説明

過剰圧力開放機構付きの噴霧装置

【課題】 噴霧される内容物を収納した容器本体内を一定圧に制御し、過剰圧力になることを防止し、装置の安全性の向上を図る。
【解決手段】 噴霧される内容物2を収納する容器本体1内に、炭酸ガスが充填された圧力媒体収納容器3を設け、この圧力媒体収納容器に設けたバルブ機構23を制御して容器本体1内に圧力媒体を放出し、内容物を噴射機構16から噴射する。バルブ機構を操作するバルブ操作機構15は、コイルバネ72の付勢力を受けて押圧付勢されて噴射孔24を閉塞するニードルバルブ34をその付勢力に抗して押圧操作して噴射孔24を開放操作するピストン51を設け、このピストンが進退するシリンダー部21に、ピストンによる密閉状態を開放するピストン開放部64を設け、ピストンがこのピストンを押圧する付勢力に抗してシリンダー部21内を移動し、ピストン開放部64に移動されたとき、シリンダー部を開放して大気に連通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に収納した薬剤、化粧品、殺虫剤などの内容物を、容器本体内に配設した圧力媒体収納容器から吐出される圧力媒体の作用を受けて噴霧するようにした噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、密閉された容器に収納された薬剤、化粧品、殺虫剤などの内容物を噴霧する噴霧装置が広く用いられている。
【0003】
この種の噴霧装置として、密閉した容器内に噴霧すべき内容物と圧力の高い圧縮ガスなどの圧力媒体を封入しておき、必要に応じて噴射ノズルを開放することによって、圧力媒体の作用により、内容物を外部空間に放出するようにしたエアゾール装置が広く用いられている。
【0004】
このような内容物と噴霧のための圧力媒体とを一つの容器に収納したエアゾール装置にあっては、最適の噴霧圧力を長時間に亘って維持することが困難である。また、内容物の噴射に伴い、容器の内圧が降下し、最初から最後まで均等な噴射量を得ることが困難となってしまっている。
【0005】
このような内容物の噴射に伴い、容器の内圧が降下することにより、均等な噴射量が維持できなくなってしまう問題点を解消するため、内容物を収納した容器内に、圧力媒体としての圧縮ガスを充填した圧縮ガス収納容器を設け、この容器に設けた開閉弁を開閉制御することによって圧縮ガスを容器内に放出し、収納容器内の圧力を高めることによって、噴霧に必要な内圧を得るようにしたものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−319649号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した内容物を収納した容器内に、開閉弁を設けた圧縮ガス収納容器を配設した噴霧装置にあっては、適宜開閉弁を操作して圧縮ガスを容器内に放出する操作を手動で行う必要があり、確実に噴霧に必要な内圧を維持することが困難である。
【0008】
このような問題点を解決するため、本発明者等は、内容物を収納した容器内の圧力の変化に応じて、容器内に収納した圧縮ガス収納容器に設けたバルブ機構を自動的に開閉制御し、常時容器内を一定の圧力に維持するようにした装置が考えられる。
【0009】
このような噴霧装置にあっては、容器の内圧の変化に応じて自動的に圧縮ガス収納容器から圧縮ガスが吐出されるため、保管環境の温度変化や、圧縮ガスの過剰吐出により容器内が過剰圧力状態になってしまう虞がある。
【0010】
そこで、本発明の技術課題は、内容物を収納した容器内に収納した圧力媒体収納容器から圧力媒体を吐出して、容器内の内容物を噴霧するようにした噴霧装置において、容器内を一定圧力に制御し、過剰圧力になることを防止し、装置の安全性の向上を達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述したような課題を達成するために提案される本発明に係る噴霧装置は、噴霧される内容物を収納する容器本体と、上記容器本体内に配設され、圧力媒体が充填される圧力媒体収納容器と、上記圧力媒体収納容器内に進退可能に配設され、上記圧力媒体収納容器に充填される圧力媒体を吐出させる噴射孔を開閉するニードルバルブとこのニードルバルブを上記噴射孔を閉塞する方向に付勢する付勢部材とを有するバルブ機構と、上記ニードルバルブを上記付勢部材の付勢力に抗して移動させることで、上記噴射孔を開放して、上記圧力媒体収納容器に充填された圧力媒体を容器本体内へ吐出させるバルブ操作機構と、上記バルブ操作機構が操作されることで上記圧力媒体収納容器から吐出される圧力媒体の作用により、上記容器本体内の内容物を上記容器本体の外部に噴射させる噴射機構と、上記圧力媒体収納容器が連結されるとともに上記バルブ操作機構が配設される第1のシリンダー部と上記噴射機構が配設される第2のシリンダー部とが並列して設けられるシリンダー部材と、上記容器本体の開口部に取り付けられ、上記シリンダー部材を支持するキャップ部材とを備える。この噴霧装置において、上記バルブ操作機構に、さらなる付勢部材の付勢力を受けて上記第1のシリンダー部内を進退するピストンを設け、上記第1のシリンダー部の側壁に外気と連通するピストン開放部を設け、上記ピストンが容器本体内の圧力によりピストンを押圧するさらなる付勢部材の付勢力に抗して上記第1のシリンダー部内を移動し、上記ピストン開放部に達したときとき、上記第1のシリンダー部を開放して大気に連通させる。
【0012】
ここで、上記ピストン開放部は、上記第1のシリンダー部の上記ピストンにより密閉される部分より大きな断面積内周径を有する径大部として形成されている。
【0013】
上記ピストンを付勢するさらなる付勢部材は、上記ピストンと上記キャップ部材との間に配設され、上記ニードルバルブを付勢する付勢部材の付勢力より大きな付勢力を有し、上記ニードルバルブを、上記噴射孔を開放する方向に付勢している。
【0014】
上記ニードルバルブは、テーパ状に形成された封止部を有し、上記封止部が上記噴射孔に嵌合してこの噴射孔を閉塞し、上記封止部の上記噴射孔に対する進入量が変化することにより、上記噴射孔の開口率を変化させている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、容器本体内に設けた圧力媒体収納容器に充填された圧力媒体の吐出を制御するバルブ操作機構のピストンが進退する第1のシリンダー部が過剰圧力になったとき、ピストンが第1のシリンダー部のピストン開放部に移動し、第1のシリンダー部を開放して大気圧とすることができるので、保管環境の温度変化や、圧縮ガスの過剰吐出により容器内が過剰圧力状態になってしまうことを防止でき、装置の安全性の向上を図ることができる。
【0016】
また、本発明は、バルブ操作機構のピストンは、付勢部材により付勢されて噴射孔を付勢する方向に移動されるニードルバルブを、さらなる付勢部材の付勢力により押圧操作して噴射孔を開放するようにしているので、ピストンを付勢する付勢部材とニードルバルブを付勢する付勢部材の付勢力の選択により、噴射孔に対するニードルバルブの進入量を一定に制御することが可能となり、圧力媒体の吐出量を制御して、容器本体内を一定の圧力に制御することができる。
【0017】
さらに、ニードルバルブは、テーパ状に形成された封止部の噴射孔に対する進入量が変化させることにより噴射孔の開口率を制御して圧力媒体の吐出量を制御できるので、容器本体内の圧力の変化に応じて圧力媒体の吐出量を制御し、容器本体内の圧力を一定レベルに制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明を適用した噴霧装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明を適用した噴霧装置の内部構造を示す断面図である。
【図3】図3は、容器本体に収納配設されるシリンダー部材とキャップ部材を示す斜視図である。
【図4】図4は、圧力媒体収納容器を示す斜視図である。
【図5】図5は、圧力媒体収納容器を構成するヘッド部と、このヘッド部に配設されるバルブ機構を示す断面図である。
【図6】図6は、バルブ操作機構の固定が解除され、バルブ機構のニードルバルブが押圧操作されて圧力媒体収納容器の噴射孔が開放された状態を示す噴霧装置の断面図である。
【図7】図7は、噴射ノズルを介してステムが押圧操作されて内容物を噴射する状態を示す噴霧装置の断面図である。
【図8】図8は、ピストンが第1のシリンダー部のピストン開放部へ移動され、第1のシリンダー部を大気に開放して過剰圧力状態を開放した状態を示す噴霧装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した噴霧装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明が適用される噴霧装置は、容器本体に収納した薬剤、化粧品、殺虫剤などの内容物を、圧縮され液化された炭酸ガスや窒素ガスなどの圧力媒体の作用により外部に噴霧するようにしたものである。
【0020】
本発明が適用された噴霧装置は、図1及び図2に示すように、外装容器として機能する容器本体1を備え、この容器本体1内に噴霧される内容物2とともに、この内容物2に圧力を付与する圧力媒体が充填された圧力媒体収納容器3を収納している。
【0021】
容器本体1は、合成樹脂の成型体によって構成され、上部に開口部4が設けられた円筒状のシリンダー支持部5が一体に形成されている。このシリンダー支持部5には、図2に示すように、シリンダー部材6が嵌合するように取り付けられている。
【0022】
このシリンダー部材6は、図2及び図3に示すように、シリンダー支持部5の開口部4の内周側に嵌合する円筒状の嵌合部7が設けられて、この嵌合部7の上端側の外周囲にリング状のフランジ部8を突設している。そして、シリンダー部材6は、図2に示すように、嵌合部7を開口部4の内周側に嵌合し、フランジ部8をシリンダー支持部5の上端面に当接して取り付けられる。シリンダー部材6は、フランジ部8がシリンダー支持部5の上端面に当接することにより、シリンダー支持部5に対する取付位置が規制される。
【0023】
また、シリンダー部材6は、容器本体1の開口部4に取り付けられたとき、この開口部4を密閉する。本実施の形態においては、図3に示すように、嵌合部7の外周面にリング状に数条の突条部9が設けられ、これら突条部9が変形しながら開口部4の内周側に密接して嵌合することによって開口部4を密閉する。
【0024】
なお、シリンダー部材6は、合成樹脂製の容器本体1に設けた開口部4に密嵌して取り付けられるようにするため、さらには、製造の容易性を考慮して、合成樹脂材料により形成することが望ましい。
【0025】
そして、シリンダー支持部5に嵌合するように取り付けられたシリンダー部材6は、シリンダー支持部5の上端部の外周側に嵌合されるキャップ部材10により支持されることにより、シリンダー支持部5からの抜け止めが図られて取り付けられる。
【0026】
キャップ部材10は、図3に示すように、支持部5の外周側に嵌合する円筒状の嵌合部11と、この嵌合部11の上端側を閉塞する天板部12を備える。嵌合部11の内周面側には、支持部5の外周面に形成したネジ部13に螺合するネジ部14が形成されている。このキャップ部材10は、支持部5のネジ部13にネジ部14を螺合させて取り付けられることにより、支持部5に対し確実に保持されて取り付けることができる。
【0027】
そして、シリンダー支持部5に取り付けられたシリンダー部材6は、シリンダー支持部5に嵌合されたキャップ部材10の天板部12によりフランジ部8が支持されることにより、シリンダー支持部5からの抜け止めが図られて取り付けられる。
【0028】
ところで、シリンダー部材6は、キャップ部材10に対し位置決めして取り付けられ、その回転方向の相対的位置関係が固定される。これは、後述するように、シリンダー部材6に取り付けられ、キャップ部材10を介して外方に臨まされるバルブ操作機構15や噴射機構16のキャップ部材10に対する取付位置を位置決めするためである。
【0029】
シリンダー部材6のキャップ部材10に対する取付位置の位置決めは、シリンダー部材6の上端面に一対ずつの係合爪片17a,17b及び18a,18bを二組設け、これら係合爪片17a,17b及び18a,18bをキャップ部材10の天板部12に設けた係合孔19,20に挿通係合させることによって行われる。
【0030】
なお、本実施の形態において、シリンダー部材6は、係合爪片17a,17b及び18a,18bを係合孔19,20に挿通係合させ、キャップ部材10に位置決めして取り付けた状態で、キャップ部材10とともに容器本体1の開口部4に取り付けられる。すなわち、シリンダー部材6は、キャップ部材10と一体化された状態で、嵌合部7を開口部4の内周側に嵌合させながらキャップ部材10がシリンダー支持部5に嵌合されることにより容器本体1に取り付けられる。
【0031】
上述のように容器本体1の開口部4に取り付けられるシリンダー部材6には、図2及び図3に示すように、第1のシリンダー部21と第2のシリンダー部22とが並列して一体に形成されている。第1のシリンダー部21には、圧力媒体として例えば炭酸ガスを充填した圧力媒体収納容器3が連結されるとともに、この圧力媒体収納容器3内に設けられたバルブ機構23を操作し、圧力媒体収納容器3に設けた噴射孔24を開放操作するバルブ操作機構15が収納され配設されている。
【0032】
第1のシリンダー部21に連結される圧力媒体収納容器3は、図2、図4に示すように、圧力媒体である炭酸ガスが充填される収納体26と、この収納体26に一体的に結合されて上記収納体26を密閉する合成樹脂製のヘッド部27とを備える。
【0033】
収納体26は、合成樹脂材料を成型することによって形成され、図2、図4に示すように、有底の筒状に形成されている。この収納体26は、液化炭酸ガスを充填するに足る強度を有するように形成されてなるものであって、本実施の形態においては、収納体本体28を円筒状に形成し、底部を半球状の膨出部29として形成している。
【0034】
なお、収納体26の上端部は、開口部30とされ、この開口部30には、ヘッド部27が嵌合するように一体に取り付けられる。
【0035】
収納体26の開口部30側に取り付けられるヘッド部27も、合成樹脂材料を成型することによって形成されてなるものであって、上端部側を先端側に向かって徐々に縮径するようにした円筒状のヘッド部本体31を備える。ヘッド部27も、ヘッド部本体31を円筒状に形成し、上端側を徐々に縮径するように形成することにより、液化炭酸ガスの圧力が周壁に均等に加わるようにし、圧力の集中部分を解消するようにしている。
【0036】
そして、ヘッド部27の上端部側の中心部には、図4、図5に示すように、ヘッド部本体31より小径の筒状の突出部32が形成され、この突出部32の上端部側には、ヘッド部27内に設けられるバルブ機構23によって開閉される噴射孔24が形成されている。この噴射孔24は、突出部32の内周側に突設したリング状の突片33の中心孔をもって構成されている。
【0037】
ヘッド部27に設けられた噴射孔24を開閉するバルブ機構23は、噴射孔24に嵌合してこの噴射孔24を閉塞するニードルバルブ34と、このニードルバルブ34を付勢する付勢手段としての第1のコイルバネ35とを備える。
【0038】
ニードルバルブ34は、金属などによって細い軸状の部材として形成され、図5に示すように、先端部側に、噴射孔24に嵌合しこの噴射孔24を閉塞する封止部36が設けられている。この封止部36は、ニードルバルブ34の基端部側から先端部側に向かって徐々に縮径するように形成されている。そして、ニードルバルブ34は、図2に示すように、ヘッド部27内に設けられた円筒状の移動ガイド部37内に進退自在に配設され、この移動ガイド部37内を進退することによって噴射孔24を開閉する。
【0039】
なお、封止部36は、基端部側から先端部側に向かって徐々に縮径するようにテーパ状に形成されているので、噴射孔24に対する進入量に応じて、噴射孔24の開口量を変化させることができる。そのため、ニードルバルブ34の噴射孔24に対する進入量を制御することで、収納体26から吐出する圧力媒体の吐出量を制御し、その圧力を可変制御することができる。
【0040】
ところで、ニードルバルブ34は、移動ガイド部37内に配設され、この移動ガイド部37によって移動方向が規制されて移動する移動体38に取り付けられ、この移動体38と一体に、噴射孔24に対し進退する方向の図2中矢印Y1方向又は矢印Y2方向に移動可能とされてヘッド部27内に配設されている。
【0041】
ニードルバルブ34を支持した移動体38は、図2に示すように、ニードルバルブ34の先端部側に形成した封止部36を噴射孔24に挿通させて移動ガイド部37内に収納されるように配設されている。そして、移動体38は、この移動体38と移動ガイド部37との間に配設された第1のコイルバネ35により、図2中矢印Y1方向に移動付勢されている。すなわち、移動体38は、この移動体38に支持されたニードルバルブ34の先端側の封止部36が噴射孔24に進入し突出する方向に付勢されている。
【0042】
なお、第1のコイルバネ35は、図2に示すように、移動体38の中途部に形成した係止段部38a(図5参照)と、移動ガイド部37の基端部側に嵌合されたバネ支持部材40との間に配設されることにより、封止部36が噴射孔24に嵌合して密閉する方向に移動体38を付勢している。なお、バネ支持部材40には、圧力媒体収納容器3に充填された炭酸ガスをヘッド部27側に導出するためのガス流通孔41が設けられている。
【0043】
また、ニードルバルブ34は、先端側から基端側に向かって徐々に径が太くなる封止部36の中途部が噴射孔24を密閉するように嵌合して係止されたとき、封止部36の先端部が噴射孔24から所定量突出するような長さに形成されている。そして、ニードルバルブ34の噴射孔24から突出する部分は、ニードルバルブ34を第1のコイルバネ35の付勢力に抗して押圧操作するバルブ操作機構15によって操作される押圧操作部42として用いられる。
【0044】
そして、ヘッド部27の上端部には、図4、図5に示すように、噴射孔24から突出するニードルバルブ34の先端部を囲むように保護筒43が設けられている。さらに、保護筒43の上端面には、複数の係止爪44が突設されている。これら係止爪44は、同心円状に形成されて、互いに近接離間する方向に弾性変位可能とされている。そして、複数の係止爪44は、この圧力媒体収納容器3を第1のシリンダー部21に連結するための連結手段を構成する。
【0045】
上述したように、バルブ機構23を内蔵したヘッド部27は、図2に示すように、ヘッド部本体31の下端部に形成した嵌合突部45を収納体26の開口部30に嵌合し、ヘッド部31の下端部側の外周囲に突設した係止片46を収納体26の開口部30の周縁の上端面に当接させ、収納体26に組み付けられ、係止片46を開口部30の上端面に溶着することにより収納体26に一体に組み合わせられ、圧力媒体収納容器3を構成する。この圧力媒体収納容器3は、図2に示すように、保護筒43の上端部に突設した複数の係止爪44を、第1のシリンダー部21の下端側内周に嵌合し、第1のシリンダー部21の下端部側を縮径させることによって形成した係止段部47に係合させることによって第1のシリンダー部21に連結される。
【0046】
そして、圧力媒体収納容器3は、複数の係合爪44を第1のシリンダー部21の下端部側に嵌合することのみによってシリンダー部材6に連結することができるので、組み立て作業が極めて容易となる。
【0047】
上述のように、圧力媒体収納容器3を連結した第1のシリンダー部21には、圧力媒体収納容器3に設けたバルブ機構23を操作するバルブ操作機構15が設けられている。このバルブ操作機構15は、バルブ機構23のニードルバルブ34を第1のコイルバネ35の付勢力に抗して押圧操作し、噴射孔24を開放するピストン51を備える。ピストン51は、図2、図3に示すように、第1のシリンダー部21を密閉して移動するピストン本体52と、ピストン本体52の一端側から延長された操作ロッド53と、ピストン本体52の他端側から延長された支持ロッド54を備える。
【0048】
そして、ピストン51は、図2に示すように、操作ロッド53を、第1のシリンダー部21に連結された圧力媒体収納容器3の保護筒43内に挿入させ、保護筒43内に突出したニードルバルブ34の押圧操作部42に相対するようにして、第1のシリンダー部21内に配設されている。
【0049】
また、ピストン51は、第1のシリンダー部21に配設された初期状態において、支持ロッド54の先端部をキャップ部材10の天板部12に設けた貫通孔55に挿通してキャップ部材10の上方に突出させている。そして、ピストン51は、キャップ部材10の天板部12から突出した支持ロッド54の先端部が天板部12上に設けられた固定部材56により支持され移動が規制された状態におかれる。固定部材56は、図3に示すように、平板な板状部材として形成され、キャップ部材10の天板部12上に互いに平行に設けた断面L字状の一対のガイドレール57,58間にスライド可能に取り付けられる。この固定部材56の先端側には、支持ロッド54が嵌合する嵌合凹部59が形成されている。そして、固定部材56は、キャップ部材10から突出した支持ロッド54の先端側の外周面に溝部を形成して縮径部60とした部分に嵌合凹部59を嵌合させることによって、ピストン51をキャップ部材10に固定する。
【0050】
さらに、ピストン51は、支持ロッド54に嵌装され、ピストン本体52とキャップ部材10との間に配設された付勢部材である第2のコイルバネ61の付勢力を受けて、ニードルバルブ34を押圧する方向の図2中矢印Y2方向に付勢される。ここで、固定部材56をスライドさせ、支持ロッド54への嵌合を解除し、ピストン51の固定が解除されると、ピストン51は、図6に示すように、第2のコイルバネ61の付勢力を受けて、操作ロッド53においてニードルバルブ34に当接し、このニードルバルブ34を押圧する図2中矢印Y2方向に移動する。ここで、第2のコイルバネ61には、噴射孔24を閉塞する方向にニードルバルブ34を付勢する付勢力より大きな付勢力を有するものが用いられる。
【0051】
ところで、噴射孔24を閉塞するニードルバルブ34に作用する圧力は、第1のコイルバネ35の付勢力と、ニードルバルブ34に作用する炭酸ガスの圧力となる。そして、第2のコイルバネ61の付勢力が、ニードルバルブ34に作用する圧力より大きなものとされることにより、ピストン51は、操作ロッド53を介して、ニードルバルブ34を第1のコイルバネ35の付勢力に抗して図2中矢印Y2方向に移動操作する。ニードルバルブ34が、図2中矢印Y2方向に移動操作されることにより噴射孔24が開放され、圧力媒体収納容器3に充填した炭酸ガスが噴射孔24を介して吐出される。圧力媒体収納容器3から吐出される炭酸ガスは、第1のシリンダー部21から容器本体1内に放出され、第1のシリンダー部21及び容器本体1内を加圧状態にする。
【0052】
このとき、第2のコイルバネ61として適宜大きさの付勢力を有するものを選択し、ニードルバルブ34を押圧する付勢力を制御することにより、ピストン51によるニードルバルブ34の押圧量を制御することができる。ニードルバルブ34の押圧量が制御されることにより、テーパ状に形成された封止部36の噴射孔24に対する進入量を調整し、噴射孔24の開口量を制御し、圧力媒体収納容器3から吐出される炭酸ガスの吐出量を制御することができる。炭酸ガスの吐出量が制御されることにより、吐出される炭酸ガスの圧力が一定の圧力に減圧制御される。
【0053】
すなわち、圧力媒体収納容器3から吐出される炭酸ガスの吐出量が大きくなり、ピストン51に作用する圧力が第2のコイルバネ61の付勢力より大きくなると、ピストン51は、第2のコイルバネ61を圧縮しながらニードルバルブ34から離間する図2中矢印Y1方向に移動される。ピストン51がニードルバルブ34から離間する方向に移動すると、ニードルバルブ34は、第1のコイルバネ35の付勢力を受けて図2中矢印Y1方向に移動し、テーパ状に形成された封止部36の噴射孔24に対する進入量を大きくし、噴射孔24の開口量を小さくし、圧力媒体収納容器3から吐出される炭酸ガスの吐出量を小さくすることによって、第1のシリンダー部21に吐出される炭酸ガスの圧力を低下させる。
【0054】
そして、圧力媒体収納容器3から吐出される炭酸ガスの吐出量が小さくなり、ピストン51に作用する圧力が第2のコイルバネ61の付勢力より小さくなると、ピストン51は、第2のコイルバネ61の付勢力を受けてニードルバルブ34を押圧し、封止部36の噴射孔24から退出する方向に移動し、噴射孔24の開口量を大きくし、圧力媒体収納容器3から吐出される炭酸ガスの吐出量を大きくすることによって、吐出される炭酸ガスの圧力を大きくする。
【0055】
このように、噴射孔24から吐出される炭酸ガスの量によりピストン51が移動変位され、ニードルバルブ34に設けた封止部36の噴射孔24に対する進入量が可変され、噴射孔24の開口量が可変制御されることにより、圧力媒体収納容器3から吐出される炭酸ガスの量を制御し、容器本体1内の圧力が一定圧に制御される。
【0056】
さらに、圧力媒体収納容器3から吐出される炭酸ガスの過剰吐出等により第1のシリンダー部21内の圧力が第2のコイルバネ61の付勢力より大きくなると、ピストン51がニードルバルブ34から離間する方向に移動し、ニードルバルブ34の封止部36が噴射孔24に嵌合して閉塞する。そのため、容器本体1内が過剰圧力になることを防止できる。なお、複数の係止爪44が互いに離間して形成されているので、第1のシリンダー部21内と容器本体1内とは連通しており、両者内の圧力は相等しいものとされている。
【0057】
また、ピストン本体52は、図2に示すように、下端面側にリング状に断面V字状の溝部51aが形成され、下端部側が径方向に弾性変位可能とされている。このピストン本体52の下端側の外周囲には、第1のシリンダー部21の内周面に一定の接触圧で接触するリング状の摺接部63が一体に設けられている。そして、ピストン本体52は、第1のシリンダー部21の内径より大きな外径で形成された摺接部63が弾性変位しながら第1のシリンダー部21の内周面に接触することにより、第1のシリンダー部21を密閉する。
【0058】
ところで、第1のシリンダー部21の上端側の側壁には、外気と連通するピストン開放部64が設けられている。このピストン開放部64は、ピストン本体52により密閉される部分より大きな内周径を有する径大部、すなわち、大きな断面積を有する形状として形成されている。そして、ピストン本体52に作用する圧力が、ピストン51を押圧付勢する第2のコイルバネ61により大きくなるとき、ピストン51は第2のコイルバネ61の付勢力に抗して、図2中矢印Y1方向に移動される。ピストン本体52が、図7に示すように、ピストン開放部64まで移動されると第1のシリンダー部21が開放されて外気に連通され、第1のシリンダー部21及び容器本体1内に充満した過剰圧力となった炭酸ガスが装置外部に放出される。
【0059】
このような過剰圧力解放機構を設けることにより、容器本体1内が過剰圧力になることを防止し、過剰圧力により容器本体1が損傷を受けるようなことを確実に防止することができる。
【0060】
なお、ピストン51は、固定部材56による固定が解除され、ニードルバルブ34を押圧操作する状態になったときにおいても、安定した進退動作を可能とするため、先端側が貫通孔55から外れない長さに形成されることが望ましい。
【0061】
本実施の形態では、ピストン本体52と第1のシリンダー部21との間を密閉するため、ピストン本体52に断面V字状の溝部51aを形成し、径方向に弾性変位可能とされたリング状の摺接部63を一体に形成するようにしているが、円筒状に形成したピストン本体52の外周囲にOリングを取り付けたものであってもよい。
【0062】
そして、第2のシリンダー部22には、容器本体1に収納した内容物2を外部に噴射させる噴射機構16が収納するように配設されている。
【0063】
第2のシリンダー部22に配設される噴射機構16は、図3に示すように、第2のシリンダー部内を移動するステム65と、このステム65の外周囲に取り付けられたゴムなどの弾性部材からなるガスケット66とを備える。このステム65の先端部には、図1に示すように、噴射ノズル67が取り付けられる。
【0064】
そして、ステム65には、図2に示すように、圧力媒体収納容器3から吐出される炭酸ガスの作用により噴射される内容物2を流通させる流通路68と、この流通路68に内容物2を流入させるステム孔69が形成されている。流通路68は、ステム65の先端部から中途部に亘って形成され、ステム孔69は、ステム65の側方に開口するように形成されている。すなわち、ステム孔69は、ステム65の中途部に設けたガスケット66が嵌合される嵌合溝部70に位置するように形成されている。そして、ステム孔69は、ステム65の嵌合溝部70に嵌合するように取り付けられるガスケット66により密閉され、ステム65の移動に伴ってガスケット66が弾性変位されることにより、密閉状態が解除され、流通路68に内容物2を導出可能とする。
【0065】
上記ステム65は、図2に示すように、下端部側を第2のシリンダー部22に挿入し、上端側をキャップ部材10に設けた挿通孔71から突出させるようにして配設さる。ここで、ステム65を第2のシリンダー部22に配設したシリンダー部材6は、上端面に形成した係合爪片17a,17b及び18a,18bをキャップ部材10の天板部12に設けた係合孔19,20に挿通係合させることにより、キャップ部材10に対し位置決めして取り付けられる。このとき、ステム65は、嵌合溝部70に取り付けたガスケット66の外周部が第2のシリンダー部22の上端面とキャップ部材10の天板部12とにより挟持され、第2のシリンダー部22に支持される。また、ステム65は、第2のシリンダー部22内に配設された付勢部材である第3のコイルバネ72によりキャップ部材10側に移動するように付勢されている。そして、ステム65が第3のコイルバネ72によりキャップ部材10側に付勢されることにより、ガスケット66の弾性変位を規制し、ガスケット66によるステム孔69の確実な密閉状態を維持するようにしている。
【0066】
なお、噴射ノズル67には、ステム65の流通路68に連通する噴射孔73が形成されている。
【0067】
上述したように噴射機構16が配設された第2のシリンダー部22の下端側には、内容物2をステム65が配設されたシリンダー部22に導出させるための導管部74が一体に形成されている。この導管部74は、圧力媒体収納容器3の側面に設けた連結管75の上端側に連結される。導管部74が連結される連結管75は、圧力媒体収納容器3の側面に一体に形成されている。
【0068】
なお、圧力媒体収納容器3に設けた連結管75の下端部には、図2に示すように、容器本体1に収納した内容物2を吸引する吸引用チューブ76が連結されている。
【0069】
このように、シリンダー部材6に連結される圧力媒体収納容器3に設けた連結管75を介して吸引用チューブ76と導管部74とを連結して内容物2のステム65のへの導出通路を形成するようにしているので、容器本体1内に安定した導出通路を構成でき、内容物2の安定した噴霧を可能とする。
【0070】
上述したように、第1のシリンダー部21にバルブ操作機構15を配設するとともに圧力媒体収納容器3を連結し、第2のシリンダー部22に噴射機構16を配設してキャップ部材10と組み合わせられたシリンダー部材6は、開口部4を介して容器本体1内に収納され、キャップ部材10が容器本体1に固定されることにより、容器本体1に取り付けられ噴霧装置を構成する。
【0071】
ここで、本実施の形態の噴霧装置の組み立ての手順の概略を説明する。この噴霧装置を組み立てるには、まず、第3のコイルバネ72が投入された第2のシリンダー部22に、ガスケット66を取り付けたステム65を収納するとともに、第1のシリンダー部21には、支持ロッド54に第2のコイルバネ61を嵌装したピストン51を挿入する。次いで、係合爪片17a,17b及び18a,18bを係合孔19,20挿通係合させて、シリンダー部材6とキャップ部材10とを組み合わせる。このとき、ステム65は、ガスケット66がキャップ部材10とシリンダー部材6により挟持されることにより、第3のコイルバネ72の付勢力を受け、噴射ノズル67が取り付けられる先端側がキャップ部材10から突出する方向の図2中矢印Y1方向に付勢された状態でシリンダー部材6に支持される。そして、ガスケット66は、キャップ部材10の天板部12に押し付けられ、ステム孔69を閉塞した状態におかれる。一方、ピストン51は、支持ロッド54をキャップ部材10に設けた貫通孔55に挿通し、その先端側をキャップ部材10の上方に突出させる。このピストン51の第1のシリンダー部21への挿入操作は、操作ロッド53側から押圧操作用の治具を用いて押圧操作しながら行う。このとき、ピストン本体52とキャップ部材10との間に配設された第2のコイルバネ61が圧縮され、ピストン51は、キャップ部材10側に移動された状態とされる。ここで、天板部12上の一体のガイドレール57,58間に固定部材56を挿入し、この固定部材56の嵌合凹部59にキャップ部材10から突出した支持ロッド54の縮径部60に嵌合し、ピストン51を固定する。
【0072】
次いで、第1のシリンダー部21の下端側に複数の係合爪44を嵌合して圧力媒体収納容器3を連結する。このとき、ピストン51は、第2のコイルバネ61を圧縮させ、圧力媒体収納容器3から離間する方向に移動された状態で固定されているので、圧力媒体収納容器3側のニードルバルブ34に負荷を与えない状態におかれる。すなわち、ピストン51は、キャップ部材10に固定されたとき、操作ロッド53により、第1のシリンダー部21に連結された圧力媒体収納容器3のニードルバルブ34を押圧操作し得ない大きさに形成されている。
【0073】
したがって、ピストン51をキャップ部材10に固定した状態で圧力媒体収納容器3の第1のシリンダー部21への連結操作が行われるので、圧力媒体収納容器3に充填された炭酸ガスの漏洩を防止できる。
【0074】
そして、第1のシリンダー部21にバルブ操作機構15を配設し、圧力媒体収納容器3を連結し、第2のシリンダー部22に噴射機構16を配設してキャップ部材10と組み合わせられたシリンダー部材10を、開口部4を介して容器本体1内に収納して、キャップ部材10を容器本体1に嵌合固定することにより、図1及び図2に示すような噴霧装置が組み立てられる。
【0075】
本実施の形態の噴霧装置は、図2に示す組み立て初期の状態では、ピストン51が圧力媒体収納容器3の噴射孔24を閉塞するニードルバルブ34を押圧操作しない位置に固定部材56により固定されているので、圧力媒体収納容器3から炭酸ガスが噴射することが規制された状態におかれる。そのため、噴霧装置の使用前に、圧力媒体収納容器3に充填した炭酸ガスの漏れを防止でき、保管特性の良好な噴霧装置を得ることができる。
【0076】
そして、容器本体1に収納した内容物2の噴霧を行うには、固定部材56をスライドし、支持ロッド54への嵌合を解除し、ピストン51のキャップ部材10への固定を解除する。ピストン51は、固定部材56による固定が解除されると、第1のシリンダー部21内を移動可能となり、第2のコイルバネ61の付勢力を受け、圧力媒体収納容器3に設けたニードルバルブ34に近接する方向に移動し、このニードルバルブ34を第1のコイルバネ35の付勢力に抗して噴射孔24を開放する図6中矢印Y2方向に移動する。ニードルバルブ34がピストン51により押圧され、図6に示すように、噴射孔24が開放されると、圧力媒体収納容器3に充填された炭酸ガスが噴射孔24から吐出され、第1の及びシリンダー部21に充満されるとともに、圧力媒体収納容器3の第1のシリンダー部21への嵌合部分の隙間から容器本体1内に充満される。容器本体1内に炭酸ガスが充満されることにより、容器本体1に収納された内容部は、圧力媒体としての炭酸ガスの作用を受けて加圧状態となる。ここで、噴射ノズルを押圧操作して、ステム65を第3のコイルバネ72の付勢力に抗して押圧操作すると、図7に示すように、ガスケット66が弾性変位されステム孔69を開放する。ステム孔69が開放されると、容器本体1に収納した内容物2が炭酸ガスの作用により吸引用チューブ76から吸引され、連結管75から導管部74に導入され、開放されたステム孔69を介してステム65の流通路68に流入し、噴射ノズル67のノズル孔78から噴射される。
【0077】
そして、噴射ノズル67の押圧操作が解除されると、図6に示すように、ステム65は第3のコイルバネ72の付勢力を受けて初期位置に移動復帰する。ステム65の初期位置への復帰とともにガスケット66も初期位置に復帰し、ステム孔69を閉塞し、内容物2の噴射が停止される。
【0078】
本実施の形態の噴霧装置においては、噴射ノズル67が押圧操作されて内容物2の噴射とともに炭酸ガスも噴射され、容器本体1内の圧力が低下するが、ニードルバルブ34がピストン51により押圧操作され噴射孔24が開放された状態におかれ、圧力媒体収納容器3から炭酸ガスの供給が行われるので、容器本体1内は、圧力媒体収納容器3に充填された炭酸ガスが消費されるまで加圧状態におかれる。
【0079】
ところで、バルブ操作機構15のピストン51は、噴射孔24を閉塞する方向にニードルバルブ34を付勢する付勢力に抗してニードルバルブ34を押圧付勢しているが、この押圧付勢力を制御することにより、ピストン51を第1のシリンダー部21内に浮上させた状態でニードルバルブ34を一定量押圧操作することができる。
【0080】
そこで、ピストン51を付勢する第2のコイルバネ61及びニードルバルブ34を押圧する第1のコイルバネ35の大きさを適宜選択し、ピストン51を第1のシリンダー部21内に浮上させた状態でニードルバルブ34を一定量押圧操作する状態を得ることにより、ニードルバルブ34のテーパ状の封止部36が噴射孔24を封止した状態から所定量退出した状態に移動した状態で、ピストン51を押圧する付勢力とニードルバルブ34を押圧す付勢力が拮抗した状態とすることにより、圧力媒体収納容器3から吐出される炭酸ガスの吐出量を一定に維持し、容器本体1内の圧力を一定圧に制御することができる。
【0081】
ところで、このバルブ操作機構15は、炭酸ガスの吐出量が変化するなどして第1のシリンダー部21内の圧力が変化するときに、ピストン51を押圧する力が変化する。その結果、ピストン51は、第1のシリンダー部21内を移動変位し、ニードルバルブ34の押圧量を可変させる。ニードルバルブ34の押圧量が変化されることにより、テーパ状の封止部36による噴射孔24の開放率が変化され、炭酸ガスの吐出量が制御され、第1のシリンダー部21内の圧力が可変制御され、容器本体1内の圧力が一定の圧力になるように制御される。
【0082】
したがって、本実施の形態の噴霧装置においては、内容物2を常に一定の圧力で噴霧することができる。
【0083】
また、本実施の形態の噴霧装置においては、ピストン51が進退動作する第1のシリンダー部21内の圧力がピストン51を付勢する第2のコイルバネ61の付勢力以上の過剰圧力になると、図8に示すように、ピストン51が第1のシリンダー部21内の太径とされたピストン開放部64へ移動され、第1のシリンダー部21を大気に開放して過剰圧力状態を開放する。そのため、容器本体1内は過剰圧力なるようなことが防止でき、過剰圧力よる事故を防止することができる。したがって、本実施の形態によれば、安全な噴霧装置を構成することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 容器本体、2 内容物、3 圧力媒体収納容器、4 開口部、5 シリンダー支持部、 6 シリンダー部材、10 キャップ部材、15 バルブ操作機構、16 噴射機構、21 第1のシリンダー部、22 第2のシリンダー部、23 バルブ機構、24 噴射孔、34 ニードルバルブ、35 第1のコイルバネ、51 ピストン、52 ピストン本体、53 操作ロッド、54 支持ロッド、61 第2のコイルバネ、64 ピストン開放部、65 ステム、66 ガスケット、67 噴射ノズル、72 第3のコイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧される内容物を収納する容器本体と、
上記容器本体内に配設され、圧力媒体が充填される圧力媒体収納容器と、
上記圧力媒体収納容器内に進退可能に配設され、上記圧力媒体収納容器に充填される圧力媒体を吐出させる噴射孔を開閉するニードルバルブとこのニードルバルブを上記噴射孔を閉塞する方向に付勢する付勢部材とを有するバルブ機構と、
上記ニードルバルブを上記付勢部材の付勢力に抗して移動させることで、上記噴射孔を開放して、上記圧力媒体収納容器に充填された圧力媒体を容器本体内へ吐出させるバルブ操作機構と、
上記バルブ操作機構が操作されることで上記圧力媒体収納容器から吐出される圧力媒体の作用により、上記容器本体内の内容物を上記容器本体の外部に噴射させる噴射機構と、
上記圧力媒体収納容器が連結されるとともに上記バルブ操作機構が配設される第1のシリンダー部と上記噴射機構が配設される第2のシリンダー部とが並列して設けられるシリンダー部材と、
上記容器本体の開口部に取り付けられ、上記シリンダー部材を支持するキャップ部材とを備え、
上記バルブ操作機構に、さらなる付勢部材の付勢力を受けて上記第1のシリンダー部内を進退するピストンを設け、上記第1のシリンダー部の側壁に外気と連通するピストン開放部を設け、上記ピストンが容器本体内の圧力によりピストンを押圧するさらなる付勢部材の付勢力に抗して上記第1のシリンダー部内を移動し、上記ピストン開放部に達したときとき、上記第1のシリンダー部を開放して大気に連通させることを特徴とする噴霧装置。
【請求項2】
上記ピストン開放部は、上記第1のシリンダー部の上記ピストンにより密閉される部分より大きな断面積を有する形状として形成されていることを特徴とする請求項1記載の噴霧装置。
【請求項3】
上記ピストンを付勢するさらなる付勢部材は、上記ピストンと上記キャップ部材との間に配設され、上記ニードルバルブを付勢する付勢部材の付勢力より大きな付勢力を有し、上記ニードルバルブを、上記噴射孔を開放する方向に付勢していることを特徴とする請求項1記載の噴霧装置。
【請求項4】
上記ニードルバルブは、テーパ状に形成された封止部を有し、上記封止部が上記噴射孔に嵌合してこの噴射孔を閉塞し、上記封止部の上記噴射孔に対する進入量が変化することにより、上記噴射孔の開口率を変化させていることを特徴とする請求項1記載の噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−269821(P2010−269821A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123254(P2009−123254)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(309015271)メジャーテック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】