説明

運搬車両

【課題】前照灯による視認性の低下や眩惑を防止できる運搬車両を提供すること。
【解決手段】複数の車輪102に支持され走行可能に構成される荷台103と、その荷台103に連結される動力室104と、荷台103に対する上下方向の傾斜角度を調整可能に構成される運転室2とを備える運搬車両1において、運転室2の正面に配設される支持部材4により前照灯5が支持される。支持部材4は角度調整機構20により運転室2に対する上下方向の傾斜角度が調整されるので、運転室2を荷台103に対して上向きに傾斜させるときには、運転室2に対して支持部材4を下向きに傾斜させることができる。これにより前照灯5の光軸が上向きに傾けられることを防止することができ、前照灯5による視認性の低下や眩惑を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運搬車両に関し、特に前照灯による視認性の低下や眩惑を防止できる運搬車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラントや橋梁等の大型搬送物を運搬する運搬車両が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に開示される従来の運搬車両を、図4(a)及び図4(b)を参照して説明する。図4(a)は従来の運搬車両101の側面図であり、図4(b)は運搬車両101の動力室104及び運転室105の部分拡大図である。
【0003】
図4(a)に示すように、運搬車両(ユニットキャリア)101は、複数の車輪102に支持され大型搬送物(図示せず)が積載される荷台(キャリア)103と、その荷台103の一端側に連結される動力室(パワーユニット)104及び運転室(キャブ)105とを主に備えて構成されている。運転室105は、走行方向を指示する走行レバー等の運転用機器を備える運転席(図示せず)が内部に設けられている。運転室105に乗り込んだ運転者により運転用機器(図示せず)は操作される。動力室104は、内燃機関および油圧回路(図示せず)が搭載されており、内燃機関の駆動により油圧ポンプが駆動され、作動油を荷台103に供給可能に構成されている。荷台103は、作動油の油圧配管(図示せず)を備え、車輪102は、動力室104から供給される作動油により回転駆動されると共に、運転用機器(図示せず)の操作に応じて旋回方向を向くように駆動される。
【0004】
運搬車両101は、動力室104及び運転室105が荷台103から着脱可能とされ、大型搬送物(図示せず)の重量や形状に応じて複数の荷台103を連結できるように構成されている。その荷台103に動力室104及び運転室105を連結することにより、大型搬送物の重量や形状に応じた運搬車両101を編成できる。
【0005】
また、運搬車両101は、図4(a)に示すように、荷台103の長手方向に沿って動力室104及び運転室105が長く突き出しているため、路面Gに凹凸や障害物があると、動力室104及び運転室105の下面が路面Gの凹凸や傾斜、障害物等と接触してしまう。これを防止するため、図4(b)に示すように、動力室104及び運転室105の下面が路面Gの凹凸や傾斜、障害物等と接触しないように、動力室104及び運転室105は、荷台103に対する上下方向の傾斜角度を調整可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−115620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記従来の運搬車両101では、路面Gの凹凸や傾斜、障害物等を避けるため、動力室104及び運転室105の荷台103に対する上下方向の傾斜角度を調整して上向きに傾斜させると、運転室105の前面に前照灯106が埋め込まれているため、前照灯106の光Lも上向きに傾いてしまう。大型搬送物の輸送や据え付け、撤去等を夜間に行うときに前照灯106が上向きに傾けられると、視認性の低下や前照灯の光による眩惑が生じる問題点があった。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、前照灯による視認性の低下や眩惑を防止できる運搬車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1記載の運搬車両によれば、複数の車輪に支持され走行可能に構成される荷台と、その荷台に連結される動力室と、荷台に対する上下方向の傾斜角度を調整可能に構成される運転室とを備える運搬車両において、運転室の正面に配設される支持部材により前照灯が支持される。支持部材は角度調整機構により運転室に対する上下方向の傾斜角度が調整されるので、運転室を荷台に対して上向きに傾斜させるときには、運転室に対して支持部材を下向きに傾斜させることができる。これにより前照灯の光軸が上向きに傾けられることを防止することができ、前照灯による視認性の低下や眩惑を防止できる効果がある。
【0010】
請求項2記載の運搬車両によれば、運転室または支持部材に一端が揺動可能に固定される角度調整機構の伸縮部材の伸縮動作により、支持部材は運転室に配設される支軸を中心として傾動可能に着設されている。伸縮部材の伸縮動作(直線運動)により支軸を中心に支持部材が回動されるので、請求項1の効果に加え、角度調整機構の装置構成を簡素化できる効果がある。
【0011】
請求項3記載の運搬車両によれば、運転室に一端が連結されると共に他端側に伸縮部材の他端が連結される第1リンクが、伸縮部材の伸縮により傾動される。それに伴い、第1リンクに一端が連結されると共に他端が支持部材に連結される第2リンクが移動する。第1リンクの一端と他端側との間に第2リンクの一端が連結されているので、伸縮部材の伸縮量および伸縮速度に対して、支持部材の傾動角度および傾動速度を小さくすることができる。これにより請求項2の効果に加え、支持部材に支持される前照灯の光軸の傾斜角度を微調整可能にできる効果がある。
【0012】
請求項4記載の運搬車両によれば、運転室の正面に横設される支持部材により複数の前照灯が一括して支持される。角度調整機構により運転室に対する支持部材の上下方向の傾斜角度が調整されると、複数の前照灯の光軸の傾きが一括して調整される。これにより、前照灯の光軸の傾斜角度を調整する機構を前照灯ごとに設ける必要がないため、請求項1から3のいずれかの効果に加え、角度調整のための制御機構や装置構成を簡素化できる効果がある。
【0013】
請求項5記載の運搬車両によれば、支持部材は背面から正面に向けて窪み部が形成されているので、支持部材を軽量化できる。その結果、角度調整機構は小さな荷重を発生するもので足りるため、請求項1から4のいずれかの効果に加え、角度調整機構を簡素化できる効果がある。さらに、前照灯は窪み部から正面に亘って貫通形成される貫通孔に配設されるので、前照灯の交換は、支持部材の背面側から行うことができる。これにより前照灯の交換作業性を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態における運搬車両の運転室の側面図である。
【図2】運搬車両の運転室の正面図である。
【図3】(a)は図2のIIIa−IIIa線における支持部材の断面図であり、(b)は図2のIIIb−IIIb線における支持部材の断面図である。
【図4】(a)は従来の運搬車両の側面図であり、(b)は運搬車両の運転室及び動力室の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施の形態における運搬車両1について説明する。なお、従来の運搬車両101(図4参照)と同一の部分は、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図1は運搬車両1の運転室2の側面図であり、図2は運搬車両1の運転室2の正面図である。
【0016】
図1に示すように、運搬車両1の運転室2は、側面視して略L形の枠状に形成される台部3を備えている。台部3は運転室2の一部を構成する部材であり、台部3に運転室2が一体に形設されると共に、台部3を介して動力室104に連結される。支持部材4は、運転室2の正面(図1左方向)下部に配設され、前照灯5が配置されている。
【0017】
図2に示すように、支持部材4は、運転室2の正面に横設される横長の部材であり、正面の両端付近にそれぞれ貫通孔4aが形成され、その貫通孔4aの各々に前照灯5が配置されている。支持部材4の両端付近に2つの前照灯5が配置されるので、前照灯5による照射範囲を広げることができると共に、2つの前照灯5を支持部材4に一括して支持させることができる。
【0018】
次に図3(a)を参照して、支持部材4について説明する。図3(a)は図2のIIIa−IIIa線における支持部材4の断面図である。図3(a)に示すように、支持部材4は、板材の折曲および溶接により非中実状に形成されており、背面(図3(a)右方向)から正面に向けて窪み部4bが形成されている。支持部材4に窪み部4bが形成されることにより、支持部材4を中実状に形成する場合と比較して軽量化できる。なお、貫通孔4a(図2参照)は窪み部4bから正面(図3(a)左方向)に向かって貫通形成されている。
【0019】
軸受10は、台部3の前端部3aに固定される部材であり、その軸受10に支軸11が回動自在に軸支されている。固定部材12は板状に形成される部材であり、後方下部が支軸11に固定され、前端部が支持部材4の背部に固定されている。また、軸受10及び固定部材12は、図2に示すように、支持部材4の左右の端部付近に配設されている。これにより支持部材4は運転室2の正面に配設されると共に、支軸11を中心として回動可能にされる。
【0020】
次に図3(b)を参照して、角度調整機構20について説明する。図3(b)は図2のIIIb−IIIb線における支持部材4の断面図である。なお、図3(b)において、伸縮部材21のロッド21aを縮退したときの角度調整機構20の移動位置を実線により図示し、ロッド21aを伸長したときの角度調整機構20の移動位置を二点鎖線により図示する。
【0021】
角度調整機構20は、支持部材4の運転室2に対する上下方向の傾斜角度を調整する機構であり、図3(b)に示すように、伸縮可能に構成される伸縮部材21を備え、伸縮部材21の伸縮動作(直線運動)を支持部材4の回動運動に変換する機構である。
【0022】
本実施の形態では、伸縮部材21は、油圧給排源と一体に形成された電動油圧シリンダにより構成される。油圧給排源と一体に形成された電動油圧シリンダは、油圧配管やエア配管との連結等の付帯工事を不要にできると共に、油圧配管等を設置するスペースも不要にできる。これにより角度調整機構20をコンパクト化できる。また、油圧給排源と一体に形成された電動油圧シリンダは出力を大きくできるため、角度調整機構20の動作の安定性を向上できる。
【0023】
伸縮部材21は、台部3の上面に立設される第1立設部3bに一端がピン22により回動可能に連結され、正面(図3(b)左方向)斜め上方に向かってロッド21aが伸長される。第1リンク23は、前端部3a付近で第1立設部3bより前方(図3(b)左方向)の台部3の上面に立設される第2立設部3cに、一端がピン24により揺動可能に連結される部材であり、他端側にロッド21aの先端(伸縮部材21の他端)がピン25により回動可能に連結される。
【0024】
ジョイント26は、ピン24とピン25との間の第1リンク23に回動可能に連結される部材であり、第2リンク27の一端が連結される。第2リンク27は、ジョイント26により一端が第1リンク23と回動自在に連結される部材であり、他端側が正面(図3(b)左方向)に向かって配置される。第2リンク27は、支持部材4の窪み部4bの上面から垂設される垂設部4cに一端がピン28により回動可能に連結される。
【0025】
次に、以上のように構成される角度調整機構20の動作について説明する。伸縮部材21を駆動してロッド21aを伸長させると、第1リンク23がピン24を中心として前方へ傾動され、傾動される第1リンク23により第2リンク27が前方(図3(b)左方向)へ押し出される。第2リンク27が連結されるピン28は支軸11(図3(a)参照)より高い位置に配設されており、第2リンク27は、ピン28を介して支軸11を中心として支持部材4を回動(図3(b)反時計回り)させる力を与える。これにより支持部材4は運転室2(台部3)に対して下方向に傾動される。その結果、支持部材4に支持される前照灯5(図2参照)の光軸を下向きに傾けることができる。
【0026】
また、伸縮部材21を駆動してロッド21aを縮退させると、第1リンク23がピン24を中心として後方(図3(b)右方向)へ傾動され、傾動される第1リンク23により第2リンク27が後方へ引き寄せられる。第2リンク27は、ピン28を介して支軸11を中心として支持部材4を回動(図3(b)時計回り)させる力を与える。これにより支持部材4は運転室2(台部3)に対して上方向に傾動される。その結果、支持部材4に支持される前照灯5の光軸を上向きに傾けることができる。
【0027】
なお、本実施の形態では、第2リンク27は、ジョイント26とピン28との間の長さを調整可能に構成されている。これにより、第2リンク27の長さを調整することで、伸縮部材21のロッド21aを縮退させたときの定常位置における支持部材4の傾斜角度を調整することができる。
【0028】
以上説明したように本実施の形態によれば、運転室2の正面に配設される支持部材4により前照灯5が支持され、支持部材4は角度調整機構20により運転室2に対する上下方向の傾斜角度が調整される。これにより運転室2を荷台103(図4(b)参照)に対して上向きに傾斜させるときには、角度調整機構20により運転室2に対して支持部材4を下向きに傾斜させることができる。その結果、運転室2の上向きの傾斜につれて前照灯5の光軸が上向きに傾けられることを防止でき、前照灯5による視認性の低下や眩惑を防止できる。
【0029】
また、運転室2の正面に横設される支持部材4により複数の前照灯5が一括して支持されるので、角度調整機構20により運転室2に対する支持部材4の上下方向の傾斜角度が調整されると、複数の前照灯5の光軸の傾きも一括して調整される。これにより、前照灯5の光軸の傾斜角度を調整する機構を前照灯5ごとに設ける必要がないため、角度調整のための制御機構や装置構成を簡素化できる。
【0030】
また、窪み部4bを形成することで支持部材4を軽量化できるため、角度調整機構20は小さな荷重を発生するもので足りる。その結果、角度調整機構20を簡素化できる。さらに、前照灯5は窪み部4bから正面に亘って貫通形成される貫通孔4aに配設されるので、角度調整機構20により支持部材4を下向きに傾動させ、支持部材4の上縁と運転室2との間に隙間を設けた後、支持部材4の背面側の窪み部4bから前照灯5の交換を行うことができる。これにより前照灯5の交換作業性を向上できる。
【0031】
また、運転室2に一端が揺動可能に固定される伸縮部材21の伸縮動作により、支持部材4は運転室2に配設される支軸11を中心として回動される。伸縮部材21の伸縮動作(直線運動)により支軸11を中心に支持部材4が回動されるので、角度調整機構20の装置構成を簡素化できる。また、装置構成が簡素化されることにより、信頼性と耐久性を向上させることができる。
【0032】
また、第1リンク23は、運転室2に一端がピン24で連結されると共に、他端側に伸縮部材21の他端(ロッド21aの先端)がピン25で連結される。第1リンク23は伸縮部材21の伸縮により傾動される。第2リンク27は、第1リンク23に一端がジョイント26で連結されるので、第1リンク23の傾動に伴い移動する。第2リンク27は、他端が支持部材4にピン28で連結されるので、第1リンク23の傾動に伴い、第2リンク27により支持部材4を移動させることができる。第1リンク23の一端(ピン24)と他端(ピン25)側との間に第2リンク27の一端がジョイント26で連結されているので、ピン25の移動量および移動速度に対して、ジョイント26の移動量および移動速度を小さくすることができる。これにより伸縮部材21の伸縮量および伸縮速度に対して、支持部材4の傾動角度および傾動速度を小さくすることができる。その結果、支持部材4に支持される前照灯5の光軸の傾斜角度を微調整可能にできる。
【0033】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値(例えば車輪102や前照灯5の数)は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0034】
上記実施の形態では、運搬車両1は、動力室104により作動油が荷台103に供給され、その作動油により車輪102が回転駆動される場合について説明したが、運搬車両1を、油圧により作動されるものに限るものではなく、例えば、動力室104により電力を荷台103に供給し、電力により車輪102が回転駆動される運搬車両に適用することは当然可能である。
【0035】
上記実施の形態では、運転室2と動力室104とが別体に形成され動力室104を介して運転室2が荷台103に連結される運搬車両1について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の態様とすることは当然可能である。他の態様としては、例えば、動力室104が運転室2と一体に連結形成されその運転室2が荷台103に連結される運搬車両、運転室2と動力室104とが別体に形成され動力室104及び運転室2がそれぞれ荷台103に連結される運搬車両、動力室104が荷台103と一体に連結形成されその荷台103に運転室2が連結される運搬車両が挙げられる。
【0036】
上記実施の形態における運搬車両1は、荷台103に対する運転室2の傾斜角度を検出する検出装置を備え、その検出装置により検出される傾斜角度に応じて、角度調整機構20による支持部材4の傾斜角度を自動的に調整する機構とすることが可能である。また、運転室2に対する支持部材4の傾斜角度を、操作者により、任意に調整できる機構とすることも可能である。操作者により支持部材4の傾斜角度を任意に調整できる機構とすることにより、搬送物の輸送や据え付け、撤去等の作業を夜間に行うときに、荷台103に対する運転室2の傾斜角度とは無関係に前照灯5を用いて作業現場を照らすことができるため好適である。
【0037】
上記実施の形態では、支持部材4は、板材の折曲および溶接により形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の方法により形成されることは当然可能である。他の方法としては、例えば、合成樹脂の一体成形によるものが挙げられる。この場合は、成形型により貫通孔4a及び窪み部4bを支持部材4と一体に形成することができる。
【0038】
上記実施の形態では、窪み部4bが支持部材4の長手方向に亘って形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、窪み部4bは、支持部材4に形成される貫通孔4aの内径より上下または左右に長くなるように支持部材4の背面に形成されていれば、上記実施の形態と同様の効果を実現できる。
【0039】
上記実施の形態では、角度調整機構20が伸縮部材21(電動油圧シリンダ)及びリンク機構を備える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の機構を採用することは当然可能である。他の機構としては、例えば、ウォームギヤ及びウォームホイールを備えるものが挙げられる。この場合は、台部に固定される電動モータの出力軸の外周にウォームギヤが形成され、そのウォームギヤはウォームホイールに螺合される。そしてウォームホイールが回動することにより支持部材4の傾斜角度が調整されるように構成されるものが例示される。電動モータが回転されると、その回転が出力軸、ウォームギヤを介してウォームホイールに伝達される。そしてウォームホイールが回動されると、その回動方向に応じて支持部材4を下向き又は上向きに傾斜させることが可能である。また、ラック・アンド・ピニオン方式とすることで直線運動と回転運動との変換を行い、支持部材4の上下方向の傾斜角度を調整することも可能である。
【0040】
上記実施の形態では、伸縮部材21は油圧給排源が一体の電動油圧シリンダの場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の伸縮部材を採用することは当然可能である。他の伸縮部材としては、例えば、油圧配管と連結される油圧シリンダ、エア配管と連結されるエアシリンダ、モータにより駆動される電動シリンダが挙げられる。
【0041】
上記実施の形態では、伸縮部材21は、一端がピン22により運転室2(台部3)に固定され、前方(図3(b)左方向)に向けてロッド21aが伸長される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、伸縮部材21の一端を支持部材4に固定し、後方(図3(b)右方法)に向けてロッド21aが伸長されるようにすることは当然可能である。この場合もリンク機構を構成することにより、伸縮部材21の伸縮作動による直線運動を支持部材4の回動運動に変換することが可能である。
【0042】
上記実施の形態では、伸縮部材21が台部3の上面に固定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、台部3に形設される運転室2の前面等に固定することは当然可能である。なお、台部3の上面は運転室2に比べて空きスペースを作り易いため、その空きスペースに伸縮部材21を設置することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 運搬車両
2 運転室
3 台部(運転室の一部)
4 支持部材
4a 貫通孔
4b 窪み部
5 前照灯
11 支軸
20 角度調整機構
21 伸縮部材
21a ロッド(伸縮部材の一部)
23 第1リンク
27 第2リンク
102 車輪
103 荷台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪に支持され走行可能に構成される荷台と、その荷台に連結される動力室と、前記荷台に対する上下方向の傾斜角度を調整可能に構成される運転室とを備える運搬車両において、
前記運転室の正面に配設されると共に前照灯を支持する支持部材と、
その支持部材の前記運転室に対する上下方向の傾斜角度を調整する角度調整機構とを備えていることを特徴とする運搬車両。
【請求項2】
前記角度調整機構は、伸縮可能に構成されると共に前記運転室または前記支持部材に一端が揺動可能に固定される伸縮部材を備え、
前記支持部材は、前記運転室に配設される支軸を中心として前記伸縮部材の伸縮動作により傾動可能に着設されていることを特徴とする請求項1記載の運搬車両。
【請求項3】
前記角度調整機構は、前記運転室に一端が連結されると共に他端側に前記伸縮部材の他端が連結される第1リンクと、その第1リンクの一端と他端側との間に一端が連結されると共に他端が前記支持部材に連結される第2リンクとを備えていることを特徴とする請求項2記載の運搬車両。
【請求項4】
前記支持部材は、前記運転室の正面に横設されると共に、前記前照灯を複数支持することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の運搬車両。
【請求項5】
前記支持部材は、背面から正面に向けて形成される窪み部と、その窪み部から正面に亘って貫通形成されると共に前記前照灯が配設される貫通孔とを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の運搬車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−214170(P2012−214170A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81949(P2011−81949)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】