説明

運動用シール

【課題】シールリップが内側部材に接触する構造の運動用シールにおいて、外側部材の回転速度が高速になっても回転トルク及びシールリップの摩耗量が増大することがなく、発熱量が大きくならない運動用シールを提供する。
【解決手段】内側部材IPの外周面よりも径方向外側に位置して回転する外側部材OPに取り付けられ、これらの間の環状開口を塞ぐ運動用シール11であって、芯金12の内周面12Aとシールリップ14との間に括れ部16を形成するとともに、シールリップ14を遠心力の軸方向分力が外側に作用する形状とし、運動用シール11を外側部材OPに取り付けた状態で、シールリップ14を内側部材IPに圧接させ、外側部材OPの回転速度が所定値を超えると、シールリップ14が遠心力により内側部材IPから離間するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内側部材の外周面よりも径方向外側に位置して回転する外側部材に取り付けられ、これら内側部材及び外側部材間の環状開口を塞ぐ、環状の芯金に弾性体を被覆して該弾性体の内周側端部をシールリップとし、該シールリップが内側部材に接触する構造の運動用シールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のオルタネータ及びエアコン等のエンジンまわりの補機は、エンジンのクランクと連結されたタイミングベルトによって駆動され、このタイミングベルトの張力調整及びレイアウトを自在に行うために、テンションプーリ及びアイドラプーリが使用される。そして、これらのプーリ用転がり軸受には、降雨時又は悪路等を考慮して、泥水又は塵埃等の異物が前記軸受の外輪及び内輪間へ侵入することを防止し得る耐水性及び耐ダスト性が要求される。
【0003】
前記転がり軸受には、前記耐水性及び耐ダスト性を有するとともに内部に封入されたグリース等の潤滑剤の漏洩を防止することができるように、環状の金属製芯金に合成ゴム等の弾性体を被覆して該弾性体の内周側端部をシールリップとした運動用シールである軸受用シールが、外輪及び内輪間の環状開口を塞ぐように外輪に取り付けられており、内周側(内輪側)の軸方向外側を非接触リップであるダストリップとし内周側の軸方向内側を接触リップとした非接触形と接触形との組合せ構造とすることにより、比較的低トルクでかつ耐水性及び耐ダスト性を高めるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
このような運動用シールにおいては、回転トルクの増大を抑制するために芯金の内周面とシールリップとの間の弾性体に括れ部が形成されるとともに、外輪回転によって発生する遠心力のバランスをとって、すなわちシールリップに生じる遠心力の軸方向分力を小さくしてシールリップの変位をなるべく小さくするように形状が定められる(例えば、特許文献1参照。)。
(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−4055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来のシールリップが内側部材に接触する構造の運動用シールは、弾性体に括れ部を形成していることから、シールリップ(接触リップ)を内輪に押圧した状態で剛性が小さい前記括れ部が主に変形するため、回転トルクを比較的小さくすることができる。
しかしながら、外輪(外側部材)の回転速度が変動しても遠心力の軸方向分力を小さくするように設計されているため、外輪の回転速度によらずに、シールリップが内輪(内側部材)に接触して摺動する状態が維持されるため、外輪の回転速度が高速になると、回転トルクが増大してシールリップの摩耗量が増大するとともに発熱量が大きくなるという問題点がある。
【0006】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、シールリップが内側部材に接触する構造の運動用シールにおいて、外側部材の回転速度が高速になっても回転トルク及びシールリップの摩耗量が増大することがなく、発熱量が大きくならない運動用シールを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る運動用シールは、前記課題解決のために、内側部材の外周面よりも径方向外側に位置して回転する外側部材に取り付けられ、これら内側部材及び外側部材間の環状開口を塞ぐ、環状の芯金に弾性体を被覆して該弾性体の内周側端部をシールリップとした運動用シールであって、前記芯金の内周面と前記シールリップとの間に括れ部を形成するとともに、前記シールリップを遠心力の軸方向分力が外側に作用する形状とし、前記運動用シールを前記外側部材に取り付けた状態で、前記シールリップを前記内側部材に圧接させ、前記外側部材の回転速度が所定値を超えると、前記シールリップが遠心力により前記内側部材から離間するものである。
【0008】
ここで、前記シールリップが前記内側部材から離間した際に前記シールリップを当止する当止部を前記弾性体に形成してなると好ましい。
【0009】
また、前記シールリップが前記内側部材から離間した際にラビリンスシール効果が得られるように前記内側部材に周溝又は段部を形成してなると好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る運動用シールによれば、内側部材の外周面よりも径方向外側に位置して回転する外側部材に取り付けられ、これら内側部材及び外側部材間の環状開口を塞ぐ、環状の芯金に弾性体を被覆して該弾性体の内周側端部をシールリップとした運動用シールであって、前記芯金の内周面と前記シールリップとの間に括れ部を形成するとともに、前記シールリップを遠心力の軸方向分力が外側に作用する形状とし、前記運動用シールを前記外側部材に取り付けた状態で、前記シールリップを前記内側部材に圧接させ、前記外側部材の回転速度が所定値を超えると、前記シールリップが遠心力により前記内側部材から離間するので、外側部材の回転速度が所定値を超えてシールリップが遠心力により内側部材から離間した状態では接触シールではなくなることから、この状態ではシールリップが内側部材に摺動することによる抵抗及びシールリップの摩耗がなくなるため、従来のシールリップが内側部材に接触する構造の運動用シールにおける、外側部材の回転速度が高速になった際に回転トルク及びシールリップの摩耗量が増大するとともに発熱量が増大するという問題を解消することができる。
【0011】
その上、外側部材の回転速度が所定値を超えない範囲、例えば回転速度が比較的低速である場合には接触シールとして確実に機能して密封することができるとともに、外側部材の回転速度が所定値を超えてシールリップが内側部材から離間した例えば回転速度が比較的高速である場合には、接触シールではなくなるものの、シールリップが内側部材から離間した状態でも非接触シールとして機能するとともにシールリップが比較的高速に回転しているため、内側部材及び外側部材間への異物の侵入並びに内側部材及び外側部材間からの潤滑剤の漏洩を抑制することができる。
【0012】
また、前記シールリップが前記内側部材から離間した際に前記シールリップを当止する当止部を前記弾性体に形成してなると、前記効果に加え、外側部材の回転速度が所定値を超えてシールリップが内側部材から離間した状態において、シールリップのばたつきを抑制してリップ千切れを防止することができるとともに非接触シールとしての機能を安定させることができる。
【0013】
さらに、前記シールリップが前記内側部材から離間した際にラビリンスシール効果が得られるように前記内側部材に周溝又は段部を形成してなると、遠心力により前記内側部材から離間した前記シールリップと前記周溝又は段部とによる非接触シールのラビリンス効果により、遠心力によりシールリップが内側部材から離間した際におけるシール性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るアキシャル接触タイプの運動用シールを装着した転がり軸受の断面図である。
【図2】同じく要部を拡大して示す断面図であり、(a)は低速回転状態を、(b)は高速回転状態を示している。
【図3】本発明の実施の形態に係るラジアル接触タイプの運動用シールを装着した転がり軸受の断面図である。
【図4】同じく要部を拡大して示す断面図であり、(a)は低速回転状態を、(b)は高速回転状態を示している。
【図5】本発明の実施の形態に係るラジアル接触タイプの運動用シールを装着したワンウェイクラッチの断面図である。
【図6】同じく要部を拡大して示す断面図であり高速回転状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。また、以下において、回転軸の軸芯方向を「軸方向」といい、回転半径方向を「径方向」という。なお、図1〜図6の断面図において、これら図面の見やすさを考慮して切断部端面の向う側に見える外形線の一部を省略し、一部を切断部端面図として示している。
【0016】
図1及び図2は、アキシャル接触タイプの運動用シール11を装着した転がり軸受1を示しており、転がり軸受1は、内側部材IPである内輪2と外側部材OPである外輪3とが、保持器4により保持された転動体5,…を介して相対的に回転するものであり、内輪2と外輪3との間には潤滑剤としてグリース10が封入され、転動体5,…の軸受幅方向左右には、内輪2と外輪3との間の環状開口A,Aを塞ぐ、正面視略円環状の運動用シール11、11が装着される。
なお、シール11は、図1に示すような転がり軸受1の両側を密封する両シールド形ではなく、使用箇所によっては転がり軸受1の片側だけを密封する片シールド形としてもよい。すなわち、シール11は、転がり軸受1の内輪2と外輪3との間の軸受幅方向左右の環状開口A,Aの少なくともどちらかに装着される。
【0017】
図2(a)に示すように、シール11は、鋼板等からなる環状の金属製芯金12の外周部と内周部に連続して合成ゴム等の弾性体13を加硫接着により被覆し、弾性体13の内周側端部をシールリップ14とし、外周側端部を外径装着部15としたものであり、内輪2の径方向に延びる側壁面8にシールリップ14の軸方向内側の接触リップ(主リップ)が圧接されることにより、軸受1内部に充填されたグリース10の漏洩を防止することができるとともに外部からの異物の浸入を防止することができ、シールリップ14の軸方向外側の非接触リップ(ダストリップ)が内輪2の外周面に形成されたシール溝とも呼ばれる周方向に延びる内輪周溝6外側の内輪2の外周面に微小隙間を挟んで対向するため、そのラビリンスシール効果により外部からの異物の浸入を減少させることができる。
また、外径装着部15を外輪3の内周面に形成された外輪周溝7に嵌着することにより、シール11が軸受1に対して位置決め固定されるとともに、シール11の外径部からの異物の浸入を防止することができる。
【0018】
ここで、弾性体13として使用するゴム材料としては、耐油性の良好なゴム素材として、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、エチレン・アクリルゴム(AEM)、フッ素ゴム(FKM、FPM)、シリコーンゴム(VQM)等のゴムから、1種、あるいは2種以上のゴムを適当にブレンドして使用することができる。
また、ゴム材料の練り加工性、加硫成形性、金属板との接着性を考慮した場合、他種のゴム、例えば、液状NBR、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等とブレンドして使用することも好ましい使用態様である。
【0019】
図2(a)に示すように、シール11を外輪3に取り付けた状態で、上述のとおりシールリップ14(接触リップ、主リップ)は内輪2(側壁面8)に圧接されるが、シール11の芯金12の内周面12Aとシールリップ14との間には括れ部16が形成されているため、シールリップ14を内輪2に押し付けても、剛性が小さい括れ部16が主に変形し、該括れ部16が内輪2及び外輪3等の各部品の形状精度等に起因する誤差を吸収して内輪2への追従性が向上するため、安定かつ確実な接触形シールを構成することができるとともに回転トルクの増大を抑制することができる。
【0020】
また、シールリップ14は、外輪3とともに回転した際に発生する遠心力の軸方向分力が外側に作用するように、シールリップ14の根元部(シールリップ14の括れ部16との連結部)よりも軸方向の外側に重心が位置する形状とされるため、外輪3の回転速度が速くなると遠心力によりシールリップ14を外側へ移動させる方向に作用する力が大きくなる。
よって、外輪3の回転速度が速くなるにしたがって、リップ反力が低下して摺動抵抗が小さくなるため、摩耗及び発熱を小さく抑えることができる。
ここで、括れ部16の厚み、シールリップ14の重心位置、質量及び形状等は、後述するシミュレーション等により、外輪3の回転速度が所定値を超えると、図2(b)に示すようにシールリップ14が内輪2から離間するように決定される。
【0021】
図2(b)のように外輪3の回転速度が所定値を超えてシールリップ14が遠心力により内輪2から離間した状態では接触シールではなくなることから、この状態ではシールリップ14が内輪2に摺動することによる抵抗及びシールリップ14の摩耗がなくなるため、従来のシールリップが内側部材に接触する構造の運動用シールにおける、外輪(外側部材)の回転速度が高速になった際に回転トルク及びシールリップの摩耗量が増大するとともに発熱量が増大するという問題を解消することができる。
また、図2(a)のように外輪3の回転速度が所定値を超えない範囲、例えば回転速度が比較的低速である場合には接触シールとして確実に機能して転がり軸受1を密封することができるとともに、図2(b)のように外輪3の回転速度が所定値を超えてシールリップ14が内輪2から離間した例えば回転速度が比較的高速である場合には、接触シールではなくなるものの、シールリップ14が内輪2から離間した状態でも非接触シールとして機能するとともにシールリップ14が比較的高速に回転しているため、内輪2及び外輪3間への異物の侵入並びに内輪2及び外輪3間からのグリース10の漏洩を抑制することができる。
その上、内輪2の外周面には周溝6が形成されているため、図2(b)のように遠心力により内輪2から離間したシールリップ14と周溝6とによる非接触シールのラビリンス効果により、遠心力によりシールリップ14が内輪2から離間した際におけるシール性能を向上することができる。
【0022】
外側部材OPである外輪3の回転速度の前記所定値は、サイズ、使用用途及び要求仕様等によって異なるため、運動用シール11の設計の際に、例えばFEM(Finite Element Method)解析等のシミュレーションにより決定することができ、例えば小径軸受では10000rpm〜20000rpm程度とし、自動車等に用いられる軸受で1000rpm〜2000rpm程度とする。
なお、従来の運動用シールのようにシールリップに生じる遠心力の軸方向分力を小さくしてシールリップの変位をなるべく小さくするように外輪3の回転によって発生する遠心力のバランスをとるようにする必要がないことから、綿密な設計をする必要がないため容易に設計することができるとともに、設計の自由度が高くなる。
また、弾性体13には、シールリップ14が内輪2から離間した際にシールリップ14を当止する当止部17が形成されているため、図2(b)のように外輪3の回転速度が所定値を超えてシールリップ14が内輪2から離間した状態において、シールリップ14のばたつきを抑制してリップ千切れを防止することができるとともに、非接触シールとしての機能を安定させることができる。
【0023】
図3及び図4は、ラジアル接触タイプの運動用シール11を装着した転がり軸受1を示しており、図1及び図2と同一符号は同一又は相当部分を示している。
図3及び図4の構成では、図1及び図2の二股状のシールリップ14と異なる形状のシールリップ14が、内側部材IPである内輪2の外周面9に圧接される。
【0024】
図3及び図4のシールリップ14も、図1及び図2のシールリップ14と同様に、外輪3とともに回転した際に発生する遠心力の軸方向分力が外側に作用するように、シールリップ14の根元部(シールリップ14の括れ部16との連結部)よりも軸方向の外側に重心が位置する形状とされ、図4(a)に示す低速回転状態から外輪3の回転速度が所定値を超えて図4(b)に示す高速回転状態になると、シールリップ14が内輪2から離間するように設計され、弾性体13には、シールリップ14が内輪2から離間した際にシールリップ14を当止する当止部17が形成されている。
また、内輪2の側壁面8及び外周面9により段部が形成されているため、図4(b)のように遠心力により内輪2から離間したシールリップ14と前記段部とにより非接触シールのラビリンス効果が生じる。
したがって、図3及び図4に示す運動用シール11の構成であっても、図1及び図2に示す運動用シール11と同様の作用効果を奏する。
【0025】
図5及び図6は、ラジアル接触タイプの運動用シール11を装着したワンウェイクラッチ18を示しており、図1〜図4と同一符号は同一又は相当部分を示している。
図5及び図6の構成では、転がり軸受1の内輪2に連結部材20が、外輪3に内側部材IPが取り付けられ、連結部材20に外側部材OPが取り付けられ、外側部材OPは内側部材IPの外周面よりも径方向外側に位置して回転するものであり、内側部材IPと外側部材OPとの間にクラッチ機構部19が収容される。
また、運動用シール11,11の外周側側面が連結部材20及び押え部材21により押さえられて位置決めされ、外側部材OPにシール11,11が取り付けられ、内側部材IP及び外側部材OP間の環状開口A,Aを塞いでおり、図1〜図4のシールリップ14と異なる形状のシールリップ14が、内側部材IPの外周面に圧接される。
よって、シール11,11により、内側部材IP及び外側部材OP間の環状開口A,A内への異物の侵入並びにクラッチ機構部19からの潤滑剤の漏洩を抑制することができる。
【0026】
図5及び図6のシールリップ14も、図1〜図4のシールリップ14と同様に、外側部材OPとともに回転した際に発生する遠心力の軸方向分力が外側に作用するように、シールリップ14の根元部(シールリップ14の括れ部16との連結部)よりも軸方向の外側に重心が位置する形状とされ、外側部材OPの回転速度が所定値を超えて図6に示す高速回転状態になると、シールリップ14が内側部材IPから離間するように設計され、弾性体13には、シールリップ14が内側部材IPから離間した際にシールリップ14を当止する当止部17が形成されている。
なお、図5及び図6に示す構成では、内側部材1Pの外周面に図1〜図4の構成のような周溝又は段部が形成されていないが、図5及び図6の構成においても、図1〜図4の構成のように、内側部材1Pの外周面に周溝又は段部を形成しておくことができ、このような構成によれば、図6のように遠心力により内側部材IPから離間したシールリップ14と前記周溝又は段部とによる非接触シールのラビリンス効果により、遠心力によりシールリップ14が内側部材IPから離間した際におけるシール性能を向上することができる。
したがって、図5及び図6に示す運動用シール11の構成であっても、図1〜図4に示す運動用シール11と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0027】
A 環状開口
IP 内側部材
OP 外側部材
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 保持器
5 転動体
6 内輪周溝
7 外輪周溝
8 側壁面
9 外周面
10 グリース
11 運動用シール
12 芯金
12A 内周面
13 弾性体
14 シールリップ
15 外径装着部
16 括れ部
17 当止部
18 ワンウェイクラッチ
19 クラッチ機構部
20 連結部材
21 押え部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側部材の外周面よりも径方向外側に位置して回転する外側部材に取り付けられ、これら内側部材及び外側部材間の環状開口を塞ぐ、環状の芯金に弾性体を被覆して該弾性体の内周側端部をシールリップとした運動用シールであって、
前記芯金の内周面と前記シールリップとの間に括れ部を形成するとともに、前記シールリップを遠心力の軸方向分力が外側に作用する形状とし、
前記運動用シールを前記外側部材に取り付けた状態で、前記シールリップを前記内側部材に圧接させ、
前記外側部材の回転速度が所定値を超えると、前記シールリップが遠心力により前記内側部材から離間することを特徴とする運動用シール。
【請求項2】
前記シールリップが前記内側部材から離間した際に前記シールリップを当止する当止部を前記弾性体に形成してなる請求項1記載の運動用シール。
【請求項3】
前記シールリップが前記内側部材から離間した際にラビリンスシール効果が得られるように前記内側部材に周溝又は段部を形成してなる請求項1記載の運動用シール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−265968(P2010−265968A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116861(P2009−116861)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】