説明

遊技機

【課題】厚みを薄くすることにより、入射部に近い発光部から放射される光強度が著しく高くなってしまうことを回避すること。
【解決手段】発光体421と、該発光体から放射された可視光が入射される入射部432と、該入射部432から入射された可視光により発光する発光部436と、前記入射部から前記発光部に向けて延設された導光部431と、を有する導光部材430と、を備え、発光部436は、前記導光部材の表面に形成される複数の凹部435により形成されており、導光部材430は、入射部432と前記複数の凹部435のうち階入射部432に最も近い直近凹部435Fとの直線経路上に、入射部432から入射される可視光が直近凹部435Fに直線進行することを阻止する直線進行阻止部433を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体を用いて所定の遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技媒体であるパチンコ玉を用いて所定の遊技を行うことが可能なパチンコ遊技機において、パチンコ玉が流下する遊技領域を形成された遊技盤の背面に凹凸面とした発光部を設け、遊技盤内に入射した光が凹凸面により乱反射されて遊技盤の前面から放射されることにより発光するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−207880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、光が入射されて導光される導光部材が、入射する光を発光する発光素子であるLED素子の大きさよりも大きな厚みとすることのできる遊技盤であるために、遊技盤に入射する入射光の入射位置や入射角度を調節可能な自由度が大きいために、入射光が入射する入射部の近傍に発光部をなす凹凸部があっても、該発光部の凹凸面から放射される光強度が入射部より遠方にある他の発光部よりも著しく高くなってしまうことを回避できるものの、例えば、遊技盤の遊技機内部側に配置される役物装置等を発光させる場合にあっては、これら遊技盤の遊技機内部側には、各種の基板や遊技球の流下通路等が配置されていることから、その厚みを薄くする必要があり、このように発光させる役物装置等を薄くするために、光が入射されて導光される導光部材の厚みを薄くすると、導光部材の厚みが発光素子であるLED素子の大きさに近づくことになるため、入射部の近傍にある発光部をなす凹凸部から放射される光強度が他の発光部よりも著しく高くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、導光部材の厚みを薄くしても、入射部に近い発光部から放射される光強度が該発光部より遠方にある他の発光部よりも著しく高くなってしまうことを回避することのできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技機は、
可視光(白色光)を放射する発光体(水平放射型LED421)と、光透過性を有する透明材(アクリル樹脂)から成り、前記発光体から放射された可視光が入射される入射部(入射部432)と、該入射部から入射された可視光により発光する発光部(連続凹部436)と、前記入射部から前記発光部に向けて延設された導光部(導光路431)と、を有する導光部材(カバーレンズ430)と、を備え、所定の遊技を行うことが可能な遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
前記発光部は、前記導光部材の表面に形成される複数の凹部(凹部435)により形成され、
前記導光部材は、さらに、
前記入射部と前記複数の凹部のうち前記入射部に最も近い直近凹部(直近凹部435F)との直線経路上に、前記入射部から入射される可視光が前記直近凹部に直線進行することを阻止する直線進行阻止部(傾斜面433)を有する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、入射部と直近凹部との直線経路上に直線進行阻止部を備えているので、入射部から入射される可視光が直近凹部に直接入射することを阻止することができるため、導光部材の厚みを薄くしても、入射部に近い直近凹部による発光強度が該直近凹部よりも遠方にある他の凹部における発光強度よりも著しく高くなってしまうことを回避することができる。
【0007】
本発明の手段1の遊技機は、請求項1に記載の遊技機であって、
前記直線進行阻止部が、前記入射部(入射部432)から前記直近凹部(直近凹部435F)に至る傾斜面(傾斜面433)から成り、該傾斜面が、前記入射部から入射されて前記直近凹部に直線進行するいずれの光路の光(例えば、D1、D2の光)も該傾斜面に入射するとともに、各光路の光の該傾斜面に入射する入射角度(例えば入射角度a1,a2)が、前記透明材の屈折率(アクリル樹脂の屈折率n2)と前記傾斜面に接する周囲物質(空気)の屈折率(n1)との比に基づく臨界角(R)よりも大きくなる傾斜角度(θx)にて設けられている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、直線進行阻止部の構造を簡素化できるとともに、直近凹部に直線進行するいずれの光路の光が、全て傾斜面により全反射されて導光部内を導光されるようになるので、これら直近凹部に直線進行する光を、発光部の発光に有効に活用することができる。
【0008】
本発明の手段2の遊技機は、手段1に記載の遊技機であって、
前記傾斜面(傾斜面433)に、金属被膜(ニッケルメッキ層434)を形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、入射部から入射して直近凹部に直線進行する光以外のその他の光であって、傾斜面に入射する光が、前記傾斜面から導光部外部に放射されてしまうことを回避できるので、導光部内を誘導される可視光を、発光部の発光にさらに有効に活用することができる。
【0009】
本発明の手段3の遊技機は、請求項1、手段1、手段2のいずれかに記載の遊技機であって、
複数の前記発光体(水平放射型LED421)を所定位置に表面実装した発光体基板(LED基板420)を前記導光部材(カバーレンズ430)に沿って設け、各発光体に対応する位置に、前記入射部(入射部432)を設けた、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、導光部材の適宜な位置に発光体を配置して導光部の長さを短くすることができるので、導光部内を誘導する可視光の量を低減できるため、導光部材の厚みをより薄くすることができる。
【0010】
本発明の手段4の遊技機は、請求項1または手段1〜手段3いずれかに記載の遊技機であって、
前記発光体が発光ダイオード(LED基板420)であって、前記入射部(入射部432)の該発光ダイオードの放射範囲(放射指向性特性による0〜60度)に該当する領域部分(入射面432’)が、該発光ダイオードを囲む凹曲面状(入射面432’に入射する各放射角度の光の入射角がほぼ0となる曲面)とされている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、発光ダイオードから放射される可視光の入射部を成す面への入射角度を小さくできるので、入射部にて反射されてしまう可視光の量を低減することができ、発光ダイオードから放射される可視光を効率良く入射部から入射させることができる。
【0011】
本発明の手段5の遊技機は、手段1〜手段4のいずれかに記載の遊技機であって、
前記導光部(導光路431)において、前記傾斜面(傾斜面433)にて全反射された反射光が入射する領域(領域Z)の導光界面角度が、該領域に入射する反射光を前記発光部(連続凹部436)に誘導する角度(領域Zに入射する全反射光の入射角度が大きくなる角度)とされている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、傾斜面にて全反射された反射光が確実に発光部に誘導されるようになるので、導光部内に入射した可視光を、発光部の発光にさらに有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】パチンコ遊技機を示す正面図である。
【図2】パチンコ遊技機を示す背面図である。
【図3】主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
【図4】パチンコ遊技機を開放した状態を示す斜視図である。
【図5】遊技盤ユニットを示す分解斜視図である。
【図6】本実施例に用いた翼発光モジュールの分解斜視図である。
【図7】本実施例の翼発光モジュールにおけるカバーレンズを示す背面外観図である。
【図8】図7におけるA−A断面図である。
【図9】(a)は、本実施例の入射部432の構成を示すカバーレンズの側断面図であり、(b)は、入射部432に入射した光の進路状況を示す図であり、(c)は、本発明との比較例を示す図である。
【図10】(a)は、本実施例の入射部432における可視光の入射状況を示す図であり、(b)は、その他の形態の入射部を示す図である。
【図11】傾斜面の角度θxについての説明図である。
【図12】(a)、(b)は、その他の形態例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例を図面に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0014】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。図4は、パチンコ遊技機を開放した状態を示す斜視図である。図5は、遊技盤ユニットを示す分解斜視図である。
【0015】
パチンコ遊技機1は、図1、図2及び図4に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
【0016】
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
【0017】
遊技盤6は、図4に示すように、遊技領域7が前面に形成された合成樹脂製の盤面板200と、所定の厚み幅寸法を有し、盤面板200を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材250と、から構成されている。また、遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット49等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技用部品ユニット300が一体的に組み付けられており、これら遊技盤6と遊技用部品ユニット300とが一体的に組み付けられて遊技盤ユニット500が構成される。
【0018】
図4に示すように、遊技盤ユニット500を前面枠101の前面に取り付けるには、遊技盤6の左端部を図中太矢印に示すように、前面枠101に形成された縦長長方形状の開口部115の左上下位置に設けられた係止凹部116a,116bに、遊技盤6の左端部を差し込んだ状態で、右端部を盤押え金具692,693で係止することにより取り付けられるようになっている。係止凹部116a,116bには後述する盤押えバネ690,691が設けられており、係止凹部116a,116bに係止された遊技盤6の前後のガタツキが防止されている。盤面板200が取り付けられた状態において、該遊技盤6の背面に設けられた遊技用部品ユニット300が開口部115を介して前面枠101の背面側に臨むようになっている。
【0019】
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
【0020】
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
【0021】
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
【0022】
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
【0023】
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
【0024】
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
【0025】
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
【0026】
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a(例えば、近接スイッチ)及び第2入賞確認スイッチ15b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
【0027】
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
【0028】
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
【0029】
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
【0030】
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
【0031】
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部(図示略)と、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部(図示略)とが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
【0032】
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
【0033】
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23(例えば、近接スイッチ)及び第3入賞確認スイッチ23a(例えば、フォトセンサ)で検出される。
【0034】
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0035】
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
【0036】
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
【0037】
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a,29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29b,29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
【0038】
第1始動入賞口13a内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b)が設けられている。この実施例では、第1始動入賞口13a内で、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとが上下に配置されている(本例では、第1始動口スイッチ14aが上側に配置され、第1入賞確認スイッチ14bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第1始動入賞口13a内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第1始動口スイッチ14aで検出され、次いで第1入賞確認スイッチ14bで検出される。
【0039】
また、第2始動入賞口13b内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b)が設けられている。この実施例では、第2始動入賞口13b内で、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bとが上下に配置されている(本例では、第2始動口スイッチ15aが上側に配置され、第2入賞確認スイッチ15bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第2始動入賞口13b内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第2始動口スイッチ15aで検出され、次いで第2入賞確認スイッチ15bで検出される。
【0040】
また、大入賞口内には、大入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23a)が設けられている。この実施例では、大入賞口内で、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとが配置されている(本例では、カウントスイッチ23が上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23aが下側に配置されている)。従って、この実施例では、大入賞口内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まずカウントスイッチ23で検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23aで検出される。
【0041】
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとして、それぞれ異なる検出方式のスイッチが用いられる。この実施例では、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよびカウントスイッチ23として近接スイッチを用い、第1入賞確認スイッチ14b、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23aとしてフォトセンサを用いている。
【0042】
また、第1始動口スイッチ14aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第1特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、第2始動口スイッチ15aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第2特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、第1カウントスイッチ23または第2カウントスイッチ24によって遊技球が検出されたことにもとづいて、賞球払出が実行される。また、第1始動口スイッチ14aによる検出結果に加えて第1入賞確認スイッチ14bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、第2始動口スイッチ15aによる検出結果に加えて第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、カウントスイッチ23による検出結果に加えて第3入賞確認スイッチ23aの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。従って、第1入賞確認スイッチ14b、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23aは、異常入賞の判定のみに用いられる。
【0043】
このように、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23は近接スイッチを用いて構成し、第1〜第3入賞確認スイッチ14b,15b,23aはフォトセンサを用いているが、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aの検出方式はこの実施例で示したものにかぎらず、例えば、第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23と、第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとで異なる検出方式であれば、逆に第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23としてフォトセンサを用い、第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとして近接スイッチを用いてもよい。この場合、フォトセンサである第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23の検出結果にもとづいて特別図柄の変動表示や賞球払出処理が実行され、近接スイッチである第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aの検出結果は、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、大入賞口の異常入賞の判定のみに用いられることになる。また、例えば、電磁式のスイッチである近接スイッチや光学式のフォトセンサに代えて、第1,2始動口スイッチ14a,15a及びカウントスイッチ23または第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aとして、機械式のスイッチ(マイクロスイッチなど)を用いてもよい。
【0044】
また、この実施例では、特別図柄の変動表示や賞球払出処理の実行の契機となる第1,2始動口スイッチ14a,15aカウントスイッチ23は、異常入賞の判定に用いられる第1〜3入賞確認スイッチ14b,15b,23aよりも上流側に設けられていたが、異常入賞の判定に用いられるスイッチの下流側に設けてもよい。
【0045】
そして遊技制御用マイクロコンピュータ1560は、第1始動口スイッチ14a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第1入賞確認スイッチ14b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第1始動口スイッチ14aにて検出された遊技球数と第1入賞確認スイッチ14bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えた(本例では、15以上となった)と判定すると、所定のエラーとして、第1始動入賞口13aへの異常入賞が発生したと判定する。また、第2始動口スイッチ15a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第2入賞確認スイッチ15b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第2始動口スイッチ15aにて検出された遊技球数と第2入賞確認スイッチ15bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えた(本例では、15以上となった)と判定すると、所定のエラーとして、第2始動入賞口13bへの異常入賞が発生したと判定する。また、カウントスイッチ23(近接スイッチ)から入力した検出信号と第3入賞確認スイッチ23a(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、カウントスイッチ23にて検出された遊技球数と第3入賞確認スイッチ23aにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えた(本例では、5以上となった)と判定すると、所定のエラーとして、大入賞口への異常入賞が発生したと判定する。
【0046】
このように、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aと、を互いに異なる検出方式のセンサ(本例では、近接スイッチとフォトセンサ)により構成していることで、例えば電磁波などを用いて第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、大入賞口への入賞数が実際の入賞数よりも多くなるように認識させるような不正行為が行われた場合に、近接スイッチにて検出された遊技球数とフォトスイッチにて検出された遊技球数とに差が生じ、遊技制御用マイクロコンピュータ1560はこの差球数が所定の閾値を超えた場合に異常入賞が発生したと判定するため、確実な不正行為対策を講ずることができる。
【0047】
遊技領域7には、遊技状態に応じて発光する複数の装飾LED25aを有する装飾部材25L,25Rが設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を回収するアウト口26がある。
【0048】
遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25L,25Rが設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を回収するアウト口26がある。
【0049】
遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cが設けられている。天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
【0050】
図1および図2では、図示を省略しているが、左枠LED28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠LED28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
【0051】
遊技者の操作により打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
【0052】
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
【0053】
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
【0054】
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
【0055】
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「非確変」または「確変A」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第1大当り状態(15ラウンド大当り状態)に移行する。大当り遊技状態(通常15ラウンド大当り状態)では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が、第1期間となる所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出玉(賞球)が得られる。なお、15ラウンド大当り状態は、第1特定遊技状態ともいう。
【0056】
特図ゲームにおける確定特別図柄として「確変B」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第2大当り状態(高速15ラウンド大当り状態)に移行する。第2大当り状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が、第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間(例えば0.5秒間)あるいは所定個数(例えば3個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。第2大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第2ラウンド数(例えば「15」)となる。
【0057】
このような第2大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞すれば15個の出玉(賞球)が得られるが、大入賞口の開放期間が第2期間(0.5秒間)であって、非常に短い。そのため、第2大当り状態は実質的には出玉(賞球)が得られない大当り遊技状態である。なお、第2大当り状態は第2特定遊技状態ともいう。また、第2大当り状態は、第1大当り状態に比べてラウンドの実行回数が少ないものであってもよい。すなわち、第2大当り状態は、各ラウンドで大入賞口を開放状態に変化させる期間が第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間となることと、ラウンドの実行回数が第1大当り状態における第1ラウンド数よりも少ない第2ラウンド数となることのうち、少なくともいずれか一方となるものであってもよい。
【0058】
また、「非確変」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。このように「非確変」に対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
【0059】
「確変A」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後や、確変状態において「確変B」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第2大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。
【0060】
こうした「確変A」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。また、「確変B」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り遊技状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、突確大当り図柄と称される。また、大当り図柄のうち確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「確変大当り」と称される。突確大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「突確大当り」(「突確大当り」ともいう)と称される。なお、これら大当り図柄は任意であり、例えば、遊技者に大当り図柄であることや、大当り種別を認識されないようにするために、大当り図柄を数字とせずに予め定められた記号等にしてもよい。
【0061】
「小当り」に対応する特別図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示された後には、小当り遊技状態に制御される。この小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に特別可変入賞球装置20において大入賞口を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させる可変入賞動作が行われる。すなわち、小当り遊技状態では、例えば特別可変入賞球装置20を第2期間にわたり第1状態(開放状態)とする動作が、第2回数{第2ラウンド数に等しい実行回数(本例では、15回)}に達するまで繰り返し実行される。なお、小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に、特別可変入賞球装置20を第1状態とする期間が第2期間となることと、第1状態とする動作の実行回数が第2回数となることのうち、少なくともいずれか一方が行われるように制御されればよい。小当り遊技状態が終了した後には、遊技状態の変更が行われず、可変表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御されることになる。ただし、可変表示結果が「小当り」となる特図ゲームが実行されたときに、特別遊技状態における特図ゲームの実行回数が所定回数に達していれば、小当り遊技状態の終了後には、特別遊技状態が終了して通常状態となることがある。可変入賞動作により特別可変入賞球装置20を第1状態とする回数が「15」である小当り遊技状態における遊技は、第2大当り状態における遊技と同様に、15回開放遊技とも称される。なお、第2大当り状態における各ラウンドで特別可変入賞球装置20とは別個に設けられた入賞球装置を第1状態に変化させる場合には、小当り遊技状態でも、第2大当り状態と同様の態様で、その入賞球装置を第1状態に変化させるようにすればよい。
【0062】
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
【0063】
また、この実施例では、通常状態において「確変B」に対応する「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない第2確変制御(潜伏確変状態)へ移行する。また、確変状態において「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態へ移行する。
【0064】
このように確変状態のうちには、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われるものの他に、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われないもの(潜伏確変)が含まれていてもよい。また、例えば、特図ゲームにける可変表示結果が「確変大当り」となったことに基づく第1大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態(高確高ベース状態ともいう)に制御され、その後、特図表示結果が「大当り」となることなく、特図ゲームの実行回数が所定回数(例えば70回)に達したときには、確変制御は継続して行われるものの、時短制御や高開放制御が終了して行われなくなる第2確変状態(高確低ベース状態ともいう)に制御されるようにしてもよい。
【0065】
また、この実施例では、確変状態であるときに特図ゲームにおける可変表示結果が「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には第2確変状態(潜伏確変状態)へと移行するようになっていたが、確変状態だけでなく、時短状態であるときに特図ゲームにおける可変表示結果が「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後にも第1確変状態へと移行するようにしてもよい。あるいは、「確変大当り」に基づく第1大当り状態の終了後には、再び特図表示結果が「大当り」となるまで第1確変状態に制御される一方、「突確大当り」に基づく第2大当り状態の終了後には、第1確変状態に移行して、特図表示結果が「大当り」となることなく特図ゲームの実行回数が所定回数に達したときに第2確変状態へと移行するようにしてもよい。時短制御と高開放制御は、それらの開始と終了が同時に(連動して)行われる一方で、確変制御の開始と終了は、時短制御や高開放制御の開始や終了と必ずしも連動するものでなくてもよい。
【0066】
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
【0067】
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース1800に収納されている。
【0068】
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板990やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板990には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ1560のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
【0069】
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
【0070】
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
【0071】
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
【0072】
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース40Aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ187が設けられている。球切れスイッチ187が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ187が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
【0073】
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
【0074】
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ1560(遊技制御手段に相当)が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ1560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ1560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ1560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ1560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路53が内蔵されている。
【0075】
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ1560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ1560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
【0076】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ1560には、乱数回路53が内蔵されている。乱数回路53は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路53は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0077】
乱数回路53は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路53は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0078】
乱数回路53は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
【0079】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ1560は、乱数回路53が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ1560のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ1560の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行なって得られた数値データを、乱数回路53が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路53が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
【0080】
遊技制御用マイクロコンピュータ1560は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路53から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
【0081】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ1560には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路52が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ1560とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
【0082】
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
【0083】
遊技制御用マイクロコンピュータ1560のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ1560等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ1560等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ1560等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ1560等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ1560等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
【0084】
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ1560の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ1560の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
【0085】
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23、第3入賞確認スイッチ23aおよび各入賞口スイッチ30a,30bや、演出装置500に設けられる昇降センサ90からの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21、演出装置500の可動部800を昇降する昇降モータ533を基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ1560をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板160を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
【0086】
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
【0087】
演出制御基板80は、演出制御用CPU120(図示略)およびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU120は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU120(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
【0088】
演出制御用CPU120(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU120(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPU120から入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
【0089】
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
【0090】
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
【0091】
さらに、演出制御用CPU120(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPU120は、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
【0092】
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなど枠側に設けられている各LEDや、装飾体301や翼発光モジュール400〜403などに設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
【0093】
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
【0094】
図5に示すように、遊技盤ユニット500は、遊技盤6と、該遊技盤6の背面側に配置され、遊技盤6を背面側から装飾する装飾体301と、該装飾体301を遊技盤6に対して取り付けるためのカバー体302と、装飾体301の背面に取り付けられ、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット49と、から主に構成されている。
【0095】
装飾体301は、後述するように透明に形成される遊技盤6の遊技領域7を背面側から装飾する立体状に形成された装飾体であり、前後方向に所定幅の板厚を有している。装飾体301の前面は、特に詳細な図示はしないが、非平坦面状に形成され、奥行き感のある装飾部が形成されている。また、遊技盤6側に設けられる各種表示装置(例えば第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b等)、駆動手段(ソレノイド16,21等)、LED、各種スイッチ(例えばゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23等)から延出される配線は、遊技盤6の背面と装飾体301の前面との間から側方に引き出されるため、これら配線は、装飾部と同色または同系色に着色され、これにより配線が目立たないようにしている。
【0096】
また、装飾体301の略中央位置には、背面側に配設される演出表示装置9の表示面を視認可能とするための開口部303が形成されているとともに、その周辺には、遊技領域7に配設される各種入賞口(例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13b等)に入賞した遊技球を背面側に排出するための遊技球排出口(図示略)が複数形成されている。
【0097】
装飾体301の前面所定箇所(本実施例では演出表示装置9の左側)には、複数の翼発光モジュール400〜403が設けられている。翼発光モジュール403は、翼発光モジュール401の背面側に重畳する重畳位置と下方に突出する突出位置との間で可動可能に設けられ、駆動手段としての役物モータ17により図5中矢印で示される方向に昇降するようになっている。このように構成された装飾体301は、背面側のカバー体302に前面側から組み付けられる。なお、翼発光モジュール400〜403の詳細については後述することとする。
【0098】
なお、本実施例の装飾体301は、所定板厚を有する一つの板状体にて構成されていたが、形状は種々に変形可能であるとともに、それぞれ個別に形成された複数の装飾部材から構成されていてもよい。
【0099】
カバー体302は、透明な合成樹脂材からなり、前面が開口する箱状に形成された本体部311内に、装飾体301を前面側から収容可能に形成されている。本体部311の前面開口の周縁部からは、遊技盤6に取り付けるためのフランジ片310が外向きに形成されており、該フランジ片310の前面側には、遊技盤6に対する当該カバー体302の取付位置を決定するための複数の位置決め用ボス312a〜312d(312dは図示略)が前面側に向けて突設されているとともに、遊技盤6に当該カバー体302を取り付けるための取付ネジ313が取り付けられる取付穴314が複数箇所に形成されている。
【0100】
本体部311の背板311aには、当該背板311aの背面側に組み付けられる演出表示装置9の表示面を視認可能とするための開口部315が形成されている。演出表示装置9を含む変動表示制御ユニット49は、背板311aの背面側から演出表示装置9の表示面を開口部315に臨ませるように背板311aの背面に取り付けられる。なお、変動表示制御ユニット49は、装飾体301の背面に直接取り付けてもよい。
【0101】
カバー体302には、これら装飾体301、変動表示制御ユニット49だけでなく、他の装置や基板等が組み付け可能とされており、カバー体302及び該カバー体302に一体的に組み付けられる装飾体301、変動表示制御ユニット49等を含む遊技に関連する複数の遊技用部品により、遊技用部品ユニット300が構成される。このように構成される遊技用部品ユニット300は、遊技盤6に対して着脱可能に取り付けられ、複数の機種に共通して使用される機種共通部品であるカバー体302に、機種固有の装飾体301や変動表示制御ユニット49等の各種遊技用部品を着脱可能に組み付けることができるため、遊技盤6の背面側に配設される複数の遊技用部品を、カバー体302を取り付けるだけで一度に配設することができるばかりか、機種変更やメンテナンスの際には、カバー体302から機種固有の装飾体や遊技用部品を取り外すことができるため、作業性が向上する。
【0102】
ここで、本実施例に用いた本発明の導光部材となる翼発光モジュール400〜403について、翼発光モジュール400を例に、図6〜図11に基づいて説明する。尚、翼発光モジュール401〜403も、構造等は翼発光モジュール400と同一である。
【0103】
本実施例の翼発光モジュール400は、図6に示すように、主に、複数の羽根から成る翼の形状に成形された透明なアクリル樹脂にて成形された本発明の導光部材となるカバーレンズ430と、該カバーレンズ430の背面に該カバーレンズ430に沿って設けられ、翼発光モジュール400を発光させる各LEDが表面実装されている、カバーレンズ430の外形形状とほぼ同一形状とされたLED基板420と、該LED基板420を収納可能な所定厚みを有する有底箱状の基板ケース410とから主に構成されている。
【0104】
基板ケース410は、図6に示すように、LED基板420と同様に、カバーレンズ430の外形形状とほぼ同一の外形形状とされており、LED基板420全体をケース内に収納可能とされている。
【0105】
基板ケース410の底部には、複数の空気孔412が穿設されており、基板ケース410内部に収納されるLED基板420を、空気孔412を通じた空気の流通により放熱させることができるようになっている。
【0106】
これら空気孔412に加え、LED基板420を固定する基板固定ネジ426が挿通されるネジ挿通部414や、LED基板420の収納位置を所定位置に誘導するためのガイド突起416や、カバーレンズ430を固定するレンズ固定ネジ419を挿通するためのネジ孔418が設けられている。
【0107】
尚、図6中の413は、コネクタ用開口であり、LED基板420の端部位置に設けられた接続コネクタ425が該コネクタ用開口413に露出されることで、該接続コネクタ425に接続ケーブルを、翼発光モジュール400を組み立てた状態にて容易に接続できるようになっている。
【0108】
また、コネクタ用開口413とは反対側の先端部位置には、カバーレンズ430に形成された柱状突起439と当接するとともに、該柱状突起439に挿通されるレンズ固定ネジ419を挿通するためのネジ止め部415が設けられている。
【0109】
尚、これら基板ケース410の厚みは、翼発光モジュール400が、前述したように、配置スペースが限られた遊技盤6の背面に配置されるものであるので、その厚みが比較的薄いものとされており、本実施例ではその厚みが約7mmとされている。
【0110】
基板ケース410に収納されるLED基板420には、図6に示すように、基板の水平方向に可視光である白色光を単色発光する水平放射型LED421と、基板の垂直方向に複数の色の可視光を発光する垂直放射型LED422とが表面実装されており、水平放射型LED421から水平方向に放射された白色光が、後述するように、カバーレンズ430に設けられた各入射部432から入射してカバーレンズ430全体を白色に発光させるとともに、垂直放射型LED422が、演出に応じて適宜に各色に点灯されることで、翼を構成する羽根の先端部分が各種の色にて発光するようになっている。
【0111】
LED基板420には、該LED基板420を基板ケース410のネジ挿通部414に固定する基板固定ネジ426が挿通されるネジ孔424や、ガイド突起416の先端部が挿通されるガイド孔423や、カバーレンズ430の背面に設けられている柱状突起439や440が挿通される挿通孔427、428が設けられている。
【0112】
尚、図6には、図示しないが、LED基板420には、各水平放射型LED421や垂直放射型LED422を過電流から保護するための保護抵抗等のその他のデバイスも搭載されている。
【0113】
また、LED基板420の表面には白色のレジスト層が形成されており、カバーレンズ430の発光色である白色に影響を及ぼすことがなく、且つ、水平放射型LED421から放射される光を入射部432へ反射して入射することで、入射部432に入射する光量を向上できるようになっている。
【0114】
カバーレンズ430は、透明樹脂であるアクリル樹脂により、射出成形にて、図6に示すように、複数の羽根が重なりあった翼の形状に成形されており、その背面には、柱状突起439、440が形成されている。
【0115】
そして、カバーレンズ430が、LED基板420が収納されて基板固定ネジ426にて固定された基板ケース410の開口を塞ぐように配置された後、基板ケース410の背面より、ネジ孔418並びにネジ止め部415にレンズ固定ネジ419を挿通してカバーレンズ430を固定することで、LED基板420上に実装された後述する水平放射型LED421が入射部432に対応する所定位置となるように、LED基板420、カバーレンズ430、基板ケース410とが一体化される。
【0116】
図7は、本実施例のカバーレンズ430の背面を示す図である。カバーレンズ430の外周は平坦面とされており、基板ケース410の上端面と当接して一体化される。
【0117】
カバーレンズ430の背面には、図7に示すように、羽毛の骨のように、翼を構成する各羽根の芯部となる部分に、羽根の各部に光を誘導するための厚肉とされた帯状の導光路431(図8参照)が複数設けられており、該導光路431上の水平放射型LED421に対応する位置に、水平放射型LED421から放射される可視光である白色光を該導光路431内に入射させる入射部432が設けられている。
【0118】
図8は、図7におけるA−A断面を示す図である。カバーレンズ430は、前述したように、複数の羽根により形成された翼の形状とされており、これら翼を形成する各羽根は、図8に示すように、中央部に所定幅とされた圧肉の導光路431を有し、該中央部から両側部に向けてカバーレンズ430の背面側に湾曲する断面視が逆碇の形状とされている。よって、これら各羽根から形成される翼の形状を成すカバーレンズ430の表面は、複数の羽根の湾曲面が連続して配列されることにより、波状の面とされている。
【0119】
また、導光路431の表面側、つまり、カバーレンズ430の表面には導光路431の延設方向と直交するように、多数の細溝437が所定間隔にて並列形成されていて、該細溝437によって、カバーレンズ430の表面から放射される光が拡散されるようになっているとともに、導光路431の裏面側には、図7、8に示すように、導光路431内部を反射により誘導(導光)される光の一部を、カバーレンズ430の表面を発光させる所定方向側となる導光路431の表面側に放射させるための多数の凹部から成る本発明の発光部となる連続凹部436が形成されている。
【0120】
尚、連続凹部436により導光路431の表面側から放射可能に反射誘導された光は、前述したように、カバーレンズ430の表面が逆碇型に湾曲していることにより、該湾曲面における反射によって湾曲部の両端側に誘導されることで、湾曲部の両端を含む羽根全体が発光するようになっている。
【0121】
次に、各導光路431に設けられている入射部432の構成を図9に基づいて説明する。図9は、導光路431を該導光路431の延設方向と平行な面で切断した側断面図である。
【0122】
図9に示すように、入射部432は、LED基板420に表面実装された水平放射型LED421の白色光の放射方向側に、LED基板420と略当接するように垂下し、水平放射型LED421と、該水平放射型LED421に最も近い凹部である直近凹部435Fとの間が傾斜面433となる斜辺とされた略三角形状の突出部とされている。
【0123】
この入射部432を成す三角形の頂点部分における水平放射型LED421と対向する入射面432’は、図10(a)の拡大詳細図に示すように、水平放射型LED421の放射指向性特性に合わせて、該水平放射型LED421を囲む凹曲面状とされている。
【0124】
具体的には、本実施例に用いた水平放射型LED421は、図10(a)に示すように、放射角度が水平方向である0度である場合の光強度を100%とした場合において、放射角度が45度で光強度が50%、放射角度が60度で光強度が20%となる放射指向性特性を有しているので、光強度が20%以上である放射角度が60度までの光が、反射によって弱まってしまうことなく良好に導光路431内に入射させることができるように、これら放射角度が60度までの各光の入射面432’に入射する角度がほぼ0度となるように、入射面432’を凹曲面状に形成しており、水平放射型LED421から放射された白色光を効率良く導光路431内に入射させることができるようになっている。
【0125】
尚、本実施例では、入射部432を成すアクリル樹脂が、水平放射型LED421の上部位置、特に、発光素子が設けられている部分である発光位置の上部を覆ってしまうと、水平放射型LED421の放熱性が低下して、過熱による故障や発光色の変化や寿命低下を生じてしまう畏れがあるために、これら水平放射型LED421の上部位置を覆うことがないようにしつつ、水平放射型LED421からの光を効率良く導光路431内に入射させるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本実施例のように、カバーレンズ430に沿ってLED基板420を設けることにより、発熱の比較的少ない低出力のLEDを多数設ける場合のように、LEDの発熱が少ない場合にあっては、図10(b)に示すように、入射部432を成す入射面432’が、水平放射型LED421の発光部上部位置を覆うようにすることで、水平放射型LED421から発光される殆ど全ての放射光を導光路431内に入射させるようにしても良い。
【0126】
また、傾斜面433の表面には、ニッケルメッキ層434が形成されており、該ニッケルメッキ層434により傾斜面433が鏡面化されていて、該傾斜面433に入射した光が、入射角にかかわらずに、ほぼ全反射されるようになっている。
【0127】
尚、該傾斜面433に水平放射型LED421から放射されて直接入射する光の入射角aとしては、水平放射型LED421から水平に放射される光の入射角a1よりも、傾斜面433の最も水平放射型LED421に近い位置に入射する水平に対してθ1の角度を有して放射された光の入射角a2が小さくなるように、該入射角a2が最も入射角度の小さい光となる。
【0128】
よって、傾斜面433の水平と成す傾斜角度θxは、図11に示すように、該傾斜面433に水平放射型LED421から放射されて直接入射する光のうち、最も入射角度の小さい光、つまり、傾斜面433の最も水平放射型LED421に近い位置に入射する、水平方向とθ1の角度を成して放射される光の入射角度(最小入射角度a2)が、導光路431を構成する透明樹脂であるアクリル樹脂の屈折率(n1=1.49)と、傾斜面433に当接する周囲物質となる空気の屈折率(n2=1)との比の逆三角関数に基づく臨界角(R=42°)よりも大きくなる角度とすれば良く、このようにすることで、水平放射型LED421から放射されて直接傾斜面433に入射する光は、いずれも傾斜面433において全反射されて導光路431内を誘導されるようになる。
【0129】
具体的には、図11に示すように、最小入射角度a2は、式(1)に示すように、90−(θ1+θx)であるので、この関係をR<a2に代入し、θxについて解くと、式(3)の90−θ1−R(42°)が得られので、傾斜面433の水平と成す傾斜角度θxを90−θ1−R(42°)未満とすることで、水平放射型LED421から放射されて直接傾斜面433に入射する光は、いずれも傾斜面433において全反射されて導光路431内を誘導されるようになる。
【0130】
尚、水平放射型LED421の厚みが薄く、θ1が殆ど0である場合には、θx<90−42=48となり、傾斜面433の水平と成す傾斜角度θxを48度以下にすれば良いことになる。
【0131】
よって、本実施例のように、厚みの非常に薄い水平放射型LED421を使用することは、θ1を小さくできることで傾斜面433の傾斜角度θxを大きくすること、すなわち傾斜面433の長さをより短くすることが可能となり、導光路431の設計の自由度を高めることができるようになる。
【0132】
すなわち、本実施例では、水平放射型LED421の近接部となる入射部432の頂点と、該水平放射型LED421に最も近い直近凹部435Fの凹頂部とを結ぶ傾斜面433を設けることにより、直近凹部435Fに対して水平放射型LED421から直接入射する全ての光路の光が傾斜面433に入射するようにするとともに、上記したように、傾斜面433の傾斜角度が、該傾斜面433に水平放射型LED421から直接入射する光が全て全反射する角度となるように、傾斜面433の長さを設定している。
【0133】
このようにすることで、図9(b)に示すように、傾斜面433に水平放射型LED421から直接入射する光である光D1や光D2が傾斜面433にて全て全反射されて、導光路431の表面側界面における、水平放射型LED421に最も近いP1点から水平放射型LED421から最も遠いP2点までの領域Zに向けて全反射されるようになる(D1’、D2’)。
【0134】
これに対し、図10(c)に示すように、本発明の傾斜面433を設けない場合には、水平放射型LED421から放射された高強度の放射光が、直近凹部435Fに直接入射して、導光路431の表面側に放射されるようになるので、直近凹部435Fに対応する部分の発光強度が著しく高くなってしまい、カバーレンズ430’の良好な発光が得られない。
【0135】
また、これら傾斜面433には、水平放射型LED421から直接入射する光だけではなく、入射部432が導光路431の経路途中に設けられている場合には、導光路431内を誘導されて入射部432に到達した光(誘導光)も入射するが、傾斜面433が水平放射型LED421から直接入射する光を全反射可能な角度とされていることで、これら誘導光が該傾斜面433より導光路431の背面側に放射されてしまう角度となっていても、該傾斜面433にニッケルメッキ層434が設けられていることにより、これら誘導光が傾斜面433から導光路431の背面側に放射されてしまうことを防止することができるので、これら誘導光を無駄にすることなく、効率良く利用することができる。
【0136】
そして、本実施例では、これら領域Zにおける導光路431の表面側界面が、図9に示すように、該領域Zの表面側界面に入射する光の入射角が大きくなるような角度とすることで、該表面側界面に入射する光のうち、より多くの光が全反射されて連続凹部436に誘導されるようになっている。つまり、領域Zの表面側界面角度が、領域Zに入射する傾斜面433にて全反射された強度の強い反射光を、連続凹部436に誘導する角度とされている。
【0137】
尚、これらの角度としては、本実施例に限定されるものではなく、領域Zの表面側界面角度としては、領域Zに入射する傾斜面433にて全反射された光を、連続凹部436に誘導することのできる角度であれば良い。
【0138】
また、水平放射型LED421から導光路431内にて入射された光のうち、所定角度を有して直近凹部435Fや連続凹部436に入射する光、例えば、光D3は、直近凹部435Fにより反射されて導光路431の表面側に向けて誘導されることにより、導光路431の表面側界面より放射されることで、これら直近凹部435Fや連続凹部436が、水平放射型LED421から直接放射された光ではなく、導光路431内を誘導された光により発光するようになる。
【0139】
以上、前記実施例によれば、入射部432と直近凹部435Fとの直線経路上に直線進行阻止部となる傾斜面433を備えているので、入射部432から入射する可視光が直近凹部435Fに直接入射することを阻止することができるため、導光部材であるカバーレンズ430の厚みを薄くしても、入射部432に近い直近凹部435Fによる発光強度が該直近凹部435Fよりも遠方にある発光部をなす他の凹部による発光強度よりも著しく高くなってしまうことを回避することができる。
【0140】
また、前記実施例によれば、直線進行阻止部を傾斜面433とすることで、直線進行阻止部の構造を簡素化できるとともに、直近凹部435Fに直線進行するいずれの光路の光が、全て傾斜面により全反射されて導光路431内を誘導されるようになるので、これら直近凹部435Fに直線進行する光を、発光部となる連続凹部436の発光に有効に活用することができる。
【0141】
尚、本実施例では、直線進行阻止部として傾斜面433を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図12(a)に示すように、傾斜面を設けない図10(c)の構成おいて、入射部432と直近凹部435Fとの間に、直線進行阻止部材として光散乱板444を所定角度にて配置して、直近凹部435Fに直接進行する光を拡散させることで、水平放射型LED421から放射された高強度の光が直接に直近凹部435Fに入射することを阻止するようにしたカバーレンズ445としても良い。
【0142】
また、前記実施例によれば、傾斜面433にニッケルメッキ層434を設けることにより、入射部432から入射して直近凹部435Fに直線進行する光以外の光、例えば、導光路431内を誘導されてきた誘導光が、該傾斜面433から導光路431の外部に放射されてしまうことを回避できるので、導光路431内を誘導される可視光を、発光部となるカバーレンズ430表面の発光にさらに有効に活用することができる。
【0143】
尚、前記実施例では、メッキ層をアクリル樹脂に無電解メッキとして形成し易いニッケルメッキとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらメッキの種類は、光を良好に反射するものであれば、いずれの金属であっても良い。
【0144】
また、前記実施例では、これら金属層をメッキにて形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら金属層を、メッキ以外の方法、例えば、真空蒸着や箔転写等により形成しても良い。
【0145】
また、前記実施例によれば、導光部材となるカバーレンズ430に沿ってLED基板420を設けることにより、前述したように、複数のLEDを使用することで、個々のLEDの発熱を少ないものとすることができるとともに、カバーレンズ430の適宜な位置に発光体となる水平放射型LED421を配置して導光路431の長さを短くすることができるので、導光路431内を誘導する可視光の量を低減できるため、導光部材となるカバーレンズ430の厚みをより薄くすることができることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらLED基板420を設けずに、カバーレンズ430の外周部のみに水平放射型LED421等のLEDを配置した基板を設けるようにしても良い。
【0146】
また、前記実施例によれば、入射面432’を水平放射型LED421を囲む凹曲面状としているので、水平放射型LED421から放射される可視光の入射面432’への入射角度をほぼ0となるように小さくできるので、入射面432’にて反射されてしまう可視光の量を低減することができ、水平放射型LED421から放射される可視光を効率良く入射部432から入射させることができる。
【0147】
また、前記実施例によれば、領域Zの角度が、該領域Zの表面側界面に入射する傾斜面433にて全反射された反射光D1’、D2’の入射角が大きくなるような角度とされているので、反射光D1’、D2’が確実に連続凹部436に誘導されるようになるので、導光路431内に入射した可視光を、発光部となるカバーレンズ430表面の発光にさらに有効に活用することができる。
【0148】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0149】
例えば、前記実施例では、傾斜面433の角度を、該傾斜面433に水平放射型LED421から直接入射する全ての光を全反射する角度としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、傾斜面433にニッケルメッキ層434を設ける場合には、該ニッケルメッキ層434によって傾斜面433に入射する光が反射されるので、傾斜面433の長さを短くして傾斜面433の角度を全反射しない角度としても良い。
【0150】
また、前記実施例では、カバーレンズ430の材質となる透明部材としてアクリル樹脂を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらアクリル樹脂以外の透明樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂や、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などの単体若しくは複合されたアロイ等を使用しても良い。
【0151】
また、前記実施例では、発光体として水平放射型LED421を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図12(b)に示すように、垂直発光型のLED450を使用するようにしても良い。
【0152】
つまり、図12(b)に示すように、垂直発光型のLED450を実装したサブ基板420’をLED基板420にコネクタ等により立設して設け、該LED450から放射された可視光を、カバーレンズ430”に設けた入射部451から入射させるようにすれば良い。尚、この場合には、前述したθ1の角度が大きくなるので、傾斜面433’の傾斜角度θxが小さくなって傾斜面433’の長さが長くなってしまうことを防止するために、傾斜面433’にメッキ層434’を設けたり、傾斜面433’のLED基板420に近い部分の角度を低減して水平に近づけるようにすることが好ましい。
【0153】
また、前記実施例では、傾斜面433の周囲物質を空気とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら傾斜面433の周囲物質として、例えば、翼発光モジュール400の動作によって、カバーレンズ430とLED基板420とが干渉すること等を防止するために、カバーレンズ430とLED基板420との間に振動を吸収可能なシリコーンゲル等を設けるようにした場合には、傾斜面433に当接する周囲物質としては、該シリコーンゲルとなり、該シリコーンゲルの屈折率との比に基づく臨界角に基づいて傾斜面433の角度θxを決定すれば良い。
【符号の説明】
【0154】
1 パチンコ遊技機
3 打球供給皿
6 遊技盤
8a 特別図柄表示器
8b 特別図柄表示器
9 演出表示装置
10 普通図柄表示器
11 ステージ枠飾り
400 翼発光モジュール
401 翼発光モジュール
402 翼発光モジュール
403 翼発光モジュール
420 LED基板
421 水平放射型LED
430 カバーレンズ
431 導光路
432 入射部
433 傾斜面
434 ニッケルメッキ層
435 連続凹部
435F 直近凹部
437 細溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光を放射する発光体と、光透過性を有する透明材から成り、前記発光体から放射された可視光が入射される入射部と、該入射部から入射された可視光により発光する発光部と、前記入射部から前記発光部に向けて延設された導光部と、を有する導光部材と、を備え、所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、
前記発光部は、前記導光部材の表面に形成される複数の凹部により形成され、
前記導光部材は、さらに、
前記入射部と前記複数の凹部のうち前記入射部に最も近い直近凹部との直線経路上に、前記入射部から入射される可視光が前記直近凹部に直線進行することを阻止する直線進行阻止部を有する、
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−40243(P2012−40243A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185259(P2010−185259)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】