説明

過硫酸アンモニウム水溶液の濃度測定法

【課題】過硫酸アンモニウム水溶液が自己分解が進んだ状態になり分解した生成物により吸光度が変化した状態でも正確に測定できる過硫酸アンモニウム水溶液の濃度測定方法を提供する。
【解決手段】自己分解が進んだ状態での過硫酸アンモニウムの濃度を、ポンプ等で循環供給するラインで、フローセルを利用して、紫外線領域における300〜350nmの吸光度により濃度測定を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水溶液中の過硫酸アンモニウムの濃度を測定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、過硫酸アンモニウム水溶液の濃度を測定する方法として滴定法が適していたがインラインで測定するには、その機構および手順が煩雑であった。
【0003】
またインラインで無機電解質水溶液の成分濃度測定として800〜1400nmの近赤外線領域における吸光度から定量を行う方法はあった(特許文献1参照)
【特許文献1】 特許第3290982号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この方法には次の欠点があった。すなわち水溶液を作成した直後には問題はないが時間が経過し自己分解が進んだ状態での過硫酸アンモニウム水溶液では分解した生成物により吸光度が変化し正確に濃度が測定できなかった。時間の経過による滴定法と吸光度による定量の誤差を図1に示す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
紫外線領域における300〜350nmの吸光度により濃度測定を行うことで自己分解が進んだ状態での過硫酸アンモニウムの濃度を正確に測定できる。
【0006】
320nmにより1、5、10、20、30、40wt%の検量線を作成し分解劣化させた過硫酸アンモニウム水溶液を定量分析した結果は滴定の濃度と一致していることを確認した。各濃度の水溶液を320nmおよび1146nmの吸光度により濃度測定を行った結果を図2および図3に示す。
【発明の効果】
【0007】
過硫酸アンモニウムは半導体製造過程におけるCMP処理で酸化剤として使用されるが分解が早いために従来の方法では正確な濃度が測定できずに一定時間後に廃棄していた。
本発明の方法によれば分解過程での濃度を正確に測定できるため廃棄する時間を遅らせることが出来るため溶液の有効利用、廃液処理の減少によりコストの削減が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
過硫酸アンモニウム水溶液をポンプ等で循環供給するラインに300〜350nmの吸光度により濃度測定を可能とする分光式濃度計を具備しインラインで濃度測定を行う方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】 過硫酸アンモニウム水溶液の分解により濃度変化を滴定法と分光式濃度計で測定し比較したものであり時間の経過により分光式濃度計で測定した値がずれていることを示す。
【図2】 1、5、10、20wt%過硫酸アンモニウム水溶液を320nmおよび1146nmの吸光度による分光式濃度計で測定した結果であり320nmで測定した結果が正確であることを示す。
【図3】 20、30、40wt%過硫酸アンモニウム水溶液を320nmおよび1146nmの吸光度による分光式濃度計で測定した結果であり320nmで測定した結果が正確であることを示す。
【符号の簡単な説明】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
過硫酸アンモニウム水溶液を紫外線領域300〜350nmの吸光度により濃度測定する方法。
【請求項2】
本方法を用いてフローセルを利用しインラインで濃度測定を行う方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−194166(P2012−194166A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83137(P2011−83137)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(511086009)東横化学株式会社 (1)
【Fターム(参考)】