説明

運搬用容器

【課題】 デザイン性を有する形状でありながら、保管時にかさばらず、且つ手提げ紐を把持して持ち運ぶ時に安定性良く運搬することが可能な運搬用容器を提供する。
【解決手段】 三角形の底板14の三辺それぞれに側板15a,15b,15cが連接されて三角柱状の収容部が形成され、所定の側板15aに収容部内側へ折り畳み得る縦の折り目15dが設けられ、縦の折り目に連続するように三角形底板の一辺から頂角Aまで延びる第一の折り目14a,14bが設けられ、三角形底板の二つの底角から第一の折り目の所定点で交差する第二及び第三の折り目14c,14dが設けられた。また三つの側板の上端部には、一対の手提げ紐16のそれぞれ一端16aを三角柱の頂角を挟んだ頂角近傍の両側に固定し、一対の手提げ紐のそれぞれ他端16bを縦の折り目を挟んで、ほぼ対象の位置に固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉢植えの植物、フラワーバスケット、ケーキ、酒などの物品を包装し、運搬するための運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等で購入した商品を持ち帰るため、合成樹脂フィルムからなる扁平な手提げ袋が使用されており、鉢植えの植物、フラワーバスケット、酒類も、この手提げ袋により持ち運びが行われている。
【0003】
合成樹脂フィルム製の手提げ袋は、収納する物に応じて形を変え得るものであるため、壊れ難い日用雑貨品のような物品の運搬には便利であるが、ケーキや植物等のように脆弱なものを運搬することには不向きである。
つまり、合成樹脂フィルム製の手提げ袋の底は不安定であるため、これに鉢植えの植物を入れて持ち運ぶ場合には、安定した収納状態を保つことができず、手提げ袋内にて鉢が傾くことがある。鉢部分は比較的壊れ難いものであるが、植物は傷つき易く、植物が傷んだり、折れる可能性が高い。
【0004】
また合成樹脂フィルム製の手提げ袋以外では、紙製の手提げ袋も使用されており、長方形の底板に側板が連接された角柱状の収容部を有するものが一般的である。このような角柱状の手提げ袋は、その形状がデザイン性に乏しく、他の手提げ袋との差別化が困難であるため、異なる形状の手提げ袋に対する潜在的な需要がある。しかしながら、デザイン性を重視して手提げ袋の形状を決めた場合には、折畳んで保管する時に、折り目がデザイン性を阻害したり、嵩張ってしまうという課題がある。また手提げ紐を付けたときのバランスも取り難くなるという課題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、デザイン性を有する形状でありながら、保管時にかさばらず、且つ折り目がデザイン性を阻害しないように折畳むことが可能な運搬用容器を提供することにある。
【0006】
本発明の別の課題は、デザイン性を有する形状でありながら、手提げ紐を把持して持ち運ぶ時に、安定性良く運搬することが可能な運搬用容器を提供することにある。
【0007】
また本発明の別の課題は、物品を安定性良く収容することができて、緩衝性がある運搬用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、三角形の底板の三辺それぞれに側板が連接されて三角柱状の収容部が形成され、所定の側板に収容部内側へ折り畳むための縦の折り目が設けられ、該縦の折り目に連続するように三角形底板の一辺から頂角まで延びる第一の折り目が設けられ、該三角形底板の二つの底角から第一の折り目の所定点で交差する第二及び第三の折り目が設けられたものである運搬用容器が提供される。
本発明の運搬用容器では、一つの側板に設けた縦の折り目を内側に折り込むと、この側板を挟むように他の二つの側板が折畳まれ、底板も、第一、第二及び第三の折り目の交差する点を頂点として内側に折り込まれるため、運搬用容器は三角柱状でありながら、保管時にかさばらないように折畳むことが可能になった。そして、運搬用容器に設けられた複数の折り目のうちで、使用時に外観に顕れるものは縦の折り目のみであり、他の折り目は底板に集中されて目立たないため、折り目によるデザイン性への悪影響を抑制することができる。
【0009】
本発明の運搬用容器では、前記三つの側板の上端部において、一対の手提げ紐のそれぞれ一端が三角柱の頂角を挟んだ頂角近傍の両側に固定され、該一対の手提げ紐のそれぞれ他端は前記縦の折り目を挟んで、ほぼ対象の位置に固定することが好ましい。このような配置で手提げ紐を取り付けることにより、収納物品の重量と手提げ紐からの力が、運搬用容器自体に作用した場合にも、三角柱形状の側板は比較的変形し難く、三角柱形状は保持されて、運搬用容器の内部に収納した物品を潰すことなく運搬することができる。
【0010】
本発明の運搬用容器では、前記収容部において物品が移動しないように固定する固定部材を前記底板上に配置し、該固定部材には物品を嵌め込むための嵌合部を形成することができる。このような運搬用容器において、物品を固定部材の嵌合部に嵌め込めば、物品を安定性良く収容することができて、運搬途中に物品が傷むことを防止できる。また運搬用容器では、固定部材が側板と物品との間に介在するため、緩衝材としても機能して衝撃から収容物を保護することができる。
【0011】
本発明の運搬用容器では、前記嵌合部を拡大可能なようにミシン目を前記固定部材に設けても良く、収容する物品の形状や寸法に応じ、ミシン目に沿って固定部材を破断すれば、嵌合部を容易に拡大することができる。
【0012】
なお、本発明の運搬用容器の素材は、ボール紙、薄手の段ボールなどの紙のほか、合成樹脂シート、プラスチック段ボールなど、折り目加工ができて、折り曲げ可能であれば適宜選択することができる。素材は、収容する物品に応じた緩衝性、剛性、防水性、耐水性が確保できるように適宜選択する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の運搬用容器は、デザイン性を有する形状でありながら、保管時に嵩張らず折畳みが可能であり、物品を安定性良く運搬することが可能で、或る程度の緩衝性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
本発明の運搬用容器10は、図1に示したように、三角柱状の容器本体部11の底に補強板12が配置され、この補強板12の上から固定部材13が配置されたものである。
なお、固定部材13は必要に応じて使用されるものであり、例えば、鉢植え等の物品を収納して運搬する場合には固定部材13が使用され、一方、運搬途中に傷つき難いものであれば固定部材13は使用されない。
【0015】
次に、図2は運搬用容器10の正面図、図3は背面図、図4は右側面図、図5は左側面図、図6は運搬用容器10を上から見下ろした平面図、図7は底面図である。
前記容器本体部11は、図1乃至図5に示したように、三角形の底板14の各辺に側板15a,15b,15cが連接されて三角柱状に形成され、側板15a〜15cで囲まれた内側に物品の収容部が形成され、側板15a〜15cの上端付近に一対の手提げ紐16が取付けられている。一対の手提げ紐16のそれぞれ一端16aが、三角柱の頂角Aを挟んだ両側に固定され、一対の手提げ紐16のそれぞれ他端16bが縦の折り目15dを挟んでほぼ対象の位置に固定される。これら一対の手提げ紐16の端部16b同士の間隔は、端部16a同士の間隔よりも若干広くなるように配置されている。このような配置で手提げ紐16を設けることにより、収納物品の重量と手提げ紐16からの力が、運搬用容器10自体に作用した場合にも、三角柱形状の側板は変形し難く、三角柱形状が保持されるため、運搬用容器の内部に収納した物品は潰れることなく、安定性良く運搬することが可能になる。
【0016】
側板15aには、図1及び図2に示したように、収容部内側へ折り畳まれるように縦の折り目15dがほぼ中央に設けられている。また底板14にも、図7に示したように折り目14a〜14dが設けられている。側板15aの縦の折り目15dと底板14の第一の折り目14aとは連続するように配置され、この第一の折り目14aは、さらに第一の折り目14bを介して頂角Aまで延長されている。第二及び第三の折り目14c,14dは二つの底角B,Cから、第一の折り目14a,14bの所定点(交点14e)まで延長されている。この交点14eは、底板14を図7のように正三角形とした場合、その重心に配置される。
【0017】
運搬用容器10を使用しないときには、図8に示したように、縦の折り目15dに沿って側板15aを内側に折り込めば、この側板15aを挟むように他の二つの側板15b,15cが折畳まれる。また底板14も、第一の折り目14aが、側板15aの折り目15dの裏側に接しながら折り込まれ、他の第一の折り目14b、第二折り目14c及び第三の折り目14dが交点14eを頂点とするように内側に折り込まれ、図8の斜視図に示したように平坦にすることができて、嵩張らずに保管することが可能になる。また運搬用容器10を使用するときは、容器本体部11の折り目14a〜14d,15dを延ばして拡大し、底板14上に補強板12を配置すれば、容器本体部11の立体形状を保持することができる。
【0018】
前記固定部材13は、図9の展開図に示したように、三角形の板体13aのほぼ中央に物品を収容する嵌合部としての穴13bが設けられ、この穴13bの外周に円状のミシン目13cが設けられている。ここでは、三角形板体13aとして円状ミシン目13cが一つのみ形成されたものを図示したが、必要に応じて同心円状に複数設けることも可能である。円状ミシン目13cは、これに沿って内周部分を取り除いて穴を拡大すれば、物品の大きさや形状に応じた微調整が可能である。
三角形板体13aの各辺には折り目13dを介して脚片13eが連接されており、これら脚片13eを折り目13dで略90度に折り返すことにより、図1のような立体形状にされ、これが容器本体部11の底板14上に配置される。脚片13eにより、三角形板体13aと容器本体部11の底板14との間には隙間が維持され、この空間により緩衝効果が得られる。また固定部材13において、物品すなわち鉢植え植物17は、図10の斜視図に示したように中央の穴13bに配置されるため、運搬用容器10内で移動しないように固定されると共に、側板15a〜15cとの間のクリアランスが保たれて、このクリアランスにより緩衝効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の運搬用容器の各構成を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の運搬用容器の正面図である。
【図3】本発明の運搬用容器の背面図である。
【図4】本発明の運搬用容器の右側面図である。
【図5】本発明の運搬用容器の左側面図である。
【図6】本発明の運搬用容器を上から見下ろした平面図である。
【図7】本発明の運搬用容器の底面図である。
【図8】容器本体部を折りたたんだときの斜視図である。
【図9】固定部材の展開図である。
【図10】本発明の運搬用容器に鉢植え植物を収容したときの斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
10 運搬用容器
11 容器本体部
12 補強板
13 固定部材
13b 穴(嵌合部)
13c 円状ミシン目
14 底板
14a 第一の折り目
14b 第一の折り目
14c 第二の折り目
14d 第三の折り目
15a〜15c 側板
15d 縦の折り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角形の底板の三辺それぞれに側板が連接されて三角柱状の収容部が形成され、所定の側板に収容部内側へ折り畳むための縦の折り目が設けられ、該縦の折り目に連続するように三角形底板の一辺から頂角まで延びる第一の折り目が設けられ、該三角形底板の二つの底角から第一の折り目の所定点で交差する第二及び第三の折り目が設けられたものである運搬用容器。
【請求項2】
前記三つの側板の上端部において、一対の手提げ紐のそれぞれ一端が三角柱の頂角を挟んだ頂角近傍の両側に固定され、該一対の手提げ紐のそれぞれ他端は前記縦の折り目を挟んで、ほぼ対象の位置に固定されたものである請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項3】
前記収容部において物品が移動しないように固定する固定部材が前記底板上に配置され、該固定部材には物品を嵌め込むための嵌合部が形成されたものである請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項4】
前記嵌合部を拡大可能なようにミシン目が前記固定部材に設けられた請求項3に記載の運搬用容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−69918(P2007−69918A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256215(P2005−256215)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(594002842)株式会社シモジマ (4)
【Fターム(参考)】