道路形状推定装置
【課題】自車両が走行する道路の形状を従来より正確に推定可能とする道路形状推定装置を提供する。
【解決手段】自車両に搭載され、当該自車両が走行する道路の形状を推定する道路形状推定装置であって、自車両周囲の静止物の存在位置を複数の検出点として検出する物体検出部と、複数の検出点同士を第1の接続方法により線分で順次接続することによって、道路の形状を示す接続線を形成する接続線形成部と、接続線の一部または全部の区間が所定の条件を満たす形状を成している場合、当該区間を、道路に沿って路側静止物が二重に配置された二重路側物配置区間として認識する二重区間認識部と、二重路側物配置区間が検出された場合、当該二重路側物配置区間に含まれる複数の検出点を第2の接続方法により接続し直して接続線を修正する接続線修正部と、接続線に基づいて道路の形状を推定する道路形状推定部とを備える、道路形状推定装置である。
【解決手段】自車両に搭載され、当該自車両が走行する道路の形状を推定する道路形状推定装置であって、自車両周囲の静止物の存在位置を複数の検出点として検出する物体検出部と、複数の検出点同士を第1の接続方法により線分で順次接続することによって、道路の形状を示す接続線を形成する接続線形成部と、接続線の一部または全部の区間が所定の条件を満たす形状を成している場合、当該区間を、道路に沿って路側静止物が二重に配置された二重路側物配置区間として認識する二重区間認識部と、二重路側物配置区間が検出された場合、当該二重路側物配置区間に含まれる複数の検出点を第2の接続方法により接続し直して接続線を修正する接続線修正部と、接続線に基づいて道路の形状を推定する道路形状推定部とを備える、道路形状推定装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路形状推定装置に関し、より特定的には、車両に搭載され、当該車両が走行している道路の形状を推定する道路形状推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が走行する道路の形状を推定し、当該道路形状に応じて車両の操舵を制御したり、車両の衝突の危険を報知したりする車載システムが開発されている。上記のような車載システムでは、適切に車両を制御するために道路の形状を正確に推定する必要がある。このような道路の形状を推定するための装置が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示される前方物体検出装置は、ガードレール等の路側静止物(道路構造物)の位置および形状を、レーダー装置から得られる複数の検出点に基づいて検出する。具体的には、前方物体検出装置は、レーダー装置により得られた複数の検出点のうち近接する検出点同士を線により接続して成る接続線を算出し、当該接続線をガードレール等の路側静止物として検出する。一般的に、ガードレール等の路側静止物は、車両が走行する道路に沿って配置され、当該道路と相似した形状を成している。したがって、前方物体検出装置は、上記のようにして検出したガードレール等の路側静止物を表す検出点グループの形状に基づいて道路形状を推定算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−271513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1などに開示される従来の装置では、路側静止物の形状を正確に検出できない場合があった。例えば、図11に示すように自車両101が走行する道路に沿って、路側静止物として内側ガードレール53、および外側ガードレール54が略平行に自車両101から見て重なるように配置されている状況を想定する。なお、図11は、従来の装置によってガードレール等の路側静止物の形状が誤って検出される様子を示す図である。
【0006】
図11のように、複数のガードレールが重なるように配置されている場合、各々異なるガードレールの位置を示す検出点同士が誤って接続されてしまう場合がある。より具体的には、内側ガードレール53を示す検出点Pa1と外側ガードレール54を示す検出点Pb1とが接続され、外側ガードレール54を示す検出点Pb1と内側ガードレール53を示す検出点Pa2とが接続されてしまう場合がある。このようにして各検出点を順次接続して得られた接続線LDは例えば三角波形状(ジグザグ状)を成し、実際のガードレールの形状とはかけ離れた形状となってしまう。すなわち、従来の装置では、道路に沿ってガードレールが二重に配置されている場合、当該ガードレールの形状を正確に検出することができず、道路形状を正確に推定できない場合があった。
【0007】
本発明は上記の課題を鑑みて成されたものであり、自車両が走行する道路の形状を従来より正確に推定可能とする道路形状推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本願は以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明は、自車両に搭載され、当該自車両が走行する道路の形状を推定する道路形状推定装置であって、自車両周囲の静止物の存在位置を複数の検出点として検出する物体検出部と、複数の検出点同士を第1の接続方法により線分で順次接続することによって、道路の形状を示す接続線を形成する接続線形成部と、接続線の一部または全部の区間が所定の条件を満たす形状を成している場合、当該区間を、道路に沿って路側静止物が二重に配置された二重路側物配置区間として認識する二重区間認識部と、二重路側物配置区間が検出された場合、当該二重路側物配置区間に含まれる複数の検出点を第2の接続方法により接続し直して接続線を修正する接続線修正部と、接続線に基づいて道路の形状を推定する道路形状推定部とを備える、道路形状推定装置である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、所定の条件には、各検出点を介して連続する線分が成す角度が各々予め定められた範囲内であるという第1の条件が含まれることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、所定の条件には、各検出点を介して連続する複数の線分の長さが各々予め定められた範囲内であるという第2の条件が含まれ、二重区間認識部は、少なくとも第1の条件または第2の条件の何れかが満たされていることを条件として接続線の一部または全部の区間を二重路側物配置区間として認識することを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第1から第3の発明の何れか1つにおいて、二重区間認識部は、接続線の一部または全部の区間が三角波型形状を成している場合、当該区間を二重路側物配置区間として認識することを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第4の発明において、二重区間認識部は、連続的に接続されている複数の線分について、少なくとも第1の条件または第2の条件の何れかが、予め定められた回数以上連続して満たされている場合に、当該複数の線分から成る接続線の一部または全部の区間を二重路側物配置区間として認識することを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1から5の発明の何れか1つにおいて、接続線修正部は、二重路側物配置区間内において接続線形成部により予め接続された複数の検出点を、現在接続されている順序に基づいて一つおきに接続し直すことによって複数の再接続線を形成する再接続線形成部と、複数の再接続線のうち道路に沿って相対的に内側に存在する再接続線を修正後の接続線とする再接続線選択部とを含むことを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、第6の発明において、再接続線選択部は、複数の再接続線各々の始点となる検出点の自車両の車幅方向の位置に基づいて、道路に沿って相対的に内側に存在する再接続線を判別することを特徴とする。
【0015】
第8の発明は、第6または7の発明において、再接続線選択部は、各再接続線を構成する検出点の自車両の車幅方向の位置の平均値に基づいて、道路に沿って相対的に内側に存在する再接続線を判別することを特徴とする。
【0016】
第9の発明は、第1から8の発明の何れか1つにおいて、接続線が道路に沿って配置された路側静止物である可能性を示す信頼度を算出する信頼度算出部と、物体検出部から見て死角となる領域を検出し、当該領域内については第3の接続方法により検出点を線分で接続する死角接続部とをさらに備え、接続線を構成する検出点の個数が予め定められた接続階層閾値以下であることを条件Aとし、信頼度が予め定められた信頼度閾値以下であることを条件Bとし、接続線の始点となる検出点から自車両までの自車両の進行方向についての距離が予め定められた距離閾値より長いことを条件Cとし、接続線を構成する検出点の総数のうち第3の接続方法により接続された検出点が占める個数の割合が予め定められた比率閾値より大きいことを条件Dとした場合、条件A、条件B、条件C、条件Dの何れか一つが満たされている場合、二重区間認識部は二重路側物配置区間の検出を行わないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、自車両が走行する道路の形状を従来よりも正確に推定することができる。具体的には、例えば、ガードレール等の路側静止物が二重に配置されており接続線が正確に形成されていないと考えられる区間(二重路側物配置区間)を検出し、当該区間の接続線を修正することによって路側静止物に即した正確な接続線を得ることができる。このような処理により、路側静止物に即した正確な接続線に基づいて自車両が走行する道路の形状を正確に推定することができる。
【0018】
第2の発明によれば、二重路側物配置区間を、より正確に認識することができる。例えば、接続線を構成する線分、すなわち検出点間の長さが、一般的な二重に配置されるガードレールの間隔に比べて極端に長い場合や極端に短い場合、当該線分により構成される区間は二重路側物配置区間でない可能性が高い。したがって、このような形状を二重路側物配置区間として認識しないことによって二重路側物配置区間を、より正確に検出することができる。
【0019】
第3の発明によれば、二重路側物配置区間を、より正確に認識することができる。具体的には、接続線を構成する線分同士が成す角度が比較的大きい場合、すなわち接続線が比較的直線的な形状である場合には路側静止物に即した形状を示しており二重路側物配置区間でない可能性が高い。したがって、このような形状を二重路側物配置区間として認識しないことによって二重路側物配置区間を、より正確に検出することができる。
【0020】
第4の発明によれば、ガードレール等の路側静止物が二重に配置されている区間を容易に認識することができる。ガードレール等の路側静止物が二重に配置されている道路において接続線を形成した場合、異なる路側静止物を示す検出点が交互に接続されて三角波型形状となる場合がある。したがって、このような三角波型形状の区間を検出することによって、容易に路側静止物が二重に配置されている区間を検出することができる。
【0021】
第5の発明によれば、複数条件が連続して満たされている場合に二重路側物配置区間を認識することによって、当該区間をより正確に認識することができる。
【0022】
第6の発明によれば、簡単な修正処理によって接続線を路側静止物に沿った形状に修正することができる。
【0023】
第7、8の発明によれば、接続線を修正した際に得られた複数の接続線のうち、内側に存在する接続線を簡単な処理で識別することができる。
【0024】
第9の発明によれば、接続線がガードレール等の道路に沿って配置された路側静止物を示す検出点に基づいて形成されたものである可能性が低いことを示す諸条件AからDが満たされている場合に、二重路側物配置区間を認識する処理を省略することができる。したがって、処理装置の負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る道路形状推定装置1の構成の一例を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態に係るレーダー装置11が直接検出した検出点の一例を示す図
【図3】本発明の実施形態に係るECU12が実行する処理の詳細を示すフローチャートの一例
【図4】本発明の実施形態に係るECU12が実行する接続線形成処理の詳細を示すフローチャートの一例
【図5】接続線形成処理によって接続線が形成された様子を示す図
【図6】本発明の実施形態に係るECU12が実行する認識対象判定処理の詳細を示すフローチャートの一例
【図7】本発明の実施形態に係るECU12が実行する二重ガードレール認識処理の詳細を示すフローチャートの一例
【図8】図5に示した接続線JTの部分拡大図
【図9】本発明の実施形態に係るECU12により二重ガードレール区間WA内の検出点を接続し直した様子を示す図
【図10】本発明の実施形態に係るECU12により修正された接続線を示す図
【図11】従来の装置によってガードレール等の路側静止物の形状が誤って検出される様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る道路形状推定装置1について説明する。本発明に係る道路形状推定装置1は、自車両100に搭載され、自車両100が走行する道路の形状を推定する装置である。なお、以下では自車両100が走行する道路を自車走行道路と称する。
【0027】
先ず、図1を参照して道路形状推定装置1のハードウェア構成について説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係る道路形状推定装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、道路形状推定装置1は、レーダー装置11、およびECU12を備える。また、ECU12は、自車両100に搭載される車両制御装置50と電気的に接続される。
【0028】
レーダー装置11は、例えば、図2に示すように自車両100の周囲に存在する静止物の位置を複数の検出点として検出する装置である。なお、図2は、本発明の実施形態に係るレーダー装置11が直接検出した検出点の一例を示す図である。図2では、内側ガードレール51を示す検出点Pa1からPa4(図2の●印)、および外側ガードレール52を示す検出点Pb1からPb6(図2の□印)、および先行車200を示す検出点Pc1(図2の△印)がレーダー装置11によって検出されている例を示す。レーダー装置11は、自車両100の前端に搭載され、自車両100の前方に存在する物体を検出する。レーダー装置11は、典型的にはミリ波長帯の電磁波を送受信するFM−CW方式のレーダー装置である。レーダー装置11は、例えば、電磁波等の検出波信号を自車両100の前方に照射する。そして、物体に反射された当該検出波信号の反射波に基づいて当該反射点の位置を検出点として検出する。
【0029】
レーダー装置11は、図2に示すように、自車両100の前端を原点とし、自車両100を平面視した場合に、自車両100の前後方向を示す軸線をY軸、当該Y軸と水平面上で垂直に交差して車両100の車幅方向を示す軸線をX軸としたXY座標系で検出点の位置情報を取得する。また、レーダー装置11は、各検出点が静止物を示すものであるか、あるいは先行車や対向車などの他車両を示す物かを判別する。なお、レーダー装置11は、従来周知の手法を用いて各検出点が静止物、あるいは他車両を示すものであるかを判別して構わない。以下では、静止物を示す検出点を静止物検出点と称し、他車両を示す検出点を他車両検出点と称する。レーダー装置11は、このようにして検出された各検出点の位置情報(XY座標)をECU12へ送信する。なお、レーダー装置11は、従来周知の任意の手法を用いて上記検出点を外挿しても良い。外挿とは、過去のサンプリング時において捕捉された検出点の位置および相対速度等から今回のサンプリング時における検出点の位置を予測し、予測した位置近傍に検出点が捕捉されない場合に、その予測した位置に実際に検出点が存在すると仮定する技術である。レーダー装置11は、このように外挿により得られた検出点に関する情報についても、直接検出した検出点と同様にECU12へ送信する。
【0030】
ECU12は、典型的には、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)などの情報処理装置、メモリなどの記憶装置、およびインターフェース回路などを備える電子制御装置である。ECU12は、車両制御装置50と電気的に接続される。
【0031】
車両制御装置50は、例えば、ブレーキ制御装置、ステアリング制御装置、および警報装置等の制御装置である。ブレーキ制御装置、ステアリング制御装置、および警報装置は、ECU12から取得した自車走行道路の形状に応じて、各々、自車両100の走行を制御する。例えば、ブレーキ制御装置、およびステアリング制御装置は、自車両100が自車走行道路を逸脱しないように自車両100の進行方向や走行速度を制御する。また、警報装置は、自車走行道路の端部に存在すると予想されるガードレール等の路側静止物と自車両100との衝突を予測して自車両100のドライバーへ音声等により衝突の危険を知らせる警報を発する。すなわち、道路形状推定装置1が自車走行道路の形状を正しく検出することによって、車両制御装置50は、適切な車両制御を実行することができる。
【0032】
次いで、図3を参照して、ECU12が実行する処理について説明する。図3は、本発明の実施形態に係るECU12が実行する処理の詳細を示すフローチャートの一例である。ECU12は、例えば、自車両100のIG電源がオン状態に設定された場合に図3のフローチャートの処理を開始する。ECU12は、図3のフローチャートの処理を開始すると、先ず、ステップS1の処理を実行する。なお、ECU12は、以下に示すステップS1からステップS9までの処理を1サイクルとしてこれらの処理を繰り返し実行する。
【0033】
ステップS1において、ECU12は、レーダー装置11から検出点情報を取得する。ECU12は、ステップS1の処理を完了すると、処理をステップS2へ進める。
【0034】
ステップS2において、ECU12は、接続線形成処理を実行する。接続線形成処理は、ステップS1において取得した複数の検出点を線分で順次接続して接続線を形成する処理である。接続線形成処理は、本出願人が特願2011−021965号(本出願時未公開)にて提案した処理と同様なものであり、詳細は該出願に係る公報を参照されたい。以下、図4を参照して接続線形成処理の詳細について説明する。なお、図4は、本発明の実施形態に係るECU12が実行する接続線形成処理の詳細を示すフローチャートの一例である。ECU12は、図4に示す接続線形成処理を開始すると先ずステップS21の処理を実行する。
【0035】
ステップS21において、ECU12は、死角領域DAを算出する。死角領域DAは、レーダー装置11から見て死角となる領域である。ECU12は、従来周知の任意の手法を用いて死角領域DAを算出して良いが、例えば、先行車200の位置を示す検出点に基づいて死角領域DAを算出する(図2参照)。より具体的には、ECU12は、先行車200の位置を示す検出点(例えば、図2の検出点Pc1)を基準として算出した矩形領域VAに先行車200が存在するものとみなす。そして、ECU12は、レーダー装置11から当該矩形領域VAの輪郭端点を通る直線で囲まれる領域のうち、レーダー装置11から見て矩形領域VA以遠の領域を死角領域DAとして算出する。なお、ECU12は、先行車200の位置を示す検出点が存在しない場合、死角領域を算出しない。ECU12は、ステップS21の処理を完了すると、処理をステップS22へ進める。
【0036】
ステップS22において、ECU12は、検出点接続処理を実行する。検出点接続処理は、死角領域DA外に存在する検出点同士を線分で接続する処理である。ECU12は、従来周知の任意の手法を用いて検出点同士を接続して良い。例えば、ECU12は、接続元となる検出点を基準として所定の接続範囲を設定し、当該接続範囲内に存在する検出点を接続先の検出点として、これら接続元の検出点と接続先の検出点とを線分で接続する。そして、接続先の検出点を新たな接続元の検出点として設定する。なお、ECU12は、Y座標が最も自車両100に近い検出点(例えば、図2においては検出点Pa1)を開始点として接続点を順次接続する。なお、ECU12は、接続線を構成する各検出点の接続順序を記憶装置に記憶する。ECU12は、ステップS22の処理を完了すると、処理をステップS23へ進める。
【0037】
ステップS23において、ECU12は、上述の処理で死角領域DAを算出したか否か判定する。ECU12は、死角領域DAを算出していた場合、処理をステップS24へ進め、死角領域DA内の検出点を接続する。一方、ECU12は、死角領域DAを算出していない場合、処理を図3のステップS3へ進める。
【0038】
ステップS24において、ECU12は、死角検出点接続処理を実行する。死角検出点接続処理は、死角領域DA内に存在する検出点同士を線分で接続する処理である。具体的には、ECU12は、死角領域DA内に存在する検出点については、上述ステップS22の処理で用いられた接続範囲より大きな範囲の接続範囲を設定して検出点を接続する。ECU12は、ステップS24の処理を完了すると、処理をステップS25へ進める。
【0039】
ステップS25において、ECU12は、再接続処理を実行する。具体的には、ECU12は、ステップS22において形成した死角領域DA外の接続線と、ステップS24において形成した死角領域DA内の接続線とを接続する。なお、ECU12は、再接続処理後の接続線を構成する各検出点の接続順序を記憶装置に記憶する。ECU12は、ステップS25の処理を完了すると、処理を図3のステップS3へ進める。
【0040】
以上に示した接続線形成処理により形成された接続線JTの一例を図5に示す。なお、図5は、接続線形成処理によって接続線JTが形成された様子を示す図である。より詳細には、図5は、図2に示した検出点について接続線形成処理を行った場合に得られる接続線JTを示す。図5に示すように、内側ガードレール51を示す検出点Pa1〜Pa4と、外側ガードレール52を示す検出点Pb1〜Pb4とが、交互に接続され、接続線JTの一部は三角波状を成している。なお、接続線JTは、各検出点がPa1、Pb1、Pa2、Pb2、Pa3、Pb3、Pa4、Pb4、Pb5、Pb6の順に接続されて成り、ECU12はこれらの検出点の接続順序を記憶する。以下、接続線JTを構成する検出点を構成検出点と称する。
【0041】
ステップS3において、ECU12は、認識対象判定処理を実行する。認識対象判定処理は、ステップS2において形成した接続線JTが後述ステップS5の二重ガードレール認識処理を行う対象となるか否かを判定する処理である。なお、二重ガードレール認識処理は、接続線JTによって表される道路の区間内に、二重ガードレール区間が存在するか否かを判定する処理である。なお、二重ガードレール区間とは、道路に沿ってガードレール等の帯状路側静止物が二重に配置されている区間を指す。以下、図6を参照して認識対象判定処理の詳細について説明する。なお、図6は、本発明の実施形態に係るECU12が実行する認識対象判定処理の詳細を示すフローチャートの一例である。ECU12は、図6に示す認識対象判定処理を開始すると先ずステップS31の処理を実行する。
【0042】
ステップS31において、ECU12は、接続階層数Kを算出する。接続階層数Kは、接続線を構成する検出点の個数を示す値である。ECU12は、ステップS31の処理を完了すると、処理をステップS32へ進める。
【0043】
ステップS32において、ECU12は、接続階層数Kが接続階層閾値Kth以下か否か判定する。接続階層閾値Kthは、接続線が二重ガードレール認識処理を行う対象であるか否かを接続階層数Kに基づいて判定するための閾値である。接続階層閾値Kthは、予めECU12の記憶装置に記憶された定数であり、例えば6である。ECU12は、接続階層数Kが接続階層閾値Kth以下であると判定した場合、処理をステップS40へ進める。一方、ECU12は、接続階層数Kが接続階層閾値Kthより大きいと判定した場合、処理をステップS33へ進める。
【0044】
ステップS33において、ECU12は、信頼度Rを算出する。信頼度Rは、接続線がガードレール等の路側静止物を示すものである可能性の高さを示す数値である。ECU12は、例えば、接続線を構成する検出点が外挿点であるか否かに応じて、および/または、接続線を構成する検出点が前回の処理サイクルにおいて検出されているか否かに応じて、信頼度Rの大きさを変更して算出する。信頼度Rは、本出願人が特願2011−021965号(本出願時未公開)にて提案した合計信頼度ΣRと同様なものであり、その算出方法の詳細は該出願に係る公報を参照されたい。なお、ECU12は、従来周知の任意の手法を用いて信頼度Rを算出しても良い。ECU12は、ステップS33の処理を完了すると、処理をステップS34へ進める。
【0045】
ステップS34において、ECU12は、信頼度Rが信頼度閾値Rth以下か否か判定する。信頼度閾値Rthは、接続線が二重ガードレール認識処理を行う対象であるか否かを信頼度Rに基づいて判定するための閾値である。信頼度閾値Rthは、予めECU12の記憶装置に記憶された定数である。ECU12は、信頼度Rが信頼度閾値Rth以下であると判定した場合、処理をステップS40へ進める。一方、ECU12は、信頼度Rが信頼度閾値Rthより大きいと判定した場合、処理をステップS35へ進める。
【0046】
ステップS35において、ECU12は、開始点距離Pyを取得する。開始点距離Pyは、接続線JTの始点となる検出点から自車両100までの、Y軸方向(自車両100の前後方向)の距離である。例えば、図5においては、検出点Pa1のY座標が開始点距離Pyに相当する。ECU12は、ステップS35の処理を完了すると、処理をステップS36へ進める。
【0047】
ステップS36において、ECU12は、開始点距離Pyが開始点距離閾値Pyth以上か否か判定する。開始点距離閾値Pythは、接続線が二重ガードレール認識処理を行う対象であるか否かを開始点距離Pyに基づいて判定するための閾値である。開始点距離閾値Pythは、予めECU12の記憶装置に記憶された定数であり、例えば、60(m)相当の値である。ECU12は、開始点距離Pyが開始点距離閾値Pyth以上であると判定した場合、処理をステップS40へ進める。一方、ECU12は、開始点距離Pyが開始点距離閾値Pyth以上でないと判定した場合、処理をステップS37へ進める。
【0048】
ステップS37において、ECU12は、死角検出点比率Dを算出する。死角検出点比率Dは、接続線JTを構成する検出点の総数のうち、死角領域DA内に含まれる検出点の個数が占める割合である。なお、ECU12は、従来周知の任意の手法を用いて死角検出点比率Dを算出して良い。ECU12は、ステップS37の処理を完了すると、処理をステップS38へ進める。
【0049】
ステップS38において、ECU12は、死角検出点比率Dが比率閾値Dth以上か否か判定する。ECU12は、死角検出点比率Dが比率閾値Dth以上であると判定した場合、処理をステップS40へ進める。一方、ECU12は、死角検出点比率Dが比率閾値Dthより小さいと判定した場合、処理をステップS39へ進める。
【0050】
ステップS40において、ECU12は、ECU12の記憶装置に記憶されている二重ガードレール認識対象フラグをオフ状態に設定する。二重ガードレール認識対象フラグは、接続線JTが後述ステップS5の二重ガードレール認識処理を行う対象となるか否かを示すフラグデータである。二重ガードレール認識対象フラグは、オン状態に設定されている場合、接続線JTが二重ガードレール認識処理を行う対象となっていることを示し、オフ状態に設定されている場合、接続線JTが二重ガードレール認識処理を行う対象となっていないことを示す。ECU12は、ステップS40の処理を完了すると、処理を図3のステップS4へ進める。
【0051】
ステップS39において、ECU12は、二重ガードレール認識対象フラグをオン状態に設定する。ECU12は、ステップS39の処理を完了すると、処理を図3のステップS4へ進める。
【0052】
図3の説明に戻り、ステップS4において、ECU12は、接続線JTが二重ガードレール認識処理を行う対象であるか否か判定する。具体的には、ECU12は、二重ガードレール認識対象フラグがオン状態であるか否か判定する。ECU12は、二重ガードレール認識対象フラグがオン状態である場合、接続線JTが二重ガードレール認識対象であると判定し処理をステップS5へ進める。一方、ECU12は、二重ガードレール認識対象フラグがオフ状態である場合、二重ガードレール認識対象でないと判定した場合、処理をステップS8へ進める。
【0053】
上記ステップS3およびステップS4の処理によれば、接続線JTがガードレール等の道路に沿って配置された路側静止物を表している可能性が低い場合、接続線JTが二重ガードレール認識処理の対象から除外される。具体的には、接続階層数Kが比較的小さい場合、または信頼度Rが比較的低い場合、または開始点距離Pyが比較的長い場合、または死角検出点比率Dが比較的大きい場合、接続線JTが二重ガードレール認識処理の対象から除外される。このような処理によれば、不要な処理を省略し、ECU12の負荷を低減することができる。
【0054】
ステップS5において、ECU12は、二重ガードレール認識処理を実行する。上述の通り、二重ガードレール認識処理は、接続線JTによって表される道路の区間内に、二重にガードレールが配置された二重ガードレール区間が存在するか否かを判定する処理である。以下、図7を参照して二重ガードレール認識処理の詳細について説明する。なお、図7は、本発明の実施形態に係るECU12が実行する二重ガードレール認識処理の詳細を示すフローチャートの一例である。ECU12は、図7に示す二重ガードレール認識処理を開始すると先ずステップS51の処理を実行する。
【0055】
ステップS51において、ECU12は、接続線JTの始点と接続されている検出点(図5においては検出点Pb1)を選択する。以下、二重ガードレール認識処理においてECU12に選択されている検出点を選択検出点と称する。ECU12は、ステップS51の処理を完了すると、処理をステップS52へ進める。
【0056】
ステップS52において、ECU12は、接続角θを算出する。接続角θは、選択検出点を介して連続する線分が成す角度である。図8は、図5に示した接続線JTの部分拡大図である。例えば、検出点Pb1が選択検出点となっている場合には、ECU12は、検出点Pb1と検出点Pa1とを結ぶ線分T1、および検出点Pb1と検出点Pa2とを結ぶ線分T2が成す角度θ1を接続角θとして算出する。なお、ECU12が接続角θを算出する方法としては従来周知の任意の手法を用いて良い。ECU12は、ステップS52の処理を完了すると、処理をステップS53へ進める。
【0057】
ステップS53において、ECU12は、接続角θが角度閾値θth以下であるか否か判定する。角度閾値θthは、接続線JTの一部が二重ガードレール区間を示す形状を成しているか否かを接続角θに基づいて判定するための閾値である。角度閾値θthは、ECU12の記憶装置に予め記憶された任意の定数であり、例えば45(°)である。ECU12は、接続角θが角度閾値θth以下であると判定した場合、処理をステップS54へ進める。一方、ECU12は、接続角θが角度閾値θthより大きいと判定した場合、処理をステップS62へ進める。
【0058】
ステップS54において、ECU12は、選択検出点を介して接続されている線分の長さを示す線分長Lαを算出する。例えば、図8において選択検出点として検出点Pb1が選択されている場合、線分T1の線分長Lα1、および線分T2の線分長Lα2を算出する。なお、ECU12は従来周知の任意の手法を用いて線分長Lαを算出して良い。ECU12は、ステップS54の処理を完了すると、処理をステップS55へ進める。
【0059】
ステップS55において、ECU12は、線分長Lαが予め定められた範囲内に含まれるか否か判定する。具体的には、線分長Lαが下限線分長Lαth1より大きく、且つ線分長Lαが上限線分長Lαth2より小さいか(Lαth1≦Lα≦Lαth2であるか)否か判定する。下限線分長Lαth1および上限線分長Lαth2は各々、接続線JTの一部が二重ガードレール区間を示す形状を成しているか否かを線分長Lαに基づいて判定するための閾値である。下限線分長Lαth1および上限線分長Lαth2は、何れもECU12の記憶装置に予め記憶された定数であり、例えば、下限線分長Lαth1は1(m)に設定され、上限線分長Lαth2は3(m)に設定される。なお、図8において選択検出点として検出点Pb1が選択されている場合、ECU12は、線分T1の線分長Lα1、および線分T2の線分長Lα2の双方が上記範囲内に含まれているか否か判定する。ECU12は、Lαth1≦Lα≦Lαth2であると判定した場合、処理をステップS56へ進める。一方、ECU12は、Lαth1≦Lα≦Lαth2でないと判定した場合、処理をステップS62へ進める。
【0060】
ステップS56において、ECU12は、修正線分長Lβを算出する。修正線分長Lβは、仮に接続線JTを修正した場合に接続される検出点間の距離を示す長さである。具体的には、ECU12は、選択検出点に各々接続されている二つの検出点間の距離を修正線分長Lβとして算出する。図8において選択検出点として検出点Pb1が選択されている場合、ECU12は、検出点Pa1から検出点Pa2までの距離Lβ1を修正線分長Lβとして算出する。ECU12は、ステップS56の処理を完了すると、処理をステップS57へ進める。
【0061】
ステップS57において、修正線分長Lβが予め定められた範囲内に含まれるか否か判定する。具体的には、修正線分長Lβが下限修正線分長Lβth1より大きく、且つ修正線分長Lβが上限修正線分長Lβth2より小さいか(Lβth1≦Lβ≦Lβthであるか)否か判定する。下限修正線分長Lβth1および上限修正線分長Lβth2は各々、接続線JTの一部が二重ガードレール区間を示す形状を成しているか否かを修正線分長Lβに基づいて判定するための閾値である。下限修正線分長Lβth1および上限修正線分長Lβth2は、何れもECU12の記憶装置に予め記憶された定数であり、例えば、下限修正線分長Lβth1は0.5(m)に設定され、上限修正線分長Lβth2は2(m)に設定される。ECU12は、Lβth1≦Lβ≦Lβth2であると判定した場合、処理をステップS58へ進める。一方、ECU12は、Lβth1≦Lβ≦Lβth2でないと判定した場合、処理をステップS62へ進める。
【0062】
ステップS58において、ECU12は、成立カウンタCをインクリメントする。成立カウンタCは、上述ステップS53、ステップS55、ステップS57に示した条件が連続して満たされた回数を示すカウント値である。成立カウンタCの初期値は例えばゼロである。本ステップS58において、ECU12は、成立カウンタCに予め定められた定数値として例えば1を加算して、加算後の値を記憶装置に記憶する。ECU12は、ステップS58の処理を完了すると、処理をステップS59へ進める。
【0063】
ステップS59において、ECU12は、成立カウンタCの値が1であるか否か判定する。すなわち、上述ステップS53、ステップS55、およびステップS57に示した条件が初めて成立したか否か判定する。ECU12は、成立カウンタCの値が1である場合、処理をステップS60へ進める。一方、ECU12は、成立カウンタCの値が1でない場合、処理をステップS61へ進める。
【0064】
ステップS60において、ECU12は、現在選択している選択検出点を二重ガードレール区間の開始点に設定する。ECU12は、ステップS60の処理を完了すると、処理をステップS61へ進める。
【0065】
ステップS61において、ECU12は、構成検出点を現在接続されている順序で1つとばして選択する。具体的には、図8に示すように検出点がPa1、Pb1、Pa2、Pb2の順に接続されており、検出点Pb1が選択検出点として選択されていた場合、ECU12は、検出点Pa2をとばして、検出点Pb2を次の選択検出点として選択する。このような処理を繰り返すことにより、ECU12は、図5においては検出点Pb1、Pb2、Pb3を選択検出点として順次選択する。ECU12は、ステップS61の処理を完了すると、処理をステップS52へ戻す。
【0066】
ステップS62において、ECU12は、成立カウンタCがカウンタ閾値Cth以上か否か判定する。カウンタ閾値Cthは、二重ガードレール区間の有無を成立カウンタCの値に基づいて判定するための閾値である。カウンタ閾値Cthは、ECU12の記憶装置に予め記憶された定数であり、例えば、6などの値である。ECU12は、成立カウンタCがカウンタ閾値Cth以上であると判定した場合、処理をステップS63へ進める。一方、ECU12は、成立カウンタCがカウンタ閾値Cth未満であると判定した場合、記憶装置に記憶した二重ガードレール区間の開始点についての情報を初期化し、処理をステップS64へ進める。
【0067】
ステップS63において、ECU12は、現在選択している選択検出点を二重ガードレール区間の終端点に設定する。ECU12は、ステップS63の処理を完了すると、処理をステップS64へ進める。
【0068】
ステップS64において、ECU12は、成立カウンタCをリセットする。具体的にはECU12は、成立カウンタCの値を初期値に戻して上書き記憶する。ECU12は、ステップS64の処理を完了すると、処理をステップS65へ進める。
【0069】
ステップS65において、ECU12は、接続線の終端に到達したか否か判定する。具体的には、ECU12は、次に選択可能な構成検出点があるか否か判定する。ECU12は、選択可能な構成検出点が無い場合、接続線の終端に到達したと判定し、処理を図3のステップS6へ進める。一方、ECU12は、選択可能な構成検出点がある場合、接続線の終端に到達していないと判定し、処理をステップS61へ進める。
【0070】
上記二重ガードレール認識処理によれば、線分長Lαが所定範囲内であり、且つ線分が成す角度が所定値以下である三角形状が所定回数連続して検出された場合、当該線分から成る区間が二重ガードレール区間として認識される。ガードレールが二重に配置された区間では、特にこのような三角形状が連続したジグザグ状の接続線JTが得られやすいため、このような形状を認識することによって、二重ガードレール区間を正確に認識することができる。
【0071】
図3の説明に戻り、ステップS6において、ECU12は、接続線JTに二重ガードレール区間が含まれているか否か判定する。具体的には、上述ステップS5の二重ガードレール認識処理において二重ガードレール区間の開始点、および終端点が設定されたか否か判定する。ECU12は、二重ガードレール区間の開始点および終端点が設定されている場合、接続線JTに二重ガードレール区間が含まれていると判定し、処理をステップS7へ進める。一方、ECU12は、二重ガードレール区間の開始点および終端点が設定されていない場合、接続線JTに二重ガードレール区間が含まれていないと判定し、処理をステップS8へ進める。
【0072】
ステップS7において、ECU12は、二重ガードレール区間内の検出点の接続を修正する。具体的には、先ず、ECU12は、二重ガードレール区間を構成している検出点と接続されている線分を一旦削除する。次いで、二重ガードレール区間内の検出点を、当初接続されていた順序で、一つおきに線分で接続し直す。
【0073】
例えば、図5において、検出点Pa1が二重ガードレール区間WAの開始点に設定され、検出点Pb4が二重ガードレール区間WAの終端点に設定されている場合を想定する。先ず、ECU12は、二重ガードレール区間WA内の検出点Pa1、Pb1、Pa2、Pb2、Pa3、Pb3、Pa4、およびPb4各々を接続していた線分を一旦削除する。次いで、ECU12は、検出点Pb1をとばして検出点Pa1と検出点Pa2とを新たな線分により接続し直す。同様にしてECU12は、検出点Pa2と検出点Pa3とを接続し、検出点Pa3と検出点Pa4とを接続する。このような処理により、図9に示すように内側ガードレール51を示す接続線JAが形成される。なお、図9は、本発明の実施形態に係るECU12により二重ガードレール区間WA内の検出点を接続し直した様子を示す図である。一方、ECU12は、検出点Pa2をとばして検出点Pb1と検出点Pb2とを新たな線分により接続し直す。同様にしてECU12は、検出点Pb2と検出点Pb3とを接続し、検出点Pb3と検出点Pb4とを接続する。このような処理により、図9に示すように外側ガードレール52を示す接続線JBが形成される。
【0074】
次いで、ECU12は、接続線JAおよび接続線JBのうち何れが自車両100が走行する道路の内側に位置しているか判別する。具体的には、ECU12は、接続線JAおよび接続線JBのうち、始点となる検出点のX座標が自車両に近い方が道路内側に存在すると判定する。なお、当該処理は一例であり、ECU12は、接続線JAおよび接続線JBのうち、各々を構成する検出点のX座標の平均値が自車両100に近い方が、道路内側に存在すると判定しても構わない。
【0075】
次いで、ECU12は、接続線JAおよび接続線JBのうち、道路内側に存在する接続線JAを当該二重ガードレール区間における接続線として残し、外側に存在する接続線JBを削除する(図10参照)。なお、図10は、本発明の実施形態に係るECU12により修正された接続線を示す図である。ECU12は、ステップS7の処理を完了すると、処理をステップS8へ進める。
【0076】
図10に示すように、上述ステップS5からステップS7の処理によれば、ガードレールが二重に配置されている区間において接続線を修正することにより、実際に自車両100が走行可能な道路領域に即した接続線を形成することができる。
【0077】
ステップS8において、ECU12は、図10のように最終的に残された接続線JAを自車両100が走行する道路の形状として出力する。なお、ECU12は、二重ガードレール区間外の接続線JB2についても同様に自車両100が走行する道路の形状として出力する。ECU12は、ステップS8の処理を完了すると、処理をステップS9へ進める。
【0078】
ステップS9において、ECU12は、IG電源がオフに設定されたか否か判定する。ECU12は、IG電源がオフに設定されたと判定した場合、処理をステップSENDへ進める。一方、ECU12は、IG電源がオフに設定されていないと判定した場合、処理をステップS1へ戻す。
【0079】
以上に示したように、本発明の実施形態に係る道路形状推定装置によれば、自車両100がガードレール等の路側静止物が二重に配置された道路を走行している際に、当該道路の形状を従来よりも正確に推定することができる。
【0080】
なお、上記実施形態では、ステップS51において、接続線JTの始点と接続されている検出点(図5においては検出点Pb1)を選択検出点として選択する例について説明したが、接続線JTの始点から数えて3つめに接続されている検出点(図5においては検出点Pa2)を選択検出点として選択しても構わない。このような処理を行う場合、ECU12は、図5に示す検出点Pa1、Pa2、Pa3を選択検出点として順次選択して、二重ガードレール区間の有無を認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る道路形状推定装置は、自車両が走行する道路の形状を従来より正確に推定可能とする道路形状推定装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 道路形状推定装置
11 レーダー装置
12 ECU
50 車両制御装置
51、53 内側ガードレール
52、54 外側ガードレール
100、101 自車両
200 先行車
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路形状推定装置に関し、より特定的には、車両に搭載され、当該車両が走行している道路の形状を推定する道路形状推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が走行する道路の形状を推定し、当該道路形状に応じて車両の操舵を制御したり、車両の衝突の危険を報知したりする車載システムが開発されている。上記のような車載システムでは、適切に車両を制御するために道路の形状を正確に推定する必要がある。このような道路の形状を推定するための装置が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示される前方物体検出装置は、ガードレール等の路側静止物(道路構造物)の位置および形状を、レーダー装置から得られる複数の検出点に基づいて検出する。具体的には、前方物体検出装置は、レーダー装置により得られた複数の検出点のうち近接する検出点同士を線により接続して成る接続線を算出し、当該接続線をガードレール等の路側静止物として検出する。一般的に、ガードレール等の路側静止物は、車両が走行する道路に沿って配置され、当該道路と相似した形状を成している。したがって、前方物体検出装置は、上記のようにして検出したガードレール等の路側静止物を表す検出点グループの形状に基づいて道路形状を推定算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−271513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1などに開示される従来の装置では、路側静止物の形状を正確に検出できない場合があった。例えば、図11に示すように自車両101が走行する道路に沿って、路側静止物として内側ガードレール53、および外側ガードレール54が略平行に自車両101から見て重なるように配置されている状況を想定する。なお、図11は、従来の装置によってガードレール等の路側静止物の形状が誤って検出される様子を示す図である。
【0006】
図11のように、複数のガードレールが重なるように配置されている場合、各々異なるガードレールの位置を示す検出点同士が誤って接続されてしまう場合がある。より具体的には、内側ガードレール53を示す検出点Pa1と外側ガードレール54を示す検出点Pb1とが接続され、外側ガードレール54を示す検出点Pb1と内側ガードレール53を示す検出点Pa2とが接続されてしまう場合がある。このようにして各検出点を順次接続して得られた接続線LDは例えば三角波形状(ジグザグ状)を成し、実際のガードレールの形状とはかけ離れた形状となってしまう。すなわち、従来の装置では、道路に沿ってガードレールが二重に配置されている場合、当該ガードレールの形状を正確に検出することができず、道路形状を正確に推定できない場合があった。
【0007】
本発明は上記の課題を鑑みて成されたものであり、自車両が走行する道路の形状を従来より正確に推定可能とする道路形状推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本願は以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明は、自車両に搭載され、当該自車両が走行する道路の形状を推定する道路形状推定装置であって、自車両周囲の静止物の存在位置を複数の検出点として検出する物体検出部と、複数の検出点同士を第1の接続方法により線分で順次接続することによって、道路の形状を示す接続線を形成する接続線形成部と、接続線の一部または全部の区間が所定の条件を満たす形状を成している場合、当該区間を、道路に沿って路側静止物が二重に配置された二重路側物配置区間として認識する二重区間認識部と、二重路側物配置区間が検出された場合、当該二重路側物配置区間に含まれる複数の検出点を第2の接続方法により接続し直して接続線を修正する接続線修正部と、接続線に基づいて道路の形状を推定する道路形状推定部とを備える、道路形状推定装置である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、所定の条件には、各検出点を介して連続する線分が成す角度が各々予め定められた範囲内であるという第1の条件が含まれることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、所定の条件には、各検出点を介して連続する複数の線分の長さが各々予め定められた範囲内であるという第2の条件が含まれ、二重区間認識部は、少なくとも第1の条件または第2の条件の何れかが満たされていることを条件として接続線の一部または全部の区間を二重路側物配置区間として認識することを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第1から第3の発明の何れか1つにおいて、二重区間認識部は、接続線の一部または全部の区間が三角波型形状を成している場合、当該区間を二重路側物配置区間として認識することを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第4の発明において、二重区間認識部は、連続的に接続されている複数の線分について、少なくとも第1の条件または第2の条件の何れかが、予め定められた回数以上連続して満たされている場合に、当該複数の線分から成る接続線の一部または全部の区間を二重路側物配置区間として認識することを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1から5の発明の何れか1つにおいて、接続線修正部は、二重路側物配置区間内において接続線形成部により予め接続された複数の検出点を、現在接続されている順序に基づいて一つおきに接続し直すことによって複数の再接続線を形成する再接続線形成部と、複数の再接続線のうち道路に沿って相対的に内側に存在する再接続線を修正後の接続線とする再接続線選択部とを含むことを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、第6の発明において、再接続線選択部は、複数の再接続線各々の始点となる検出点の自車両の車幅方向の位置に基づいて、道路に沿って相対的に内側に存在する再接続線を判別することを特徴とする。
【0015】
第8の発明は、第6または7の発明において、再接続線選択部は、各再接続線を構成する検出点の自車両の車幅方向の位置の平均値に基づいて、道路に沿って相対的に内側に存在する再接続線を判別することを特徴とする。
【0016】
第9の発明は、第1から8の発明の何れか1つにおいて、接続線が道路に沿って配置された路側静止物である可能性を示す信頼度を算出する信頼度算出部と、物体検出部から見て死角となる領域を検出し、当該領域内については第3の接続方法により検出点を線分で接続する死角接続部とをさらに備え、接続線を構成する検出点の個数が予め定められた接続階層閾値以下であることを条件Aとし、信頼度が予め定められた信頼度閾値以下であることを条件Bとし、接続線の始点となる検出点から自車両までの自車両の進行方向についての距離が予め定められた距離閾値より長いことを条件Cとし、接続線を構成する検出点の総数のうち第3の接続方法により接続された検出点が占める個数の割合が予め定められた比率閾値より大きいことを条件Dとした場合、条件A、条件B、条件C、条件Dの何れか一つが満たされている場合、二重区間認識部は二重路側物配置区間の検出を行わないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、自車両が走行する道路の形状を従来よりも正確に推定することができる。具体的には、例えば、ガードレール等の路側静止物が二重に配置されており接続線が正確に形成されていないと考えられる区間(二重路側物配置区間)を検出し、当該区間の接続線を修正することによって路側静止物に即した正確な接続線を得ることができる。このような処理により、路側静止物に即した正確な接続線に基づいて自車両が走行する道路の形状を正確に推定することができる。
【0018】
第2の発明によれば、二重路側物配置区間を、より正確に認識することができる。例えば、接続線を構成する線分、すなわち検出点間の長さが、一般的な二重に配置されるガードレールの間隔に比べて極端に長い場合や極端に短い場合、当該線分により構成される区間は二重路側物配置区間でない可能性が高い。したがって、このような形状を二重路側物配置区間として認識しないことによって二重路側物配置区間を、より正確に検出することができる。
【0019】
第3の発明によれば、二重路側物配置区間を、より正確に認識することができる。具体的には、接続線を構成する線分同士が成す角度が比較的大きい場合、すなわち接続線が比較的直線的な形状である場合には路側静止物に即した形状を示しており二重路側物配置区間でない可能性が高い。したがって、このような形状を二重路側物配置区間として認識しないことによって二重路側物配置区間を、より正確に検出することができる。
【0020】
第4の発明によれば、ガードレール等の路側静止物が二重に配置されている区間を容易に認識することができる。ガードレール等の路側静止物が二重に配置されている道路において接続線を形成した場合、異なる路側静止物を示す検出点が交互に接続されて三角波型形状となる場合がある。したがって、このような三角波型形状の区間を検出することによって、容易に路側静止物が二重に配置されている区間を検出することができる。
【0021】
第5の発明によれば、複数条件が連続して満たされている場合に二重路側物配置区間を認識することによって、当該区間をより正確に認識することができる。
【0022】
第6の発明によれば、簡単な修正処理によって接続線を路側静止物に沿った形状に修正することができる。
【0023】
第7、8の発明によれば、接続線を修正した際に得られた複数の接続線のうち、内側に存在する接続線を簡単な処理で識別することができる。
【0024】
第9の発明によれば、接続線がガードレール等の道路に沿って配置された路側静止物を示す検出点に基づいて形成されたものである可能性が低いことを示す諸条件AからDが満たされている場合に、二重路側物配置区間を認識する処理を省略することができる。したがって、処理装置の負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る道路形状推定装置1の構成の一例を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態に係るレーダー装置11が直接検出した検出点の一例を示す図
【図3】本発明の実施形態に係るECU12が実行する処理の詳細を示すフローチャートの一例
【図4】本発明の実施形態に係るECU12が実行する接続線形成処理の詳細を示すフローチャートの一例
【図5】接続線形成処理によって接続線が形成された様子を示す図
【図6】本発明の実施形態に係るECU12が実行する認識対象判定処理の詳細を示すフローチャートの一例
【図7】本発明の実施形態に係るECU12が実行する二重ガードレール認識処理の詳細を示すフローチャートの一例
【図8】図5に示した接続線JTの部分拡大図
【図9】本発明の実施形態に係るECU12により二重ガードレール区間WA内の検出点を接続し直した様子を示す図
【図10】本発明の実施形態に係るECU12により修正された接続線を示す図
【図11】従来の装置によってガードレール等の路側静止物の形状が誤って検出される様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る道路形状推定装置1について説明する。本発明に係る道路形状推定装置1は、自車両100に搭載され、自車両100が走行する道路の形状を推定する装置である。なお、以下では自車両100が走行する道路を自車走行道路と称する。
【0027】
先ず、図1を参照して道路形状推定装置1のハードウェア構成について説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係る道路形状推定装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、道路形状推定装置1は、レーダー装置11、およびECU12を備える。また、ECU12は、自車両100に搭載される車両制御装置50と電気的に接続される。
【0028】
レーダー装置11は、例えば、図2に示すように自車両100の周囲に存在する静止物の位置を複数の検出点として検出する装置である。なお、図2は、本発明の実施形態に係るレーダー装置11が直接検出した検出点の一例を示す図である。図2では、内側ガードレール51を示す検出点Pa1からPa4(図2の●印)、および外側ガードレール52を示す検出点Pb1からPb6(図2の□印)、および先行車200を示す検出点Pc1(図2の△印)がレーダー装置11によって検出されている例を示す。レーダー装置11は、自車両100の前端に搭載され、自車両100の前方に存在する物体を検出する。レーダー装置11は、典型的にはミリ波長帯の電磁波を送受信するFM−CW方式のレーダー装置である。レーダー装置11は、例えば、電磁波等の検出波信号を自車両100の前方に照射する。そして、物体に反射された当該検出波信号の反射波に基づいて当該反射点の位置を検出点として検出する。
【0029】
レーダー装置11は、図2に示すように、自車両100の前端を原点とし、自車両100を平面視した場合に、自車両100の前後方向を示す軸線をY軸、当該Y軸と水平面上で垂直に交差して車両100の車幅方向を示す軸線をX軸としたXY座標系で検出点の位置情報を取得する。また、レーダー装置11は、各検出点が静止物を示すものであるか、あるいは先行車や対向車などの他車両を示す物かを判別する。なお、レーダー装置11は、従来周知の手法を用いて各検出点が静止物、あるいは他車両を示すものであるかを判別して構わない。以下では、静止物を示す検出点を静止物検出点と称し、他車両を示す検出点を他車両検出点と称する。レーダー装置11は、このようにして検出された各検出点の位置情報(XY座標)をECU12へ送信する。なお、レーダー装置11は、従来周知の任意の手法を用いて上記検出点を外挿しても良い。外挿とは、過去のサンプリング時において捕捉された検出点の位置および相対速度等から今回のサンプリング時における検出点の位置を予測し、予測した位置近傍に検出点が捕捉されない場合に、その予測した位置に実際に検出点が存在すると仮定する技術である。レーダー装置11は、このように外挿により得られた検出点に関する情報についても、直接検出した検出点と同様にECU12へ送信する。
【0030】
ECU12は、典型的には、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)などの情報処理装置、メモリなどの記憶装置、およびインターフェース回路などを備える電子制御装置である。ECU12は、車両制御装置50と電気的に接続される。
【0031】
車両制御装置50は、例えば、ブレーキ制御装置、ステアリング制御装置、および警報装置等の制御装置である。ブレーキ制御装置、ステアリング制御装置、および警報装置は、ECU12から取得した自車走行道路の形状に応じて、各々、自車両100の走行を制御する。例えば、ブレーキ制御装置、およびステアリング制御装置は、自車両100が自車走行道路を逸脱しないように自車両100の進行方向や走行速度を制御する。また、警報装置は、自車走行道路の端部に存在すると予想されるガードレール等の路側静止物と自車両100との衝突を予測して自車両100のドライバーへ音声等により衝突の危険を知らせる警報を発する。すなわち、道路形状推定装置1が自車走行道路の形状を正しく検出することによって、車両制御装置50は、適切な車両制御を実行することができる。
【0032】
次いで、図3を参照して、ECU12が実行する処理について説明する。図3は、本発明の実施形態に係るECU12が実行する処理の詳細を示すフローチャートの一例である。ECU12は、例えば、自車両100のIG電源がオン状態に設定された場合に図3のフローチャートの処理を開始する。ECU12は、図3のフローチャートの処理を開始すると、先ず、ステップS1の処理を実行する。なお、ECU12は、以下に示すステップS1からステップS9までの処理を1サイクルとしてこれらの処理を繰り返し実行する。
【0033】
ステップS1において、ECU12は、レーダー装置11から検出点情報を取得する。ECU12は、ステップS1の処理を完了すると、処理をステップS2へ進める。
【0034】
ステップS2において、ECU12は、接続線形成処理を実行する。接続線形成処理は、ステップS1において取得した複数の検出点を線分で順次接続して接続線を形成する処理である。接続線形成処理は、本出願人が特願2011−021965号(本出願時未公開)にて提案した処理と同様なものであり、詳細は該出願に係る公報を参照されたい。以下、図4を参照して接続線形成処理の詳細について説明する。なお、図4は、本発明の実施形態に係るECU12が実行する接続線形成処理の詳細を示すフローチャートの一例である。ECU12は、図4に示す接続線形成処理を開始すると先ずステップS21の処理を実行する。
【0035】
ステップS21において、ECU12は、死角領域DAを算出する。死角領域DAは、レーダー装置11から見て死角となる領域である。ECU12は、従来周知の任意の手法を用いて死角領域DAを算出して良いが、例えば、先行車200の位置を示す検出点に基づいて死角領域DAを算出する(図2参照)。より具体的には、ECU12は、先行車200の位置を示す検出点(例えば、図2の検出点Pc1)を基準として算出した矩形領域VAに先行車200が存在するものとみなす。そして、ECU12は、レーダー装置11から当該矩形領域VAの輪郭端点を通る直線で囲まれる領域のうち、レーダー装置11から見て矩形領域VA以遠の領域を死角領域DAとして算出する。なお、ECU12は、先行車200の位置を示す検出点が存在しない場合、死角領域を算出しない。ECU12は、ステップS21の処理を完了すると、処理をステップS22へ進める。
【0036】
ステップS22において、ECU12は、検出点接続処理を実行する。検出点接続処理は、死角領域DA外に存在する検出点同士を線分で接続する処理である。ECU12は、従来周知の任意の手法を用いて検出点同士を接続して良い。例えば、ECU12は、接続元となる検出点を基準として所定の接続範囲を設定し、当該接続範囲内に存在する検出点を接続先の検出点として、これら接続元の検出点と接続先の検出点とを線分で接続する。そして、接続先の検出点を新たな接続元の検出点として設定する。なお、ECU12は、Y座標が最も自車両100に近い検出点(例えば、図2においては検出点Pa1)を開始点として接続点を順次接続する。なお、ECU12は、接続線を構成する各検出点の接続順序を記憶装置に記憶する。ECU12は、ステップS22の処理を完了すると、処理をステップS23へ進める。
【0037】
ステップS23において、ECU12は、上述の処理で死角領域DAを算出したか否か判定する。ECU12は、死角領域DAを算出していた場合、処理をステップS24へ進め、死角領域DA内の検出点を接続する。一方、ECU12は、死角領域DAを算出していない場合、処理を図3のステップS3へ進める。
【0038】
ステップS24において、ECU12は、死角検出点接続処理を実行する。死角検出点接続処理は、死角領域DA内に存在する検出点同士を線分で接続する処理である。具体的には、ECU12は、死角領域DA内に存在する検出点については、上述ステップS22の処理で用いられた接続範囲より大きな範囲の接続範囲を設定して検出点を接続する。ECU12は、ステップS24の処理を完了すると、処理をステップS25へ進める。
【0039】
ステップS25において、ECU12は、再接続処理を実行する。具体的には、ECU12は、ステップS22において形成した死角領域DA外の接続線と、ステップS24において形成した死角領域DA内の接続線とを接続する。なお、ECU12は、再接続処理後の接続線を構成する各検出点の接続順序を記憶装置に記憶する。ECU12は、ステップS25の処理を完了すると、処理を図3のステップS3へ進める。
【0040】
以上に示した接続線形成処理により形成された接続線JTの一例を図5に示す。なお、図5は、接続線形成処理によって接続線JTが形成された様子を示す図である。より詳細には、図5は、図2に示した検出点について接続線形成処理を行った場合に得られる接続線JTを示す。図5に示すように、内側ガードレール51を示す検出点Pa1〜Pa4と、外側ガードレール52を示す検出点Pb1〜Pb4とが、交互に接続され、接続線JTの一部は三角波状を成している。なお、接続線JTは、各検出点がPa1、Pb1、Pa2、Pb2、Pa3、Pb3、Pa4、Pb4、Pb5、Pb6の順に接続されて成り、ECU12はこれらの検出点の接続順序を記憶する。以下、接続線JTを構成する検出点を構成検出点と称する。
【0041】
ステップS3において、ECU12は、認識対象判定処理を実行する。認識対象判定処理は、ステップS2において形成した接続線JTが後述ステップS5の二重ガードレール認識処理を行う対象となるか否かを判定する処理である。なお、二重ガードレール認識処理は、接続線JTによって表される道路の区間内に、二重ガードレール区間が存在するか否かを判定する処理である。なお、二重ガードレール区間とは、道路に沿ってガードレール等の帯状路側静止物が二重に配置されている区間を指す。以下、図6を参照して認識対象判定処理の詳細について説明する。なお、図6は、本発明の実施形態に係るECU12が実行する認識対象判定処理の詳細を示すフローチャートの一例である。ECU12は、図6に示す認識対象判定処理を開始すると先ずステップS31の処理を実行する。
【0042】
ステップS31において、ECU12は、接続階層数Kを算出する。接続階層数Kは、接続線を構成する検出点の個数を示す値である。ECU12は、ステップS31の処理を完了すると、処理をステップS32へ進める。
【0043】
ステップS32において、ECU12は、接続階層数Kが接続階層閾値Kth以下か否か判定する。接続階層閾値Kthは、接続線が二重ガードレール認識処理を行う対象であるか否かを接続階層数Kに基づいて判定するための閾値である。接続階層閾値Kthは、予めECU12の記憶装置に記憶された定数であり、例えば6である。ECU12は、接続階層数Kが接続階層閾値Kth以下であると判定した場合、処理をステップS40へ進める。一方、ECU12は、接続階層数Kが接続階層閾値Kthより大きいと判定した場合、処理をステップS33へ進める。
【0044】
ステップS33において、ECU12は、信頼度Rを算出する。信頼度Rは、接続線がガードレール等の路側静止物を示すものである可能性の高さを示す数値である。ECU12は、例えば、接続線を構成する検出点が外挿点であるか否かに応じて、および/または、接続線を構成する検出点が前回の処理サイクルにおいて検出されているか否かに応じて、信頼度Rの大きさを変更して算出する。信頼度Rは、本出願人が特願2011−021965号(本出願時未公開)にて提案した合計信頼度ΣRと同様なものであり、その算出方法の詳細は該出願に係る公報を参照されたい。なお、ECU12は、従来周知の任意の手法を用いて信頼度Rを算出しても良い。ECU12は、ステップS33の処理を完了すると、処理をステップS34へ進める。
【0045】
ステップS34において、ECU12は、信頼度Rが信頼度閾値Rth以下か否か判定する。信頼度閾値Rthは、接続線が二重ガードレール認識処理を行う対象であるか否かを信頼度Rに基づいて判定するための閾値である。信頼度閾値Rthは、予めECU12の記憶装置に記憶された定数である。ECU12は、信頼度Rが信頼度閾値Rth以下であると判定した場合、処理をステップS40へ進める。一方、ECU12は、信頼度Rが信頼度閾値Rthより大きいと判定した場合、処理をステップS35へ進める。
【0046】
ステップS35において、ECU12は、開始点距離Pyを取得する。開始点距離Pyは、接続線JTの始点となる検出点から自車両100までの、Y軸方向(自車両100の前後方向)の距離である。例えば、図5においては、検出点Pa1のY座標が開始点距離Pyに相当する。ECU12は、ステップS35の処理を完了すると、処理をステップS36へ進める。
【0047】
ステップS36において、ECU12は、開始点距離Pyが開始点距離閾値Pyth以上か否か判定する。開始点距離閾値Pythは、接続線が二重ガードレール認識処理を行う対象であるか否かを開始点距離Pyに基づいて判定するための閾値である。開始点距離閾値Pythは、予めECU12の記憶装置に記憶された定数であり、例えば、60(m)相当の値である。ECU12は、開始点距離Pyが開始点距離閾値Pyth以上であると判定した場合、処理をステップS40へ進める。一方、ECU12は、開始点距離Pyが開始点距離閾値Pyth以上でないと判定した場合、処理をステップS37へ進める。
【0048】
ステップS37において、ECU12は、死角検出点比率Dを算出する。死角検出点比率Dは、接続線JTを構成する検出点の総数のうち、死角領域DA内に含まれる検出点の個数が占める割合である。なお、ECU12は、従来周知の任意の手法を用いて死角検出点比率Dを算出して良い。ECU12は、ステップS37の処理を完了すると、処理をステップS38へ進める。
【0049】
ステップS38において、ECU12は、死角検出点比率Dが比率閾値Dth以上か否か判定する。ECU12は、死角検出点比率Dが比率閾値Dth以上であると判定した場合、処理をステップS40へ進める。一方、ECU12は、死角検出点比率Dが比率閾値Dthより小さいと判定した場合、処理をステップS39へ進める。
【0050】
ステップS40において、ECU12は、ECU12の記憶装置に記憶されている二重ガードレール認識対象フラグをオフ状態に設定する。二重ガードレール認識対象フラグは、接続線JTが後述ステップS5の二重ガードレール認識処理を行う対象となるか否かを示すフラグデータである。二重ガードレール認識対象フラグは、オン状態に設定されている場合、接続線JTが二重ガードレール認識処理を行う対象となっていることを示し、オフ状態に設定されている場合、接続線JTが二重ガードレール認識処理を行う対象となっていないことを示す。ECU12は、ステップS40の処理を完了すると、処理を図3のステップS4へ進める。
【0051】
ステップS39において、ECU12は、二重ガードレール認識対象フラグをオン状態に設定する。ECU12は、ステップS39の処理を完了すると、処理を図3のステップS4へ進める。
【0052】
図3の説明に戻り、ステップS4において、ECU12は、接続線JTが二重ガードレール認識処理を行う対象であるか否か判定する。具体的には、ECU12は、二重ガードレール認識対象フラグがオン状態であるか否か判定する。ECU12は、二重ガードレール認識対象フラグがオン状態である場合、接続線JTが二重ガードレール認識対象であると判定し処理をステップS5へ進める。一方、ECU12は、二重ガードレール認識対象フラグがオフ状態である場合、二重ガードレール認識対象でないと判定した場合、処理をステップS8へ進める。
【0053】
上記ステップS3およびステップS4の処理によれば、接続線JTがガードレール等の道路に沿って配置された路側静止物を表している可能性が低い場合、接続線JTが二重ガードレール認識処理の対象から除外される。具体的には、接続階層数Kが比較的小さい場合、または信頼度Rが比較的低い場合、または開始点距離Pyが比較的長い場合、または死角検出点比率Dが比較的大きい場合、接続線JTが二重ガードレール認識処理の対象から除外される。このような処理によれば、不要な処理を省略し、ECU12の負荷を低減することができる。
【0054】
ステップS5において、ECU12は、二重ガードレール認識処理を実行する。上述の通り、二重ガードレール認識処理は、接続線JTによって表される道路の区間内に、二重にガードレールが配置された二重ガードレール区間が存在するか否かを判定する処理である。以下、図7を参照して二重ガードレール認識処理の詳細について説明する。なお、図7は、本発明の実施形態に係るECU12が実行する二重ガードレール認識処理の詳細を示すフローチャートの一例である。ECU12は、図7に示す二重ガードレール認識処理を開始すると先ずステップS51の処理を実行する。
【0055】
ステップS51において、ECU12は、接続線JTの始点と接続されている検出点(図5においては検出点Pb1)を選択する。以下、二重ガードレール認識処理においてECU12に選択されている検出点を選択検出点と称する。ECU12は、ステップS51の処理を完了すると、処理をステップS52へ進める。
【0056】
ステップS52において、ECU12は、接続角θを算出する。接続角θは、選択検出点を介して連続する線分が成す角度である。図8は、図5に示した接続線JTの部分拡大図である。例えば、検出点Pb1が選択検出点となっている場合には、ECU12は、検出点Pb1と検出点Pa1とを結ぶ線分T1、および検出点Pb1と検出点Pa2とを結ぶ線分T2が成す角度θ1を接続角θとして算出する。なお、ECU12が接続角θを算出する方法としては従来周知の任意の手法を用いて良い。ECU12は、ステップS52の処理を完了すると、処理をステップS53へ進める。
【0057】
ステップS53において、ECU12は、接続角θが角度閾値θth以下であるか否か判定する。角度閾値θthは、接続線JTの一部が二重ガードレール区間を示す形状を成しているか否かを接続角θに基づいて判定するための閾値である。角度閾値θthは、ECU12の記憶装置に予め記憶された任意の定数であり、例えば45(°)である。ECU12は、接続角θが角度閾値θth以下であると判定した場合、処理をステップS54へ進める。一方、ECU12は、接続角θが角度閾値θthより大きいと判定した場合、処理をステップS62へ進める。
【0058】
ステップS54において、ECU12は、選択検出点を介して接続されている線分の長さを示す線分長Lαを算出する。例えば、図8において選択検出点として検出点Pb1が選択されている場合、線分T1の線分長Lα1、および線分T2の線分長Lα2を算出する。なお、ECU12は従来周知の任意の手法を用いて線分長Lαを算出して良い。ECU12は、ステップS54の処理を完了すると、処理をステップS55へ進める。
【0059】
ステップS55において、ECU12は、線分長Lαが予め定められた範囲内に含まれるか否か判定する。具体的には、線分長Lαが下限線分長Lαth1より大きく、且つ線分長Lαが上限線分長Lαth2より小さいか(Lαth1≦Lα≦Lαth2であるか)否か判定する。下限線分長Lαth1および上限線分長Lαth2は各々、接続線JTの一部が二重ガードレール区間を示す形状を成しているか否かを線分長Lαに基づいて判定するための閾値である。下限線分長Lαth1および上限線分長Lαth2は、何れもECU12の記憶装置に予め記憶された定数であり、例えば、下限線分長Lαth1は1(m)に設定され、上限線分長Lαth2は3(m)に設定される。なお、図8において選択検出点として検出点Pb1が選択されている場合、ECU12は、線分T1の線分長Lα1、および線分T2の線分長Lα2の双方が上記範囲内に含まれているか否か判定する。ECU12は、Lαth1≦Lα≦Lαth2であると判定した場合、処理をステップS56へ進める。一方、ECU12は、Lαth1≦Lα≦Lαth2でないと判定した場合、処理をステップS62へ進める。
【0060】
ステップS56において、ECU12は、修正線分長Lβを算出する。修正線分長Lβは、仮に接続線JTを修正した場合に接続される検出点間の距離を示す長さである。具体的には、ECU12は、選択検出点に各々接続されている二つの検出点間の距離を修正線分長Lβとして算出する。図8において選択検出点として検出点Pb1が選択されている場合、ECU12は、検出点Pa1から検出点Pa2までの距離Lβ1を修正線分長Lβとして算出する。ECU12は、ステップS56の処理を完了すると、処理をステップS57へ進める。
【0061】
ステップS57において、修正線分長Lβが予め定められた範囲内に含まれるか否か判定する。具体的には、修正線分長Lβが下限修正線分長Lβth1より大きく、且つ修正線分長Lβが上限修正線分長Lβth2より小さいか(Lβth1≦Lβ≦Lβthであるか)否か判定する。下限修正線分長Lβth1および上限修正線分長Lβth2は各々、接続線JTの一部が二重ガードレール区間を示す形状を成しているか否かを修正線分長Lβに基づいて判定するための閾値である。下限修正線分長Lβth1および上限修正線分長Lβth2は、何れもECU12の記憶装置に予め記憶された定数であり、例えば、下限修正線分長Lβth1は0.5(m)に設定され、上限修正線分長Lβth2は2(m)に設定される。ECU12は、Lβth1≦Lβ≦Lβth2であると判定した場合、処理をステップS58へ進める。一方、ECU12は、Lβth1≦Lβ≦Lβth2でないと判定した場合、処理をステップS62へ進める。
【0062】
ステップS58において、ECU12は、成立カウンタCをインクリメントする。成立カウンタCは、上述ステップS53、ステップS55、ステップS57に示した条件が連続して満たされた回数を示すカウント値である。成立カウンタCの初期値は例えばゼロである。本ステップS58において、ECU12は、成立カウンタCに予め定められた定数値として例えば1を加算して、加算後の値を記憶装置に記憶する。ECU12は、ステップS58の処理を完了すると、処理をステップS59へ進める。
【0063】
ステップS59において、ECU12は、成立カウンタCの値が1であるか否か判定する。すなわち、上述ステップS53、ステップS55、およびステップS57に示した条件が初めて成立したか否か判定する。ECU12は、成立カウンタCの値が1である場合、処理をステップS60へ進める。一方、ECU12は、成立カウンタCの値が1でない場合、処理をステップS61へ進める。
【0064】
ステップS60において、ECU12は、現在選択している選択検出点を二重ガードレール区間の開始点に設定する。ECU12は、ステップS60の処理を完了すると、処理をステップS61へ進める。
【0065】
ステップS61において、ECU12は、構成検出点を現在接続されている順序で1つとばして選択する。具体的には、図8に示すように検出点がPa1、Pb1、Pa2、Pb2の順に接続されており、検出点Pb1が選択検出点として選択されていた場合、ECU12は、検出点Pa2をとばして、検出点Pb2を次の選択検出点として選択する。このような処理を繰り返すことにより、ECU12は、図5においては検出点Pb1、Pb2、Pb3を選択検出点として順次選択する。ECU12は、ステップS61の処理を完了すると、処理をステップS52へ戻す。
【0066】
ステップS62において、ECU12は、成立カウンタCがカウンタ閾値Cth以上か否か判定する。カウンタ閾値Cthは、二重ガードレール区間の有無を成立カウンタCの値に基づいて判定するための閾値である。カウンタ閾値Cthは、ECU12の記憶装置に予め記憶された定数であり、例えば、6などの値である。ECU12は、成立カウンタCがカウンタ閾値Cth以上であると判定した場合、処理をステップS63へ進める。一方、ECU12は、成立カウンタCがカウンタ閾値Cth未満であると判定した場合、記憶装置に記憶した二重ガードレール区間の開始点についての情報を初期化し、処理をステップS64へ進める。
【0067】
ステップS63において、ECU12は、現在選択している選択検出点を二重ガードレール区間の終端点に設定する。ECU12は、ステップS63の処理を完了すると、処理をステップS64へ進める。
【0068】
ステップS64において、ECU12は、成立カウンタCをリセットする。具体的にはECU12は、成立カウンタCの値を初期値に戻して上書き記憶する。ECU12は、ステップS64の処理を完了すると、処理をステップS65へ進める。
【0069】
ステップS65において、ECU12は、接続線の終端に到達したか否か判定する。具体的には、ECU12は、次に選択可能な構成検出点があるか否か判定する。ECU12は、選択可能な構成検出点が無い場合、接続線の終端に到達したと判定し、処理を図3のステップS6へ進める。一方、ECU12は、選択可能な構成検出点がある場合、接続線の終端に到達していないと判定し、処理をステップS61へ進める。
【0070】
上記二重ガードレール認識処理によれば、線分長Lαが所定範囲内であり、且つ線分が成す角度が所定値以下である三角形状が所定回数連続して検出された場合、当該線分から成る区間が二重ガードレール区間として認識される。ガードレールが二重に配置された区間では、特にこのような三角形状が連続したジグザグ状の接続線JTが得られやすいため、このような形状を認識することによって、二重ガードレール区間を正確に認識することができる。
【0071】
図3の説明に戻り、ステップS6において、ECU12は、接続線JTに二重ガードレール区間が含まれているか否か判定する。具体的には、上述ステップS5の二重ガードレール認識処理において二重ガードレール区間の開始点、および終端点が設定されたか否か判定する。ECU12は、二重ガードレール区間の開始点および終端点が設定されている場合、接続線JTに二重ガードレール区間が含まれていると判定し、処理をステップS7へ進める。一方、ECU12は、二重ガードレール区間の開始点および終端点が設定されていない場合、接続線JTに二重ガードレール区間が含まれていないと判定し、処理をステップS8へ進める。
【0072】
ステップS7において、ECU12は、二重ガードレール区間内の検出点の接続を修正する。具体的には、先ず、ECU12は、二重ガードレール区間を構成している検出点と接続されている線分を一旦削除する。次いで、二重ガードレール区間内の検出点を、当初接続されていた順序で、一つおきに線分で接続し直す。
【0073】
例えば、図5において、検出点Pa1が二重ガードレール区間WAの開始点に設定され、検出点Pb4が二重ガードレール区間WAの終端点に設定されている場合を想定する。先ず、ECU12は、二重ガードレール区間WA内の検出点Pa1、Pb1、Pa2、Pb2、Pa3、Pb3、Pa4、およびPb4各々を接続していた線分を一旦削除する。次いで、ECU12は、検出点Pb1をとばして検出点Pa1と検出点Pa2とを新たな線分により接続し直す。同様にしてECU12は、検出点Pa2と検出点Pa3とを接続し、検出点Pa3と検出点Pa4とを接続する。このような処理により、図9に示すように内側ガードレール51を示す接続線JAが形成される。なお、図9は、本発明の実施形態に係るECU12により二重ガードレール区間WA内の検出点を接続し直した様子を示す図である。一方、ECU12は、検出点Pa2をとばして検出点Pb1と検出点Pb2とを新たな線分により接続し直す。同様にしてECU12は、検出点Pb2と検出点Pb3とを接続し、検出点Pb3と検出点Pb4とを接続する。このような処理により、図9に示すように外側ガードレール52を示す接続線JBが形成される。
【0074】
次いで、ECU12は、接続線JAおよび接続線JBのうち何れが自車両100が走行する道路の内側に位置しているか判別する。具体的には、ECU12は、接続線JAおよび接続線JBのうち、始点となる検出点のX座標が自車両に近い方が道路内側に存在すると判定する。なお、当該処理は一例であり、ECU12は、接続線JAおよび接続線JBのうち、各々を構成する検出点のX座標の平均値が自車両100に近い方が、道路内側に存在すると判定しても構わない。
【0075】
次いで、ECU12は、接続線JAおよび接続線JBのうち、道路内側に存在する接続線JAを当該二重ガードレール区間における接続線として残し、外側に存在する接続線JBを削除する(図10参照)。なお、図10は、本発明の実施形態に係るECU12により修正された接続線を示す図である。ECU12は、ステップS7の処理を完了すると、処理をステップS8へ進める。
【0076】
図10に示すように、上述ステップS5からステップS7の処理によれば、ガードレールが二重に配置されている区間において接続線を修正することにより、実際に自車両100が走行可能な道路領域に即した接続線を形成することができる。
【0077】
ステップS8において、ECU12は、図10のように最終的に残された接続線JAを自車両100が走行する道路の形状として出力する。なお、ECU12は、二重ガードレール区間外の接続線JB2についても同様に自車両100が走行する道路の形状として出力する。ECU12は、ステップS8の処理を完了すると、処理をステップS9へ進める。
【0078】
ステップS9において、ECU12は、IG電源がオフに設定されたか否か判定する。ECU12は、IG電源がオフに設定されたと判定した場合、処理をステップSENDへ進める。一方、ECU12は、IG電源がオフに設定されていないと判定した場合、処理をステップS1へ戻す。
【0079】
以上に示したように、本発明の実施形態に係る道路形状推定装置によれば、自車両100がガードレール等の路側静止物が二重に配置された道路を走行している際に、当該道路の形状を従来よりも正確に推定することができる。
【0080】
なお、上記実施形態では、ステップS51において、接続線JTの始点と接続されている検出点(図5においては検出点Pb1)を選択検出点として選択する例について説明したが、接続線JTの始点から数えて3つめに接続されている検出点(図5においては検出点Pa2)を選択検出点として選択しても構わない。このような処理を行う場合、ECU12は、図5に示す検出点Pa1、Pa2、Pa3を選択検出点として順次選択して、二重ガードレール区間の有無を認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る道路形状推定装置は、自車両が走行する道路の形状を従来より正確に推定可能とする道路形状推定装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 道路形状推定装置
11 レーダー装置
12 ECU
50 車両制御装置
51、53 内側ガードレール
52、54 外側ガードレール
100、101 自車両
200 先行車
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載され、当該自車両が走行する道路の形状を推定する道路形状推定装置であって、
前記自車両周囲の静止物の存在位置を複数の検出点として検出する物体検出部と、
複数の前記検出点同士を第1の接続方法により線分で順次接続することによって、前記道路の形状を示す接続線を形成する接続線形成部と、
前記接続線の一部または全部の区間が所定の条件を満たす形状を成している場合、当該区間を、前記道路に沿って路側静止物が二重に配置された二重路側物配置区間として認識する二重区間認識部と、
前記二重路側物配置区間が検出された場合、当該二重路側物配置区間に含まれる前記複数の検出点を第2の接続方法により接続し直して前記接続線を修正する接続線修正部と、
前記接続線に基づいて前記道路の形状を推定する道路形状推定部とを備える、道路形状推定装置。
【請求項2】
前記所定の条件には、各前記検出点を介して連続する前記線分が成す角度が各々予め定められた範囲内であるという第1の条件が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の道路形状推定装置。
【請求項3】
前記所定の条件には、各前記検出点を介して連続する複数の前記線分の長さが各々予め定められた範囲内であるという第2の条件が含まれ、
前記二重区間認識部は、少なくとも前記第1の条件または第2の条件の何れかが満たされていることを条件として前記接続線の一部または全部の区間を二重路側物配置区間として認識することを特徴とする、請求項2に記載の道路形状推定装置。
【請求項4】
前記二重区間認識部は、前記接続線の一部または全部の区間が三角波型形状を成している場合、当該区間を前記二重路側物配置区間として認識することを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載の道路形状推定装置。
【請求項5】
前記二重区間認識部は、連続的に接続されている複数の前記線分について、少なくとも前記第1の条件または第2の条件の何れかが、予め定められた回数以上連続して満たされている場合に、当該複数の線分から成る前記接続線の一部または全部の区間を二重路側物配置区間として認識することを特徴とする、請求項4に記載の道路形状推定装置。
【請求項6】
前記接続線修正部は、
前記二重路側物配置区間内において前記接続線形成部により予め接続された前記複数の検出点を、現在接続されている順序に基づいて一つおきに接続し直すことによって複数の再接続線を形成する再接続線形成部と、
複数の前記再接続線のうち前記道路に沿って相対的に内側に存在する前記再接続線を修正後の前記接続線とする再接続線選択部とを含むことを特徴とする、請求項1から5の何れか1項に記載の道路形状推定装置。
【請求項7】
前記再接続線選択部は、前記複数の再接続線各々の始点となる前記検出点の前記自車両の車幅方向の位置に基づいて、前記道路に沿って相対的に内側に存在する前記再接続線を判別することを特徴とする、請求項6に記載の道路形状推定装置。
【請求項8】
前記再接続線選択部は、各前記再接続線を構成する前記検出点の前記自車両の車幅方向の位置の平均値に基づいて、前記道路に沿って相対的に内側に存在する前記再接続線を判別することを特徴とする、請求項6から7の何れか1項に記載の道路形状推定装置。
【請求項9】
前記接続線が前記道路に沿って配置された路側静止物である可能性を示す信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記物体検出部から見て死角となる領域を検出し、当該領域内については第3の接続方法により前記検出点を線分で接続する死角接続部とをさらに備え、
前記接続線を構成する前記検出点の個数が予め定められた接続階層閾値以下であることを条件Aとし、前記信頼度が予め定められた信頼度閾値以下であることを条件Bとし、前記接続線の始点となる前記検出点から前記自車両までの前記自車両の進行方向についての距離が予め定められた距離閾値より長いことを条件Cとし、前記接続線を構成する前記検出点の総数のうち前記第3の接続方法により接続された前記検出点が占める個数の割合が予め定められた比率閾値より大きいことを条件Dとした場合、前記条件A、前記条件B、前記条件C、前記条件Dの何れか一つが満たされている場合、前記二重区間認識部は二重路側物配置区間の検出を行わないことを特徴とする、請求項1から8の何れか1項に記載の道路形状推定装置。
【請求項1】
自車両に搭載され、当該自車両が走行する道路の形状を推定する道路形状推定装置であって、
前記自車両周囲の静止物の存在位置を複数の検出点として検出する物体検出部と、
複数の前記検出点同士を第1の接続方法により線分で順次接続することによって、前記道路の形状を示す接続線を形成する接続線形成部と、
前記接続線の一部または全部の区間が所定の条件を満たす形状を成している場合、当該区間を、前記道路に沿って路側静止物が二重に配置された二重路側物配置区間として認識する二重区間認識部と、
前記二重路側物配置区間が検出された場合、当該二重路側物配置区間に含まれる前記複数の検出点を第2の接続方法により接続し直して前記接続線を修正する接続線修正部と、
前記接続線に基づいて前記道路の形状を推定する道路形状推定部とを備える、道路形状推定装置。
【請求項2】
前記所定の条件には、各前記検出点を介して連続する前記線分が成す角度が各々予め定められた範囲内であるという第1の条件が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の道路形状推定装置。
【請求項3】
前記所定の条件には、各前記検出点を介して連続する複数の前記線分の長さが各々予め定められた範囲内であるという第2の条件が含まれ、
前記二重区間認識部は、少なくとも前記第1の条件または第2の条件の何れかが満たされていることを条件として前記接続線の一部または全部の区間を二重路側物配置区間として認識することを特徴とする、請求項2に記載の道路形状推定装置。
【請求項4】
前記二重区間認識部は、前記接続線の一部または全部の区間が三角波型形状を成している場合、当該区間を前記二重路側物配置区間として認識することを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載の道路形状推定装置。
【請求項5】
前記二重区間認識部は、連続的に接続されている複数の前記線分について、少なくとも前記第1の条件または第2の条件の何れかが、予め定められた回数以上連続して満たされている場合に、当該複数の線分から成る前記接続線の一部または全部の区間を二重路側物配置区間として認識することを特徴とする、請求項4に記載の道路形状推定装置。
【請求項6】
前記接続線修正部は、
前記二重路側物配置区間内において前記接続線形成部により予め接続された前記複数の検出点を、現在接続されている順序に基づいて一つおきに接続し直すことによって複数の再接続線を形成する再接続線形成部と、
複数の前記再接続線のうち前記道路に沿って相対的に内側に存在する前記再接続線を修正後の前記接続線とする再接続線選択部とを含むことを特徴とする、請求項1から5の何れか1項に記載の道路形状推定装置。
【請求項7】
前記再接続線選択部は、前記複数の再接続線各々の始点となる前記検出点の前記自車両の車幅方向の位置に基づいて、前記道路に沿って相対的に内側に存在する前記再接続線を判別することを特徴とする、請求項6に記載の道路形状推定装置。
【請求項8】
前記再接続線選択部は、各前記再接続線を構成する前記検出点の前記自車両の車幅方向の位置の平均値に基づいて、前記道路に沿って相対的に内側に存在する前記再接続線を判別することを特徴とする、請求項6から7の何れか1項に記載の道路形状推定装置。
【請求項9】
前記接続線が前記道路に沿って配置された路側静止物である可能性を示す信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記物体検出部から見て死角となる領域を検出し、当該領域内については第3の接続方法により前記検出点を線分で接続する死角接続部とをさらに備え、
前記接続線を構成する前記検出点の個数が予め定められた接続階層閾値以下であることを条件Aとし、前記信頼度が予め定められた信頼度閾値以下であることを条件Bとし、前記接続線の始点となる前記検出点から前記自車両までの前記自車両の進行方向についての距離が予め定められた距離閾値より長いことを条件Cとし、前記接続線を構成する前記検出点の総数のうち前記第3の接続方法により接続された前記検出点が占める個数の割合が予め定められた比率閾値より大きいことを条件Dとした場合、前記条件A、前記条件B、前記条件C、前記条件Dの何れか一つが満たされている場合、前記二重区間認識部は二重路側物配置区間の検出を行わないことを特徴とする、請求項1から8の何れか1項に記載の道路形状推定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−233713(P2012−233713A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100597(P2011−100597)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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