊技球演出装置と、
各制御装置に電源を供給するための電源装置と、
該電源装置からの電源の供給及び停止を操作するための電源スイッチと、少なくとも前記主制御装置に備えられたバックアップ機能を有するRAMに記憶された各種情報をクリアするためのRAMクリアスイッチと、
を備えたパチンコ遊技機において、
前記遊技球演出装置は、遊技盤上に発射された遊技球が入球可能な入球口と、
該入球口入球した遊技球を検出する入球検出手段と、
該入球検出手段により検出した遊技球を前記遊技球演出装置内の停留領域に停留する停留手段と、
停留が解除されて前記停留領域から排出される遊技球を検出する解除球検出手段と、
前記停留領域から排出された遊技球により演出を行う演出領域と、
を備え、
前記主制御装置は、前記入球検出手段及び前記解除球検出手段の信号を基に前記停留手段に停留されている遊技球数を管理するカウント数記憶手段を有し、
前記サブ制御装置は、前記停留手段の解除操作や前記演出領域の可動物の動作を制御する構成であって、
前記RAMクリアスイッチの操作を伴って前記電源スイッチを操作することにより、前記バックアップ機能を有するRAMに記憶された各種情報をクリアした状態で電源供給する場合は、
前記主制御装置は前記停留手段の停留を解除させるための停留解除信号を前記サブ制御装置へ送信し、
前記サブ制御装置は、前記停留解除信号を受信することにより前記停留手段を操作して停留している全ての遊技球を解除することを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
請求項1記載の遊技機において、
前記サブ制御装置は、当否を示す図柄を可変させて図柄組み合わせゲームを行う演出装置としての図柄表示装置を制御する図柄制御手段を備え、
前記主制御装置は、前記図柄組み合わせゲームの演出内容を指示する変動パターンを前記サブ制御装置へ送信する構成で、
変動パターンを決定する際に、少なくとも前記カウント数記憶手段のカウント数を参照することを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項3】
請求項1〜2記載の遊技機において、
前記解除球検出手段からの信号は前記主制御装置のみに入力される構成とし、
前記RAMクリアを伴う電源復帰の際には、前記解除球検出手段からの信号を一時的に無視することを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項4】
請求項1〜3の遊技機において、
前記主制御装置は、前記入球検出手段又は前記解除球検出手段からの信号を受信する度に前記サブ制御装置へ停留数を示すカウント数信号を送信すると共に、
前記電源スイッチのみの操作による電源供給時にも前記カウント数信号を送信し、
前記サブ制御装置は、受信した前記カウント数信号に基づいて前記停留手段に停留されている遊技球数のカウント数を記憶するバックアップ機能を有しないサブ側カウント記憶手段を備えたことを特徴とするパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−255230(P2011−255230A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213710(P2011−213710)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2007−234755(P2007−234755)の分割
【原出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】