説明

遊星歯車駆動伝達装置、及び画像形成装置

【課題】従来の各回転体毎に駆動源と遊星歯車機構を設ける構成に比べ、小型で低コストな遊星歯車駆動伝達装置を提供する。
【解決手段】遊星歯車駆動伝達装置110の駆動源共用部112で、感光体駆動モータ106に接続された1段目遊星歯車減速機構150の出力軸として、1段目キャリア154と一体に構成された大小2つの外歯歯車を設けた。小さい側の外歯歯車は、第1の2段目遊星歯車機構160Mの入力軸となる2段目太陽歯車161Mであり、大きい側の外歯歯車は、第1中間歯車156Mである。この第1中間歯車156Mは、感光ドラム40Mに隣接する感光ドラム40Y,40Cにそれぞれ対応する第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cの入力軸となる2段目太陽歯車171Y,Cと一体かつ同軸に設けられた第2中間歯車157Y,Cにそれぞれ噛み合って、1段目遊星歯車減速機構150出力される回転駆動力を伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源からの回転駆動力を駆動対象が必要とする回転数に変速して伝達する遊星歯車駆動伝達装置、及びこの遊星歯車駆動伝達装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置では、回転する円筒状の潜像担持体である感光体ドラム等の表面に静電潜像を形成し、形成した静電潜像にトナーを付着させて現像する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、現像して得られたトナー画像を無端状のベルト体である中間転写ベルト等に1次転写し、さらに記録材であるシート等の表面上に2次転写し、その後、定着して記録紙等の表面上に画像形成している。
【0003】
また、このような画像形成装置では、感光体ドラムや、中間転写ベルト、転写搬送ベルト等のベルト部材を駆動する駆動ローラや、シート等を搬送するための搬送ローラなど、多くの回転体が使用されている。これらのような回転体の駆動には、一般に高い精度が要求されるので、駆動源からの回転駆動力を回転変動が少ない状態で、駆動対象の回転体まで伝達する機構が望まれる。特に、感光体ドラムや中間転写ベルト等の表面移動速度に速度変動が生じると、出力される画像上にジッタや濃度ムラが生じる。
【0004】
具体的には、感光体ドラムや中間転写ベルトにある周波数で速度変動が継続すると画像全体に周期的な濃度ムラが生じ、縞模様のバンディングとして目視される。また、感光体ドラムの速度変動は書き込み系の露光ラインの副走査位置ずれを発生させたり、感光体ドラムから中間転写ベルトへのトナー画像の1次転写時の副走査位置ずれを発生させたりもする。一方、中間転写ベルトの速度変動は、1次転写時と2次転写時の副走査位置ずれを発生させる。そして、これらのような速度変動に起因したバンディングにより、画像品質が著しく低下してしまう。
【0005】
このように高精度駆動が要求される感光体ドラムや中間転写ベルトの駆動伝達装置には、速度変動を抑制するため、高回転の駆動源からの回転駆動力を高減速比で伝達できる減速機構が用いられることが多い。一方、従来から画像形成装置の小型化が要求されており、一般的な外歯歯車の大口径歯車を用いた減速機構に比べ小型化可能な、遊星歯車減速機構やトラクション方式(摩擦伝達方式)の遊星減速機構を用いた画像形成装置が普及している。
【0006】
例えば、特許文献1には、次のようなトラクション方式の遊星減速機構を用いた画像形成装置が記載されている。複数の感光体ドラムを備え、フルカラーの画像形成が可能な画像形成装置において、各感光体ドラムにそれぞれ駆動源からの回転駆動力を伝達する駆動伝達装置として、トラクション方式の遊星減速機構を用いた画像形成装置である。この画像形成装置では、遊星減速機構内に感光体ドラム軸を、ボールベアリングで回転自在に支持させつつ突入させ、遊星減速機構の出力軸と一体的に構成している。感光体ドラム軸と遊星減速機構の出力軸とを一体的に構成することで、被回転体の回転軸である感光体ドラム軸とキャリアの出力軸との同軸性や真直性の誤差を排除できる。つまり、被回転体の回転軸と、遊星減速機構の出力軸とを別体で設けた場合の被回転体の回転速度変動の要因を排除できるというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたトラクション方式の遊星減速機構を用いた構成では、各部品の精度と、組み立て精度を全てミクロンオーダー迄高めて高精度化する必要があり、その製造コストが高くなってしまうとともに、量産向きでもない。さらに、複数の感光体ドラムを駆動するには、各感光体ドラム毎に駆動源であるモータ等と駆動伝達装置である遊星減速機とが必要であり、さらなる小型化が困難であるとともに、高価な装置になってしまうという問題があった。この問題は、特許文献1のように、駆動伝達装置にトラクション方式の遊星減速機構を用いた構成に限定される問題ではなく、トラクション方式の遊星減速機構に比べ低コストな遊星歯車減速機構を用いた構成でも同様な問題があった。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、従来の各回転体毎に駆動源と遊星歯車機構を設ける構成に比べ、小型で低コストな遊星歯車駆動伝達装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、駆動源の回転駆動力を遊星歯車機構を介して回転体に伝達する遊星歯車駆動伝達装置において、1つの駆動源から複数の回転体に回転駆動力を伝達する構成であり、前記駆動源の回転駆動力が直接入力される1段目遊星歯車機構と、前記1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を、それぞれ対応する回転体に伝達する複数の2段目遊星歯車機構とを備え、前記1段目遊星歯車機構の出力軸には、大小2つの外歯歯車を設けられており、小さい側の外歯歯車は、前記1段目遊星歯車機構の出力軸と同軸に設けられた第1回転体に、前記1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を伝達する、第1の2段目遊星歯車機構の入力軸となる第1の2段目太陽歯車であり、大きい側の外歯歯車は、前記第1回転体に隣接する第2回転体に対応する第2の2段目遊星歯車機構の入力軸となる第2の2段目太陽歯車と一体かつ同軸に設けられた外歯歯車である第2中間歯車に噛み合って前記1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を伝達する第1中間歯車であることを特徴とするものである。
本発明は、駆動源の回転駆動力が直接入力される1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を、第1の2段目遊星歯車機構を介して1段目遊星歯車機構の出力軸と同軸に設けられた第1回転体に伝達できる。また、第2回転体に対応する第2の2段目遊星歯車機構を介して第1回転体に隣接する第2回転体に伝達できる。つまり、1つの駆動源の回転駆動力が直接入力される1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を、複数の2段目遊星歯車機構で、それぞれ対応する回転体に伝達できる。よって、各回転体毎に駆動源と遊星歯車機構をそれぞれ独立して設ける必要がない。したがって、従来の各回転体毎に駆動源と遊星歯車機構とをそれぞれ独立して設ける構成に比べ、駆動源の数を減らすことができるとともに、遊星歯車機構の設置スペースも小さくすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、従来の各回転体毎に駆動源と遊星歯車機構とをそれぞれ独立して設ける構成に比べ、駆動源の数を減らすことができるとともに、遊星歯車機構の設置スペースも小さくすることができる。
よって、従来の各回転体毎に駆動源と遊星歯車機構とををそれぞれ独立して設ける構成に比べ、小型で低コストな遊星歯車駆動伝達装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図2】実施例1の遊星歯車駆動伝達装置の説明図。
【図3】黒に対応する感光体ドラムを単独駆動する単独駆動部の説明図。
【図4】単独駆動部に設けた遊星歯車減速機構の1段目のキャリアの断面説明図。
【図5】単独駆動部に設けた遊星歯車減速機構の2段目のキャリアの断面説明図。
【図6】単独駆動部に設けた遊星歯車減速機構の1段目のキャリアの斜視説明図。
【図7】単独駆動部に設けた遊星歯車減速機構の2段目のキャリアの斜視説明図。
【図8】感光体ドラムと遊星歯車駆動伝達装置との接続の態様の説明図。
【図9】実施例2の遊星歯車駆動伝達装置における駆動源共用部の説明図。
【図10】実施例3の遊星歯車駆動伝達装置における駆動源共用部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式のカラー複写機(以下、複写機500という)に適用した一実施形態について、複数の実施例を挙げ、図を用いて説明する。まず、各実施例に共通する本実施形態の複写機500の概要について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。
【0013】
図1において、符号100は複写機本体であり、符号200はそれを載せる給紙テーブルであり、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
【0014】
複写機本体100には、その中央に、像担持体としての中間転写体であるベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての第1支持ローラ14、第2支持ローラ15、第3支持ローラ16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。第2支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18が並べて配置されたタンデム画像形成部20が対向配置されている。本実施形態においては、第3支持ローラ16を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、潜像形成手段としての露光装置21が設けられている。
【0015】
また、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成部20の反対側には、第2の転写手段としての2次転写装置22が設けられている。この2次転写装置22においては、ローラ23aとローラ23bとの間に記録材搬送部材としてのベルトである2次転写ベルト24が掛け渡されている。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第3支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この2次転写装置22により、中間転写ベルト10上のトナー画像を記録材であるシートに転写する。また、この2次転写装置22の図中左方には、シート上に転写されたトナー画像を定着する定着装置25が設けられている。この定着装置25は、ベルト部材である定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。上述した2次転写装置22には、トナー画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて持たせることが難しくなる。また、本実施形態では、このような2次転写装置22及び定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28も設けられている。
【0016】
上記複写機500を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。又は、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第1走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0017】
この原稿読み取りに並行して、図示していない駆動源である中間転写ベルト駆動モータで、駆動ローラである第3支持ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って第1支持ローラ14と第2支持ローラ15とが連れ回り回転する。また、これと同時に、個々の画像形成部18Y,18M,18C,18Kにおいて潜像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを回転させ、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー画像(顕像)を形成する。そして、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0018】
このような画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。又は、手差し給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を転写する。画像転写後のシートは、2次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。又は、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、シートの裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0019】
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0020】
この複写機を用いて、黒のモノクロコピーをとることもできる。その場合には、図示しない手段により、中間転写ベルト10を感光体ドラム40Y,40M,40Cから離れるようにする。これらの感光体ドラム40Y,40M,40Cは、一時的に駆動を止めておく。黒用の感光体ドラム40Kのみが中間転写ベルト10に接触させ、画像の形成と転写を行う。
【0021】
次に本実施形態の特徴部である、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kに駆動源の回転駆動力を減速して伝達する遊星歯車駆動伝達装置110について、複数の実施例を挙げて説明する。
【0022】
(実施例1)
まず、本実施形態の第1の実施例である実施例1から図を用いて説明する。ここで、図2は、本実施例の遊星歯車駆動伝達装置110の説明図、図3は、黒に対応する感光体ドラム40Kを単独駆動する単独駆動部111の説明図である。図4は、単独駆動部111に設けた遊星歯車減速機構120の1段目の第1キャリア124の断面説明図、図5は、単独駆動部111に設けた遊星歯車減速機構120の2段目の第2キャリア127の断面説明図である。図6は、単独駆動部111に設けた遊星歯車減速機構120の1段目の第1キャリア124の斜視説明図、図7は、単独駆動部111に設けた遊星歯車減速機構120の2段目の第2キャリア127の斜視説明図である。図8は、感光体ドラム40Kと遊星歯車減速機構120との接続の態様の説明図である。
【0023】
図2に示すように、本実施例の遊星歯車駆動伝達装置110には、2つの感光体駆動モータ105,106が接続されている。そして、感光体駆動モータ105で感光体ドラム40Kを単独に回転駆動する単独駆動部111と、同一の感光体駆動モータ106で他の感光体ドラム40Y,40M,40Cを回転駆動する駆動源共用部112を備えている。単独駆動部111では、感光体駆動モータ105の回転駆動力を、2KH型2段構成の遊星歯車減速機構120を介して、利用頻度が高いモノクロの画像形成に用いる感光体ドラム40Kに伝達する。また、詳しくは後述するが、駆動源共用部112では、感光体駆動モータ106の回転駆動力を、1段目に1つ、2段目に各感光体に対応して3つ設けた遊星歯車減速機構を介して、カラー画像形成に用いる感光体ドラム40Y,40M,40Cに伝達する。
【0024】
まず、単独駆動部111から説明する。上述したように、単独駆動部111では、感光体ドラム40Kに感光体駆動モータ105の回転駆動力を伝達する遊星歯車減速機構120は、2KH型2段構成である。図3に示すように、感光体駆動モータ105のモータ出力軸107には、遊星歯車減速機構120の入力軸となる第1太陽歯車121が一体的に形成されている。この第1太陽歯車121及びモータブラケット130に固定された内歯歯車122に噛み合う1段目の遊星歯車である第1遊星歯車123が1段目のキャリアである第1キャリア124により支持されて第1太陽歯車121の外周を公転するようになっている。また、第1遊星歯車123は、回転バランスとトルク分担のために同心状に3箇所またはそれ以上の複数個が配置される。本実施例では、図4に示すように、周方向で3等分された位置にそれぞれ第1遊星歯車123を配置している。第1遊星歯車123は、第1太陽歯車121と内歯歯車122との噛み合いにより、自転及び公転回転し、第1遊星歯車123を支持する第1キャリア124は、第1太陽歯車121の回転に対し減速回転し、1段目の減速比が獲得される。
【0025】
次に、この第1キャリア124の回転中心に設けられた2段目の太陽歯車である第2太陽歯車125が2段目減速機構の入力となる。ここで、第1キャリア124に回転支持部はなく、浮動回転を行うようになっている。第2太陽歯車125には、2段目まで一体で形成された内歯歯車122に噛み合う2段目の遊星歯車である第2遊星歯車126が2段目のキャリアである第2キャリア127により支持されて第2太陽歯車125の外周を公転するようになっている。第2遊星歯車126の個数は、本実施例では、図5に示すように、周方向で4等分された位置にそれぞれ第2遊星歯車126が配置されている。最終段に相当する第2キャリア127には、出力軸128が設けられており、円筒軸内面にスプライン状の内歯形が形成されている。一方、感光体ドラム40Kに接続されるドラム軸41Kには、出力軸128の円筒軸内面のスプライン状の内歯に噛み合うように、スプライン状の外歯形が形成されており、入力部として用いられるスプライン部が設けられている。
【0026】
ここで、一般的な2KH型遊星歯車機構に用いられる一つのユニットは、太陽歯車(sun gear)、遊星歯車(planetary gear)、遊星歯車の公転運動を支持する遊星キャリア(planetary carrier)、内歯歯車(outer gear)の四点の部品から構成されている。太陽歯車の回転、遊星歯車の公転(キャリアの回転)、内歯歯車の回転である3つの要素のうち、一つを固定、一つを入力、一つを出力に接続する。それぞれ、どれを入出力・固定に割り当てるかによって、一つのユニットで複数の減速比や回転方向の切替えが可能である。本実施例において対象とする2KH型の2段構成は、複合遊星歯車機構(2個以上の2KH型)に分類され、2個以上の2KH型があり、それぞれ3つの要素のうち、1つの要素同士を結合し、残りの1つずつを固定し、残り2つを入力軸または出力軸とする機構である。内歯歯車を固定するタイプをプラネタリ型といい、太陽歯車を入力軸、キャリアを出力軸として、入力軸と出力軸の回転方向が同方向となる。
【0027】
減速比に関しては、太陽歯車の歯数をZa、遊星歯車の歯数をZb、内歯車の歯数をZcとした場合に、プラネタリ型1段遊星歯車機構は、次の数式1で表される。ここで、式中の添え字1,2は1段目、2段目を意味している。
プラネタリ型:
減速比=Za1/(Za1+Zc1) ・・・(数式1)
また、キャリアを固定するタイプをスター型といい、太陽歯車を入力軸、内歯歯車を出力軸として、入力軸と出力軸の回転方向が逆方向となる。スター型の減速比は次の数式2で表される。
スター型:
減速比=Za1/Zc1 ・・・(数式2)
以上のように、プラネタリ型の方が減速比が大きくなる。
【0028】
2段構成の遊星歯車機構の減速比は、1段目の減速比と2段目の減速比の積になる。図3に示した本実施例の2段構成の遊星歯車減速機構120では、1段目も2段目もプラネタリ型タイプであるので、減速比は、次の数式3で表される。
減速比=Za1/(Za1+Zc1)×Za2/(Za2+Zc2) ・・・(数式3)
【0029】
上述した感光体駆動モータ105のモータ出力軸107は、2個の軸受(不図示)を介してモータ固定フランジ132により支持されている。感光体駆動モータ105のモータ出力軸107を支持することで、DCブラシレスモータの回転子であるアウター型ロータを支持することになる。モータ固定フランジ132には、感光体駆動モータ105の固定子鉄心(不図示)やモータ駆動回路基板131等も設置されている。また、感光体駆動モータ105のモータ出力軸107には、一体的に第1太陽歯車121が歯切りで形成されている。そして、第1太陽歯車121の軸と内歯歯車122の軸との同軸精度を確保するために、内歯歯車122とモータ固定フランジ132はインローによる嵌め合わせで位置決めされている。さらに、モータ固定フランジ132はモータブラケット130とインローによる嵌め合わせで位置決めされている。
【0030】
内歯歯車122におけるモータ固定フランジ132と反対側の端部には、エンドキャップ129が固定されている。エンドキャップ129は、遊星歯車減速機構120をモータブラケット130に組付ける際に、内歯歯車122内に設置されている各遊星歯車、各キャリア、及び、出力軸128が内歯歯車122から脱落するのを防止するための部材として用いられている。エンドキャップ129と第2キャリア127に設けられた出力軸128には十分なクリアランスがあり、エンドキャップ129は第2キャリア127を回転支持しておらず、第2キャリア127が浮動回転を行うようになっている。
【0031】
図6、図7を用いて、本実施例のプラネタリ型タイプのキャリア形状について説明する。本実施例では図6、図7に示すように、両軸持ちのキャリアを使用している。一般的に、キャリアピンには、キャリアを回転させるためのラジアル荷重が発生する。そのため、片持ち構造のキャリアは、キャリアピンの傾斜が発生しやすく、回転伝達精度を悪化させてしまう。一方、両持ちキャリア構造ではキャリアピンの傾斜は発生しにくい利点がある。特に、キャリアの材質を樹脂した場合には、両軸持ち構造を採用することで高剛性化は顕著である。また、キャリアを樹脂で成形することは、射出成形によって低コストで大量生産が可能となる。
【0032】
まず、1段目のキャリアである第1キャリア124について詳細に説明する。図5に示すように、第1キャリア124は、第1遊星歯車123を支持する第1キャリアピン124dの両端部を第1キャリア側板124aと第1キャリア側板124bの2枚の側板で支持する構成である。第1キャリア124には、第1遊星歯車123が3個配置されており、第1キャリア側板124aと第1キャリア側板124bとは3本の第1キャリア支柱124cによって固定されている。第1遊星歯車123の公転回転が第1キャリア124全体の回転となり、第1キャリア側板124aの同軸上に一体で構成された第2太陽歯車125に回転が伝達される。また、2段目のキャリアである第2キャリア127について詳細に説明する。図7に示すように、第2キャリア127も第1キャリア124と同様の構成であるが、第2遊星歯車126と第2キャリア支柱127cの数が4個となっている。また第2キャリア127の第2キャリア側板127aの同軸上に一体で構成された出力軸128には、その円筒軸内面にスプライン状の内歯形が形成されている。
【0033】
次に、本実施例の各感光体ドラムを着脱可能に支持する構成について、図8を用いて説明する。ここで、感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kのドラム軸41Y、41M、41C、41Kは、略同一構成の2段目出力軸165M、175Y、175C、及び出力軸128Kにより回転駆動されるので、以下、感光体ドラム40Kと遊星歯車減速機構120について説明する。解説しないが、中間転写ベルト10の駆動ローラ等にも適用可能である。
【0034】
まず、感光体ドラムユニット140Kの構成から説明する。感光ドラム40Kの軸方向の端部には、後ドラムフランジ143Kと前ドラムフランジ142Kが固定されて、各ドラムフランジがドラム軸41Kに支持されている。後ドラムフランジ143Kはドラム軸41Kとセレーションカップリングで連結され、ドラム軸41Kが回転すると感光体ドラム40Kが同期して回転する。セレーションカップリングは、ドラム軸41K側に雄形状、後ドラムフランジ143K側に雌形状は設けられ、ドラム軸41K前側からテーパー形状となっている。感光体ドラム40Kを支持するユニットケース141K内には、感光体ドラム40Kと、図示していない帯電器2K、現像装置9K、クリーニング装置4K、除電ランプ等が収容されている。そして、ユニットケース141Kの後ろ側(図8中、右側)が、ドラム軸41Kに固定された軸受で支持されるとともに、後ドラムフランジ143Kもその軸受けで支持して、感光体ドラム40Kとユニットケース141Kが位置だしされている。また、前側(図8中、左側)は前ドラムフランジ142Kのボス部がユニットケース141Kと嵌め合わされ、回転自在になっている。ドラム軸41Kには、さらに本体後側板191と嵌合する部分にもう1個の軸受が設けられ、本体後側板191と位置出しされている。
【0035】
本体前側板190には、感光体ドラムユニット140Kを着脱するための切り欠き穴が設けられ、そこには面板144Kが固定されている。この面板144Kにドラム軸41Kの前側端部が軸受を介して回転自在に支持されている。感光体ドラムユニット140Kは面板144Kを取り外すことによって、着脱できるようになる。感光体ドラムユニット140Kが装着された時は、面板144Kに固定された軸受と前ドラムフランジ142Kのボス部の間に設けられた加圧バネ145Kによって、感光体ドラム40Kは、ドラム軸方向に加圧されて、テーパー状のセレーションカップリング部で回転方向とスラスト方向が位置決めされる。感光体ドラムユニット140Kは、ユニットケース141Kの後ろ側に設けられた2本の位置決めピン146Kが本体後側板の穴と嵌合して、回転方向の位置が決まる。
【0036】
次に、単独駆動部111における、遊星歯車減速機構120の取り付けについて説明する。本体後側板191にはスタッド133を介してモータブラケット130が取り付けられている。このモータブラケット130に遊星歯車減速機構120を支持するモータ固定フランジ132を固定して組み付けられる。遊星歯車減速機構120の位置だしは、モータ固定フランジ132に設けた穴に内歯歯車122を嵌め合わせて行う。また、遊星歯車減速機構120の取り付けは、モータブラケット130にモータ固定フランジ132を兼ねた構成としても良い。このように、遊星歯車減速機構120をモータブラケット130に取り付けることによって、内歯歯車122の出力側をフリーにして変形しやすく構成している。このように取り付けることで、1個の感光体ドラム40Kに対して、遊星歯車減速機構120と感光体駆動モータ105とを独立で配置して回転駆動する構成である。
【0037】
ここで、本実施例の遊星歯車駆動伝達装置110は、図2に示すように、感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kを備えた4連タンデム構成である。黒(K)に対応する感光体ドラム40Kは、図8を用いて説明したように、遊星歯車減速機構120と感光体駆動モータ105とが、他色とは独立で配置され、駆動する単独駆動部111を構成している。黒は単色で使用される頻度が高く、他の色を停止して使うことによって、他の色の無駄な回転がなくなり、他色の感光体ドラム40Y、40M、40Cの寿命を長く維持することができる。次に、他色の感光体ドラム40Y、40M、40Cを、1個の感光体駆動モータ106で回転駆動する駆動源共用部112の構成について説明する。
【0038】
図2に示すように、本実施例の駆動源共用部112では、3個並んでいる真ん中の感光体ドラム、つまり第1回転体である感光体ドラム40Mの同軸上に感光体駆動モータ106を設けている。感光体駆動モータ106はモータブラケット140に1段目の遊星歯車減速機構である1段目遊星歯車減速機構150の内歯歯車である1段目内歯歯車152とともに同軸精度を出して固定されている。モータブラケット180はスタッド183を介して駆動側板184に支持固定されている。駆動側板184は本体後側板191にスダッド185を介して支持固定されている。感光体駆動モータ106のモータ出力軸108に直接歯切りされた1段目の太陽歯車である1段目太陽歯車151が、1段目のキャリアである1段目キャリア154に1段目キャリアピン154dを介して回転自在に支持された3個の1段目遊星歯車153に噛み合い、1段目遊星歯車153は固定された1段目内歯歯車152に噛み合っている。
【0039】
入力の1段目太陽歯車151が回転すると、1段目遊星歯車153が自転しながら1段目太陽歯車151と1段目内歯歯車152に沿って公転する。その公転が1段目遊星歯車153を支持している1段目キャリア154の回転となり、1段目の出力回転となる。1段目キャリア154は、本実施例では第1中間歯車156Mと一体で構成されており、さらに1段目キャリア154と同軸上に配置された2段目の遊星歯車機構である第1の2段目遊星歯車機構160Mの入力となる2段目太陽歯車161Mとも一体で構成されている。第1中間歯車156Mは1段目内歯歯車152より大径になっており、同軸上にボス部を1段おいて2段目太陽歯車161Mが同軸上に設けられている。第1中間歯車156Mはボス部で軸受けを介して駆動側板184に回転自在に支持されている。軸受けはスベリ軸受けでボス部とは一定のすき間を設けられている。
【0040】
2段目太陽歯車161Mは、その回りに配置された4個の2段目遊星歯車163Mと噛み合っている。2段目遊星歯車163Mは固定された2段目キャリアピン164dMに回転自在に支持され、2段目太陽歯車161Mの回転によって自転のみする。2段目キャリアピン164dMは駆動側板184に固定支持されている。4個の2段目遊星歯車163Mの外側に2段目内歯歯車162Mが配置され、2段目遊星歯車163Mとの噛み合いで回転する。2段目内歯歯車162Mには同軸上にスプラインジョイント部を構成する2段目の出力軸である2段目出力軸165Mが設けられている。本実施例では、2段目出力軸165Mの円筒軸内面にスプライン状の内歯形が形成されている。この内歯形には、感光体ドラム40Mのドラム軸41Mに設けられた外歯形が挿入されて噛み合い、2段目内歯歯車162Mの回転がドラム軸41Mに駆動伝達されて、感光体ドラム40Mを回転駆動する。ここで、ドラム軸41Mは本体後側板191に玉軸受けを介して回転自在に支持されている。
【0041】
次に、感光体ドラム40Mと隣接する感光体ドラム40Y,40Cへの駆動伝達について説明する。第1中間歯車156Mには、第2の中間歯車である第2中間歯車157Yと第2中間歯車157Cとが噛み合っている。ここで、第2の2段目の遊星歯車機構である第2の2段目遊星歯車機構170Y,170Cは同一の構成なので、第2の2段目遊星歯車機構170Yについて説明する。第2中間歯車157Yは、第1中間歯車156Mと略同様の構成になっており、1段目のキャリアピンが設けられていないことと、構成する歯数が異なっている。第2中間歯車156Yも同軸上にボス部を1段おいて2段目太陽歯車171Yが同軸上に設けられている。第2中間歯車157Yはボス部で軸受けを介して駆動側板184に回転自在に支持されている。軸受けはスベリ軸受けでボス部とは一定のすき間を設けられている。
【0042】
2段目太陽歯車171Yは、その回りに配置された4個の2段目遊星歯車173Yと噛み合っている。2段目遊星歯車173Yは2段目キャリア174Yに固定された2段目キャリアピン174dYに回転自在に支持され、外側の2段目内歯歯車172Yとも噛み合っている。第1中間歯車156Mから駆動伝達された第2中間歯車157Yの回転、すなわち2段目太陽歯車171Yの回転が2段目遊星歯車173Yの自転とともに公転回転をさせ、その回転が2段目キャリア174Yの回転となって出力される。駆動側板184に固定された2段目内歯歯車172Yには2段目エンドキャップ179Yが嵌め込まれており、2段目キャリア174Yの同軸上に設けられたスプラインジョイント部を構成する2段目出力軸175Yを回転自在に支持している。また、2段目出力軸175Yと2段目エンドキャップ179Yとはすき間嵌め合いとなっている。2段目キャリア174Yに一体に設けられた2段目出力軸175Yの円筒軸内面にスプライン状の内歯形が形成されている。この内歯形には、感光体ドラム40Yのドラム軸41Yに設けられた外歯形が挿入されて噛み合い、2段目キャリア174Yの回転がドラム軸41Yに駆動伝達されて、感光体ドラム40Yを回転駆動する。ここで、ドラム軸41Yは本体後側板191に玉軸受けを介して回転自在に支持されている。
【0043】
上述したように、本実施例の遊星歯車駆動伝達装置110の駆動源共用部112では、感光体駆動モータ106に接続された1段目遊星歯車減速機構150の出力軸として、1段目キャリア154と一体に構成された大小2つの外歯歯車を設けている。小さい側の外歯歯車は、第1の2段目遊星歯車機構160Mの入力軸となる2段目太陽歯車161Mであり、大きい側の外歯歯車は、第1中間歯車156Mである。この第1中間歯車156Mは、感光ドラム40Mに隣接する感光ドラム40Y,40Cにそれぞれ対応する第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cの入力軸となる2段目太陽歯車171Y,Cと一体かつ同軸上に設けられた第2中間歯車157Y,Cにそれぞれ噛み合って、1段目遊星歯車減速機構150出力される回転駆動力を伝達できる。すなわち、1段目遊星歯車減速機構150から出力される回転駆動力を、第1の2段目遊星歯車機構160Mを介して1段目遊星歯車減速機構150の出力軸でもある2段目太陽歯車161Mと同軸に設けられた感光ドラム40Mに伝達できる。また、感光ドラム40Y,40Cに対応する第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cを介して感光ドラム40Mに隣接する感光ドラム40Y,40Cに伝達できる。
【0044】
つまり、1つの感光体駆動モータ106の回転駆動力が直接入力される1段目遊星歯車減速機構150の出力軸から出力される回転駆動力を、第1の2段目遊星歯車機構160M及び第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cで、それぞれ対応する感光ドラム40Y,40M,40Cに伝達できる。このように伝達できるので、3つの感光ドラム毎に感光体駆動モータと遊星歯車減速機構を独立に設ける必要がない。したがって、従来の各感光ドラム毎に感光体駆動モータと遊星歯車減速機構を独立に設ける構成に比べ、感光体駆動モータの数を減らすことができるとともに、遊星歯車減速機構の設置スペースも小さくすることができる。よって、従来の各感光ドラム毎に感光体駆動モータと遊星歯車減速機構を独立に設ける構成に比べ、小型で低コストな遊星歯車駆動伝達装置110を提供できる。
【0045】
また、感光体ドラム40Mと感光体ドラム40Yの回転方向は、それぞれ中間歯車をアイドラ歯車を介さないで直接噛み合わせ、構成部品を少なくして簡素化した構成としているので、各2段目の遊星歯車減速機構を同じ構成にすると、逆方向になってしまう。そこで、本実施例では、感光体駆動モータ106と同軸上に設けた第1の2段目遊星歯車機構160Mの2段目出力軸165Mの構成要素と、隣接する第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cの2段目出力軸175Y,Cの構成要素を異ならせて回転方向を揃えるようにしている。具体的には、第1の2段目遊星歯車機構160Mでは、2段目出力軸165Mを2段目内歯歯車162Mに一体に設ける構成とし、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cでは、2段目出力軸175Y,Cをそれぞれ2段目キャリア174Y,Cに一体に設ける構成とした。このように第1の2段目遊星歯車機構160Mの2段目出力軸165Mの構成要素と、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cの2段目出力軸175Y,Cの構成要素とを異ならせることで、構成部品を少なくした簡素化した構成で、感光体ドラム40Y,40M,40Cを同一方向に回転駆動することができる。
【0046】
また、本実施例では、1段目遊星歯車減速機構150の出力軸となる2段目太陽歯車161M及び第1中間歯車156Mは、1段目遊星歯車減速機構150の回転する1段目キャリア154に接続されている。そして、第1の2段目遊星歯車機構160Mの2段目出力軸165Mは、第1の2段目遊星歯車機構160Mの回転する2段目内歯歯車162Mに接続されている。また、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cの2段目出力軸175Y,Cは、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cの回転する2段目キャリア174Y,Cにそれぞれ接続されている。このように、駆動源共用部112を構成することで、構成部品を少なくした簡素化した構成で、感光体ドラム40Y,40M,40Cを同一方向に回転駆動することができる。
【0047】
また、本実施例では、感光体駆動モータ106から1段目遊星歯車減速機構150を介して回転駆動力が伝達される第1の2段目遊星歯車機構160M、及び第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cを、1枚の駆動側板184上に設けている。このように駆動側板184上に設けることで、第1の2段目遊星歯車機構160M、及び第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cを別々に保持する構成に比べ、保持する構成に必要な部材を少なくできるとともに、その設置スペースも小さくできる。よって、さらに小型で低コストな遊星歯車駆動伝達装置110を提供できる。
【0048】
減速比に関しては、太陽歯車の歯数をZa、遊星歯車の歯数をZb、内歯車の歯数をZc、中間歯車をZdとした場合、感光体ドラム40Mの減速比は、次の数式4で表される。ここで、式中の添え字1,2は1段目、2段目を意味している。
感光体ドラム40M:
減速比=Za1/(Za1+Zc1)×Za2m/Zc2m ・・・(数式4)
また、感光体ドラム40Yの減速比は、次の数式5で表される。
感光体ドラム40Y:
減速比=Za1/(Za1+Zc1)×Za2y/(Za2y+Zc2y)×Zdm/Zdy ・・・(数式5)
【0049】
感光体ドラム40Mと感光体ドラム40Yはドラム径を同じとすれば、回転数を揃える必要がある。しかし、感光体ドラム40Mと感光体ドラム40Yの各遊星歯車減速機構の歯数を同じにすると、減速比が異なるので回転数も異なってしまう。そこで、本実施例では、最も容易に減速比を揃える方法として、各中間歯車の歯数を変えることによって減速比を揃える調整をすることにした。本実施例の構成では、第1中間歯車156Mの歯数が第2中間歯車157Yの歯数より多くなる。
【0050】
このように、感光体駆動モータ106から1段目遊星歯車減速機構150を介した、第1の2段目遊星歯車機構160Mの2段目出力軸165Mまでの減速比と、第2の2段目遊星歯車機構170Yの2段目出力軸175Yまでの減速比とを、第1中間歯車156Mと噛み合う第2中間歯車157Yの歯数を変えて揃えることで、最も容易に減速比を揃えることができる。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、もちろん、各遊星歯車減速機構を構成する歯車の歯数を変えて調整してもかまわない。
【0051】
(実施例2)
次に、本実施形態の第2の実施例である実施例2を図を用いて説明する。図9は、本実施例の遊星歯車駆動伝達装置110における駆動源共用部112の説明図である。ここで、上述した実施例1と本実施例とでは、駆動源共用部112の1段目遊星歯車減速機構150の構成に係る点がのみ異なる。その他の構成・動作に関わる点は上述した実施例1の遊星歯車駆動伝達装置110と同様であるので、同様な点は適宜省略して説明する。また、各構成部材の符号についても、その機能に着目し、実施例1と同様な符号を用いている。
【0052】
本実施例の遊星歯車駆動伝達装置110は、上述したように、実施例1と駆動源共用部112の1段目遊星歯車減速機構150の構成に係る点がのみ異なるので、図9に、駆動源共用部112の構成のみを図示した。以下の説明でも、駆動源共用部112についてのみ説明する。本実施例は、図9に示すように、感光体駆動モータ106と同軸上に設けた1段目遊星歯車減速機構150の固定要素を、実施例1のように1段目内歯歯車152ではなく、1段目キャリア154とした例である。1段目キャリアピン154dがモータブラケット180に固定されて、1段目遊星歯車153を回転自在に支持している。この1段目遊星歯車153の外側に、回転可能な1段目内歯歯車152が配置されている。入力軸となるモータ出力軸108に歯切りされた1段目太陽歯車151が回転して、1段目遊星歯車153を介して1段目内歯歯車152が回転する。
【0053】
この1段目内歯歯車152は第1中間歯車156Mと同軸上に一体で構成されている。さらに同軸上に一体で設けられた2段目太陽歯車161Mとその回りに配置された2段目遊星歯車163Mと噛み合っている。2段目遊星歯車163Mは駆動側板184に固定された2段目キャリアピン164dMに回転自在に支持されている。また、2段目キャリアピン164dMの外側に回転可能な2段目内歯歯車162Mが配置され、2段目太陽歯車161Mの回転が2段目内歯歯車162Mの回転となって2段目出力軸165Mから出力される。この第1の2段目遊星歯車機構160Mの2段目出力軸165Mから感光ドラム40Mまでの駆動伝達の構成は、図8を用いて説明した実施例1と同様である。また、隣接する感光ドラム40Yと感光ドラム40Cにそれぞれ対応する第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cと、各感光ドラム40Y,40Cまでの駆動伝達の構成も図8を用いて説明した実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0054】
図2に示した実施例1の構成と、図9に示した本実施例の構成とで異なるのは、1段目遊星歯車減速機構150の出力軸の構成要素が、1段目キャリア154であるか1段目内歯歯車152であるかの違いである。回転方向については、1段目遊星歯車減速機構150の出力回転方向が、実施例1の構成と異なるが、2段目遊星歯車機構である第1の2段目遊星歯車機構160M、及び第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cによって回転方向を揃える構成は同じである。したがって、実施例1と同じ方向に各感光ドラム40Y,40M,40Cを回転させる場合には、感光体駆動モータ106の回転方向を実施例1の回転方向と逆方向に回転駆動すれば良い。
【0055】
このように本実施例では、1段目遊星歯車減速機構150の出力軸となる2段目太陽歯車161M及び第1中間歯車156Mは、1段目遊星歯車減速機構150の回転する1段目内歯歯車152に接続されている。そして、第1の2段目遊星歯車機構160Mの2段目出力軸165Mは、第1の2段目遊星歯車機構160Mの回転する2段目内歯歯車162Mに接続されている。また、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cの2段目出力軸175Y,Cは、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cの回転する2段目キャリア174Y,Cにそれぞれ接続されている。このように、駆動源共用部112を構成することで、構成部品を少なくした簡素化した構成で、感光体ドラム40Y,40M,40Cを同一方向に回転駆動することができる。
【0056】
また、減速比に関しては、太陽歯車の歯数をZa、遊星歯車の歯数をZb、内歯車の歯数をZc、中間歯車をZdとした場合、感光体ドラム40Mの減速比は、次の数式6で表される。ここで、式中の添え字1,2は1段目、2段目を意味している。
感光体ドラム40M:
減速比=Za1/Zc1×Za2m/Zc2m ・・・(数式6)
また、感光体ドラム40Yの減速比は、次の数式7で表される。
感光体ドラム40Y:
減速比=Za1/Zc1×Za2y/(Za2y+Zc2y)×Zdm/Zdy ・・・(数式7)
【0057】
また、本実施例でも、最も容易に減速比を揃える方法として、各中間歯車の歯数を変えることによって減速比を揃える調整をすることにした。本実施例の構成では、第1中間歯車156Mの歯数が第2中間歯車157Yの歯数より多くなる。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、もちろん、各遊星歯車減速機構を構成する歯車の歯数を変えて調整してもかまわない。
【0058】
(実施例3)
次に、本実施形態の第3の実施例である実施例3を図を用いて説明する。図10は、本実施例の遊星歯車駆動伝達装置110における駆動源共用部112の説明図である。ここで、上述した実施例1、2と本実施例とでは、駆動源共用部112の各段の遊星歯車減速機構の構成に係る点がのみ異なる。その他の構成・動作に関わる点は上述した実施例1、2の遊星歯車駆動伝達装置110と同様であるので、同様な点は適宜省略して説明する。また、各構成部材の符号についても、その機能に着目し、実施例1、2と同様な符号を用いている。
【0059】
本実施例の遊星歯車駆動伝達装置110は、上述したように、実施例1、2と駆動源共用部112の各段の遊星歯車減速機構に係る点がのみ異なるので、図10に、駆動源共用部112の構成のみを図示した。以下の説明でも、駆動源共用部112についてのみ説明する。本実施例は、感光体駆動モータ106と同軸上に設けた1段目遊星歯車減速機構150の固定要素を、実施例1と同じく1段目内歯歯車152とした例である。1段目遊星歯車減速機構150と第1中間歯車156Mとの接続の態様は、第1中間歯車156Mの径が異なるのみで、実施例1の説明に用いた図2に記載した態様と同様なので、その説明は省略する。
【0060】
まず、第1の2段目遊星歯車機構160Mについて説明する。本実施例では、図10に示すように、2段目内歯歯車162Mが2段目太陽歯車161Mと同軸精度を確保して駆動側板184に固定されている。固定された2段目内歯歯車162Mと2段目太陽歯車161Mとの同軸精度は駆動側板184に設けられた穴に嵌め合わせている軸受けに第1中間歯車156Mと一体に構成された2段目太陽歯車161Mと2段目内歯歯車162Mとが嵌め合わされ確保されている。2段目太陽歯車161Mは、2段目キャリア164Mに支持された2段目遊星歯車163Mと噛み合っており、2段目遊星歯車163Mは2段目内歯歯車162Mとも噛み合っている。そして、2段目太陽歯車161Mが回転すると2段目遊星歯車163Mが自転しながら、2段目太陽歯車161Mと2段目内歯歯車162Mの回りを公転し、その回転が2段目キャリア164Mの回転となり、2段目出力軸165Mから出力される。2段目キャリア164Mに一体に設けられた2段目出力軸165Mの円筒軸内面には、スプラインジョイント部を構成するの内歯形が形成されており、ドラム軸41Mに設けられた外歯形が挿入されて、ドラム軸41Mに第1の2段目遊星歯車機構160Mの出力が駆動伝達されて感光ドラム40Mが回転する。
【0061】
次に、隣接する第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cについて説明する。ここで、第2の2段目遊星歯車機構170Yと第2の2段目遊星歯車機構170Cとは、同様な構成であるので、以下、第2の2段目遊星歯車機構170Yについて説明する。第2中間歯車157Yの態様は、その径が異なるのみで、実施例1の説明に用いた図2、及び実施例2の説明に用いた同様なので、その説明は省略する。2段目太陽歯車171Yの回りに2段目遊星歯車173Yが配置されているが、2段目遊星歯車173Yを回転自在に支持する2段目キャリアピン174dYは、実施例1、2のように2段目キャリア174Yではなく、駆動側板184に固定されている。そして、2段目遊星歯車173Yの外側に回転可能な2段目内歯歯車172Yが噛み合って配置されている。2段目太陽歯車171Yが回転すると、2段目遊星歯車173Yをアイドラ歯車として回転可能な2段目内歯歯車172Yへ回転が伝達される。2段目内歯歯車172Yに一体に設けられた2段目出力軸175Yの円筒軸内面には、スプラインジョイント部を構成するの内歯形が形成されており、ドラム軸41Yに設けられた外歯形が挿入されて、ドラム軸41Yに第2の2段目遊星歯車機構170Yの出力が駆動伝達されて感光ドラム40Mが回転する。
【0062】
感光体ドラム40Mと感光体ドラム40Yの回転方向は、第1の2段目遊星歯車機構160Mにおける2段目出力軸165Mの構成要素を2段目キャリア164Mとし、第2の2段目遊星歯車機構170Yの2段目出力軸175Yの構成要素を2段目内歯歯車172Yにすることによって揃えている。
【0063】
このように本実施例では、1段目遊星歯車減速機構150の出力軸となる2段目太陽歯車161M及び第1中間歯車156Mは、1段目遊星歯車減速機構150の回転する1段目キャリア154に接続されている。そして、第1の2段目遊星歯車機構160Mの2段目出力軸165Mは、第1の2段目遊星歯車機構160Mの回転する2段目キャリア164Mに接続されている。また、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cの2段目出力軸175Y,Cは、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cの回転する2段目内歯歯車172Y,Cにそれぞれ接続されている。このように、駆動源共用部112を構成することで、構成部品を少なくした簡素化した構成で、感光体ドラム40Y,40M,40Cを同一方向に回転駆動することができる。
【0064】
また、減速比に関しては、太陽歯車の歯数をZa、遊星歯車の歯数をZb、内歯車の歯数をZc、中間歯車をZdとした場合、感光体ドラム40Mの減速比は、次の数式8で表される。ここで、式中の添え字1,2は1段目、2段目を意味している。
感光体ドラム40M:
減速比=Za1/(Za1+Zc1)×Za2m/(Za2m+Zc2m) ・・・(数式8)
また、感光体ドラム40Yの減速比は、次の数式9で表される。
感光体ドラム40Y:
減速比=Za1/(Za1+Zc1)×Za2y/Zc2y×Zdm/Zdy ・・・(数式9)
【0065】
また、本実施例でも、最も容易に減速比を揃える方法として、各中間歯車の歯数を変えることによって減速比を揃える調整をすることにした。本実施例の構成では、第1中間歯車156Mの歯数が第2中間歯車157Yの歯数より少なくなる。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、もちろん、遊星歯車機構を構成する歯車の歯数を変えて調整してもかまわない。
【0066】
以上、本実施形態の複写機500の説明では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18を設けた複写機500を例に説明したが、本発明はこのような構成の画像形成装置に限定されるものではない。例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3つの画像形成部を備えた画像形成装置にも適用可能である。また、レッド(R)、黒(K)の2つの画像形成部を備えた2色構成の画像形成装置にも適用可能である。
【0067】
また、本実施形態の複写機500のように、複数の感光体ドラム40の駆動装置として、各実施例で説明した遊星歯車駆動伝達装置110のいずれかを用いることで、従来の各感光ドラム毎に感光体駆動モータと遊星歯車減速機構を独立に設ける構成に比べ、小型で低コストな画像形成装置を提供できる。
【0068】
また、使用頻度の多い黒色の感光体ドラム40Kのみを独立駆動する構成とし、その他の色の感光体ドラム40Y,40M,40Cの駆動装置に、各実施例で説明した遊星歯車駆動伝達装置110における駆動源共用部112の構成のいずれかを用いることで、次のような効果も奏する。従来の各感光ドラム毎に感光体駆動モータと遊星歯車減速機構を独立に設ける構成に比べ、小型で低コストな画像形成装置を提供できる。加えて、モノクロの画像形成時に、他の色の感光体ドラム40Y,40M,40Cを回転駆動させる感光体駆動モータ106を停止させることができ、不要な感光体ドラム40Y,40M,40Cの回転駆動を避けることができる。したがって、省電力化できるとともに、感光体ドラム40Y,40M,40C、及びこれらの回転駆動に関わる構成部材の寿命も長く維持できる画像形成装置を提供できる。
【0069】
また、本実施形態の説明では、複写機500に用いる駆動源からの回転駆動力を減速して各感光体ドラム40に伝達する遊星歯車駆動伝達装置110について説明したが、本発明はこのような構成の遊星歯車駆動伝達装置、及びこれを備えた画像形成装置に限定されるものではない。例えば、複数の回転体に駆動源からの回転駆動力を増速して伝達する遊星歯車駆動伝達装置、及びこれを備えた画像形成装置にも適用できる。
【0070】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
感光体駆動モータ106などの駆動源の回転駆動力を遊星歯車減速機構などの遊星歯車機構を介して感光ドラムなどの回転体に伝達する遊星歯車駆動伝達装置110などの遊星歯車駆動伝達装置において、1つの駆動源から感光ドラム40Y,40M,40Cなどの複数の回転体に回転駆動力を伝達する構成であり、前記駆動源の回転駆動力が直接入力される1段目遊星歯車減速機構150などの1段目遊星歯車機構と、前記1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を、それぞれ対応する回転体に伝達する第1の2段目遊星歯車機構160Mや第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cなどの複数の2段目遊星歯車機構とを備え、前記1段目遊星歯車機構の出力軸には、大小2つの外歯歯車を設けられており、小さい側の外歯歯車は、前記1段目遊星歯車機構の出力軸と同軸に設けられた感光ドラム40Mなどの第1回転体に、前記1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を伝達する、第1の2段目遊星歯車機構160Mなどの第1の2段目遊星歯車機構の入力軸となる2段目太陽歯車161Mなどの第1の2段目太陽歯車であり、大きい側の外歯歯車は、前記第1回転体に隣接する感光ドラム40Y,40Cなどの第2回転体に対応する第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cなどの第2の2段目遊星歯車機構の入力軸となる2段目太陽歯車171Y,Cなどの第2の2段目太陽歯車と一体かつ同軸に設けられた外歯歯車である第2中間歯車157Y,Cなどの第2中間歯車に噛み合って前記1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を伝達する第1中間歯車156Mなどの第1中間歯車であることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、従来の各感光ドラム毎に感光体駆動モータと遊星歯車減速機構を独立に設ける構成に比べ、小型で低コストな遊星歯車駆動伝達装置110などの遊星歯車駆動伝達装置を提供できる。
(態様B)
(態様A)において、第1の2段目遊星歯車機構160Mなどの前記第1の2段目遊星歯車機構の2段目出力軸165Mなどの出力軸の構成要素と、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cなどの前記第2の2段目遊星歯車機構の2段目出力軸175Y,Cなどの出力軸の構成要素とを、異ならせたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、構成部品を少なくした簡素化した構成で、感光体ドラム40Y,40M,40Cなどの回転体を同一方向に回転駆動することができる。
(態様C)
(態様B)において、1段目遊星歯車減速機構150などの前記1段目遊星歯車機構の2段目太陽歯車161Mや第1中間歯車156Mなどの出力軸は、前記1段目遊星歯車機構の回転する1段目キャリア154などのキャリアに接続され、第1の2段目遊星歯車機構160Mなどの前記第1の2段目遊星歯車機構の2段目出力軸165Mなどの出力軸は、前記第1の2段目遊星歯車機構の回転する2段目内歯歯車162Mなどの内歯歯車に接続され、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cなどの前記第2の2段目遊星歯車機構における2段目出力軸175Y,Cなどの出力軸は、前記第2の2段目遊星歯車機構の回転する2段目キャリア174Y,Cなどのキャリアに接続されていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、構成部品を少なくした簡素化した構成で、感光体ドラム40Y,40M,40Cなどの回転体を同一方向に回転駆動することができる。
(態様D)
(態様B)において、1段目遊星歯車減速機構150などの前記1段目遊星歯車機構の2段目太陽歯車161Mや第1中間歯車156Mなどの出力軸は、前記1段目遊星歯車機構の回転する1段目内歯歯車152などの内歯歯車に接続され、第1の2段目遊星歯車機構160Mなどの前記第1の2段目遊星歯車機構の2段目出力軸165Mなどの出力軸は、前記第1の2段目遊星歯車機構の回転する2段目内歯歯車162Mなどの内歯歯車に接続され、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cなどの前記第2の2段目遊星歯車機構における2段目出力軸175Y,Cなどの出力軸は、前記第2の2段目遊星歯車機構の回転する2段目キャリア174Y,Cなどのキャリアに接続されていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例2について説明したように、構成部品を少なくした簡素化した構成で、感光体ドラム40Y,40M,40Cなどの回転体を同一方向に回転駆動することができる。
(態様E)
(態様B)において、1段目遊星歯車減速機構150などの前記1段目遊星歯車機構の2段目太陽歯車161Mや第1中間歯車156Mなどの出力軸は、前記1段目遊星歯車機構の回転する1段目キャリア154などのキャリアに接続され、第1の2段目遊星歯車機構160Mなどの前記第1の2段目遊星歯車機構の2段目出力軸165Mなどの出力軸は、前記第1の2段目遊星歯車機構の回転するに2段目キャリア164Mなどのキャリアに接続され、第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cなどの前記第2の2段目遊星歯車機構における2段目出力軸175Y,Cなどの出力軸は、前記第2の2段目遊星歯車機構の回転する2段目内歯歯車172Y,Cなどの内歯歯車に接続されていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例3について説明したように、構成部品を少なくした簡素化した構成で、感光体ドラム40Y,40M,40Cなどの回転体を同一方向に回転駆動することができる。
(態様F)
(態様A)乃至(態様E)のいずれかにおいて、感光体駆動モータ106などの前記駆動源から1段目遊星歯車減速機構150などの前記1段目遊星歯車機構を介した、第1の2段目遊星歯車機構160Mなどの前記第1の2段目遊星歯車機構の2段目出力軸165Mなどの出力軸までの減速比などの変速比と、第2の2段目遊星歯車機構170Yなどの前記第2の2段目遊星歯車機構の2段目出力軸175Yなどの出力軸までの減速比などの変速比とを、第1中間歯車156Mなどの前記第1中間歯車と噛み合う第2中間歯車157Yなどの前記第2中間歯車の歯数を変えて揃えることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、感光体駆動モータ106などの駆動源から1段目遊星歯車機構を介した、第1の2段目遊星歯車機構160Mなどの第1の2段目遊星歯車機構の2段目出力軸165Mなどの出力軸までの減速比などの変速比と、第2の2段目遊星歯車機構170Yなどの第2の2段目遊星歯車機構の2段目出力軸175Yなどの出力軸までの減速比などの変速比とを、最も容易に揃えることができる。
(態様G)
(態様A)乃至(態様F)のいずれかにおいて、感光体駆動モータ106などの1つの駆動源から回転駆動力が伝達される第1の2段目遊星歯車機構160Mや第2の2段目遊星歯車機構170Y,Cなどの複数の2段目遊星歯車機構を駆動側板184などの1枚の駆動側板上に設けたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、さらに小型で低コストな遊星歯車駆動伝達装置110を提供できる。
(態様H)
感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kなどの複数の感光体ドラムを備えた複写機500などの画像形成装置において、前記感光体ドラムの駆動装置に、(態様A)乃至(態様G)のいずれかの遊星歯車駆動伝達装置110などの遊星歯車駆動伝達装置を用いたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、従来の各感光ドラム毎に感光体駆動モータと遊星歯車減速機構を独立に設ける構成に比べ、小型で低コストな複写機500などの画像形成装置を提供できる。
(態様I)
感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kなどの複数色の感光体ドラムを備えた画像形成装置において、感光体ドラム40Kなどの使用頻度の多い黒色の感光体ドラムのみを独立駆動する構成とし、その他の色の感光体ドラム40Y,40M,40Cなどの感光体ドラムの駆動装置に、(態様A)乃至(態様G)のいずれかの遊星歯車駆動伝達装置110の駆動源共用部112などの遊星歯車駆動伝達装置を用いたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、従来の各感光ドラム毎に感光体駆動モータと遊星歯車減速機構を独立に設ける構成に比べ、小型で低コストな複写機500などの画像形成装置を提供できる。加えて、省電力化できるとともに、他色の感光体ドラム40Y,40M,40Cなどの感光体ドラム、及びこれらの回転駆動に関わる構成部材の寿命も長く維持できる画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0071】
2 帯電器
4 クリーニング装置
9 現像装置
10 中間転写ベルト
14 第一支持ローラ
15 第二支持ローラ
16 第三支持ローラ
17 中間転写ベルトクリーニング装置
18 画像形成部
20 タンデム画像形成部
21 露光装置
22 二次転写装置
23a,b ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第一走行体
34 第二走行体
35 結像レンズ
36 センサ
40 感光ドラム
41 ドラム軸
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 トレイ
52 分離ローラ
53 給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
100 複写機本体
105,106 感光体駆動モータ
107,108 モータ出力軸
110 遊星歯車駆動伝達装置
111 単独駆動部
112 駆動源共用部
120 遊星歯車減速機構
121 第1太陽歯車
122 内歯歯車
123 第1遊星歯車
124 第1キャリア
124a,b 第1キャリア側板
124c 第1キャリア支柱
124d 第1キャリアピン
125 第2太陽歯車
126 第2遊星歯車
127 第2キャリア
127a,b 第2キャリア側板
127c 第2キャリア支柱
127d 第2キャリアピン
128 出力軸
129 エンドキャップ
130 モータブラケット
132 モータ固定フランジ
140 感光体ドラムユニット
141 ユニットケース
142 前ドラムフランジ
143 後ドラムフランジ
144 面板
145 加圧バネ
146 位置決めピン
150 1段目遊星歯車減速機構
151 1段目太陽歯車
152 1段目内歯歯車
153 1段目遊星歯車
154 1段目キャリア
154d 1段目キャリアピン
156M 第1中間歯車
157Y,C 第2中間歯車
160M 第1の2段目遊星歯車機構
161M 2段目太陽歯車
162M 2段目内歯歯車
163M 2段目遊星歯車
164M 2段目キャリア
164dM 2段目キャリアピン
165M 2段目出力軸
169M 2段目エンドキャップ
170Y,C 第2の2段目遊星歯車機構
171Y 2段目太陽歯車
172Y,C 2段目内歯歯車
173Y 2段目遊星歯車
174Y,C 2段目キャリア
174dY 2段目キャリアピン
175Y,C 2段目出力軸
179Y 2段目エンドキャップ
180 モータブラケット
183、185 スタッド
184 駆動側板
190 本体前側板
191 本体後側板
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
500 複写機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特許第4360162号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の回転駆動力を遊星歯車機構を介して回転体に伝達する遊星歯車駆動伝達装置において、
1つの駆動源から複数の回転体に回転駆動力を伝達する構成であり、
前記駆動源の回転駆動力が直接入力される1段目遊星歯車機構と、前記1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を、それぞれ対応する回転体に伝達する複数の2段目遊星歯車機構とを備え、
前記1段目遊星歯車機構の出力軸には、大小2つの外歯歯車を設けられており、
小さい側の外歯歯車は、前記1段目遊星歯車機構の出力軸と同軸に設けられた第1回転体に、前記1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を伝達する、第1の2段目遊星歯車機構の入力軸となる第1の2段目太陽歯車であり、
大きい側の外歯歯車は、前記第1回転体に隣接する第2回転体に対応する第2の2段目遊星歯車機構の入力軸となる第2の2段目太陽歯車と一体かつ同軸に設けられた外歯歯車である第2中間歯車に噛み合って前記1段目遊星歯車機構の出力軸から出力される回転駆動力を伝達する第1中間歯車であることを特徴とする遊星歯車駆動伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遊星歯車駆動伝達装置において、
前記第1の2段目遊星歯車機構の出力軸の構成要素と、
前記第2の2段目遊星歯車機構の出力軸の構成要素とを、異ならせたことを特徴とする遊星歯車駆動伝達装置。
【請求項3】
請求項2に記載の遊星歯車駆動伝達装置において、
前記1段目遊星歯車機構の出力軸は、前記1段目遊星歯車機構の回転するキャリアに接続され、
前記第1の2段目遊星歯車機構の出力軸は、前記第1の2段目遊星歯車機構の回転する内歯歯車に接続され、
前記第2の2段目遊星歯車機構における出力軸は、前記第2の2段目遊星歯車機構の回転するキャリアに接続されていることを特徴とする遊星歯車駆動伝達装置。
【請求項4】
請求項2に記載の遊星歯車駆動伝達装置において、
前記1段目遊星歯車機構の出力軸は、前記1段目遊星歯車機構の回転する内歯歯車に接続され、
前記第1の2段目遊星歯車機構の出力軸は、前記第1の2段目遊星歯車機構の回転する内歯歯車に接続され、
前記第2の2段目遊星歯車機構における出力軸は、前記第2の2段目遊星歯車機構の回転するキャリアに接続されていることを特徴とする遊星歯車駆動伝達装置。
【請求項5】
請求項2に記載の遊星歯車駆動伝達装置において、
前記1段目遊星歯車機構の出力軸は、前記1段目遊星歯車機構の回転するキャリアに接続され、
前記第1の2段目遊星歯車機構の出力軸は、前記第1の2段目遊星歯車機構の回転するキャリアに接続され、
前記第2の2段目遊星歯車機構における出力軸は、前記第2の2段目遊星歯車機構の回転する内歯歯車に接続されていることを特徴とする遊星歯車駆動伝達装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の遊星歯車駆動伝達装置において、
前記駆動源から前記1段目遊星歯車機構を介した、前記第1の2段目遊星歯車機構の出力軸までの変速比と、前記第2の2段目遊星歯車機構の出力軸までの変速比とを、
前記第1中間歯車と噛み合う前記第2中間歯車の歯数を変えて揃えることを特徴とする遊星歯車駆動伝達装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載の遊星歯車駆動伝達装置において、
1つの駆動源から回転駆動力が伝達される複数の2段目遊星歯車機構を1枚の駆動側板上に設けたことを特徴とする遊星歯車駆動伝達装置。
【請求項8】
複数の感光体ドラムを備えた画像形成装置において、
前記感光体ドラムの駆動装置に、請求項1乃至7のいずれか一に記載の遊星歯車駆動伝達装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
複数色の感光体ドラムを備えた画像形成装置において、
使用頻度の多い黒色の感光体ドラムのみを独立駆動する構成とし、その他の色の感光体ドラムの駆動装置に、請求項1乃至7のいずれか一に記載の遊星歯車駆動伝達装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−57368(P2013−57368A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196078(P2011−196078)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】