説明

運転モード制御部を有する建設機械

【課題】建設機械、特に道路仕上げ機を、簡単な建設的手段で、建設機械によりオペレータの作業を容易にし、確実に均一で向上した作業結果を得られるようにする。
【解決手段】制御システム3で駆動部2に対して決定した位置を第1運転モードで保存し、該位置に第2運転モードから第1運転モードに戻る変化中に駆動部2が自動的に移動する。また、第2運転モードから第1運転モードに運転モードが変化する場合には、複数の駆動部2を、任意に予め保存した位置に同時に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る建設機械、特には道路仕上げ機、及び請求項10に係る建設機械の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実際問題として、今日の建設機械は、インテリジェントで、オペレータの負担を軽減し、最適な作業品質を提供し、簡単な操作性を特徴とし、作業を快適にし、環境に優しい方法で運転され、高度の作業安全性を確保することが求められている。
【0003】
建設機械、特に道路仕上げ機の様々な機能を制御したり、監視したりするのに、運転者用制御盤が、マンマシンインタフェースとして使用されている。運転者用制御盤によって、例えば、建設機械の速度又は方向を調整できる。運転者用制御盤のディスプレイ上で、建設機械の現在の運転に対応する運転パラメタをオペレータに示すことができる。オペレータは、運転者用制御盤の様々な機能を選択することによって、能動的に建設機械の運転に影響を及ぼすことができる。しかしながら、殆どの場合、特定の機能を、キーを押下することで選択している。
【0004】
既知の道路仕上げ機の運転者用制御盤では、全ての重要な敷設及び仕上げ機能を、制御盤の個々のキーを用いて直接制御できる。特に、仕上げ機は、キーを押下すると所望の運転モードに変化する。選択された運転モードに応じて、仕上げ機で適切な調整が自動的に行われる。例えば、マニュアルトランスミッションの走行位置が、運転モードに応じて制御システムによって自動的に選択される。また、運転モードの変更に伴い、処理関連のパラメタ(例えば、タンパ速度である振動速度)も自動的に検索できる。運転モードスイッチにより、ニュートラル運転モード、移行するための運転モード、配置するための運転モード、敷設するための運転モード、又は道路仕上げ機を輸送するための運転モードの間で選択できる。
【0005】
ニュートラル運転モードを使用して、ディーゼルエンジンを温めて準備できる、又はスクリード加熱装置を予熱できる。好適には、このプロセスでは、仕上げ機の他の全駆動部を遮断する。
【0006】
移行用運転モードを作動させると、仕上げ機を迅速に再配置可能にする変速段を、仕上げ機に対してオンにする。特に、仕上げ機の走行路を変更する場合には、この運転モードを用いて、仕上げ機を迅速に変位させることができる。
【0007】
仕上げ機を操作、配置するのに、配置用運転モードが通常選択される。この運転モードでは、仕上げ機を低速で移動できるだけである。また、仕上げ機の駆動部を、この運転モードでは特にきめ細かく制御でき、仕上げ機を正確に操作可能である。
【0008】
アスファルト舗装中は、敷設用運転モードが選択される。このモードに関しては、全ての自動敷設機能をオペレータが利用できる。
【0009】
最後に、オペレータは輸送用運転モードを選択して、例えば、仕上げ機を公道で走行できる。
【0010】
また、先行技術から、建設機械、特に小型掘削機に設置される高速動作スイッチも知られている。該スイッチは、作業状況に応じて、運転者が最大駆動力と高走行速度との間で選択できるようにする。
【0011】
また、工業目的では、現在、運転モード選択スイッチにより、運転モードの選択とは別に、用途別機能の制限又は許可も、提供している。この場合、機械制御に関して識別管理しているため、機械の運転に対する用途別承認者を、運転モードに応じて割り当てられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の基礎的な目的は、建設機械、特に道路仕上げ機を、簡単な建設的手段で、建設機械によりオペレータの作業を容易にし、確実に均一で向上した作業結果を得られるように、改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この設定した目的を、特許請求項1に係る特徴及び特許請求項10に係る特徴によって達成する。
【0014】
改良された更なる技術成果を、従属請求項に係る特徴で実現する。
【0015】
本発明は、建設機械、特には道路仕上げ機に関し、該機械は、建設機械用の少なくとも1つの第1運転モードと少なくとも1つの第2運転モードを決定する運転モード選択スイッチと、建設機械の機能部品と接続し、該機能部品を調整するよう適合させた少なくとも1つの駆動部と、運転モード選択スイッチと少なくとも1つの駆動部とに接続された制御システムとを備え、第1運転モードを調整する際に、制御システムを、少なくとも1つの駆動部の第1位置を保存するよう適合させ、制御システムを、運転モード選択スイッチにより第2運転モードを決定すると、少なくとも1つの駆動部を第1位置から第2位置に移動するよう適合させる。本発明によれば、建設機械の制御システムを、少なくとも1つの駆動部を、建設機械が第2運転モードであれば、第2位置から、運転モード選択スイッチにより第1運転モードを決定すると、保存した第1位置に自動的に調整するよう適合させる。
【0016】
本発明による運転モード制御によって、必要なオペレータとのやり取りの回数を減らせる。オペレータの快適さを向上するだけでなく、本発明の運転モード制御は、オペレータによる誤操作を防止するのに寄与し、従って敷設品質や運転上の安全性を更に向上できる。そのうえ、提案した本発明により、時間枠を短縮でき、その結果、人件費や建設機械の燃料消費量を低減できる。
【0017】
本発明の適当な一実施形態では、少なくとも1つの駆動部の保存した第1位置を敷設位置とする。少なくとも1つの駆動部の第2位置を輸送位置にすると、なお有利である。これは、駐車場や保管領域等の舗装領域を建設する際に特に有利である。そうした建設工事では、通常1つの走行路を他の走行路の横に建設するため、機械は絶えず敷設運転と輸送運転との間で変化する。
【0018】
好適には、建設機械の第1運転モードを敷設運転モードとする。敷設運転モードでは、アスファルト混合物を確実に安全に敷設可能にする特定の機能を、オペレータが利用できるようにする。
【0019】
別の本発明の適当な実施形態では、第2運転モードを輸送運転モードとする。輸送運転モードでは、建設機械又は道路仕上げ機其々を、安全に、且つ迅速に移行できる。
【0020】
機能部品を、レベリングシリンダ、スクリード、スプレッディングスクリュ、材料バンカ、又は移動ギアストライクオフ要素とすると、適用対象として標準的であろう。これらの機能部品の自動制御は、本発明でそのまま可能だが、該制御によりアスファルト舗装の結果が特に高品質となる。
【0021】
任意選択で、実行キーを設けて、運転モード選択スイッチで第1運転モードを決定した場合に、少なくとも1つの駆動部を、実行キーが押下されると、第2位置から保存した第1位置に自動的に移動するように設計する。
【0022】
その結果、オペレータは、少なくとも1つの駆動部の、第1保存位置又は敷設位置への移動がどの時点から実行されるかを決定できる。
【0023】
本発明の更なる適当な実施形態では、制御システムを、運転モード選択スイッチを第1又は第2運転モードに設定すると、複数の駆動部を同時に調整するように適合させる。これによって、複数の駆動部を、特に迅速に所望の位置にできる。
【0024】
また、少なくとも1つの駆動部を、リニア駆動部とすると有利である。道路工事では、リニア駆動部により、個々の機能部品を調整するロバスト性を満足できる。また、リニア駆動部は、摩耗による影響を受けにくい。
【0025】
本発明の別の主題は、制御システムと該制御システムに接続した少なくとも1つの駆動部を有する建設機械の運転方法である。この方法では、まず、第1運転モードを選択する。その後直ぐに、まだ全く位置を保存していなければ、少なくとも1つの駆動部を手動で第1位置に移動させる。その後、建設機械が第1運転モードである際に、少なくとも1つの駆動部の第1位置を、制御システムによって保存する。次に、第2運転モードを選択し、それにより少なくとも1つの駆動部が第2位置に移動する。第1運転モードを再び選択すると、制御システムが、少なくとも1つの駆動部を保存した第1位置に自動的に移動させ、それに伴い第2運転モードから第1運転モードに切替わるというのが、本方法の特徴である。
【0026】
提案する本方法によって、オペレータの誤操作の可能性を大幅に抑制できる。従来の方法とは異なり、本発明では、オペレータは、運転モードを変更した場合に、駆動部を個別に所望する位置に移動させる必要がない。これにより、時間を節約でき、確実に均一な作業結果が得られる。
【0027】
好適には、少なくとも1つの駆動部の第1位置を、敷設位置とする。特に敷設位置に関して、駆動部が常に同じ位置に移動するならば、その結果均一なアスファルト層が形成されるので、理想的である。
【0028】
好適には、少なくとも1つの駆動部の第2位置を輸送位置とする。これによって、オペレータによるかなりの数のやり取りを不要にし、敷設位置と輸送位置とを迅速に切替できる。
【0029】
本発明の適当な一実施形態では、記録キーを、反復するプロセスを記録するために設ける。好適には、記録を検索するために、対応する運転制御を設ける。その結果、例えば、建設機械又は道路仕上げ機のオペレータが記録キーを作動させて、作業の開始時又は終了時に一連の運転モード変更を保存できる。各運転モードとその設定値を、関連するタイムスタンプと共に保存する。好適には、時間測定は記録キーを押下して開始する。再び記録キーを押下すると、記録を終了する。
【0030】
更なる適当な実施形態では、開始キーを作動させることで、記録したシーケンスを検索できる。シーケンスは作業の開始時と終了時の両方で記録できるので、理想的な場合には、機械オペレータは、2つのキーで機械を運転及び停止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の主題を図1に概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、運転モード選択スイッチ1、駆動部2、制御システム3を示している。図1では、駆動部2を敷設位置4で示している。また、駆動部2が取れる輸送位置5も、図1で示している。駆動部2は、図1で示したように、ピストンロッド7を配設したシリンダ6を備えることができる。圧力が両側からピストンロッド7に作用できる。任意選択で油圧又は空気圧といった圧力でシリンダ6を制御するバルブ8を視認することができる。メモリ9を、制御システム3に接続する。駆動部2の位置を識別するために、制御システム3を直接シリンダ6に接続する。更に、制御システム3と、バルブ8と、メモリ9と、運転モード選択スイッチ1との間を、直接接続する。最後に、図1では、実行キー10を示しており、該キーもまた制御システム3と直接接続している。シンボルライト11を運転モード選択スイッチ1の上方に示しており、任意選択で、該ライトで、点滅によりオペレータに選択した運転モードについて表示する。例えば、輸送運転モードに対しては、車両のシンボルを選択する。しかしながら、任意選択で、制御システム3を、記録キーや起動キー等他のキーにも接続できる。
【0033】
運転中、建設機械が敷設用運転モードであれば、オペレータは、少なくとも1つの駆動部2を手動で適切な敷設位置4に移動でき、その駆動部2の位置を保存できる。駆動部2の保存位置をメモリ9に保存して、後の時点で検索できる。敷設用運転モード以外の運転モードを選択すると、駆動部2により輸送位置5に移動する。輸送位置5では、建設機械又は道路仕上げ機は、例えば走行路を変更できる。敷設運転モードを再び選択すると、これについて制御システム3に信号が送られ、それにより制御システム3で少なくとも1つの駆動部2を予め保存した敷設位置に自動的に移動させる。その結果、輸送運転モードから同じ調整状態の敷設運転モードに常に戻すことができる。
【0034】
以下では、本発明による方法について、ネジ系の高さ調整を一例として参照しながら、説明する。
【0035】
まず、敷設運転モードをシステムに対して選択する。これに関しては、オペレータはネジを敷設に適した高さまで手動で回す。ネジ系が適切な高さに到達すると、それをセンサが検出する。その後、センサが該高さのデータを、データを保存する制御システムに送信する。次に、オペレータは、輸送運転モードの1つに変更する。そのプロセスで、制御システム3は自動的にネジの高さを事前に規定した輸送位置に移動させる。通常、この位置については、確実に最大離間高さとするために、最高位置とする。任意選択で、ここではネジ高さをキーによって手動でも調整できる。ネジが輸送位置にあれば、オペレータは、例えば機械を敷設終点Aから敷設始点Bに移行できる。オペレータは、機械で敷設始点Bに到達すると、敷設用運転モードに変更する。その時点で、制御システム3はネジを予め保存した敷設位置に自動的に移動させる。任意選択で、オペレータが、実行キーを押下して、敷設位置へのネジの調整を能動的に開始することもできる。
【0036】
ネジ高さを調整する実施例を用いて、本方法について説明したが、記載したプロセスは1つ、複数又は全ての敷設用機能部品に対して、同時に可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 運転モード選択スイッチ
2 駆動部
3 制御システム
4 敷設位置
5 輸送位置
6 シリンダ
7 ピストンロッド
8 バルブ
9 メモリ
10 実行キー
11 シンボルライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械、特に道路仕上げ機であって、
前記建設機械用の少なくとも1つの第1運転モードと1つの第2運転モードを決定する運転モード選択スイッチ(1)と、
前記建設機械の機能部品と接続し、該機能部品を調整するよう適合させる、少なくとも1つの駆動部(2)と、
前記運転モード選択スイッチ(1)と前記少なくとも1つの駆動部(2)とに接続されている制御システム(3)であって、前記第1運転モードを調整する際に、前記少なくとも1つの駆動部(2)の第1位置を保存するよう適合し、前記運転モード選択スイッチ(1)により前記第2運転モードを決定すると、前記少なくとも1つの駆動部(2)を前記第1位置から第2位置に移動するよう適合した当該制御システム(3)とを備え、
前記制御システム(3)は、前記少なくとも1つの駆動部(2)を、前記建設機械が前記第2運転モードにおける前記第2位置から、前記運転モード選択スイッチ(1)が前記第1運転モードを決定した場合に前記保存した第1位置に自動的に調整するよう適合していることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記少なくとも1つの駆動部(2)の前記保存した第1位置を、敷設位置(4)とすることを特徴とする、請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記少なくとも1つの駆動部(2)の前記第2位置を、輸送位置(5)とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記第1運転モードを、前記建設機械の敷設運転モードとすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項5】
前記第2運転モードを、前記建設機械の輸送運転モードとすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項6】
機能部品を、レベリングシリンダ、スクリード、スプレッディングスクリュ、材料バンカ、又は移動ギアストライクオフ要素とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項7】
実行キー(10)を設け、前記運転モード選択スイッチ(1)により前記第1運転モードを決定した場合に、前記少なくとも1つの駆動部(2)を、前記実行キー(10)が押下されると、前記第2位置から前記保存した第1位置に自動的に移動するよう適合させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項8】
前記運転モード選択スイッチ(1)を前記第1又は第2運転モードに設定すると、複数の駆動部を同時に調整するように、前記制御システム(3)を設計することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項9】
前記少なくとも1つの駆動部(2)を、リニア駆動部とすることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項10】
制御システム(3)と、該制御システム(3)に接続した少なくとも1つの駆動部(2)を有する建設機械の運転方法であって、該方法は、
第1運転モードを選択することと、
前記少なくとも1つの駆動部(2)を第1位置に移動させることと、
前記建設機械が前記第1運転モードである際に、前記制御システム(3)によって前記少なくとも1つの駆動部(2)の前記第1位置を保存することと、
第2運転モードを選択し、それにより前記少なくとも1つの駆動部(2)により第2位置に移動させることと、
前記第1運転モードを選択し、前記第2運転モードから前記第1運転モードに変化中に、前記制御システム(3)が前記少なくとも1つの駆動部(2)を前記保存した第1位置に移動させることとを備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの駆動部(2)の前記第1位置を、敷設位置(4)とすることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの駆動部(2)の前記第2運転モードを、輸送運転モード(5)とすることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
記録キー(10)を、反復するプロセスを記録するために設けることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記記録することは、前記少なくとも1つの駆動部(2)が前記第1位置から前記第2位置に移動する際に、又は前記第2位置から前記第1位置に移動する際に発生する処理を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
開始キーを、前記記録を検索するために設けることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。

【図1】
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