説明

道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造

【課題】乳剤散布時に、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分において非散布状態に設定されている分解剤ノズルへの乳剤の飛散を効果的に防止して、ノズル口径が乳剤ノズルよりも小さい分解剤ノズルの目詰まりを確実に防止する道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は上記目的を達成するために、伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて2基のスプレーバー7A,7B同士が重なり合う部分における少なくともいずれか一方のスプレーバー7A及び/又は7B上で非散布状態に設定される分解剤ノズル14に対し、いずれか他方のスプレーバー7B又は7A上の乳剤ノズル10から散布される乳剤の飛散を防止して該分解剤ノズルの目詰まりを防止する所要長さのカバー15a,15bを設けた道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造に関するものであり、特に、乳剤散布時に、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分において非散布状態に設定されている分解剤ノズルへの乳剤の飛散を効果的に防止して、ノズル口径が乳剤ノズルよりも小さい分解剤ノズルの目詰まりを防止することが可能な道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の道路舗装機械における伸縮式スプレーバー部分の構成例を図9を用いて説明する。同図は、該伸縮式スプレーバー部分を断面で示している。同図において、道路舗装機械における機体1の後部側における後輪2の直ぐ後方に、下面板3が固設され、該下面板3における機体1の進行方向前後の下部に下部フレーム4a,4bが固設されている。前記下面板3の下方には、支持軸5を介して機体1に懸垂支持されたスプレーバーカバー6が機体1の幅方向に延設されている。そして、該スプレーバーカバー6内に、一対のスプレーバー7A,7Bが機体1の進行方向に位置をずらしてそれぞれ一対のローラ8a,8aと8b,8b及びスライド部材9aと9bによりスライド可能に支持され、図示しない油圧シリンダ等により該機体1の幅方向に伸縮自在に設けられている。各スプレーバー7A,7Bの下面には、それぞれ、その長さ方向(図の紙面に垂直方向)に沿って複数の乳剤ノズル10が等間隔に取り付けられている。
【0003】
そして、このような伸縮式スプレーバーでは、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分と、この重なり合う部分以外の単一のスプレーバー部分とでは、乳剤散布時における単位長さ当たりの散布状態となる乳剤ノズルの個数はほぼ同じに設定される。このため、2基のスプレーバー同士が重なり合う部分では、この2基のスプレーバーのうち少なくともいずれか一方のスプレーバーには非散布状態となる乳剤ノズルが生じる。
【0004】
また、従来、上記図9と類似の伸縮式スプレーバー部分の構成が、道路舗装機械のリテーニングプレート装置を開示した公報で知られている。この従来技術は、機械本体の幅方向に延在する支持部材が、支持軸を介して機械本体に懸垂支持され、該支持部材に転動可能に取り付けられた一対の支持ローラにスライド部材がスライド自在に支持され、該スライド部材の下部に、左側のスプレーバーが固定されている。また、前記支持部材に転動可能に取り付けられた他の一対の支持ローラに他のスライド部材がスライド自在に支持され、該他のスライド部材の下部に、右側のスプレーバーが固定されている。前記左、右のスプレーバーの下面には、それぞれ、その長さ方向に沿って噴出口の口径の異なる複数対の乳剤ノズルが等間隔に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−303189号公報(第5頁、図3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9に記載された従来の伸縮式スプレーバーにおいては、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分と、この重なり合う部分以外の単一のスプレーバー部分とでは、乳剤散布時における単位長さ当たりの散布状態となる乳剤ノズルの個数はほぼ同じに設定される。
【0007】
ところで、近時、各スプレーバーの下面に等間隔に取り付けられた複数の乳剤ノズルに、この乳剤ノズルよりもノズル口径の小さい分解剤ノズルをそれぞれ付設し、乳剤ノズルから乳剤が散布された後に、これに付設された分解剤ノズルから分解剤を散布して、散布された乳剤の硬化を促進することが行われている。しかるに、2基のスプレーバー同士が重なり合う部分では、この2基のスプレーバーのうち少なくともいずれか一方のスプレーバーには非散布状態となる乳剤ノズルが生じる。そして、この非散布状態に設定されている乳剤ノズル及び分解剤ノズルは、いずれか他方のスプレーバー上で散布状態に設定されている乳剤ノズルからの乳剤の飛散を受ける。このとき、乳剤ノズルよりもノズル口径の小さい分解剤ノズルは、そのノズルチップに乳剤の飛散を受けると、これが固化して目詰まりを起こし易い。
【0008】
この問題は、特許文献1に記載の従来技術における複数の乳剤ノズルにそれぞれ分解剤ノズルを付設した場合においても同様に生じる。
【0009】
そこで、乳剤散布時に、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合っている部分において非散布状態に設定されている分解剤ノズルへの乳剤の飛散を効果的に防止して、ノズル口径が乳剤ノズルよりも小さい分解剤ノズルの目詰まりを確実に防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、複数の乳剤ノズルが適宜の間隔をおいて設けられるとともに該複数の乳剤ノズルには当該乳剤ノズルから散布された乳剤の硬化を促進する分解剤を散布する分解剤ノズルがそれぞれ付設されたスプレーバーの2基が、機体進行方向の前後に並列に配設された伸縮式スプレーバーを有する道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造であって、前記伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて前記2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における少なくともいずれか一方のスプレーバー上で非散布状態に設定される前記分解剤ノズルに対し、いずれか他方のスプレーバー上の前記乳剤ノズルから散布される乳剤の飛散を防止して該分解剤ノズルの目詰まりを防止する所要長さのカバーを設けた道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造を提供する。
【0011】
この構成によれば、伸縮式スプレーバーでは、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分と、この重なり合う部分以外の単一のスプレーバー部分とでは、乳剤散布時における単位長さ当たりの散布状態となる乳剤ノズル(分解剤ノズル)の個数はほぼ同じに設定される。このため、2基のスプレーバー同士が重なり合う部分では、この2基のスプレーバーのうち少なくともいずれか一方のスプレーバーには非散布状態となる乳剤ノズル及び分解剤ノズルが生じる。そして、この非散布状態に設定されている乳剤ノズル及び分解剤ノズルは、いずれか他方のスプレーバー上で散布状態に設定されている乳剤ノズルからの乳剤の飛散を受ける。このとき、乳剤ノズルよりもノズル口径の小さい分解剤ノズルは、そのノズルチップに乳剤の飛散を受けるとこれが固化して目詰まりを起こし易い。しかし、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分において非散布状態に設定されている分解剤ノズルの部分に対し乳剤の飛散を防止する所要長さのカバーを設けておくことで、分解剤ノズルへの乳剤の飛散が防止されて該分解剤ノズルの目詰まりが防止される。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて上記2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における両スプレーバー上で非散布状態に設定される上記分解剤ノズルの部分に対し、それぞれ所要長さのカバーを設けた道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造を提供する。
【0013】
この構成によれば、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における当該各スプレーバー上に、例えば5個ずつの乳剤ノズル(分解剤ノズル)が存在し、乳剤散布時に、この2基のスプレーバーのうちの一方のスプレーバーでは3個の乳剤ノズル(分解剤ノズル)が散布状態に設定され、残りの2個の乳剤ノズル(分解剤ノズル)が非散布状態に設定されているとすると、他方のスプレーバーでは、これと逆に3個の乳剤ノズル(分解剤ノズル)が非散布状態に設定され、残りの2個の乳剤ノズル(分解剤ノズル)が散布状態に設定される。このとき、一方のスプレーバー上で非散布状態に設定されている2個の分解剤ノズルの部分及び他方のスプレーバー上で非散布状態に設定されている3個の分解剤ノズルの部分に、それぞれ所要長さのカバーを設けておくことで、両スプレーバー上で非散布状態に設定される分解剤ノズルへの乳剤の飛散が防止されて該分解剤ノズルの目詰まりが防止される。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて上記2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における一方のスプレーバー上のみに非散布状態となる上記分解剤ノズルが設定される場合において、該非散布状態となる前記分解剤ノズルの部分に対し所要長さのカバーを設けた道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造を提供する。
【0015】
この構成によれば、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における当該各スプレーバー上に、例えば3個ずつの乳剤ノズル(分解剤ノズル)が存在し、乳剤散布時に、この2基のスプレーバーのうちの一方のスプレーバーでは3個の乳剤ノズル(分解剤ノズル)の全てが非散布状態に設定されるとすると、他方のスプレーバーでは、これと逆に3個の乳剤ノズル(分解剤ノズル)の全てが散布状態に設定される。このとき、3個の分解剤ノズルの全てが非散布状態に設定される一方のスプレーバー側のみに所要長さのカバーを設けておくことで、該一方のスプレーバー上で非散布状態に設定される分解剤ノズルへの乳剤の飛散が防止されて該分解剤ノズルの目詰まりが防止される。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、上記所要長さのカバーは、機体の下部フレーム部分に取付けられている道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造を提供する。
【0017】
この構成によれば、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分の長さが変わっても、所要長さのカバーは、機体の下部フレームの部分に取付けられていることで、これらのスプレーバー上で非散布状態に設定されている分解剤ノズルの部分が前記所要長さのカバーで確実に覆われて該分解剤ノズルへの乳剤の飛散が防止される。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1又は3記載の発明において、上記所要長さのカバーは、機体の下部フレーム部分に設けたガイドレール上をガイドローラを介して移動可能に取付けられ、且つ前記所要長さのカバーから遠い側のいずれか他方のスプレーバーからの支持腕により移動されるようにした道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造を提供する。
【0019】
この構成によれば、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における一方のスプレーバー上のみに非散布状態となる分解剤ノズルが設定され、他方のスプレーバーでは全ての乳剤ノズルが散布状態に設定される場合において、前記一方のスプレーバー上で非散布状態となる分解剤ノズルへの乳剤の飛散を防止する所要長さのカバーを他方のスプレーバーの移動に応じて移動するようにしたことで、2基のスプレーバー同士が重なり合う部分の長さが変わっても、非散布状態に設定されている分解剤ノズルが所要長さのカバーで確実に覆われて該分解剤ノズルへの乳剤の飛散が防止される。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明は、乳剤散布時に、伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合っている部分における少なくともいずれか一方のスプレーバー上で非散布状態に設定されている分解剤ノズルの部分に対し、所要長さのカバーを設けたことで、ノズル口径が乳剤ノズルよりも小さい分解剤ノズルへの乳剤の飛散を効果的に防止することができて、該分解剤ノズルの目詰まりを確実に防止することができるという利点がある。
【0021】
請求項2記載の発明は、乳剤散布時に、伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合っている部分における当該両スプレーバー上で非散布状態に設定されている分解剤ノズルの部分に対し、それぞれ所要長さのカバーを設けたことで、これらの分解剤ノズルへの乳剤の飛散を効果的に防止することができて、該分解剤ノズルの目詰まりを確実に防止することができるという利点がある。
【0022】
請求項3記載の発明は、乳剤散布時に、伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における一方のスプレーバー上のみに非散布状態となる分解剤ノズルが設定される場合において、その分解剤ノズルに対し所要長さのカバーを設けたことで、該分解剤ノズルへの乳剤の飛散を効果的に防止することができて、非散布状態になっている分解剤ノズルの目詰まりを確実に防止することができるという利点がある。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の効果に加えてさらに、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分の長さが変わっても、乳剤散布時に、これらのスプレーバー上で非散布状態に設定されている分解剤ノズルの部分を所要長さのカバーで確実に覆うことができて該分解剤ノズルへの乳剤の飛散を効果的に防止することができるという利点がある。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1又は3記載の発明の効果に加えてさらに、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分の長さが変わっても、乳剤散布時に、一方のスプレーバー上で非散布状態に設定されている分解剤ノズルを所要長さのカバーで確実に覆うことができて該分解剤ノズルへの乳剤の飛散を効果的に防止することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1〜図8は本発明の実施例に係る道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造を示すものである。
【図1】実施例1に係る道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造をを断面により示す図。
【図2】図1中のX−X断面に相当する伸縮式スプレーバー部分の平面図。
【図3】実施例1において伸縮式スプレーバーの伸縮長に応じて非散布状態に設定される分解剤ノズルに対しカバーによる乳剤の飛散防止作用を具体的な数値例を用いて説明するための図であり、(a)は伸縮式スプレーバーの縮長時に左、右のスプレーバーにおける乳剤ノズル及び分解剤ノズルの全てが非散布状態の場合、(b)伸縮式スプレーバーの縮長時に左、右のスプレーバーにおける乳剤ノズル及び分解剤ノズルが散布状態の場合、(c)は伸長量が3250mmに設定された場合、(d)は伸長量が3500mmに設定された場合。
【図4】図3の(a)〜(d)に続く伸縮式スプレーバーの伸縮長に応じて非散布状態に設定される分解剤ノズルに対しカバーによる乳剤の飛散防止作用を具体的な数値例を用いて説明するための図であり、(a)は伸長量が3750mmに設定された場合、(b)は最伸長時であり伸長量が6000mmに設定された場合。
【図5】実施例2に係る道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造をを断面により示す図。
【図6】図5中のY−Y断面に相当する伸縮式スプレーバー部分の平面図。
【図7】実施例2において伸縮式スプレーバーの伸長量に応じて非散布状態に設定される分解剤ノズルに対しカバーによる乳剤の飛散防止作用を具体的な数値例を用いて説明するための図であり、(a)は伸縮式スプレーバーの縮長時の場合、(b)は伸長量が3250mmに設定された場合、(c)は伸長量が3750mmに設定された場合、(d)は伸長量が4500mmに設定された場合。
【図8】図7の(a)〜(d)に続く伸縮式スプレーバーの伸縮長に応じて非散布状態に設定される分解剤ノズルに対しカバーによる乳剤の飛散防止作用を具体的な数値例を用いて説明するための図であり、(a)は伸長量が5500mmに設定された場合、(b)は最伸長時であり伸長量が6000mmに設定された場合。
【図9】従来の道路舗装機械における伸縮式スプレーバー部分の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
乳剤散布時に、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合っている部分において非散布状態に設定されている分解剤ノズルへの乳剤の飛散を効果的に防止して、ノズル口径が乳剤ノズルよりも小さい分解剤ノズルの目詰まりを確実に防止するという目的を達成するために、複数の乳剤ノズルが適宜の間隔をおいて設けられるとともに該複数の乳剤ノズルには当該乳剤ノズルから散布された乳剤の硬化を促進する分解剤を散布する分解剤ノズルがそれぞれ付設されたスプレーバーの2基が、機体進行方向の前後に並列に配設された伸縮式スプレーバーを有する道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造であって、前記伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて前記2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における少なくともいずれか一方のスプレーバー上で非散布状態に設定される前記分解剤ノズルに対し、いずれか他方のスプレーバー上の前記乳剤ノズルから散布される乳剤の飛散を防止して該分解剤ノズルの目詰まりを防止する所要長さのカバーを設けたことにより実現した。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明の実施例1に係る道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造を図1乃至図4を参照して説明する。なお、図1、図2及び後述する実施例2を示す図5、図6において前記図9における部材及び部位と同一ないし均等のものは、前記と同一符号を以って示し、重複した説明を省略する。まず、本実施例に係る道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造の構成を図1及び図2を用いて説明する。
【0028】
図1において、下面板3の下方には、機体1の幅方向に延在する支持部材11が、支持軸5を介して機体1に懸垂支持されている。そして、該支持部材11の一端側(図の左側)に一対のガイドローラ12a,12aにより左スプレーバーカバー13aが移動自在に支持され、該左スプレーバーカバー13a内に、左スプレーバー7Aが取付けられている。また、支持部材11の他端側(図の右側)に一対のガイドローラ12b,12bにより右スプレーバーカバー13bが移動自在に支持され、該右スプレーバーカバー13b内に、右スプレーバー7Bが取付けられている。
【0029】
左、右のスプレーバー7A,7Bは、このような取付け態様で、図2に示すように、機体1進行方向の前後に並列に配設されるとともに、油圧シリンダ等により該機体1の幅方向に伸縮自在とされて、伸縮式スプレーバー7が構成されている。図2の例では、各スプレーバー7A,7B上にそれぞれ6個の乳剤ノズル10が等間隔に設けられている。
【0030】
また、各乳剤ノズル10に対し、当該乳剤ノズル10から散布された乳剤の硬化を促進
する分解剤を散布するための分解剤ノズル14がそれぞれ付設されている。分解剤ノズル14はノズル口径が、乳剤ノズル10のノズル口径よりも小さく、図1の例では、各分解剤ノズル14は、左、右のスプレーバーカバー13a,13bの各外側面の部分に取付けられている。図1中に2点鎖線で示すように、乳剤ノズル10から散布された乳剤の領域上に、各分解剤ノズル14から分解剤が散布される。
【0031】
ここで、伸縮式スプレーバー7では、その伸縮量に応じて左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分(図2中にWで示す部分)と、この重なり合う部分W以外の単一のスプレーバー7A又は7B部分とでは、乳剤散布時における単位長さ当たりの散布状態となる乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14の個数は同じに設定される。このため、左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wでは、この左、右のスプレーバー7A,7Bのうち少なくともいずれか一方のスプレーバー7A又は7Bには非散布状態となる乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が生じる。
【0032】
そして、この非散布状態に設定されている乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14は、いずれか他方のスプレーバー7B又は7A上で散布状態に設定されている乳剤ノズル10からの乳剤の飛散を受ける。このとき、乳剤ノズル10よりもノズル口径の小さい分解剤ノズル14は、そのノズルチップに乳剤の飛散を受けるとこれが固化して目詰まりを起こし易い。
【0033】
これに対し、本実施例では、伸縮式スプレーバー7の伸縮量に応じて左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wにおける当該左、右のスプレーバー7A,7B上で非散布状態に設定される分解剤ノズル14の部分に対し、乳剤の飛散を防止して目詰まりを防止するためそれぞれ所要長さのカバー15a,15bが設けられている。図1に示すように、一方のカバー15aは下部フレーム4aの部分に取付けられ、他方のカバー15bは下部フレーム4bの部分に取付けられている。
【0034】
次に、上述のように構成された道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造の作用を図3の(a)〜(d)及び図4の(a)、(b)を用いて具体的な数値例と共に説明する。なお、これらの図中の黒丸は散布状態の乳剤ノズル及び分解剤ノズルを示し、白丸は非散布状態の乳剤ノズル及び分解剤ノズルを示している。
【0035】
(図3(a))伸縮式スプレーバー7の縮長時であって、左、右のスプレーバー7A,7Bにおける乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14の全てを非散布状態とするよう図示しないスイッチがオフにされている。この場合は該分解剤ノズル14の目詰まりという現象は生じない。
【0036】
(図3(b))上記図3(a)と同じ伸縮式スプレーバー7の縮長時であるが、左、右のスプレーバー7A,7Bにおける乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14を散布状態に切替える図示しないスイッチがオンにされている。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bの重なり合う部分Wはその略全長になる。その重なり合う部分Wにおいて、左、右のスプレーバー7A,7B上にそれぞれ6個ずつの乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が存在する。そして左、右のスプレーバー7A,7Bでは3個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が散布状態に設定され、残りの3個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が非散布状態に設定される。このとき、左スプレーバー7A上で非散布状態に設定されている3個の分解剤ノズル14がカバー15aで覆われ、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定されている3個の分解剤ノズル14がカバー15bで覆われる。この結果、左、右のスプレーバー7A,7B上で非散布状態に設定される分解剤ノズル14への乳剤の飛散が防止されて該分解剤ノズル14の目詰まりが防止される。
【0037】
(図3(c))伸縮式スプレーバー7の伸長量Lが3250mmに設定された場合である。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wにおける当該左、右のスプレーバー7A,7B上にそれぞれ5個ずつの乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が存在する。そして左、右のスプレーバー7A,7Bにおける乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14を散布状態に切替えるスイッチがオンにされた乳剤散布時に、重なり合う部分Wにおいて、左スプレーバー7Aでは3個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が散布状態に設定され、残りの2個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が非散布状態に設定される。右スプレーバー7Bでは、これと逆に3個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が非散布状態に設定され、残りの2個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が散布状態に設定される。このとき、左スプレーバー7A上で非散布状態に設定されている2個の分解剤ノズル14がカバー15aで覆われ、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定されている3個の分解剤ノズル14がカバー15bで覆われる。この結果、左、右のスプレーバー7A,7B上で非散布状態に設定される分解剤ノズル14への乳剤の飛散が防止されて該分解剤ノズル14の目詰まりが防止される。
【0038】
(図3(d))伸縮式スプレーバー7の伸長量Lが3500mmに設定された場合である。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wにおける当該左、右のスプレーバー7A,7B上に、前記図3(c)の場合と同様に、それぞれ5個ずつの乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が存在する。そして左、右のスプレーバー7A,7Bにおける乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14を散布状態に切替えるスイッチがオンにされた乳剤散布時に、重なり合う部分Wにおいて、左スプレーバー7Aでは2個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が非散布状態に設定され、右スプレーバー7Bでは、これと逆に3個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が非散布状態に設定される。このとき、左スプレーバー7A上で非散布状態に設定されている2個の分解剤ノズル14がカバー15aで覆われ、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定されている3個の分解剤ノズル14がカバー15bで覆われる。この結果、左、右のスプレーバー7A,7B上で非散布状態に設定される分解剤ノズル14への乳剤の飛散が防止されて該分解剤ノズル14の目詰まりが防止される。
【0039】
(図4(a))伸縮式スプレーバー7の伸長量Lが3750mmに設定された場合である。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wにおける当該左、右のスプレーバー7A,7B上にそれぞれ4個ずつの乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が存在する。そして左、右のスプレーバー7A,7Bにおける乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14を散布状態に切替えるスイッチがオンにされた乳剤散布時に、重なり合う部分Wにおいて、左スプレーバー7Aでは2個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が散布状態に設定され、残りの2個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が非散布状態に設定される。右スプレーバー7Bでは、これと同様に2個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が非散布状態に設定され、残りの2個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が散布状態に設定される。このとき、左スプレーバー7A上で非散布状態に設定されている2個の分解剤ノズル14がカバー15aで覆われ、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定されている2個の分解剤ノズル14がカバー15bで覆われる。この結果、左、右のスプレーバー7A,7B上で非散布状態に設定される分解剤ノズル14への乳剤の飛散が防止されて該分解剤ノズル14の目詰まりが防止される。
【0040】
(図4(b))伸縮式スプレーバー7の最伸長時である伸長量Lが6000mmに設定された場合である。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wは無いから、カバー15a、15bで覆うべき分解剤ノズル14は存在しない。
【0041】
上記のように、伸縮量に応じて左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wの長さが変わっても、所要長さのカバー15a,15bは、機体1の下部フレーム15a,
15bの部分にそれぞれ固定して取付けられていることで、左、右のスプレーバー7A,7B上で非散布状態に設定されている各分解剤ノズル14が前記所要長さのカバー15a,15bでそれぞれ確実に覆われて該分解剤ノズル14への乳剤の飛散が防止される。
【0042】
上述したように、本実施例に係る道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造においては、乳剤散布時に、伸縮式スプレーバー7の伸縮量に応じて左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合っている部分Wにおける当該左、右のスプレーバー7A,7B上で非散布状態に設定されている分解剤ノズル14の部分に対し、それぞれ所要長さのカバー15a,15bを設けたことで、これらの分解剤ノズル14への乳剤の飛散を効果的に防止することができて、該分解剤ノズル14の目詰まりを確実に防止することができる。
【0043】
また、伸縮式スプレーバー7の伸縮量に応じて左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wの長さが変わっても、乳剤散布時に、左、右のスプレーバー7A,7B上で非散布状態に設定されている分解剤ノズル14の部分を所要長さのカバー15a,15bで確実に覆うことができる。
【実施例2】
【0044】
本発明の実施例2に係る道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造を図5乃至図8を参照して説明する。なお、図5及び図6において前記図1及び図2における部材及び部位と同一ないし均等のものは特に示さない限り前記と同一符号を以って示してある。まず、本実施例に係る道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造の構成を図5及び図6を用いて説明する。
【0045】
本実施例では、伸縮式スプレーバー7の伸縮量に応じて左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wにおける右スプレーバー7B上で非散布状態に設定される分解剤ノズル14の部分に対し、乳剤の飛散を防止して目詰まりを防止するため左スプレーバー7A側から右スプレーバー7B側へ、右スプレーバー7Bの全長と略同一長のカバー15が設けられている。図5、図6に示すように、前記カバー15は下部フレーム4bの部分に設けたガイドレール16上をガイドローラ17を介して移動可能に取付けられ、且つ左スプレーバー7Aの端部に取付けた支持腕18により支持されて該左スプレーバー7Aの移動と一体に移動する。
【0046】
なお、上記カバー15は、上記とは逆に右スプレーバー7B側から左スプレーバー7A側へ設けるようにしてもよい。即ち、カバー15は下部フレーム4aの部分に設けたガイドレール上をガイドローラを介して移動可能に取付け、且つ右スプレーバー7Bの端部に取付けた支持腕により支持されて右スプレーバー7Bの移動と一体に移動させることも可能である。
【0047】
次に、上述のように構成された道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造の作用を図7の(a)〜(d)及び図8の(a)、(b)を用いて具体的な数値例と共に説明する。
【0048】
(図7(a))伸縮式スプレーバー7の縮長時であって、左、右のスプレーバー7A,7Bにおける乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14を散布状態に切替えるスイッチがオンにされている。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bの重なり合う部分Wはその略全長になる。その重なり合う部分Wにおいて、左、右のスプレーバー7A,7B上にそれぞれ6個ずつの乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が存在する。そして左スプレーバー7Aでは6個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14の全てが散布状態に設定され、右スプレーバー7Bでは6個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14の全てが非散布状態に設
定される。このとき、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定されている6個の分解剤ノズル14がカバー15で覆われる。この結果、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定される分解剤ノズル14への乳剤の飛散が防止されて該分解剤ノズル14の目詰まりが防止される。
【0049】
(図7(b))伸縮式スプレーバー7の伸長量Lが3250mmに設定された場合である。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wにおける当該左、右のスプレーバー7A,7B上にそれぞれ5個ずつの乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が存在する。そして左、右のスプレーバー7A,7Bにおける乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14を散布状態に切替えるスイッチがオンにされた乳剤散布時に、重なり合う部分Wにおいて、左スプレーバー7Aでは5個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14の全てが散布状態に設定され、右スプレーバー7Bでは、これと逆に5個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14の全てが非散布状態に設定される。このとき、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定されている5個の分解剤ノズル14がカバー15で覆われる。この結果、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定される分解剤ノズル14への乳剤の飛散が防止されて該分解剤ノズル14の目詰まりが防止される。
【0050】
(図7(c))伸縮式スプレーバー7の伸長量Lが3750mmに設定された場合である。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wにおける当該左、右のスプレーバー7A,7B上にそれぞれ4個ずつの乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が存在する。そして左、右のスプレーバー7A,7Bにおける乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14を散布状態に切替えるスイッチがオンにされた乳剤散布時に、重なり合う部分Wにおいて、左スプレーバー7Aでは4個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14の全てが散布状態に設定され、右スプレーバー7Bでは、これと逆に4個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14の全てが非散布状態に設定される。このとき、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定されている4個の分解剤ノズル14がカバー15で覆われる。この結果、右スプレー7B上で非散布状態に設定される分解剤ノズル14への乳剤の飛散が防止されて該分解剤ノズル14の目詰まりが防止される。
【0051】
(図7(d))伸縮式スプレーバー7の伸長量Lが4500mmに設定された場合である。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wにおける当該左、右のスプレーバー7A,7B上にそれぞれ3個ずつの乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が存在する。そして左、右のスプレーバー7A,7Bにおける乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14を散布状態に切替えるスイッチがオンにされた乳剤散布時に、重なり合う部分Wにおいて、左スプレーバー7Aでは3個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14の全てが散布状態に設定され、右スプレーバー7Bでは、これと逆に3個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14の全てが非散布状態に設定される。このとき、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定されている3個の分解剤ノズル14がカバー15で覆われる。この結果、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定される3個の分解剤ノズル14への乳剤の飛散が防止されて該3個の分解剤ノズル14の目詰まりが防止される。
【0052】
(図8(a))伸縮式スプレーバー7の伸長量Lが5500mmに設定された場合である。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wにおける当該左、右のスプレーバー7A,7B上にそれぞれ1個ずつの乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が存在する。そして乳剤散布時に、重なり合う部分Wにおいて、左スプレーバー7Aでは1個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が散布状態に設定され、右スプレーバー7Bでは、これと逆に、1個の乳剤ノズル10及び分解剤ノズル14が非散布状態に設定される。このとき、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定されている1個の分解剤ノズル14がカバー15で覆われる。この結果、右スプレーバー7B上で非散布状態に設定される1個の分解剤ノズル14への乳剤の飛散が防止されて該1個の分解剤ノズル14の目詰
まりが防止される。
【0053】
(図8(b))伸縮式スプレーバー7の最伸長時である伸長量Lが6000mmに設定された場合である。この場合、左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wは無いから、カバー15で覆うべき分解剤ノズル14は存在しない。
【0054】
上述したように、本実施例に係る道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造においては、乳剤散布時に、伸縮式スプレーバー7の伸縮量に応じて左、右のスプレーバー7A,7Bが重なり合う部分Wにおけるいずれか一方のスプレーバー7A又は7B上のみに非散布状態となる分解剤ノズル14が設定される場合において、その分解剤ノズル14の部分に対し所要長さのカバー15を設けたことで、該分解剤ノズル14への乳剤の飛散を効果的に防止することができて、非散布状態になっている分解剤ノズル14の目詰まりを確実に防止することができる。
【0055】
上記のように、道路舗装機械の機種によっては所要長さのカバー15は、左、右のスプレーバー7A,7Bのうちのいずれか一方のスプレーバー7A又は7B側のみに設ければよいことから、部品点数が少なくなって構成が容易となる。
【0056】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
乳剤散布時に、伸縮量に応じて2基のスプレーバー同士が重なり合う部分において分解剤ノズル以外にも乳剤の飛散を受けるのを防ぐベき器具が存在する場合に、該器具への乳剤の飛散を確実に防止することが不可欠な用途に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 機体
2 後輪
3 下面板
4a,4b 下部フレーム
5 支持軸
6 スプレーバーカバー
7 伸縮式スプレーバー
7A,7B 左、右のスプレーバー
8a,8b ローラ
9a,9b スライド部材
10 乳剤ノズル
11 支持部材
12a,12b ガイドローラ
13a,13b 左、右のスプレーバーカバー
14 分解剤ノズル
15 カバー
16 ガイドレール
17 ガイドローラ
18 支持腕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の乳剤ノズルが適宜の間隔をおいて設けられるとともに該複数の乳剤ノズルには当該乳剤ノズルから散布された乳剤の硬化を促進する分解剤を散布する分解剤ノズルがそれぞれ付設されたスプレーバーの2基が、機体進行方向の前後に並列に配設された伸縮式スプレーバーを有する道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造であって、
前記伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて前記2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における少なくともいずれか一方のスプレーバー上で非散布状態に設定される前記分解剤ノズルに対し、いずれか他方のスプレーバー上の前記乳剤ノズルから散布される乳剤の飛散を防止して該分解剤ノズルの目詰まりを防止する所要長さのカバーを設けたことを特徴とする道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造。
【請求項2】
上記伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて上記2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における両スプレーバー上で非散布状態に設定される上記分解剤ノズルの部分に対し、それぞれ所要長さのカバーを設けたことを特徴とする請求項1記載の道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造。
【請求項3】
上記伸縮式スプレーバーの伸縮量に応じて上記2基のスプレーバー同士が重なり合う部分における一方のスプレーバー上のみに非散布状態となる上記分解剤ノズルが設定される場合において、該非散布状態となる前記分解剤ノズルの部分に対し所要長さのカバーを設けたことを特徴とする請求項1記載の道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造。
【請求項4】
上記所要長さのカバーは、機体の下部フレーム部分に取付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造。
【請求項5】
上記所要長さのカバーは、機体の下部フレーム部分に設けたガイドレール上をガイドローラを介して移動可能に取付けられ、且つ前記所要長さのカバーから遠い側のいずれか他方のスプレーバーからの支持腕により移動されるようにしたことを特徴とする請求項1又は3記載の道路舗装機械における分解剤ノズルの目詰まり防止構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate