説明

遊技機

【課題】扉体の開放検知性能を向上させることのできる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機10は、外枠11と、これに対し開閉可能に支持された内枠12と、内枠12に対し開閉可能に支持された前面枠セット14とを備えるとともに、外枠11に対し内枠12を施錠する施錠機構と、内枠12に対し前面枠セット14を施錠する施錠機構とを具備した施錠装置を備えている。さらに、内枠12の下部には、前面枠セット14の開放を検知するための前面枠開放検知スイッチと、内枠12の開放を検知するための内枠開放検知スイッチとが取付けられている。両開放検知スイッチは、シリンダ錠700の高さ位置より下方位置において、施錠装置に略隣接した状態で配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にパチンコ機等の遊技機では、遊技機前面部を構成する前面枠などがメンテナンス等の観点から開閉可能な扉体として設けられている。そして、この前面枠などの扉体を遊技ホールにて店員以外の者が無断で開放できないように、遊技機には施錠装置が設けられている。
【0003】
それにもかかわらず、遊技ホールでは営業中に、例えばパチンコ機の施錠装置を不正に解錠して前面枠を開放し、針金等の線材や「セル板」と称される薄板状の部材などを差込み、遊技盤面上の入賞装置等を強制的に開放して多くの遊技媒体を獲得する不正行為などが行われることがあった。
【0004】
これを防止するため、近年では、前面枠などの扉体の開放を検知する開放検知スイッチを設け、当該扉体の開放があった場合には、開放信号が出力される等して、その旨が遊技ホールのホールコンピュータなどに報知される仕組みも採用されている。
【0005】
例えば、パチンコ機において、遊技機本体(内枠)を構成する樹脂ベースの上部等に前面枠用の開放検知スイッチを設けたものがある(例えば特許文献1参照)。この構成では、開放検知スイッチのスイッチ部が、前面枠の閉鎖時には当該前面枠により押圧され没入状態となる。一方、前面枠の開放時にはスイッチ部が突出状態となり、前面枠の開放が検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−263026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述した開放検知スイッチでは、施錠装置を解錠して前面枠をある程度開いた状態においてはじめて、スイッチ部が突出状態となり、前面枠の開放が検知されることになる。そのため、上記従来技術のように、前面枠の回動軸側(例えば左側)寄りに開放検知スイッチが設けられていると、前面枠を僅かに開く程度では、その開放が検知されないおそれがある。つまり、前面枠を僅かに開き、その僅かな隙間から線材等を差込み、上記不正行為が行われるおそれがあった。例えば、前面枠全体を開放することなく、前面枠の開放側下部(例えば右側下部)のみを強引に開いた状態で、僅かに開いた隙間から線材等を差込み、上記不正行為が行われた場合には、上記従来技術ではその検知は難しい。
【0008】
なお、上記不具合は、パチンコ機の遊技機本体に対し開閉可能に設けられた前面枠を一例に説明したが、例えばパチンコ機の遊技機本体(内枠)についても、遊技機本体を開放して本体裏側に設けられた制御機器を不正に操作したり交換する等の不正行為が行われるおそれがあるため同様の問題が生じうる。つまり、上記不具合は、開閉可能に設けられた各種扉体を備えた遊技機において同様に発生する問題であり、パチンコ機に限らず他の遊技機にも該当する問題である。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、扉体の開放検知性能を向上させることのできる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段を項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0011】
手段1.固定枠に対し左右一側部にて開閉可能に支持された扉体を備えるとともに、
鍵により操作される錠部材の動作に連動して、前記扉体の開放を規制する施錠状態と、前記扉体の開放を許容する解錠状態とに切換わる施錠装置が前記固定枠又は前記扉体の左右他側部に設けられる遊技機であって、
前記扉体の開放を検知する扉体開放検知手段を、少なくともその一部が前記錠部材の高さ位置又はそれより下方位置に位置し、かつ、前記施錠装置の近傍に又は前記施錠装置に略隣接した状態で配置したことを特徴とする遊技機。
【0012】
一般的に、施錠装置の錠部材は操作しやすいように比較的下方に配置されている。また、上記課題で述べた線材等を用いた不正行為は、見つかりにくいように、不正行為者が座席に着席した状態で遊技を行っているように見せ掛けつつ遊技機の下部から線材等を遊技機内部に進入させる等して行われるが一般的である。
【0013】
従って、上記手段1のように扉体開放検知手段を配置することにより、扉体開放検知手段の位置がより下方かつ開放側(左右他側部側)に近くなるため、扉体を僅かに開く程度でもその開放を検知しやすい。従って、扉体全体が僅かに開かれた状態はもちろんのこと、扉体の開放側下部のみを僅かに開いた状態でも当該開放を検知することができる。さらに構成によっては、施錠装置を不正に解錠しようとして、扉体の開放側下部近傍のみを強制的に撓ませた段階における検知も可能となる。結果として、扉体の開放検知性能が向上し、ひいては上記不正行為を早期発見することが可能となる。
【0014】
なお、上記「左右一側部」とは、左右方向における一方側を指し、「左右一側部」が例えば「右側部」であれば、「左右他側部」は「左側部」となる。逆に、「左右一側部」が「左側部」であれば、「左右他側部」は「右側部」となる。また、錠部材の例としては、鍵が挿入されて回動操作されるシリンダ錠などが挙げられる。
【0015】
手段2.前記施錠装置の前記左右方向一側部側に前記扉体開放検知手段を配置したことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
【0016】
上記手段1のように扉体開放検知手段を扉体の開放側下部に配置させた場合には、上記作用効果を得る反面、セル板等によって扉体開放検知手段のスイッチ部等を押圧し続け、扉体の開放が検知されないようにして上記不正行為を行うことが容易になるおそれがある。これに対し、上記手段2のように、施錠装置の左右方向一側部側、すなわち遊技機の内方側に扉体開放検知手段を配置することにより、前述した不具合の発生を抑えることができる。
【0017】
手段3.前記施錠装置に設けられた係合部と、当該係合部に対応して設けられた前記固定枠側又は前記扉体側の被係合部とが係合することにより、前記扉体が施錠状態となる構成であって、
前記扉体開放検知手段を、少なくともその一部が、前記係合部と前記被係合部とが係合する高さ位置に位置した状態で配置したことを特徴とする手段2に記載の遊技機。
【0018】
上記手段3によれば、セル板等を扉体開放検知手段へより回し込みにくくすることができ、上記手段2の作用効果をさらに高めることができる。
【0019】
手段4.固定枠に対し左右一側部にて開閉可能に支持された遊技機本体と、
前記遊技機本体の前面側において、当該遊技機本体に対し前記左右一側部にて開閉可能に支持された前扉体とを備えるとともに、
鍵により操作される錠部材と、前記固定枠に対し前記遊技機本体を施錠する本体施錠機構と、前記遊技機本体に対し前記前扉体を施錠する前扉体施錠機構とを具備し、前記鍵の第1の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記本体施錠機構が施錠状態から解錠状態に切換わり、前記鍵の第2の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記前扉体施錠機構が施錠状態から解錠状態に切換わる施錠装置が前記遊技機本体の左右他側部に沿って設けられる遊技機であって、
前記遊技機本体の開放を検知する本体開放検知手段と、前記前扉体の開放を検知する前扉体開放検知手段とを、少なくともその一部が前記錠部材の高さ位置又はそれより下方位置に位置し、かつ、前記施錠装置の近傍に又は前記施錠装置に略隣接した状態で配置したことを特徴とする遊技機。
【0020】
上記手段4によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。さらに、両開放検知手段を近くに配置することにより、当該開放検知手段を取付けるための取付部や、開放信号等を出力するための配線等を共通化することもでき、限られたスペースの有効利用や部品点数の削減などを図ることができる。
【0021】
手段5.前記施錠装置の前記左右方向一側部側にて前記両開放検知手段を上下に並設したことを特徴とする手段4に記載の遊技機。
【0022】
上記手段5によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。また、両検知手段を上下に並設することにより、前後方向や左右幅方向のスペースをより有効利用することができる。
【0023】
手段6.前記本体施錠機構に設けられた係合部と、当該係合部に対応して設けられた前記固定枠側の被係合部とが係合することにより、前記遊技機本体が施錠状態となり、
前記前扉体施錠機構に設けられた係合部と、当該係合部に対応して設けられた前記前扉体側の被係合部とが係合することにより、前記前扉体が施錠状態となる構成であって、
前記本体開放検知手段を、少なくともその一部が、前記本体施錠機構の係合部と前記固定枠の被係合部とが係合する高さ位置に位置した状態で配置し、
前記前扉体開放検知手段を、少なくともその一部が、前記前扉体施錠機構の係合部と前記前扉体の被係合部とが係合する高さ位置に位置した状態で配置しことを特徴とする手段5に記載の遊技機。
【0024】
上記手段6によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏される。
【0025】
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
【0026】
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
【0027】
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
【0028】
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
【0029】
D.上記各手段における遊技機は、スロットマシン等の回胴式遊技機であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成した回胴式遊技機」が挙げられる。
【0030】
E.上記各手段における遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、扉体の開放検知性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】一実施形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の斜視図である。
【図3】パチンコ機の右側面図である。
【図4】前面枠セットを開放した状態を示す斜視図である。
【図5】内枠や前面枠セット等を開放した状態を示す斜視図である。
【図6】内枠及び遊技盤の構成を示す正面図である。
【図7】内枠の構成を示す背面図である。
【図8】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図9】電気的構成を示すブロック図である。
【図10】前面枠セットを取外すとともに、施錠装置を取付溝部から取外した状態を示す斜視図である。
【図11】前面枠セットを取外すとともに、施錠装置を取付溝部に取付けた状態を示す斜視図である。
【図12】施錠装置を背面左側から見た斜視図である。
【図13】外枠の全体を示す斜視図である。
【図14】パチンコ機の下部を示す部分正面図である。
【図15】(a)は、前面枠セット閉鎖時の状態を示す図14のK−K線部分断面図であり、(b)は、前面枠セットがやや開放された状態を示す部分断面図である。
【図16】(a)は、内枠閉鎖時の状態を示す図14のL−L線部分断面図であり、(b)は、内枠がやや開放された状態を示す部分断面図である。
【図17】(a)は、内枠閉鎖時の状態における遊技機右下コーナー部を示す部分背面斜視図であり、(b)は、その内枠がやや開放された状態における遊技機右下コーナー部を示す部分背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は右側面図である。また、図4は、前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図であり、図5は、内枠12、前面枠セット14、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203を開放した状態を示す斜視図である。但し、図4,5では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、膨出部40に配設される発射装置70や球通路71などを省略して示している。
【0034】
図1乃至図5に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する固定枠としての外枠11を備えており、この外枠11の一側部に扉体としての内枠12が開閉可能に支持されている。なお、内枠12と、これに取付けられる遊技盤30や裏パックユニット203などの各種構成部材により本実施形態における遊技機本体が構成される。
【0035】
ここで、外枠11について図面を参照しつつ説明する。本実施形態における外枠11は、図13に示すように上辺枠構成部11a及び下辺枠構成部11bが木製の板材により構成され、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dがアルミニウム合金製の押出成形材により構成され、これら各枠構成部11a〜11dがネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。図13は外枠11の全体を示す斜視図である。
【0036】
ここで、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dについてより詳しく説明する。左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dは、原料となるアルミニウム合金を高温・高圧下のもと所定断面形状で押出形成し、この押出成形材を所定寸法に切断し、切削加工等によりネジ止め用のネジ孔など細かい箇所を加工して得られる。従って、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dは、それぞれ長手方向に略一様な断面形状となっている。
【0037】
また、図13に示すように、左辺枠構成部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ81及び下ヒンジ82が取着されている。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能となる。そして、外枠11の内側に形成される空間部に、内枠12や裏パックユニット203など遊技機の本体部が収容される。
【0038】
また、右辺枠構成部11dには、その前後方向後端部近傍から外枠11内側へ向け突出した遮蔽部材としての延出壁部830が形成されている。延出壁部830は、施錠装置600に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆っている(図8参照)。
【0039】
図13に示すように、延出壁部830の前面側には、施錠装置600の内枠鉤部637,638に対応して、上下一対の鉤受部84,85が設けられている。鉤受部84,85は、箱状をなし、その前面部には内枠鉤部637,638が進入する鉤孔部84a,85aが形成されている。これにより、内枠鉤部637,638は、鉤孔部84a,85aを介して鉤受部84,85内に進入した状態で、当該鉤受部84,85の内側(鉤孔部84a,85a周縁)にて係止される。内枠鉤部637,638が鉤受部84,85に係合した状態では、鉤受部84,85の周壁部が内枠鉤部637,638の周囲を囲んだ状態となる。
【0040】
なお、本実施形態では、上記ヒンジ81,82や鉤受部84,85として、アルミニウム合金製の外枠11本体よりも剛性の高いステンレス合金等の鋼鉄製のものが採用されている。
【0041】
さて、外枠11の下辺枠構成部11bには、樹脂製の幕板飾り86が取着されている。幕板飾り86の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。
【0042】
内枠12の開閉軸線は、上述したようにパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
【0043】
また、内枠12の前面側には、前扉体(扉体)としての前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
【0044】
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
【0045】
前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
【0046】
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
【0047】
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
【0048】
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
【0049】
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSP(図9参照)が設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
【0050】
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
【0051】
次に、内枠12(樹脂ベース38)について図6,図7を参照して説明する。図6は、内枠及び遊技盤の構成を示す正面図であり、図7は、内枠の構成を示す背面図である。
【0052】
上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
【0053】
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射装置70が取付けられている。本実施形態では、発射装置70としてソレノイド式発射装置を採用している。また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる球通路71が設けられている。また、発射装置70の発射レール70aと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び球通路71を介して下皿15に排出される。また、球通路71の下側にはハーネスカバー74が設けられている。これにより中継基板75と発射装置70とを接続するハーネス(図示略)をまとめている。
【0054】
次に、遊技盤30の構成について図6を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0055】
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
【0056】
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
【0057】
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
【0058】
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
【0059】
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
【0060】
また、遊技盤30には、発射装置70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
【0061】
内レール構成部51の先端部分(図6の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
【0062】
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
【0063】
次に、パチンコ機10の背面構成について図7,図8を参照して説明する。パチンコ機10の背面には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0064】
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で着脱できるように構成されるとともに、内枠12又は遊技盤30の裏面に対し個別に開閉できるように構成されている。図7,8に示すように、第2制御基板ユニット202の左側部(背面側右側部)には上下一対の支軸194が設けられており、この支軸194を内枠12の左側部に設けられた上下一対の軸受け部195に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。同様に、裏パックユニット203の左側部には上下一対の支軸196が設けられており、この支軸196を内枠12の左側部に設けられた上下一対の支持孔部197に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。なお、第1制御基板ユニット201に関しても、遊技盤30の背面側において開閉可能に支持されているが、ここでは便宜上、その開閉機構の図示を省略する。さらに、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203に関しては、後述するように施錠装置600により自身の右側部(背面側左側部)にて施錠される構成となっている。そして、両ユニット202,203が施錠状態にある場合には、第1制御基板ユニット201の背面側の大部分が裏パックユニット203により覆われた状態となり、第1制御基板ユニット201が着脱不能となっている。第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は後扉体を構成する。
【0065】
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。この可変表示装置ユニット35に対し、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。さらに、フレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
【0066】
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構216を備えている。また、第2制御基板ユニット202には、球回収機構216の下方位置において排出通路部217が形成されており、該排出通路部217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている(図8参照)。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の球回収機構216を介して集合し、さらに排出通路部217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路部217に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。
【0067】
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(検出スイッチ)などが設けられている。入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
【0068】
第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、サブ制御装置262とを具備している。主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
【0069】
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。
【0070】
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
【0071】
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
【0072】
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
【0073】
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
【0074】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
【0075】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、前述のサブ制御装置262及び主制御装置261の一部も合わせて囲む構成となっている。
【0076】
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。
【0077】
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
【0078】
また、裏パックユニット203の背面側右上コーナー部には、遊技ホールのホールコンピュータなどに情報を送信するための外部中継端子板TKが取着されている(図8参照)。便宜上、図示は省略するが、外部中継端子板TKには、各種ケーブルコネクタが接続される外部接続端子が設けられている。
【0079】
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図9は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
【0080】
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
【0081】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理(このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される)によって停電の発生等による電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
【0082】
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、前面枠開放検知スイッチ951、内枠開放検知スイッチ952、外部中継端子板TK、その他図示しないスイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
【0083】
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0084】
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
【0085】
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
【0086】
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0087】
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
【0088】
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
【0089】
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
【0090】
発射制御装置312は、発射装置70による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置70が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
【0091】
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
【0092】
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置42の表示を制御する。プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0093】
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させるものである。
【0094】
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
【0095】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
【0096】
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0097】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
【0098】
次に、内枠12の施錠機構、前面枠セット14の施錠機構、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203の施錠機構について図面を参照して説明する。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203はそれぞれ内枠12に対し施錠される。これらの施錠機構は単一の施錠装置600によって具現化されている。後述するように施錠装置600は、錠孔97を介して前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴702に鍵を挿入し、一方に回動操作することで内枠12、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14を解錠できるようになっている。
【0099】
施錠装置600は、内枠12の右側辺部前面側に取付けられている(図10,11参照)。図12に示すように施錠装置600の外郭を構成する縦長の基枠601は、内枠12に固定される取付板602と、当該取付板602の内枠12内方側(窓孔39側)の端縁から後方に突出した支持板603と、取付板602の内枠12外方側の端縁から後方に突出したフランジ部604とを備えており、これらが一体となって横断面略コ字状をなしている。なお、施錠装置600を構成する基枠601などの各部材は、金属平板をプレス成形等することにより形成されている。なお、図12は施錠装置600を背面左側から見た斜視図である。
【0100】
図10,15等に示すように、内枠12の前面側には、施錠装置600を取付けるための取付溝部901が右側辺部に沿って形成されている。取付溝部901には、複数のボス902が突設されている。これに対応して、取付板602には、複数のネジ孔903が穿設されている。これにより、施錠装置600は、取付溝部901に嵌め込まれた状態でネジ904によりボス902に固定される。また、図11,15等に示すように、施錠装置600が取付溝部901に嵌め込まれた状態では、支持板603及びフランジ部604がそれぞれ取付溝部901の側壁部901b,901cに略当接状態となっている。図10は、前面枠セット14を取外すとともに、施錠装置600を取付溝部901から取外した状態を示す斜視図である。図11は、前面枠セット14を取外すとともに、施錠装置600を取付溝部901に取付けた状態を示す斜視図である。但し、図10,11では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、膨出部40に配設される発射装置70や球通路71などを省略して示している。
【0101】
また、図7に示すように、取付溝部901の奥壁部901aには、後述する基板ユニット鉤部620及び裏パック鉤部621,622に対応して、内枠12の背面側へ貫通する挿通孔905,906,907が形成されている。これにより、基板ユニット鉤部620及び裏パック鉤部621,622は、挿通孔905,906,907を介して、内枠12の背面側へ突出している。同様に、取付溝部901の奥壁部901aには、内枠鉤部637,638に対応して挿通孔908,909が形成されており、内枠鉤部637,638は当該挿通孔908,909を介して、内枠12の背面側へ突出している。
【0102】
ここで、先ず本実施形態における前扉体施錠機構を構成する前面枠セット14の施錠機構に係る部分について説明する。図12に示すように、基枠601の内側には、前面枠セット14の施錠機構の主要構成部となる第1摺動杆605が上下方向に摺動可能なように配設されている。
【0103】
第1摺動杆605は、取付板602に略当接状態で摺動する取付側壁部606と、支持板603に略当接状態で摺動する支持側壁部607とからなり、横断面L字状をなす。
【0104】
また、取付側壁部606の内枠12外方側の端縁部は、上述した取付板602のネジ孔903やボス902の妨げにならないように、これらに対応する複数箇所が切欠き状に凹んだ凹凸形状となっている。
【0105】
さて、第1摺動杆605には、取付側壁部606の上部、中部及び下部の3箇所に、前面枠セット14施錠用の前面枠セット施錠部610,611,612が設けられている。これら前面枠セット施錠部610,611,612が本実施形態における前扉体施錠機構の係合部を構成する。
【0106】
図11等に示すように、前面枠セット施錠部610,611,612には、それぞれ略矩形状の係合孔610a,611a,612aが形成されている。また、取付板602には、前面枠セット施錠部610,611,612(係合孔610a,611a,612a)に対応して、上下方向3箇所に矩形状の挿入孔631,632,633が形成されている。そして、通常時には、係合孔610a,611a,612aが取付板602の挿入孔631,632,633の上部に重なるように位置するとともに、前面枠セット施錠部610,611,612により挿入孔631,632,633の下部が塞がされた状態となっている。
【0107】
一方、前面枠セット14の背面側左側辺部には、前面枠セット施錠部610,611,612に対応して、上下方向3箇所に前面枠セット鉤部17a,17b,17cが突設されている(図4等参照)。そして、前面枠セット14を閉鎖する際においては、前面枠セット鉤部17a,17b,17cが、取付板602の挿入孔631,632,633を介して、前面枠セット施錠部610,611,612の係合孔610a,611a,612aへ進入し、前面枠セット鉤部17a,17b,17cの係止爪部が前面枠セット施錠部610,611,612の背面側にて係止される。前面枠セット鉤部17a,17b,17cが本実施形態における前扉体の被係合部を構成する。
【0108】
次に、内枠12の施錠機構、第2制御基板ユニット202の施錠機構及び裏パックユニット203の施錠機構に係る部分について説明する。基枠601の内側には、これらの施錠機構の主要構成部となる第2摺動杆635が上下方向に摺動可能なように配設されている。内枠12の施錠機構が本実施形態における本体施錠機構を構成する。
【0109】
第2摺動杆635は、第1摺動杆605の支持側壁部607に重畳するように配設されるとともに、内枠12施錠用の上下一対の内枠鉤部637,638と、第2制御基板ユニット202施錠用の基板ユニット鉤部620と、裏パックユニット203施錠用の裏パック鉤部621,622とを備えている。内枠鉤部637,638が本実施形態における本体施錠機構の係合部を構成する。
【0110】
内枠12の施錠状態においては、内枠鉤部637,638が上記外枠11の鉤受部84,85に係止され、内枠12の開放が規制される。鉤受部84,85が本実施形態における固定枠の被係合部を構成する。
【0111】
また、第2制御基板ユニット202には、その前面側右側辺(図5参照)に沿って長尺状の受け金具205が取付けられている。受け金具205には、基板ユニット鉤部620に対応して、その下部に矩形状の係合孔205aが形成されている。
【0112】
そして、第2制御基板ユニット202を閉鎖する際においては、基板ユニット鉤部620が受け金具205の係合孔205aへ進入し、基板ユニット鉤部620の係止爪部が受け金具205の背面側にて係止される。これにより、第2制御基板ユニット202の施錠状態においては、基板ユニット鉤部620が受け金具205と係合し、第2制御基板ユニット202の開放が規制される。
【0113】
また、裏パックユニット203には、その前面側右側辺(図5参照)に沿って長尺状の受け金具204が取付けられている。受け金具204には、裏パック鉤部621,622に対応して、上下2箇所に矩形状の係合孔204aが形成されている。
【0114】
そして、裏パックユニット203を閉鎖する際においては、裏パック鉤部621,622が受け金具204の各係合孔204aへ進入し、裏パック鉤部621,622の係止爪部が受け金具204の背面側にて係止される。これにより、裏パックユニット203の施錠状態においては、裏パック鉤部621,622が受け金具204と係合し、裏パックユニット203の開放が規制される。
【0115】
なお、第1摺動杆605及び第2摺動杆635は、付勢手段としてのコイルばねC1により、それぞれ上方又は下方へ付勢されている。より詳しくは、上記コイルばねC1の引張力によって、通常時には、第1摺動杆605は、自身の基準位置において下方への動作が抑えられた状態で保持されている。一方、第2摺動杆635は、自身の基準位置において上方への動作が抑えられた状態で保持されている。そして、後述するシリンダ錠700が操作された場合には、コイルばねC1の引張力に抗して、第1摺動杆605が下方へ、又は第2摺動杆635が上方へ摺動変位する。
【0116】
さて、取付板602には、錠部材としてのシリンダ錠700が取付けられている。シリンダ錠700は、内部に鍵穴702を有してなる錠軸703を備えている。そして、鍵穴702に挿入される鍵の回動操作に伴って錠軸703が回動可能となる。
【0117】
また、錠軸703の後端部には、鍵穴702に挿入された鍵の回動動作を第1摺動杆605又は第2摺動杆635に伝達するカム板720が固定されている。
【0118】
カム板720は、上下一対の上係合爪720a及び下係合爪720bを備えている。これに合わせて、第1摺動杆605及び第2摺動杆635には、それぞれ係合爪720a,720bが係合可能な上下一対の係合孔727及び係合孔728が形成されている。
【0119】
次に、施錠装置600の作用について詳しく説明する。先ず前面枠セット14の施錠及び解錠について詳しく説明する。前面枠セット14の施錠状態においては、第1摺動杆605が基準位置をとることにより、上述したように前面枠セット鉤部17a,17b,17cが前面枠セット施錠部610,611,612の係合孔610a,611a,612aを介して、前面枠セット施錠部610,611,612の背面側にて係止され、前面枠セット14の開放が規制されている〔図15(a)参照〕。
【0120】
そして、前面枠セット14を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵を挿入し、パチンコ機10の正面側(図1参照)から見て反時計回り方向に回動させる。この操作が本実施形態における第2の操作に相当する。これにより、カム板720が同方向に回動し、上係合爪720aがコイルばねC1の引張力に抗して第1摺動杆605を下方へ押し下げていく。
【0121】
第1摺動杆605が下方へ摺動すると、すべての前面枠セット施錠部610,611,612と、前面枠セット鉤部17a,17b,17cとの係合が解除され、前面枠セット14の開放が許容される解錠状態となる〔図15(b)参照〕。
【0122】
次に内枠12の施錠及び解錠について詳しく説明する。内枠12の施錠状態においては、第2摺動杆635が基準位置をとることにより、内枠鉤部637,638が外枠11の鉤受部84,85に係合され、内枠12の開放が規制されている〔図16(a)、図17(a)参照〕。
【0123】
そして、内枠12を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵を挿入し、パチンコ機10の正面側から見て時計回り方向に回動させる。この操作が本実施形態における第1の操作に相当する。これにより、カム板720が同方向に回動し、下係合爪720bがコイルばねC1の引張力に抗して第2摺動杆635を上方へ押し上げていく。第2摺動杆635が上方へ摺動すると、内枠鉤部637,638と、鉤受部84,85との係合が解除され、内枠12の開放が許容される解錠状態となる〔図16(b)、図17(b)参照〕。
【0124】
次に第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203の施錠及び解錠について詳しく説明する。
【0125】
第2制御基板ユニット202の施錠状態においては、内枠12の場合と同様に第2摺動杆635が基準位置をとることにより、基板ユニット鉤部620が第2制御基板ユニット202の受け金具205に係合され、第2制御基板ユニット202の開放が規制されている。
【0126】
同様に、裏パックユニット203の施錠状態においては、第2摺動杆635が基準位置をとることにより、裏パック鉤部621,622が裏パックユニット203の受け金具204に係合され、裏パックユニット203の開放が規制されている。
【0127】
そして、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203を解錠する際には、内枠12を開放させた後、内枠12の場合と同様にシリンダ錠700の鍵穴702に挿入した鍵をパチンコ機10の正面側から見て時計回り方向に回動させる。これにより、カム板720が同方向に回動し、下係合爪720bがコイルばねC1の引張力に抗して第2摺動杆635を上方へ押し上げていくと、基板ユニット鉤部620と受け金具205との係合が解除され、第2制御基板ユニット202の開放が許容されるとともに、裏パック鉤部621,622と受け金具204との係合が解除され、裏パックユニット203の開放が許容される。
【0128】
なお、内枠12等の閉鎖手順としては、開状態にある内枠12を閉じていき、内枠鉤部637,638の頭部の傾斜部位が鉤受部84,85の鉤孔部84a,85aの下縁部にぶつかると、第2摺動杆635に上方向への外力が加わり、第2摺動杆635がコイルばねC1の引張力に抗して上方へ摺動する。そして、内枠鉤部637,638の頭部が鉤受部84,85の鉤孔部84a,85aの下縁部を乗り越えると、第2摺動杆635がコイルばねC1の引張力により元の位置に戻る。これにより、内枠鉤部637,638が鉤受部84,85に係止され、内枠12が閉状態となる。もちろん、前面枠セット14や、第2制御基板ユニット202、裏パックユニット203の施錠に関しても同様の施錠方法で行うことができる。
【0129】
さて、本実施形態では、図14等に示すように、内枠12の下部には、前面枠セット14の開放を検知するための前面枠開放検知スイッチ951と、内枠12の開放を検知するための内枠開放検知スイッチ952とが取付けられている。前面枠開放検知スイッチ951が本実施形態における前扉体開放検知手段(扉体開放検知手段)を構成し、内枠開放検知スイッチ952が本体開放検知手段(扉体開放検知手段)を構成する。
【0130】
より詳しくは、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952は、施錠装置600の左側(取付溝部901の左側の側壁部901b)に沿って上下に並設されている。また、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952は、前面枠セット14の施錠時におけるハンドル18の回動軸D1の位置よりも右側に位置している(図15等参照)。
【0131】
さらに、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952は、シリンダ錠700の高さ位置H1より下方に配置されている(図14参照)。より詳しくは、前面枠開放検知スイッチ951は、最下側の前面枠セット鉤部17cと、これに対応する最下側の前面枠セット施錠部612とが係合する高さ位置H2に合わせて配置されている(図3参照)。同様に、内枠開放検知スイッチ952は、下側の内枠鉤部638と、これに対応する下側の鉤受部85とが係合する高さ位置H3に合わせて配置されている(図3参照)。
【0132】
また、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952は、図15,16に示すように、左右方向略同一位置に配置されるとともに、前後方向にややずらして配置されている。なお、図15(a)は、前面枠セット14閉鎖時の状態を示す図14のK−K線部分断面図であり、図15(b)は、その前面枠セット14がやや開放された状態を示す部分断面図である。また、図16(a)は、内枠12閉鎖時の状態を示す図14のL−L線部分断面図であり、図16(b)は、その内枠12がやや開放された状態を示す部分断面図である。なお、図16では、便宜上、ハンドル18を断面でなく平面図示している。
【0133】
前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952は、それぞれスイッチ本体部より突出する検知部としてのスイッチ部951a,952aを有している。そして、前面枠開放検知スイッチ951は、スイッチ部951aが前方に向くように、スイッチ本体部を固定する取付部材951bを介して、内枠12に設けられた取付部961に嵌め込まれた状態でネジ等により固定されている。同様に、内枠開放検知スイッチ952は、スイッチ部952aが後方へ向くように、スイッチ本体部を固定する取付部材952bを介して、内枠12に設けられた取付部962に嵌め込まれた状態でネジ等により固定されている。
【0134】
また、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952は、それぞれ図示しない信号線により主制御装置261の入出力ポート505と接続されており、スイッチ部951a,952aが図15(b),図16(b)に示すように突出状態にある場合にはオン信号を出力し、スイッチ部951a,952aが図15(a),図16(a)に示すようにスイッチ本体部側に押圧された状態ではオフ信号を出力するように構成されている。
【0135】
かかる構成により、前面枠開放検知スイッチ951は、図15(a)に示すように前面枠セット14の閉鎖時において、スイッチ部951aが前面枠セット14の背面で押圧されてオフ状態となり、図15(b)に示すように前面枠セット14の開放時には、スイッチ部951aが突出状態に戻ってオン状態となる。これにより、前面枠セット14の開放が検知可能となる。
【0136】
同様に、内枠開放検知スイッチ952は、図16(a)に示すように内枠12の閉鎖時において、スイッチ部952aが鉤受部85に一体形成された押圧部85bによって押圧されてオフ状態となり〔図17(a)参照〕、図16(b)に示すように内枠12の開放時には、スイッチ部952aが突出状態に戻ってオン状態となる〔図17(b)参照〕。これにより、内枠12の開放が検知可能となる。
【0137】
そして、主制御装置261は、前面枠開放検知スイッチ951又は内枠開放検知スイッチ952によって前面枠セット14又は内枠12の開放が検知された場合には、当該検知情報に基づき、サブ制御装置262を介して前面枠セット14の前面に設けられた報知手段としてのエラー表示ランプ104を点灯制御するとともに、外部中継端子板TKを介して遊技ホールのホールコンピュータに対し、前面枠セット14又は内枠12が開放された旨の信号を出力する。
【0138】
以上詳述したように、本実施形態では、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952が、施錠装置600の左側(取付溝部901の左側の側壁部901b)に隣接した状態で上下に並設されている。そして、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952は、シリンダ錠700の高さ位置H1より下方で、ハンドル18の回動軸D1の位置よりも右側に位置している。このように前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952を配置することにより、前面枠セット14又は内枠12を僅かに開く程度でもその開放を検知しやすい。従って、線材等を進入させる不正行為が行われやすいハンドル18の近傍、すなわち前面枠セット14又は内枠12の右下部近傍のみを僅かに開いた状態でも当該開放を検知することができる。結果として、前面枠セット14及び内枠12の開放検知性能が向上し、ひいては前記不正行為を早期発見することが可能となる。
【0139】
なお、本実施形態のように前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952を内枠12の右下部に配置させた場合には、上記作用効果を得る反面、セル板等によって前面枠開放検知スイッチ951又は内枠開放検知スイッチ952のスイッチ部951a,952aを押圧し続け、前面枠セット14又は内枠12の開放が検知されないようにして上記不正行為を行うことが容易になるおそれがある。これに対し、本実施形態では、最下側の前面枠セット鉤部17cと、これに対応する最下側の前面枠セット施錠部612とが係合する高さ位置H2に合わせて前面枠開放検知スイッチ951を配置し、下側の内枠鉤部638と、これに対応する下側の鉤受部85とが係合する高さ位置H3に合わせて内枠開放検知スイッチ952を配置している。これにより、セル板等を前面枠開放検知スイッチ951又は内枠開放検知スイッチ952の方へ回し込みにくくすることができ、前述した不具合の発生を抑えることができる。
【0140】
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0141】
(a)上記実施形態では、内枠12の施錠機構、前面枠セット14の施錠機構、第2制御基板ユニット202の施錠機構及び裏パックユニット203の施錠機構が単一の施錠装置600によって具現化されている。しかしながら、施錠装置600の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい。例えば、上記実施形態では、前面枠セット14の施錠機構に関し、前面枠セット14側に、爪部を有する前面枠セット鉤部17a,17b,17cが設けられ、施錠装置600側に、前記爪部と係合する前面枠セット施錠部610,611,612が設けられているが、施錠装置600側に爪部を有する鉤部材を設け、前面枠セット14側に当該爪部と係合する受部を設けてもよい。この場合、解錠の際には、施錠装置600側の鉤部材が動作することとなる。もちろん、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203の施錠機構に関しても同様である。
【0142】
(b)上記実施形態では、内枠12の前面側に施錠装置600が取付けられる構成となっているが、これに限らず、施錠装置600が内枠12の背面側に取付けられる構成としてもよい。
【0143】
(c)上記実施形態では、前面枠開放検知スイッチ951又は内枠開放検知スイッチ952によって前面枠セット14又は内枠12の開放が検知された場合には、エラー表示ランプ104を点灯して、その旨を報知する。これに限らず、例えば報知手段としてスピーカSPを用いて、音声によって前面枠セット14又は内枠12が開放された旨を報知してもよい。
【0144】
(d)上記実施形態では、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952が、施錠装置600の左側(取付溝部901の左側の側壁部901b)に隣接した状態で上下に並設されるとともに、シリンダ錠700の高さ位置H1より下方で、ハンドル18の回動軸D1の位置よりも右側に位置している。前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952の配置位置はこれに限定されるものではない。
【0145】
例えば、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952の少なくとも1つを施錠装置600の右側に配置した構成としてもよい。
【0146】
また、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952の少なくとも1つの配置位置がシリンダ錠700の高さ位置H1に達してしてもよい。
【0147】
また、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952の少なくとも1つが、施錠装置600からやや離間して当該施錠装置600の近傍に配置された構成としてもよい。
【0148】
また、前面枠開放検知スイッチ951や内枠開放検知スイッチ952の配置位置が、前面枠セット鉤部17cと前面枠セット施錠部612との係合高さ位置H2や、内枠鉤部638と鉤受部85との係合高さ位置H3から離れた位置であってもよい。
【0149】
また、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952の配置位置が、前後方向略同一位置でもよいし、左右方向ずれていてもよい。
【0150】
また、前面枠開放検知スイッチ951及び内枠開放検知スイッチ952が同一高さ位置で前後方向に並設された構成としてもよい。
【0151】
(e)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。
【符号の説明】
【0152】
10…パチンコ機、11…外枠、12…内枠、14…前面枠セット、600…施錠装置、700…シリンダ錠、951…前面枠開放検知スイッチ、952…内枠開放検知スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定枠に対し左右一側部にて開閉可能に支持された扉体を備えるとともに、
鍵により操作される錠部材の動作に連動して、前記扉体の開放を規制する施錠状態と、前記扉体の開放を許容する解錠状態とに切換わる施錠装置が前記固定枠又は前記扉体の左右他側部に設けられる遊技機であって、
前記扉体の開放を検知する扉体開放検知手段を、少なくともその一部が前記錠部材の高さ位置又はそれより下方位置に位置し、かつ、前記施錠装置の近傍に又は前記施錠装置に略隣接した状態で配置したことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−130811(P2012−130811A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91547(P2012−91547)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2007−20238(P2007−20238)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】