説明

遊技機

【課題】 既存の外部出力情報のみでは細やかに遊技の状態を把握することは困難であった。
【解決手段】 カギ91がシリンダ錠に挿入されたことを示すカギ信号と、カギ信号の出力が終了すると所定時間の間出力が開始される猶予期間信号を、外部接続端子板を介して出力可能な構成としたため、枠開放信号や入賞信号などの状態と合わせて比較することにより、遊技機の様々な状態を判定することが可能となり、ホールコンピュータ87での不正判断、遊技者への注意、警告などの報知に役立てることができる。
特に、猶予期間という時間を設けたため、1つの状態でも時間の経過により判定内容が変化して、従来よりも細やかな判定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の前枠に対する不正な開放を検出および報知する構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技店に設置されている遊技機は、その遊技店の稼働状況、売り上げなどを把握させるために、始動口への入賞、図柄確定回数、当り、確率変動状態、時短状態、賞球の払い出しなどを遊技店のホールコンピュータへ出力している(例えば、特許文献1や特許文献2)。
遊技店としてはこれら遊技機から送られてくる情報と、島設備からの情報(アウト数)から経営状況を割り出し、日々の経営の指針としている。
また、これら情報に加えて不正に関する情報も出力することが考えられている。例えば鍵を用いずに扉を開放された場合などに不正と判断して、不正信号を出力するものがある(特許文献3)。
不正信号をホールコンピュータに出力することにより、遊技店は監視カメラや店員の目視では発見が困難な状況でも把握することが可能となる。
【0003】
なお、扉開放に関する不正としては、手で直接入賞口に入球させる方法。遊技制御基板と各所を結ぶコネクタとの間に不正な基板を繋げて不正操作する、いわゆる「ぶら下げ基板」の方法。遊技制御基板のROMを不正なROMと取り替える方法。などがある。このような不正に対して、上記扉を開放する毎にホールコンピュータに信号が出力される構成にすれば、信号出力のたびに遊技店の店員が不正による扉開放であるかをチェックすることができ、不正の早期発見および抑止力とした効果が発揮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−319222号公報
【特許文献2】特開2001−046703号公報
【特許文献3】特開2005−296036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、遊技店営業中には、球詰まりやメダル詰まりといったトラブルの発生により、店員が扉を開放したままで鍵を抜き取ってメンテナンス作業を長期に行うことや、鍵を抜き忘れた状態で一時的に放置することなど多様な状況が発生する。そのため、特許文献3のように鍵と扉開放の状態だけで判断した場合、上記のような状況も不正と判断される可能性があり、上記多様な状況と不正な扉開放とを共に正確に判断しようと考えると、鍵操作と扉開放の状態だけでは困難であった。
【0006】
上記多様な状況と不正な扉開放とが正確に判断されないと、結局は店員の目視による確認に委ねられることになり、不正判断手段があってもなくても店員の作業負担として差異はなくなってしまう。
【0007】
本発明は、多様な遊技状況および不正な扉開放状況を正確に判定もしくは判断できるように新たな判断材料を提供することにより、詳細な遊技状況が検出可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1記載の遊技機は、遊技に関する情報を外部に出力するための外部情報出力手段を備えた遊技機において、本体枠に対して回動可能に取り付けられた本体枠の前面を覆う前枠の開放状態を検出するための枠開放検出手段と、前記枠開放検出手段が検出されている間は前記外部情報出力手段に信号を出力する扉開放信号と、前記前枠を本体側に固定するための施錠手段の開閉操作を行うための鍵を検出するための鍵検出手段と、前記鍵検出手段が検出されている間は前記外部情報出力手段に信号を出力する鍵信号と、前記鍵検出手段が検出を終了した時点から信号を前記外部情報出力手段に出力するとともに計測を開始し、計測時間が所定時間に達すると該出力を停止する猶予期間信号とを備えたことを特徴とする遊技機である。
【0009】
猶予期間信号の出力タイミングとしては、鍵信号と共に出力が開始されても良いし、鍵信号の出力が停止されてから出力が開始される構成でも良い。
【0010】
ここでいう前枠とは、パチンコ遊技機に当てはめると、遊技盤を取り付け保持するための機構盤を備えた内枠や、内枠に回動可能に取り付けられたガラス枠どちらも含むものであり、内枠とガラス枠両方を指して前枠と考えても良いし、内枠のみを前枠、ガラス枠のみを前枠と捉えても良い。また、扉開放信号についても同様で、内枠またはガラス枠のいずれかが開放検出されると出力される構成でも良いし、内枠、ガラス枠どちらか一方の開放検出により出力される構成でも良い。
【0011】
なお、遊技機としては前述のパチンコ遊技機の他にもスロット遊技機やじゃん球遊技機、パロット遊技機、アレンジボール遊技機などを想定している。
【0012】
鍵検出手段は、鍵が鍵穴に挿入されたことを検出するものでも良いし、鍵で開錠操作することを検出するものでも良い。検出手段としては光センサ、キーロックスイッチなど鍵の有無や操作を検出できるものならば特に限定はしない。
【0013】
猶予期間信号の計測時間としては、軽度のトラブルを解消するためにおおよそ要する時間に設定することが考えられる。また、計測時間は、鍵検出手段が鍵を検出した時に計測時間をリセットすることが考えられる。この構成にすれば、店員のトラブル解消作業などが長期にわたる場合でも、猶予期間が終了する前に再度鍵を検出させれば猶予期間が延長することができる。このように、不正の場合でない限り猶予期間を設けても特に問題は発生しない。
【0014】
前記課題を解決するために請求項2記載の遊技機は、請求項1の遊技機において、前記鍵信号が出力されている状態で扉開放信号が出力される時と、前記猶予期間信号が出力されている状態で扉開放信号が出力される時は正常な扉開放であると判断し、それ以外の状態での扉開放信号が出力される時は不正な扉開放と判断する不正扉開放判定手段を備え、該不正扉開放判定手段により不正と判断された場合は扉不正開放信号を外部に出力することを特徴とする遊技機である。
【0015】
なお、請求項2では遊技機側で不正な開放であるかを判断するように限定しているが、請求項1では遊技機以外にも、ホールコンピュータが扉開放信号、鍵信号、猶予期間信号等を基に不正を判断することが含まれている。
【0016】
扉不正開放信号を出力する場合は、遊技機においても不正が発生していることを報知する構成が考えられる。詳しくは演出表示画面上に警告文を表示したり、音声、ランプの点灯パターンなどでアピールしたりする。
【0017】
正常な扉開放と判断されている時でも、鍵信号が出力されている状態での扉開放と、猶予期間信号が出力されている扉開放とが判るように報知することも考えられる。例えば演出画面上にアイコンを表示する、鍵、猶予期間各々の専用のランプを点灯する。などである。
【0018】
前記課題を解決するために請求項3記載の遊技機は、請求項1〜2に記載の遊技機において、前記猶予期間信号出力時は、猶予期間信号の出力が停止するまでの残り時間を報知するための残り時間報知手段を備えたことを特徴とする遊技機である。
【0019】
残り時間の報知方法としては、演出表示装置にて数字で残り時間を表すことや、メータにて表すことが考えられる。また、音声やランプの点灯で報知したり、表示と組み合わせたりすることも考えられる。
【0020】
前記課題を解決するために請求項4記載の遊技機は、請求項1〜3に記載の遊技機において、前記計測時間は、計測中に前記鍵検出手段にて鍵が検出されると計測時間をリセットすることを特徴とする遊技機である。
【0021】
さらに、リセットされた回数によって猶予期間の設定時間が変更される構成であっても良い。数回猶予期間がリセットされたことを検出したならば、店員が長期に渡るトラブル作業を行っていると判断し、猶予期間を延長すれば、店員がリセット作業(例えば鍵挿入を行う)に煩わせられることがなく、トラブル作業に専念することができる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、鍵検出手段と猶予期間信号を設けたことにより、1つの動作に対する判定においても、経過時間により判定内容が変化していくため、今まで以上に細やかな遊技機の状態を把握することができる。そのため、正常な鍵の操作により扉が開放したかだけではなく、例えば鍵の操作により扉を開放した後に鍵を外していても所定期間内であれば正常な開放による作業が継続中であると判断することができるため、より詳細に不正判断を行うことができ、店員が本当に不正であるか否かを確認する必要がなくなる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、遊技機自身が不正を判断し、ホールコンピュータに扉不正開放信号を出力する構成のため、ホールコンピュータで各々の遊技性に合わせて不正判断を設定する必要が無く、遊技性による判断材料の違いや時間感覚など、遊技性に合わせて好適な不正判断を行うことができる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、猶予期間の残り時間が報知されるため、いつまでが正常と認識される期間であるかが判り、誤った不正判断の発生を低減させることができる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、猶予期間が計測されているときに再度鍵が検出されると計測された時間がリセットされるため、長期に渡る扉開放でも、鍵を所有している者ならば不正と判断されることなく、作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】パチンコ遊技機50の正面図
【図2】遊技盤1の正面図。
【図3】パチンコ遊技機50の裏面図。
【図4】パチンコ遊技機50の電気的構成を示すブロック図。
【図5】主制御装置80が実行するメイン処理のフローチャート。
【図6】主制御装置80が実行する始動入賞確認処理のフローチャート。
【図7】主制御装置80が実行する当否判定処理のフローチャート1。
【図8】主制御装置80が実行する当否判定処理のフローチャート2。
【図9】主制御装置80が実行する特別遊技処理のフローチャート。
【図10】内枠70の正面図及び側面図。
【図11】スライド錠39の側面図及び裏面図。
【図12】スライド錠39の斜視図。
【図13】スライド錠39による内枠、前枠の開放規制を示す側面図。
【図14】外部端子板78の正面図及びコネクタピンの配置図。
【図15】(a)賞球信号出力タイミングのタイムチャート。 (b)内枠・前枠開放信号出力タイミングのタイムチャート。
【図16】(a)カギ91の側面図。 (b)カギ91が挿入された状態のシリンダ錠36の側面図。
【図17】(a)シリンダ錠36内に設けられたカギ検出スイッチ92の斜視図。 (b)カギ検出スイッチ92の透視図。
【図18】(a)始動口1の出力タイミングのタイムチャート。 (b)始動口2の出力タイミングのタイムチャート。
【図19】(a)図柄確定回数の出力タイミングのタイムチャート。 (b)大当り1の出力タイミングのタイムチャート。
【図20】(a)大当り2の出力タイミングのタイムチャート。 (b)時短中の出力タイミングのタイムチャート。
【図21】(a)カギ信号の出力タイミングのタイムチャート。 (b)猶予期間信号1の出力タイミングのタイムチャート。 (c)猶予期間信号2の出力タイミングのタイムチャート。
【図22】カギ・猶予期間信号の出力処理のフローチャート。
【図23】内枠開放信号、前枠開放信号を備えた外部接続端子板78の正面図及びコネクタピンの配置図。
【図24】外部へ出力される各信号の組合せによる表示内容一覧表。
【図25】(a)表示内容選択処理のフローチャート1。 (b)表示内容選択処理のフローチャート2。
【図26】(a)表示内容選択処理のフローチャート3。 (b)表示内容選択処理のフローチャート4。
【図27】(a)正常時の画面6aの正面図。 (b)正常な枠開放時の画面6aの正面図。
【図28】(a)カギ忘れ時の画面6aの正面図。 (b)警告低時の画面6aの正面図。
【図29】(a)警告中時の画面6aの正面図。 (b)警告高時の画面6aの正面図。
【図30】(a)正常な枠開放時+猶予期間中の画面6aの正面図。 (b)警告低時+猶予期間中の画面6aの正面図。
【図31】外部へ出力される各信号の組合せによる不正信号出力内容一覧表。
【図32】(a)不正信号出力処理のフローチャート1。 (b)不正信号出力処理のフローチャート2。
【図33】(a)不正信号出力処理のフローチャート3。 (b)不正信号出力処理のフローチャート4。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施例等により発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は下記の実施例等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。
【0028】
[第1実施例]
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。
外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。
前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
前枠52の上側左右及び外枠下側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。
前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
下皿63の左側には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、遊技者が所定期間中に、該演出ボタン67を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。
また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、貸出ボタン57、精算ボタン58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
【0029】
図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり疑似図柄を表示する。)の画面6aを臨ませる窓5a等を備えている。
窓5aの上側にはドットマトリクスの普通図柄表示装置7及び7セグメントの特別図柄表示装置9と4個のLEDからなる普通図柄保留記憶表示装置8が設置され、下側には特別図柄保留記憶表示装置10が設置されている。
センターケース5の向かって左横には普通図柄作動ゲート17が配置されている。
センターケース5の下方には、第1始動口11と第2始動口12とがユニット化された複合入賞装置13が配置されている。
第1始動口11は、いわゆるチャッカーであり、常時入球可能である。
第2始動口12は電動チューリップであり、周知の電動チューリップと同様に開閉変化するが、上方に第1始動口11があるために図示の閉鎖状態では遊技球を入球させることができない。しかし、遊技球が普通図柄作動ゲート17を通過すると行われる普通図柄抽選で当り、普通図柄表示装置7に当りの普通図柄が確定表示されると、第2始動口12は開放されて入球容易になる。
複合入賞装置13の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置され、その下方にはアウト穴15が設けられている。
また、複合入賞装置13の左側には第1左入賞口31と第2左入賞口32が、右側には第1右入賞口33と第2右入賞口がガイドレール2bに沿うように設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第1右入賞口33、第2右入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
【0030】
図3に示すように、パチンコ機50の裏側は、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。
また、パチンコ機50の裏側には(図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。
また、球タンク71の右側には、外部接続端子板78が設けられており、この外部接続端子板78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータ87に送られる。なお、従来はホールコンピュータ87へ信号を送信するための外部接続端子板には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータ87へ出力するための端子)と枠用((枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータ87へ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施例では、一つの外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87へ遊技状態や遊技結果を示す信号を送信している。
【0031】
このパチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には電源回路は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84、電源基板85にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31および第2左入賞口32に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a、第1右入賞口33および第2右入賞口34に入球した遊技球を検出する右入賞口スイッチ33aなどの検出信号が遊技盤中継端子板74を介して入力される。
【0032】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特別図柄表示装置9及び普通図柄表示装置7の表示、特別図柄保留記憶表示装置10及び普通図柄保留記憶表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、遊技盤中継端子板74を介して大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普電役物ソレノイド12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。なお、普電役物とは普通電動役物を示す。
主制御装置80からの出力信号は、上記のほかにも試験信号端子や、図柄変動や大当たり等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールメインコンピュータに送られる。
【0033】
主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。図4の構成では、払出制御装置81は裏配線中継端子板75と払出中継端子板76を介して払出モータ20を制御する構成である。また、本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81は満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力される構成で、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンク71に遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してCRユニット56と交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示装置25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸スイッチ57、精算を要求するための返却スイッチ58、残高表示器59が接続されている。
【0034】
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠70、前枠52)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。
なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドル64からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止スイッチ信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
【0035】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LEDや各種ランプを制御する。なお、音声出力に関しては、音量調整スイッチ83aにて音量を調節することができる。
また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67が接続されており、遊技者が演出ボタン67を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0036】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、疑似図柄等の演出画像を画面6aに表示させる。
【0037】
次に、主制御装置80が、メインルーチンとして行う各処理を図5に従って説明する。
図5に示すフローチャートは、主制御装置80のマイコンにより実行されるメイン処理を表したものであり、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される処理である。本実施形態では、S10〜S21までの各処理は割り込み処理において1回だけ実行される処理であって「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS22の処理を「残余処理」と称する。
【0038】
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
【0039】
正常割り込みでないと判断されると(S10:NO)、前記メモリの所定領域に所定値を書き込む、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み、即ち初期設定が為され(S11)、残余処理に移行する。
【0040】
正常割り込みとの肯定判断がなされると、まず初期値乱数更新処理が実行される(S12)。この処理は、初期値乱数の値についてこの処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「349」のときには次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「349」までの350個の整数を繰り返し昇順に作成する。
【0041】
S12に続く大当り決定用乱数更新処理(S13)は、初期値乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、最大値である「349」のときは次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「349」までの350個の整数を繰り返し昇順に作成する。
なお、大当り決定用乱数が1週(1巡)すると、そのときの前記初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にし、大当り決定用乱数は、その初期値から+1するインクリメント処理を行う。そして、再び大当り決定用乱数が1週(1巡)すると、その時の初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする動作を行う。つまり、この一連の動作を繰り返し続けることになる。
【0042】
大当り図柄決定用乱数更新処理(S14)は「0」〜「9」の10個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
【0043】
S14に続く当り決定用乱数更新処理(S15)は、「0」〜「5」の6個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、当選することとなる値の数は通常確率状態時、高確率状態時ともに3であり、値は「0」、「3」、「5」である。
なお、この当り決定用乱数更新処理は普通図柄の抽選に使用し、その他の初期値乱数、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は特別図柄の抽選に使用する。
【0044】
リーチ判定用乱数更新処理(S16)は、「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、通常確率状態時で変動時間短縮機能未作動時に当選する値の数は21で、値は「0」〜「20」であり、通常確率状態時で変動時間短縮機能作動時に当選する値の数は5で、値は「0」〜「4」であり、高確率状態時に当選する値の数は6で、値は「0」〜「5」である。
【0045】
変動パターン決定用乱数更新処理(S17)は、「0」〜「1020」の1021個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
【0046】
続く入賞確認処理(S18)では、第1始動口11、第2始動口12の入賞の確認及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。
本実施例では、遊技球が第1始動口11、第2始動口12に入賞すると大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数など複数の乱数を取得されるのだが、保留記憶できる数を4個までとしており、保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が第1始動口11又は第2始動口12に入賞しても賞球が払出されるだけで、前記複数の乱数は保留記憶されない構成になっている。
【0047】
続いて、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての当否判定処理(S19)を行う。この当否判定処理については後述する。この当否判定処理(S19)が終了すると、続いて画像出力処理等の各出力処理(S20)が実行される。
【0048】
各出力処理(S20)では、遊技の進行に応じて主制御装置80は演出図柄制御装置82、払出制御装置81、発射制御装置84、サブ統合制御装置83、大入賞口ソレノイド14b等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S18)により遊技盤1上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置81に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置83に出力する処理を、パチンコ機50に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置82にエラー信号を出力する処理を各々実行する。
【0049】
続く不正監視処理(S21)は、普通入賞口(第1左入賞口31、第2左入賞口32、第1右入賞口33、第2右入賞口34)に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断して、多かった場合には不正と判断され、その旨を報知する処理である。つまり、不正判断手段は、主制御装置80に設けている。
【0050】
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数更新処理(S22)から構成されるが、前述したS12と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S21までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、図5に示された割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数の更新される(加算される)値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数が大当り決定用乱数と同期する可能性はなくなる。尚、本実施形態においては、大当り決定用乱数の更新は初期値乱数の値により変更される構成なので同期の虞は全くない。また、前述した当り決定用乱数更新処理(S15)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
【0051】
図6に示す始動入賞確認処理では、主制御装置80は、第1始動口スイッチ11a又は第2始動口スイッチ12aの検出信号に基づいて、第1始動口11又は第2始動口12に遊技球が入球したか否かを判断する(S30)。
肯定判断なら、大当り決定用乱数、大当たり図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、特別図柄保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S31)。
保留記憶が満杯でなければ(S31:NO)、上記の各乱数を特別図柄保留記憶として記憶し、特別図柄保留記憶表示装置10の点灯数を1増加させる(S32)。既に4個の保留記憶があれば(S31:YES)保留記憶せず、特別図柄保留記憶表示装置10の点灯数も増やさない。
なお、特別図柄の保留記憶数の増減はサブ統合制御装置83を経由して演出図柄制御装置82に伝えられ、演出図柄表示装置6の画面6aにて、特別図柄保留記憶表示装置10の点灯数と同数の疑似保留表示がなされる。無論、疑似保留表示は必ずしも行う必要があるものではない。
【0052】
図7に示す当否判定処理では、主制御装置80は、条件装置の作動中か否かを大当たりフラグに基づいて判断する(S40)。
S40の判定が否定判断で、特別図柄が変動中でなく(S41:NO)、確定図柄の表示中でもなければ(S42:NO)、特別図柄保留記憶(上記、S32による保留記憶)があるか否かを判断する(S43)。
この保留記憶があれば(S43:NO)、特別図柄保留記憶の中で最も古いもの読み込んで(その特別図柄保留記憶は保留記憶から消去し)、確変フラグがセットされているか(高確率状態か)否かを判定する(S44)。
肯定判断であれば(S44:YES)、読み込んだ大当り決定用乱数を確変テーブルに記録されている当り値と照合し(S46)、否定判断であれば、読み込んだ大当り決定用乱数を通常テーブルに記録されている当り値と照合する(S45)。
本実施例の場合、上述したように通常確率状態時には1/350の確率で当選し、高確率遊技状態には1/35の確率で当選する。
【0053】
S45又はS46の判定で大当りなら(S47:YES)、大当たり図柄決定用乱数によって大当り図柄を決定し(S48)、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定する(S49)。
また、外れのときは(S47:NO)、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを決定する(S50)。本実施例の場合、ハズレの場合の特別図柄の表示は「− −」の1種類しかないので、ハズレ図柄は決定しなくてもよい。
【0054】
S49又はS50に続いては、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には通常大当たり、確変大当たり、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に出力し、また特別図柄表示装置9を制御して特別図柄の変動表示を開始させる(S51)。
従って、サブ統合制御装置83は変動開始コマンドに基づけば大当たり図柄又は外れ図柄(以下、まとめて確定図柄)、リーチの有無及び変動時間を判別できる。
変動開始コマンドを受信したサブ統合制御装置83は、特別図柄の変動表示に呼応した音声及びランプの演出制御を行い、また演出図柄制御装置82に変動開始コマンドを送る。
【0055】
主制御装置80は、特別図柄の変動中であれば(S41:YES)、図8(a)に示すように図柄変動時間(S49又はS50の変動パターンに基づく)を経過したか否かを判断する(S52)。
肯定判断なら図柄停止コマンドをサブ統合制御装置83に出力し、また特別図柄表示装置9を制御して確定図柄を確定表示させる(S53)。
図柄停止コマンドを受信したサブ統合制御装置83は、特別図柄の変動表示に呼応した音声及びランプの演出を終了させ、また演出図柄制御装置82に図柄停止コマンドを送る。
【0056】
主制御装置80は、確定表示させた特別図柄が大当たりになる表示であれば(S54:YES)、確定図柄表示設定処理(S55)を行い、条件装置作動開始処理(S56)により、大当たりフラグをセットする。
続いて、確変フラグがセットされているか否かを判定し(S57)、肯定判断なら確変フラグをクリアする(S58)。否定判断なら(S57:NO)、時短フラグがセットされているか(時間短縮状態か)否かを判定し(S59)、肯定判断なら時短フラグをクリアする(S60)。
【0057】
確定表示させた特別図柄が大当たりにならない表示(つまり外れ)のときは(S54:NO)、確定図柄表示設定処理(S61)を行い、開放延長フラグが立っているか否かを判断する(S62)。なお、開放延長フラグは、高確率状態中及び時間短縮状態中には立っている。開放延長フラグが立っていれば記憶されている開放延長回数カウントを−1して(S63)、このカウントの値が0になったなら(S64:YES)、各フラグを終了する(S65)。
このS65の処理では、現在が高確率状態であれば、確変フラグ、時短フラグと開放延長フラグを終了させ、現在が時間短縮状態であれば、時短フラグと開放延長フラグを終了させる。
【0058】
S42で確定図柄の表示中であれば(S42:YES)、図8(b)に示すように、確定図柄表示設定(S55又はS61)で設定された確定図柄表示時間を経過したか否かを判断し(S66)、経過していれば(S66:YES)、確定図柄表示終了処理(S67)により特別図柄表示装置9を制御して特別図柄の確定表示を終了させ、またサブ統合制御装置83経由で演出図柄制御装置82に指示して、疑似図柄の確定表示を終了させる。
【0059】
図9に示す特別遊技処理では、主制御装置80は、条件装置の作動中か否かを大当たりフラグに基づいて判断する(S70)。
条件装置の作動中なら(S70:YES)、大入賞口14が開放中か否かを判断する(S71)。
大入賞口14の開放中でなく(S71:NO)、大当たり開始演出中でなく(S72:NO)、インターバル中でもなく(S73:NO)、大当たり終了演出中でもなければ(S74:NO)、大当たり図柄及び大当たりした状態を記憶し(S75)、大当たり開始演出処理(S76)により、サブ統合制御装置83に大当たり開始コマンドを送信し、また大入賞口14を開放させる。
【0060】
サブ統合制御装置83は大当たり用の音声及びランプの演出を開始し、また演出図柄制御装置82に大当たり開始コマンドを送る。大当たりコマンドを受信した演出図柄制御装置82は、演出図柄表示装置6を制御して大当たり開始演出(いわゆるファンファーレ画面)を表示させる。上記大入賞口14の開放は、この大当たり開始演出を待って行われる。
【0061】
S72、S73又はS74で肯定判断のときはリターンする。S71で肯定判断のときは大入賞口14への入賞球が10個になったか否かをカウントスイッチ14aの検出信号に基づいて判断し(S77)、否定判断なら大入賞口開放時間の終了か否かを判断する(S78)。S78で否定判断ならリターンし、S77又はS78で肯定判断なら大入賞口14を閉鎖させる(S79)。
続いて、最終ラウンドであったか否かを判断し(S80)、否定判断なら大当たりインターバル処理(S81)により、サブ統合制御装置83にインターバルコマンドを送信し、サブ統合制御装置83からインターバルコマンドを受信した演出図柄制御装置82の制御で演出図柄表示装置6の画面表示が変更されるのを待って、大入賞口14を開放させる。
【0062】
S80で肯定判断のときは大当たり作動は継続しないので、大当たり終了演出処理(S82)を実行してから、条件装置停止処理(S83)により条件装置を停止させる(大当たりフラグをクリアする)。
そして、S55で特別図柄表示装置9に確定表示させS75で記憶した大当たりした図柄が確変図柄であれば(S84:YES)、確変フラグ・時短フラグ作動処理(S85)を行い、確変フラグ、時短フラグ、開放延長フラグをセットし、開放延長カウンタの値を10000にセットする。
確変図柄でないときは(S84:NO)、時短フラグ作動処理(S86)により時短フラグ、開放延長フラグをセットし、開放延長カウンタの値を大当りした図柄に対応した値にセット(本実施例では100である)。する。
S85又はS86の処理の後は、サブ統合制御装置83に大当り終了コマンドを送信する(S87)。
【0063】
図10は、内枠70の裏面図及び側面図であり、図10に記載されているように内枠70には、枠開放規制装置に該当するスライド錠39が取り付けられている。
図11は、スライド錠39の裏面図及び側面図であり、図12はスライド錠39の斜視図である。スライド錠39には、上述した枠錠装置に該当するシリンダ錠36が一体に形成されている。
このシリンダ錠36は、解錠するための鍵の種類を変更自在に行い得る可変式錠になっている。本実施例では、オムロン社製の通称オムロックという製品を使用する。
このような可変式錠をパチンコ機50に使用することで、パチンコ遊技店は、店に配置される全てのパチンコ機を店独自の鍵(1種類)に設定することが出来る。
本実施例の枠開放規制装置に該当するスライド錠39は内枠70と前枠52の両方の枠の開放が規制できる構成になっている。スライド錠39は、図10、図11、図12に記載するように大きく分けてスライド錠本体部材40、中央スライド部材43、上スライド部材44、下スライド部材45、内枠規制上ツメ部材41、内枠規制下ツメ部材42、前枠規制スライド部材46、上スライド部材戻しバネ47、下スライド部材戻しバネ48、前枠規制スライド部材戻しバネ49から形成され、前枠規制スライド部材46は、上ツメ部46a、中ツメ部46b、下ツメ部46cが形成されている。
【0064】
本実施例では、シリンダ錠36に、設定された鍵を挿入し、該鍵を時計回りに回すことで、中央スライド部材43及び中央スライド部材43に連結された上スライド部材44、下スライド部材45が上側にスライドする。上スライド部材44が上側にスライドすることで、回動可能に取り付けられている内枠規制上ツメ部材41が上側に回動する。同じように下スライド部材45が上側にスライドすることで、回動可能に取り付けられている内枠規制下ツメ部材42が上側に回動する。
逆にシリンダ錠36に鍵を挿入し、該鍵を反時計回りに回すと前枠規制スライド部材46が下側にスライドする。前述したように前枠規制スライド部材46は上ツメ部46a、中ツメ部46b、下ツメ部46cを備えており、該3つのツメ部も同時に下側にスライドする。
一方、前枠52には、図13に記載するように前枠止め部材38が設けられて、外枠51には上述したように内枠止め部材37が2個設けられている。なお、図13には、前枠52の上側部分に設けられた前枠止め部材38が1個しか記載されていないが、前枠52には、合計3個の前枠止め部材38が設けられている。
【0065】
図13は、スライド錠39の上側拡大図であり、図13の左側の図は、前枠52及び内枠70がスライド錠39によって開放動作が規制されている状態が示され、真ん中の図は、スライド錠39よって、内枠70の開放動作が規制されているが、前枠52の開放動作の規制が解除されている状態が示され、右側の図は、スライド錠39によって、前枠52の開放動作が規制されているが、内枠70の開放動作の規制が解錠されている状態が示されている。
上述したように、シリンダ錠36に設定された鍵を挿入し、該鍵を時計回りに回すことで、中央スライド部材43及び中央スライド部材43に連結された上スライド部材44、下スライド部材45が上側にスライドする。上スライド部材44が上側にスライドすることで、回動可能に取り付けられている内枠規制上ツメ部材41が上側に回動する。同じように下スライド部材45が上側にスライドすることで、回動可能に取り付けられている内枠規制下ツメ部材42が上側に回動する。図13の右側の図に示すように内枠規制上ツメ部材41が上側に回動することで、内枠規制上ツメ部材41が外枠51に設けられている内枠止め部材37から外れることになる。なお、図13には記載されていないが、同じように内枠規制下ツメ部材42が上側に回動することで、内枠規制下ツメ部材42が外枠51に設けられている内枠止め部材37から外れることになる。このようにして、内枠70の開放が可能になる。
一方、シリンダ錠36に設定された鍵を挿入し、該鍵を反時計回りに回すと前枠規制スライド部材46(上ツメ部46a、中ツメ部46b、下ツメ部46c)が下側にスライドする。図13の真ん中の図に示すように上ツメ部46aが下側にスライドすることで上ツメ部46aが前枠52に設けられている前枠止め部材38から外れることになる。なお、図13には記載されていないが、同じように中ツメ部46b及び下ツメ部46cが下側にスライドすることで中ツメ部46b及び下ツメ部46cが前枠52に設けられている前枠止め部材38から外れることになる。このようにして、前枠52の開放が可能になる。
【0066】
なお、図11及び図12に記載するように、スライダ錠本体部材40には、上スライド部材戻しバネ47、下スライド部材戻しバネ48、前枠規制スライド部材戻しバネ49が取り付けられており、上スライド部材戻しバネ47の他方には上スライド部材44が取り付けられ、下スライド部材戻しバネ48の他方には下スライド部材45が取り付けられ、前枠規制スライド部材戻しバネ49の他方には前枠規制スライド部材46が取り付けられており、上スライド部材44及び下スライド部材45が上側にスライドしないように引っ張っている構成に、前枠規制スライド部材46が下側にスライドしないように引っ張っている構成になっている。つまり、上スライド部材44及び下スライド部材45が上側にスライドしている状態で上記鍵から手を放すと上スライド部材44及び下スライド部材45は下側にスライドすし(初期位置に戻り)、前枠規制スライド部材46が下側にスライドしている状態で上記鍵から手を放すと前枠規制スライド部材46は上側にスライドする(初期位置に戻る)。なお、上記鍵から手を放すと(どちらかに回転させている状態から)、その際には鍵も初期位置(回転角度)に戻る。
【0067】
なお、本実施例では、上述したように、シリンダ錠36に所定の鍵を挿入し、該鍵を回転させることで、スライド錠39の一部の部品がスライドして、内枠70あるいは前枠52が開放可能になる構成になっているが、例えば、鍵を使用せずに、内枠規制上ツメ部材41、上スライド部材44、中央スライド部材44、下スライド部材45、内枠規制下ツメ部材42、前枠規制スライド部材46を動かしてもシリンダ錠36は、変化しない構成になっている。つまり、シリンダ錠36からスライド錠39には動力が伝わるが、スライド錠39からシリンダ錠36へは動力が伝わらない構成になっている。
また、本実施例では、内枠70が開放すれば、内枠70に取り付けられた前枠52も同時に動くことになるが、前枠52が内枠70に対して開放するわけではない。しかし、この構成に限らず、内枠70が開放すれば、前枠52も自動に開放される構成にしてもよい。
【0068】
続いて本実施例の外部接続端子板78について説明する。
図14は、本実施例の構成での外部への出力される信号のコネクタのピンの位置と、基板上の配置である。
基板上にはホールコンピュータと電気的接続を行うためのホールコンピュータ接続用コネクタ88と遊技機と電気的接続を行うための遊技機接続用コネクタ89が設けられている。それ以外にはフォトカプラと抵抗器が配置されている。
【0069】
ピン1とピン11に割り振られているのは賞球信号である。賞球信号とは、遊技機が払い出した賞球数をホールコンピュータ87へ出力するために使用する。
図15(a)に示されたタイミングチャートは、賞球出力信号の出力タイミングを示すものであり、払出スイッチ21が10個の遊技球の通過を検出する毎に0.128秒間オンする。ただし、払出スイッチ21が10個の獲得遊技球数の通過を連続して検出した場合は、0.128秒間オン後に、0.128秒間オフし、その後0.128秒間オンするように構成している。
【0070】
ピン2とピン12に割り振られているのは内枠・前枠開放信号である。内枠・前枠開放信号とは、遊技機の内枠または前枠が開放状態であることをホールコンピュータ87へ出力するために使用する。
図15(b)に示されたタイミングチャートは、内枠開放スイッチ19または前枠開放スイッチ18がオン状態の間は内枠・前枠開放信号が出力されることを示す。
また、内枠と前枠の開放信号を各々設けることも考えられる(図23を参照)。この構成にすれば、内枠と前枠どちらが開放しているのかが把握することができ、より詳細な遊技機の状態を把握することができる。なお、実施例1は、図14の構成でも図22の構成でも良く、以下はどちらの構成も含むものとして記載する。
【0071】
ピン3とピン13に割り振られているのはカギ信号である。カギ信号とは、遊技機の内枠70に設けられたシリンダ錠36にカギ91(図16(a)を参照)が挿入またはカギ91により操作されたことをホールコンピュータ87へ出力するために使用する。
一例として、図16(b)に示すようにシリンダ錠36内にフォトセンサ92を設けることが考えられる。
フォトセンサ92とは、図17(a)、(b)に示すものであり、発光素子94と受光素子95を相対向して並べ、常には発光素子94からの光を受光素子95が受けているのだが、検出物体(ここではカギ91)により光がさえぎられると物体を検出する機能をもつものである。発光素子94には赤外発光ダイオード、受光素子には主としてシングルフォトトランジスタまたはフォトICが用いられる。
図21(a)に示すように、カギ検出スイッチ(フォトセンサ)92でカギが検出されている間はオンされる。
【0072】
ピン4とピン14に割り振られているのは始動口1信号である。始動口1信号とは、第1始動口11に遊技球が入賞したことをホールコンピュータへ出力するために使用する。
始動口1信号は、図18(a)に示すように、第1始動口スイッチ11aが遊技球の通過をする毎に0.100秒間オンされるが、第1始動口スイッチ11aが遊技球の通過を連続して検出した場合は、0.100秒間オン後に、0.100秒間オフし、その後0.100秒間オンする構成となっている。
【0073】
ピン5とピン15に割り振られているのは始動口2信号である。始動口2信号とは、第2始動口12に遊技球が入賞したことをホールコンピュータへ出力するために使用する。
始動口2信号は、図18(b)に示すように、第2始動口スイッチ12aが遊技球の通過をする毎に0.100秒間オンされるが、第2始動口スイッチ12aが遊技球の通過を連続して検出した場合は、0.100秒間オン後に、0.100秒間オフし、その後0.100秒間オンする構成となっている。
【0074】
ピン6とピン16に割り振られているのは図柄確定回数信号である。図柄確定回数信号とは、特別図柄の変動回数をホールコンピュータ87へ出力するために使用する。
図19(a)に示すように、特別図柄の変動停止から0.600秒間オンする。
【0075】
ピン7とピン17に割り振られているのは大当り1信号である。大当り1信号とは、大入賞口14が作動(開放)していることをホールコンピュータ87へ出力するために使用する。大入賞口14が作動していることは大当り遊技中であることを示すためである。
なお、近年のパチンコ遊技機は、もっぱら演出内容を切り替える起因として、賞球が略無い「小当り」機能を搭載しているものがある。その場合は本構成では大当りとみなされて大当り1信号が出力してしまう不都合がある。その場合はまた別の信号出力構成となる(説明は割愛する)。
図19(b)に示すように、大入賞口14の作動している間オンする構成となっている。
【0076】
ピン8とピン18に割り振られているのは大当り2信号である。大当り2信号とは、大入賞口14の作動および、変動時間短縮機能の作動中であることをホールコンピュータ87へ出力するために使用する。
変動時間短縮機能とは、特別図柄の平均変動時間を短縮する機能で、平均変動時間を短縮することにより、次回の大当りを取得する時間的期間が短くなるという遊技者に有利な機能である。一般的には普通電動役物(第2始動口)12の開放時間が通常時よりも長くなる(または開放回数が増える)開放延長機能とともに作動することが多い。
図20(a)に示すように、大入賞口14の作動中および変動時間短縮機能の作動している間はオンする構成となっている。なお、図に記された「確」が記載された大入賞口の作動(注1)とは、確変図柄での作動を示しており、その場合の作動停止後の変動時間短縮機能は確率変動(高確率)を伴っていることを表している。図に記された「通」が記載された大入賞口の作動(注2)とは、通常図柄での作動を示しており、その場合の作動停止後の変動時間短縮機能は通常確率で行われていることを表している。よって、大当り2信号は確率変動機能の作動には影響されていないことを示している。
【0077】
ピン9とピン19に割り振られているのは時短中信号である。時短中信号とは、通常図柄での大入賞口14の作動により、開始された変動時間短縮機能が作動中であることをホールコンピュータ87へ出力するために使用する。
図20(b)に示すように、「確」が記載された大入賞口の作動(注1)での変動時間短縮機能の作動ではオフのままで、「通」が記載された大入賞口の作動(注2)での変動時間短縮機能の作動ではオンする。これは、確率変動機能の作動を伴う変動時間短縮は、いわゆる高確率状態遊技として時短遊技とは別に検出したいためである。このような構成にしたことにより、先の大当り2信号と時短中信号の兼ね合いで高確率状態遊技であるか時短遊技であるかを識別していくことができる。
【0078】
ピン10とピン20に割り振られているのは猶予期間信号である。猶予期間信号とは、カギ信号がオフになってから所定時間内であることをホールコンピュータへ出力するために使用する。
図21(b)に示すように、カギ検出スイッチ92がオンからオフになるのを起因に猶予期間信号はオンになり、設定された時間の間オンを維持する。
【0079】
図22にてカギ信号と猶予期間信号の詳細な説明する。
まずカギ検知スイッチ92がオンであるかを判定する(S101)。肯定判定ならば(S101:YES)カギフラグが1であるか判断する(S102)。ここでも肯定判定ならば(S102:YES)カギ信号を出力(S104)してリターンに抜ける。
カギフラグが0の場合(S102:NO)はカギフラグを1(S103)にしてからカギ信号を出力(S104)する。
【0080】
カギ検知スイッチがオフの場合(S101:NO)はカギフラグが1であるか判断し、カギフラグが1の場合(S105:YES)は、カギフラグを0にしてから(S106)猶予期間フラグを1(S107)にして猶予期間信号を出力する(S108)。
カギフラグが1でない場合(S105:NO)は、猶予期間フラグが1であるか判断し(S109)、肯定判断の場合(S109:YES)は猶予期間フラグが1になってから所定時間経過しているか判断する(S110)。所定時間に達していない場合(S110:NO)は引き続き猶予期間信号の出力を行う(S108)。所定時間に達している場合は(S110:YES)は猶予期間フラグを0に戻して(S111)猶予期間信号を停止させる(S112)。S109でNOだった場合は、そのままリターンに抜ける。以上のような制御にてカギ信号と猶予期間信号の出力処理を行う。
なお、猶予期間としては、少なくとも正規に内枠または前枠を開放した者が、猶予期間が終了するまでにカギを再度挿入または操作することが可能な時間に設定されていれば良い。
また、別構成として図21(c)のように猶予期間信号を設けずに、カギ信号が、カギ検出スイッチ92がオフになっても所定期間信号出力を維持する構成が考えられる。このようにすれば、外部へ出力する信号数を増やすことなく猶予期間を設けることができる。ただし、以下に示す遊技機の状態判定方法では、カギ信号と猶予期間信号は別々に出力される構成の方が好適である。
【0081】
図24に示している表は、外部に出力される信号と、演出図柄表示装置6の画面6aに表示される内容を示している。なお、本実施例においては、遊技機としては外部接続端子板78を介して信号を出力するだけの構成であり、不正か否かを判断するのは各信号を受け取るホールコンピュータ87である。そのため、ホールコンピュータ87の設定次第では本発明が有効に発揮されない場合が考えられる。しかし、今から説明するものは遊技機自身が外部へ出力する信号の組合せにより自己の状態を報知する機能であり、必ずしもホールコンピュータ87と連動した判定とならない可能性があるが、その遊技機で遊技している遊技者(または周りの遊技者や店員)や操作している店員には遊技機の状態に応じて細やかに警告することができ、不正防止の効果はこれだけでも充分奏することができる。
図24に表している表は、内枠開放スイッチ19と前枠開放スイッチ18のいずれかがオンすると内枠・前枠開放信号が出力される構成において、遊技機がカギ信号、猶予信号、内枠・前枠開放信号、入賞信号の出力状態を判定して演出図柄表示装置6の画面6aに表示する判定内容の一例である。図25、図26にて説明する。
図25(a)に示すように、カギ検知もしておらず(S201:NO)、猶予期間も発生しておらず(S202:NO)、内枠・前枠も開放されていない(S203:NO)場合は正常と判定する。この状態で入賞信号があってもなくても、いずれも正常な状態であることには変わりがないことから、制御としてはS203でNOと判断された地点で正常(S204)と判定する。画面6aも図27(a)のように通常の表示が行われる。
【0082】
カギが検出されている場合は(S201:YES)、図25(b)のフローに移行し、猶予期間が発生しているか判断される(S205)。猶予期間が発生している場合(S205:YES)はカギ信号と同時に立ち上がることは通常有り得ないので、遊技機にエラーが発生していると判定される(S206。図24には記載なし)。
猶予期間が発生しておらず(S205:NO)、内枠・前枠開放が検出されている(S207:YES)状態で入賞検出した場合(S211:YES)は、カギを用いての正常な枠開放であるが、入賞が発生していることから警告を表示する(S212)。ただし、店員による入賞操作の可能性も高いため、警告レベルとしては低い図28(b)のような警告表示が行われる。本実施例では警告表示の場合は、注意喚起を呼び起こすアイコンと警告内容を示す警告文が表示される。無論、音、ランプ等によっても警告のレベルに応じて点灯色や効果音を変えて報知すれば同様な警告報知が可能である。
入賞を検知しなかった場合(S211:NO)は、正常な枠開放であることを報知する(S213)。表示例としては図27(b)のように表示する。
【0083】
内枠・前枠開放が検出されていない場合(S207:NO)は、入賞検知を判断し、入賞検知していない場合(S209:NO)は、正常であると判断し、入賞検出した場合(S209:YES)は、枠が閉まっている状態で遊技が行われているに関わらず、カギが検出されていることで店員がカギを抜き忘れている可能性があることから、図28(a)のようにカギ忘れを報知する(S210)。
無論、タイミング次第では、枠開放を行う時に鍵を挿入した地点で入賞があるとカギ忘れと表示されてしまうが、カギを挿入した者は明らかに違うことは判っているため、特に問題は発生しない。
【0084】
続いて図25(a)のS202猶予期間がオンであった場合(S202:YES)を図26(a)を用いて説明する。
猶予期間がオンで内枠・前枠開放が検知されていない場合(S213:NO)は正常と判定されるが(S214。表示内容としては図27(a))、開放が検知されている場合(S213:YES)で入賞が検知されていない場合は、図30(a)のように正常開放であることを示すと共に、猶予期間の残り時間をカウント表示にて行う(S216)。このまま猶予期間が終了してしまうと後述するが、S220となって警告レベルは中となる(図29(a))。
対して入賞が検知された場合(S215:YES)は、図30(b)に示すように警告レベルとしては低い警告内容と、猶予期間の残り時間を表示する。この場合も猶予期間が終了すると後述するが、S219となり、警告レベルとしては最高度の高となる(図29(b))。
【0085】
続いて図25(a)のS203内枠・前枠開放検知がオンであった場合(S203:YES)を図26(b)を用いて説明する。
枠が開放された状態で、入賞検知が行われなかった場合(S218:NO)は、警告レベルとしては中である表示が行われる(S220)。
図29(a)のように表示されるが、この状態はカギを用いずに枠が開放されたと判断できることから、不正行為とみなして、ある程度遠くにいる遊技者や店員にもわかるように報知される。なお、警告だけでなく、賞球の払出停止や遊技球の発射停止など、不正を防ぐ動作を一緒に行うことも考えられる。当否判定においても、検出した地点で既に開始されている図柄変動は停止しないが、次回の変動に対しては正常と判定されるまでは中断させることが考えられる。また、発射停止や払出停止を行った場合は、所定の解除操作を行わないと遊技が再開できないような構成にすることも考えられる。このようにすれば、不正と判断して警告するだけでなく、ホールへの損害も防止することができるようになる。
【0086】
入賞検知がされた場合は(S218:YES)、警告レベル最高度の高にて報知される(S219)。警告レベル高とは完全に不正であるとの判断された状態であるから、例えば当否判定や高確率状態などを全て無効とした上で、さらに合わせて発射停止、賞球払出、玉貸停止などをして完全に遊技続行を不能にすることも警告報知と共に行うことが考えられる。
図29(b)のように表示されるが、検出された地点での図柄変動や始動記憶数など、全てリセットされた状態で表示しても良い。また、表示上だけでなく、制御としても大当りを無効としても良い。
なお、ケースとして店員が遊技機の不具合を解消するために枠を開放して入賞操作している時に猶予期間が過ぎて警告高が報知されてしまう不具合が想定されるが、猶予期間の間は画面6aにてカウントダウンが行われており、正規に枠を開放した者ならばカギを所有しているはずであるため、猶予期間が終了する前にカギを挿入すれば何ら問題ない。この構成で困るのは不正開放した者だけとなる。
【0087】
以上が実施例1の説明であるが、このようにカギ信号、猶予期間信号、内枠・前枠開放信号、入賞信号、特にカギ信号と猶予期間信号を出力することにより、ホールコンピュータ87は、鍵により枠開放という1つの動作内容に対する判定でも、経過時間という概念が入るため、より細やかな状態判定を実現することが可能となる。また、遊技機においても、ただホールコンピュータ87に出力するだけでなく、警告表示を行う上での判断材料として用いることができる。
なお、図23に示した内枠と前枠とでそれぞれ開放信号を出力する構成では、より細やかな判定が可能となる。例えば、内枠と前枠どちらが開放しているかを個別に報知したり、前枠開放時の入賞信号よりも内枠開放時の入賞信号の方が警告レベルとしては上としたり(前枠開放の場合は店員のメンテナンス操作時も含まれてくるため)、より多様な状態を判断することができる。
【0088】
「第2実施例」
次に第2実施例について説明する。
第2実施例では、警告表示判定を行うだけでなく、遊技機自身が不正判断を行ってホールコンピュータ87に不正信号を出力する構成であり、これ以外は第1実施例と略同様の構成である。そのため、第1実施例と同一部品には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について述べる。
【0089】
図31は外部接続端子板から出力されるカギ信号、猶予期間信号、内枠・前枠開放信号、入賞信号の出力状態の組合せにより不正信号が出力されるかを示したものである。基本的に判定内容としては図24の警告表示内容決定と同内容としている。以下に図32、図33を用いて不正信号の出力タイミングを説明する。
【0090】
図32(a)に示すように、カギ検知もしておらず(S301:NO)、猶予期間も発生しておらず(S302:NO)、内枠・前枠も開放されていない(S303:NO)場合は入賞信号があってもなくても、いずれも正常な状態であることには変わりがないことから、S303でNOと判断された地点で正常(S304)と判定し、不正信号は出力されない。画面6aも図27(a)のように通常の表示が行われる。
【0091】
カギが検出されている場合は(S301:YES)、図32(b)のフローに移行し、猶予期間が発生しているか判断される(S305)。猶予期間が発生している場合(S305:YES)はカギ信号と同時に立ち上がることは通常有り得ないので、遊技機にエラーが発生していると判定される(S306。図31には記載なし)。エラーの場合は不正とはみなさないため、この場合も不正信号は出力されない。
猶予期間が発生しておらず(S305:NO)、内枠・前枠開放が検出されている(S307:YES)状態で入賞検出した場合(S312:YES)は、カギを用いての正常な枠開放であるが、入賞が発生していることから警告の意味合いも込めて不正信号を出力(S313)するとともに警告表示する(S314)。ただし、店員による入賞操作の可能性も高いため、警告レベルとしては低い図28(b)のような警告表示が行われる。
入賞を検知しなかった場合(S312:NO)は、正常な枠開放であることを報知する(S315)。表示例としては図27(b)のように表示する。
【0092】
内枠・前枠開放が検出されていない場合(S307:NO)は、入賞検知を判断し、入賞検知していない場合(S308:NO)は、正常であると判断して不正信号は出力されない。入賞検出した場合(S308:YES)は、枠が閉まっている状態で遊技が行われているに関わらず、カギが検出されていることで店員がカギを抜き忘れている可能性があることから、不正信号を出力しつつ(S310)、図28(a)のようにカギ忘れを報知する(S311)。
【0093】
続いて図32(a)のS302猶予期間がオンであった場合(S302:YES)を図33(a)を用いて説明する。
猶予期間がオンで内枠・前枠開放が検知されていない場合(S316:NO)は正常と判定(S317。表示内容としては図27(a))されるため不正信号は出力されないが、開放が検知されている場合(S316:YES)で入賞が検知されていない場合は、同じく不正信号は出力されないが図30(a)のように正常開放であることを示すと共に、猶予期間の残り時間をカウント表示にて行う(S319)。ちなみに、このまま猶予期間が終了してしまうと後述するが、不正信号が出力(S323)と共にS324となって警告レベルは中となる(図29(a))。
対して入賞が検知された場合(S318:YES)は、不正信号が出力(S320)されると共に、図30(b)に示すように警告レベルとしては低い警告内容と、猶予期間の残り時間を表示する。この場合も猶予期間が終了すると後述するが、S326となり、警告レベルとしては最高度の高となる(図29(b))。
【0094】
続いて図32(a)のS303内枠・前枠開放検知がオンであった場合(S303:YES)を図33(b)を用いて説明する。
枠が開放された状態で、入賞検知が行われなかった場合(S322:NO)は、不正信号を出力(S323)すると共に、警告レベルとしては中である表示が行われる(S324)。
図29(a)のように表示されるが、ホールコンピュータへ不正信号を送ると共に遊技機でも不正が発生したことをアピールするため、不正が発生しても迅速に対応することができる。
入賞検知がされた場合は(S322:YES)、不正信号を出力(S325)すると共に、警告レベル最高度の高にて報知される(S326)。
【0095】
以上が第2実施例の構成だが、第1実施例の機能に加えて遊技機側で不正判断を行い、不正信号をホールコンピュータ87に出力する構成としたことから、例えば、遊技構成が異なる遊技機を複数設置したとしても、店側で各々の遊技構成に合わせて不正判定の内容を設定する必要がなく、不正信号を受信できる環境を整えておけば事が足りることになる。
【0096】
なお、パチンコ遊技機を例示して説明したが、本発明はパチンコ遊技機以外でも応用は可能である。例えば、スロットマシンのようにメダルを遊技媒体とする遊技機においても、カギを操作されていることを検出する手段と、その猶予期間を計測する手段を設けて扉開放やスタートレバー、ベットボタンなどと一緒に外部へ出力する構成にすれば同様に細やかな遊技機の状態を判定、表示を行うことができる。他にもアレンジボール遊技機やスマートボール機などに応用することが考えられる。
【符号の説明】
【0097】
1 : 遊技盤 、 6 : 演出図柄表示装置
6a : 画面 、 11a: 第1始動口スイッチ
12a: 第2始動口スイッチ 、 18 : 前枠開放スイッチ
19 : 内枠開放スイッチ 、 36 : シリンダ錠18
39 : スライド錠 、 50 : パチンコ機
51 : 外枠 、 52 : 前枠
70 : 内枠 、 78 : 外部接続端子板
87 : ホールコンピュータ 、 91 : カギ
92 : カギ検出スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する情報を外部に出力するための外部情報出力手段を備えた遊技機において、
本体枠に対して回動可能に取り付けられた本体枠の前面を覆う前枠の開放状態を検出するための枠開放検出手段と、
前記枠開放検出手段が検出されている間は前記外部情報出力手段に信号を出力する扉開放信号と、
前記前枠を本体側に固定するための施錠手段の開閉操作を行うための鍵を検出するための鍵検出手段と、
前記鍵検出手段が検出されている間は前記外部情報出力手段に信号を出力する鍵信号と、
前記鍵検出手段が検出を終了した時点から信号を前記外部情報出力手段に出力するとともに計測を開始し、計測時間が所定時間に達すると該出力を停止する猶予期間信号とを備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1の遊技機において、
前記鍵信号が出力されている状態で扉開放信号が出力される時と、
前記猶予期間信号が出力されている状態で扉開放信号が出力される時は正常な扉開放であると判断し、
それ以外の状態での扉開放信号が出力される時は不正な扉開放と判断する不正扉開放判定手段を備え、
該不正扉開放判定手段により不正と判断された場合は扉不正開放信号を外部に出力することを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1〜2に記載の遊技機において、
前記猶予期間信号出力時は、猶予期間信号の出力が停止するまでの残り時間を報知するための残り時間報知手段を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の遊技機において、
前記計測時間は、計測中に前記鍵検出手段にて鍵が検出されると計測時間をリセットすることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−152608(P2012−152608A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−116026(P2012−116026)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2007−122174(P2007−122174)の分割
【原出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】