説明

遊技装置の玉貸機

【課題】パチンコ台の台間玉貸機のような狭隘なスペースに設けられる玉貸機において、高額紙幣を始めとする各種紙幣、硬貨の他に、ICコインをビジターコインと会員コインに区別した形態による遊技媒体の払出し又は釣銭の支払いを可能とした遊技装置の玉貸機を提供する。
【解決手段】第1振分け部12に保持されたICコインがビジターコインと識別されると、該ビジターコインの情報を第2振分け部14に保持されたビジターコインに付け替えた後、第1振分け部のビジターコインを保留通路13に送出して保留する一方、第1振分け部に保持されたICコインが会員コインと識別されると、該会員コインを第1振分け部に保持した状態で該コインの情報を処理する。また、第1振分け部に保持されたICコインが会員コインと識別されると、該会員コインを返却通路24へ送出して第2振分け部に案内すると共に該第2振分け部に保持した状態で該コインの情報を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ台の台間玉貸機のような複雑な配線等を有する狭隘なスペースに設けられる玉貸機において、高額紙幣を始めとする各種紙幣、硬貨の他に、ICコインをビジターコインと会員コインに区別した形態による遊技媒体の払出し又は釣銭の支払いを可能とした遊技装置の玉貸機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ店においては、パチンコ島に複数のパチンコ台が並設されると共に、このように並設されたパチンコ台の台間に台間玉貸機が設置されている。このような台間玉貸機においては、利用客による現金の投入により、金額に応じた数量の貸玉を払い出すようにした現金玉貸機が一般的であったが、近年においては、利用客によるCRカード(プリペイドカード)を挿入して玉貸ボタンを押すことにより、所定数量の貸玉を払い出すようにしたCR玉貸機も普及しつつある。
【0003】
ところで、従来の現金玉貸機は、一般的に千円紙幣のみ使用可能であった。このように紙幣の額が特定されている理由の一つに釣銭の問題があった。即ち、高額紙幣を始めとする種々の紙幣、あるいは貨幣の使用を可能とするには、貸出機に通貨の判別装置や釣銭のための収容スペースを確保しなければならず、装置が大型化するため、スペースの限られた台間玉貸機では、釣銭を支払う装置の実現が困難なものとなっていた。
【0004】
その半面、利用客の要望に応じて、従来から、台間玉貸機のような複雑な配線等を有する狭隘なスペースに設けられる玉貸機においても、できるだけ多種の玉貸媒体を利用可能とし、しかも利用度数に応じて遊技媒体の払出しを可能とするようにした玉貸機が開発されるようになっている。
【0005】
特許文献1に記載の装置は、ICコインの採用によって、偽造コイン等を使用した不正な遊技媒体の払い出しや、清算時における不正な釣銭の詐取を防止すると共に、各種紙幣の使用を可能とするものである。
【0006】
この特許文献1の構成は、図12に示すように、遊技システム61において挿入した紙幣62の金額から購入した遊技媒体の金額を差し引いた金額分のICコイン60を貸し機A(メダル貸し機A1、玉貸し機A2)から払い出す処理と、このICコイン60の払い出し時に、ICコイン60へのデータの書き込み及び同データの管理コンピュータCへの書き込みを行う処理と、遊技終了時において、残ったICコイン60が精算機Bに投入された時に、ICコイン60に書き込まれたデータと管理コンピュータCに書き込まれたデータとを比較して、一定の条件を満たしたときに、ICコイン60に相当する分の紙幣を払い出す処理とを含むものである。
【特許文献1】特開2002−18109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記の特許文献1の構成においては、挿入した紙幣の金額から購入したメダル又は玉のいずれかの遊技媒体の金額を差し引いた金額データが書き込まれたICコインを払出すようにしたものであり、このICコインに関するICデータを管理コンピュータで管理することによって、偽造コイン等を使用した不正な遊技媒体の払い出しや、清算時における不正な釣銭の詐取を防止するようにしたものである。従って、この特許文献1の遊技システムによれば、遊技の当初から使用し得る支払い媒体は紙幣のみであって、硬貨やビジターコイン(一時的な利用客によって使用されるICコイン)或いは会員コイン(会員契約をした利用客が所有するICコイン)を使用することができないという欠点があった。
【0008】
なお、ICコインのみならず、硬貨や高額紙幣を使用することが可能な玉貸機を構造化することは理論上は可能であるが、従来からそのような玉貸機の実現を困難にしていたのは、玉貸機がパチンコ台の狭い台間に設置され、この台間には複雑な部品や配線等が設けられているためであり、そのような玉貸機の内部に多様な玉貸媒体のための複雑な装置を組み込むことが非常に困難であったからである。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、パチンコ台の台間玉貸機のような複雑な配線等を有する狭隘なスペースに設けられる玉貸機において、高額紙幣を始めとする各種紙幣、硬貨だけでなく、ICコイン、さらにはICコインをビジターコインと会員コインに区別した形態による遊技媒体の払出し又は釣銭の支払いを可能とした遊技装置の玉貸機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題を解決するために、本発明の請求項1の遊技装置の玉貸機は、玉貸機の内部に投入されたICコインの情報を読み取るための第1アンテナを有する第1振分け部と第2アンテナを有する第2振分け部とが保留通路を介して設けられた遊技装置の玉貸機であって、前記第1振分け部は投入されたICコインを保留通路又は返却通路に送り出し可能に保持し、前記第1振分け部に保持されたICコインが前記第1アンテナの読み取りによってビジターコインと識別されると、該ビジターコインに設定された情報を第2振分け部に保持されたビジターコインに付け替えた後、前記第1振分け部のビジターコインを前記保留通路に送出して保留する一方、前記第1振分け部に保持されたICコインが会員コインと識別されると、該会員コインを前記第1振分け部に保持した状態で該会員コインに設定された情報を処理するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2の遊技装置の玉貸機は、玉貸機の内部に投入されたICコインの情報を読み取るための第1アンテナを有する第1振分け部と第2アンテナを有する第2振分け部とが保留通路を介して設けられた遊技装置の玉貸機であって、前記第1振分け部は投入されたICコインを保留通路又は返却通路に送り出し可能に保持し、前記第1振分け部に保持されたICコインが前記第1アンテナの読み取りによってビジターコインと識別されると、該ビジターコインに設定された情報を第2振分け部に保持されたビジターコインに付け替えた後、前記第1振分け部のビジターコインを前記保留通路に送出して保留する一方、前記第1振分け部に保持されたICコインが会員コインと識別されると、該会員コインを前記返却通路へ送出して第2振分け部に案内すると共に、該会員コインを前記第2振分け部に保持した状態で前記会員コインの情報を処理するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、請求項1の発明及び請求項2の発明のいずれにおいても、第1アンテナを有する第1振分け部と第2アンテナを有する第2振分け部とが保留通路を介して設けられた簡単な構成によって、パチンコ台の台間玉貸機のような複雑な配線等を有する狭隘なスペースに装備可能であり、高額紙幣を始めとする各種紙幣、硬貨の他に、ビジターコインと会員コインとのいずれのICコインを使用した場合でも、遊技媒体の払出し又は釣銭の支払いを行うことが可能となる。
【0013】
即ち、上記のように構成された本発明の遊技装置の玉貸機は、第1振分け部に保持されたICコインが第1アンテナの読み取りによってビジターコインと識別されると、該ビジターコインに設定された情報を第2振分け部に保持されたビジターコインに付け替えた後、第1振分け部のビジターコインを保留通路に送出して保留する。従って、第1振分け部が開放状態となって他のICコインを投入することが可能となる一方、利用者は第2振分け部に保持されたビジターコインによって遊技媒体の払出し又は釣銭の支払いが可能となる。
【0014】
また、請求項1の発明において、利用者が他のICコインを玉貸機に投入すると、このICコインは上記のように開放された状態の第1振分け部に収納することが可能である。このICコインが第1振分け部で会員コインと識別されると、該会員コインを第1振分け部に保持した状態で該会員コインに関する情報を処理することによって、遊技媒体の払出し又は釣銭の支払いが可能となる。
【0015】
さらに、請求項2の発明においては、ビジターコインの識別及び処理構成は請求項1の発明と同様であるが、第1振分け部に収納されたICコインが会員コインと識別された場合の処理構成が請求項1の発明と異なるものである。即ち、第1振分け部に収納されたICコインが会員コインと識別されると、この会員コインを第1振分け部から返却通路へ送出することによって、第1振分け部を空にすると共に、会員コインを第2振分け部に保持した状態で会員コインの情報を処理する構成によって、常に第1振分け部に他のコインを受け入れ可能にし、第2振分け部で会員コインに関する情報を処理することによって、遊技媒体の払出し又は釣銭の支払いが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施例1は請求項1の発明に対応し、実施例2は請求項2の発明に対応するものである。
【0017】
また、これらの実施例に関する構造を示した図面として、図1(a)は実施例1と実施例2に共通する全体構成の内部側面状況を示すもので、図1(b)はその前面状況を示す図である。また、図2は実施例1に係るICコイン処理ユニット15にカバー40を設けた斜視図であって、第1アンテナ20と第2アンテナ22のそれぞれの扉19、21を開放状態にした図である。また、図3は実施例1に係るICコイン処理ユニット15の斜視図である。さらに、図4、図5は実施例2に係るICコイン処理ユニット15の斜視図であって、図3に示す第2振分け部14の上方近傍における保留通路13の一部及びICコイン払出通路35を切り欠くことによって、その背後に構成された会員コイン通路55、第2分けディスク16bの全体が見えるようにした図である。
【実施例1】
【0018】
図1(a)及び(b)を用いて本発明における玉貸機1の全体構造を説明する。玉貸機1の前面上部には紙幣挿入口2と硬貨投入口3が設けられている。紙幣挿入口2の内部には紙幣識別機4が設けられ、挿入された紙幣(1,000円、2,000円、5,000円、10,000円)が識別される。
【0019】
また、硬貨投入口3からは、100円硬貨又は500円硬貨のほかに、ICコインを投入することが可能である。本発明においては、ICコインとして、会員コインとビジターコインが使用することができる。各コインにはそれぞれのID番号が記録され、このID番号が後述する第1アンテナ20で読み取られ、該情報が後述する管理領域で識別されることによって、それが会員コインであるか、ビジターコインであるかが判別される。
【0020】
図1において、硬貨投入口3に投入された硬貨5は、玉貸機1の内部に設けられた投入通路7を経て、硬貨セレクター8を通過し、該硬貨セレクター8によって硬貨5の種別が判別される。即ち、硬貨セレクター8を通過した硬貨が、100円硬貨又は500円硬貨の正貨である場合、正貨通路9に移行され、その硬貨5による入金額分の貸玉が玉払出口10から不図示の上皿へ排出される。また、硬貨以外のICコイン等は非正貨通路11を経て第1振分け部12へ移行される。
【0021】
第1振分け部12は、図1に示すように、保留通路13と返却通路24に分岐され、保留通路13はその下方の第2振分け部14に連結され、さらに第2振分け部14はICコイン払出し通路35と回収通路53に分岐されている。
【0022】
次に、上記の第1振分け部12と第2振分け部14とを有するICコイン処理ユニット15の構造について図2を参照しながら詳細に述べる。なお、図2はICコイン処理ユニット15の各通路にカバー40を設けたものとして図示してある。
【0023】
図2のように非正貨通路11の下部に位置する第1振分け部12には不図示の電動モータによって回動する第1振分けディスク16aが設けられている。この第1振分けディスク16aには円板形の前面に回転軸17の近傍から周方向へ至るV字形の切欠凹部18が設けられ、この切欠凹部18が上方を向いた状態で、非正貨通路11から移動したICコインCを切欠凹部18に収納するようにしている。
【0024】
また、第1振分け部12には上部扉19が開閉自在に設けられ、この上部扉19を閉じた状態で第1振分けディスク16aの切欠凹部18に収容されているICコインCの情報を読み取るための第1アンテナ20が設けられている。この第1アンテナ20が、図3に示すように第1振分けディスク16aの切欠凹部18に収納されたICコインCのID番号を読み取った結果、そのICコインCがビジターコインBCであると識別した場合、後述する第2振分け部14における第2振分けディスク16bの切欠凹部18に予め保持されたビジターコインBCのID番号に対応する管理領域に残高を移動した後、第1振分け部12の第1振分けディスク16aを回動してビジターコインBCを保留通路13に移動して保留する。
【0025】
また、第1アンテナ20がICコインCのID番号を読み取った結果、そのICコインが会員コインMCであると識別した場合、図3に示すように第1振分けディスク16aの切欠凹部18に会員コインMCを保持した状態を保ち、第1アンテナ20で読み取った会員コインMCに関する情報が後述する管理領域に送られる。
【0026】
さらに、そのICコインが正規の硬貨ではなく、またビジターコインでも会員コインでもない場合、即ち偽貨である場合、第1振分けディスク16aは右方に回動して該偽貨を返却通路24に移動し、返却口25から排出する(図4参照)。
【0027】
一方、図3に示すように、第2振分け部14の第2振分けディスク16bは、ICコイン払出し通路35と回収通路53に分岐された通路において、円板形の側面に回転軸17の近傍から周方向へ至るV字形の切欠凹部18を有し、この切欠凹部18が上部を向いた状態で、該切欠凹部18にビジターコインBCを収納するようにしている。
【0028】
なお、この第2振分けディスク16bが不図示の電動モータによって回動する構造や、図2に示すように、下部扉21が開閉自在に設けられ、この下部扉21を閉じた状態で第2振分けディスク16bの切欠凹部18に収容されているビジターコインBC(図3参照)の情報を読み取るための第2アンテナ22(図2参照)が設けられていることは、上記の第1振分けディスク16aと同様の構成を有する。
【0029】
ところで、上記のようにICコインC(ビジターコインBC又は会員コインMC)には個々のコインを識別するためのID番号が記録され、第1アンテナ20で読み取られたICコインのID番号と第2アンテナ22で読み取られたICコインのID番号は、別途設けられた管理サーバ30の管理領域31に送信される。
【0030】
この管理サーバ30の管理領域31においては、上下部の各アンテナ20、22で読み取られたICコインC(ビジターコインBC又は会員コインMC)のID番号とそれに対応する残高を記憶及び管理する。即ち、図6に示すように、上記のように第1アンテナ20で読み取られた第1振分け部12におけるビジターコインBCのID番号を仮にC(ID:C)とし、第2アンテナ22で読み取られた第2振分け部14におけるビジターコインBCのID番号を仮にD(ID:D)とすると、ID番号Cの残高が仮に3,000円である場合、この残高をID番号Dの情報として変換する。また、ID番号を読み取れなかったときは、ビジターコインBCを回収通路53(図3参照)へ送出する。
【0031】
このような情報の置き換えによって、第2振分け部14のビジターコインBCに対応するID番号に残高として3,000円が記憶されると、第1振分け部12のビジターコインBCに対応するID番号には残高としてO円が記憶され、保留通路13に貯留されたビジターコインBCは管理領域31において全て0円として記憶されることになる。
【0032】
また、第2振分け部14におけるビジターコインBCは、図1(b)の返却スイッチ23をONすることで、第2振分け部14の第2振分けディスク16bが右方に回動することにより、ICコイン払出通路35を経て返却口25から返却される。
【0033】
なお、返却スイッチ23をONするのは、利用客が払出された貸玉によって遊技を終了した後であり、その貸玉の払出し分は差し引かれ、その残高がID番号DのビジターコインBCの情報として記憶される。
【0034】
図7に示すものは、複数の玉貸機1、1…と会員管理サーバ32及び管理サーバ30との接続状況であり、夫々の会員管理サーバ32と管理サーバ30には複数の管理領域31、31…が設けられ、玉貸機1の第1振分け部12の第1アンテナ20と第2振分け部14の第2アンテナ22から送信されたID番号を記憶すると共に、上記のような残高の変換を行い、その情報は管理サーバ30に接続された清算機33に送られ、この清算機33にビジターコインBCを投入することによって、そのコインのID番号に応じた残高を釣銭として現金で払出すものとしている。
【0035】
従って、本実施例の玉貸機においては、釣銭の管理及び実行は、玉貸機の側で行うのではなく、管理サーバ30の管理領域31にて、第2振分け部14のビジターコインBCに関するID番号に対応して記憶された残高に応じて釣銭の払出しを行うものである。
【0036】
ここで、図3に示す構造についてさらに説明すると、第1振分け部12にて読取りができなかった識別不良硬貨や識別不良ICコインは、第1振分けディスク16aを右側に回動することによって返却通路24へ移行させられ、該返却通路24を経て返却口25から返却される。
【0037】
また、図1(b)において、玉貸機1の前面に設けられた返却スイッチ23の左方には、玉貸機1の内部に詰まった硬貨又は偽貨を含むICコイン(ビジターコインBC又は会員コインMC)を返却するための返却ボタン27が設けられている。
【0038】
さらに、玉貸機1の前面には、貸玉数の減算表示を行う残玉回数表示28が設けられ、その下部には、高額紙幣、ICコイン(ビジターコインBC又は会員コインMC)の残高度数を表示するための残高・貯玉度数表示29が設けられ、さらにその下部にはICコイン(ビジターコインBC又は会員コインMC)の残高表示を切り替えるための表示切替スイッチ34が設けられている。
【0039】
また、その下部には、2000円以上の高額紙幣の受け付け可能時に点灯する高額使用可LED36が設けられ、その下部には後述する会員コインMCの受け付け可能時に点灯する貯玉使用可LED37が設けられている。
【0040】
また、その並びには、管理サーバ30における管理領域31においてICコインC(ビジターコインBC又は会員コインMC)の残高が有りのときにONすることによって、1000円分の玉貸しを行うための高額払出スイッチ38が設けられ、その下部には、会員コインMCを挿入した際に貯玉を払出すための貯玉払出スイッチ39が設けられている。
【0041】
さらに、玉貸機1の前面下部には、エラーコインを回収するときに使用する鍵41が設けられ、その下部にはICコイン(ビジターコインBC又は会員コインMC)或いは偽貨FC又は硬貨を返却する際の返却口25が設けられている。
【0042】
一方、図1(a)に示すように、玉貸機1の内部において、各装置を制御すると共に管理サーバ30と通信を行うための制御部43が設けられ、その下部には、制御部43と通信を行い、玉貸機1の玉払出数や売上状況を記憶したり管理するデータ収集部44が設けられている。
【0043】
ここで、図8により、玉貸機に現金を使用する場合のフローチャートについて説明すると、ステップA1において紙幣挿入口2に紙幣を挿入した場合、その金額が1000円以下である場合(ステップA2)、入金額分の貸玉が玉払出口10から排出される(ステップA3)。また、ステップA1において硬貨投入口3に硬貨を投入した場合、入金額分の貸玉が玉払出口10から排出される(ステップA3)。さらに、硬貨投入口3にICコインを投入した場合、後述する図9のフローチャートにおけるステップS1に移行する。
【0044】
また、硬貨投入口に1000円以上の硬貨を投入した場合と、紙幣挿入口2に紙幣を挿入した場合に、その入金額が第2振分け部14のビジターコインBCのID番号(このID番号をDとする)に対応する管理サーバ30の管理領域31に記憶される(ステップA4)。
【0045】
次いで、1000円分の玉貸しが行われ(ステップA5)、このときから利用客は遊技が可能となり、その金額を差し引いた金額が管理領域30のID番号Dに対する残高として更新される(ステップA5)。その結果、ステップA6において、残高が0円の場合、玉貸しは行われないが、残高がある場合、利用客はその残高を残高貯玉度数表示29に表示された利用可能残高表示によって確認することができる(ステップA7)。このとき、利用客がさらに貸玉を要求する場合、高額払出スイッチ38をONすることによって(ステップA8)、さらに1000円分の玉貸しが行われ、その金額を差し引いた金額が管理領域31のID番号Dに対する残高として更新される(ステップA5)。
【0046】
なお、このように、利用客は残高貯玉度数表示29によって利用可能残高を知り、さらに遊技を続行する場合、高額払出スイッチをONすることによって、1000円分の玉貸しが行われ、その都度、差し引き金額が管理領域のID番号Dに対する残高として更新される。
【0047】
一方、利用客が遊技を終了するとき、返却スイッチ23をONすると(ステップA9)、第2振分け部14から返却口25を経てビジターコインBCが払出される(ステップA10)。このように払出されたコインは上記のID番号DなるビジターコインBCであって、そのビジターコインBCを清算機33に投入すると、清算機33で読み取られたID番号DのビジターコインBCに対する残高が払い戻される。また、ステップA9にて利用客が遊技を続行する場合、返却スイッチをONすることなく、ステップA8に返って、高額払出スイッチをONすると、それ以降は上記と同様となる。
【0048】
また、玉貸機1のほうでは、次に第2振分け部14に入ったビジターコインBCのID番号に対応する残高が管理領域31に設定され(ステップA11)、上記と同様に利用客の利用に応じて残高が管理領域31に記憶される。
【0049】
以上説明したように、硬貨を使用する場合でも、紙幣を使用する場合でも、またICコインとしてビジターコインBCを使用する場合でも、その使用額に応じて遊技後の残高が払い戻されることになる。
【0050】
次いで、図9により、ビジターコインBCを使用する場合のフローチャートについて説明する。上記の硬貨投入口3にICコインCを投入したとき、図8のステップS1を経て、このICコインCは第1振分け部12に至り、ステップB1にてこの第1振分け部12でICコインのID番号が読み取られ、硬貨投入口3に投入されたICコインがビジターコインBCか会員コインMCかの識別が行われる(ステップB2)。その結果、硬貨投入口3に投入されたICコインが会員コインMCである場合、図10に示すステップS3に移行する。
【0051】
また、硬貨投入口3に投入されたICコインがビジターコインBCである場合、そのID番号が管理サーバ30の管理領域31に送られ、この管理領域30に記録されているビジターコインBCのID番号に対応する残高が残高貯玉度数表示29に表示される(ステップB3)。このとき、残高がある場合、その残高を第2振分け部14のビジターコインBCのID番号に対応する管理領域31に移動し(ステップB4)、第1振分け部12のビジターコインBCを保留通路13に移動して保留する(ステップB5)。
【0052】
それ以降は、図8のステップS2に移行し、利用客は残高貯玉度数表示29の利用可能残高表示によって残高を知り、遊技を続行する場合、高額払出スイッチ38をONすることによって、1000円分の玉貸しが行われ、その都度、差し引き金額が管理領域31のID番号Dに対する残高として更新される。また、遊技を終了するとき、返却スイッチ23をONすると、第2振分け部14から返却口25を経てビジターコインBCが排出され、そのビジターコインBCを清算機33に投入することによって、清算機33で読み取られたID番号DのビジターコインBCに対する残高が払い戻される。
【0053】
一方、図9のステップB3において、管理サーバ30の管理領域31に残高がない場合は、第1振分け部12のビジターコインBCを保留通路13に移動して保留することとなり(ステップB6)、それ以降は上記の操作を繰り返すこととなる。
【0054】
さらに、図10により、硬貨投入口3にICコインを投入して、そのコインが会員コインMCであると判断された場合のフローチャートについて説明する。即ち、硬貨投入口3にICコインCを投入したとき、図3に示すように第1振分け部12に収納されたICコインCのID番号が読み取られた結果、このICコインCが会員コインMCであると識別された場合、第1振分け部12は回動せず、会員コインMCは第1振分け部12の第1振分けディスク16aに保持されたままの状態となる(ステップC1)。
【0055】
また、これと同時に会員コインMCのID番号が読み取られ、その結果が会員管理サーバ32に送られると共に、その会員コインMCのID番号に対応する管理領域31に貯玉残数があるか否かが判別される(ステップC2)。また、貯玉残数がない場合は、ステップC7に到って会員コインMCが返却される。利用客はその残高を残高貯玉度数表示29に表示された利用可能残高表示によって確認することができる(ステップC3)。
【0056】
一方、利用客がさらに貸玉を要求する場合、貯玉払出スイッチ39をONすることによって(ステップC4)、一定数分の貯玉の払出しが行われると共に、その払出された貸玉を差し引いた貯玉数が管理領域31の会員コインMCのID番号に対する残数として更新される(ステップC5)。
【0057】
また、ステップC6において、利用客が遊技の終了によって貸玉を要求しない場合、返却スイッチ23をONすることによって、会員コインMCが返却されるが(ステップC7)、利用客が遊技を続行する場合は、上記のように貯玉払出スイッチ39をONすることによって(ステップC4)、上記と同様にステップC5に移行する。
【実施例2】
【0058】
この実施例の玉貸機は上記の実施例1と同様に、図1(a)又は(b)に示す全体構成を有するものである。また、ビジターコインBCの処理もまた、実施例1と同様の構成であり、実施例1と同様の図8のフローチャートによって処理される。ただし、本実施例は、会員コインに関する処理において、実施例1と異なる構成を有するものである。従って、この実施例においては、実施例1と相違する点についてだけ説明することとする。
【0059】
ここで、本実施例が案出された理由について述べると、上記の実施例1においては、硬貨投入口3にICコインを投入して、そのコインが会員コインMCであると判断された場合、第1振分け部12は回動せず、図3に示すように、会員コインMCは第1振分け部12の第1振分けディスク16aに保持されたままの状態となる。ところが、この状態では、識別不良硬貨や識別不良ICコインを投入されても、これらの硬貨或いはコインが非正貨通路11から下方に移動できないため、返却の処理に移行できないという不都合が生じる。
【0060】
本実施例は、このような不都合を解消するためになされたものである。そこで、上記の実施例1と異なる構成について説明する。図4に示すように、返却通路24の下部にはシャッター54が設けられている。このシャッター54は返却通路24の下部に形成された左方に下り勾配を有する横長の開口部54aに設けられ、第1振分け部12の第1振分けディスク16aに収納されたICコインを第1アンテナ20で読み取った結果により、このICコインが識別不良ICコイン(偽貨FC)であると識別した場合(図4参照)、返却通路24を開放する方向へシャッター54を引き込むように駆動し、このICコインが会員コインMCであると識別した場合(図5参照)、返却通路24を遮断する方向へシャッター54を突出するように駆動される。
【0061】
このように、そのICコインが正規の硬貨ではなく、またビジターコインでも会員コインでもない場合、即ち識別不良である偽貨FCである場合、第1振分け部12の第1振分けディスク16aは右方に回動して偽貨FCを返却通路24に送出するが、このとき返却通路24の下部に設けられたシャッター54が開放されることにより、この偽貨FCはそのまま返却通路24を通過し、返却口25から排出される。
【0062】
また、図5に示すように、シャッター54が第1アンテナ20による信号によって突出することにより返却通路24が遮断されると、この会員コインMCはシャッター54の上部にて左方へ送出されると共に分流部材58によって仕切られた会員コイン通路55を経て第2振分け部14に到る。
【0063】
第2振分け部14の第2振分けディスク16bは、ICコイン払出し通路35と回収通路53に分岐された通路において、円板形の前面に回転軸17の近傍から周方向へ至るV字形の切欠凹部18を有し、切欠凹部18が上方を向いた状態で、該切欠凹部18にICコインCを収納するようにしている(図3に示すような状態)。
【0064】
また、この第2振分け部14の第2振分けディスク16bには、図4に示すように、V字形の切欠凹部18の反対側の外周に沿って会員コイン用のICコインを収納するようにした会員コイン用切欠き凹部56が設けられている。従って、上記のように第1振分け部12の第1振分けディスク16aで右側に振り分けられたコインは返却通路24を経て、シャッター54で遮断された後、左方の分流部材58に送出され、第2振分け部14における第2振分けディスク16bの会員コイン用切欠き凹部56に収納される。
【0065】
一方、本実施例において、上記のように第1振分け部12の第1振分けディスク16aに保持されたICコインを右方に送出すると、第1振分け部12の第1振分けディスク16aは空の状態となって、次に投入されたコインを受け入れ可能となる。
【0066】
なお、識別不良硬貨や識別不良ICコインを投入した場合、第1振分け部12の第1振分けディスク16aにおいて第1アンテナ20で識別された結果、返却通路24を経て、開放状態にされたシャッター54を通過し、返却口25から排出される。
【0067】
なお、図4において、第2振分け部14における第2振分けディスク16bの会員コイン用切欠き凹部56の直上に設けられた傾斜状の複数のツメ57は会員コイン通路55の面上に形成された案内用の部材であり、図5に示すように、会員コインMCはツメ57に沿って円滑に第2振分けディスク16bの会員コイン用切欠き凹部56に収納される。
【0068】
上記の構成において、硬貨投入口3に硬貨等を投入した場合は、図8のフローチャートに従って処理され、また硬貨投入口3にICコインを投入して、そのコインがビジターコインBCであると判断された場合は、図9のフローチャートに従って処理されるが、本実施例において、硬貨投入口3にICコインを投入して、そのコインが会員コインMCであると判断された場合は、図11に示すフローチャートに従って処理される。
【0069】
即ち、図11において、貨投入口3にICコインを投入し、第1振分け部12に収納されたICコインCのID番号が読み取られた結果、会員コインMCであると判別された場合、本実施例においては、第1振分け部12が右方に回動すると共に、シャッター54が突出するため、返却通路24を落下した会員コインMCはシャッター54によって会員コイン通路55を経て第2振分け部14の第2振分けディスク16bに保持された状態となる(ステップC’1)。
【0070】
本実施例においては、会員コインMCが第2振分け部14の第2振分けディスク16bに保持された状態でID番号が読み取られ、それ以降は、実施例1の図10に示す処理がなされる。即ち、会員コインMCのID番号が読み取られ、その結果が会員管理サーバ32に送られると共に、その会員コインMCのID番号に対応する管理領域31に貯玉残数があるか否かが判別される(ステップC2)。また、貯玉残数がない場合は、ステップC7に到って会員コインMCが返却される。利用客はその残高を残高貯玉度数表示29に表示された利用可能残高表示によって確認することができる(ステップC3)。
【0071】
一方、利用客がさらに貸玉を要求する場合、貯玉払出スイッチ39をONすることによって(ステップC4)、一定数分の貯玉の払出しが行われると共に、その払出された貸玉を差し引いた貯玉数が管理領域31の会員コインMCのID番号に対する残数として更新される(ステップC5)。
【0072】
また、ステップC6において、利用客が遊技の終了によって貸玉を要求しない場合、返却スイッチ23をONすることによって、会員コインMCが返却されるが(ステップC7)、利用客が遊技を続行する場合は、上記のようにステップC4で貯玉払出スイッチ39をONすることによって上記と同様にステップC5に移行する。
【0073】
なお、ICコインにはID番号を付与し、残高は管理サーバ30に記憶させるものとして不正行為防止のための照合データの書き込みなどを併用すれば、ICコイン自体に残高を記憶するものとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、パチンコ台の台間玉貸機のような複雑な配線等を有する狭隘なスペースに設けられる玉貸機において、高額紙幣を始めとする各種紙幣、硬貨の他に、ICコインをビジターコインと会員コインに区別した形態による遊技媒体の払出し又は釣銭の支払いを可能とした遊技装置の玉貸機として利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】(a)は本発明に係る玉貸機の内部を示す側面図であり、(b)はその玉貸機の前面図である。
【図2】本発明の実施例1に係るICコイン処理ユニットにカバーを設けた斜視図である。
【図3】本発明の実施例1に係るICコイン処理ユニットの斜視図である。
【図4】本発明の実施例2に係るICコイン処理ユニットの斜視図(第2の振分け部の上方近傍の保留通路及びICコイン払出通路を一部切り欠いた状態)である。
【図5】本発明の実施例2に係るICコイン処理ユニットの斜視図(第2の振分け部の上方近傍の保留通路の一部及びICコイン払出通路を切り欠いた状態)である。
【図6】本発明に係る管理サーバの機能を説明するための概略図である。
【図7】本発明に係る複数の玉貸機と会員管理サーバ及び管理サーバとの接続状況を示すための概略図である。
【図8】本発明に係る玉貸機に現金を使用した場合のフローチャートである。
【図9】本発明に係る玉貸機にICコイン(ビジターコイン)を使用した場合のフローチャートである。
【図10】本発明の実施例1に係る玉貸機に会員コインを使用した場合のフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2に係る玉貸機に会員コインを使用した場合のフローチャートである。
【図12】特許文献1の遊技システムを示す構成図である。
【符号の説明】
【0076】
1…玉貸機
2…紙幣挿入口
3…硬貨投入口
4…紙幣識別機
5…硬貨
7…投入通路
8…硬貨セレクター
9…正貨通路
10…玉払出口
11…非正貨通路
12…第1振分け部
13…保留通路
14…第2振分け部
15…ICコイン処理ユニット
16a…第1振分けディスク
16b…第2振分けディスク
17…回転軸
18…切欠凹部
19…上部扉
20…第1アンテナ
21…下部扉
22…第2アンテナ
23…返却スイッチ
24…返却通路
25…返却口
26…エラーコイン収納部
27…返却ボタン
28…残玉回数表示
29…残高貯玉度数表示
30…管理サーバ
31…管理領域
32…会員管理サーバ
33…清算機
34…表示切替スイッチ
35…ICコイン払出通路
36…高額使用可LED
37…貯玉使用可LED
38…高額払出スイッチ
39…貯玉払出スイッチ
40…カバー
41…鍵
43…制御部
44…データ収集部
53…回収通路
54a…開口部
54…シャッター
55…会員コイン通路
56…会員コイン用切欠き凹部
57…ツメ
58…分流部材
C…ICコイン
BC…ビジターコイン
MC…会員コイン
FC…偽貨


【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉貸機の内部に投入されたICコインの情報を読み取るための第1アンテナを有する第1振分け部と第2アンテナを有する第2振分け部とが保留通路を介して設けられた遊技装置の玉貸機であって、前記第1振分け部は投入されたICコインを保留通路又は返却通路に送り出し可能に保持し、前記第1振分け部に保持されたICコインが前記第1アンテナの読み取りによってビジターコインと識別されると、該ビジターコインに設定された情報を第2振分け部に保持されたビジターコインに付け替えた後、前記第1振分け部のビジターコインを前記保留通路に送出して保留する一方、前記第1振分け部に保持されたICコインが会員コインと識別されると、該会員コインを前記第1振分け部に保持した状態で該会員コインに設定された情報を処理するようにしたことを特徴とする遊技装置の玉貸機。
【請求項2】
玉貸機の内部に投入されたICコインの情報を読み取るための第1アンテナを有する第1振分け部と第2アンテナを有する第2振分け部とが保留通路を介して設けられた遊技装置の玉貸機であって、前記第1振分け部は投入されたICコインを保留通路又は返却通路に送り出し可能に保持し、前記第1振分け部に保持されたICコインが前記第1アンテナの読み取りによってビジターコインと識別されると、該ビジターコインに設定された情報を第2振分け部に保持されたビジターコインに付け替えた後、前記第1振分け部のビジターコインを前記保留通路に送出して保留する一方、前記第1振分け部に保持されたICコインが会員コインと識別されると、該会員コインを前記返却通路へ送出して第2振分け部に案内すると共に、該会員コインを前記第2振分け部に保持した状態で前記会員コインの情報を処理するようにしたことを特徴とする遊技装置の玉貸機。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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