過酸化水素水の生成装置および除菌システム
【課題】 水を原料として広義の電気分解により濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することが可能な過酸化水素水の生成装置を提供する。
【解決手段】 水を原料として収容した電解槽と、
前記電解槽内の水にフロートにより水面に浮遊して配置された陰極と、
前記陰極より下方の電解槽内の水に前記陰極と対向するように配置された陽極と
を具備したことを特徴とする過酸化水素水の生成装置。
【解決手段】 水を原料として収容した電解槽と、
前記電解槽内の水にフロートにより水面に浮遊して配置された陰極と、
前記陰極より下方の電解槽内の水に前記陰極と対向するように配置された陽極と
を具備したことを特徴とする過酸化水素水の生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素水の生成装置および過酸化水素水の生成装置を備え、一般生活雑菌等を不活化する除菌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型インフルエンザの流行などにより対ウイルス対策や除菌対策への関心が高まっている。これらの除菌、対ウイルス対策への要望に対して過酸化水素水をミスト状で噴霧して除菌することが行われている。
【0003】
除菌に用いられる過酸化水素水の生成には、従来、数%濃度の過酸化水素水を希釈する方法、水中に一対の電極板を互いに対向するように立てて挿入して電気分解を行う電気分解法、または放電により生成したオゾンを水に溶け込ませた後化学反応させる方法が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、数%濃度の過酸化水素水を希釈する方法では薬剤を供給する手間がかかり、汎用的でない。
【0005】
水中に一対の電極板を互いに対向するように立てて挿入して電気分解を行う電気分解法では、過酸化水素の発生効率が低く、数ppm程度の濃度に限定される。
【0006】
また、オゾンを水中に吹き込み化学反応により過酸化水素水を生成する方法ではオゾンを水に溶解させることが難しく、過酸化水素水の生成効率が低く、その上水中に取込まれなかった余剰のオゾンを処理することが不可欠になる。
【0007】
本発明は、水を原料として広義の電気分解により濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することが可能な過酸化水素水の生成装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、前記過酸化水素水の生成装置からの過酸化水素水をミスト化し、一般生活雑菌を不活化して除菌することが可能な除菌システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の第1態様によると、水を原料として収容した電解槽と、
前記電解槽内の水にフロートにより水面に浮遊して配置された陰極と、
前記陰極より下方の電解槽内の水に前記陰極と対向するように配置された陽極と
を具備したことを特徴とする過酸化水素水の生成装置が提供される。
【0010】
本発明の第2態様によると、本発明の第1態様に係る過酸化水素水の生成装置と、前記生成装置の過酸化水素水をミスト化するためのミスト発生手段とを備えたことを特徴とする除菌装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水を原料として広義の電気分解により濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することが可能な過酸化水素水の生成装置を提供することができる。
【0012】
また本発明によれば、前記過酸化水素水の生成装置からの過酸化水素水をミスト化し、一般生活雑菌を不活化して除菌することが可能な除菌システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略斜視図である。
【図2】図1の生成装置の要部断面図である。
【図3】静止状態における水の水深方向の溶存酸素濃度の分布を示す図である。
【図4】第2実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略斜視図である。
【図5】第4実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略斜視図である。
【図6】図5の生成装置の要部断面図である。
【図7】第5実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す断面図である。
【図8】図7の陰極、陽極、絶縁スペーさおよびフロートの位置関係を示す概略斜視図概略図である。
【図9】第6実施形態に係る除菌システムを示す概略図である。
【図10】比較例1の過酸化水素水の生成に用いた電気分解装置を示す概略斜視図である。
【図11】実施例1に用いた過酸化水素水の生成装置を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略図、図2は図1の要部断面図である。
【0016】
過酸化水素水の生成装置1は、水(例えば水道水)2を原料として収容された例えば矩形状の電解槽3を備えている。例えばSUSのような金属からなる矩形板状の陰極4は、電解槽3内の水2に一対のフロート5a,5bにより水面に対してほぼ平行な姿勢で浮遊されている。フロート5a,5bは、四角柱形状をなし、陰極4の対向する一対の辺の近傍にそれらの辺に沿って取り付けられている。フロート5a,5bは、例えばポリスチレン発泡体、独立気泡を有するポリエチレン発泡体、独立気泡を有するポリプロピレン発泡体のようなプラスチック発泡体から作られる。
【0017】
例えばSUSのような金属からなる矩形板状の陽極6は、陰極4より下方の電解槽3の水2に水面に対してほぼ平行な姿勢で、かつ陰極4と対向するように配置されている。一般的に取り扱い易いように印加電圧を10〜20V程度とするならば陰極4に対する陽極5の離間距離は2〜5mmにすることが好ましい。矩形状の陽極6は、例えば陰極4と同形状、同寸法である。
【0018】
直流電源7は、陰極4および陽極6にケーブル8を通して接続されている。陰極4と接続されるケーブル8部分は、捲回ばね部9を有する。
【0019】
第1実施形態によれば、直流電源7から陰極4および陽極6にケーブル8を通して直流電圧を供給し、陰極4と陽極6の間で電気分解を行うことによって濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することができる。
【0020】
すなわち、一般に水を電気分解した場合、陰極および陽極において以下の式に示す反応が進行する。
【0021】
4H2O+4e-+O2→ 2H2O+4OH-…(陰極)
2H2O →O2+4H++4e-…(陽極)
前記反応において、陰極側で発生したOH-ラジカルによるH2Oの酸化により副次的に過酸化水素が生成される。しかしながら、過酸化水素の生成はOH-ラジカルの自己分解や水中の他の物質との反応で失われる過程と競合するため、過酸化水素の生成濃度を高めることが困難である。
【0022】
このようなことから第1実施形態では、電解槽3の水2の深さ方向の溶存酸素濃度の分布に着目して陰極4の位置を決定した。つまり、電解槽3の水2において静止した状態での水の深さ方向の溶存酸素濃度は図3に示す分布になり、水面直下で溶存酸素濃度が高く、水面から離れると急激に減少し、その後緩やかに酸素濃度は低下する。第1実施形態では、このような水深方向の溶存酸素濃度の分布に着目し、陰極4を電解槽3内の水2にフロート5a,5bにより浮遊させ、水中の溶存酸素濃度が高い水表面付近、例えば水面から4mmの深さの範囲内、に配置することによって、水中の溶存酸素を有効に利用できるため、H2Oの酸化が進行し易い条件で陰極4と陽極6の間での電気分解を行うことが可能になる。その結果、前述したように陰極4と陽極6の間で電気分解を行うことによって濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することができる。
【0023】
また、直流電源7に接続されるケーブル8と陰極4の接続部分に弾性作用を持つ捲回ばね部9を介在させることによって、陰極4に対して上下方向の緩衝作用を付与して陰極4を安定的に浮遊させることが可能になる。
【0024】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略図である。なお、図4において第1実施形態で説明した図1、図2と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0025】
第2実施形態に係る過酸化水素水の生成装置は、フロート5a,5bで電解槽3内の水2に浮遊させた陰極4が網目形状を有する。
【0026】
水面に浮遊させた矩形板状の陰極4の面積を増大した場合、陰極4と陽極6の間での電気分解において、陰極4の周辺では溶存酸素濃度が高い水を利用できる。しかしながら、陰極4の周辺から内側に向かう中心付近では外気からの酸素供給が不十分なため、溶存酸素が低い状態での電気分解がなされ、高濃度の過酸化水素水の生成が困難になる。
【0027】
このようなことから、陰極4を網目形状にすることにより陰極4の面積を増大させた場合でも陰極4全面において周辺と同様に溶存酸素濃度が高い環境にすることができ、溶存酸素濃度の高い水を利用した電気分解を実行できる。その結果、高濃度の過酸化水素水の生成が可能になる。
【0028】
網目形状の陰極4において、網目の線幅は陰極4として有効な導電部の面積を得るために気泡径と同程度、具体的には1mm以下にすることが好ましい。
【0029】
網目形状の陰極4において、網目寸法は電気分解時に生ずる気泡の移動、消失に伴う表面水の入れ替えの円滑さを考慮して気泡より大きいことが好ましい。網目寸法の上限は、陰極4の面積を確保するために気泡の倍程度にすることが好ましい。
【0030】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る過酸化水素水の生成装置は、前述した図1においてフロート5a,5bで電解槽3内の水2に浮遊させた陰極4がガス透過性を有する導電材料から形成されている。具体的な陰極4の材料は、例えばカーボンペーパーのような微細開気孔を有する多孔質炭素系材料または微細開気孔を有する多孔質導電性プラスチック表面に導電性処理を施したものなどが使用可能である。
【0031】
このような第3実施形態によれば、陰極4と陽極6の間での電気分解において、陰極4をガス透過性を有する導電材料から形成することによって、陰極4の面積を増大させた場合でも外界からの空気を陰極4を通してその下の水2に供給できる。このため、陰極4全面において周辺と同様に溶存酸素濃度が高い環境にすることができ、溶存酸素濃度の高い水を利用した電気分解を実行できる。その結果、高濃度の過酸化水素水の生成が可能になる。
【0032】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略斜視図、図6は図5の要部断面図である。なお、図5、図6において第1実施形態で説明した図1、図2と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0033】
第4実施形態に係る過酸化水素水の生成装置において、陰極4は金属支持板10と金属支持板10の下面に溶着層11を介して並べて埴設、接合された複数の金属細線12とから構成されている。各金属細線12は下端部が水表面付近、例えば水面から4mmの深さの範囲内、に位置するように垂直(もしくは略垂直)の状態で並べて配置されている。フロート5a,5bは、四角柱形状をなし、支持板10の対向する一対の辺の近傍下面にそれらの辺に沿って取り付けられている。このため、陰極4は複数の金属細線12の下端部が垂直(もしくは略垂直)の状態で、かつ複数の金属細線12の配列形態が水面に対してほぼ平行な姿勢になるように電解槽3の水2に浮遊される。なお、支持板10および細線12は例えばチタン、白金、ニッケルあるいはステンレス鋼のような金属から作られる。
【0034】
このような第4実施形態によれば、陰極4と陽極6の間での電気分解において、フロート5a,5bで浮遊される陰極4の複数の金属細線12をそれらの下端部が水表面付近に位置するように垂直(もしくは略垂直)の状態で並べて配置することによって、陰極4の面積を増大させた場合でも外界からの空気を金属細線12の間隙を通して水2に供給できる。このため、陰極4全面において第2実施形態の網目形状の陰極を用いた場合と同様に、溶存酸素濃度が高い環境にすることができ、溶存酸素濃度の高い水を利用した電気分解を実行できる。その結果、高濃度の過酸化水素水の生成が可能になる。
【0035】
前述した第2実施形態のような網目形状の陰極は、面積を増大させた場合、中央付近が撓んで陽極との距離が部分的に変化する。この第4実施形態において、複数の金属細線12を植設した金属支持板10をリジッドにすれば、網目形状の陰極のような撓みを回避して陰極4と陽極6の間の距離を一定に保つことが可能になる。
【0036】
陰極4の各金属細線12は、0.1〜1mmの直径を有し、これらの金属細線の配列は細線の直径と同程度から直径の三倍程度の間隔でなされることが好ましい。
【0037】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す断面図、図8は図7の要部斜視図である。なお、図7、図8において第1実施形態で説明した図1、図2と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0038】
第5実施形態に係る過酸化水素水の生成装置は、矩形板状の陰極4と同形状の陽極6を互いにそれらの面が対向するように配置し、かつ対向領域の4隅に例えばポリエチレン、ポリプロピレンのようなプラスチックからなる四角柱状の絶縁スペーサ13を配置し、陰極4と各絶縁スペーサ13の四角端面の間、各絶縁スペーサ13の四角端面と陽極6の間を接着剤で接着し、一体化した構造を有する。フロート5a,5bは陰極4の対向する一対の辺の近傍にそれらの辺に沿って取り付けられている。このため、各絶縁スペーサ13により互いに一定の間隔で接着された陰極4および陽極6は電解槽3の水2に水面に対してほぼ平行な姿勢で浮遊される。
【0039】
第5実施形態によれば、陰極4と陽極6の間で電気分解を行うことによって第1実施形態と同様に濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することができる。また、陰極4と陽極6の間にスペーサ13を介在することによって電極間距離が決められ、電気分解槽の形状に係わらず電極間隔を一定に保持できるため、直流電源を用いて陰極4および陽極6に電流を流す場合、回路構成が簡単な定電圧電源を用いても自動的に定電流動作が可能になる。
【0040】
(第6実施形態)
図9は、第6実施形態に係る除菌システムを示す概略図である。
【0041】
ミスト噴射口21を有する筺体22には、前述した第1実施形態と同様な過酸化水素水の生成装置1の電解槽3が取り付けられている。電解槽3の水2には、陰極4が図示しないフロートにより浮遊して配置されている。陽極6は、陰極4より下方の電解槽3の水2に陰極4と対向するように配置されている。筺体22内に位置する電解槽3の下部には、その電解槽3での水の電気分解により生成した過酸化水素水を液滴として下方に供給するための液滴供給部材14が設けられている。
【0042】
振動子23は筺体22内に水平姿勢で配置され、その左側の上面が電解槽3の液滴供給部材14の直下に位置している。振動子23は、これに接続された超音波発生器24からの超音波の入力により振動される。このような振動子23および超音波発生器24によりミスト発生手段を構成している。空気を筺体22内に送風するためのブロア25は、筺体22の底部に設けられている。
【0043】
過酸化水素水の生成装置1と振動子23および高周波発生器24を組み込んだ筺体22は、除菌対象空間、例えば洗濯乾燥機の内部31のような密閉可能な空間に取り付けられる。
【0044】
このような構成によれば、過酸化水素水の生成装置1における電解槽3の水2に互いに水深方向に対向させた陰極4および陽極6に直流電源7から直流電圧をケーブル8を通して供給し、それらの間で電気分解を行うと、第1実施形態で説明したように電解槽3内に濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水が生成される。
【0045】
生成された過酸化水素水は電解槽3下部の液滴供給部材14から振動子23表面に液滴として落下され、その表面を拡がる。過酸化水素水を振動子23表面に落下させた直後に、超音波発生器24から超音波を振動子23に付与すると、振動子23が振動してその表面の過酸化水素水をミスト化し、ブロア25から空気を筺体22内に送風することによって、筺体22に充満したミスト26がミスト噴射口21から洗濯乾燥機の内部31に噴射することができる。その結果、洗濯乾燥機の内部31のような密閉可能な空間雰囲気内を濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水のミストにより除菌することができる。
【0046】
次に、本発明の実施例および比較例を図面を参照して説明する。
【0047】
(比較例1)
図10に示すように有底円筒型の電解槽201に水道水202を供給して満たした。電解槽201内の水道水202(容量:13cm3)にSUS製矩形板からなる陰極203およびSUS製矩形板からなる陽極204を水面に対して垂直に立て、かつ互いに0.4cmの距離をあけて対向して挿入した。このときの陰極203および陽極204の水道水202に浸漬した部分の寸法はそれぞれ3.5cm×0.8cmであった。
【0048】
陰極203、陽極204に直流電源を接続し、陰極203および陽極204に直流電圧を電圧10V,電流30mAの条件で60分間通電して電気分解を行い、通電後の水道水の過酸化水素(H2O2)の濃度をヨウ化カリウム法によるパックテストを用いて測定した。その結果を下記表1に示す。
【0049】
(実施例1)
図11に示すように有底円環状型の電解槽101に水道水102を供給して満たした。電解槽101内の水道水102(容量:13cm3)の水面下1mmの位置にSUS製矩形板からなる陰極103を図示しないフロートにより水面と平行な姿勢で浮遊させた。SUS製矩形板からなる陽極104を陰極103より下方の水道水102に水面と平行な姿勢で、かつ陰極3に対して0.4cmの距離をあけて対向して浸漬した。このとき、水道水102に浸漬された陰極103および陽極104の寸法はそれぞれ3.5cm×0.8cmであった。
【0050】
陰極103、陽極104に直流電源を接続し、陰極103および陽極104に直流電圧を電圧10V,電流30mAの条件で60分間通電して電気分解を行い、通電後の水道水の過酸化水素(H2O2)の濃度をヨウ化カリウム法によるパックテストを用いて測定した。その結果を下記表1に示す。
【表1】
【0051】
前記表1から明らかなように電解槽内の水道水に矩形板からなる陰極を浮遊させ、矩形板からなる陽極を陰極より下方の電解槽の水道水に対向して浸漬して陰極、陽極間で電気分解を行う実施例1では、電解槽内の水道水に矩形板からなる陰極および矩形板からなる陽極を水面に対して垂直に立て、かつ互いに対向して配置し、陰極、陽極間で電気分解を行う比較例1に比べて約2倍の過酸化水素の濃度を持つ過酸化水素水を生成できることがわかる。
【符号の説明】
【0052】
1…過酸化水素水の生成装置、2,102…水、3,101…電解槽、4,103…陰極、5a,5b…フロート、6,104…陽極、7…直流電源、12…金属細線、13…スペーサ、22…筺体、23…振動子、31…除菌対象空間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素水の生成装置および過酸化水素水の生成装置を備え、一般生活雑菌等を不活化する除菌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型インフルエンザの流行などにより対ウイルス対策や除菌対策への関心が高まっている。これらの除菌、対ウイルス対策への要望に対して過酸化水素水をミスト状で噴霧して除菌することが行われている。
【0003】
除菌に用いられる過酸化水素水の生成には、従来、数%濃度の過酸化水素水を希釈する方法、水中に一対の電極板を互いに対向するように立てて挿入して電気分解を行う電気分解法、または放電により生成したオゾンを水に溶け込ませた後化学反応させる方法が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、数%濃度の過酸化水素水を希釈する方法では薬剤を供給する手間がかかり、汎用的でない。
【0005】
水中に一対の電極板を互いに対向するように立てて挿入して電気分解を行う電気分解法では、過酸化水素の発生効率が低く、数ppm程度の濃度に限定される。
【0006】
また、オゾンを水中に吹き込み化学反応により過酸化水素水を生成する方法ではオゾンを水に溶解させることが難しく、過酸化水素水の生成効率が低く、その上水中に取込まれなかった余剰のオゾンを処理することが不可欠になる。
【0007】
本発明は、水を原料として広義の電気分解により濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することが可能な過酸化水素水の生成装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、前記過酸化水素水の生成装置からの過酸化水素水をミスト化し、一般生活雑菌を不活化して除菌することが可能な除菌システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の第1態様によると、水を原料として収容した電解槽と、
前記電解槽内の水にフロートにより水面に浮遊して配置された陰極と、
前記陰極より下方の電解槽内の水に前記陰極と対向するように配置された陽極と
を具備したことを特徴とする過酸化水素水の生成装置が提供される。
【0010】
本発明の第2態様によると、本発明の第1態様に係る過酸化水素水の生成装置と、前記生成装置の過酸化水素水をミスト化するためのミスト発生手段とを備えたことを特徴とする除菌装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水を原料として広義の電気分解により濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することが可能な過酸化水素水の生成装置を提供することができる。
【0012】
また本発明によれば、前記過酸化水素水の生成装置からの過酸化水素水をミスト化し、一般生活雑菌を不活化して除菌することが可能な除菌システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略斜視図である。
【図2】図1の生成装置の要部断面図である。
【図3】静止状態における水の水深方向の溶存酸素濃度の分布を示す図である。
【図4】第2実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略斜視図である。
【図5】第4実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略斜視図である。
【図6】図5の生成装置の要部断面図である。
【図7】第5実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す断面図である。
【図8】図7の陰極、陽極、絶縁スペーさおよびフロートの位置関係を示す概略斜視図概略図である。
【図9】第6実施形態に係る除菌システムを示す概略図である。
【図10】比較例1の過酸化水素水の生成に用いた電気分解装置を示す概略斜視図である。
【図11】実施例1に用いた過酸化水素水の生成装置を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略図、図2は図1の要部断面図である。
【0016】
過酸化水素水の生成装置1は、水(例えば水道水)2を原料として収容された例えば矩形状の電解槽3を備えている。例えばSUSのような金属からなる矩形板状の陰極4は、電解槽3内の水2に一対のフロート5a,5bにより水面に対してほぼ平行な姿勢で浮遊されている。フロート5a,5bは、四角柱形状をなし、陰極4の対向する一対の辺の近傍にそれらの辺に沿って取り付けられている。フロート5a,5bは、例えばポリスチレン発泡体、独立気泡を有するポリエチレン発泡体、独立気泡を有するポリプロピレン発泡体のようなプラスチック発泡体から作られる。
【0017】
例えばSUSのような金属からなる矩形板状の陽極6は、陰極4より下方の電解槽3の水2に水面に対してほぼ平行な姿勢で、かつ陰極4と対向するように配置されている。一般的に取り扱い易いように印加電圧を10〜20V程度とするならば陰極4に対する陽極5の離間距離は2〜5mmにすることが好ましい。矩形状の陽極6は、例えば陰極4と同形状、同寸法である。
【0018】
直流電源7は、陰極4および陽極6にケーブル8を通して接続されている。陰極4と接続されるケーブル8部分は、捲回ばね部9を有する。
【0019】
第1実施形態によれば、直流電源7から陰極4および陽極6にケーブル8を通して直流電圧を供給し、陰極4と陽極6の間で電気分解を行うことによって濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することができる。
【0020】
すなわち、一般に水を電気分解した場合、陰極および陽極において以下の式に示す反応が進行する。
【0021】
4H2O+4e-+O2→ 2H2O+4OH-…(陰極)
2H2O →O2+4H++4e-…(陽極)
前記反応において、陰極側で発生したOH-ラジカルによるH2Oの酸化により副次的に過酸化水素が生成される。しかしながら、過酸化水素の生成はOH-ラジカルの自己分解や水中の他の物質との反応で失われる過程と競合するため、過酸化水素の生成濃度を高めることが困難である。
【0022】
このようなことから第1実施形態では、電解槽3の水2の深さ方向の溶存酸素濃度の分布に着目して陰極4の位置を決定した。つまり、電解槽3の水2において静止した状態での水の深さ方向の溶存酸素濃度は図3に示す分布になり、水面直下で溶存酸素濃度が高く、水面から離れると急激に減少し、その後緩やかに酸素濃度は低下する。第1実施形態では、このような水深方向の溶存酸素濃度の分布に着目し、陰極4を電解槽3内の水2にフロート5a,5bにより浮遊させ、水中の溶存酸素濃度が高い水表面付近、例えば水面から4mmの深さの範囲内、に配置することによって、水中の溶存酸素を有効に利用できるため、H2Oの酸化が進行し易い条件で陰極4と陽極6の間での電気分解を行うことが可能になる。その結果、前述したように陰極4と陽極6の間で電気分解を行うことによって濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することができる。
【0023】
また、直流電源7に接続されるケーブル8と陰極4の接続部分に弾性作用を持つ捲回ばね部9を介在させることによって、陰極4に対して上下方向の緩衝作用を付与して陰極4を安定的に浮遊させることが可能になる。
【0024】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略図である。なお、図4において第1実施形態で説明した図1、図2と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0025】
第2実施形態に係る過酸化水素水の生成装置は、フロート5a,5bで電解槽3内の水2に浮遊させた陰極4が網目形状を有する。
【0026】
水面に浮遊させた矩形板状の陰極4の面積を増大した場合、陰極4と陽極6の間での電気分解において、陰極4の周辺では溶存酸素濃度が高い水を利用できる。しかしながら、陰極4の周辺から内側に向かう中心付近では外気からの酸素供給が不十分なため、溶存酸素が低い状態での電気分解がなされ、高濃度の過酸化水素水の生成が困難になる。
【0027】
このようなことから、陰極4を網目形状にすることにより陰極4の面積を増大させた場合でも陰極4全面において周辺と同様に溶存酸素濃度が高い環境にすることができ、溶存酸素濃度の高い水を利用した電気分解を実行できる。その結果、高濃度の過酸化水素水の生成が可能になる。
【0028】
網目形状の陰極4において、網目の線幅は陰極4として有効な導電部の面積を得るために気泡径と同程度、具体的には1mm以下にすることが好ましい。
【0029】
網目形状の陰極4において、網目寸法は電気分解時に生ずる気泡の移動、消失に伴う表面水の入れ替えの円滑さを考慮して気泡より大きいことが好ましい。網目寸法の上限は、陰極4の面積を確保するために気泡の倍程度にすることが好ましい。
【0030】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る過酸化水素水の生成装置は、前述した図1においてフロート5a,5bで電解槽3内の水2に浮遊させた陰極4がガス透過性を有する導電材料から形成されている。具体的な陰極4の材料は、例えばカーボンペーパーのような微細開気孔を有する多孔質炭素系材料または微細開気孔を有する多孔質導電性プラスチック表面に導電性処理を施したものなどが使用可能である。
【0031】
このような第3実施形態によれば、陰極4と陽極6の間での電気分解において、陰極4をガス透過性を有する導電材料から形成することによって、陰極4の面積を増大させた場合でも外界からの空気を陰極4を通してその下の水2に供給できる。このため、陰極4全面において周辺と同様に溶存酸素濃度が高い環境にすることができ、溶存酸素濃度の高い水を利用した電気分解を実行できる。その結果、高濃度の過酸化水素水の生成が可能になる。
【0032】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す概略斜視図、図6は図5の要部断面図である。なお、図5、図6において第1実施形態で説明した図1、図2と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0033】
第4実施形態に係る過酸化水素水の生成装置において、陰極4は金属支持板10と金属支持板10の下面に溶着層11を介して並べて埴設、接合された複数の金属細線12とから構成されている。各金属細線12は下端部が水表面付近、例えば水面から4mmの深さの範囲内、に位置するように垂直(もしくは略垂直)の状態で並べて配置されている。フロート5a,5bは、四角柱形状をなし、支持板10の対向する一対の辺の近傍下面にそれらの辺に沿って取り付けられている。このため、陰極4は複数の金属細線12の下端部が垂直(もしくは略垂直)の状態で、かつ複数の金属細線12の配列形態が水面に対してほぼ平行な姿勢になるように電解槽3の水2に浮遊される。なお、支持板10および細線12は例えばチタン、白金、ニッケルあるいはステンレス鋼のような金属から作られる。
【0034】
このような第4実施形態によれば、陰極4と陽極6の間での電気分解において、フロート5a,5bで浮遊される陰極4の複数の金属細線12をそれらの下端部が水表面付近に位置するように垂直(もしくは略垂直)の状態で並べて配置することによって、陰極4の面積を増大させた場合でも外界からの空気を金属細線12の間隙を通して水2に供給できる。このため、陰極4全面において第2実施形態の網目形状の陰極を用いた場合と同様に、溶存酸素濃度が高い環境にすることができ、溶存酸素濃度の高い水を利用した電気分解を実行できる。その結果、高濃度の過酸化水素水の生成が可能になる。
【0035】
前述した第2実施形態のような網目形状の陰極は、面積を増大させた場合、中央付近が撓んで陽極との距離が部分的に変化する。この第4実施形態において、複数の金属細線12を植設した金属支持板10をリジッドにすれば、網目形状の陰極のような撓みを回避して陰極4と陽極6の間の距離を一定に保つことが可能になる。
【0036】
陰極4の各金属細線12は、0.1〜1mmの直径を有し、これらの金属細線の配列は細線の直径と同程度から直径の三倍程度の間隔でなされることが好ましい。
【0037】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態に係る過酸化水素水の生成装置を示す断面図、図8は図7の要部斜視図である。なお、図7、図8において第1実施形態で説明した図1、図2と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0038】
第5実施形態に係る過酸化水素水の生成装置は、矩形板状の陰極4と同形状の陽極6を互いにそれらの面が対向するように配置し、かつ対向領域の4隅に例えばポリエチレン、ポリプロピレンのようなプラスチックからなる四角柱状の絶縁スペーサ13を配置し、陰極4と各絶縁スペーサ13の四角端面の間、各絶縁スペーサ13の四角端面と陽極6の間を接着剤で接着し、一体化した構造を有する。フロート5a,5bは陰極4の対向する一対の辺の近傍にそれらの辺に沿って取り付けられている。このため、各絶縁スペーサ13により互いに一定の間隔で接着された陰極4および陽極6は電解槽3の水2に水面に対してほぼ平行な姿勢で浮遊される。
【0039】
第5実施形態によれば、陰極4と陽極6の間で電気分解を行うことによって第1実施形態と同様に濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水を生成することができる。また、陰極4と陽極6の間にスペーサ13を介在することによって電極間距離が決められ、電気分解槽の形状に係わらず電極間隔を一定に保持できるため、直流電源を用いて陰極4および陽極6に電流を流す場合、回路構成が簡単な定電圧電源を用いても自動的に定電流動作が可能になる。
【0040】
(第6実施形態)
図9は、第6実施形態に係る除菌システムを示す概略図である。
【0041】
ミスト噴射口21を有する筺体22には、前述した第1実施形態と同様な過酸化水素水の生成装置1の電解槽3が取り付けられている。電解槽3の水2には、陰極4が図示しないフロートにより浮遊して配置されている。陽極6は、陰極4より下方の電解槽3の水2に陰極4と対向するように配置されている。筺体22内に位置する電解槽3の下部には、その電解槽3での水の電気分解により生成した過酸化水素水を液滴として下方に供給するための液滴供給部材14が設けられている。
【0042】
振動子23は筺体22内に水平姿勢で配置され、その左側の上面が電解槽3の液滴供給部材14の直下に位置している。振動子23は、これに接続された超音波発生器24からの超音波の入力により振動される。このような振動子23および超音波発生器24によりミスト発生手段を構成している。空気を筺体22内に送風するためのブロア25は、筺体22の底部に設けられている。
【0043】
過酸化水素水の生成装置1と振動子23および高周波発生器24を組み込んだ筺体22は、除菌対象空間、例えば洗濯乾燥機の内部31のような密閉可能な空間に取り付けられる。
【0044】
このような構成によれば、過酸化水素水の生成装置1における電解槽3の水2に互いに水深方向に対向させた陰極4および陽極6に直流電源7から直流電圧をケーブル8を通して供給し、それらの間で電気分解を行うと、第1実施形態で説明したように電解槽3内に濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水が生成される。
【0045】
生成された過酸化水素水は電解槽3下部の液滴供給部材14から振動子23表面に液滴として落下され、その表面を拡がる。過酸化水素水を振動子23表面に落下させた直後に、超音波発生器24から超音波を振動子23に付与すると、振動子23が振動してその表面の過酸化水素水をミスト化し、ブロア25から空気を筺体22内に送風することによって、筺体22に充満したミスト26がミスト噴射口21から洗濯乾燥機の内部31に噴射することができる。その結果、洗濯乾燥機の内部31のような密閉可能な空間雰囲気内を濃度が数10から数100ppmの過酸化水素水のミストにより除菌することができる。
【0046】
次に、本発明の実施例および比較例を図面を参照して説明する。
【0047】
(比較例1)
図10に示すように有底円筒型の電解槽201に水道水202を供給して満たした。電解槽201内の水道水202(容量:13cm3)にSUS製矩形板からなる陰極203およびSUS製矩形板からなる陽極204を水面に対して垂直に立て、かつ互いに0.4cmの距離をあけて対向して挿入した。このときの陰極203および陽極204の水道水202に浸漬した部分の寸法はそれぞれ3.5cm×0.8cmであった。
【0048】
陰極203、陽極204に直流電源を接続し、陰極203および陽極204に直流電圧を電圧10V,電流30mAの条件で60分間通電して電気分解を行い、通電後の水道水の過酸化水素(H2O2)の濃度をヨウ化カリウム法によるパックテストを用いて測定した。その結果を下記表1に示す。
【0049】
(実施例1)
図11に示すように有底円環状型の電解槽101に水道水102を供給して満たした。電解槽101内の水道水102(容量:13cm3)の水面下1mmの位置にSUS製矩形板からなる陰極103を図示しないフロートにより水面と平行な姿勢で浮遊させた。SUS製矩形板からなる陽極104を陰極103より下方の水道水102に水面と平行な姿勢で、かつ陰極3に対して0.4cmの距離をあけて対向して浸漬した。このとき、水道水102に浸漬された陰極103および陽極104の寸法はそれぞれ3.5cm×0.8cmであった。
【0050】
陰極103、陽極104に直流電源を接続し、陰極103および陽極104に直流電圧を電圧10V,電流30mAの条件で60分間通電して電気分解を行い、通電後の水道水の過酸化水素(H2O2)の濃度をヨウ化カリウム法によるパックテストを用いて測定した。その結果を下記表1に示す。
【表1】
【0051】
前記表1から明らかなように電解槽内の水道水に矩形板からなる陰極を浮遊させ、矩形板からなる陽極を陰極より下方の電解槽の水道水に対向して浸漬して陰極、陽極間で電気分解を行う実施例1では、電解槽内の水道水に矩形板からなる陰極および矩形板からなる陽極を水面に対して垂直に立て、かつ互いに対向して配置し、陰極、陽極間で電気分解を行う比較例1に比べて約2倍の過酸化水素の濃度を持つ過酸化水素水を生成できることがわかる。
【符号の説明】
【0052】
1…過酸化水素水の生成装置、2,102…水、3,101…電解槽、4,103…陰極、5a,5b…フロート、6,104…陽極、7…直流電源、12…金属細線、13…スペーサ、22…筺体、23…振動子、31…除菌対象空間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を原料として収容した電解槽と、
前記電解槽内の水にフロートにより水面に浮遊して配置された陰極と、
前記陰極より下方の電解槽内の水に前記陰極と対向するように配置された陽極と
を具備したことを特徴とする過酸化水素水の生成装置。
【請求項2】
前記陰極は網状の形状を有することを特徴とする請求項1記載の過酸化水素水の生成装置。
【請求項3】
前記陰極はガス透過性の導電体であることを特徴とする請求項1記載の過酸化水素水の生成装置。
【請求項4】
前記陰極は複数の金属細線を備え、これらの金属細線は下端部が水面または水面近傍に位置するように垂直もしくは略垂直の状態で並べて配置されることを特徴とする請求項1記載の過酸化水素水の生成装置。
【請求項5】
互いに対向して配置される前記陰極と前記陽極とは、絶縁性のスペーサで一体化されることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の過酸化水素水の生成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか記載の過酸化水素水の生成装置と、前記生成装置の過酸化水素水をミスト化するためのミスト発生手段とを備えたことを特徴とする除菌システム。
【請求項1】
水を原料として収容した電解槽と、
前記電解槽内の水にフロートにより水面に浮遊して配置された陰極と、
前記陰極より下方の電解槽内の水に前記陰極と対向するように配置された陽極と
を具備したことを特徴とする過酸化水素水の生成装置。
【請求項2】
前記陰極は網状の形状を有することを特徴とする請求項1記載の過酸化水素水の生成装置。
【請求項3】
前記陰極はガス透過性の導電体であることを特徴とする請求項1記載の過酸化水素水の生成装置。
【請求項4】
前記陰極は複数の金属細線を備え、これらの金属細線は下端部が水面または水面近傍に位置するように垂直もしくは略垂直の状態で並べて配置されることを特徴とする請求項1記載の過酸化水素水の生成装置。
【請求項5】
互いに対向して配置される前記陰極と前記陽極とは、絶縁性のスペーサで一体化されることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の過酸化水素水の生成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか記載の過酸化水素水の生成装置と、前記生成装置の過酸化水素水をミスト化するためのミスト発生手段とを備えたことを特徴とする除菌システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−86167(P2012−86167A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235796(P2010−235796)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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