運転制御システム、運転制御装置および方法
【課題】居住者が室内レイアウトを決定した後に実際に利用する際の利便性を反映させると共に、エネルギー使用量を抑制する。
【解決手段】運転制御システムは、設備機器4に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置1と、運転制御装置1に対して指令信号を送信する操作端末2とを備える。運転制御装置1は、操作端末2から送信された指令信号を受信する通信手段を有すると共に、自装置と接続された設備機器4のオン/オフを指令信号に応じて制御する運転制御手段と、自装置と接続された設備機器4の出力値を指令信号に応じて制御する出力制御手段とのうち少なくとも1つを有する。
【解決手段】運転制御システムは、設備機器4に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置1と、運転制御装置1に対して指令信号を送信する操作端末2とを備える。運転制御装置1は、操作端末2から送信された指令信号を受信する通信手段を有すると共に、自装置と接続された設備機器4のオン/オフを指令信号に応じて制御する運転制御手段と、自装置と接続された設備機器4の出力値を指令信号に応じて制御する出力制御手段とのうち少なくとも1つを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具や空調給気吹出口などの設備機器の運転を制御する運転制御システム、運転制御装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビルなどの建物の大規模な室内には、複数の空調給気吹出口や照明器具などの設備機器が設置される。設備機器の配置は、居住者が室内レイアウトを決定する以前に居住者の意志と関係なくあらかじめ決定される。これらの設備機器は適宜区分けされて、区分けされたゾーン毎に別々にオン/オフが可能なように設計される。
【0003】
このように、設備機器はゾーン単位で操作されるため、ゾーン内の一部に人がいない領域があったとしても空調や照明をオフにすることはできず、エネルギーの無駄が生じていた。そこで、照明器具に装着する調光センサ装置によって個別に調光ができるようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1に開示された技術は、調光センサ装置に人感センサや照度センサを設け、人の存否や周囲の明るさに応じて照明器具を個別に調光制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−12331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(A)設備機器が適宜区分けされる設計は、居住者が室内レイアウトを決定する以前に行なわれるため、実際に利用される際の利便性を反映したものにはなり難い。
(B)設備機器は、机や椅子のように居住者が配置を変更できるものとは異なり、天井や壁面に固定されるため、室内レイアウトの確定後あるいは変更後に都合よく配置変更できるものではない。
(C)設備機器は、机や椅子のように居住者が個別に占有して利用できるものとは異なり、適宜区分けされたゾーンの範囲で複数の居住者が共有するため、居住者の存在状況に応じて最適な使用状態を実現できるものではない。
(D)以上の(A)〜(C)の制約により、必要な室内環境を実現しながら使用エネルギーを最小化することなどが困難になる。
【0006】
(E)例えば、区分けされたゾーンが、本来なら10人で共有する設計であり、当該ゾーンには照明器具が8灯、空調吹出口が6台設置され、それら照明器具および空調吹出口が一括で制御される場合に、何らかの事情によりゾーンに1人しかいないという状況であっても、10人が存在する状況と同じエネルギー量を使用して必要な室内環境を維持しなければならない。すなわち、照明は8灯すべてが点灯しており、空調吹出口も6つすべてから給気が供給され、エネルギーは1人に必要な量よりも多く消費される。
【0007】
(F)また、例えば図15の平面図で示すように、空間200の内部に設備機器201が多数設置され、空間200が複数のゾーン202〜206に区分けされている場合を考える。ゾーン202と203に跨るようにして打合せ卓207が設置されると、打合せ卓207の人が不在で打合せ卓207の位置の設備機器201をオフにしたい場合でも、208,209の位置に人がいると、ゾーン202,203の設備機器201をオフにすることはできない。
【0008】
(G)居住者が設備機器を完全に個別に利用できる程度に区分け単位を細分化するようにあらかじめ設計すると、室内が不必要に過剰に細分化されてしまうこともあり得る。結果的に、使い分けが過度に煩雑になったり、設置コストが不必要に高くなったりするような弊害も生じる。
(H)また、区分け単位を後から細分化しようとすると、配線の変更や、機器全体の交換が必要となり、設備変更コストが多大となる。
【0009】
(I)特許文献1に開示された技術では、図16の平面図で示すように、空間210内の各照明器具211に調光センサ装置212を装着することにより、照明器具211を個別に調光制御できるようにしている。しかしながら、特許文献1に開示された技術では、調光センサ装置212を全照明器具211に装着することを前提としているため、設置コストが高くなるという問題点があった。また、室内を照明器具211毎に区分けすることになるので、室内を不必要に過剰に細分化してしまうという問題点があった。さらに、特許文献1に開示された技術では、動作モードを変更しようとすると、調光センサ装置212を照明器具211から取り外して再設定し、再度装着しなければならないという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、居住者が室内レイアウトを決定した後に実際に利用する際の利便性を反映させることができると共に、エネルギー使用量を抑制することができる運転制御システム、運転制御装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の運転制御システムは、設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置と、この運転制御装置に対して指令信号を送信する操作端末とを備え、前記運転制御装置は、前記操作端末から送信された指令信号を受信する通信手段を有すると共に、自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御手段と、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御手段とのうち少なくとも1つを有することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御システムの1構成例において、前記運転制御装置は、さらに、前記操作端末からの指令信号または前記操作端末との距離に応じて、設備機器をグループ化するグループ設定手段を有し、前記運転制御手段または前記出力制御手段は、自装置と接続された設備機器が所属するグループに対する前記指令信号を受信したときに、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の運転制御システムの1構成例において、前記運転制御装置は、さらに、人の存在を検知する人感センサを有し、前記運転制御手段または前記出力制御手段は、前記人感センサの検知結果に応じて、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御システムの1構成例において、前記運転制御装置は、さらに、設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を通知する通知手段を有することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御システムの1構成例において、前記設備機器は、照明器具であり、前記運転制御装置は、さらに、発光装置を装着可能なソケットと、前記照明器具への装着時に照明器具のソケットと接続される端子とを有することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置であって、操作端末から送信された指令信号を受信する通信手段を有すると共に、自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御手段と、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御手段とのうち少なくとも1つを有することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御装置の1構成例は、さらに、前記操作端末からの指令信号または前記操作端末との距離に応じて、設備機器をグループ化するグループ設定手段を有し、前記運転制御手段または前記出力制御手段は、自装置と接続された設備機器が所属するグループに対する前記指令信号を受信したときに、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の運転制御装置の1構成例は、さらに、人の存在を検知する人感センサを有し、前記運転制御手段または前記出力制御手段は、前記人感センサの検知結果に応じて、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御装置の1構成例は、さらに、設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を通知する通知手段を有することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御装置の1構成例は、前記設備機器が照明器具である場合に、発光装置を装着可能なソケットと、前記照明器具への装着時に照明器具のソケットと接続される端子とを有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の運転制御方法は、設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置が、操作端末から送信された指令信号を受信する受信ステップを備えると共に、前記運転制御装置が、自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御ステップと、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御ステップとのうち少なくとも1つを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、必要なところにのみ運転制御装置を簡単に追加することができ、運転制御装置を追加した設備機器をオン/オフ制御したり、出力制御したりすることができる。これにより、本発明では、設計時の設備機器の区分けとは無関係に、居住者の存在状況に応じて最適な使用状態を実現できるので、必要な室内環境を実現しながら使用エネルギーを最小化することができる。また、本発明では、居住者が室内レイアウトを決定した後に、実際に利用される際の利便性を反映できるので、居住者の利便性を向上させることができる。また、本発明では、室内の区分け単位を過剰に細分化する必要がなく、配線の変更や設備機器の交換をする必要もないので、コストの増加を最小限に抑えることができる。また、建物の施工者にとっては、利用者(居住者)からのクレームを減らすために区分けの検討に多大な時間を費やす必要性を軽減することができる。また、本発明では、操作端末から運転制御装置に対して指令信号を送信することができるので、居住者や管理者にとっての利便性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明では、複数の設備機器をグループ化することにより、複数の設備機器を一括してオン/オフ制御したり、出力制御したりすることができる。
【0018】
また、本発明では、運転制御装置に人感センサを設けることにより、人の存否に応じた設備機器の制御を実現することができる。
【0019】
また、本発明では、運転制御装置に設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を通知する通知手段を設けることにより、室内の居住者や管理者は、設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を容易に確認することができる。
【0020】
また、本発明では、運転制御装置に、発光装置を装着可能なソケットと、照明器具への装着時に照明器具のソケットと接続される端子とを設けることにより、既存の照明器具のソケットを利用して、照明器具に運転制御装置を追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る運転制御システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る運転制御システムの運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る運転制御システムの操作端末の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態において設備機器の1例である照明器具の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態において設備機器の1例である空調給気吹出口の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態において設備機器をグループ化する場合の操作端末および運転制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態において設備機器をオン/オフ制御する場合の操作端末および運転制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態において設備機器を出力制御する場合の操作端末および運転制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る運転制御システムの効果を説明する平面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る運転制御システムの構成を示す平面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る運転制御システムの親機の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態において設備機器のグルーピング状態を確認する場合の操作端末および運転制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る運転制御システムの運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る運転制御システムの運転制御装置の別の構成を示すブロック図である。
【図15】従来の問題点を説明する平面図である。
【図16】従来の別の問題点を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[発明の原理]
空調における調和空気搬送や照明における電力供給のように、空調や照明は建物自体の機能構成要素と結合して設置されなければならないものであるため、建物の機能として扱われなければならず、設備機器の設置は建築時に実施されなければならない。すなわち、空調給気吹出口や照明器具などの設備機器は、「固定物=固定されるべきもの」としての性質を持ち、この性質は避けられないものである。
【0023】
一方で、水道やガスのように限られた場所で短時間使用する設備とは異なり、空調給気吹出口や照明器具は、広範囲で長時間使用されるものであるため、室内の状況に応じて望まれる最適な状態は適宜変化するものである。すなわち、空調給気吹出口や照明器具などの設備機器は、「非固定物=固定されるべきではないもの」としての性質を併せ持つ。
【0024】
従来は、空調給気吹出口や照明器具などの設備機器について、「固定物」としての性質を重視していたので「非固定物」としての性質が犠牲になり、上記のような問題点が発生していたことに、発明者は着眼した。この着眼点に基づき、「固定物」として避けられない部分と「非固定物」として扱うべき部分を分離した構成を採用するべきであることに、発明者は想到した。
【0025】
具体的には、空調給気吹出口や照明器具などの設備機器の本体は従来どおりに設置し、居住者が占有したりレイアウトに応じて適宜区分けしたりするために必要な操作機能については、本体に着脱可能なように構成する。例えば、無線により居住者からの指令信号を受信して、空調や照明の状態を変化させる制御信号を本体に発信する運転制御装置を採用する。
【0026】
空調給気吹出口や照明器具などの本体は、運転制御装置を着脱可能とする取付部を有する構造にする。この場合、本体は「固定物」に相当し、運転制御装置は「非固定物」に相当する。利用者は、必要な箇所にのみ運転制御装置を取り付け、運用が変われば取り付け位置を変えることにより、レイアウト変化等に応じた柔軟な対応を行える。
【0027】
特許文献1に開示された調光センサ装置も着脱可能であるが、本発明の運転制御装置のように指令信号を無線で受信することはできず、本体から取り外して動作モードを再設定する必要があり、柔軟な運用ができない。
また、本発明では、運用の柔軟性をさらに向上させるため、運転制御装置に複数の設備機器をグループ化するグルーピング機能を持たせる。
【0028】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る運転制御システムの構成を示す図である。運転制御システムは、室内の天井3に設置された空調給気吹出口や照明器具などの設備機器4に対して着脱自在に装着される運転制御装置1と、運転制御装置1に対して指令信号を無線送信する操作端末2とから構成される。
【0029】
図2は運転制御装置1の構成を示すブロック図である。運転制御装置1は、操作端末2から無線送信された指令信号を受信すると共に、他の運転制御装置1との間で無線通信を行う無線通信部10と、自装置と接続された設備機器4のオン/オフを指令信号に応じて制御する設備機器運転制御部11と、自装置と接続された設備機器4の出力値を指令信号に応じて制御する設備機器出力制御部12と、設備機器4をグループ化するグループ設定部13と、設備機器4の運転状態や設備機器4のグルーピング状態を居住者や管理者に通知する通知部14とを有する。ここで、設備機器4が例えば空調給気吹出口であれば、設備機器運転制御部11、および設備機器出力制御部12は、例えばモータダンパである。モータダンパの開度を全閉とすることで給気風量はオフ状態となり、モータダンパの開度を比例的あるいは段階的に変更することで給気風量の出力を可変にすることができる。また、設備機器4が例えば照明器具であれば、設備機器4の出力値は光量である。設備機器運転制御部11は、例えばOn/Off接点リレーであり、設備機器出力制御部12は、光量度合いを示す信号出力装置、あるいは光量調整のための周波数変換装置である。
【0030】
図3は操作端末2の構成を示すブロック図である。操作端末2は、運転制御装置1に対して指令信号を無線送信する無線通信部20と、居住者や管理者からの指令を受け付けるための操作部21と、居住者や管理者の操作に応じた指令信号を生成する指令信号生成部22と、操作端末2を特定のグループに所属させるグループ設定部23と、居住者や管理者に対して情報を表示する表示部24とを有する。
【0031】
図4は設備機器4の1例である照明器具の構成を示す図である。照明器具40には、運転制御装置1を着脱自在に装着可能な運転制御装置装着部41が設けられている。運転制御装置装着部41に運転制御装置1が装着されると、運転制御装置装着部41に設けられた電源端子(不図示)と運転制御装置1の電源端子(不図示)とが接続され、さらに運転制御装置装着部41に設けられた通信端子(不図示)と運転制御装置1の通信端子(不図示)とが接続される。こうして、運転制御装置1は、照明器具40からの電力供給を受けて動作し、蛍光灯を装着するソケットと安定器との間の器具内配線を、ソケットと運転制御装置1とが接続されるように切り替えることにより、照明器具40のオン(点灯)/オフ(消灯)制御や、調光制御を行うことができるようになる。あるいは、照明器具40の安定器を制御する別配線を予め照明器具40に組み込んでおき、運転制御装置1がその配線と接続されるようにしてもよい。
【0032】
なお、本実施の形態では、運転制御装置1を運転制御装置装着部41に着脱し、照明のオン(点灯)/オフ(消灯)制御や、調光制御を行うようにしたが、光量を制御できる機構であれば、他の形態でも利用可能である。例えば、運転制御装置の機能を組み込んだソケットを既存ソケットと交換できるようにしてもよい。あるいは、安定器に運転制御装置の機能を組み込み、既存の照明安定器と交換してもよい。さらには、ソケットと安定器の配線上に運転制御装置を設置できるようにしてもよい。なお、ここで例示したものの中には簡易な器具内配線工事を伴う場合があるが、照明器具を跨ぐ電源配線の工事は不要であり、従来のシステムよりも配線工事の手間は少なく、十分な経済的メリットがある。
【0033】
図5は設備機器4の1例である空調給気吹出口の構成を示すブロック図である。空調給気吹出口42には、ダクト43から供給される給気が通る流路44と、運転制御装置1を着脱自在に装着可能な固定金具45とが設けられている。
運転制御装置1は、空調給気吹出口42に装着されると、空調給気吹出口42の一部となる構造をしており、給気が通る流路15と、風量制御のための吹き口開閉部16とを備えている。
【0034】
固定金具45に運転制御装置1が装着されると、空調給気吹出口42に設けられた電源端子(不図示)と運転制御装置1の電源端子(不図示)とが接続される。こうして、運転制御装置1は、空調給気吹出口42からの電力供給を受けて動作する。そして、ダクト43から供給される給気は、流路44,15を通って、吹き口開閉部16が作る開口部から室内に送り出される。
【0035】
このとき、運転制御装置1の設備機器運転制御部11と設備機器出力制御部12とは、吹き口開閉部16を上下動させて開口部の大きさを変えることにより、給気風量を増減することができ、給気風量0%(オフ)から100%まで任意の風量に設定することができる。こうして、運転制御装置1は、給気のオン/オフ制御や、給気風量制御を行うことができる。なお、本実施の形態では、吹き口開閉部16の上下動によって風量制御を行うようにしているが、これに限るものではなく、風量を制御できる機構であれば、利用可能である。例えば、吹出口に繋がるダクトにモータダンパ等の風量制御機構を装着するのでもよい。
【0036】
次に、本実施の形態の運転制御システムをより詳細に説明する。図6(A)、図6(B)は設備機器4をグループ化する場合の動作を示すフローチャートであり、図6(A)は操作端末2の動作を示すフローチャート、図6(B)は運転制御装置1の動作を示すフローチャートである。
【0037】
室内の居住者や管理者は、設備機器4をグループ化したい場合、操作端末2の操作部21を操作して、グループ化したい設備機器4を指定する。居住者や管理者は、グループ化したい設備機器4を、例えば設備機器4にあらかじめ割り当てられた識別番号で指定すればよい。
【0038】
操作端末2の指令信号生成部22は、居住者や管理者からグループ化の指令があったことを認識すると(図6(A)ステップS100においてYES)、指定された設備機器4をグループ化するためのグループ化指令信号を生成する(ステップS101)。このグループ化指令信号には、例えば設備機器4を指定する情報と、グループ識別情報とが含まれる。操作端末2の無線通信部20は、指令信号生成部22が生成したグループ化指令信号を各運転制御装置1に無線送信する(ステップS102)。
【0039】
各運転制御装置1の無線通信部10は、操作端末2からのグループ化指令信号を受信すると(図6(B)ステップS103においてYES)、このグループ化指令信号をグループ設定部13に渡す。グループ設定部13は、受信したグループ化指令信号が自装置と接続された設備機器4のグループ化を指令する信号である場合、自装置宛の信号と認識し(ステップS104においてYES)、自装置と接続された設備機器4が、グループ化指令信号のグループ識別情報で特定されるグループに所属する機器であることを示すグループ化設定情報を生成して記憶する(ステップS105)。
【0040】
こうして、居住者や管理者が指定した設備機器4が特定のグループに所属するグループ化が行われる。図1の例では、グループ5Aとグループ5Bの2つのグループが設定されている。
【0041】
なお、操作端末2を特定のグループに対応させたい場合、居住者や管理者は、操作端末2の操作部21を操作して、特定のグループに対応するよう指示する。操作端末2のグループ設定部23は、居住者や管理者からの指示に応じて、自装置が特定のグループに対応する装置であることを示すグループ化設定情報を生成して記憶する。以後、この操作端末2は、特定のグループに対してのみ操作を行う装置となる。
【0042】
図7(A)、図7(B)は設備機器4をオン/オフ制御する場合の動作を示すフローチャートであり、図7(A)は操作端末2の動作を示すフローチャート、図7(B)は運転制御装置1の動作を示すフローチャートである。
室内の居住者や管理者は、特定のグループの設備機器4をオンまたはオフにしたい場合、操作端末2の操作部21を操作して、オンまたはオフにしたいグループを指定する。居住者や管理者は、オンまたはオフにしたいグループを、例えば当該グループに割り当てられた識別番号で指定すればよい。また、居住者や管理者は、オンまたはオフにしたいグループに対応する特定の操作端末2を操作してもよい。
【0043】
操作端末2の指令信号生成部22は、居住者や管理者からオンまたはオフの指令があったことを認識すると(図7(A)ステップS200においてYES)、居住者や管理者から指定されたグループの設備機器4をオンにするためのオン指令信号、または指定されたグループの設備機器4をオフにするためのオフ指令信号を生成する(ステップS201)。操作端末2が特定のグループに対応している場合には、指令信号生成部22は、対応するグループの設備機器4をオンにするためのオン指令信号、または対応するグループの設備機器4をオフにするためのオフ指令信号を生成すればよい。オン指令信号またはオフ指令信号には、例えばグループを指定するグループ識別情報が含まれる。操作端末2の無線通信部20は、指令信号生成部22が生成したオン指令信号またはオフ指令信号を各運転制御装置1に無線送信する(ステップS202)。
【0044】
各運転制御装置1の無線通信部10は、操作端末2からのオン指令信号またはオフ指令信号を受信すると(図7(B)ステップS203においてYES)、このオン指令信号またはオフ指令信号を設備機器運転制御部11に渡す。設備機器運転制御部11は、受信したオン指令信号またはオフ指令信号が、自装置と接続された設備機器4が所属するグループのオンまたはオフを指令する信号である場合、自装置宛の信号と認識し(ステップS204においてYES)、オン指令信号またはオフ指令信号に従って、自装置と接続された設備機器4をオンまたはオフにする(ステップS205)。オン指令信号またはオフ指令信号が、自装置と接続された設備機器4が所属するグループのオンまたはオフを指令する信号であるか否かは、オン指令信号またはオフ指令信号に含まれるグループ識別情報と自装置のグループ設定部13が設定したグループ化設定情報とを比較することで判定できる。
【0045】
こうして、特定のグループの設備機器4のみをオン/オフ制御することができる。なお、設備機器4が複数のグループに所属する場合は、複数のグループに対する信号を総合的に判断して動作すればよい。すなわち、運転制御装置1の設備機器運転制御部11は、自装置と接続された設備機器4が所属する複数のグループのうち少なくとも1つのグループに対するオン指令信号を受信した場合、自装置と接続された設備機器4をオンにする。また、設備機器運転制御部11は、自装置と接続された設備機器4が所属する全てのグループに対するオフ指令信号を受信した場合、自装置と接続された設備機器4をオフにする。
【0046】
図8(A)、図8(B)は設備機器4を出力制御する場合の動作を示すフローチャートであり、図8(A)は操作端末2の動作を示すフローチャート、図8(B)は運転制御装置1の動作を示すフローチャートである。
室内の居住者や管理者は、特定のグループの設備機器4の出力値を調整したい場合、操作端末2の操作部21を操作して、調整したいグループを指定する。居住者や管理者は、調整したいグループを、例えば当該グループに割り当てられた識別番号で指定すればよい。また、居住者や管理者は、調整したいグループに対応する特定の操作端末2を操作してもよい。
【0047】
このとき、居住者や管理者は、調整したい出力値の増減方向だけを指定してもよいし、調整したい出力値の増減量を具体的に指定してもよい。出力値の増減方向だけを指定する場合、設備機器4が照明器具であれば、光量増加または光量減少を指定することになり、設備機器4が空調給気吹出口であれば、風量増加または風量減少を指定することになる。また、出力値の増減量を指定する場合、設備機器4が照明器具であれば、光量増加量(%)または光量減少量(%)を指定することになり、設備機器4が空調給気吹出口であれば、風量増加量(%)または風量減少量(%)を指定することになる。
【0048】
操作端末2の指令信号生成部22は、居住者や管理者から設備機器4の出力値調整の指令があったことを認識すると(図8(A)ステップS300においてYES)、居住者や管理者から指定されたグループの設備機器4の出力値を調整するための調整指令信号を生成する(ステップS301)。操作端末2が特定のグループに対応している場合には、指令信号生成部22は、対応するグループの設備機器4の出力値を調整するための調整指令信号を生成すればよい。調整指令信号には、例えばグループを指定するグループ識別情報と、出力値の増減方向を指定する増減方向情報とが含まれる。さらに、居住者や管理者から出力値の増減量が指定された場合、調整指令信号には、増減量情報が含まれる。操作端末2の無線通信部20は、指令信号生成部22が生成した調整指令信号を各運転制御装置1に無線送信する(ステップS302)。
【0049】
各運転制御装置1の無線通信部10は、操作端末2からの調整指令信号を受信すると(図8(B)ステップS303においてYES)、この調整指令信号を設備機器出力制御部12に渡す。設備機器出力制御部12は、受信した調整指令信号が、自装置と接続された設備機器4が所属するグループの出力値調整を指令する信号である場合、自装置宛の信号と認識し(ステップS304においてYES)、調整指令信号に従って、自装置と接続された設備機器4の出力値を調整する(ステップS305)。調整指令信号が、自装置と接続された設備機器4が所属するグループの出力値調整を指令する信号であるか否かは、調整指令信号に含まれるグループ識別情報と自装置のグループ設定部13が設定したグループ化設定情報とを比較することで判定できる。
【0050】
設備機器出力制御部12は、調整指令信号が増減量情報を含まない場合、設備機器4の出力値を、調整指令信号の増減方向情報に従って所定量だけ増加または減少させる。また、設備機器出力制御部12は、調整指令信号が増減量情報を含む場合、設備機器4の出力値を、増減量情報で指定された量だけ増加または減少させる。
【0051】
こうして、特定のグループの設備機器4のみを出力制御することができる。なお、設備機器4が複数のグループに所属する場合は、複数のグループに対する信号を総合的に判断して動作すればよい。すなわち、運転制御装置1の設備機器出力制御部12は、自装置と接続された設備機器4が所属する複数のグループに対する調整指令信号を受信した場合、各グループに対する増減量情報が指定する増減量の最大値、平均値、加重平均値または最小値を採用して増減量を決定し、自装置と接続された設備機器4の出力値を調整する。
【0052】
また、設備機器出力制御部12は、自装置と接続された設備機器4が所属する複数のグループに対する調整指令信号を受信したとき、調整指令信号に増減量情報が含まれていないときは、各グループに対する増減方向情報のうちの1つに従って増減方向を決定するか、あるいは各グループに対する増減方向情報の多数決をとって増減方向を決定し、自装置と接続された設備機器4の出力値を調整する。
【0053】
以上のように、本実施の形態では、必要なところにのみ運転制御装置1を簡単に追加することができ、運転制御装置1を追加した設備機器4をオン/オフ制御したり、出力制御したりすることができる。これにより、本実施の形態では、設計時の設備機器4の区分けとは無関係に、居住者の存在状況に応じて最適な使用状態を実現できるので、必要な室内環境を実現しながら使用エネルギーを最小化することができる。また、本実施の形態では、居住者が室内レイアウトを決定した後に、実際に利用される際の利便性を反映できるので、居住者の利便性を向上させることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、室内の区分け単位を過剰に細分化する必要がなく、配線の変更や設備機器4の交換をする必要もないので、コストの増加を最小限に抑えることができる。また、建物の施工者にとっては、利用者(居住者)からのクレームを減らすために区分けの検討に多大な時間を費やす必要性を軽減することができる。また、本実施の形態では、操作端末2から運転制御装置1に対して無線で指令信号を送信することができるので、居住者や管理者にとっての利便性を向上させることができる。さらに、本実施の形態では、複数の設備機器4をグループ化することにより、複数の設備機器4を一括してオン/オフ制御したり、出力制御したりすることができる。
【0055】
例えば図9の平面図で示すように、空間200の内部に設備機器4が多数設置され、空間200が複数のゾーン202〜206に予め区分けされている場合を考える。図15の場合と同様に、ゾーン202と203に跨るようにして打合せ卓207を設置するときに、打合せ卓207の位置の6個の設備機器4に運転制御装置1を装着しグループ化すれば、打合せ卓207の人が不在の場合、ゾーン202,203の人の存否に関係なく、打合せ卓207の位置の6個の設備機器4のみを1回の操作で一括してオフにすることができる。したがって、居住者は特に躊躇することなく、消灯という省エネルギー行動を行えるようになる。
【0056】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、設備機器4のグルーピングを居住者や管理者からの指示に従って行っているが、グルーピングを自動的に行ってもよい。
【0057】
例えば、各運転制御装置1のグループ設定部13は、特定のグループに対応する操作端末2からの距離に応じて、自装置と接続された設備機器4を自動的にグループ化する。無線信号を操作端末2に送信して、操作端末2から応答が戻ってくる時間を測定すれば、自装置と操作端末2との距離を算出することができる。運転制御装置1のグループ設定部13は、自装置が特定のグループに対応する操作端末2から一定の距離内にあると判断した場合、自装置と接続された設備機器4が、当該グループに所属する機器であることを示すグループ化設定情報を生成して記憶する。
【0058】
あるいは、グループ設定部13は、自装置が特定のグループに対応する操作端末2からの無線信号が到達する範囲内にある場合、自装置と接続された設備機器4が、当該グループに所属する機器であることを示すグループ化設定情報を生成して記憶する。
こうして、本実施の形態では、設備機器4を自動的にグループ化することができる。
【0059】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図10は本発明の第3の実施の形態に係る運転制御システムの構成を示す平面図である。本実施の形態の運転制御システムは、第1の実施の形態と同様に、運転制御装置1と操作端末2とから構成されるが、運転制御装置1には、各グループに1台だけ存在する親機1−1と、親機1−1に従って動作する子機1−2の区別がある。親機1−1と子機1−2とは、互いに無線通信することにより、連携した動作を実現する。
【0060】
図11は親機1−1の構成を示すブロック図である。親機1−1は、無線通信部10と、設備機器運転制御部11と、設備機器出力制御部12と、グループ設定部13と、通知部14と、近くに人がいるかどうかを検出する人感センサ17とを有する。人感センサ17は、例えば赤外線、超音波、可視光などを用いて人の存在を検知するものである。また、人が携帯する無線タグを検知する場合も、ここでいう人感センサ47に含む。
【0061】
子機1−2は、親機1−1と同様の構成を有するが、親機1−1のものよりも感度が落ちる人感センサ17を用いている。こうして、親機1−1にはコストが高めの高感度の人感センサ17を用い、子機1−2には感度はあまりよくないが低コストの人感センサ17を用いることにより、システム全体のコストを低減させることができる。
【0062】
設備機器4のグルーピングは、第1の実施の形態で説明した手動のグルーピングで行ってもよいし、第2の実施の形態で説明した自動のグルーピングで行ってもよい。
親機1−1は、第1の実施の形態で説明した運転制御装置1と同様に、自装置と接続された設備機器4が所属するグループに対する指令信号に応じて、設備機器4をオン/オフ制御したり、出力制御したりする。
【0063】
また、親機1−1は、人感センサ17の検知結果に応じて、設備機器4をオン/オフ制御したり、出力制御したりする。例えば、親機1−1の設備機器運転制御部11は、人感センサ17が人の存在を検知した場合、自装置と接続された停止中の設備機器4をオンにし、人感センサ17が人の存在を検知しなかった場合、自装置と接続された運転中の設備機器4をオフにする。あるいは、親機1−1の設備機器出力制御部12は、人感センサ17が人の存在を検知しなかった場合、自装置と接続された設備機器4の出力値を所定量だけ減少させる。
【0064】
一方、子機1−2は、親機1−1と同様に、自装置と接続された設備機器4が所属するグループに対する指令信号、または人感センサ17の検知結果に応じて、設備機器4をオン/オフ制御したり、出力制御したりするが、このとき親機1−1の動作を加味した上で動作する。すなわち、子機1−2は、同じグループに所属する親機1−1が設備機器4をオン/オフ制御したり、出力制御したりしている場合、自装置と接続された設備機器4を同様にオン/オフ制御したり、出力制御したりする。親機1−1が同じグループに所属するか否かは、親機1−1と通信を行って、親機1−1のグループ設定部13が設定したグループ化設定情報と自装置のグループ設定部13が設定したグループ化設定情報とを比較することで判定できる。このように、親機1−1の動作を加味した上で動作する理由は、子機1−2に搭載された人感センサ17の感度がよくないために誤認識である可能性があるからである。
【0065】
なお、人感センサ17は、第1、第2の実施の形態で説明した運転制御装置1に加えてもよい。これにより、第1、第2の実施の形態において、人感センサ17の検知結果に応じた設備機器4の制御を実現することができる。
【0066】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、運転制御システムの構成は第1〜第3の実施の形態と同様であるので、図1〜図3、図11の符号を用いて説明する。本実施の形態は、設備機器4の運転状態あるいはグルーピング状態を居住者や管理者に通知するものである。
【0067】
運転制御装置1の通知部14は、設備機器4のオン(運転)/オフ(停止)状態、あるいは出力値を表示する。出力値の表示は、例えば設備機器4が空調給気吹出口の場合、風量を数値で表示してもよいし、風量を段階表示してもよい。特に、空調給気吹出口などの場合、運転中かどうかを確認しにくいが、通知部14による表示を行うことにより、居住者や管理者は、設備機器4が運転中かどうかを容易に確認することができる。
【0068】
図12(A)、図12(B)は設備機器4のグルーピング状態を確認する場合の動作を示すフローチャートであり、図12(A)は操作端末2の動作を示すフローチャート、図12(B)は運転制御装置1の動作を示すフローチャートである。
居住者や管理者は、設備機器4のグルーピング状態を確認したい場合、操作端末2の操作部21を操作して、グループ確認を要求する。操作端末2の指令信号生成部22は、居住者や管理者からグループ確認の要求があった場合(図12(A)ステップS400においてYES)、グループ確認指令信号を生成する(ステップS401)。グループ確認指令信号には、例えばグループを指定するグループ識別情報が含まれる。操作端末2の無線通信部20は、指令信号生成部22が生成したグループ確認指令信号を各運転制御装置1に無線送信する(ステップS402)。
【0069】
各運転制御装置1の無線通信部10は、操作端末2からのグループ確認指令信号を受信すると(図12(B)ステップS403においてYES)、このグループ確認指令信号を通知部14に渡す。通知部14は、受信したグループ確認指令信号が、自装置と接続された設備機器4が所属するグループに対するグループ確認指令信号である場合、自装置宛の信号と認識し(ステップS404においてYES)、例えばLEDを一定時間点滅させる(ステップS405)。こうして、本実施の形態では、同一グループに所属する運転制御装置1のLEDが一定時間点滅するので、居住者や管理者は、設備機器4のグルーピング状態を容易に確認することができる。
【0070】
従来、照明や空調のスイッチは壁面に設置されているが、スイッチとゾーンの対応関係が分かりにくい。これに対して、本実施の形態では、操作端末2とこれに対応する設備機器4のグループとの関係を容易に確認することができる。
【0071】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図13(A)、図13(B)は本発明の第5の実施の形態に係る運転制御装置1の構成を示す図であり、図13(A)は運転制御装置1を照明器具40に装着する前の状態を示し、図13(B)は運転制御装置1を照明器具40に装着した状態を示している。本実施の形態の運転制御装置1は、蛍光灯47を装着可能なソケット18と、照明器具40のソケット46と接続される端子19とを備えている。
【0072】
運転制御装置1の端子19を照明器具40のソケット46に接続して、運転制御装置1を照明器具40に装着したときに、蛍光灯47はソケット18および端子19を介して照明器具40と接続される。運転制御装置1は、照明器具40のソケット46から電力供給を受けて動作する。運転制御装置1の内部構成は、図2、図11に示したとおりである。こうして、本実施の形態では、既存の照明器具40のソケット46を利用して、照明器具40に運転制御装置1を追加することができる。
【0073】
図14(A)、図14(B)は本発明の第5の実施の形態に係る運転制御装置1の別の構成を示す図であり、図14(A)は運転制御装置1を照明器具40に装着する前の状態を示し、図14(B)は運転制御装置1を照明器具40に装着した状態を示している。この運転制御装置1は、蛍光灯48を装着可能なソケット50と、照明器具40のソケット46と接続される端子51とを備えている。
【0074】
図14(A)、図14(B)の例の場合、蛍光灯47よりも短い蛍光灯48を用いる。蛍光灯48の一端を運転制御装置1のソケット50に装着して、蛍光灯48の他端と運転制御装置1の端子51とを照明器具40のソケット46に装着する。これにより、上記と同様に、既存の照明器具40のソケット46を利用して、照明器具40に運転制御装置1を追加することができる。
【0075】
なお、第1〜第5の実施の形態では、発光装置の例として蛍光灯を例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、電球やLEDなどの発光装置を用いてもよいことは言うまでもない。
また、第1〜第5の実施の形態では、運転制御装置1に設備機器運転制御部11と設備機器出力制御部12の両方を設けているが、設備機器運転制御部11と設備機器出力制御部12のいずれか一方を設けて、設備機器のオン/オフ制御と出力制御のいずれか一方を行うようにしてもよい。
【0076】
さらに、第1〜第5の実施の形態では、グループ化に際して、設備機器4の識別番号を指定する方式としたが、必ずしもこの方式でなくてもよい。例えば、指向性の強い無線を操作端末2から設備機器4に向けることにより選択し、対象グループとするかどうかを指定するようにしてもよい。
また、第1〜第5の実施の形態では、操作端末2にて、操作したいグループの識別番号を指定したうえでオン・オフなどの操作を行うこととした。これにより、ひとつの操作端末2で複数のグループを操作でき、利便性を向上させているが、この方式に限定するものではない。操作端末2とグループとの対応を1:1として、グループの識別番号の指定を不要としてもよい。
【0077】
第1〜第5の実施の形態の運転制御装置1と操作端末2の各々は、CPU、記憶装置および外部とのインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。各々の装置のCPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1〜第5の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、設備機器の運転を制御する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…運転制御装置、1−1…親機、1−2…子機、2…操作端末、3…天井、4…設備機器、10…無線通信部、11…設備機器運転制御部、12…設備機器出力制御部、13…グループ設定部、14…通知部、15…流路、16…吹き口開閉部、17…人感センサ、18,46,50…ソケット、19,51…端子、20…無線通信部、21…操作部、22…指令信号生成部、23…グループ設定部、24…表示部、40…照明器具、41…運転制御装置装着部、42…空調給気吹出口、43…ダクト、44…流路、45…固定金具、47,48…蛍光灯。
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具や空調給気吹出口などの設備機器の運転を制御する運転制御システム、運転制御装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビルなどの建物の大規模な室内には、複数の空調給気吹出口や照明器具などの設備機器が設置される。設備機器の配置は、居住者が室内レイアウトを決定する以前に居住者の意志と関係なくあらかじめ決定される。これらの設備機器は適宜区分けされて、区分けされたゾーン毎に別々にオン/オフが可能なように設計される。
【0003】
このように、設備機器はゾーン単位で操作されるため、ゾーン内の一部に人がいない領域があったとしても空調や照明をオフにすることはできず、エネルギーの無駄が生じていた。そこで、照明器具に装着する調光センサ装置によって個別に調光ができるようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1に開示された技術は、調光センサ装置に人感センサや照度センサを設け、人の存否や周囲の明るさに応じて照明器具を個別に調光制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−12331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(A)設備機器が適宜区分けされる設計は、居住者が室内レイアウトを決定する以前に行なわれるため、実際に利用される際の利便性を反映したものにはなり難い。
(B)設備機器は、机や椅子のように居住者が配置を変更できるものとは異なり、天井や壁面に固定されるため、室内レイアウトの確定後あるいは変更後に都合よく配置変更できるものではない。
(C)設備機器は、机や椅子のように居住者が個別に占有して利用できるものとは異なり、適宜区分けされたゾーンの範囲で複数の居住者が共有するため、居住者の存在状況に応じて最適な使用状態を実現できるものではない。
(D)以上の(A)〜(C)の制約により、必要な室内環境を実現しながら使用エネルギーを最小化することなどが困難になる。
【0006】
(E)例えば、区分けされたゾーンが、本来なら10人で共有する設計であり、当該ゾーンには照明器具が8灯、空調吹出口が6台設置され、それら照明器具および空調吹出口が一括で制御される場合に、何らかの事情によりゾーンに1人しかいないという状況であっても、10人が存在する状況と同じエネルギー量を使用して必要な室内環境を維持しなければならない。すなわち、照明は8灯すべてが点灯しており、空調吹出口も6つすべてから給気が供給され、エネルギーは1人に必要な量よりも多く消費される。
【0007】
(F)また、例えば図15の平面図で示すように、空間200の内部に設備機器201が多数設置され、空間200が複数のゾーン202〜206に区分けされている場合を考える。ゾーン202と203に跨るようにして打合せ卓207が設置されると、打合せ卓207の人が不在で打合せ卓207の位置の設備機器201をオフにしたい場合でも、208,209の位置に人がいると、ゾーン202,203の設備機器201をオフにすることはできない。
【0008】
(G)居住者が設備機器を完全に個別に利用できる程度に区分け単位を細分化するようにあらかじめ設計すると、室内が不必要に過剰に細分化されてしまうこともあり得る。結果的に、使い分けが過度に煩雑になったり、設置コストが不必要に高くなったりするような弊害も生じる。
(H)また、区分け単位を後から細分化しようとすると、配線の変更や、機器全体の交換が必要となり、設備変更コストが多大となる。
【0009】
(I)特許文献1に開示された技術では、図16の平面図で示すように、空間210内の各照明器具211に調光センサ装置212を装着することにより、照明器具211を個別に調光制御できるようにしている。しかしながら、特許文献1に開示された技術では、調光センサ装置212を全照明器具211に装着することを前提としているため、設置コストが高くなるという問題点があった。また、室内を照明器具211毎に区分けすることになるので、室内を不必要に過剰に細分化してしまうという問題点があった。さらに、特許文献1に開示された技術では、動作モードを変更しようとすると、調光センサ装置212を照明器具211から取り外して再設定し、再度装着しなければならないという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、居住者が室内レイアウトを決定した後に実際に利用する際の利便性を反映させることができると共に、エネルギー使用量を抑制することができる運転制御システム、運転制御装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の運転制御システムは、設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置と、この運転制御装置に対して指令信号を送信する操作端末とを備え、前記運転制御装置は、前記操作端末から送信された指令信号を受信する通信手段を有すると共に、自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御手段と、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御手段とのうち少なくとも1つを有することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御システムの1構成例において、前記運転制御装置は、さらに、前記操作端末からの指令信号または前記操作端末との距離に応じて、設備機器をグループ化するグループ設定手段を有し、前記運転制御手段または前記出力制御手段は、自装置と接続された設備機器が所属するグループに対する前記指令信号を受信したときに、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の運転制御システムの1構成例において、前記運転制御装置は、さらに、人の存在を検知する人感センサを有し、前記運転制御手段または前記出力制御手段は、前記人感センサの検知結果に応じて、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御システムの1構成例において、前記運転制御装置は、さらに、設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を通知する通知手段を有することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御システムの1構成例において、前記設備機器は、照明器具であり、前記運転制御装置は、さらに、発光装置を装着可能なソケットと、前記照明器具への装着時に照明器具のソケットと接続される端子とを有することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置であって、操作端末から送信された指令信号を受信する通信手段を有すると共に、自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御手段と、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御手段とのうち少なくとも1つを有することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御装置の1構成例は、さらに、前記操作端末からの指令信号または前記操作端末との距離に応じて、設備機器をグループ化するグループ設定手段を有し、前記運転制御手段または前記出力制御手段は、自装置と接続された設備機器が所属するグループに対する前記指令信号を受信したときに、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の運転制御装置の1構成例は、さらに、人の存在を検知する人感センサを有し、前記運転制御手段または前記出力制御手段は、前記人感センサの検知結果に応じて、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御装置の1構成例は、さらに、設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を通知する通知手段を有することを特徴とするものである。
また、本発明の運転制御装置の1構成例は、前記設備機器が照明器具である場合に、発光装置を装着可能なソケットと、前記照明器具への装着時に照明器具のソケットと接続される端子とを有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の運転制御方法は、設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置が、操作端末から送信された指令信号を受信する受信ステップを備えると共に、前記運転制御装置が、自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御ステップと、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御ステップとのうち少なくとも1つを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、必要なところにのみ運転制御装置を簡単に追加することができ、運転制御装置を追加した設備機器をオン/オフ制御したり、出力制御したりすることができる。これにより、本発明では、設計時の設備機器の区分けとは無関係に、居住者の存在状況に応じて最適な使用状態を実現できるので、必要な室内環境を実現しながら使用エネルギーを最小化することができる。また、本発明では、居住者が室内レイアウトを決定した後に、実際に利用される際の利便性を反映できるので、居住者の利便性を向上させることができる。また、本発明では、室内の区分け単位を過剰に細分化する必要がなく、配線の変更や設備機器の交換をする必要もないので、コストの増加を最小限に抑えることができる。また、建物の施工者にとっては、利用者(居住者)からのクレームを減らすために区分けの検討に多大な時間を費やす必要性を軽減することができる。また、本発明では、操作端末から運転制御装置に対して指令信号を送信することができるので、居住者や管理者にとっての利便性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明では、複数の設備機器をグループ化することにより、複数の設備機器を一括してオン/オフ制御したり、出力制御したりすることができる。
【0018】
また、本発明では、運転制御装置に人感センサを設けることにより、人の存否に応じた設備機器の制御を実現することができる。
【0019】
また、本発明では、運転制御装置に設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を通知する通知手段を設けることにより、室内の居住者や管理者は、設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を容易に確認することができる。
【0020】
また、本発明では、運転制御装置に、発光装置を装着可能なソケットと、照明器具への装着時に照明器具のソケットと接続される端子とを設けることにより、既存の照明器具のソケットを利用して、照明器具に運転制御装置を追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る運転制御システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る運転制御システムの運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る運転制御システムの操作端末の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態において設備機器の1例である照明器具の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態において設備機器の1例である空調給気吹出口の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態において設備機器をグループ化する場合の操作端末および運転制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態において設備機器をオン/オフ制御する場合の操作端末および運転制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態において設備機器を出力制御する場合の操作端末および運転制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る運転制御システムの効果を説明する平面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る運転制御システムの構成を示す平面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る運転制御システムの親機の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態において設備機器のグルーピング状態を確認する場合の操作端末および運転制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る運転制御システムの運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る運転制御システムの運転制御装置の別の構成を示すブロック図である。
【図15】従来の問題点を説明する平面図である。
【図16】従来の別の問題点を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[発明の原理]
空調における調和空気搬送や照明における電力供給のように、空調や照明は建物自体の機能構成要素と結合して設置されなければならないものであるため、建物の機能として扱われなければならず、設備機器の設置は建築時に実施されなければならない。すなわち、空調給気吹出口や照明器具などの設備機器は、「固定物=固定されるべきもの」としての性質を持ち、この性質は避けられないものである。
【0023】
一方で、水道やガスのように限られた場所で短時間使用する設備とは異なり、空調給気吹出口や照明器具は、広範囲で長時間使用されるものであるため、室内の状況に応じて望まれる最適な状態は適宜変化するものである。すなわち、空調給気吹出口や照明器具などの設備機器は、「非固定物=固定されるべきではないもの」としての性質を併せ持つ。
【0024】
従来は、空調給気吹出口や照明器具などの設備機器について、「固定物」としての性質を重視していたので「非固定物」としての性質が犠牲になり、上記のような問題点が発生していたことに、発明者は着眼した。この着眼点に基づき、「固定物」として避けられない部分と「非固定物」として扱うべき部分を分離した構成を採用するべきであることに、発明者は想到した。
【0025】
具体的には、空調給気吹出口や照明器具などの設備機器の本体は従来どおりに設置し、居住者が占有したりレイアウトに応じて適宜区分けしたりするために必要な操作機能については、本体に着脱可能なように構成する。例えば、無線により居住者からの指令信号を受信して、空調や照明の状態を変化させる制御信号を本体に発信する運転制御装置を採用する。
【0026】
空調給気吹出口や照明器具などの本体は、運転制御装置を着脱可能とする取付部を有する構造にする。この場合、本体は「固定物」に相当し、運転制御装置は「非固定物」に相当する。利用者は、必要な箇所にのみ運転制御装置を取り付け、運用が変われば取り付け位置を変えることにより、レイアウト変化等に応じた柔軟な対応を行える。
【0027】
特許文献1に開示された調光センサ装置も着脱可能であるが、本発明の運転制御装置のように指令信号を無線で受信することはできず、本体から取り外して動作モードを再設定する必要があり、柔軟な運用ができない。
また、本発明では、運用の柔軟性をさらに向上させるため、運転制御装置に複数の設備機器をグループ化するグルーピング機能を持たせる。
【0028】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る運転制御システムの構成を示す図である。運転制御システムは、室内の天井3に設置された空調給気吹出口や照明器具などの設備機器4に対して着脱自在に装着される運転制御装置1と、運転制御装置1に対して指令信号を無線送信する操作端末2とから構成される。
【0029】
図2は運転制御装置1の構成を示すブロック図である。運転制御装置1は、操作端末2から無線送信された指令信号を受信すると共に、他の運転制御装置1との間で無線通信を行う無線通信部10と、自装置と接続された設備機器4のオン/オフを指令信号に応じて制御する設備機器運転制御部11と、自装置と接続された設備機器4の出力値を指令信号に応じて制御する設備機器出力制御部12と、設備機器4をグループ化するグループ設定部13と、設備機器4の運転状態や設備機器4のグルーピング状態を居住者や管理者に通知する通知部14とを有する。ここで、設備機器4が例えば空調給気吹出口であれば、設備機器運転制御部11、および設備機器出力制御部12は、例えばモータダンパである。モータダンパの開度を全閉とすることで給気風量はオフ状態となり、モータダンパの開度を比例的あるいは段階的に変更することで給気風量の出力を可変にすることができる。また、設備機器4が例えば照明器具であれば、設備機器4の出力値は光量である。設備機器運転制御部11は、例えばOn/Off接点リレーであり、設備機器出力制御部12は、光量度合いを示す信号出力装置、あるいは光量調整のための周波数変換装置である。
【0030】
図3は操作端末2の構成を示すブロック図である。操作端末2は、運転制御装置1に対して指令信号を無線送信する無線通信部20と、居住者や管理者からの指令を受け付けるための操作部21と、居住者や管理者の操作に応じた指令信号を生成する指令信号生成部22と、操作端末2を特定のグループに所属させるグループ設定部23と、居住者や管理者に対して情報を表示する表示部24とを有する。
【0031】
図4は設備機器4の1例である照明器具の構成を示す図である。照明器具40には、運転制御装置1を着脱自在に装着可能な運転制御装置装着部41が設けられている。運転制御装置装着部41に運転制御装置1が装着されると、運転制御装置装着部41に設けられた電源端子(不図示)と運転制御装置1の電源端子(不図示)とが接続され、さらに運転制御装置装着部41に設けられた通信端子(不図示)と運転制御装置1の通信端子(不図示)とが接続される。こうして、運転制御装置1は、照明器具40からの電力供給を受けて動作し、蛍光灯を装着するソケットと安定器との間の器具内配線を、ソケットと運転制御装置1とが接続されるように切り替えることにより、照明器具40のオン(点灯)/オフ(消灯)制御や、調光制御を行うことができるようになる。あるいは、照明器具40の安定器を制御する別配線を予め照明器具40に組み込んでおき、運転制御装置1がその配線と接続されるようにしてもよい。
【0032】
なお、本実施の形態では、運転制御装置1を運転制御装置装着部41に着脱し、照明のオン(点灯)/オフ(消灯)制御や、調光制御を行うようにしたが、光量を制御できる機構であれば、他の形態でも利用可能である。例えば、運転制御装置の機能を組み込んだソケットを既存ソケットと交換できるようにしてもよい。あるいは、安定器に運転制御装置の機能を組み込み、既存の照明安定器と交換してもよい。さらには、ソケットと安定器の配線上に運転制御装置を設置できるようにしてもよい。なお、ここで例示したものの中には簡易な器具内配線工事を伴う場合があるが、照明器具を跨ぐ電源配線の工事は不要であり、従来のシステムよりも配線工事の手間は少なく、十分な経済的メリットがある。
【0033】
図5は設備機器4の1例である空調給気吹出口の構成を示すブロック図である。空調給気吹出口42には、ダクト43から供給される給気が通る流路44と、運転制御装置1を着脱自在に装着可能な固定金具45とが設けられている。
運転制御装置1は、空調給気吹出口42に装着されると、空調給気吹出口42の一部となる構造をしており、給気が通る流路15と、風量制御のための吹き口開閉部16とを備えている。
【0034】
固定金具45に運転制御装置1が装着されると、空調給気吹出口42に設けられた電源端子(不図示)と運転制御装置1の電源端子(不図示)とが接続される。こうして、運転制御装置1は、空調給気吹出口42からの電力供給を受けて動作する。そして、ダクト43から供給される給気は、流路44,15を通って、吹き口開閉部16が作る開口部から室内に送り出される。
【0035】
このとき、運転制御装置1の設備機器運転制御部11と設備機器出力制御部12とは、吹き口開閉部16を上下動させて開口部の大きさを変えることにより、給気風量を増減することができ、給気風量0%(オフ)から100%まで任意の風量に設定することができる。こうして、運転制御装置1は、給気のオン/オフ制御や、給気風量制御を行うことができる。なお、本実施の形態では、吹き口開閉部16の上下動によって風量制御を行うようにしているが、これに限るものではなく、風量を制御できる機構であれば、利用可能である。例えば、吹出口に繋がるダクトにモータダンパ等の風量制御機構を装着するのでもよい。
【0036】
次に、本実施の形態の運転制御システムをより詳細に説明する。図6(A)、図6(B)は設備機器4をグループ化する場合の動作を示すフローチャートであり、図6(A)は操作端末2の動作を示すフローチャート、図6(B)は運転制御装置1の動作を示すフローチャートである。
【0037】
室内の居住者や管理者は、設備機器4をグループ化したい場合、操作端末2の操作部21を操作して、グループ化したい設備機器4を指定する。居住者や管理者は、グループ化したい設備機器4を、例えば設備機器4にあらかじめ割り当てられた識別番号で指定すればよい。
【0038】
操作端末2の指令信号生成部22は、居住者や管理者からグループ化の指令があったことを認識すると(図6(A)ステップS100においてYES)、指定された設備機器4をグループ化するためのグループ化指令信号を生成する(ステップS101)。このグループ化指令信号には、例えば設備機器4を指定する情報と、グループ識別情報とが含まれる。操作端末2の無線通信部20は、指令信号生成部22が生成したグループ化指令信号を各運転制御装置1に無線送信する(ステップS102)。
【0039】
各運転制御装置1の無線通信部10は、操作端末2からのグループ化指令信号を受信すると(図6(B)ステップS103においてYES)、このグループ化指令信号をグループ設定部13に渡す。グループ設定部13は、受信したグループ化指令信号が自装置と接続された設備機器4のグループ化を指令する信号である場合、自装置宛の信号と認識し(ステップS104においてYES)、自装置と接続された設備機器4が、グループ化指令信号のグループ識別情報で特定されるグループに所属する機器であることを示すグループ化設定情報を生成して記憶する(ステップS105)。
【0040】
こうして、居住者や管理者が指定した設備機器4が特定のグループに所属するグループ化が行われる。図1の例では、グループ5Aとグループ5Bの2つのグループが設定されている。
【0041】
なお、操作端末2を特定のグループに対応させたい場合、居住者や管理者は、操作端末2の操作部21を操作して、特定のグループに対応するよう指示する。操作端末2のグループ設定部23は、居住者や管理者からの指示に応じて、自装置が特定のグループに対応する装置であることを示すグループ化設定情報を生成して記憶する。以後、この操作端末2は、特定のグループに対してのみ操作を行う装置となる。
【0042】
図7(A)、図7(B)は設備機器4をオン/オフ制御する場合の動作を示すフローチャートであり、図7(A)は操作端末2の動作を示すフローチャート、図7(B)は運転制御装置1の動作を示すフローチャートである。
室内の居住者や管理者は、特定のグループの設備機器4をオンまたはオフにしたい場合、操作端末2の操作部21を操作して、オンまたはオフにしたいグループを指定する。居住者や管理者は、オンまたはオフにしたいグループを、例えば当該グループに割り当てられた識別番号で指定すればよい。また、居住者や管理者は、オンまたはオフにしたいグループに対応する特定の操作端末2を操作してもよい。
【0043】
操作端末2の指令信号生成部22は、居住者や管理者からオンまたはオフの指令があったことを認識すると(図7(A)ステップS200においてYES)、居住者や管理者から指定されたグループの設備機器4をオンにするためのオン指令信号、または指定されたグループの設備機器4をオフにするためのオフ指令信号を生成する(ステップS201)。操作端末2が特定のグループに対応している場合には、指令信号生成部22は、対応するグループの設備機器4をオンにするためのオン指令信号、または対応するグループの設備機器4をオフにするためのオフ指令信号を生成すればよい。オン指令信号またはオフ指令信号には、例えばグループを指定するグループ識別情報が含まれる。操作端末2の無線通信部20は、指令信号生成部22が生成したオン指令信号またはオフ指令信号を各運転制御装置1に無線送信する(ステップS202)。
【0044】
各運転制御装置1の無線通信部10は、操作端末2からのオン指令信号またはオフ指令信号を受信すると(図7(B)ステップS203においてYES)、このオン指令信号またはオフ指令信号を設備機器運転制御部11に渡す。設備機器運転制御部11は、受信したオン指令信号またはオフ指令信号が、自装置と接続された設備機器4が所属するグループのオンまたはオフを指令する信号である場合、自装置宛の信号と認識し(ステップS204においてYES)、オン指令信号またはオフ指令信号に従って、自装置と接続された設備機器4をオンまたはオフにする(ステップS205)。オン指令信号またはオフ指令信号が、自装置と接続された設備機器4が所属するグループのオンまたはオフを指令する信号であるか否かは、オン指令信号またはオフ指令信号に含まれるグループ識別情報と自装置のグループ設定部13が設定したグループ化設定情報とを比較することで判定できる。
【0045】
こうして、特定のグループの設備機器4のみをオン/オフ制御することができる。なお、設備機器4が複数のグループに所属する場合は、複数のグループに対する信号を総合的に判断して動作すればよい。すなわち、運転制御装置1の設備機器運転制御部11は、自装置と接続された設備機器4が所属する複数のグループのうち少なくとも1つのグループに対するオン指令信号を受信した場合、自装置と接続された設備機器4をオンにする。また、設備機器運転制御部11は、自装置と接続された設備機器4が所属する全てのグループに対するオフ指令信号を受信した場合、自装置と接続された設備機器4をオフにする。
【0046】
図8(A)、図8(B)は設備機器4を出力制御する場合の動作を示すフローチャートであり、図8(A)は操作端末2の動作を示すフローチャート、図8(B)は運転制御装置1の動作を示すフローチャートである。
室内の居住者や管理者は、特定のグループの設備機器4の出力値を調整したい場合、操作端末2の操作部21を操作して、調整したいグループを指定する。居住者や管理者は、調整したいグループを、例えば当該グループに割り当てられた識別番号で指定すればよい。また、居住者や管理者は、調整したいグループに対応する特定の操作端末2を操作してもよい。
【0047】
このとき、居住者や管理者は、調整したい出力値の増減方向だけを指定してもよいし、調整したい出力値の増減量を具体的に指定してもよい。出力値の増減方向だけを指定する場合、設備機器4が照明器具であれば、光量増加または光量減少を指定することになり、設備機器4が空調給気吹出口であれば、風量増加または風量減少を指定することになる。また、出力値の増減量を指定する場合、設備機器4が照明器具であれば、光量増加量(%)または光量減少量(%)を指定することになり、設備機器4が空調給気吹出口であれば、風量増加量(%)または風量減少量(%)を指定することになる。
【0048】
操作端末2の指令信号生成部22は、居住者や管理者から設備機器4の出力値調整の指令があったことを認識すると(図8(A)ステップS300においてYES)、居住者や管理者から指定されたグループの設備機器4の出力値を調整するための調整指令信号を生成する(ステップS301)。操作端末2が特定のグループに対応している場合には、指令信号生成部22は、対応するグループの設備機器4の出力値を調整するための調整指令信号を生成すればよい。調整指令信号には、例えばグループを指定するグループ識別情報と、出力値の増減方向を指定する増減方向情報とが含まれる。さらに、居住者や管理者から出力値の増減量が指定された場合、調整指令信号には、増減量情報が含まれる。操作端末2の無線通信部20は、指令信号生成部22が生成した調整指令信号を各運転制御装置1に無線送信する(ステップS302)。
【0049】
各運転制御装置1の無線通信部10は、操作端末2からの調整指令信号を受信すると(図8(B)ステップS303においてYES)、この調整指令信号を設備機器出力制御部12に渡す。設備機器出力制御部12は、受信した調整指令信号が、自装置と接続された設備機器4が所属するグループの出力値調整を指令する信号である場合、自装置宛の信号と認識し(ステップS304においてYES)、調整指令信号に従って、自装置と接続された設備機器4の出力値を調整する(ステップS305)。調整指令信号が、自装置と接続された設備機器4が所属するグループの出力値調整を指令する信号であるか否かは、調整指令信号に含まれるグループ識別情報と自装置のグループ設定部13が設定したグループ化設定情報とを比較することで判定できる。
【0050】
設備機器出力制御部12は、調整指令信号が増減量情報を含まない場合、設備機器4の出力値を、調整指令信号の増減方向情報に従って所定量だけ増加または減少させる。また、設備機器出力制御部12は、調整指令信号が増減量情報を含む場合、設備機器4の出力値を、増減量情報で指定された量だけ増加または減少させる。
【0051】
こうして、特定のグループの設備機器4のみを出力制御することができる。なお、設備機器4が複数のグループに所属する場合は、複数のグループに対する信号を総合的に判断して動作すればよい。すなわち、運転制御装置1の設備機器出力制御部12は、自装置と接続された設備機器4が所属する複数のグループに対する調整指令信号を受信した場合、各グループに対する増減量情報が指定する増減量の最大値、平均値、加重平均値または最小値を採用して増減量を決定し、自装置と接続された設備機器4の出力値を調整する。
【0052】
また、設備機器出力制御部12は、自装置と接続された設備機器4が所属する複数のグループに対する調整指令信号を受信したとき、調整指令信号に増減量情報が含まれていないときは、各グループに対する増減方向情報のうちの1つに従って増減方向を決定するか、あるいは各グループに対する増減方向情報の多数決をとって増減方向を決定し、自装置と接続された設備機器4の出力値を調整する。
【0053】
以上のように、本実施の形態では、必要なところにのみ運転制御装置1を簡単に追加することができ、運転制御装置1を追加した設備機器4をオン/オフ制御したり、出力制御したりすることができる。これにより、本実施の形態では、設計時の設備機器4の区分けとは無関係に、居住者の存在状況に応じて最適な使用状態を実現できるので、必要な室内環境を実現しながら使用エネルギーを最小化することができる。また、本実施の形態では、居住者が室内レイアウトを決定した後に、実際に利用される際の利便性を反映できるので、居住者の利便性を向上させることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、室内の区分け単位を過剰に細分化する必要がなく、配線の変更や設備機器4の交換をする必要もないので、コストの増加を最小限に抑えることができる。また、建物の施工者にとっては、利用者(居住者)からのクレームを減らすために区分けの検討に多大な時間を費やす必要性を軽減することができる。また、本実施の形態では、操作端末2から運転制御装置1に対して無線で指令信号を送信することができるので、居住者や管理者にとっての利便性を向上させることができる。さらに、本実施の形態では、複数の設備機器4をグループ化することにより、複数の設備機器4を一括してオン/オフ制御したり、出力制御したりすることができる。
【0055】
例えば図9の平面図で示すように、空間200の内部に設備機器4が多数設置され、空間200が複数のゾーン202〜206に予め区分けされている場合を考える。図15の場合と同様に、ゾーン202と203に跨るようにして打合せ卓207を設置するときに、打合せ卓207の位置の6個の設備機器4に運転制御装置1を装着しグループ化すれば、打合せ卓207の人が不在の場合、ゾーン202,203の人の存否に関係なく、打合せ卓207の位置の6個の設備機器4のみを1回の操作で一括してオフにすることができる。したがって、居住者は特に躊躇することなく、消灯という省エネルギー行動を行えるようになる。
【0056】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、設備機器4のグルーピングを居住者や管理者からの指示に従って行っているが、グルーピングを自動的に行ってもよい。
【0057】
例えば、各運転制御装置1のグループ設定部13は、特定のグループに対応する操作端末2からの距離に応じて、自装置と接続された設備機器4を自動的にグループ化する。無線信号を操作端末2に送信して、操作端末2から応答が戻ってくる時間を測定すれば、自装置と操作端末2との距離を算出することができる。運転制御装置1のグループ設定部13は、自装置が特定のグループに対応する操作端末2から一定の距離内にあると判断した場合、自装置と接続された設備機器4が、当該グループに所属する機器であることを示すグループ化設定情報を生成して記憶する。
【0058】
あるいは、グループ設定部13は、自装置が特定のグループに対応する操作端末2からの無線信号が到達する範囲内にある場合、自装置と接続された設備機器4が、当該グループに所属する機器であることを示すグループ化設定情報を生成して記憶する。
こうして、本実施の形態では、設備機器4を自動的にグループ化することができる。
【0059】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図10は本発明の第3の実施の形態に係る運転制御システムの構成を示す平面図である。本実施の形態の運転制御システムは、第1の実施の形態と同様に、運転制御装置1と操作端末2とから構成されるが、運転制御装置1には、各グループに1台だけ存在する親機1−1と、親機1−1に従って動作する子機1−2の区別がある。親機1−1と子機1−2とは、互いに無線通信することにより、連携した動作を実現する。
【0060】
図11は親機1−1の構成を示すブロック図である。親機1−1は、無線通信部10と、設備機器運転制御部11と、設備機器出力制御部12と、グループ設定部13と、通知部14と、近くに人がいるかどうかを検出する人感センサ17とを有する。人感センサ17は、例えば赤外線、超音波、可視光などを用いて人の存在を検知するものである。また、人が携帯する無線タグを検知する場合も、ここでいう人感センサ47に含む。
【0061】
子機1−2は、親機1−1と同様の構成を有するが、親機1−1のものよりも感度が落ちる人感センサ17を用いている。こうして、親機1−1にはコストが高めの高感度の人感センサ17を用い、子機1−2には感度はあまりよくないが低コストの人感センサ17を用いることにより、システム全体のコストを低減させることができる。
【0062】
設備機器4のグルーピングは、第1の実施の形態で説明した手動のグルーピングで行ってもよいし、第2の実施の形態で説明した自動のグルーピングで行ってもよい。
親機1−1は、第1の実施の形態で説明した運転制御装置1と同様に、自装置と接続された設備機器4が所属するグループに対する指令信号に応じて、設備機器4をオン/オフ制御したり、出力制御したりする。
【0063】
また、親機1−1は、人感センサ17の検知結果に応じて、設備機器4をオン/オフ制御したり、出力制御したりする。例えば、親機1−1の設備機器運転制御部11は、人感センサ17が人の存在を検知した場合、自装置と接続された停止中の設備機器4をオンにし、人感センサ17が人の存在を検知しなかった場合、自装置と接続された運転中の設備機器4をオフにする。あるいは、親機1−1の設備機器出力制御部12は、人感センサ17が人の存在を検知しなかった場合、自装置と接続された設備機器4の出力値を所定量だけ減少させる。
【0064】
一方、子機1−2は、親機1−1と同様に、自装置と接続された設備機器4が所属するグループに対する指令信号、または人感センサ17の検知結果に応じて、設備機器4をオン/オフ制御したり、出力制御したりするが、このとき親機1−1の動作を加味した上で動作する。すなわち、子機1−2は、同じグループに所属する親機1−1が設備機器4をオン/オフ制御したり、出力制御したりしている場合、自装置と接続された設備機器4を同様にオン/オフ制御したり、出力制御したりする。親機1−1が同じグループに所属するか否かは、親機1−1と通信を行って、親機1−1のグループ設定部13が設定したグループ化設定情報と自装置のグループ設定部13が設定したグループ化設定情報とを比較することで判定できる。このように、親機1−1の動作を加味した上で動作する理由は、子機1−2に搭載された人感センサ17の感度がよくないために誤認識である可能性があるからである。
【0065】
なお、人感センサ17は、第1、第2の実施の形態で説明した運転制御装置1に加えてもよい。これにより、第1、第2の実施の形態において、人感センサ17の検知結果に応じた設備機器4の制御を実現することができる。
【0066】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、運転制御システムの構成は第1〜第3の実施の形態と同様であるので、図1〜図3、図11の符号を用いて説明する。本実施の形態は、設備機器4の運転状態あるいはグルーピング状態を居住者や管理者に通知するものである。
【0067】
運転制御装置1の通知部14は、設備機器4のオン(運転)/オフ(停止)状態、あるいは出力値を表示する。出力値の表示は、例えば設備機器4が空調給気吹出口の場合、風量を数値で表示してもよいし、風量を段階表示してもよい。特に、空調給気吹出口などの場合、運転中かどうかを確認しにくいが、通知部14による表示を行うことにより、居住者や管理者は、設備機器4が運転中かどうかを容易に確認することができる。
【0068】
図12(A)、図12(B)は設備機器4のグルーピング状態を確認する場合の動作を示すフローチャートであり、図12(A)は操作端末2の動作を示すフローチャート、図12(B)は運転制御装置1の動作を示すフローチャートである。
居住者や管理者は、設備機器4のグルーピング状態を確認したい場合、操作端末2の操作部21を操作して、グループ確認を要求する。操作端末2の指令信号生成部22は、居住者や管理者からグループ確認の要求があった場合(図12(A)ステップS400においてYES)、グループ確認指令信号を生成する(ステップS401)。グループ確認指令信号には、例えばグループを指定するグループ識別情報が含まれる。操作端末2の無線通信部20は、指令信号生成部22が生成したグループ確認指令信号を各運転制御装置1に無線送信する(ステップS402)。
【0069】
各運転制御装置1の無線通信部10は、操作端末2からのグループ確認指令信号を受信すると(図12(B)ステップS403においてYES)、このグループ確認指令信号を通知部14に渡す。通知部14は、受信したグループ確認指令信号が、自装置と接続された設備機器4が所属するグループに対するグループ確認指令信号である場合、自装置宛の信号と認識し(ステップS404においてYES)、例えばLEDを一定時間点滅させる(ステップS405)。こうして、本実施の形態では、同一グループに所属する運転制御装置1のLEDが一定時間点滅するので、居住者や管理者は、設備機器4のグルーピング状態を容易に確認することができる。
【0070】
従来、照明や空調のスイッチは壁面に設置されているが、スイッチとゾーンの対応関係が分かりにくい。これに対して、本実施の形態では、操作端末2とこれに対応する設備機器4のグループとの関係を容易に確認することができる。
【0071】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図13(A)、図13(B)は本発明の第5の実施の形態に係る運転制御装置1の構成を示す図であり、図13(A)は運転制御装置1を照明器具40に装着する前の状態を示し、図13(B)は運転制御装置1を照明器具40に装着した状態を示している。本実施の形態の運転制御装置1は、蛍光灯47を装着可能なソケット18と、照明器具40のソケット46と接続される端子19とを備えている。
【0072】
運転制御装置1の端子19を照明器具40のソケット46に接続して、運転制御装置1を照明器具40に装着したときに、蛍光灯47はソケット18および端子19を介して照明器具40と接続される。運転制御装置1は、照明器具40のソケット46から電力供給を受けて動作する。運転制御装置1の内部構成は、図2、図11に示したとおりである。こうして、本実施の形態では、既存の照明器具40のソケット46を利用して、照明器具40に運転制御装置1を追加することができる。
【0073】
図14(A)、図14(B)は本発明の第5の実施の形態に係る運転制御装置1の別の構成を示す図であり、図14(A)は運転制御装置1を照明器具40に装着する前の状態を示し、図14(B)は運転制御装置1を照明器具40に装着した状態を示している。この運転制御装置1は、蛍光灯48を装着可能なソケット50と、照明器具40のソケット46と接続される端子51とを備えている。
【0074】
図14(A)、図14(B)の例の場合、蛍光灯47よりも短い蛍光灯48を用いる。蛍光灯48の一端を運転制御装置1のソケット50に装着して、蛍光灯48の他端と運転制御装置1の端子51とを照明器具40のソケット46に装着する。これにより、上記と同様に、既存の照明器具40のソケット46を利用して、照明器具40に運転制御装置1を追加することができる。
【0075】
なお、第1〜第5の実施の形態では、発光装置の例として蛍光灯を例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、電球やLEDなどの発光装置を用いてもよいことは言うまでもない。
また、第1〜第5の実施の形態では、運転制御装置1に設備機器運転制御部11と設備機器出力制御部12の両方を設けているが、設備機器運転制御部11と設備機器出力制御部12のいずれか一方を設けて、設備機器のオン/オフ制御と出力制御のいずれか一方を行うようにしてもよい。
【0076】
さらに、第1〜第5の実施の形態では、グループ化に際して、設備機器4の識別番号を指定する方式としたが、必ずしもこの方式でなくてもよい。例えば、指向性の強い無線を操作端末2から設備機器4に向けることにより選択し、対象グループとするかどうかを指定するようにしてもよい。
また、第1〜第5の実施の形態では、操作端末2にて、操作したいグループの識別番号を指定したうえでオン・オフなどの操作を行うこととした。これにより、ひとつの操作端末2で複数のグループを操作でき、利便性を向上させているが、この方式に限定するものではない。操作端末2とグループとの対応を1:1として、グループの識別番号の指定を不要としてもよい。
【0077】
第1〜第5の実施の形態の運転制御装置1と操作端末2の各々は、CPU、記憶装置および外部とのインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。各々の装置のCPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1〜第5の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、設備機器の運転を制御する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…運転制御装置、1−1…親機、1−2…子機、2…操作端末、3…天井、4…設備機器、10…無線通信部、11…設備機器運転制御部、12…設備機器出力制御部、13…グループ設定部、14…通知部、15…流路、16…吹き口開閉部、17…人感センサ、18,46,50…ソケット、19,51…端子、20…無線通信部、21…操作部、22…指令信号生成部、23…グループ設定部、24…表示部、40…照明器具、41…運転制御装置装着部、42…空調給気吹出口、43…ダクト、44…流路、45…固定金具、47,48…蛍光灯。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置と、
この運転制御装置に対して指令信号を送信する操作端末とを備え、
前記運転制御装置は、
前記操作端末から送信された指令信号を受信する通信手段を有すると共に、
自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御手段と、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御手段とのうち少なくとも1つを有することを特徴とする運転制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の運転制御システムにおいて、
前記運転制御装置は、さらに、前記操作端末からの指令信号または前記操作端末との距離に応じて、設備機器をグループ化するグループ設定手段を有し、
前記運転制御手段または前記出力制御手段は、自装置と接続された設備機器が所属するグループに対する前記指令信号を受信したときに、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とする運転制御システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の運転制御システムにおいて、
前記運転制御装置は、さらに、人の存在を検知する人感センサを有し、
前記運転制御手段または前記出力制御手段は、前記人感センサの検知結果に応じて、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とする運転制御システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の運転制御システムにおいて、
前記運転制御装置は、さらに、設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を通知する通知手段を有することを特徴とする運転制御システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の運転制御システムにおいて、
前記設備機器は、照明器具であり、
前記運転制御装置は、さらに、発光装置を装着可能なソケットと、前記照明器具への装着時に照明器具のソケットと接続される端子とを有することを特徴とする運転制御システム。
【請求項6】
設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置であって、
操作端末から送信された指令信号を受信する通信手段を有すると共に、
自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御手段と、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御手段とのうち少なくとも1つを有することを特徴とする運転制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の運転制御装置において、
さらに、前記操作端末からの指令信号または前記操作端末との距離に応じて、設備機器をグループ化するグループ設定手段を有し、
前記運転制御手段または前記出力制御手段は、自装置と接続された設備機器が所属するグループに対する前記指令信号を受信したときに、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とする運転制御装置。
【請求項8】
請求項6または7記載の運転制御装置において、
さらに、人の存在を検知する人感センサを有し、
前記運転制御手段または前記出力制御手段は、前記人感センサの検知結果に応じて、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とする運転制御装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の運転制御装置において、
さらに、設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を通知する通知手段を有することを特徴とする運転制御装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1項に記載の運転制御装置において、
前記設備機器が照明器具である場合に、発光装置を装着可能なソケットと、前記照明器具への装着時に照明器具のソケットと接続される端子とを有することを特徴とする運転制御装置。
【請求項11】
設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置が、操作端末から送信された指令信号を受信する受信ステップを備えると共に、
前記運転制御装置が、自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御ステップと、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御ステップとのうち少なくとも1つを備えることを特徴とする運転制御方法。
【請求項1】
設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置と、
この運転制御装置に対して指令信号を送信する操作端末とを備え、
前記運転制御装置は、
前記操作端末から送信された指令信号を受信する通信手段を有すると共に、
自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御手段と、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御手段とのうち少なくとも1つを有することを特徴とする運転制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の運転制御システムにおいて、
前記運転制御装置は、さらに、前記操作端末からの指令信号または前記操作端末との距離に応じて、設備機器をグループ化するグループ設定手段を有し、
前記運転制御手段または前記出力制御手段は、自装置と接続された設備機器が所属するグループに対する前記指令信号を受信したときに、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とする運転制御システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の運転制御システムにおいて、
前記運転制御装置は、さらに、人の存在を検知する人感センサを有し、
前記運転制御手段または前記出力制御手段は、前記人感センサの検知結果に応じて、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とする運転制御システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の運転制御システムにおいて、
前記運転制御装置は、さらに、設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を通知する通知手段を有することを特徴とする運転制御システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の運転制御システムにおいて、
前記設備機器は、照明器具であり、
前記運転制御装置は、さらに、発光装置を装着可能なソケットと、前記照明器具への装着時に照明器具のソケットと接続される端子とを有することを特徴とする運転制御システム。
【請求項6】
設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置であって、
操作端末から送信された指令信号を受信する通信手段を有すると共に、
自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御手段と、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御手段とのうち少なくとも1つを有することを特徴とする運転制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の運転制御装置において、
さらに、前記操作端末からの指令信号または前記操作端末との距離に応じて、設備機器をグループ化するグループ設定手段を有し、
前記運転制御手段または前記出力制御手段は、自装置と接続された設備機器が所属するグループに対する前記指令信号を受信したときに、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とする運転制御装置。
【請求項8】
請求項6または7記載の運転制御装置において、
さらに、人の存在を検知する人感センサを有し、
前記運転制御手段または前記出力制御手段は、前記人感センサの検知結果に応じて、自装置と接続された設備機器を制御することを特徴とする運転制御装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の運転制御装置において、
さらに、設備機器の運転状態や設備機器のグルーピング状態を通知する通知手段を有することを特徴とする運転制御装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1項に記載の運転制御装置において、
前記設備機器が照明器具である場合に、発光装置を装着可能なソケットと、前記照明器具への装着時に照明器具のソケットと接続される端子とを有することを特徴とする運転制御装置。
【請求項11】
設備機器に対して着脱自在に装着可能な運転制御装置が、操作端末から送信された指令信号を受信する受信ステップを備えると共に、
前記運転制御装置が、自装置と接続された設備機器のオン/オフを前記指令信号に応じて制御する運転制御ステップと、自装置と接続された設備機器の出力値を前記指令信号に応じて制御する出力制御ステップとのうち少なくとも1つを備えることを特徴とする運転制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−32044(P2012−32044A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170345(P2010−170345)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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