説明

道路標識

【課題】転倒を通知でき、転倒し難く、良好な耐久性を有する道路標識を提供すること
【解決手段】ロードコーン1は、略円錐形状の標識本体2と、標識本体2の底部に連なり、平面視において外縁が略正方形の板状の底板2aと、底板2aに係合するベースプレート4を有する。ベースプレート4は、平面視において外縁が概ね正方形に形成され、4つの角に突出部4aを有し、各突出部4aの側面の上部に転倒スイッチの接触子5が設置されている。ベースプレート4の平面視における各辺に、対向する辺に対応する転倒スイッチによって作動する発光装置6が設置されている。標識本体2がベースプレート4と共に転倒すると、接触子5が設置面Cに接触し、対向する辺の発光装置6から設置面Cの直角方向にレーザ光Lを出射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばロードコーン等のように、道路に設置される道路標識に関する。
【背景技術】
【0002】
道路に設置されるロードコーンは、道路工事や交通事故の際に、道路の規制範囲を示すために広く用いられている。ロードコーンはプラスチックで形成され、比較的軽量であるため、強風や車両等の接触により転倒しやすいので、道路の規制期間中に、監視員によってロードコーンを監視する必要がある。道路規制が数kmにわたる大規模なものである場合、ロードコーンの転倒を迅速に認知することは困難であり、ロードコーンの転倒を認知する困難さは、夜間において顕著となる。
【0003】
このような問題を解決するため、従来、頂部に転倒検出スイッチと無線発信機を設けたロードコーンが提案されている(例えば、特許文献1)。このロードコーンは、転倒すると、頂部の転倒スイッチが作動して無線発信機の電源がオンになり、無線発信機が信号を発信する。この無線信号を、監視員の所在地に設置された受信機が受信して警報を発し、監視員にロードコーンの転倒を知らせるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−123419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のロードコーンは、転倒検出スイッチと無線発信機が頂部に設けられているので、ロードコーン全体の重心が高くなり、転倒のしやすさが増すという問題がある。また、上記従来のロードコーンは、転倒したときに頂部に比較的大きな衝撃を受けるので、転倒検出スイッチや無線発信機が破損しやすく、耐久性が悪いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、転倒を通知できるうえに、転倒し難く、しかも、良好な耐久性を有する道路標識を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本発明の道路標識は、標識本体と、
この道路用標識が設置される設置面に接して上記標識本体を支持する基部と、
上記基部に配置され、上記標識本体の転倒を検出する転倒検出部と、
上記基部に配置され、上記転倒検出部による標識本体の転倒の検出に基づいて警告を行う警告部と
を備えることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、道路標識が転倒すると、標識本体の転倒が転倒検出部で検出され、この転倒検出部による標識本体の転倒の検出に基づいて、警告部で警告が行われる。この警告を受けた監視員等により、道路標識が転倒したことが認知される。上記転倒検出部及び警告部は、この道路用標識が設置される設置面に接する基部に設けられているので、標識本体の上部に設けられる場合よりも、道路標識の重心が設置面に近い。したがって、この道路標識は、従来よりも転倒し難い。また、上記転倒検出部及び警告部は、設置面に接する基部に設けられているので、標識本体の上部に設けられる場合と比較して、標識本体が転倒したときに受ける衝撃が少ない。したがって、転倒検出部及び警告部が損傷し難く、従来よりも良好な耐久性を有する。
【0009】
本発明において、上記道路標識には、ロードコーン、表示板、電光表示板、点滅ライト、回転ライト及び人形等、道路に設置されて情報を表す器具が広く該当する。また、転倒検出部には、標識本体の転倒によって設置面に接触する接触子を有するスイッチや、標識本体の転倒によって設置面から離脱する接触子を有するスイッチ等で転倒を検出するものや、重力の作用方向の変化を検出して転倒を検出するもの等を用いることができる。また、警告部には、光を出力して警告を行うものや、音を出力して警告を行うものや、電気信号を出力して警告するもの等を用いることができる。
【0010】
一実施形態の道路標識は、上記基部はベース部材を有し、
上記転倒検出部及び警告部は、上記ベース部材に設けられている。
【0011】
上記実施形態によれば、ベース部材に転倒検出部及び警告部を設けることにより、転倒検出部及び警告部を標識本体と分離できるので、転倒検出部及び警告部のメンテナンスを効率的に行うことができる。ここで、ベース部材は、標識本体に着脱自在に形成するのが好ましい。これにより、転倒検出部及び警告部を有しない道路標識のベース部材を、本発明のベース部材に置き換えることにより、道路標識に転倒検出機能と警告機能を後付けすることができる。
【0012】
一実施形態の道路標識は、上記ベース部材は、重さにより標識本体の転倒を防止する転倒防止機能を有する。
【0013】
上記実施形態によれば、簡易な構造で転倒防止を行うことができる。
【0014】
一実施形態の道路標識は、上記基部は、平面視において多角形であり、この多角形の基部の各辺に対応して、上記転倒検出部が設けられている。
【0015】
上記実施形態によれば、標識本体が転倒したときに基部の辺が設置面に接することにより、転倒した標識本体を安定させることができると共に、接した辺に対応して設けられた転倒検出部により、正確に転倒を検出できる。ここで、「各辺に対応して」とは、1つの辺に対応して1つの転倒検出部が設けられていることをいい、転倒検出部の設置位置は、辺の部分と角の部分のいずれでもよい。また、転倒検出部は、設置面に接触して作動するスイッチを有する場合、接触子を基部の側面の上部に配置するのが好ましい。スイッチの接触子を基部の側面の上部に配置することにより、転倒したときに確実にスイッチを作動することができる。
【0016】
一実施形態の道路標識は、上記多角形の基部の各角の近傍に突出部を有し、上記多角形の基部の各辺に上記警告部が設けられている。
【0017】
上記実施形態によれば、標識本体が転倒したときに、基部の突出部が設置面に接することにより、基部の辺に設けられた警告部が設置面に接することを防止でき、警告部を保護することができる。ここで、突出部は、平面視において基部の角を含んで形成してもよく、また、平面視において基部の角よりも辺の中央寄りに形成してもよい。
【0018】
一実施形態の道路標識は、上記基部の突出部に、上記転倒検出部が設けられている。
【0019】
上記実施形態によれば、標識本体が転倒したときに、基部の突出部に設けられた転倒検出部が設置面に接することにより、正確に転倒を検出できる。
【0020】
一実施形態の道路標識は、上記警告部は、転倒状態において設置面と略直角方向に光を出射する発光装置を有する。
【0021】
上記実施形態によれば、警告部の発光装置から設置面と略直角方向に出射された光により、離れた位置の監視員が標識本体の転倒を認知することができると共に、特に夜間において、転倒した標識本体の概略位置を認知することができる。また、発光装置が出射する光により転倒を警告するので、監視員が受信端末等を用いることなく、簡易な装置構成により、道路標識の転倒を認知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態としてのロードコーンを示す正面図である。
【図2】ロードコーンを示す平面図である。
【図3】ロードコーンが転倒した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態の道路標識としてのロードコーンを示す正面図であり、図2はロードコーンを示す平面図である。
【0025】
実施形態のロードコーン1は、道路工事や交通事故等の際に、道路の規制範囲を示すために用いられるものであり、略円錐形状の標識本体2と、標識本体2の底部に連なり、平面視において外縁が略正方形の板状の底板2aと、底板2aに係合するベース部材としてのベースプレート4で大略構成されている。この底板2aとベースプレート4で、ロードコーン1の基部3を構成している。ベースプレート4は、標識本体2に連なる底板2aの上に、着脱自在に係止している。
【0026】
標識本体2及び底板2aは、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂で一体成型され、標識本体2内が中空に形成されて、約700mmの高さと約1kgの重量を有する。標識本体2には、必要に応じて模様や文字が付与される。
【0027】
ベースプレート4は、スチレンブタジエンゴム等の合成ゴムで主要部が形成され、約2kgの重量を有し、この重さによって標識本体の転倒防止を行う機能を有している。ベースプレート4は、平面視において一辺が約400mmの概ね正方形の外縁を有し、4つの角に、外側に突出した突出部4aが夫々形成されている。突出部4aは、平面視において、角から所定範囲の辺が外側に向かって突出すると共に角の先端が丸みを帯びた形状を有する。これらの4つの突出部4aに、転倒検出部としての転倒スイッチの接触子5が設けられている。
【0028】
なお、ベースプレート4の突出部4aは、平面視において角を含んで形成される以外に、角よりも辺の中央寄りに形成してもよい。要は、ベースプレート4の形状は、標識本体2が平坦な設置面上で転倒した場合に、ベースプレート4の側部の2点が接触するように形成されていればよく、これらの2点のうちの一方に、転倒スイッチの接触子5を配置すればよい。
【0029】
上記ベースプレート4には、転倒検出部としての転倒スイッチと、警告部としての発光装置6と、電源としての蓄電池が設けられている。
【0030】
転倒検出部としての転倒スイッチは、標識本体2がベースプレート4と共に転倒して接触子5が設置面に接触することにより、標識本体2の転倒を検出するものである。転倒スイッチは、電源と発光装置6との間を接続する電源供給回路に介設されており、この電源供給回路を、接触子5の動作によってオンオフする。接触子5は、平面視においてベースプレート4の突出部4aに隣接する一方の辺に対して直角方向に突出するように、突出部4aの側面の上部に配置されている。この接触子5は、電源供給回路の固定端子に接離する可動端子に連結されており、ベースプレート4に内蔵されたバネにより、外側に突出する方向に付勢されている。転倒スイッチは、標識本体2が転倒して接触子5が設置面に接すると、接触子5に連結された可動端子が固定端子に接触し、電源供給回路がオフからオンに切り替わる。これにより、発光装置6に電力が供給され、発光装置6が起動する。各辺に対応して配置された転倒スイッチは、対応する辺と対向する側の辺に設けられた発光装置6に接続されている。すなわち、転倒スイッチは、接触子5が直角に突出するように設けられた辺と対抗する辺の発光装置6の電力をオンオフするようになっている。
【0031】
警告部としての発光装置6は、標識本体2が転倒したときに光を出力して警告を行うものであり、所定の波長のレーザ光を出射するLD(レーザーダイオード)を有する。発光装置6は、平面視においてベースプレート4の4つの突出部4aの間に延在する4つの辺の上側縁に、夫々配置されている。この発光装置6は、標識本体2がベースプレート4と共に転倒した状態で、図3に示すように、設置面Cと略直角方向にレーザ光Lを出射するように形成されている。発光装置6は、4つの辺に夫々配置することにより、いずれの辺が上向きに転倒しても、レーザ光Lを上方に出射できるようになっている。
【0032】
蓄電池は、ベースプレート4に内蔵された二次電池であり、ベースプレート4から取り出して充電可能になっている。なお、蓄電池は、ベースプレート4に交換可能に取り付けられる一次電池でもよい。また、ベースプレート4や標識本体2に太陽光発電パネルを設置し、この太陽光発電パネルで生成した電力を二次電池に充電するように形成してもよい。
【0033】
上記構成のロードコーン1は、道路工事や交通事故等の際に、道路の規制範囲を示す目的や、車両の運転者や歩行者に注意を促す目的で、道路や歩道等に配置される。ロードコーン1が、強風や車両の接触により転倒すると、標識本体2がベースプレート4と共に転倒し、ベースプレート4の突出部4aの接触子5が設置面Cに接触する。これにより、転倒スイッチがオフからオンに切り替わり、接触子5が設けられた辺と対向する辺であって、転倒により上方を向いた辺に設けられた発光装置6に、蓄電池から電力を供給する。この発光装置6は、蓄電池から電力の供給を受けて、レーザ光を設置面Cと略直角方向に出射して警告を行う。この発光装置6から出射された光は、指向性の高いレーザ光であるので、監視員が離れた位置に居ても認知される。したがって、ロードコーン1が、数kmにわたる道路規制を示すために用いられる場合においても、ロードコーン1の転倒を監視員に迅速に認知させることができる。また、このロードコーン1は、レーザ光を出射して転倒を警告するので、レーザ光は夜間において容易に視認されるので、転倒を監視員に迅速に認知させることができる。
【0034】
また、本実施形態のロードコーン1は、転倒スイッチ及び発光装置6が、設置面Cに接する基部3のベースプレート4に設けられているので、標識本体2の上部に設けられる場合よりもロードコーン1の重心が設置面Cに近いから、従来よりも転倒し難い。また、上記転倒スイッチ及び発光装置6は、ベースプレート4に設けられているので、標識本体2が転倒しても、標識本体2の上部に設けられる場合よりも衝撃を受け難い。したがって、転倒スイッチ及び発光装置6が損傷し難く、従来よりも良好な耐久性を有する。
【0035】
また、本実施形態のロードコーン1は、標識本体2と別部材のベースプレート4に転倒スイッチ及び発光装置6を有するので、標識本体2からベースプレート4を取り外すことにより、寸法の比較的大きい標識本体2から、スイッチ及び発光装置6を容易に分離できる。したがって、スイッチ及び発光装置6のメンテナンスを効率的に行うことができる。また、転倒スイッチ及び発光装置6を有するベースプレート4が着脱自在に形成されているので、転倒スイッチ及び発光装置6を有しないロードコーンのベースプレートを、本発明のベースプレート4に置き換えることにより、ロードコーンに転倒検出機能と警告機能を後付けすることができる。
【0036】
上記実施形態において、ベースプレート4を底板2aの上に着脱自在に係止して基体3を形成したが、標識本体2の底部の底板2aを削除し、標識本体2の底部にベースプレート4を連結して、ベースプレート4のみによって基部を構成してもよい。この場合、標識本体2とベースプレート4は、着脱自在に連結してもよく、又は、着脱不可に固定してもよい。また、ベースプレート4は、標識本体2の底板2aに対して着脱自在に形成したが、底板2aや標識本体2に着脱不可に固定してもよい。また、底板2a以外の他の部材を介して、標識本体2の底部にベースプレート4を着脱自在に取り付けてもよく、又は、着脱不可に固定してもよい。
【0037】
また、上記実施形態において、発光装置6はレーザ光を出射するLDを用いたが、レーザ光を出射する他の装置を用いてもよい。また、発光装置6はレーザ光を出射したが、発光装置6が出射する光はレーザ光に限定されない。
【0038】
また、転倒検出部として、設置面Cに接触子が接するに伴って作動する転倒スイッチを用いたが、通常は設置面Cに接する接触子を底面に設け、標識本体2が転倒すると接触子が設置面Cから離脱するに伴って作動するスイッチを用いてもよい。また、転倒検出部として、転倒スイッチ以外に、重力の作用方向を検出する重力センサを用いてもよい。
【0039】
また、警告部として発光装置6を設け、光を出射して警告を行ったが、警告部としてブザー等を設け、音声を出力して警告を行ってもよい。また、警告部として、警告を表す電気信号を搬送波に重畳して出力する発信機を設け、無線信号を出力して警告を行ってもよい。
【0040】
また、警告部としての発光装置6の電源は、標識本体2に照明やスピーカ等の機器が設置される場合、これらの機器の電源を利用してもよい。
【0041】
また、基部3は略正方形の底板2aとベースプレート4で形成したが、基部は5角形等の他の多角形であってもよい。多角形の基部の各辺に対応して転倒検出部を配置し、転倒検出部を設けた辺に対向する辺又は角に、警告部を配置すればよい。
【0042】
また、上記実施形態では、ロードコーンに本発明を適用した場合を例示したが、本発明はロードコーン以外に、表示板、電光表示板、点滅ライト、回転ライト及び人形等に適用することができる。すなわち、本発明は、道路や駐車場等の車両や人が通行する領域に設置されて情報を表示する器具に、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ロードコーン
2 標識本体
2a 底板
3 基部
4 ベースプレート
4a 突出部
5 接触子
6 発光装置
L レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識本体と、
この道路用標識が設置される設置面に接して上記標識本体を支持する基部と、
上記基部に配置され、上記標識本体の転倒を検出する転倒検出部と、
上記基部に配置され、上記転倒検出部による標識本体の転倒の検出に基づいて警告を行う警告部と
を備えることを特徴とする道路標識。
【請求項2】
請求項1に記載の道路標識において、
上記基部はベース部材を有し、
上記転倒検出部及び警告部は、上記ベース部材に設けられていることを特徴とする道路標識。
【請求項3】
請求項2に記載の道路標識において、
上記ベース部材は、重さにより標識本体の転倒を防止する転倒防止機能を有することを特徴とする道路標識。
【請求項4】
請求項1に記載の道路標識において、
上記基部は、平面視において多角形であり、この多角形の基部の各辺に対応して、上記転倒検出部が設けられていることを特徴とする道路標識。
【請求項5】
請求項4に記載の道路標識おいて、
上記多角形の基部の各角の近傍に突出部を有し、上記多角形の基部の各辺に上記警告部が設けられていることを特徴とする道路標識。
【請求項6】
請求項5に記載の道路標識おいて、
上記基部の突出部に、上記転倒検出部が設けられていることを特徴とする道路標識。
【請求項7】
請求項6に記載の道路標識おいて、
上記警告部は、転倒状態において設置面と略直角方向に光を出射する発光装置を有することを特徴とする道路標識。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−83113(P2013−83113A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224524(P2011−224524)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(508061549)阪神高速技術株式会社 (20)
【Fターム(参考)】